【新着】ベルント・グレムザーのピアノソナタ集(ハイドン)

またまたピアノソナタのアルバム。

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ベルント・グレムザー(Bernd Glemser)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ5曲(Hob.XVI:20、XVI:32、XVI:34、XVI:36、XVI:44)を収めたアルバム。収録は2015年12月1日から3日かけて、ミュンヘンのバイエルン放送第2スタジオでのセッション録音。レーベルは独OEHMS CLASSICS。バイエルン放送との共同制作盤。

ジャケットには"Sonaten in Moll"「短調のソナタ」と書かれており、文字どおりハイドンのソナタの中から短調のソナタを集めて録音したアルバム。あらためてこのアルバムに収録された曲のホーボーケン番号を並べて見ると、個人的には好きな曲ばかりが並んでいることに気づきますが、これは短調の曲だったわけですね。モーツァルトの場合も同様ですが、古典期の作品では短調の曲は少ないのですが、やはり独特の翳りを持ついい曲が多いんですね。

奏者のベルント・グレムザーは1962年、ドイツ南部、フライブルク東方の街、デュルプハイム(Dürbheim)生まれのピアニスト。7歳からピアノをはじめ、学生時代からロシア出身のピアニストヴィターリ・マルグリスに師事、1987年にミュンヘン国際音楽コンクールに入賞してから世界的に活躍するようになりました。以降教育者としてもザールラント高等音楽学校、ヴュルツブルク高等音楽学校などで教えています。最近ではNAXOSからプロコフィエフ、ラフマニノフ、チャイコフスキーなどのソナタをかなりの枚数リリースしておりご存知の方も多いかもしれません。

イェネ・ヤンドーとともにNAXOSの看板ピアニスト的存在と言うことで、実力はありそうですが、果たしてハイドンを如何に料理してくるのか、興味津々です。

Hob.XVI:20 Piano Sonata No.33 [c] (1771)
予想通りというか、NAXOSに多く録音を残している人とのイメージにぴったりの演奏。そしてピアノの教育者らしい、端正かつ正確な演奏と言えばいいでしょうか。テンポは中庸、力まず適度な力感で曲の構造を楽譜通りにトレースしていく感じが心地よい演奏です。この短調の名曲は、もう少し情緒的に演奏することが多いのですが、比較的あっさりと演奏することで、ハイドンらしい爽やかさを感じさせます。
期待の2楽章は、美しさの際立つ楽章で、丁寧に美しさを際立たせる演奏が多い中、グレムザーはあえて逆にあっさりとした演奏できました。アンダンテ・コン・モートとという「気楽にのんびりと」という気楽さの表現が「さりげない美しさを」感じさせるもの。このアンダンテ・コン・モートという指定の解釈の仕方に触発されたものかはわかりませんが、よく聴くこの曲の美しい演奏とは対照的に禁欲的なまでにあっさりときました。
そして3楽章のアレグロもアッサリとした表現に徹して、サラサラと流れていく演奏。聴き進めていくうちに、小手先の表現ではなくハイドンの音楽自体に潜む魅力を引き出すためにあえて淡々と弾き進めるグレムザーの意図が見えてきます。表現の方向は異なりますが、スタイルとしてはオルベルツのアプローチに近いでしょうか。

Hob.XVI:32 Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
グレムザーのスタイルがなんとなく見えてきたところで、またまた有名曲。ピアノ教師としての矜持を感じさせる鮮やかなタッチで短調の曲を磨きこんで、やはり淡々と弾き進めて行きます。テンポは一貫しており推進力を感じさせるほどグイグイと弾いて行きますが、その中にフレーズごとのメリハリをくっきりと表現していくところは流石。折り目正しく、端正で品格を感じさせる演奏と言えばいいでしょうか。
前曲の2楽章ほど禁欲的ではなく、程よくリラックスしたメヌエット。そしてフィナーレも鮮やかなタッチでキレの良い演奏。速いパッセージのタッチの鮮やかさはかなりのもの。前曲でのかなり禁欲的な演奏よりは一般的な演奏に近い表現に感じますが、それでもテンポを揺らさず一貫した表現で通すところがグレムザーらしいところ。

Hob.XVI:34 Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
低音のリズムと音階の面白さが独特の入りの曲ですが、曲自体の面白さに語らせようとするグレムザーのスタイルは変わらず、あえて淡々としながらも、ここはアクセントをかなり効かせてタッチの冴えを印象付けます。正確無比なタッチでハイドンの独特の音楽を弾き進めていくことに快感を感じているのではないかと思わせる鮮やかな手腕。相当のテクニックがなければこれだけの鮮やかさは表現できないと思います。だんだんグレムザーの音楽にハマってきました。
これまでの中間楽章の中では一番美しさにこだわった演奏に聴こえるアダージョ。なんとなくテンポの指定に忠実な演奏を心がけているよう。アダージョらしいリラックスした表現。そう思うとこれまでの中間楽章はアンダンテ・コン・モートやメヌエットでしたので、その指定に忠実に弾き分けているようです。
そして、3楽章はヴィヴァーチェ・モルト。活発に速くとの指定通りに活気ある演奏。

Hob.XVI:36 Piano Sonata No.49 [c sharp] (before 1780)
1楽章のモデラートはこのアルバムでは最も自在さを感じさせる演奏。タッチに遊びを感じさせ、アクセントも恣意的で表現意欲を感じさせます。曲が進むにつれてこの曲に仕込まれた機知に反応してどんどん表現が果敢になっていくのが面白いところ。ハイドンの仕掛けたアイデアにつられてグレムザーも気を許してきた感じ。音楽の純度が上がり、それにつれてグレムザーの心境も澄み渡っていくのがわかります。弱音部の澄み渡り方は絶品。
この曲を聴くたびに1楽章との繋がりの意外性を感じる2楽章。ここでも淡々とした入りから徐々に表現が深くなっていき、軽妙なタッチを織り交ぜ、アルバム前半の推進力溢れる演奏とは全く異なる自在さを感じさせます。
そして3楽章のメヌエット。トリオを挟んで両端がメヌエットなんですが、そのメヌエットが静謐ななかなかの演奏。深いですね。

Hob.XVI:44 Piano Sonata No.32 [g] (c.1771)
このアルバム最後の曲ですが、作曲年代が最も古い曲。この曲のみ2楽章構成。前曲で意外にも表現の深さを感じさせたあと、明快な曲想で締めくくろうということでしょうか。そう感じさせたのは最初だけで、徐々に表現が深くなり、フレーズごとの表現の幅も広がっていきます。じわりと伝わる曲の面白さ。
そして2楽章は軽々とメロディーを転がしながらサラサラと弾き進めていくうちに曲の面白さが浮かび上がるなかなかの名演奏でした。

ベルント・グレムザーによるハイドンの短調のソナタを5曲集めたアルバム。セッション録音ゆえ収録曲順に録音したかもわかりませんが、最初の2曲はまるでピアノ教師が見本に演奏するようなカッチリとした演奏。特に2楽章の美しさで知られる最初のXVI:20は表現意欲を封印したかのように禁欲的かつ一貫してあっさりとした演奏。それが3曲目からは徐々に表現が冴えてきて後半2曲は最初とはかなり異なり自在な表現の深さが光る演奏。同じ短調のソナタでも色々な表現ができることを示すような演奏でした。評価ははじめの2曲、XVI:20とXVI32が[++++]、以降3曲が[+++++]とします。これはこれでなかなか面白いアルバムでした。このような表現の幅を楽しめるベテランの方向けのアルバムですね。

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【新着】ジョン・オコーナーのピアノソナタ集(ハイドン)

今日はピアノの美しい響きをとことん味わえるアルバム。

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ジョン・オコーナー(John O'Conor)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ5曲(Hob.XVI:32、XVI:23、XVI:46、XVI:20、XVI:23)を収めたアルバム。収録は2016年8月29日、ニューヨークのスタインウェイホールでのセッション録音。レーベルはピアノで有名なSTEINWAY & SONS。

最近リリースされたアルバムをチェックしていて、何気なく手に入れたアルバムですが、ピアノメーカーのスタインウェイが自らリリースしているアルバムということで、ちょっと気になる存在でした。世界中の一流のピアニストに弾かれる楽器ゆえ、多くのピアニストの中から、スタインウェイの美音を最も美しく響かせる演奏に違いないとの想像力も働きます。

ピアニストのジョン・オコーナーは1947年、アイルランドのダブリン生まれのピアニストで教育者。ダブリンのベルヴェデーレ・カレッジでピアノを学んだ後、オーストリア政府の奨学金でウィーンに留学、ディーター・ウェーバーの元で学びました。その間、ケンプにベートーヴェンの演奏の教えを受け、1973年にウィーンで開催された国際ベートーヴェンピアノコンクールで優勝、1975年にはベーゼンドルファーコンクールで優勝し、世界に知られるようになったとのこと。今回アルバムをリリースしているスタインウェイとはライバル関係にあるベーゼンドルファーのコンクールで優勝しているのも何かの因果でしょうか(笑)

