H. R. A. Award 2013

昨年思いついたように突然はじめたこの賞。今年1年にレビューして毎月のベスト盤を選ぶHaydn Disk of the Monthの中から選りすぐりのアルバムを選びます。まさに1年の総決算に相応しいアルバム。本来は何か贈るべきなんでしょうが、そこは勝手表彰ゆえ、ハイドンばかり聴いている、ごくごくニッチなマニアにとって掛け替えのないアルバムであるという名誉が与えられます。

やはり某誌にならって部門別表彰です。

【交響曲部門】
やはり、このアルバムを選ばざるを得ないでしょう。

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Haydn Disk of the Month - September 2013
2013/09/15 : ハイドン–交響曲 : ヴェーグ/カメラータ・アカデミカのブダペストライヴ

シャーンドル・ヴェーグが手兵カメラータ・アカデミカを引き連れブダペストに帰郷公演を行った1995年のライヴ。極度の興奮のなか、演奏者と観客が一体となった千載一遇の瞬間を収めたライヴ。素晴しい録音によって、ヴェーグ渾身の太鼓連打が鮮明に録られ、家の中がまさにコンサート会場になったよう。ヴェーグのハイドンの録音でもダントツの素晴らしさ、というより太鼓連打のベスト盤といえる素晴らしさです。アルバムも丁寧なつくりで、アルバム全体からヴェーグへのリスペクトが立ちのぼっています。今年聴いたハイドンの交響曲で最も心を打たれた一枚。家宝です。

【管弦楽・協奏曲部門】

いや〜、迷いました。今年聴いた中では、ポール・フリーマンのピアノ協奏曲、ダヴィド・ゲリンガスのチェロ協奏曲、そして今月選んだエアリング・ブロンダル・ベンクトソンのチェロ協奏曲と、マイナーながら素晴しい協奏曲のアルバムが目白押しでしたが、、、

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Haydn Disk of the Month - January 2013
2013/01/20 : ハイドン–協奏曲 : 超名演盤発見! マルク・デストリュベ/パシフィック・バロック管弦楽団のヴァイオリン協奏曲集

やはり、とどめはこれでしょう。昨年カルミニョーラのヴァイオリン協奏曲を選んだので、またヴァイオリン協奏曲と思われるでしょうが、良いものは良いのです。デストリュべのこの演奏で聴くハイドンのヴァイオリン協奏曲は、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲以上の素晴しい美しい響き。カナダで自身が率いるオケとの録音ですが、本場ヨーロッパの演奏よりもハイドンの時代を感じさせ、素晴しい覇気と素晴しい色彩感に目もくらむほど。色彩感に溢れたハイドンのヴァイオリン協奏曲を是非聴いてみてください。

【室内楽部門】

こちらも迷いました。ハイドン・トータルのクァルテット・アルモニコにワリド・アクルも良かったんですが、、、

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Haydn Disk of the Month - January 2013
2013/01/27 : ハイドン–ピアノソナタ : デレク・アドラムのクラヴィコードによるソナタ集

このアルバムの素晴しさは多くの人に聴いていただく価値があります。ハイドンの時代はクラヴィコードからフォルテピアノまで鍵盤楽器がめまぐるしく進化していた時代。現代のピアノで聴くハイドンのクラヴィーアソナタもいいものですが、蚊の鳴くような小さな音ながら、クラヴィコードで奏でられるハイドンの素晴しさにはじめて出会ったアルバム。デレク・アドラムは楽器製作者でもあり、楽器の響きを知り尽くした人にしか演奏できない、極めてデリケートな演奏。このアルバムを聴いた時には、また一つハイドンの新たな魅力を発見したと感激しきり。クラヴィコードに対する先入観を取り去って、虚心坦懐に聴くと新たな世界が見えてきます。私の楽器に対する考えを大きく転換させた一枚です。



今年はこの3枚を表彰することといたします。たった今紅白歌合戦が終わり、ゆく年来る年の除夜の鐘がゴ〜ンと鳴りました。今年もあと数分。皆さま良いお正月を!

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Haydn Disk of the Month - Decmber 2013

毎年ですが、気づいてみれば大晦日。慌ただしい毎日を一日一日過ごしているうちに一年も終わります。今年は日の並びがよく、丸一週間お休みですので、9連休。年末は大掃除などをしながら、所有盤リストのメンテナンスもすこし進んで、ピアノトリオなども、主要な団体はメンバーを追記しました。久しぶりに取り出すアルバムをいろいろ聴いて楽しんでいます。やはり時間に余裕があるのはいいですね。

さて、12月に聴いたアルバムからベスト盤を選ぶ当ブログ恒例の企画、今月も素晴しいアルバムが目白押しでした。なんとなくこの表彰の意義をおさらいしておくべきかと思い、創設時の記事のリンクを置いておきましょう。

2010/09/30 : Haydn Disk of the Month : 創設! Haydn Disk of the Month

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2013/12/21 : ハイドン–協奏曲 : エアリング・ブロンダル・ベンクトソンのチェロ協奏曲集

おそらく日本で知っている方は少ないのではないかと思いますが、エアリング・ブロンダル・ベンクトソンといチェリストの渾身の名演。いろいろなチェリストのハイドンのコンチェルトを聴いていますが、ベンクトソンのチェロは静かな魂の叫びのような素晴しさ。これ以上味わい深いチェロはそう聴けるものではありません。イリア・ストゥペル指揮のポーランドのアルトゥール・ルービンシュタイン・フィルハーモニー管弦楽団も小細工なしの堂々とした正統派の演奏。ポーランドもののハイドンの素晴らしさが良く出ています。演奏スタイルはオーソドックスなものですが、流行を超えた説得力があります。今月最も心を打たれた演奏です。今年の6月ベンクトソンは亡くなられたとのこと。ご冥福をお祈りします。

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2013/12/30 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】ダリア・グロウホヴァのハイドンのピアノソナタ集新盤

そして、昨日取りあげたばかりのグロウホヴァのピアノソナタ集。グロウホヴァのハイドンは今月2枚取りあげたことになりますが、おすすめはこちらの2枚目。短調の印象的な曲を集めて、グロウホヴァらしく、リズムよりもメロディーの重なりをしなやかに描く名演奏。ハイドンのソナタの演奏の新境地と言っていいでしょう。カッチリとかガッチリという印象はなく、テンポをかなり動かして溢れんばかりに詩情を表現。この若さでこの音楽性は見事と言う他ありません。このアルバムのラーナーノーツでは早くも3枚目のアルバムに言及しているところを見ると、ハイドンは彼女のお気に入りなんでしょう。将来が楽しみなピアニストです。



