ウラディミール・フェルツマンのソナタ集(ハイドン)

今日はピアノソナタ。最近手に入れたアルバムで、これが絶品の演奏。

VladimirFeltsman.jpg
TOWER RECORDS / amazon

ウラディミール・フェルツマン(Vladimir Feltsman)のピアノによるハイドンのピアノソナタ8曲(Hob.XVI:46、XVI:34、XVI:49、XVI:20、XVI:48、XVI:39、XVI:33、XVI:44)、12の変奏曲(Hob.XVII:3)の9曲を収めた2枚組のアルバム。収録は2012年3月31日、9月24日から26日にかけて、このアルバムのリリース元であるニンバスの本拠地である英ブリストル近郊のモンマス(Monmouth)にあるワイアストン・リーズ(Wyastone Leys)でのセッション録音。

ピアノのウラディミール・フェルツマンは初めて聴く人。いつものように調べてみると、1952年モスクワに生まれのピアニスト、指揮者。11歳でモスクワフィルとの共演でデビューするなど若くして頭角を現し、1969年からモスクワ州立チャイコフスキー音楽院でピアノを学び、その後モスクワ、レニングラード両音楽院で指揮を学びました。1971年にはパリで開催されたマルグリット・ロン国際ピアノコンクールで優勝し、以来世界の楽壇で活躍しています。どうやらバッハを得意としている人のようで、Apple Musicバッハのパルティータ集を聴きかじってみると、独特の朴訥さを感じさせるタッチが魅力で、どちらかというと東洋的というか、禅の境地のようなものを感じる演奏をする人との感触を得ました。ハイドンのソナタをさらりと弾きこなす手腕はこのバッハの演奏の境地との類似性を感じます。

今日は、CD1枚目の4曲を取り上げます。

Hob.XVI:46 Piano Sonata No.31 [A flat] (1767/70)
さりげないごく普通の入りという印象でしたが、すぐにほんのりと詩情が漂い始めます。特にスタッカート気味の部分に独特の風情が乗ります。緊張感を催す演奏ではなく、リラックスして淡々と弾き進めていく自然な流れとアクセントの対比の面白さが聴きどころと見ました。安定した技術に裏付けられたさりげない自然さ。指の回りもしなやかなわけではなく、響きの美しさの中にリズムもアゴーギクも適度に凸凹した印象を残しますが、それがこの演奏の面白さ。名のある陶工の茶碗に見られる焼きムラを景色として味わうのと似た感じ。これが実に心地よい。
この曲は初期の曲ながらアダージョの美しさが聴きどころの曲。リズムも自在に動かしながら弾き進めていくこの楽章は曲の美しさを際立たせる見事なタッチが印象的。まさに詩人の演奏というべき神業。豊かな表情が透徹した純粋さを表現する稀有な演奏。
フィナーレは文字通り軽妙洒脱なタッチの面白さで聴かせます。1曲めからいきなり素晴らしい演奏に圧倒されます。

Hob.XVI:34 Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
左手の力強いタッチとリズムの面白さで聴かせる曲ですが、それに限らずしなやかな流れとくっきりとした表情の美しさでまとめる見事な展開。流れ良く聴かせるのはこの人の天性の才能でしょう、はっきりとしたコントラストをつけながら、一貫して淀みなく曲を流していくところは見事。フレーズのつなぎもハッとさせるような閃きを聴かせます。
アダージョでは響きを研ぎ澄ますように形を整えるという感じの演奏ではないにもかかわらず、さらりとした演奏の中にディティールの様々な美しさを垣間見せ、ふと暖かな気配を感じさせたり、閃きを見せたりと聴くものを飽きさせません。
終楽章もリズムに変化を持たせながらさりげなくまとめます。最後に見得を切るのがこの人のスタイルなのでしょう、キリリと引き締めて終わります。

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
晩年の有名なソナタ。ここにきて、かなり派手なアクセントをかまして表現力を駆使してきます。ハイドンの曲に仕込まれた機知を汲み取ってどうだと言わんばかりの外連味溢れる演奏。晩年のソナタだからこそ、こうしたウィットを込めたのだろうと言わんばかりの演奏にニンマリ。奏者の浮かび上がらせたハイドンの意図は私にはしっくりきました。このソナタから迫力や響きの美しさではなく、この外連味を汲み取るセンスは秀逸。全編に遊び心が満ち溢れます。
なぜか枯淡の境地を感じさせるアダージョ。ピアノという楽器の響きの美しさを感じさせながらも、叙情的にならずに淡々と曲を弾き進めていくことでかえって切ない感情を浮かび上がらせます。この曲の真髄に迫るさりげない解釈に凄みさえ感じるほど。
そしてフィナーレはタッチの硬軟の対比を随所に設けてテーマとなるメロディーに変化をつけて表現力を見せつけます。見事。

Hob.XVI:20 Piano Sonata No.33 [c] (1771)
好きな曲。1楽章は美しい2楽章の前座のようにこれまで聴く癖がありましたが、フェルツマンはこの楽章にも巧みに表情をつけることで、この楽章独自の面白さを印象付け、私の曲の印象も変わりつつあります。一般的な丁寧な演奏から生まれるまとまりの良い曲想から抱く印象とはちょっと違って、この曲の展開の面白さにいつもと違う方向からスポットライトが当たり、ハッとさせられました。
そして、お目当てのアンダンテ・コン・モートは期待以上に心に沁みる演奏でした。響きに固執することなく、小川の流れが岩に当たって所々急な流れになったり、穏やかになったりする自然の美しさをそのまま書き写したような曲の表情に気づかされます。緩急自在かつ響きの磨き度合いも自在に変化させるフェルツマンの軽妙なタッチ。絶美。
フィナーレはピアノの響きの面白さを適度な力感で楽しむがごとき演奏。力任せになることはなく、左手のアクセントを交えながら曲のメロディーと陰影の美しさを交錯させて流すように演奏。すっと力を抜く面白さまで加えて終えるあたり、流石のセンスです。

CD1枚目を聴いてウラディミール・フェルドマンの曲に対する読みの深さを思い知った感じ。表面的な響きの美しさというレベルを狙っているのではなく、曲ごとにハイドンが意図したであろうイメージを次々と汲み取って表情を作っていくことで、一見シンプルなハイドンのソナタの深さを見事に表現しきっています。このことが最もよくわかるのがXVI:49。このソナタに込められたアイデアをこれほどわかりやすく表現した演奏は他にありません。恐ろしいまでの表現力の持ち主ですが、それを穏やかにまとめるところが真の実力者と見ました。感服です。評価は4曲とも[+++++]といたします。必聴です。



にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:46 ピアノソナタXVI:34 ピアノソナタXVI:49 ピアノソナタXVI:20

ジャン=クロード・ぺヌティエのピアノソナタ集旧録音(ハイドン)

またまたお宝盤発掘! どうしてもLPにいってしまいます。

IMG_9417.jpg

ジャン=クロード・ぺヌティエ(Jean-Claude Pennetier)のピアノによるハイドンのピアノソナタ3曲(Hob.XVI:34、XVI:48、XVI:49)を収めたLP。収録は1984年10月、南仏マルセイユの北にあるソーヴァン城(Château de Sauvan)でのセッション録音。レーベルはharmonia mundi FRANCE。

ぺヌティエのハイドンのソナタの録音は以前に取り上げていますし、ラ・フォル・ジュルネで実演も聴いています。

2015/05/04 : コンサートレポート : ジャン=クロード・ペヌティエの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」(ラ・フォル・ジュルネ)
2010/11/24 : ハイドン–ピアノソナタ : ジャン=クロード・ペヌティエのピアノソナタ集