これまでにリリースされているアルバムを調べてみると、TELARKレーベルからベートーヴェンのピアノソナタ全集、協奏曲全集、モーツァルトの協奏曲全集などがリリースされており、やはりベートーヴェンを得意としているようですね。

ということで、早速聴いてみます。

Hob.XVI:32 Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
流石に最新の録音だけあってピアノの臨場感は素晴らしいものがあります。自然な響きと鍵盤の重みが伝わってくるような録音。このところエイナフ・ヤルデンやツィモン・バルト、デニス・コジュヒンなど、ハイドンの機知をアーティスティックに表現したピアノを聴いてきましたが、このジョン・オコーナーは実にオーソドックスで変な自己顕示欲は皆無。淡々とハイドンの書いた音楽をピアノに乗せていく感じの演奏で、安心して演奏を楽しむことができます。オコーナー自身もリラックスして演奏を楽しんでいる感じ。かといってオルベルツほど枯れてもおらず、程よくバランスのとれた演奏。先生が楽しげに見本で演奏しているような感じ。この「楽しげに」というのが大事なところ。タッチが精緻を極めるわけでもなく、このすっかりリラックスしてストイックさとは無縁の表情がハイドンの面白さを引き立てるわけです。

Hob.XVI:23 Piano Sonata No.38 [F] (1773)
軽いタッチで入る曲。まるで朝飯前だとでも言いだしそうなカジュアルな入り。これが曲想にピタリ。よく聴くと一音一音が磨かれていて、流石にピアノの音色は絶品です。1楽章は流れるように一貫して軽めにサカサカ弾き進めていくのが乙なところ。
素晴らしいのが続くアダージョ。軽さを保ちながらも、ぐいぐい響きが深く変化して行きます。デリケートな表情の変化に引き込まれます。音の長さを絶妙にコントロールして曲の一貫性を保ちながら表情を変えていく表現が素晴らしい。
そして軽いフィナーレ。同じ軽さでもわずかな曇りを帯びさせて曲想に合わせているのがわかります。ピアノの響きをリアルに伝える録音だからこそ、こうしたデリケートな変化を味わえます。

Hob.XVI:46 Piano Sonata No.31 [A flat] (1767/70)
同じく軽くくるのかと思いきや、実に滑らかしっとりとした表情にハッとさせられます。ピアノの響きの表情の変化を実に巧みに表現してくる、さすがスタインウェイという演奏。ふとしたフレーズの切り替えのアクセントの一音の変化で響きが実に新鮮に聴こえます。こうしたところを控え目にさりげなく挟んでくるのが流石なところ。静寂の中に浮かび上がるハイドンのメロディーの美しさが際立ちます。徐々にタッチがチョコがとろけるように流れ出したり、千変万化するオコーナーのタッチに聴き惚れます。この曲からこれまで聴いたことのないような多彩な響きがあふれ出します。
前曲同様、アダージョの美しさは絶品。とりわけピアノの響きの美しさは鳥肌もの。凜と澄んだ夜空に浮かぶ天の川を眺めるよう。細かい星雲に無数の表情が宿り、美しい音楽が心に刺さります。
対比のためにあえて繊細さを避けるようにグイグイとくるフィナーレで曲を引き締めます。

Hob.XVI:20 Piano Sonata No.33 [c] (1771)
好きな曲。入りは意外に少し重め。この短調の入りを厳かなコントラストで強調しようということでしょう。もちろんふと力を抜いたり、さりげないアクセントで曲の変化の面白さを炙り出してくるところはこれまで同様。力の抜き際のタッチの鮮やかさが徐々に印象的になり、曲にグイグイ引き込まれて行きます。最初の重さから徐々にキレてくる絶妙な演出。聴き進むうちにオコーナーの意図がなんとなくわかってきました。
ハイドンのソナタの緩徐楽章の中でも一二を争う美しい楽章。期待どおり、あまりの美しさに言葉になりません。この詩情あふれる楽章がオコーナーの手にかかると、美しさも極まり、一音一音が宝石のごとく輝きます。ピアノという楽器の素晴らしさを思い知らされる感じ。
フィナーレはアンダンテの余韻をすっと断ち切り、気配を一瞬にして変えるマジックのよう。全く異なる音楽の魅力を突合させるハイドンのアイデアとそれを鮮やかに演出するオコーナーの技にやられました。

Hob.XVI:48 Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
最後の曲は唯一晩年の曲。最後は余裕たっぷりに有名曲の演奏を楽しむスタンス。自分の指から繰り出される多彩な響きを自ら楽しんでいるよう。ピアノの余韻が消え入る美しさを存分に味わえます。聴き進むうちに後年の作曲であるアンダンテと変奏曲を先取りするような曲想を感じさせる大きな構えの音楽であることに気づきます。
そして、絶妙な軽さのタッチでのロンド。このタッチの変化の幅の大きさと自然さがオコーナーの魅力でしょう。重さも軽さも自在に使い分けながらピアノという楽器の表現の幅を生かしきった演奏。ハイドンだけにダイナミクスの表現の幅は上品な範囲でこなしていくところが良識的です。最後はカッチリとした響きで締めました。

ベテランピアニスト、ジョン・オコーナーによるハイドンのソナタ集。最初はオーソドックスな演奏かと思いきや、これは深い演奏です。途中で触れたように、最近聴いたエイナフ・ヤルデンやツィモン・バルト、デニス・コジュヒンなどハイドンの曲に潜む機知をアーティスティックに表現した演奏とは表現の方向が異なり、自然な美しさの範囲での表現ですが、円熟の技がもたらすその美しさはかなりのもの。ピアノメーカーであるスタインウェイがリリースするアルバムだけあって、ピアノという楽器がもつ響きの美しさを存分に活かした演奏となりました。これはこれで素晴らしいもの。非常に気に入りました。XVI:20も良かったんですが、その前のXVI:46は、この曲の素晴らしさを改めて知ることになった秀演です。もちろん評価は全曲[+++++]とします。

これほど美しい音色ゆえ、できればSACDでリリースすべきでしょうね。

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エイナフ・ヤルデンのピアノソナタ集(ハイドン)

今日も湖国JHさんから送り込まれたアルバムです。最新盤で手に入れようと思っていましたが、まだ未入手だったアルバム。最近中古LPの方に関心が移っている隙を突かれた感じです(笑)

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エイナフ・ヤルデン(Einav Yarden)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ6曲(Hob.XVI:29、XVI:24、XVI:25、XVI:26、XVI:31、XVI:32)を収めたSACD。収録は2015年12月3日から5日、オランダのロッテルダムの隣町、スキーダム(Schiedam)のウエストフェスト教会でのセッション録音。レーベルは優秀録音の多いCHALLENGE CLASSICS。

ジャケットを見ての通りの美しい容姿のピアニスト。名前からどこの国の人かわかりませんでしたが、調べて見るとイスラエル。1978年にテル・アヴィヴに生まれ、イスラエル音楽院、テル・アヴィヴのルービン音楽アカデミー、アメリカボルチモアのジョン・ホプキンス大学などで学び、2006年ミネソタ国際ピアノ-e-コンクールで優勝、2009年ベートーヴェン国際コンクール第3位入賞と頭角を現しました。今日取り上げるアルバムが彼女の2枚めのアルバムで、デビュー盤は同じくCHALLENGE CLASSICSからリリースされたベートーヴェンとストラヴィンスキーのアルバムです。ジャケット同様、美しくデザインされた彼女のサイトがありますのでリンクしておきましょう。

Einav Yarden

若手のピアニストが、ピアニストの表現力を丸裸にしてしまう難しさを持ったシュトルム・ウント・ドラング期直後のハイドンの中期のソナタに挑むということで、興味津々。

Hob.XVI:29 Piano Sonata No.44 [F] (1774)
流石にSACD、広い空間の少し先にピアノがふっと浮かび上がる見事な録音。超低音の暗騒音が奏者の動きの気配まで伝えます。演奏は非常にバランスの良いもの。ハイドンのソナタのツボはきちんと押さえて、八分の力でタッチの軽さとリズムのキレの良さをベースにさらさらと弾きこなしていきます。この曲はどうしても巨人リヒテルの素晴らしい力感のこもった演奏と比べて聴いてしまうのですが、ヤルデンは逆にそうした力感のトラウマを全く感じさせず、サラサラと曲をこなしていくので、逆にハイドンの書いた音楽をゆったりとトレースしながら聴くことに集中できます。
続く流麗なアダージョもさっぱりとこなしていきます。1曲1フレーズの表現を極めるのではなく、このアルバムに収められた曲集を、遠くからながめて、山脈の絵を描くように、大きな視点で捉えた演奏。先日取り上げ激賞したデニス・コジュヒンの演奏とも共通するところですが、この冷静なのに深みをもたらす姿勢、若手ピアニストとはいえ、かなりの音楽性の持ち主と見ました。
終楽章のメヌエットも見事なもの。鏡のように澄み切った心境から生まれる落ち着いた演奏の中からハイドンの機知がにじみ出てきます。短調の仄暗さにも輝きがあり、華のある演奏です。タッチは鮮やかでかなりの腕前ですが、テクニックを誇示するようなところはなく自然な表現。1曲めから来てます!