この他、今月高評価だったアルバムをリストアップしておきましょう。ピアノトリオの3組は何れも素晴しい演奏。中でもグリフォン三重奏団は、最後まで表彰の候補として迷いました。ヴァン・スヴィーテン三重奏団は、取りあげたアルバムのメンバーでの演奏の出来が素晴しいのを再発見。そしてハイドン・トリオ・アイゼンシュタットのピアノトリオ全集はすでに決定盤として評価されているでしょうから選外としました。意外に良かったのがパユのスケルツァンド集。パユの素晴しいキレ味をこちらも再認識。流石に人気者だけあるとあらためて納得した次第。最後のファイの軍隊はもう当ブログで表彰する必要はないでしょう。ファイならではの弾ける軍隊と、意外に99番が素晴しい出来でした。

2013/12/29 : ハイドン–室内楽曲 : ヴァン・スヴィーテン三重奏団のピアノ三重奏曲集
2013/12/28 : ハイドン–室内楽曲 : ハイドン・トリオ・アイゼンシュタットの三重奏曲集
2013/12/24 : ハイドン–室内楽曲 : グリフォン三重奏団のピアノトリオ集
2013/12/23 : ハイドン–オペラ : 【新着】リサ・ラーションのアリア集
2013/12/13 : ハイドン–協奏曲 : シェレンベルガー/パユのスケルツァンド集
2013/12/01 : ハイドン–交響曲 : 【新着】トーマス・ファイの99番,軍隊

今月も素晴しい演奏との出会いに感謝。そしてニッチな当ブログを愛読いただく皆様にも感謝。来年も皆様にとって良い一年でありますように!



2013年12月のデータ(2013年12月31日)
登録曲数:1,321曲(前月比+8曲)登録演奏数:7,551(前月比+132演奏)

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Haydn Disk of the Month - November 2013

いやいや、今週は仕事とプライベートと飲みが続き、月曜に更新したのを最後に、それ以降、記事を一つもアップできませんでした。2日あけることはあっても、これほど間をあけてしまったのは久しぶり。できればもう2、3記事アップしようとは思っていたのですが、いきなり月末になってしまいました。

しかしながら、今月は記事の少なさを補ってあまりある、怒濤の名盤ラッシュ。特に毎月良いアルバムを選んで聴いてはいるので、選ぶのが大変なんですが、今月は湖国JHさんから送り込まれた怒濤の名盤に嬉しい悲鳴です。悩みに悩んで3組選出。この3組、当ブログだからこそ表彰すべき、コアなハイドンファンに知っていただきたい名盤です。

エリナ・ヴァハラ盤を選ぶと思っていた方、ヴァハラも素晴しかったんですが、既にいくつかのブログでその素晴らしさは知られているようですので、敢えてはずしました(笑)



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2013/11/24 : ハイドン–ピアノソナタ : ワリド・アクルのピアノソナタ集

まずは、ハイドンの全ピアノ作品を録音しているというワリド・アクルのピアノソナタ集。このアクルという人、恐ろしく鋭敏な感覚を持っています。その鋭さはグレン・グールドに引けを取らないほど。グールドが余人を突き放すような超個性的な音楽に走ったのとは逆に、アクルはハイドンの真髄に迫るようなオーソドックスな感覚を持っていたということでしょう。ハイドンのソナタや小曲を、じっくりと奏で、まるで大河の流れのように一貫した感覚で弾き流し、時に狂気を感じるほどの鋭敏さで畳み掛けるもの。ハイドンならではの間の感覚、機知が感じられる素晴しい演奏です。実はこのアルバムを借りて、あまりの素晴しさに衝撃を受けたため、ネットを探して、このKOCH盤の原盤になるBOURG RECORDSの14枚組の、まさにハイドンの全ピアノ作品の録音を入手しました。小曲まで含めて、まさにハイドンのピアノ作品の最も網羅的な録音のようです。所有盤リストへの登録もまだはじめたばかりですが、今は亡きワリド・アクル入魂のハイドン、しばらく楽しみたいと思います。KOCH盤の方もamazonではいくつか手に入りますので、ハイドンのピアノソナタ好きの方、是非聴いてみてください。

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2013/11/16 : ハイドン–ピアノソナタ : ギャリック・オールソンのピアノソナタ集

続いてもピアノです。こちらも湖国JHさんに貸していただいたもの。私はギャリック・オールソンは全く知らなかったのですが、こちらも衝撃の一枚。このアルバムも、借りて聴いたということではおさまらず、発注して入手しました。オールソンは豪腕ピアニストなのでしょう、素晴しい力感と覇気が感じられるのですが、それにとどまらず、ハイドンらしい機知を良く踏まえて、力を巧みにコントロールし、実に深い音楽を奏でます。ハイドンはおそらくこの1枚しかリリースされていないと思いますが、選曲もハイドンのソナタの名曲をそろえた通好みのもの。特にXVI:51は今まで聴いたどの演奏よりも曲の良さをうまく引き出した名演奏だと断じます。

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2013/11/10 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : ジョヴァンヌ・クァルテット・イタリアーノのOp.76

そう、こちらも湖国JHさんに貸していただいたもの。なんとこのアルバムもあまりの素晴しさにレビュー後発注してしまいました。このような素晴しい演奏が我がコレクションにないのはハイドン啓蒙の祖たる当ブログの沽券にかかわります。イタリア四重奏団の演奏よりイタリアらしい素晴しい輝き。ヴァイオリンの音色の鋭さ、美しさは筆舌に尽くし難いほど。このアルバムを聴かずにハイドンの弦楽四重奏曲を語るべからず的名盤です。

結果的に選出した3組は、すべて湖国JHさんから送り込まれたキレ者の刺客でした。道場破りに一刀両断とされた形となりました。ハイドンの生きていた江戸時代であれば、道場の看板を下ろさねばならないところですが、心の広い湖国JHさん、幸い道場を乗っ取る邪心はなさそうですので、許諾のもと、このニッチな道場は続けさせていただこうと思います。



さてさて、慣例により今月レビューしたアルバムでも、高評価をつけたアルバムを確認しておきましょう。今月取りあげたアルバム、本当に素晴しいアルバムばかりでした。どれも自信を持っておすすめできる名盤です。