以前取り上げたピアノソナタ集のCDは曲はXVI:50、51、52などで、録音は1999年から2000年にかけて。今日取り上げるアルバムの録音はその約15年前の1984年の録音で、曲はXVI:34、48、49とCDとは重なっておらず、ハイドンのピアノソナタの晩年の名曲を網羅する形になっています。CDというメディアが世の中に出回ったのが1982年ということでこのLPはその直後の録音ということになります。ネットで調べてみた限りではこの録音がCD化された形跡もなく、知る人ぞ知る存在でしょう。

針を落としてみると、驚くほど瑞々しい響き。ジャケットにはピアノはベーゼンドルファーを使っていると書かれています。気になってCDの方をチェックしてみるとこちらはスタインウェイ。CDも非常に響きに美しい録音でしたが、このLPにはベーゼンドルファーの豊穣な響きが最上の形で記録されています。

Hob.XVI:34 Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
少し遠くに残響を伴って定位するピアノ。LPのコンディションは最高で響きの美しさが際立ちます。ぺヌティエの強力な左手のアクセントがメリハリをつけながらの流麗なタッチ。後年の悟ったような表情は見せず、曲の淀みない流れの美しさに焦点を当てた演奏。1楽章はあっという間に流れていきます。1楽章の演奏から想像できましたが、続くアダージョは自然なデュナーミクの美しさが極まる絶美の演奏。ぺヌティエの自在なタッチの魅力にとろけそう。そしてフィナーレも自然な表情の美しさを保ったまま、流れるようなタッチでどこにもストレスを感じさせない演奏。ピアノの純粋無垢な響きの美しさが楽しめます。時折り響きをざらりと分解するような表現でハッとさせるのも効果満点。最後にクライマックスを持ってくるあたりのマナーもオーソドックスでいいですね。

Hob.XVI:48 Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
続くソナタも響きの美しさと流れの良さは変わらず。しかも一音一音の表情が実に豊かで、ハイドンのピアノソナタのオーソドックスな演奏の最上の姿と言っていいでしょう。特に低音の余裕のある図太い響きの魅力はLPならでは。ちょっと強面のぺヌティエのぶっとい指からこれほどの詩情が立ち上るとは。タッチに余裕があるからこそコントロールできる柔らかさということでしょう。まさに夢見心地で響きに酔います。ゆったりとした雰囲気をさらりとかわすかのようにそよ風のような優しさて、驚くほど流麗なタッチで2楽章に入ります。テンポはかなり速めにもかかわらず、まるで魔法のように鮮やかなタッチで弾き進めます。若きぺヌティエの驚くべきテクニック。タッチの冴えをここぞとばかりに聴かせますが、驚くほど自然に響くところに凄みを感じさせます。これは凄い!

IMG_9424.jpg

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
LPをひっくり返して最後のソナタ。片面に1曲ゆったりとカッティングされているため響きにも余裕があります。この曲はリズムとメロディーの面白さを融合したハイドンの見事な筆致を楽しめる曲。ぺヌティエの自然なタッチは変わらず、左手の図太いアクセントと流麗な右手のパッセージが乱舞する絶妙な演奏。スタインウェイよりも内声部が豊かに響くように感じるためか、非常に豊穣に響きわたります。フレーズ毎の表情ではなく流れるように表情を変えていくことでメロディーの自然なつながりの面白さが浮かび上がります。2楽章は前2曲同様自然な詩情の美しさが沁みます。もう少し表情が濃いとロマン派の曲のように聴こえてしまう寸前のバランス感覚。大きな波のようにうねる曲想をしっかりと捉えてゆったりと盛り上げます。宝石のように磨き抜かれた響きに三度うっとり。この曲はフィナーレがメヌエット。最後まで落ち着き払ったぺヌティエの見事なコントロールで、ハイドンの機知に溢れたソナタを一貫してロマンティックな姿に仕立て上げてきました。この曲も最後の一音を轟かせて終了。

ジャン=クロード・ぺヌティエの1984年に録音されたハイドンのピアノソナタ集。ベーゼンドルファーの豊かな響きを活かした秀逸な録音によって若きぺヌティエがハイドンを流麗にまとめた演奏。後年の録音では枯れたところも聴かせましたが、このころのぺヌティエの演奏はタッチの鮮やかさも、バランスよくまとめる力も後年よりも上と聴きました。この3曲は絶品の出来と言っていいでしょう。評価はもちろん3曲とも[+++++]とします。LPの再生環境がある方、見かけたら即ゲットをオススメします!

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:34 ピアノソナタXVI:48 ピアノソナタXVI:49 LP

【新着】マルクス・ベッカーのピアノソナタ集(ハイドン)

久々にCDに戻ります(笑)

MarkusBecker.jpg
TOWER RECORDS / amazon / ローチケHMV
icon

マルクス・ベッカー(Markus Becker)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ5曲(Hob.XVI:21、XVI:34、XVI:28、XVI:46、XVI:23)を収めたアルバム。収録は2015年10月、ドイツのハノーファーにある北ドイツ放送(NDR)の放送大ホールでのセッション録音。レーベルはAvi-musicとdeutschelandradioの共同プロダクション。

しばらくLP、もちろん旧譜で手に入れにくいものばかり取り上げておりましたので、ここらで新譜を取り上げませんと、新譜情報を求める読者の期待を裏切りかねません。最近手に入れたものの中でもこれはという演奏でしたので取り上げます。

Markus Becker - Pianist

奏者のマルクス・ベッカーは1963年生まれのドイツのピアニスト。カール=ハインツ・ケマーリング(Karl-Heinz Kämmerling)やアルフレッド・ブレンデル(Alfred Brendel)に師事し、1987年、ハンブルクで開催された国際ブラームスコンクールで1位となりました。また、マックス・レーガーの作品の録音では2000年にドイツ・レコード賞、エコー賞などを受賞しています。また、1993年からはハノーファーの音楽演劇大学の教職にあります。

上に掲載した彼のサイトの録音のページを見るとこれまでにかなりの枚数のアルバムがリリースされていて、バッハからブラームス、シューマンをはじめとして数多くの作曲家の作品を録音していることがわかります。ひときわ目を引くのがマックス・レーガーの12枚に及ぶ作品集。マックス・レーガーとなると、こちらは全くの門外漢ということで、マルクス・ベッカーの奏者の器を計れる立場にありませんね(笑) ということで、このハイドンのアルバムでその器を実感したいと思います。

Hob.XVI:21 Piano Sonata No.36 [C] (1773)
非常に軽やかなタッチの演奏。録音も非常に優秀で空間にピアノがクリアに定位し、ハイドンのソナタの理想的な演奏。あえて低音の重厚感を殺し、中高域のクリアさを強調しているよう。よく聴くと一音一音ごとに絶妙にタッチがキレており、タッチのキレ味で聴かせる演奏。リズムの小気味良さが光り輝く演奏。これは鮮やか。
アダージョに入っても一貫して気持ちよく響くピアノの音色の心地よさ。これがマルクス・ベッカーの持ち味と見ました。ゆったりした楽章でもゆったりし切ることなく、適度にクリアでタイトなピアノの響きの面白さで聴かせるかなりの腕前。全ての音の響きが澄み渡ってて本当に気持ちよく楽器を響かせます。こんな印象を感じたのは初めて。
びっくりしたのがフィナーレ。一音一音のコントラストの見事な演出。完全に全ての指のタッチの強さとタイミングが制御しきれている感じ。しかもさっぱりとした爽やかさを纏う完璧なタッチ。力みは皆無でむしろかなり力を抜いているように聴こえます。ハイドンがこんなにも爽やかな表情を見せる匠のタッチ。1曲からベッカーの爽やかさにやられました。