Hob.XVI:24 Piano Sonata No.39 [D] (1773)
美しい入りのメロディーが印象的な曲。そのメロディーの輝き絶妙にスポットライトを当て、曲の美しさが惚れ惚れするように表現されます。テンポは少し速めな印象ですが、ところどころですっと落とすので音楽に動きが生じて活き活きとした印象。早いパッセージのタッチの鮮やかは変わらず。
途中の転調の絶妙な瞬間が聴きどころの曲ですが、ヤルデンはそこに焦点を当てるのではなく、曲全体の流れの中にハイドンの見事な創意を自然に浮かび上がらせるという、これまた見事な表現。一音一音が宝石のように輝きながら空間に置かれていきます。美しすぎる見事な演奏。
フィナーレは癒しに満ちた静けさを断ち切るように鮮やかなタッチでまとめます。

Hob.XVI:25 Piano Sonata No.40 [E flat] (1773)
一転して低音によるリズムの面白さで曲が変わったことを印象付けます。一峰一峰の容姿の違いを克明に描きますが、それが山脈の変化に富んだ姿であるように、不思議とまとまりを感じる演奏。ヤルデンの恐ろしいばかりの表現力。ここまで来て、ヤルデン、ハイドンのソナタの真髄に迫っていると確信します。途中高音に一音のみアクセントつけたり、ほんのわずかにスパイスを効かせます。このソナタの肝が推進力であると思い起こさせる見事な表現。
この曲は2楽章構成。気まぐれなハイドンの筆の面白さをちゃんと拾って、さりげない変化のさりげない面白さをしっかりと味あわせてくれます。一音一音を追いかけながら音楽の展開に引き込まれます。

Hob.XVI:26 Piano Sonata No.41 [A] (1773)
この時期のソナタの展開の面白さに耳が行っているところに、それを知って弾いてくるようなヤルデンの演奏。ハイドンの音楽の面白さを本質的に理解しているのがよくわかります。単にわたしの聴き方との相性なのかもしれませんが、これだけすっと入ってくる演奏はなかなかありません。音楽の流れと音楽に宿る創意を汲み取る力は素晴らしいものがあります。時折響きを強調するところのセンスの良さも出色。それらが一貫してさりげない雰囲気でまとめられているのがハイドンにふさわしいですね。
続くメヌエットは曲の面白さを読みきり、あえて少しコミカルにまとめます。そして流れるように自在にテンポを動かすフィナーレ。ここに来て表現の幅を広げてきました。

Hob.XVI:31 Piano Sonata No.46 [E] (1776 or before)
この6曲を一連の物語りと捉えて、一節一節、展開にふさわしい語り口で語られるので、どんどん物語りに引き込まれていきます。美女の素晴らしい表現力の語りにうっとりといったところ。演奏が型にはまった感じは皆無。音符に仕込まれた創意を素直にどんどん音楽に変換していくの楽しんでいるよう。この曲でも1楽章のリズムの面白さ、2楽章の沈み方をあえて浅めに捉えて流れの良さにスポットライトを当てるところ、終楽章のタッチのキレの良さと、それぞれの楽章の本質を捉えてまとめます。

Hob.XVI:32 Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
最後に有名曲を持ってきました。名演ひしめく名曲です。堂々とした入りから、ところどころにヤルデンらしい爽やかなアクセントで華やかさを演出します。力で押す演奏が多い中、クリアな響きを保ちながら、フレーズ毎の変化と創意の面白さをバランスよく組み込みますが、この曲ではオーソドックスな演奏の範囲にとどめているのは見識でしょう。皆の頭に焼くつくこれまでの素晴らしい演奏に敬意を払っているよう。これまでの曲で自身のハイドンをじっくり聴かせているので、最後はアルバムを引き締めるようなフォーマルさを感じさせます。
メヌエットはさらりと曲の面白さを感じさせるヤルデンならではの演奏。そしてフィナーレではこのアルバム一番のキラメキ。右手の輝かしいアクセントが印象的です。最後はタイトに引き締まったピアノを聴かせて終わります。

イスラエルの若手美人ピアニスト、エイナフ・ヤルデンの弾くハイドン中期のピアノソナタ集。これは名盤です。ハイドンのピアノソナタの面白さを十分に引き出しながらも、一貫した冷静さを保ち、そしてそこここに美しい響きを散りばめるという理想的な演奏。録音も鮮明で言うことありません。先日取り上げたデニス・コジュヒン同様、素晴らしい才能の持ち主です。ぜひハイドンのピアノソナタの全曲録音に挑んで欲しい、これからが楽しみなピアニストです。評価は全曲[+++++]とします。

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デニス・コジュヒンのピアノソナタ集(ハイドン)

今日はピアノソナタの名演盤です。

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デニス・コジュヒン(Denis Kozhukhin)のピアノによるハイドンのピアノソナタ4曲(Hob.XVI:49、XVI:23、XVI:32、XVI:24)を収めたアルバム。収録は2014年1月6日から8日にかけて、ベルリンのテルデックススタジオでのセッション録音。レーベルはonyx。

このアルバム最近リリースされたものですが、当方の所有盤リストにないことを見抜いた湖国JHさんが、最近送っていただいた何枚かのアルバムに忍ばせていただいたもの。一聴してすぐにハイドンのソナタ演奏のツボを押さえた見事な響きに聴き惚れ、取り上げた次第。

ピアニストのデニス・コジュヒンはもちろん初めて聴く人。1986年、ロシアのモスクワの東方にあるニジニ・ノヴゴロド生まれのピアニスト。バラキレフ音楽学校で学び、その後ルガーノでマルタ・アルゲリッチプロジェクトなどの他、各地の音楽祭になどで腕を磨き、
2009年リスボンで開催されたヴァンドーム・コンクールで第1位、2005年にはエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝し頭角を現しました。日本にも2011年と2013年の2度来日し、NHKでも放送されたそうですのでご存知の方も多いかもしれません。ウェブサイトが見つかりましたのでリンクしておきましょう。

Denis Kozhukhin - Piano

ウェブサイトを見てみると、このハイドンのアルバムは彼の2枚目のアルバムで、デビュー盤がプロコフィエフのソナタ集、そして最新のリリースがグリークとチャイコフスキーの協奏曲、しかも指揮はワシーリー・シナイスキーと強力。シナイスキーは思い出深い指揮者で、少し前に読響に客演した際にコンサートにも出かけています。ということで目下売り出し中のピアニストということでしょう。

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
スタジオ録音ですが、残響は豊か。ピアノの音は厚みがあり艶やか。コジュヒンのタッチは極めてオーソドックス。キレ良く、適度にダイナミックで流麗。このバランスがなかなか出せないんですね。特にハイドンらしい展開の面白さと古典の均衡を両立させるセンスが重要なのですが、コジュヒンは冒頭から絶妙なセンスでまとめ、安定感も抜群。ハイドンのソナタの晴朗な美しさ、ピアノの響きの美しさ、機知に富んだ展開が苦もなく示されています。コジュヒンと比べるとブレンデルも独特のクセがおるように聴こえるほどニュートラルな印象。
続くアダージョ・カンタービレも磨き抜かれたピアノの響きの美しさに溢れた演奏。どちらかと言うとさっぱりとした演奏なんですが、そのさっぱりさが曲自体の純度の高い美しさをうまく表現している感じ。特に中音域から高音域の響きの美しさはかなりのもの。右手のタッチの感度が絶妙なのでしょう。ウルトラニュートラル。この繊細な感覚、ロシアのピアニストという先入観を打ち砕きます。
フィナーレはちょっとしたリズムの弾み方が冴えまくっています。このリズム感で曲がしなやかに躍動します。躍動感とフレーズ間の間のコントロールが醸し出す音楽の豊かさ。自然さのなかに冴えた感覚が見え隠れします。1曲目から見事な演奏。