2013/11/22 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : デカニー弦楽四重奏団のOp.1
2013/11/19 : ハイドン–協奏曲 : ダニエル・ブルグ/カメラータ・ド・ヴェルサイユのホルン協奏曲
2013/11/18 : ハイドン–協奏曲 : ペーター・ダムのホルン協奏曲
2013/11/17 : ハイドン–協奏曲 : エリナ・ヴァハラ/ヴィルトゥオージ・ディ・クフモのヴァイオリン協奏曲集
2013/11/14 : ハイドン–室内楽曲 : ゲリンガス・バリトン・トリオのバリトン三重奏曲集
2013/11/11 : ハイドン–協奏曲 : ステファン・ポポフ/ハリー・ブリーチ/ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズのチェロ協奏曲集
2013/11/08 : ハイドン–声楽曲 : 【新着】マティアス・グリュネルトの天地創造ミサ


東京もすっかり寒くなって、公園などでも美しい紅葉が楽しめる季節。自宅の庭のナナカマドも今年は葉が燃えるような赤に染まってきました。来月はもう師走ですね。ハイドン好きな皆様も風邪などひかれないようご自愛ください。



2013年11月のデータ(2013年11月30日)
登録曲数:1,313曲(前月比±0曲)登録演奏数:7,419件(前月比+60演奏)

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Haydn Disk of the Month - October 2013

いや〜、日本シリーズ痺れますね。仙台に仕事で住んでたこともあるので、もちろん楽天贔屓です。次はマー君が投げるということで、楽天有利でしょうか。手に汗握る展開にブログを書くのも手につきません(笑) ただし、月末日ですので恒例の今月の一枚をセレクトしない訳には参りませんね。

今月は旅日記にかまけていたので、取りあげたアルバム自体は例月より少ないんですが、これが素晴しいアルバムに事欠かないんですね。今月は2組を選びました。

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2013/10/19 : ハイドン–声楽曲 : ヒギンボトム/ニュー・センチュリー・バロックのネルソンミサ

まずは今月発見した名盤、ヒギンボトムのネルソンミサ。ヒギンボトムは天地創造も取りあげましたが、何れも歌の魅力を大切にした素晴しく丁寧な指揮ぶりが印象に残る名演盤。私はハイドンのこうゆう丁寧な演奏に目がありません。指揮者としてのコントロール能力の素晴しさに痺れます。タイトな古楽器オケと、一曲一曲丁寧に歌手をコントロールした手腕は見事の一言。歌が溢れ出してくるとはこの演奏のことです。今後ハイドンの後期のミサ曲をすべて録音してほしい指揮者です。未聴の方は是非手に入れてほしい名盤です。

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2013/10/26 : ハイドン–交響曲 : 【新着】アンチェル/コンセルトヘボウの「オックスフォード」ライヴ

もう一枚はカレル・アンチェルがアムステルダム・コンセルトヘボウ管を振った一枚。アンチェルはハイドンの交響曲から恐ろしいまでの迫力を抽出して純化させるような独特の音楽感をもっていますが、このオックスフォードを振ったアルバムはアンチェルの演奏の中でも、非常にバランスの整った演奏。オケの力量、響きの良いホール、バランスの良い録音と三拍子そろったライヴですね。キングレコードによる復刻以来にtahraが応えてリリースされたもの。この素晴しい演奏を是非聴いてみてください。



取りあげた記事数は少なかったものの、やはり素晴しい演奏に変わりはなく、今月も痺れる演奏にいろいろ出会いました。そのほかインパクトのあった演奏は下記のとおり。その真価にいままで気づいていなかったブーニン、そして3枚目のリリースにして初めて手に入れたシュパンツィヒ四重奏団など、ハイドン好きのかたには見逃せないアルバムがいろいろありました。

2013/10/30 : ハイドン–ピアノソナタ : スタニスラフ・ブーニンのXVI:23
2013/10/23 : ハイドン–交響曲 : アンセルメ/スイス・ロマンド管の哲学者、90番
2013/10/21 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : 【新着】シュパンツィヒ四重奏団の弦楽四重奏曲集
2013/10/17 : ハイドン–オラトリオ : エドワード・ヒギンボトムの天地創造

10月も良い演奏に出会えました。



2013年10月のデータ(2013年10月31日)
登録曲数:1,313曲(前月比−1曲)登録演奏数:7,359件(前月比+51演奏)

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Haydn Disk of the Month - April 2013

4月になって年度が変わり、仕事もいろいろ変化がありました。そして昨年の4月父が亡くなったで今月は一周忌。こちらもなんとか無事に行う事ができました。この間実家に引っ越したり、相続の手続きをしたり、ドタバタと過ごしましたが、あれからもう一年かと思うと時の経つ早さが身にしみますね。昨年父の葬儀の時は桜が満開でしたが、今年は桜の花が早く、一周忌のときには桜はとっくに終わっていて、なんとなく季節感もちょっとちがっていました。いろいろ思う事あった一年でしたが、忙しくしていることで気がまぎれたのも正直なところ。そしてブログを書く事で平常な毎日を送る事が出来たのかもしれません。なんとなく義務感もあり、一枚一枚丁寧に聴いてレビューをアップすると、どなたかが拍手をくださったり、いつもコメントを戴く皆さんから励ましやツッコミを戴いたりするという日常の貴重さ。あらためて皆様に感謝です。

Haydn Disk of the Month - April 2013

さて、今月は本当に悩みました。取りあげた多くのアルバムがそれぞれ本当に素晴しい。一枚に絞るべきなんでしょうがが、やはり素晴らしいものは素晴しいということで、2組のアルバムを選出。

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2013/04/20 : ハイドン–協奏曲 : 【新着】マルカンドレ・アムランのピアノ協奏曲集

アムランのハイドンシリーズ第4作のピアノ協奏曲集。アムランの透徹したピアノは予想済みでしたが、伴奏のベルナール・ラバディ指揮のル・ヴィオロン・ドゥ・ロワの恐ろしいばかりのキレにはビックリ。オケもアムランもリズミカルなハイドンのピアノ協奏曲の真髄を表現する新次元の演奏と言っていいでしょう。モーツァルトともベートーヴェンとも異なるハイドンのピアノ協奏曲の魅力を浮き彫りにする秀演です。

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2013/04/11 : ハイドン–ピアノソナタ : ブラッドフォード・トレーシーのフォルテピアノソナタ集

そして今月特集として集中的に聴いたLP。このアルバムの素晴らしさは、奏者でもあり、楽器コレクターであった夭逝のフォルテピアニスト、ブラッドフォード・トレーシーの誠実な音楽が詰まったアルバム。ハイドンの鍵盤音楽とはかくあるべしという説得力に溢れた演奏です。楽器それぞれの音色の魅力を存分に表現したミクロコスモスのようなアルバム。LPとしての音質も最高です。これは家宝です。