Hob.XVI:34 Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
ブレンデルの演奏が刷り込みの曲ですが、ベッカーを聴いてブレンデルの響きをデフォルメした演奏の垢が完全に落ちました。この曲も爽やかなピアニズムが聴きどころだったと再発見。相変わらず全音符が完璧に制御され、一音一音のタッチの鮮やかさはもはや神がかってきています。重厚さとは無縁のリズムのキレに惚れ惚れとします。次々とやってくる打鍵の波に打たれるエクスタシー!
アダージョも前曲同様ゆったりすることなくピアノの響きに吸い込まれるような透明感。これほどにタッチのキレを感じた演奏は他にはアムランの演奏がありますが、アムランの響きには青白くひかる狂気のような前衛性を感じるのに対し、ベッカーの演奏は純粋無垢。そしてタッチは冴え渡っているのに、どこかほのぼのとした印象もあり、それがハイドンらしさを感じさせます。響きの余韻に無駄がなく清潔さも保つ見事さ。
そしてジブシー風な3楽章のメロディーから滲み出る独特な雰囲気のセンスも見事。見事。見事。こりゃ参りました。

Hob.XVI:28 Piano Sonata No.43 [E flat] (1776 or before)
次々と演奏されるソナタですが、この曲も冒頭から鳥肌がたたんばかりのタッチの見事さに圧倒されます。まさに音符ごとにタッチが千変万化。なんというコントロール力でしょうか。指一本一本の打鍵の強さとタイミングが超精密に制御され、超自然な響きを生み出します。細密画はどこか不自然な緻密さがあるものですが、その不自然さが皆無な超自然な細密画のよう。しかも写真とは異なるアーティスティックさを帯びているので、絵としての迫力も十分。ハイドンという古典を自然なまま現代アートにも比較し得る作風で蘇らせているよう。ソナタを聴く快感に溺れます。
鳥のさえずりのようなメヌエットの入り。さっと日が陰るとデリケートなニュアンスを帯び、同じ鍵盤からとは思えない音色に変わり、そして再び鳥のさえずりに戻ります。この音色とニュアンスの変化の面白さこそがハイドンの真骨頂。
そして、驚異のタッチを感じるフィナーレ。完璧な制御で絶妙なタッチの連続に再び驚きます。この楽章がこれほど聴きごたえがあったとは。マルクス・ベッカーのもはやマジックレベルのタッチが冴え渡ります。ユッタ・エルンストもビックリ(笑)

Hob.XVI:46 Piano Sonata No.31 [A flat] (1767/70)
こちらも有名曲ですが、これまでの演奏の垢を一切感じさせない純粋な響きにちょっと驚きます。音符を重ねる重ね方のアクセントが絶妙な面白さを生み出し、こんな響きがあったのかと改めて気づかされます。新たなハーモニーを発見した気分。特に速いパッセージの流麗なタッチから生み出されるさざ波のような響きの面白さは並ではありません。そして天から星が降り注ぐような高音のメロディーの美しさ、硬質なアクセントのキレ、硬軟織り交ぜた音色の変化。やられっぱなしです。おそらく左手はかなり控えめな力での演奏ですが、それがクリアな響きを生んでいるよう。休符を長く取ることで曲想の変化を印象づけるのではなく、むしろ休符を短くしてタイトな印象を作ってきます。色々発見のある演奏。
この曲でもアダージョの美しさは筆舌に尽くしがたいもの。無言で夜空の星を眺めていたい気分。音符が少ないだけに一音一音の意味を噛み締めて聴きますが、やはりハイドンは天才だと思う素晴らしいメロヂィーの連続。爽やかな演奏から深い深い情感が滲みます。
アダージョの余韻の消え入る絶妙なタイミングでフィナーレに入ります。耳を澄ますと右手の鮮やかたタッチに加えて左手の表情の豊かさもかなりのもの。この爽やかながらイキイキとした表情の秘密がわかった気がします。

Hob.XVI:23 Piano Sonata No.38 [F] (1773)
あっという間に最後の曲。聴きなれた曲が新鮮に響くのはこれまで通り。リズムは踊り、メロデイーはクッキリと浮かび上がり、大きな波の変化もあり、そしてそこここに新鮮なハーモニーを感じます。ハイドンのソナタが完全に現代風にクリアに響く快感。しかもエキセントリックなところは全くなく、古びた感じもなく、モーツァルトよりも垢抜けていて、ここに音楽のすべての面白さが詰まっていると言っても過言ではありません。
最後の曲のアダージョはやや叙情的な曲ですが、もちろん純粋無垢な美しさに仕上げてきます。一つとして同じメロディーの繰り返しがないように、演奏の方もニュアンスを次々と変化させながら進み、曲の素晴らしさと演奏の素晴らしさの相乗効果で音楽に深みが宿ります。
フィナーレはむしろあっけらかんとしているほどの吹っ切れ方。最後に純粋にリズムの面白さを印象付けて終わります。

イカしたデザインショップの店員さんのような風貌のマルクス・ベッカーですが、繰り出された音楽は素晴らしいものがあります。ハイドンのピアノソナタにはこれまでにも色々名演奏を紹介してきていますが、このベッカー盤も1、2を争う名盤と言っていいでしょう。タッチの鮮やかさ、制御の完璧さは目もくらむほど。特に爽やかさとクッキリ感は並外れたものがあります。ハイドンの音楽の癒しはこの純粋無垢な演奏の向こうにも広がっていました。すべての人に必聴の名盤です! 評価は全曲[+++++]とします。

色々ストレスを抱えて癒しを求めてる方、癒されてください!

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:21 ピアノソナタXVI:34 ピアノソナタXVI:28 ピアノソナタXVI:46 ピアノソナタXVI:23

【新着】ベルント・グレムザーのピアノソナタ集(ハイドン)

またまたピアノソナタのアルバム。

BerndGlemser.jpg
TOWER RECORDS / amazon / ローチケHMVicon

ベルント・グレムザー(Bernd Glemser)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ5曲(Hob.XVI:20、XVI:32、XVI:34、XVI:36、XVI:44)を収めたアルバム。収録は2015年12月1日から3日かけて、ミュンヘンのバイエルン放送第2スタジオでのセッション録音。レーベルは独OEHMS CLASSICS。バイエルン放送との共同制作盤。

ジャケットには"Sonaten in Moll"「短調のソナタ」と書かれており、文字どおりハイドンのソナタの中から短調のソナタを集めて録音したアルバム。あらためてこのアルバムに収録された曲のホーボーケン番号を並べて見ると、個人的には好きな曲ばかりが並んでいることに気づきますが、これは短調の曲だったわけですね。モーツァルトの場合も同様ですが、古典期の作品では短調の曲は少ないのですが、やはり独特の翳りを持ついい曲が多いんですね。

奏者のベルント・グレムザーは1962年、ドイツ南部、フライブルク東方の街、デュルプハイム(Dürbheim)生まれのピアニスト。7歳からピアノをはじめ、学生時代からロシア出身のピアニストヴィターリ・マルグリスに師事、1987年にミュンヘン国際音楽コンクールに入賞してから世界的に活躍するようになりました。以降教育者としてもザールラント高等音楽学校、ヴュルツブルク高等音楽学校などで教えています。最近ではNAXOSからプロコフィエフ、ラフマニノフ、チャイコフスキーなどのソナタをかなりの枚数リリースしておりご存知の方も多いかもしれません。