Hob.XVI:23 Piano Sonata No.38 [F] (1773)
ちょっと遡った時期の曲。素直なタッチは変わらず、リズムのキレと機知に富んだ展開が鮮やか。相変わらず安定感は抜群というか、ハイドンのソナタの理想像と言っても良い一貫した演奏が続きます。耳を澄ますと、大きな骨格のメリハリがしっかりしていて、それをつなぐ音階がキレ良く流れているのがポイントのよう。この人、ハイドンのソナタ全集を録音した方がいいと思います。オルベルツの地位を脅かすような安定感を感じます。フレーズごとに閃きもちりばめられ刺激十分。
アダージョは逆に穏やかな表情で安心させ、きらめく星空のような素晴らしい時間が流れます。消え入るような静寂を感じさせ、緩急のコントロールセンスも抜群。
静寂を断ち切る一音。フィナーレの入りでハッとさせ、やはりリズムが踊り、程よいダイナミクスで余裕たっぷりに音符にそって音を置いていきます。やはりデッサンが正確というか、構造が明確になるポイントを押さえながら、他の音符をさらりと加えて行くセンスの良さで聴かせ切ってしまいます。見事。

Hob.XVI:32 Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
1曲1曲にドラマを感じる展開。最初の入りから曲のイメージが鮮明に浮かび上がります。ちょっと前にシフのピアノがしなやかにニュアンスを加えて行くのに対し、コジュヒンは骨格の確かさを保ちながらニュアンスをちりばめているので、ハイドンのソナタとの相性は一段上かもしれません。確かな骨格の存在がハイドンの機知をさらに洗練させているのでしょう。明確なアクセントで空間を仕切っていくので、曲の構造がくっきりと浮かび上がります。ハイドンの音楽のツボを押さえている感じはここから来るのでしょう。
独特の曲想のメヌエットですが、やはり速めのサッパリとした演奏で逆に曲想の面白さが引き立ちます。曲の見通しが非常によく、楽章間の対比の面白さに興味が移ります。
フィナーレも同様、快速な展開でメロディーの面白さを早送りで楽しむよう。残響豊かな空間にピアノの美音で描かれるハイドンの機知に富んだメロディー。この面白さを知っているからこその演奏。またまた見事。

Hob.XVI:24 Piano Sonata No.39 [D] (1773)
最後のソナタ。最後にハッとするような美しい響きの入りで驚かせます。シンプルな音楽の流れですが、そこここに知的刺激がちりばめられて、脳が冴えまくります。さりげないメロディーにつけられた微妙な表情の変化がこちらの期待を超えて響き、それに合わせて聴きに行きながら次の刺激に反応する繰り返し。聴きなれたメロディーなのにあちこちに仕掛けが施され、音楽がコジュンヒンの感性で再構築されていきます。豊かな音楽とはこのようなことの繰り返しでしょう。実に自然に流れる音楽なのに、実に豊か。
少し速めのアダージョはこのアルバム共通。このアダージョ、転調が印象的な曲ですが、その転調の瞬間のニュアンスがあまりに素晴らしく、ゾクゾクします。その瞬間の鮮やかさを強調するように、それまでは実に穏やかに音楽が流れます。
名残惜しさを感じさせながらさらりとフィナーレに入り、いたずら心に溢れたメロディーが弾みます。どこにも力みを感じさせずに、軽々とメロディーを絡ませていき、最後はさらりとまとめます。

これは絶品。途中にも書きましたが、コジュヒン、ハイドンのソナタ全集を録音すべきです。このアルバムに収められた4曲の演奏が上手いのではなく、ハイドンのソナタの本質を突くような絶妙な演奏であり、他のソナタもこのタッチなら間違いなく名演奏になるはずだとの安心感があります。まったくムラなく、まったく迷いなく、確信に満ちた演奏。録音も見事で言うことなし。このアルバム、すべての人に聴いていただきたい名盤と言っていいでしょう。もちろん評価は[+++++]とします。いつもながら湖国JHさんの深謀遠慮にやられました。いつもながらありがとうございます!

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アレクサンダー・ガヴリリュクのピアノソナタXVI:32(ハイドン)

世の中ソチオリンピックに沸いておりますが、こちらは地道にハイドンの名盤探求の旅を続けております。ということで、久々にこれぞというピアノの名演盤みつけました!

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アレクサンダー・ガヴリリュク(Alexander Gavrylyuk)のピアノで、ハイドンのピアノソナタ(Hob.XVI:32)、ベートーヴェンのピアノソナタ14番「月光」、ブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲」、ラフマニノフのピアノソナタ2番の4曲を収めたアルバム。収録は2001年4月18日から20日にかけて、埼玉県秩父にある総合文化施設秩父ミューズパークの音楽堂でのセッション録音。レーベルはオクタヴィアレコードのSACRAMBOWというレーベル。

私にとっては未知の奏者でしたが、もちろんハイドンが1曲含まれることから入手したものです。CDプレイヤーにかけると、ほれぼれするようないい録音。アンテナが冴えていました。

アレクサンダー・ガヴリリュクは1984年、キエフに次ぐウクライナ第2の都市、ハルキウ(ハリコフ)生まれのピアニスト。父はバヤン(ロシアのアコーディオン)奏者、母は民族音楽の指揮者という音楽一家の生まれで、7歳からピアノを習い始め、12歳でイタリアで開催されたセニガッリア市国際ピアノ・コンクールで優勝、15歳でキエフで開催されたホロヴィッツ記念国際ピアノコンクール、オーストラリア・ピアノコンクールでも第1位となりました。さらに、2000年11月には、第4回浜松国際ピアノコンクールでも第1位に輝きました。その後日本には毎年のように来ていると言う事で、ご存知の方も多いかもしれませんね。演奏からもつたわりますが、生粋のロシアピアニズムの継承者で、リヒテル、ギレリス、ホロヴィッツを尊敬し、リヒテルの師でもあるネイガウスの著書を愛読しているそう。この録音は2001年と言う事で、ガヴリリュクが浜松のコンクールで勝った翌年、17歳での録音。どうりでジャケットの写真が若々しいわけです。この若者の弾く音楽、とても17歳のものとは思えません。

Hob.XVI:32 / Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
冒頭に触れたように素晴しい録音。残響は多いのですが、ホール中程の席で実際に演奏を聴いているようなリアリティ。ピアノの響きの磨き抜かれた艶やかさと分厚い低音のリアルな響きに圧倒されます。まさに尊敬するリヒテルの演奏のような堅固な骨格とクッキリとしたフレーズの描写。ハイドンのフレーズに潜む陰りのようなものと力感が交錯しながら進む、この素晴しい名曲の調べを完璧に描いていきます。高音のタッチの力を抜いた軽やかさと、ぐさりと刻んでいくリスムの対比が見事。非の打ち所なし。美しすぎる1楽章。
つづくメヌエットは、リヒテルの平均律の演奏のような図太いのにしなやかな音楽が流れ出します。ゆったりと刻まれるリズムに身を任せて、音楽の波に浮かぶよう。これが17歳の奏でる音楽でしょうか。なにか大きなゆりかごにゆられているような安心感と癒しに包まれます。
フィナーレは最新の録音でリヒテルの演奏を聴くよう。素晴しい立体感、そして磨き抜かれたピアノの美音。速いパッセージはそよ風のように軽やかに吹き抜け、リズムのアクセントは時に鋼のような力強さ。全曲で10分ほどの演奏ですが、完全にガヴリリュクの術中にはまりました。

このあとのベートーヴェンの月光も素晴しい! 幽玄な導入から、ピアノが鳴り響く最後まで圧倒的な迫力で押し通します。リヒテルもびっくりでしょう。

このガヴリリュクのたった1曲のハイドンのソナタの演奏からは、リヒテルやエマニュエル・アックス、ブレンデルなど現代ピアノによるハイドンの名盤の数々に勝るとも劣らない素晴しい音楽が聴かれました。本人の志し通り、まさにロシアピアニズムの正統な継承者に相応しい演奏と言っていいでしょう。評価はもちろん[+++++]を進呈です。

ちょっと調べた限りではハイドンの録音はこれのみだと思いますが、今後の録音が楽しみな人です。是非ハイドンの名曲を録音して欲しいものですね。最近取りあげたグロウホヴァもそうですが、やはりロシアと言う国は素晴しい才能を生む国なのですね。

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【新着】ダリア・グロウホヴァのピアノソナタ集(ハイドン)

新着アルバムが続きます。リリースされたのは少し前でしたが、HMV ONLINEから最近届きました。

Gloukhova.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

ダリア・グロウホヴァ(Daria Gloukhova)のピアノによるハイドンのピアノソナタ4曲(Hob.XVI:39、XVI:32、XVI:31、XVI:12)と、ピアノ協奏曲(XVIII:11)のあわせて5曲を収めたアルバム。協奏曲の伴奏はパヴェル・ゲルシュタイン(Pavel Gerstein)指揮の管弦楽団との表記。録音用の臨時編成のオケでしょうか。収録は2011年12月、モスクワ議会議事堂のラジオ放送収録第1スタジオでのセッション録音。レーベルは米ルイジアナ州バトン・ルージュのCENTAUR。

このアルバム、久々にジャケットから怪しい妖気が立ちのぼっております(笑)。アイドル系というには少々個性的なグロウホヴァがほくそ笑む、なかなかインパクトのあるジャケット。