今月取りあげた、この2組に負けず劣らず素晴しかったアルバムは下記の通り。

特に昨日とりあげたセバスチャン・コンベルティのチェロ協奏曲とマックス・ゴーバーマンの交響曲集は最後まで悩みました。前者は古楽器でのチェロ協奏曲としてはファーストチョイスとしていい名演奏。マイナー盤だと思いますが、この素晴らしさは多くの人に知ってほしい素晴しいもの。そして後者はドラティの交響曲以前に交響曲全集の録音を志したものの指揮者の急逝により一部の曲のみで終わってしまった幻の交響曲全集。志しに負けない素晴しい演奏が涙を誘います。本当は4組表彰したかったくらいです。

2013/04/29 : ハイドン–協奏曲 : セバスチャン・コンベルティ/エイジ・オブ・エンライトメント管のチェロ協奏曲集
2013/04/29 : ハイドン–協奏曲 : オーレ・エドワルド・アントンセン/テイト/ECOのトランペット協奏曲
2013/04/19 : ハイドン–交響曲 : 【追悼】コリン・デイヴィスの88番、99番
2013/04/15 : ハイドン–交響曲 : マックス・ゴーバーマン/ウィーン国立歌劇場管弦楽団のマリア・テレジア、56番
2013/04/12 : ハイドン–交響曲 : 【新着】トーマス・ファイ/ハイデルベルク響のラメンタチオーネ他
2013/04/06 : ハイドン–交響曲 : レオポルド・ルートヴィヒ/バイエルン放送響のホルン信号、狩
2013/04/04 : ハイドン–交響曲 : テンシュテット/SWR交響楽団の「時の移ろい」
2013/04/03 : ハイドン–協奏曲 : アンヌ・ケフェレック/アルマン・ジョルダンのピアノ協奏曲(XVIII:11)

ようやく少し落ち着いたので記事を書くピッチも上げなくては。いい音楽を聴く事で、一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。ニッチな当ブログの読者の皆様、今後ともよろしくお願いいたします。



2013年4月のデータ(2013年4月30日)
登録曲数:1,313曲(前月比±0曲)登録演奏数:6,956件(前月比+49演奏)

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ハンガリー弦楽四重奏団のOp.77のNo.2、「ひばり」

久々にヒストリカルもの。ちょっと前にディスクユニオンで仕入れたもの。

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HMV ONLINEicon / amazon

ハンガリー弦楽四重奏団(Hungarian String Quartet)の演奏による、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.77のNo.2とOp.64のNo.5「ひばり」の2曲を収めたアルバム。収録は1957年とだけ記載されています。レーベルはスイスのTUXEDO MUSIC。

ハンガリー弦楽四重奏団はブダペスト・アカデミーで、ゾルタン・コダーイやイェネー・フバイに学んでいたメンバーであるシャーンドル・ヴェーグ(Sándor Végh)らによって、1934年に設立されたクァルテット。1935年にはデビューし、1938年にはヨーロッパの主要都市で知らぬもののいない存在となりました。バルトークを得意としているようで、バルトークの弦楽四重奏曲第5番を作曲家の指導のもとハンガリーで初演しました。ただしヴェーグは1940年にヴェーグ四重奏団を設立するために退団し、今日取り上げるアルバムを録音した頃にはメンバーではありません。このアルバムの録音当時のメンバーはアルバムには記載されていませんが、WIkipediaなどの情報を調べると次のようになります。

第1ヴァイオリン:ゾルターン・セーケイ(Zoltán Székely)
第2ヴァイオリン:アレキサンドレ・モゾコフスキ(Alexandre Moszkowsky)
ヴィオラ:デネーシュ・コロムサイ(Denes Koromzay)
チェロ:ガブリエル・マジャル(Gabor (Gabriel) Magyar)

コダーイやバルトークの薫陶を受けたという伝統のクァルテット故、ハイドンの演奏にも険しさを期待してしまいます。1957年の響きはどのようなものでしょうか。

Hob.III:82 / String Quartet Op.77 No.2 [F] (1799)
なんとステレオ録音です。冒頭から鋼のような険しい弦のタイトなアンサンブル。なるほどバルトークを得意としていることが頷けます。ハイドンの最後の創作期の作品なのに、もの凄いテンションでザクザク切り込みますが、不思議と踏み外したような印象はなく、古典の枠の中でのタイトさということでしょう。録音はハイテンションで切れ味抜群のヴァイオリンパートを中心にオンマイクで鮮明な響きをとらえています。おそらくLP音源ではたまげるようなリアリティを味わえるのではと想像しています。
2楽章のメヌエットの入り方に集中しますが、コミカルな印象もあるはずなのに、やはり荒々しさも感じさせる険しい入りで、メンバーにも緊張感が張りつめています。まるでバルトークのような険しさ。一貫して少し速めのテンポによって、楽章の行く末が俯瞰できるような気分に。
弦の音色はそのままに、一瞬にして音楽が一変。3楽章のアンダンテは諦観すら感じられる枯れた音楽。乾いた弦の音色とあっさりとしたフレージングが一層音楽の核に集中させます。この楽章の景色はハンガリー弦楽四重奏団のエッセンスを感じさせるもの。変奏が進んでも一貫して変わらぬ冷めた情感と、そこから沸き上がる音楽は、このアルバムが今も現役盤たる所以でしょう。ハイドンの最晩年にたどり着いた無垢な境地をここまで鬼気迫る演奏で聴かせるとは。
この曲の本質には楽章間のつながり等意図しなかったとも思わせる、かなり思い切った楽章間の変化。前の楽章の余韻を完全に断ち切るような鮮やかな変化。ここまではっきりと変化する演奏は滅多にありません。曲を完全に読み込んだ上での確信犯的解釈でしょう。険しい音色での演奏には神々しさすら感じさせるオーラが出ています。音楽の表情はこれ以上の険しさはないと思われるほどの青白く光る鋼のような鋭さ。