イェネ・ヤンドーとともにNAXOSの看板ピアニスト的存在と言うことで、実力はありそうですが、果たしてハイドンを如何に料理してくるのか、興味津々です。

Hob.XVI:20 Piano Sonata No.33 [c] (1771)
予想通りというか、NAXOSに多く録音を残している人とのイメージにぴったりの演奏。そしてピアノの教育者らしい、端正かつ正確な演奏と言えばいいでしょうか。テンポは中庸、力まず適度な力感で曲の構造を楽譜通りにトレースしていく感じが心地よい演奏です。この短調の名曲は、もう少し情緒的に演奏することが多いのですが、比較的あっさりと演奏することで、ハイドンらしい爽やかさを感じさせます。
期待の2楽章は、美しさの際立つ楽章で、丁寧に美しさを際立たせる演奏が多い中、グレムザーはあえて逆にあっさりとした演奏できました。アンダンテ・コン・モートとという「気楽にのんびりと」という気楽さの表現が「さりげない美しさを」感じさせるもの。このアンダンテ・コン・モートという指定の解釈の仕方に触発されたものかはわかりませんが、よく聴くこの曲の美しい演奏とは対照的に禁欲的なまでにあっさりときました。
そして3楽章のアレグロもアッサリとした表現に徹して、サラサラと流れていく演奏。聴き進めていくうちに、小手先の表現ではなくハイドンの音楽自体に潜む魅力を引き出すためにあえて淡々と弾き進めるグレムザーの意図が見えてきます。表現の方向は異なりますが、スタイルとしてはオルベルツのアプローチに近いでしょうか。

Hob.XVI:32 Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
グレムザーのスタイルがなんとなく見えてきたところで、またまた有名曲。ピアノ教師としての矜持を感じさせる鮮やかなタッチで短調の曲を磨きこんで、やはり淡々と弾き進めて行きます。テンポは一貫しており推進力を感じさせるほどグイグイと弾いて行きますが、その中にフレーズごとのメリハリをくっきりと表現していくところは流石。折り目正しく、端正で品格を感じさせる演奏と言えばいいでしょうか。
前曲の2楽章ほど禁欲的ではなく、程よくリラックスしたメヌエット。そしてフィナーレも鮮やかなタッチでキレの良い演奏。速いパッセージのタッチの鮮やかさはかなりのもの。前曲でのかなり禁欲的な演奏よりは一般的な演奏に近い表現に感じますが、それでもテンポを揺らさず一貫した表現で通すところがグレムザーらしいところ。

Hob.XVI:34 Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
低音のリズムと音階の面白さが独特の入りの曲ですが、曲自体の面白さに語らせようとするグレムザーのスタイルは変わらず、あえて淡々としながらも、ここはアクセントをかなり効かせてタッチの冴えを印象付けます。正確無比なタッチでハイドンの独特の音楽を弾き進めていくことに快感を感じているのではないかと思わせる鮮やかな手腕。相当のテクニックがなければこれだけの鮮やかさは表現できないと思います。だんだんグレムザーの音楽にハマってきました。
これまでの中間楽章の中では一番美しさにこだわった演奏に聴こえるアダージョ。なんとなくテンポの指定に忠実な演奏を心がけているよう。アダージョらしいリラックスした表現。そう思うとこれまでの中間楽章はアンダンテ・コン・モートやメヌエットでしたので、その指定に忠実に弾き分けているようです。
そして、3楽章はヴィヴァーチェ・モルト。活発に速くとの指定通りに活気ある演奏。

Hob.XVI:36 Piano Sonata No.49 [c sharp] (before 1780)
1楽章のモデラートはこのアルバムでは最も自在さを感じさせる演奏。タッチに遊びを感じさせ、アクセントも恣意的で表現意欲を感じさせます。曲が進むにつれてこの曲に仕込まれた機知に反応してどんどん表現が果敢になっていくのが面白いところ。ハイドンの仕掛けたアイデアにつられてグレムザーも気を許してきた感じ。音楽の純度が上がり、それにつれてグレムザーの心境も澄み渡っていくのがわかります。弱音部の澄み渡り方は絶品。
この曲を聴くたびに1楽章との繋がりの意外性を感じる2楽章。ここでも淡々とした入りから徐々に表現が深くなっていき、軽妙なタッチを織り交ぜ、アルバム前半の推進力溢れる演奏とは全く異なる自在さを感じさせます。
そして3楽章のメヌエット。トリオを挟んで両端がメヌエットなんですが、そのメヌエットが静謐ななかなかの演奏。深いですね。

Hob.XVI:44 Piano Sonata No.32 [g] (c.1771)
このアルバム最後の曲ですが、作曲年代が最も古い曲。この曲のみ2楽章構成。前曲で意外にも表現の深さを感じさせたあと、明快な曲想で締めくくろうということでしょうか。そう感じさせたのは最初だけで、徐々に表現が深くなり、フレーズごとの表現の幅も広がっていきます。じわりと伝わる曲の面白さ。
そして2楽章は軽々とメロディーを転がしながらサラサラと弾き進めていくうちに曲の面白さが浮かび上がるなかなかの名演奏でした。

ベルント・グレムザーによるハイドンの短調のソナタを5曲集めたアルバム。セッション録音ゆえ収録曲順に録音したかもわかりませんが、最初の2曲はまるでピアノ教師が見本に演奏するようなカッチリとした演奏。特に2楽章の美しさで知られる最初のXVI:20は表現意欲を封印したかのように禁欲的かつ一貫してあっさりとした演奏。それが3曲目からは徐々に表現が冴えてきて後半2曲は最初とはかなり異なり自在な表現の深さが光る演奏。同じ短調のソナタでも色々な表現ができることを示すような演奏でした。評価ははじめの2曲、XVI:20とXVI32が[++++]、以降3曲が[+++++]とします。これはこれでなかなか面白いアルバムでした。このような表現の幅を楽しめるベテランの方向けのアルバムですね。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:20 ピアノソナタXVI:32 ピアノソナタXVI:34 ピアノソナタXVI:36 ピアノソナタXVI:44

園田高弘のピアノソナタ集(ハイドン)

暑いですね。まあ、夏は暑いものですが、仕事からの帰り道を歩くだけで汗かいちゃいます。

ちょっと間があきましたが今日は珍しいアルバム。

TakahiroSonoda.jpg
TOWER RECORDS / amazon

園田高弘(Takahiro Sonoda)によるハイドンのピアノソナタ5曲(Hob.XVI:35、XVI:27、XVI:37、XVI:36、XVI:34)、モーツァルトのピアノソナタ5曲(K.545、K.547a、K.332、K.283、K.331)、ベートーヴェンのピアノソナタ5曲(Op.49-1、Op.49-2、Op.79、Op.14-1、Op.14-2)を収めた3枚組のアルバム。収録は1991年から1994年にかけて静岡の磐田郡竜洋町にある竜洋なぎの木会館いさだホールでのセッション録音。レーベルは日本の芸術教育企画という会社のEVICA。

園田高弘さんが亡くなったのは割と最近のことと思っていましたが、調べたところ2004年。もう10年以上になるのですね。日経新聞に連載していた私の履歴書でフルトヴェングラーのライヴに接した感動とカラヤンの比較を通してつづられた音楽感を興味深く読んだのを覚えています。ベートーヴェンやバッハの印象が強い人でしたが、先日このアルバムを見つけて、ハイドンの録音が残っているとはじめて気づいた次第。このアルバムをリリースしている芸術教育企画という会社のウェブサイトに園田さんの情報がありますのでリンクしておきましょう。