ライナーノーツによると、グロウホヴァは1986年,モスクワ生まれのピアニスト。まだ27歳と言う若さ。ゴルバチョフがソ連共産党書記長に就任したのが1985年、そしてベルリンの壁崩壊が1989年ですので、まさにモスクワは激動のさなかにあった時代に生まれた人。モスクワのチャイコフスキー音楽院で学び、20歳になる2006年からプロの演奏家として活躍しているそうです。ネットを探すと、彼女のサイトがありました。

Russian Pinanist Daria Gloukhova

アルバムは、今日取り上げるアルバムと同じCENTAURから他に2枚リリースされていますが、モーツァルト、フンメル、メンデルスゾーン、グリーグなど、比較的軽めのものが多いようで、このハイドンのアルバムが3枚目。amazonをみると、4枚目もリリースされ、これもハイドンのようです。

アメリカのデキシーランドジャズの聖地、ニューオーリンズに近い街にあるレーベルが、ロシア人の若手ピアニストを起用して、古典の本流ハイドンの曲のレコーディングをモスクワで行うという平和な時代のアルバム。果たしてどのような音楽が流れてくるのか、興味津々です。

Hob.XVI:39 / Piano Sonata No.52 [G] (1780)
最新の録音のものだけにピアノの艶やかな音色が鮮明に収められています。女性らしい軽やかさ、流れるようなタッチでハイドンの曲を自然な響きで紡いで行きます。曲の構造を意識させる事なく、詩的に柔らかな表情を表現することを狙っているよう。最近聴いたワリド・アクルやギャリック・オールソンとは全く異なるアプローチ。女性ならではの繊細かつ自然なソノリティーがなかなかいいですね。なんとなくショパンをイメージさせる演奏です。
アダージョに入ると、音階を崩しながら本当にショパンの曲を聴いているような気にさせる、くだけた表現。ちょっとロシア人ピアニストというイメージではなくフランスの人のような印象。独特のセンスを持ち合わせているようですね。じつに優雅で華麗な時間。
フィナーレは、高音の透明感溢れる響きの美しさにため息が出ます。独墺系のピアニストとはまったく異なるアプローチ。転がるような高音の魅力はこの人の持ち味でしょう。キレを聴かせるためではなく、情感濃く音楽を奏でるためのキレは持ち合わせているよう。なかなかいいかもしれません。

Hob.XVI:32 / Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
聴き慣れた曲ですが、これまで聴いたどの演奏とも異なる詩的な入り。と思ったところで、突然強烈なギアチェンジで爆速に。再び詩的な音楽に戻るなど、こちらの脳髄直撃の変化球を投げてきます。ハイドンの楽譜の奥に潜む、ハイドン自身も考えつかなかった音楽を掘り出そうとしているようなアプローチ。これだけテンポの変化の激しいこの曲ははじめて聴きます。
つづくメヌエットではハイドンの曲が持つ美しさを踏まえて、再び詩情溢れる演奏。高音の美しいメロディーを訥々と奏でていくのを得意としているようですね。強奏の部分の盛り上げる演出も非常に巧み。前振りないアタックは一切なく、しなやかさを保ちながらの駆け引きが続きます。
フィナーレは個性的。転がるように滑らかな右手音階と、くっきりとしたアクセントの織りなす音楽の豊かさ。他の誰の演奏とも似ていない個性は流石なところ。キレよくさっぱりした印象もありながら、これだけの個性的な余韻をのこすあたり、かなりのキレ者であることは間違いありません。

Hob.XVI:31 / Piano Sonata No.46 [E] (1776 or before)
すっかりグロウホヴァの魅力にハマったようです。これだけ個性的な演奏ながら、ハイドンの曲の演奏として、表現の範囲を逸脱しているという印象はありません。力感と機知のバランスも良く、この人が今後成熟していくことで、この表現がどこまで深まるか楽しみな存在です。曲が進むにつれて、めくるめく音楽にどっぷり浸ります。この曲でも、意外にダイナミックな表現を見せたり、かと思うとフィナーレではコミカルなリズムの面白さを際立たせたりと音楽を造っていくのが上手い所を印象づけます。

Hob.XVI:12 / Piano Sonata No.12 [A] (before 1765)
ぐっと時代を遡った初期の軽い曲。ころがるような高音の美しい響きから紡ぎ出される素朴なメロディーに聴き入ります。まるで水仙の群落の甘い香りに包まれているような気分にさせられる華麗な音楽。続くメヌエットは前半でタッチのキレのよさを印象づけ、中盤でしっとりと濡れたようなデリケートなタッチに変化。なかなか表現の幅が広く、この小曲を飽きさせません。フィナーレも手堅くまとめて聴かせ上手ぶりが際立つ演奏でした。

協奏曲も続けたいのですが、今日はここらで時間切れ。またの機会に取りあげることにいたしましょう。

ダリア・グロウホヴァのピアノ、最近聴いたハイドンのピアノソナタの中では、詩情の濃さでは一番でしょう。独特の雰囲気のあるピアノは、男性ピアニストとは明らかに異なる、女性ならではのほんのりと色香の漂うピアノでした。まだ若いのにこの香しさはなんでしょう。このまま円熟を重ねるとハスキル並みの個性的なピアニストになりそうな予感がします。今日聴いたソナタはどれも個性的な演奏で、その音楽性も確かなものでした。評価はXVI:32のみ[++++]、他の3曲は[+++++]とします。XVI:32はかなり踏み込んだ表現ですが、ギアチェンジが激しすぎのように感じる人も少なくないでしょう。何れにしても、この先が楽しみなピアニストです。

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デレク・アドラムのクラヴィコードによるソナタ集

先日、マーシャ・ハジマーコスのクラヴィコードによるハイドンのソナタを取りあげた記事に、クラヴィコード製作者のclavier_takahashiさんからコメントをいただきました。そのコメントをきっかけにamazonに注文していたアルバム。

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amazon / TOWER RECORDS

デレク・アドラム(Derek Adlam)のクラヴィコードによるハイドンのカプリッチョ「8人のへぼ仕立て屋に違いない」(Hob.XVII:1)、ピアノソナタ(XVI:32)、変奏曲(XVII:7)、ピアノソナタ(XVI:24)、ピアノソナタ(XVI:29)、アンダンテと変奏曲(XVII:6)の6曲を収めたアルバム。収録は2002年9月17日から20日まで、イギリス中部にある聖カスバード・マリア修道院の北側翼廊でのセッション録音。レーベルは英Guild。

入手するきっかけとなったハジマーコスの記事はこちら。コメントとともにご確認ください。

2012/12/22 : ハイドン–ピアノソナタ : マーシャ・ハジマーコスのクラヴィコードによるソナタ集

当ブログは基本的に現代楽器も古楽器も何でもござれというスタンスですが、特に古楽器に詳しい訳でもなく、これまで主に聴き手の立場でいろいろな演奏を取りあげてきました。クラヴィコードを製作をされている方からコメントを戴くに至り、これはクラヴィコードについても、少し踏み込んでみたくなりました。

手元に何枚かクラヴィコードでハイドンのソナタなどを弾いたアルバムはあるのですが、clavier_takahashiさんのおっしゃる響きとは少しニュアンスが違うような気がしていました。そこでコメントに触れてあったこのアルバムを注文して手に入れてみたという流れです。このアルバムを聴いて、ようやくクラヴィコードの素晴らしい響きにに出会った気がします。このアルバムで聴かれる響きが素晴らしいのには理由がありました。

なんと、このアルバムの奏者であるデレク・アドラムは、このアルバムの演奏で使われた楽器の製作者でもあったのです。もちろんクラヴィコード奏者もクラヴィコードの美しい音色を引き出すよう演奏しているはずですが、楽器の製作者でもある人ならば、楽器が音を奏でるメカニズムを完全掌握した上での演奏でしょうから、楽器が最上の響きを奏でるタッチが染み付いているに違いありません。なるほどclavier_takahashiさんが勧められた理由が納得できる素晴らしい響きな訳です。

ということで、いつものように奏者の情報をライナーノーツで確認しておきましょう。

デレク・アドラムはロンドンでピアノを学んでいましたが1969年に楽器製作に着手。1611年製のアイオアネス・ルッカース(Ioannes Ruckers)のアントワープ・ミューゼラー(ハープシコードの一種)を原型にしたヴァージナルという楽器を作りはじめました。フォルテピアノ奏者のリチャード・バーネット(Richerd Burnett)と協力して楽器の修復や、製作をすすめ、世界中の古楽器演奏家や博物館、教育機関に納入してきました。演奏家としてもヨーロッパや米国でリサイタルを行い、また英国クラヴィコード協会の代表でもあるとのことです。今日取りあげているアルバムの演奏に使われているのは、1982年にデレク・アドラム自身が製作したクラヴィコードで、元になった楽器は、エジンバラのラッセル・コレクションに保存されている、1763年ハンブルクのヨハン・アドルフ・ハースが製作した楽器ということです。専門的なことはよくわかっておりませんが、記述によると真鍮の弦が張られ、音域は5オクターブでフレットのないタイプ、低音域には4フィートの追加弦が張られ、調律は18世紀半ばのハンブルグで標準だったものに近いa1=405Hz、転調しやすく和音の色感を保ちやすい1/6コンマの中全音律で調律されているとのこと。
楽器を製作されている方や調律をされる方には、この記述の意味がわかるのでしょう。繊細な響きのために、あらゆるコンディションが調整されているという事でしょうか。