Hob.III:63 / String Quartet Op.64 No.5 "Lerchenquartetett" 「ひばり」 [D] (1790)
旋律はおおらかなのに、変わらず鋭いボウイングでグイグイ迫ってくるタイトなメロディーライン。鋼のひばりです。往時のボロディン四重奏団を彷彿とさせる険しい音楽。ボロディンが鍛え抜かれた鋼だとすると、こちらは同じ鋼でも反射する光にほのかに色彩が映るようなニュアンスがあり、音楽がすこし膨らみます。聴き慣れたひばりの1楽章はやはり険しいばかりではなくほのかな色彩感も感じさせ、ハイドンの豊かな音楽が垣間見えます。
予想通り2楽章のアダージョ・カンタービレはこのアルバムでも最も歌った楽章。険しさばかりではないハンガリー弦楽四重奏団の器の大きさが伝わります。休符を長くとって音楽を印象的に。一人一人の演奏が実に呼吸が深く、4人のアンサンブルもピタリとそろいます。これほどの高みには容易には到達できません。
メヌエットは前楽章の覚醒を和らげるように、このアルバムでも最も楽天的な演奏。リズムに乗ってリラックスして音楽を楽しむようです。ただ音色は抽象芸術のようなミニマルな響きもあり、一筋縄では理解できない深さもあるのが流石。
フィナーレはそっと弦に触れるような、さざめくような軽さが印象的。メロディーが次々と受け継がれていくうちに混沌とした響きに昇華するような演奏。

1957年と今から56年も前の演奏ですが、音楽に古さは全く感じる事はありません。コダーイやバルトークを生んだハンガリーの伝統を感じる、タイトなのに色彩感もあり、古典的でありながら現代的でもある素晴らしい演奏。バルトークを得意としたハンガリー弦楽四重奏団の演奏ですが、弦楽四重奏の父ハイドンの曲も、孤高の高みを感じさせる素晴らしいものでした。演奏者によって光の当て方は様々。古楽器による演奏が多くなってきた現代におおいても、この演奏のもつ輝きは変わりません。いまだに現役盤である理由がよくわかりました。もちろん評価は両曲とも[+++++]とします。

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tag : 弦楽四重奏曲Op.64 ひばり 弦楽四重奏曲Op.77 ヒストリカル おすすめ盤

ザンデルリンク/読響の「熊」1990年サントリーホールライヴ

昨夜は実に久しぶりにTOWER RECORDS新宿店に。いつものようにエスカレーターで9階に行きましたが、クラシック売り場がありません! もしやクラシック売り場がなくなってしまったのではと嫌な予感がよぎりましたが、店内表示を見ると10階がクラシック売り場とあり、一安心。あんまり久しぶりだったので、クラシック売り場が移動したのに気づいていませんでした。しかも10階に上がると、ちょうど9階にあった売り場とほぼ同じ構成で見やすいままでした。仕事が忙しくなかなかお店で買う機会がありませんでしたが、やはり見ながら買うのは楽しいですね。いろいろ仕入れました(笑)

今日はその中からの1枚。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

クルト・ザンデルリンク(Kurt Sanderling)指揮の読売日本交響楽団の演奏で、ハイドンの交響曲82番「熊」とブラームスの交響曲1番の2曲を収めたアルバム。収録は1990年2月7日、サントリーホールでの読響「第283回名曲シリーズ」のライヴ。レーベルはクラシックアルバムの輸入を手がける東武トレーディングの読響アーカイブシリーズ。

読響のコンサートは割合気に入っていて、スクロヴァチェフスキやカンブルランの振る読響のコンサートにちょくちょく出かけて、当ブログでも何度か取りあげていることはご存知の通り。ただ、読響のコンサートに出かけるようになったのは最近のことで、このアルバムが収録された頃には読響のコンサートには通っていませんでしたので、この千載一遇の機会は知る由もなかった訳です。

このアルバムの解説によると、このコンサートで取りあげられた熊はザンデルリングのお気に入りだそうで、コンサートの前半に置かれることがしばしばあったとのこと。これまで取りあげたザンデルリンクの演奏でもここ一番、ベルリンフィルに客演した際にも熊とショスタコーヴィチという組み合わせでした。

ザンデルリンクの情報はリンク先の39番の記事をご参照ください。

2012/11/13 : ハイドン–交響曲 : クルト・ザンデルリンク/ベルリン交響楽団の王妃、86番
2012/06/30 : ハイドン–交響曲 : 【新着】ザンデルリンク/スウェーデン放送交響楽団の39番ライヴ
2010/11/04 : ハイドン–交響曲 : クルト・ザンデルリンク/ベルリン・フィルの熊ライヴ
2010/06/18 : ハイドン–交響曲 : クルト・ザンデルリンクの86番

ザンデルリンクが読響を初めて振ったのは1976年。その後1978年、1980年、そしてこの録音の1990年と4たび客演し、読響の名誉指揮者となっていましたが、2011年9月、ベルリンで98歳で亡くなっています。この録音はザンデルリンクの最後の来日の際の貴重な記録ということです。

Hob.I:82 / Symphony No.82 "L'Ours" 「熊」 [C] (1786)
ちょっと古びた音色のながら鮮明に録られ、少し遠めに定位するオーケストラ。残響は少し多めで、ホールに響きわたる響きの余韻まで楽しめます。入りは中庸なテンポで、キリッと引き締まった表情を聴かせながら、熊のユーモラスなメロディーをまるで教科書にとりあげるように、きっちり描いていきます。ヴァイオリンパートの響きの良さが印象的。テンポはかなり一貫してていて、この曲からアポロン的均衡を浮かび上がらせます。きっちりと隈取りをテンポ良く描いていくヴァイオリン。1楽章からハイドンの交響曲の均整とのとれた魅力にハマります。
つづくアレグレットも、一貫したテンポでのクッキリした表情が魅力の演奏。すこしザラッとした読響の弦楽器群がザンデルリンクの几帳面なフレージングにきちんとついていきます。途中からの盛り上がりでは、かなりの力感となりますが、少しも乱れる事なくキリッとした風情は保ちます。タイトにコントロールが行き届いています。
ちょっと予想と異なったのがメヌエット。かなりレガートを効かせたフレージング。リズムがキリッとしているのは変わらないのですが、非常に優雅と言うか典雅な演奏。奏者一人一人が楽しんで弾むような旋律を奏でていきます。木管楽器群が見事に歌っています。非常に優雅にダンスを踊っているようなメヌエット。
フィナーレも予想とはちょっと異なる演奏。入りはすこし遅めで、速度よりも演奏がスローモーションを見ているように感じられる面白い表現。なかなか粋な演出です。曲が進むにつれてテンポが少しづつ上がり、オケに力も宿ってきますが、メヌエットの余韻か、そこはかとない典雅さも感じさせます。展開部のメロディーが交錯するところに至って盛り上がりも頂点に達しますが、一杯飲んで楽しんでいるような余裕のある盛り上がり。最後はしっかり聴かせどころをつくって、サントリーホールの観客からブラヴォーが降り注ぎます。

クルト・ザンデルリンクが得意としていた熊の、読響との1990年という晩年の貴重なライヴ。なにより読響がザンデルリンクの指示に忠実に従って、非常によくコントロールされた演奏なのが素晴らしいですね。オケが一体となってザンデルリンクのキリッとしていながら非常に優雅なハイドンを表現しています。会場の興奮も伝わる臨場感のある録音も悪くありません。もちろん評価は[+++++]とします。
このあとに置かれたブラームスの1番もハイドン以上の名演です。濃密な音楽が観客の心を鷲掴みにしているようすが伝わる素晴らしいライヴですね。東武トレーディングさん、いい仕事です!