園田高弘

1928年東京中野生まれ。幼少時からピアニストだった父清秀の教育を受け、その後ブゾーニ門下のロシア人ピアニストレオ・シロタに師事。東京音楽学校(今の藝大)に進み、卒業直後の1948年には日本交響楽団(今のN響)の定期演奏会でデビュー。その後渡欧してフランスでマルグリット・ロンの教えを受けました。1954年には初来日したカラヤンの振るN響とベートーヴェンのピアノ協奏曲4番を演奏しています。このあとカラヤンからの推薦で再び渡欧、ベルリンに居をかまえベルリン芸術大学のヘルムート・ロロフに師事するとともにフランスやイタリアで演奏会を開き、1959年にはベルリンフィルの定期演奏会にベートーヴェンの皇帝でデビュー、その後ベルリンフィルとも共演を重ね、チェリビダッケ/ミラノ・スカラ座管、ブロムシュテット/ドレスデン・シュターツカペレなどと共演。今から考えても目もくらむような活躍。ヨーロッパでは「日本のギーゼキング」と称されたそう。1970年代からは日本での活動を増やし、教育者や多くのコンクールの審査員としても活躍しました。今日取り上げるアルバムをリリースしている芸術教育企画は園田高弘自身が立ち上げた会社なんですね。

今回このアルバムを取り上げるにあたって知った「日本のギーゼキング」との呼称、このアルバムのハイドンの演奏を聴くと実に的を射た呼称であることがわかります。淡々と演奏しながら揺るぎない構築感と滲み出る音楽性。音楽に対する確かな視野に基づく一貫した演奏は素晴らしいものです。同種の演奏では名盤の誉れ高いオルベルツに近いものがありますね。

Hob.XVI:35 Piano Sonata No.48 [C] (c.1780)
ピアノはヤマハCFIIIS。落ち着き払って淡々としながらもキラメキ感のある入り。適度なホールの残響。ピアノの録音としては理想的なもの。淡々としながらもタッチにしなやかさがあり、そこから燻し銀の味わいがにじみ出てきます。リズムは揺るぎなく安定しているのでメロディーがちょうど良い具合に浮かび上がり、ハイドンの機知の面白さを知り尽くした人がさりげなく表現するウィットのようなものが自然に伝わります。曲をどう演奏しようかという迷いのようなものは微塵もなく、ただただハイドンの楽譜に謙虚に従うよう。この曲だけが視野にあるわけではなく、園田高弘のハイドンという作曲家に対する確かな視点が音楽に揺るぎない説得力を与えているよう。先の園田高弘のサイトにあるディスコグラフィの解説では、このアルバムはピアノ学習者のための模範的演奏として企画されたとのことで、この演奏の意図がなんとなくわかりましたが、この表現、純粋に鑑賞者たる私にとっても、ハイドンのピアノソナタの演奏としても図抜けたインパクトを持つ演奏です。アダージョの落ち着きながらも輝かしい右手のタッチのキラメキ。フィナーレの端正さも印象的。1曲目から見事な仕上がり。

Hob.XVI:27 Piano Sonata No.42 [G] (1776 or before)
あまりの安定感に曲を聴いているのではなく、連綿と連なる叙事詩を聴いているような意識になります。自然なのに意識が覚醒するような刺激に満ちた演奏。よく聴くとタッチの微妙な変化を含んでいて、淡々としているのに豊穣な響き。完全に引き込まれます。テンポも実に自然に動かしてフィナーレを飾ります。

Hob.XVI:37 Piano Sonata No.50 [D] (c.1780)
聴きなれたメロディーの入りですが、一音一音が変化に富んでいて、まるで新しい曲を聴くような新鮮な気持ちになります。演奏によっては単調にも聴こえるのですが、見違えるような豊かさ。それでいてくっきりとした表情は優れたバランス感覚の賜物。特に劇的な曲想の2楽章の凛とした表情が素晴らしいですね。奏者の一貫した姿勢の強さと曲に潜むエネルギーのぶつかり合い。鳥肌がたつような緊張感。リヒテルの力感からくる強靭さではなく、気高さのようなものを感じます。そしてフィナーレのリズムを浮き立たせた入り。さりげない表現ですが深いですね。

Hob.XVI:36 Piano Sonata No.49 [c sharp] (before 1780)
この曲も印象的な曲想の曲。短調による険しい入りですが、いきなり気高い迫力に圧倒されます。力任せではなくピアノが美しく響くレンジいっぱいを使ったコントロールされた力感、というか力感を感じさせる魔法のタッチのようなものでしょう。続くスケルツァンドではちりばめられた音符の響きの余韻の目が詰まっていて織物のような美しさ。そして最後のメヌエットのしっとりとした落ち着いた表情の美しさ。

Hob.XVI:34 Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
ブレンデルの演奏で刷り込まれた曲ですが、ブレンデルの分厚い左手の迫力ある響きをベースとした躍動感に対して、園田高弘の演奏は一音一音の研ぎ澄まされた響きと音楽の強靭さで聴かせる演奏。わたしはこちらの方が好み。ブレンデルの演奏の完成度を超える印象を与えてくれました。独特の中低域の硬質な響きをもつヤマハのピアノの響きを活かしたアダージョ。そして独特の快活さをもった終楽章。しっかりとリズムを踏みしめるように進めながらもメロディーは輝き、翳り、弾みます。

園田高弘のハイドンははじめて聴きますが、これほどまでに素晴らしいとは思っていませんでした。淡々と弾いているように見えて実に多彩。そして深い音楽。ハイドンのピアノソナタの演奏の中でも指折りのものというのは間違いありません。どの曲も一貫したスタンスで演奏され、どの曲も微塵の揺るぎもない緊密な演奏。完璧です。ピアノ学習者がこの演奏を聴くことは相当な刺激になると思いますが、この演奏に近づくには相当な鍛錬がいることでしょう。もちろん全曲[+++++]とします。

モーツァルトも基本的に同じスタンスの演奏ですが、モーツァルトの方は今少しの軽さを求めたくなってしまいます。もともと得意としているベートーヴェンのすばらしさについては私が語れるものではありませんね。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:35 ピアノソナタXVI:27 ピアノソナタXVI:37 ピアノソナタXVI:36 ピアノソナタXVI:34

友田恭子のピアノソナタ集(ハイドン)

今日は久しぶりの日本人演奏者のアルバム。また一枚、名演盤をみつけました。

YasukoTomoda.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

友田恭子(Yasuko Tomoda)のピアノによるハイドンのピアノソナタ4曲(Hob.XVI:42、XVI:37、XVI:34、XVI:46)と、アンダンテと変奏曲(XVII:6)の合わせて5曲を収めたアルバム。収録は2002年8月28日から30日、青森県鯵ヶ沢にある音楽ホール、日本海拠点館あじがさわでのセッション録音。レーベルはコジマ録音というマイナーレーベル。

このアルバムの奏者である友田恭子さんはもちろんはじめて聴く人。売り場でこのアルバムをみつけてコレクションにないものということだけで、たまたま手に入れたものですが、帰ってライナーノートを読んでみると、この友田さん、アルバムリリース当時は青森県の明の星高校の音楽科の非常勤講師。青森の高校の音楽の講師が青森のホールで録音したアルバムということで、なんとなくアルバムの立ち位置を勝手に想像して、さして期待もせず聴き始めましたが、一音目からあまりに研ぎすまされた響きにのけぞりました。なんたるギャプ! いや、これは素晴しい演奏です。青森県はハイドン王国なのでしょうか?