このアルバム、奏者でもあり、楽器製作者でもあるデレク・アドラムのクラヴィコードの繊細な響きに対する情熱といか執念のようなものを感じる素晴らしい出来。録音は音量の低いクラヴィーコードの音色が実に鮮明に録られたもの。眼前にクラヴィコードが定位し、教会に響く残響も適度なもの。マイクの感度を上げているためか、外を走る車の低い音がはっきりわかるもの。遮音性の高いスタジオでの録音ではクラヴィコードの良さがつたわらないでしょうから、録音場所としては理解できるものです。
アドラムのタッチはハジマーコスとは全く異なり、クラヴィコードがビリつくような強靭なアクセントはつけず、まさにクラヴィコードのフリクションが適切な音量をならす範囲内のもの。ダイナミックではないという意味ではなく、聴くとダイナミクスを感じます。音量の変化の幅は大きくはありませんが、その幅を無理なくつかって実に穏当ながらしっかりとしたメリハリをつけていきます。
楽器の音色はチェンバロなどのクッキリした響きとは異なり、中音域の柔らかな響きと高音域のいつも感じるツィンバロンのような響きが乗った繊細な響きが特徴。今まで聴いたどのクラヴィコードのアルバムよりも音域のバランスがいいですね。
アドラムはまさにこの美しいクラヴィコードの音に集中しろと言わんばかりに、速めのテンポによるオーソドックスな演奏。フレーズごとの表情もしっかりつけて、また、ここぞというときにはクラヴィコードがビリつく寸前まで強めのタッチでクラヴィコードを鳴らしきります。
これがハイドン自身が聴いていた音なのかと思うと感慨も一入。ハイドンが作曲していた部屋でハイドン自身の演奏を聴いているような錯覚に襲われます。実に興味深い響きです。低音域の車のノイズでふとこれは現代のものと気づきます。演奏は非常に安定しており、以下に曲ごとにに少々コメントを。

Hob.XVII:1 / Capriccio "Acht Sauschneider müssen sein" 「8人のへぼ仕立屋に違いない」 [G] (1765)
オーストリア民謡の子供の数え歌の素朴な調べをもとにした変奏曲。1765年とハイドンがエステルハージ家の楽長に昇進する前年の作品。ハイドンならではのユーモアが曲に込められる端緒となった曲でもあります。歌詞は「男が8人いれば猪の去勢が出来る。2人は前から、2人は後ろから、2人は捕まえて、1人は縛って、、、」というような感じ。ジャケットのブリューゲルによる「村のダンス」はこの曲のイメージを伝えるものでしょう。演奏は数え歌を変奏曲にした感じが良く出て、素朴な音色で、くっきりとユーモラスなメロディーを奏でていきます。まさにブリューゲルの絵を彷彿とさせる情景が思い浮かびます。

Hob.XVI:32 / Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
ピアノで聴き慣れた曲ですが、古楽器の演奏だとどうしてもこれまで聴き劣りした印象がつきまとっていました。アドラムの演奏はまさにクラヴィコードの音色で再構成した演奏。まったく聴き劣りするどころか、こちらがオリジナルだと思わせる説得力があります。迫力が劣るどころか、非常に迫力を感じる演奏。独特の高音域の響きが深い味わい。2楽章のメヌエットで特に印象的です。

Hob.XVII:7 / Variazioni [D] (1766)
録音数も少ない珍しい変奏曲。1曲目と同様、ユーモラスな曲調ですが、演奏はじつに楽しげ。この曲のベストと言っていいでしょう。クラヴィコードの音色が実にいい味を出しています。アドラムの演奏は曲の真髄をつく実にキレのいいフレージング。クラヴィコードの底力がわかりました。ハイドンが楽しげに作曲している現場に居合わせているよう。

Hob.XVI:24 / Piano Sonata No.39 [D] (1773)
この曲もピアノで聴きなれた曲ですが、入りの一音からクラヴィコードの最上の響きにうっとり。クラヴィコードが奏でるもっとも美しい音を知り尽くした人の演奏だけに、まるでおとぎの国の音楽のように聴こえます。本格的なソナタですが、クラヴィコードの演奏がベストと思える素晴らしい響き。

Hob.XVI:29 / Piano Sonata No.44 [F] (1774)
冒頭からタッチのキレに鳥肌が立ちそう。クラヴィコードの宇宙に吸い込まれます。これだけの楽器と演奏の腕前をもっていたら幸せでしょう。まさにハイドンのソナタは自ら弾いて楽しむというものであることがよくわかります。速いパッセージの流れるような鮮やかさはクラヴィコードの音色もあって、目もくらむよう。

Hob.XVII:6 / Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
最後に大曲が配置されています。ここまで演奏を聴いてクラヴィコードの表現力と音色の魅力が十分に理解できていますので、このハイドンの成熟期の大曲をクラヴィコードで演奏する事にまったく違和感はありません。アドラムの秀逸な表現力、しかも自然さとダイナミックさも感じられる演奏によって、この曲のまた新しい魅力が浮き彫りになります。さりげないフレーズの美しさが際立つと同時に、緻密な構成と劇的な展開に打たれます。

このアルバム、ちょっと言葉では言い尽くせない感動とともに、いままでクラヴィコードという楽器のこれほどまでの素晴らしさを知らなかったということに対する反省も感じました。奏者でもあり、楽器製作者でもあるデレク・アドラム入魂の演奏。まさにクラヴィコードを知り尽くした人にしか到達しえない高みを感じます。晴天の山頂にたどり着いた人しか見る事のできない紺碧の宇宙のような深い空と絶景、そして風と空気、静けさ。まさにそんな気持ちにさせられる素晴らしいアルバム。部屋にハイドンが来て弾いているよう。もちろん全曲[+++++]としました。

以前書いたハジマーコスの記事ですが、書いた時にも迷いが少々ありましたが、このアルバムを聴いて、評価を見直し、一つ下げました。

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マーシャ・ハジマーコスのクラヴィコードによるソナタ集

今日は古の響きへ。

Hadjimarkos.jpg
HMV ONLINEicon / amazon(別装丁盤) / TOWER RECORDS

マーシャ・ハジマーコス(Marcia Hadjimarkos)のクラヴィコードによるハイドンのピアノソナタ6曲(Hob.XVI:32、XVI:44、XVI:48、XVI:20、XVI:41、XVI:42)を収めたアルバム。収録は1993年10月、スイスの北端バーゼル近郊のヴァルデンブルクという街でのセッション録音。レーベルはharmonia mundi傘下のZIG ZAG TERRITOIRES。

マーシャ・ハジマーコスの参加したアルバムは、以前一度取りあげています。

2011/03/19 : ハイドン–声楽曲 : 【新着】エマ・カークビーの歌曲集

ハジマーコスの略歴を前記事から引用しておきましょう。

マーシャ・ハジマーコスはアメリカ人のよう。幼少の頃からピアノに親しみ、マイケル・グレイブスのショートケーキのようなポストモダン建築の代表作、ポートランド市庁舎で有名なオレゴン州ポートランドで学び、ピアノとフランス文学をアイオワ州立大学で学んだよう。その頃ハープシコードなど古楽器への興味を持つようになったとのこと。後にヨーロッパに移り、フランス国立音楽院でインマゼールなどとともに学んだとのこと。その後はフォルテピアノとクラヴィコードのスペシャリストとして活躍しているようです。

前記事を書いた時に触れたハイドンのソナタ集というのが今日取り上げるアルバムです。このアルバムは先日ディスクユニオンでようやく見つけて手に入れたものです。

このアルバムの特徴は何といってもクラヴィコードというフォルテピアノやハープシコードよりも古い楽器による演奏ということでしょう。クラヴィコードは机上において弾く長方形の箱形の楽器で16世紀から18世紀に広く使われた楽器。音量はフォルテピアノよりも遥かに小さく、また音の強弱の幅もかなり限られます。ライナーノーツによれば、ハイドンより一世代前のC.P.E.バッハは自身の即興的な曲の演奏にクラヴィコードを推奨していたとの事。ハイドンの時代にもおそらくクラヴィコードは使われていたでしょうが、ハープシコードやフォルテピアノなど、よりダイナミックな演奏が可能な楽器も現れてきていたはずです。このアルバムはこのクラヴィコードによる雅な響きがポイントになるわけです。楽器はトーマス・シュタイナー(Thomas Steiner)という人の昨。