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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ライヴ録音 おすすめ盤

Haydn Disk of the Month - February 2012

もう2月末だというのに、東京は雪が降って寒い寒い。ただ、例年はバレンタインデーには花粉が飛ぶところ、今年はまだ目も鼻もまだ大丈夫。寒さは災いばかりではありません。朝から降りしきる雪も夕方にはあがり、仕事の帰りには傘は要らなくなっていました。
地球は温暖化が進んでいるようですが、今年の冬は寒い日が多く、なぜかちょっと安心します。やはり冬は寒くなければいけません。豪雪の地域ではそんなことはいっていられないかとは思いますが、日本は四季の移り変わりが文化の根底にありますので、季節の変化を楽しみたいと思います。

Haydn Disk of the Month - February 2012

月末恒例の今月の1枚を選びます。最近複数枚選ぶのが常態化していますが、それぞれの素晴らしさに甲乙つけ難く、絞りきれないのが正直なところ。まあ、勝手表彰ですので大目に見てください。今月も素晴らしいハイドンの演奏に多く出会えました。

SoltiBRSOCreation3.jpg
2012/02/25 : ハイドン–オラトリオ : ショルティ晩年の天地創造ライヴDVD

まずはショルティの天地創造の映像。このDVDには度肝を抜かれました。レビューで触れたように恐ろしく安いものですが、このDVD、レギュラープライスだったとしても十分素晴らしいもの。これまで公開された映像なのかはわかりませんが、晩年のショルティのかくしゃくとした姿、ツィーザクをはじめとした歌手陣、そして雰囲気満点のヘラクレス・ザールなど見所も沢山あります。演奏は言う事なし。天地創造の最高の演奏の一つです。

Immerseel4.jpg
2012/02/18 : ハイドン–ピアノソナタ : ヨス・ファン・インマゼールのソナタ集

つづいてインマゼールのピアノソナタ集。基本的に古楽器の演奏が嫌いな訳ではないのですが、おすすめ盤は現代楽器のものが多かったのも事実です。このアルバムは古楽器本来の繊細な音色とその音色を実に巧みにコントロールして曲に驚くほどの変化を与えるインマゼールのテクニック、音楽性に圧倒されます。古楽器によるハイドンのピアノソナタの一押しのおすすめ盤ですね。

Sudbin32.jpg
2012/02/27 : ハイドン–ピアノソナタ : エフゲニー・スドビンのピアノソナタ集

最後はスドビンを挙げなくてはならないでしょう。このアルバムは若手のハイドンの演奏ではピカイチ。一昨日取りあげたばかりですので、詳しくはレビュー記事をご参照ください。

今月は上記の3点を選びました。

その他今月[+++++]をつけたアルバムは下記のとおり。最終選考に最後まで悩んだのはスワロフスキーの軍隊と太鼓連打。この演奏は私に取ってはかなり刺激的でした。力感に頼らず非常に繊細なデュナーミクの変化で聴かせる、実に味わい深い演奏。アバドやヤンソンスの師でもあるスワロフスキーの実力を思い知った一枚です。

2012/02/24 : ハイドン–交響曲 : アンフィオン管楽八重奏団の皇帝、オックスフォード
2012/02/21 : ハイドン–交響曲 : ハンス・スワロフスキー/ウィーン国立歌劇場管弦楽団の軍隊、太鼓連打
2012/02/14 : ハイドン–交響曲 : 【追悼】パーヴォ・ベルグルンドのオックスフォード、99番
2012/02/13 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : 巌本真理弦楽四重奏団のひばり
2012/02/08 : ハイドン–協奏曲 : アンドレ・ナヴァラ/パウムガルトナー/カメラータ・アカデミカのチェロ協奏曲2番
2012/02/07 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】片山敬子のアンダンテと変奏曲

今月もいいアルバムを楽しむ事ができました。仕事から帰って、その日に取りあげるアルバムをあれこれ聴き比べる時間が私にとっての癒しの時間。不思議と飽きません。3月はこれまでちゃんと取りあげてこなかったオペラを何組かいってみたいと思ってます。おそらく週末じゃないとレビューが出来ないでしょうから、平日はこれまで通りノージャンルでのんびりいきたいと思います。当ブログもじわりじわりと読者の方が増えて嬉しい限りです。いつも来ていただく皆さんに感謝です。3月もよろしくお願いします。

(私信モード)2つのホルンのための協奏曲も3月に取りあげます!


2012年2月のデータ(2012年2月29日)
登録曲数:1,304曲(前月比±0曲)登録演奏数:6,188件(前月比+37演奏)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : おすすめ盤

ショルティ/シカゴ響による天地創造旧盤

皆様、明けましておめでとうございます。

昨年はどこにでもあるいつもの日常が貴重なものである事に気づかされた一年でした。何もなければそこにあるいつもの日常が、一瞬にして消え去ってしまうという自然の猛威を日本人は全員我がものとして感じた一年だったでしょう。音楽を聴くというのは平穏な日常だからできる事ですが、昨年のように音楽に携わる多くの人が被災地の支援に真剣に取り組み、人々の心に残る活動をできた事も大きな意義のあることでした。

私自身仕事で仙台に2年ほど暮らした経験しかありませんが、宮城県、岩手県、福島県の沿岸部の惨状をテレビでみるにつけ他人事とは思えず、被災地の皆さんの一日も早い復興を願わずにはいられません。

今年は災害のない平穏な年であってほしいですね。

さて、今年最初のアルバムは長らくコレクションの穴になっていたアルバム。年末にオークションで落札したら元日に年賀状に混じって届いたばかりのものです。

SoltiSchopfungOld.jpg
amazon / TOWER RECORDS

サー・ゲオルク・ショルティ(Sir Georg Solti)指揮のシカゴ交響楽団、同合唱団の演奏によるハイドンのオラトリオ「天地創造」。歌手は5人で下記のとおり。