あらためて友田さんについて調べてみました。彼女のサイトがみつかりましたので、紹介しておきましょう。

ピアニスト友田恭子 Official Website

出身は桐朋学園大学で、卒業後ヨーロッパに渡り、いくつかのコンクールで入賞し、ソロや室内楽、オケとの共演などヨーロッパでの演奏活動ののち1992年に帰国。国内では東京、大阪、神戸、青森などでリサイタルを開いたり、ペレグリーニ四重奏団と共演するなどの活動を行っているとのこと。姉の笠原純子とのピアノデュオではヨーロッパでもリサイタルを開き評判をとったそうです。レコーディングはおそらくこのハイドンのソナタ集がデビュー盤で、他にモーツァルトのソナタ集が4枚、笠原純子とのデュオによるシューベルトなどの録音があります。モーツァルトのソナタ集は評価が高いようで、ピアノ好きな方の間では知られた存在なのかもしれませんね。

このアルバム、ハイドンのソナタの中から詩的な響きの美しい曲を選りすぐった選曲。曲の並びからも並々ならぬ意気込みが伝わってきます。

Hob.XVI:42 / Piano Sonata No.56 [D] (c.1783)
実に落ち着いたタッチで入ります。広めのホールに気持ちよく広がる残響をうまく捉えた録音。ライヴで聴いているような実体感のあるピアノの音が美しく響き渡ります。奏者も録音スタッフもハイドンのピアノソナタが美しく響くツボををよく理解しているような素晴しい録音。右手のメロディのきらめき感がポイント。リズムも落ち着いてしっとりとしたもの。曲の美しさを知り抜いた人のさりげない演奏と言う感じ。岩清水のような清澄さに溢れています。濃い音楽ではなくあくまでも清らかさを主体とした日本人奏者ならではの研ぎすまされた感覚です。

Hob.XVI:37 / Piano Sonata No.50 [D] (c.1780)
キレのいいタッチが印象的な入り。実にオーソドックスな演奏ながら、音楽が適度に弾んで豊かに展開します。さりげないパッセージにも音楽が息づいているあたり、この奏者の力量が示されている感じ。良く聴くと大きな流れの起伏もしっかりついて、しかもディティールの磨き方も非常に自然なもの。この曲でも2楽章のラルゴの、沈みながらもほのかに明るさを保ったフレージングの見事さに上手さが光ります。一貫して爽やかさを保ちながらの詩情の表現。音の流れ、時の流れに身を任せながらゆったりと楽しめます。
たっぷりと間をとって、その間の気配をふまえたフィナーレの入り。このしなやかながら鋭敏な感覚。狂気を感じるようなキレではなく実におだやかな鋭敏さ。最後も爽やかな余韻で終わります。

Hob.XVI:34 / Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
刷り込みはブレンデルの磨き込まれた演奏ですが、友田さんの演奏も磨きこまれ方は劣りません。ただ、日本人らしい爽やかさを基調としている根底のところが違うだけ。左手のアクセントもブレンデルの厚みのある強靭さには及びませんが、逆に、バランスを保った強さと言う意味でいいところを突いています。和音の変化の余韻が美しいので、聴き飽きません。
楽章間のコントラストは程々に、ゆったりとしたアダージョに入ります。淡々と進めながらも儚い美しさ、高音のきらめくような音階の美しさをうまく表現しています。フィナーレに入ると意図的なのか、ちょっとタイミングをはずすような休符で変化をつけ、緩急の変化の面白さを引き出します。やはりフレーズ毎の描き分けも見事なので、詩情も濃くなります。

Hob.XVI:46 / Piano Sonata No.31 [A flat] (1767/70)
終盤にちょっと響きの変わった曲を配置。この曲で際立つのは速いパッセージの音階の鮮やかなキレ。曲ごとの聴かせどころを踏まえて、実に巧みな演出。この曲こそ緩急の面白さが際立ちます。この縦横無尽な音階をさらりとこなすあたり、テクニックはかなりのものと見受けました。
この曲でもアダージョの美しさは格別。オーソドックスなのに音楽が溢れてくる名演奏。音数が少ない曲ゆえ、一音一音の磨き抜かれた響きの美しさがグッと沁みます。あえて音量を落として夜空の星の瞬きのような深みを感じさせます。ほんのりと暖かい音楽に移り変わって行くところの変化の見事さ。フィナーレは今までで一番快活。グイグイ来ます。

Hob.XVII:6 / Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
最後に傑作をもってきます。ここまでの演奏ですっかり聴き惚れてますので演奏スタイルは予想がつくものの、実際に曲が進み、美しいメロディーが変奏となって交錯するところの美しさはなみなみならぬもの。メロディーの描き方が上手いので、音楽が淀まず、清潔感ただよう色気のようなものに聴き惚れます。これまでのソナタで聴かせた清澄な印象は決して構成の弱さなどにつながらず、むしろ美しさを際立たせる方向に作用して、独特の輝きを生んでいます。このアルバム、冒頭にもふれましたが録音が素晴しく、ピアノの響きの美しさと実体感をともに感じる理想的なもの。鯵ヶ沢町のホールでの録音ですが、有名なラ・ショー=ド=フォンで録ったといわれてもおかしくない仕上がり。演奏は最後までゆるまず、素晴しい緊張感がつづきました。

まったく知らなかった友田恭子さんのハイドンのソナタ集。レビューを読んでいただければわかるとおり、大変気に入りました。選曲も演奏もハイドンの面白さを知り尽くした人のものと唸らされるもの。日本人らしい清らかな響きに彩られたハイドンのソナタの演奏として広くオススメできます。評価はもちろん全曲[+++++]とします。友田さんには是非ハイドンのソナタ集の続編の録音を期待したいところです。最近ではダリア・グロウホヴァのショパンのようなハイドンのピアノソナタ集が印象に残っていますが、それに劣らず、日本らしい美しさを帯びたハイドンとして全世界にその素晴らしさを問いたいものです。友田さん、レコード会社の方、是非ご検討ください!

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:42 ピアノソナタXVI:37 ピアノソナタXVI:34 ピアノソナタXVI:46 アンダンテと変奏曲XVII:6

シューラ・チェルカススキーのウィグモアホールライヴ

ピアノソナタが続きます。今日はコンサートをそのまま収めたような素晴しいライヴです。

CherkasskyLive.jpg
amazon / TOWER RECORDS

シューラ・チェルカススキー(Shura Cherkassky)のウィグモアホールでの1993年10月29日のリサイタルの様子を収めたライヴ。レーベルはもちろんWIGMORE HALL LIVE。

チェルカススキーは名前は知っていたものの、演奏を聴くのははじめて。はじめての奏者のアルバムを聴くのはいつもながら楽しみですね。しかも好きなライヴということで期待先行です。いつものように略歴をさらっておきましょう。

シューラ・チェルカススキーは1909年、ロシア(現ウクライナ)のオデッサ生まれのピアニスト。程なくチェルカススキーの家族はロシア革命を逃れるためアメリカに渡りました。ピアノは母に手ほどきを受け、その後カーティス音楽院でヨゼフ・ホフマンに師事、ホフマンは1日4時間の練習を課し、また聴衆を前にしての演奏を重んじましたが、チェルカススキーは生涯にわたってホフマンの教えを守ったとのことで、それゆえ、チェルカススキーの録音の多くはライヴだそうです。1940年代にはカリフォルニアに移り、バルビローリやストコフスキーらとともにハリウッド・ボウルなどに出演した。また1946年のハンブルクでハンス・シュミット=イッセルシュテットの指揮での「パガニーニの主題による狂詩曲」の成功により、ドイツやザルツブルク音楽祭などに出演するようになり、また1957年のウィグモアホールでのリサイタルを契機に、イギリスでも人気が出るようになりました。1961年からはロンドンのホワイトハウスホテルで暮らすようになり、1995年に亡くなるまで住み続けたとのこと。チェルカススキーにとってはウィグモアホールはロンドンで暮らすきっかけになった想い出深いホールなのでしょうね。