Hob.XVI:32 / Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
音量を上げて聴くと意外と張りのある音色。低域の強音はビリつき、明らかに楽器の限界を感じさせてしまいますが引き締まった音で鍵盤楽器というよりギターとかベースの強音に近い響き。ハジマーコスの演奏は速めのテンポでグイグイ攻め込むもの。楽器の限界はなんのそので、強音もかなりの力の入ったもの。この強音のビシッと引き締まったアクセントが特徴でしょう。フレーズの切れ目はすこしテンポを落とし、連続する音階に入ると素晴らしい推進力。この緩急の切り替えの面白さもハジマーコスの特徴かもしれません。
2楽章のメヌエットは楽器のダイナミックレンジが狭いので曲の構造を音量ではなくタッチの微妙な変化でつけていきます。繊細なフレーズコントロールがなかなか。
フィナーレはなぜか、それまでよりも残響が美しく響き、クラヴィコードの響きの魅力が一層引き立ちます。相変わらず左手の引き締まった強音がかなりの迫力で聴き応えがあります。楽器の限界を感じさせながらも、その範囲で楽器のキャパシティ一杯に弾きまくる感じ。後半は楽器が何度もビリつくほどのアタックで迫力溢れるもの。1曲目からクラヴィコードの演奏から予想した響きとはかなり異なるダイナミックな演奏でした。

ハジマーコスの演奏は曲によってスタイルは変化しますが、質はムラのないもの。以降各曲の聴き所のみ簡単にふれることにしましょう。

Hob.XVI:44 / Piano Sonata No.32 [g] (c.1771)
この曲は2楽章構成。短調の入りはクラヴィコードのほの暗い音色が似合います。聴き進むうちにすっかりクラヴィコードの音色の魅力にハマりました。曲想にあわせて、今度はとぼとぼとつぶやくような演奏。デリケートな音色とフレーズコントロールに耳を奪われますが、鮮明な録音によって楽器のフリクション音やハジマーコスの息づかいまで聴こえてきます。2楽章もとぼとぼとした感じが一貫して続きますが、やはり千変万化する響きに聴き入ります。

Hob.XVI:48 / Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
この曲も2楽章構成。ブレンデルの磨き抜かれた現代ピアノの音のイメージが染み付いた曲ですが、そのイメージを一瞬にしてぬぐい去るような雅な響き。かなりピアノによる演奏を意識したような演奏。ピアノそのままのような弾き方で、ピアノと全く異なる余韻を楽しめと言っているよう。クラヴィコードの響きに聴き入ります。この曲は曲想もあって素直な演奏に聴こえます。2楽章に入るとかなり速めのテンポで颯爽と吹き抜けるよう。前曲ではたどたどしかったような指の引っかかりが嘘のように指が良く回ってます。

Hob.XVI:20 / Piano Sonata No.33 [c] (1771)
2楽章の美しい調べが有名な曲。1曲目のダイナミックな演奏が嘘のようにしんみりと響くしとやかなクラヴィコードの音。この曲も短調の曲調に合わせた演奏スタイルでしょうか。期待の2楽章はおとぎ話のBGMのように沁みる響き。ピアノによるキラ星のような澄んだ美しさもいいですが、クラヴィコードの響きの余韻も悪くありません。3楽章は力強さと左手のアタックが戻って曲が締まります。

Hob.XVI:41 / Piano Sonata No.55 [B] (c.1783)
明るくダイナミックな演奏。冒頭から左手のアタック炸裂。1曲目同様音階部分とフレーズの切れ目の速度の変化が聴き所。終始切れのいい演奏。

Hob.XVI:42 / Piano Sonata No.56 [D] (c.1783)
どちらかというと3曲目のXVI:48に近い、ピアノの響きをトレースしたような演奏。速めのテンポで自然な余韻の美しさを上手く表現した演奏。

マーシャ・ハジマーコスのソナタ集はクラヴィコードという楽器での演奏の認識を改めるべきと感じた演奏。もとからダイナミックな音は表現できないものと思い込んでいましたが、逆に楽器の限界を感じさせることで、ダイナミックさを表現し、結果としては十分ダイナミックにも聴こえます。独特の音色と余韻は懐古趣味ということではなく、純粋に複雑かつデリケートな印象を生み、曲に新たな表情を与えます。曲によって演奏スタイルを変化させ、曲の聴き所のツボを見事にとらえています。聴き方によっては地味な演奏という評価もあるかと思いますが、私はこのアルバム、実に興味深く聴きました。従って評価は全曲[+++++]とします。

(2013年1月27日追記)
デレク・アドラムの演奏を聴き、全曲[++++]へ評価を修正しました。

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ジャン=エフラム・バヴゼのピアノソナタ集Vol.1

今日はピアノソナタ集。しかも飛び切り音色の美しいもの。

Bavouzet1.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

ジャン=エフラム・バヴゼ(Jean-Efflam Bavouzet)の弾くハイドンのピアノソナタ集の第1巻。収録曲はHob.XVI:24、XVI:32、XVI:46、XVI:36の4曲。収録は2009年10月6日~8日、ロンドンの北東約100Kmの街サフォークにあるポットン・ホールでのセッション録音。レベールはなにげにいい演奏の多い英CHANDOS。

ジャン=エフラム・バヴゼは、1962年、フランスのドイツ国境近くの街メス生まれのピアニスト。メス音楽院を経て、パリ音楽院に学び、バドゥラ=スコダやニキタ・マガロフらに師事しました。1986年ケルンの国際ベートーヴェン・ピアノ・コンクールで第1位、1989年のヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールの室内楽部門でも入賞し国際的に活躍するようになった人。フランス人らしくCHANDOSレーベルで全5巻となるドビュッシーのピアノ作品全集を完成させています。本人のサイトがありましたので、いつものように紹介しておきましょう。

Jean-Efflam Bavouzet - Official Website

このアルバムがパヴゼのハイドンのピアノソナタ集の第1巻にあたるもの。現在までに3巻までリリースされていますが、有名曲がその3枚の中に網羅されている訳ではないので、全集を目指すのでしょう。また、今回のアルバムジャケットの裏面にはYAMAHA PREMIUM PIANOSというロゴが配されています。YAMAHAのピアノでの録音のようです。非常に芯のしっかりした響きの美しいピアノの音色はYAMAHAの楽器だったわけですね。どことなくグールド晩年のゴールドベルク変奏曲の録音のピアノの音に似ていなくもありません。

Hob.XVI:24 / Piano Sonata No.39 [D] (1773)
非常に粒立ちのいいピアノの音色からはじまります。ほんの少し奥に定位するような印象の録音ですが、鮮明さは十分。引き締まったピアノの音色の魅力が十分堪能できます。言われてみるとSteinwayとは少々異なる響き。強音の押し出し感と存在感が特徴でしょうか。あと高音が綺麗に響く音域がすこし低めの音域にシフトしている感じ。バヴゼはこのYAMAHAのピアノの特徴を上手く生かして、右手の小気味好い音階と左手の弾むようなタッチが印象的な演奏。なぜか音量を落として聴いた方が美しく聴こえます。1楽章は軽快なテンポにのったキレのいい演奏。
2楽章は美しい音楽の流れが印象的な曲。高音域のさざめきのようなメロディーの合間に実に柔らかい和音が一瞬挟まりはっとさせられます。この辺の流れを実に上手く表現して、ピアノの美しい音色を印象づけます。
休む事なくフィナーレに入り、小気味好くアクセントを効かせたメロディーを刻んでいきます。テクニックの正確さは速いパッセージのキレからもよくわかります。力も抜けているのですが、弱音域をもう少し効果的に使う事で表現の幅がさらに広がるような気がします。

Hob.XVI:32 / Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
YAMAHAの音色とバヴゼのタッチがより生きる曲調の曲。高音の美しさと低音域のアタックの鮮烈さが必要な曲ですが、バヴゼは左手のバランス感覚がよく、この変化に富んだ曲をうまく表現できています。強弱の起伏も十分。力感の変化と曲の推進力がうまく折り合ったいい演奏。
2楽章はあえて淡々と進めます。もう少し豊かに情感を表現する演奏もありますが、この淡々さがハイドンの曲調に合っているかもしてません。聴き進めるうちにバヴゼの狙いがだんだんわかってきました。ピアノ音質には実はあまりこだわりはなく、ハイドンの素朴な側面に少しシフトすることで、あえてハイドンらしさを表現しようとしているように感じられます。
フィナーレは速めのテンポで美しいピアノの音色を生かしながらも素朴な力感を表現。リヒテルのしなやかで雄大な力感、ブレンデルの磨き込まれた変化に富んだ力感、オルベルツの古典の均衡の範囲での力感とは少しづつ異なるものの、これもハイドンのソナタの真髄に近い表現と何となく納得する次第です。