ガブリエル(ソプラノ):ノーマ・バロウズ(Norma Burrows)
ウリエル(テノール):リュディガー・ヴォーラーズ(Rüdiger Wohlers)
ラファエル(バス):ジェイムズ・モリス(James Morris)
エヴァ(ソプラノ):シルヴィア;グリーンバーグ(Sylvia Greenberg)
アダム(バス):ジークムント・ニムスゲルン(Siegmund Nimsgern)

収録は1981年11月、シカゴのオーケストラホールでのセッション録音。レーベルはDECCAの国内盤。2007年「サー・ゲオルク・ショルティの芸術」というシリーズのVol.1としてユニバーサル・ミュージックから発売されたもの。

ショルティの天地創造には2種の録音があり、ショルティ69歳時点の録音。もう一つは10年後の録音ですが、こちらも手元にありません。この旧盤はアメリカのグラミー賞を受賞したとの事。ショルティのハイドンは交響曲の録音をいくつか取りあげていますが、デビュー盤となったものも亡くなる直前のライヴも生気が漲る素晴らしい演奏。ショルティは聴いてみなければわからないというのが正直なところ。以前のレビューはこちら。

2011/06/27 : ハイドン–交響曲 : ショルティ/ウィーンフィルの「ロンドン」1996年ライヴ!
2011/03/27 : ハイドン–交響曲 : 爆演、ショルティの指揮者デビュー録音、ロンドンフィルとの太鼓連打他
2010/12/03 : ハイドン–交響曲 : ショルティ/ロンドンフィルによる102番、103番「太鼓連打」2
2010/12/02 : ハイドン–交響曲 : ショルティ/ロンドンフィルによる102番、103番「太鼓連打」

はたしてこの1981年の天地創造はどのようなものでしょう。

Hob.XXI:2 / "Die Schöpfung" 「天地創造」 (1796-1798)
第1部
冒頭は意外と力まず落ち着いた展開。まだまだ牙を隠して、オケも7分の力で冒頭の「混沌の描写」を描いていきます。特に弱音のコントロールに集中しているよう。序奏のクライマックスでオケが振り切れショルティの豪腕が顔を見せ始めます。ラファエルのジェイムズ・モリスは安定感は揺るぎないものの、変わった声質。全域にわたり喉の響きがのった滑らかな声。ウリエルのリュディガー・ヴォーラーズは軽めで非常に透明感のある声。比較的大人しいオーソドックスな歌唱。ガブリエルのノーマ・バロウズはコケティッシュな声質。第4曲のガブリエルとコーラスによる「喜ばしき天使たちの群れは驚きをもって」ではバロウズの可憐な声を楽しもうとしますが、ショルティがかなりキレを強調したオケの伴奏が歌より前に出てくるくらいの伴奏で、徐々にショルティ節が目立ってきます。オケもショルティもエンジンがかかってきました。特にヴァイオリンの鋭角的に切れ込むアクセントはショルティならでは。
第8曲のガブリエルのアリアでは、今度は遠慮して抑えた伴奏に徹しバロウズの歌をもり立てます。バロウズのソプラノはガブリエルの歌に非常にマッチしていて高音の伸びも可憐さも素晴らしいもの。
第10曲からはテンポが上がり、ヴァイオリンパートのキレも増してきます。ショルティならでは力漲る演奏でぐいぐい進みます。第12曲「今輝きに満ちて」の導入はなかなか感動的なもの。速めながらじっくりとしたところもあり、絶妙の演出。そして驚いたのが第1部の終曲第13曲。第12曲からのつながりから考えても2段チェンジくらいテンポが上がり、強引にも感じられる速いテンポでオケをドライブ。名手ぞろいのシカゴ響が完璧に追随。この曲は流石ショルティと思わせる素晴らしい推進力で一気に聴かせきります。

第2部
第2部も速めのテンポで幕を開けます。やはりシカゴ響のクッキリとした響きとショルティのカッチリとしたコントロールがこの演奏の聴き所でしょう。冒頭のガブリエルのレチタティーヴォとアリアの美しさは第1部同様。バロウズの声は気に入りました。第2部の聴き所、第18曲の三重唱はやはりバロウズのクッキリしたソプラノが一際美しく聴き映えがします。そのあとの第19曲のコーラスはショルティも流れに任せて強引さはみられないと思いきや、途中の一音に思い切ったアクセントを付け、やはりがっちりとコントロールしていきます。
ショルティの良さが一番良く出たのが、第22曲のラファエルのアリア「今や天は光に満ちて」。伴奏による高揚感はキレの良いオケとショルティ流の筋肉質の演奏によって最高潮に。モリスの歌も堂々とたもので神々しい感じが良く出ています。つづくウリエルのアリアも名伴奏。雄弁かつ彫りの深いオケの演奏が歌をもり立てるいい例。ヴォーラーズのテノールは美声なもののメリハリが弱いのでなおさらショルティの伴奏はそれを補います。
第26曲からは第2部のクライマックスへつづくコーラス、三重唱、そして合唱が並びます。コーラスの分厚い響きとショルティによるキレのよいオケが織りなす迫力と、対比をなすように穏やかな途中の三重唱は美しいメロディの宝庫。そして第28曲は第2部の終曲。第1部のように極端なギアチェンジをせず、自然な範囲でのショルティのかけるテンションによってオケとコーラスが自然な盛り上がり。

第3部
冒頭はこれまでの演奏が嘘のような流麗おだやかで磨き抜かれた演奏。ショルティが時折魅せる優しい表情でしょう。ヴォーラーズの優しい声のウリエルが非常にマッチします。第3部の聴き所、アダムとエヴァのデュエットもショルティは雰囲気ある柔らかな伴奏に徹します。エヴァのグリーンバーグはバロウズ以上に高音の伸びが美しいソプラノ。ニムスゲルンはテンポ感がよくキレのよい歌い方。モリスとはがらっと異なる声質。デュエット終盤の盛り上がりはショルティならではですが、灰汁の強いところはみせずに非常に自然なコントロール。抜群の精度のオケとコーラスの威力炸裂です。レチタティーボを挟んでもう一つのデュエットも抑えた表現が心を打つもの。終盤の特徴的なメロディーに来てテンポ急に上げますが、ここでも自然さは保って、速さが曲の締めくくりが近い事を予感させる諧謔性を感じさせます。速いパッセージのキレは流石シカゴ響。第34曲の終曲は前曲までの速いテンポと対比を鮮明にするような神々しい落ち着いたテンポ、そしてオケとコーラスも神々しいばかりの堂々とした演奏。