今日とりあげるアルバムの録音は1993年とチェルカススキーが亡くなる2年前、84歳の頃の録音。ホールが暖かい雰囲気に包まれている理由がわかりました。

1曲目はラモーのイ短調組曲から7分ばかりのガヴォットですが、これが実にしんみりといい雰囲気。少し距離を置いて奥に定位するピアノの音がホールにゆったりと響き渡ります。残響は多めですが、十分鮮明ないい録音。ライヴを得意としたチェルカススキーの濃厚な音楽が聴衆を釘付けにしているのがよくわかります。拍手もリアルでまさにコンサート会場にいるような臨場感。

2曲目がお目当てハイドン。

Hob.XVI:34 / Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
前記事でグロウホヴァの演奏を聴いたばかりの曲。チェルカススキーはライヴですが流石に安定感は抜群。グロウホヴァほどの個性的な演奏ではありませんが、軽々としたタッチでセッション録音とは異なる閃きが感じられる演奏。速めのテンポで淡々と進め、特に右手の転がるような音階の美しさはかなりのもの。この軽やかながら、適度にメリハリをつけたキレのいいタッチが84歳の奏者のタッチとはとても思えません。ライヴではありますが力任せなとことは全くなく、ハイドン特有の小気味好い雰囲気が実に良く出た演奏。
つづくアダージョは、そのまま速めのテンポながら音量を落として、静かにきらめく美しさが印象的。さらさらとさりげなく進めるのですが、実に味わい深い音楽。このさりげなさの中の感興こそ、チェルカススキーの真骨頂でしょう。音量をさげるほど右手のきらめきが研ぎすまされて行く至芸。終盤にいたるタッチの変化の波の心地よいこと。
フィナーレは静かなタッチから音楽が滲み出てきます。フィナーレはアダージョと比べるとむしろ遅めに聴こえます。アダージョでのさりげなさに対して、フィナーレは明らかに落ち着いた表情。慌てるそぶりは全く見せず、じつにしっとりとメロディーを置いていきます。ちょっとミスタッチもありますが、そこはライヴゆえ、ほとんど気になりません。終盤にかけて曲が徐々に明るく変化するところの、デリケートなニュアンスの変化、そして再び表情を曇らせるところなど、やはり表現の奥行きが深いですね。そっと終えて拍手をもらう作法も流石と唸らざるを得ません。

このあと、ヒンデミット、ショパンにリスト、チャイコフスキーと得意としているレパートリーが続きますが、まさにピアノを楽しむツボを押さえたようなプログラム。流石にライヴの人ですね。ネットを検索しても現在リリースされているアルバムではハイドンが含まれているのはこのアルバムのみ。チェルカススキーの唯一のハイドンのレコーディングということで貴重な演奏でしょう。評価は[+++++]とします。これは真似のできる演奏ではありませんね。短い演奏の中にチェルカススキーと言う人の人生が凝縮されているように感じるのは私だけでしょうか。こころを洗われるようなハイドンでした。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:34 ライヴ録音

【新着】ダリア・グロウホヴァのハイドンのピアノソナタ集第3巻(ハイドン)

ショパンのようにハイドンを弾く人、ダリア・グロウホヴァのソナタ集の3枚目がリリースされました。

Gloukhova3.jpg
amazon / TOWER RECORDS

ダリア・グロウホヴァ(Daria Gloukhova)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ5曲(Hob.XVI:6、XVI:34、XVI:14、XVI:40、XVI:37)を収めたアルバム。このアルバムのタイトルは「ハイドンのお気に入りのソナタ」。収録は2012年11月、これまでの2枚と同じ、モスクワ議会議事堂のラジオ放送収録第1スタジオでのセッション録音。レーベルは米CENTAUR。

短期間に3枚リリースされ、今回のアルバムも有名曲を集めたものではないことことを考えると、もしかして全集を企てているのでしょうか。

2013/12/30 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】ダリア・グロウホヴァのハイドンのピアノソナタ集新盤(ハイドン)
2013/12/02 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】ダリア・グロウホヴァのピアノソナタ集(ハイドン)

いずれにせよ、ハイドンのピアノソナタに新風を吹き込むグロウホヴァの新盤は気になるものということで、迷わずゲットし、迷わずレビューと言う流れです。

Hob.XVI:6 / Piano Sonata No.13 [G] (before 1760)
ごく初期のソナタ。4楽章構成。いつものように軽やかな入り。テンポを自在に動かし、サラサラとメロディーを置いていきます。いつものようにまさにショパンを弾くような詩情が溢れます。ハイドンの古典的な美しいメロディーと簡潔な構成の曲に花の香りをまぶしたような華やかさ。きらめくような高音の音階、疾走するような鮮やかなパッセージとふと力を抜いた間のコントラストが絶妙ですね。リズムを強調せず流すように弾いていくことでメロディーの美しさと構成の面白さをさらりと表現しています。
すっとメヌエットに入り、しっとりと落ちついた景色が広がります。中間部は敢えてすこし刺激を残すようなアクセントを織り交ぜ、ふたたび癒されるようにしっとりとした音楽に戻ります。さりげない変化が音楽を豊かにしています。
お気に入りのソナタというタイトルに偽りなし。このアダージョのデリカシーに富んだタッチは曲の魂に近づいたような渾身の演奏。なんと澄みきった音楽。なんとデリケートなタッチ。この初期のソナタの楽譜からこれほどの香しい音楽が流れ出そうとは。
フィナーレは広がった癒しを片付けるようにさらりと表情を変え、聴くものの脳に創意というものを教えるような機転。軽やかに進むメロディーの純粋に音楽的な響きに安堵。

Hob.XVI:34 / Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
一転してだいぶ後の時代の有名なソナタ。この曲はブレンデルのアルバムの冒頭に置かれていたので、ブレンデルの演奏で刷り込まれたもの。やはりブレンデルの骨太な楽興とはことなり、速めのテンポで力感ではなく流れの良さで聴かせる。ブレンデルがそば粉の噛見応えで聴かせるのに対し、グロウホヴァはそうめんの喉越しで聴かせているよう(笑) このソナタに込められたしなやかな流れの部分にスポットライトを当てて、これまでのこのソナタのイメージとは違った余韻を残します。
アダージョは流れの良さを出そうとしているのか、かなり速めのテンポで入りますが、この速めのテンポでメロディーの一音一音が天の川のきらめきのようなきめ細かな音のシャワーのようになって降り注ぎます。満天の星空を眺めるような澄みきった心境になります。終盤の起伏も迫力ではなくドラマティックに間をとります。
フィナーレはやはりきらめくようなメロディーの美しさが際立ちます。美しいタッチから生まれる控えめな推進力と響きのデリケートな変化。この繊細なニュアンスのコントロールこそグロウホヴァの真骨頂でしょう。この曲をリズムと力感で聴かせる演奏が多かったのでグロウホヴァのさらりとした演奏になじめないかと思いきや、聴いてみると、すっと心に染み込みました。