今日は時間の都合で2曲のみ。

フランス人ピアニストながら、ドイツに近い地域の生まれのためか、フランスっぽいという面もあり、ドイツ的な側面もあるジャン=エフラム・バヴゼのハイドンのソナタ集。YAMAHAピアノの特徴を生かし、実体感のある美しい響きをもつソナタの演奏でした。美しい音色のなかに素朴な表現もあり、それがハイドンのソナタの演奏としてはなかなかいい味わいを持っている演奏です。評価はこの2曲とも[++++]としました。手元には第2巻もありますが、まだ手を付けていません。未入手の第3巻には好きなXVI:20が含まれており、聴いてみたくなりました。ハイドンのピアノソナタ全集としても注目すべき全集となると思います。

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tag : ピアノソナタXVI:24 ピアノソナタXVI:32

エフゲニー・スドビンのピアノソナタ集

これも最近入手したアルバム。BISからリリースされたピアノソナタ集。ピアニストは未知の人ながら、良いプロダクションの多いBISレーベルの魅力に惹かれて手に入れたもの。

Sudbin32.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

エフゲニー・スドビン(Yevgeny Sudbin)のピアノによるハイドンのピアノソナタ集。ピアノソナタ3曲(Hob.XVI:32、XVI:50、XVI:34)とファンタジア(Hob.XVII:4)、アンダンテと変奏曲(Hob.XVII:6)そして弦楽四重奏曲Op.64のNo.5「ひばり」のフィナーレの6曲。収録はHob.XVI:32とXVI:50が2009年2月、XVI:34とファンタジア、ひばりのフィナーレが2009年6月、アンダンテと変奏曲が2010年1月、イギリス西部のブリストルにある聖ジョージ教会でのセッション録音。レーベルはスェーデンのBIS。

最近のtwitterによると「ハイドンが上手なピアニストはスカルラッティも良い」との法則があり、演奏の頻度から言うと、おそらく「スカルラッティが上手なピアニストはハイドンも良い」との逆法則も成り立つとの盲目的邪推も成り立ちます。このスドビンはスカルラッティを弾いたデビューアルバムが絶賛されたとのふれこみだったのでHMV ONLINEに注文していたもの。元の法則は以前取りあげたチェスのサイトを運営するpascal_apiさんのつぶやきですが、いいところをついていると思います。

エフゲニー・スドビンは1980年サンクトペテルブルク(私の世代にはレニングラードの方がなじみます)生まれのピアニスト。幼い頃から音楽的才能を知られ、1987年にサンクトペテルブルク音楽院、1990年にベルリン、1997年よりロンドン王立音楽院でピアノを学びました。マレイ・ペライヤやレオン・フライシャーに師事し、その後ヨーロッパ、アメリカ、カナダツアーで名を知られるように。2005年にスカルラッティのソナタ集のデビュー盤が好評を博し、その後ラフマニノフ、チャイコフスキーとメトネル、スクリャービンなどのアルバムのリリース。このハイドンのソナタ集はそれに続くもの。2011年1月には初来日しているのでコンサートを聴かれた方もいるのではないでしょうか。

このアルバムのジャケットには若々しい奏者がカジュアルな服装で写っており、もしかしたらアイドル系との憶測もありますが、とりあえずスカルラッティがいいと聞けば、当ブログで取りあげない訳にはいかないと思った次第。

Hob.XVI:32 / Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
ちょっと几帳面な感じはするものの、ピアノを上手く響かせてハイドンの曲の良さを上手い具合に表現する人との第一印象。速い音のつながりのコロコロころがるような心地よさと、左手の迫力ある低音のコントラストがなかなか。一貫して推進力にあふれた進行。ハイドンの前進する力感をうまく表現しています。
2楽章は素晴らしいきらめき感。ちょっと手作り感のあるものですが、それが実にいい味わいを醸し出しています。1楽章とは異なり、つぶやくようなゆったりとしたテンポ。この楽章の音楽性は本物ですね。音を聞かせようという意図ではなく音楽を聴かせようとする姿勢を感じる演奏。実に深い呼吸。なかなか大物ですね。
フィナーレも一音一音が立っているような粒立ちのよさと推進力が素晴らしい演奏。速いパッセージのキレは抜群。この若さでこのハイドンの表現の深さは見事。勢いの良さを最後まで保つかと思いきや、最後の音は思い切り力を抜いたもの。

Hob.XVI:50 / Piano Sonata No.60 [C] (probably 1794)
名曲XVI:50。やはり素晴らしい力感から入りました。この大作ソナタを軽々と、しかも抜群の粒立ちで弾きこなしていきます。低音部が重要なソナタですが、左手の表情はかなり豊かでキレのいい低音を重ねていきます。録音はSACDの最新のものだけあって十分。BIS独特の北欧の空気のような澄んだ音響が心地よいです。スドビンはハイドンの楽譜を楽しみながら弾き進めていくような余裕があり、装飾音を加えたり、リズムを変化させたり、構えたところはなく自在な演奏。
この曲もアダージョの音楽性はピカイチ。夕暮れに星が瞬き始めるようなかすかなきらめきをが絶妙。抑えながらも表現は濃い瞬間。オーロラの揺らめきのようにうっすらと表情を変えていく、まさに推移の芸術。
3楽章は2楽章の静かな感動から覚醒するように鮮烈なリズムを刻みます。キレのいいタッチと自在なリズムを重ねてあっという間に曲を結びます。

Hob.XVI:34 / Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
この曲も名曲。かなりスタッカート気味にはじまります。ブレンデルの演奏では低音から沸き上がる音階の面白さに焦点があたっていたものを、スドビンは音符配置の面白さを強調しているよう。高音の音階はまるで編み機から繰り出されるように滑らかなもので、左手の音階と、右手の音階の表情が全く異なる魅力を放つテクニカルな表現。またしても右手から繰り出される転がるような音階は痛快そのもの。途中、おそらくわざとでしょうが、たどたどしさを感じさせる部分もあって、なかなか興味深い演奏。
この曲もアダージョの表現は秀逸。高音のきらめきの美しさはスドビンの持ち味ですね。この曲でもめくるめく美しさが素晴らしいものです。
ハイドンのソナタのフィナーレの中でも非常に覚えやすいメロディーのこの曲。聴き慣れたメロディーラインを自在に変化をつけて、生まれたてのメロディーのように刻んでいきます。

Hob.XVII:4 / Fantasia (Capriccio) op.58 [C] (1789)
弾き散らかすがごとき切れ味で入るファンタジア。音符を完全に自身のものとして自在に弾き進めます。速い音階の切れ味、リズムの切れ味、表現の切れ味の三拍子そろった演奏。途中非常に長い休符をとって表現力を見せつけます。この曲は素晴らしいテクニックと自在な音楽性を嫌というほど見せつけるような素晴らしい演奏です。

Hob.XVII:6 / Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
古くから名演奏の多いこの曲ですが、スドビンは冒頭から詩情あふれるきらめきで圧倒。やはり只者ではありませんね。最初は軽い響きから入りますが、音楽の濃さは別格。伝統の重さを知っているからか、この曲では表現はオーソドックスな範囲にとどめているよう。指のキレは相変わらす素晴らしいものがあり、曲自体を最高の演奏で楽しむような極上のひと時。この曲がこれほど高音のメロディーが美しい曲だったと再認識させられるような素晴らしい演奏。最後の渾身の響きも鋼のような見事なものでした。

Hob.III:63 / String Quartet Op.64 No.5 "Lerchenquartetett" 「ひばり」 [D] (1790)
最後は弦楽四重奏曲のフィナーレをピアノに編曲したもの。3分少々の曲ですが、この腕にしてこの曲を選んだと唸らされるもの。原曲ももちろんいいんですが、このピアノ版も、この演奏でしか聴く事のできない驚きに満ちています。このアルバムのアンコールピースのようなアクロバティックな要素も持つ演奏。


最近聴いた若手のハイドンのピアノソナタの中ではピカイチの出来。エフゲニー・スドビンの演奏によるハイドンのピアノソナタ集はハイドンのソナタの真髄をえぐる素晴らしい演奏でした。スカルラッティを弾いたデビューアルバムが評判となった人だけあって、ハイドンのソナタも自然かつアーティスティックな魅力をもつ素晴らしい演奏でした。これは将来が楽しみな人。若手でこれだけ表情豊かなハイドンを弾くとは驚きにに近い印象です。評価はもちろん[+++++]とします。

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tag : ピアノソナタXVI:32 ピアノソナタXVI:50 ピアノソナタXVI:34 ファンタジアXVII:4 アンダンテと変奏曲XVII:6 弦楽四重奏曲Op.64 ひばり スカルラッティ SACD

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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