ショルティの1981年の天地創造は、ショルティのちょっと灰汁の強いところも垣間見える、ショルティらしい天地創造でした。良かったのは第2部、第3部。力が程よく抜けてショルティのいいところが良く出ていました。逆に第1部は終盤のかなり強引なコントロールの印象が耳に残ってしまいます。それでも張りつめた緊張感、精度の高いオーケストラコントロール、合唱のコントロールは並の指揮者とは異なり、ハンガリーの魂のようなヴァイオリンのキレまくった音階が特徴的。まさに筋骨隆々の天地創造です。これぞ巨匠の演奏ということでしょう。歌手もモリスの声質に好き嫌いがありそうですが、バロウズのガブリエル、グリーンバーグのエヴァともに非常にいい出来です。評価は[+++++]とします。

このショルティのアルバムで61種目の天地創造。大物ではショルティの新盤がまだ未入手ですし、手元のアルバムもまだまだ聴き込んでいないものもありますので、今年も時折天地創造を取りあげていきたいと思います。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : 天地創造 おすすめ盤

ギレリス/コーガン/ロストロポーヴィチのピアノ三重奏曲

今日はピアノトリオ。

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HMV ONLINEicon

エミール・ギレリス(Emil Gilels)のピアノ、レオニード・コーガン(Leonid Kogan)のヴァイオリン、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Mstislav Rostropovich)のチェロによるハイドンのピアノ三重奏曲XV:19、XV:16の2曲とベートーヴェンのピアノ三重奏曲2曲、シューマンのピアノ三重奏曲、そしてフォーレのピアノ四重奏曲(ヴィオラはルドルフ・バルシャイ)を収めた2枚組のアルバム。収録はXV:19が1950年、XV:16が1951年、何れもモスクワでの録音。もともとはWestminsterへの録音だったようですね。レーベルはDeutsche Grammophone。

メンバーの3人は今更紹介するまでもないでしょう。ピアノのエミール・ギレリスは1916年ウクライナの黒海沿岸の街オデッサの生まれ。ヴァイオリンのレオニード・コーガンは1924年ウクライナの内陸の街ドニプロペトロウシクの生まれ。ムスティスラフ・ロストロポーヴィチはその3年後1927年、カスピ海沿いのアゼルバイジャンのバクーの生まれ。3人の接点はモスクワ音楽院。すでに助手として働いていたギレリスに対し、コーガンとロストロポーヴィチが学生として学び始めたとのこと。3人はそれぞれ当時のロシアやヨーロッパのコンクールで入賞などして頭角を表し、ソロでも十分やっていけるようになっても、それまでに活動していた室内楽をやめる事はなかったとのこと。このアルバムの録音は1950年から1958年にかけてモスクワで集中的に行われた録音の成果です。20代から30代の若々しい彼らの活動の貴重な記録。ちなみにレオニード・コーガンの奥さんはエミール・ギレリスの妹とのことです。

弦楽四重奏曲にくらべて古い演奏が多くないピアノ三重奏曲ですが、これはその中でも貴重な演奏の記録でしょう。

Hob.XV:19 / Piano Trio (Nr.33/op.70-2) [g] (before 1794)
Hob.XV:18~XV:20の3曲は1794年にロンドンのロングマン&ブロドリップ社よりOp.70として出版された。マリア・ヨゼファ・エステルハージ侯爵婦人に献呈された曲。
1950年という収録年が信じられない十分自然で鮮明な音響。冒頭からギレリスのゆったりとしながらも輝きのあるピノに乗ってコーガンとロストロポーヴィチがゆったりと弦楽器の音を重ねて行きます。ハイドンというよりベートーヴェンのような雄大さをもあわせもつ表情。それぞれ大物だけあり、音だけを合わせて行く室内楽の団体とは訳が違います。全員の音楽が一つになって大きなうねりをつくっていくような演奏。
2楽章はギレリスのきらめく星のようなピアノが見事。ロストロポーヴィチのチェロは先輩に遠慮するように、そっと支えるようなタッチ。濃密な音楽。
3楽章はテンポをハッキリ上げることはせず、安定感を狙った演奏。これまでの揺るぎない3人の掛け合いを、あえて一貫したテンポでガッチリ仕上げようと言う意図でしょうか。録音年代から想像するよりもずっと最近の演奏のように聴こえます。おそらく、1950年当時としても新しい解釈であった事は容易に想像できますね。今更ながら偉大さがよくわかります。

Hob.XV:16 / Piano Trio (Nr.28/op.59-1) [D] (before 1790)
Hob.XV:15~XV:17の3曲は1790年にロンドンのブランドよりOp.59として出版されたもの。前曲より1年後の録音ですが、音はすこし薄め。前曲が十分な厚みと立体感があったのに対し、すこしバランスが高域寄りでかつ音が軽い感じです。微妙な違いですが、音楽の濃さに少々影響ありといったところでしょうか。
1楽章のアレグロはやはりギレリスのはずむようなピアノが軽快にリズムを刻んでいき、前曲とは異なり爽快感を前面に感じさせる演奏。音響も前曲が雄大さを狙ったものでしたが、この曲では鮮明さにシフトしている感じ。残響が少ない分、ピアノの音色に深みが少し欠けるのが惜しいところ。演奏は火花が散りそうなエキサイティングなもの。特にギレリスとコーガンの2人が有り余るテクニックで攻め合っているよう。時折ヨハン・シュトラウスの常動曲の断片のようなメロディーが顔をのぞかせるのがユーモラスな表情で和ませます。
2楽章のアンダンティーノは、悲しげなフレーズをピアノとヴァイオリンで訥々と重ねて行きます。チェロは雄弁にはならず、淡々と伴奏している感じ。コーガンのヴァイオリンの音色がとくに険しい表情を見せます。
3楽章でようやくチェロがすこし踏み込んできました。こうして聴くとコーガンのヴァイオリンの存在感は素晴らしいものがあります。圧倒的な迫力。テクニックも素晴らしいのですがやはりこのアルバムから聴くべきなのは覇気と音楽性でしょう。最後はきっちりけじめをつけて終わります。

ギレリス、コーガン、ロストロポーヴィチと名手ぞろいのトリオが奏でるハイドンのピアノ三重奏曲のアルバム。DGの復刻はなかなかいい状態であり、1950年ごろという録音が信じられないほどに鮮明な音楽を楽しめます。このアルバムもハイドンのピアノ三重奏曲演奏の歴史の冒頭を飾る名演奏にふさわしいものでしょう。評価はXV:19が[+++++]、XV:16が[++++]としました。

ピアノ三重奏曲もしっかり聴いていないアルバムも多いため、今月は何組か取りあげていこうと思っております。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノ三重奏曲 ヒストリカル おすすめ盤

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
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