Hob.XVI:14 / Piano Sonata No.16 [D] (early 1760)
再びごく初期のソナタ。最初の1音の醸し出す癒しにいきなりノックアウト。この音色の感覚、冴え渡っています。千変万化する響きの魅力にやられっぱなし。指一本一本のタッチのコントロールの繊細さに驚きます。この記事を書きながらジャケット写真に目をやると、こちらの心に灯をともすようなグロウホヴァの視線にぐらっときます(笑) なんでしょう、この豊かな音楽。ハイドンのソナタのハイドン自身が書いた音楽に魔法をかけ、妖艶な魅力を与えてしまったよう。フォルテピアノの時代に書かれた音楽が、現代の艶やかなピアノの音色で、艶かしく、そして突き抜けるように清透な響きを帯びて流れていきます。繰り返し奏でられるメロディーが麻薬のように脳の癒し中枢を麻痺させていきます。
続くメヌエットは足早に。流れる音階の快感。そして時折きらめき、時折慌てながら、ハイドンのメヌエットのメロディーと構成の面白さを早送りで見せるような機転。この辺の演出の上手さも唸らされるところです。
フィナーレはメヌエットの流れを受け、早送りのイメージを引き継ぎます。やはり曲を完全に読みこなしてこそのアプローチでしょう。

Hob.XVI:40 / Piano Sonata No.54 [G] (c.1783)
初期のソナタと後年のソナタを交互に配置しているのですね。1783年頃作曲された2楽章構成のソナタ。長調のソナタなんですがすぐに短調に変わる光と影をあらわすような曲調。今までの曲のなかでは一番あっさりとした入り。初期のソナタに素晴しく豊かなニュアンスを与えたのに対し、このソナタでは少し枯れたような表情を垣間見せます。右手と左手のメロディーをすこしずらして聴かせるなど、はっとさせられる部分もあり、この曲ではすこしアプローチがこれまでと変わったようです。豊かなニュアンスを耳が期待しますが、逆に高音の透明感と良く響くピアノの響きの複雑さが聴こえてきます。
プレストに入ると鮮やかなタッチで活き活きとした音階を奏で、特に右手のキレの良い隈取りが音楽に輝きを与えます。2楽章構成のこの曲想に合わせて、響きのデリケートさよりも透明感のある軽やかなキレを聴かせたかったようです。

Hob.XVI:37 / Piano Sonata No.50 [D] (c.1780)
最後の曲は前曲よりも3年ほど遡った1780年頃の曲。アルバムの最後を飾るのに相応しい、色彩感と力感。グロウホヴァ独特の豊かなニュアンスが戻ってきました。速いパッセージなのにタッチのデリケートさと豊かな色彩感が出色。音楽に宿る気配から表情を引き出す鋭い感覚があるのでしょう。一気に弾き進める演奏も多い中、このような速いパッセージでも素晴しく豊かな表情が際立ちます。
つづくラルゴは好きな曲。ゆったりと沈み込む情感が特徴の曲ですが、グロウホヴァは沈み込まず、メロディの美しさを聴かせようとしているのか、フレーズのつなぎ目に間をおかずさらさらと流れる音楽に仕立て上げます。間をおかず軽やかなフィナーレに入りますが、こんどは途中で絶妙にリズムに重さををまぶし、一筋縄ではいかないというところを聴かせます。これも機知。ハイドンが仕込んだのとは異なる機知を織り込んできます。おそらくハイドンが聴いたら、この新しい才能を見抜き、自らの曲に新たな息吹を吹き込むこの奏者を気に入る事でしょう。

ダリア・グロウホヴァのハイドンのソナタ集の3枚目ですが、詩情溢れるグロウホヴァの魅力炸裂の素晴しい出来でした。とりわけ最初の3曲はタッチの繊細さが素晴しい超名演です。アルバムタイトルの「ハイドンのお気に入りのソナタ」に偽りなし。グロウホヴァ自身がソナタの中でもお気に入りの曲を選んで演奏しただけのことはあります。最近の若手ピアニストのなかでもハイドンの演奏にかけては右に出る人がいないほどでしょう。この美貌とこの演奏、ブレイクしそうですね。評価はもちろん全曲[+++++]とします。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:6 ピアノソナタXVI:34 ピアノソナタXVI:14 ピアノソナタXVI:40 ピアノソナタXVI:37 美人奏者

エフゲニー・スドビンのピアノソナタ集

これも最近入手したアルバム。BISからリリースされたピアノソナタ集。ピアニストは未知の人ながら、良いプロダクションの多いBISレーベルの魅力に惹かれて手に入れたもの。

Sudbin32.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

エフゲニー・スドビン(Yevgeny Sudbin)のピアノによるハイドンのピアノソナタ集。ピアノソナタ3曲(Hob.XVI:32、XVI:50、XVI:34)とファンタジア(Hob.XVII:4)、アンダンテと変奏曲(Hob.XVII:6)そして弦楽四重奏曲Op.64のNo.5「ひばり」のフィナーレの6曲。収録はHob.XVI:32とXVI:50が2009年2月、XVI:34とファンタジア、ひばりのフィナーレが2009年6月、アンダンテと変奏曲が2010年1月、イギリス西部のブリストルにある聖ジョージ教会でのセッション録音。レーベルはスェーデンのBIS。

最近のtwitterによると「ハイドンが上手なピアニストはスカルラッティも良い」との法則があり、演奏の頻度から言うと、おそらく「スカルラッティが上手なピアニストはハイドンも良い」との逆法則も成り立つとの盲目的邪推も成り立ちます。このスドビンはスカルラッティを弾いたデビューアルバムが絶賛されたとのふれこみだったのでHMV ONLINEに注文していたもの。元の法則は以前取りあげたチェスのサイトを運営するpascal_apiさんのつぶやきですが、いいところをついていると思います。

エフゲニー・スドビンは1980年サンクトペテルブルク(私の世代にはレニングラードの方がなじみます)生まれのピアニスト。幼い頃から音楽的才能を知られ、1987年にサンクトペテルブルク音楽院、1990年にベルリン、1997年よりロンドン王立音楽院でピアノを学びました。マレイ・ペライヤやレオン・フライシャーに師事し、その後ヨーロッパ、アメリカ、カナダツアーで名を知られるように。2005年にスカルラッティのソナタ集のデビュー盤が好評を博し、その後ラフマニノフ、チャイコフスキーとメトネル、スクリャービンなどのアルバムのリリース。このハイドンのソナタ集はそれに続くもの。2011年1月には初来日しているのでコンサートを聴かれた方もいるのではないでしょうか。

このアルバムのジャケットには若々しい奏者がカジュアルな服装で写っており、もしかしたらアイドル系との憶測もありますが、とりあえずスカルラッティがいいと聞けば、当ブログで取りあげない訳にはいかないと思った次第。

Hob.XVI:32 / Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
ちょっと几帳面な感じはするものの、ピアノを上手く響かせてハイドンの曲の良さを上手い具合に表現する人との第一印象。速い音のつながりのコロコロころがるような心地よさと、左手の迫力ある低音のコントラストがなかなか。一貫して推進力にあふれた進行。ハイドンの前進する力感をうまく表現しています。
2楽章は素晴らしいきらめき感。ちょっと手作り感のあるものですが、それが実にいい味わいを醸し出しています。1楽章とは異なり、つぶやくようなゆったりとしたテンポ。この楽章の音楽性は本物ですね。音を聞かせようという意図ではなく音楽を聴かせようとする姿勢を感じる演奏。実に深い呼吸。なかなか大物ですね。
フィナーレも一音一音が立っているような粒立ちのよさと推進力が素晴らしい演奏。速いパッセージのキレは抜群。この若さでこのハイドンの表現の深さは見事。勢いの良さを最後まで保つかと思いきや、最後の音は思い切り力を抜いたもの。

Hob.XVI:50 / Piano Sonata No.60 [C] (probably 1794)
名曲XVI:50。やはり素晴らしい力感から入りました。この大作ソナタを軽々と、しかも抜群の粒立ちで弾きこなしていきます。低音部が重要なソナタですが、左手の表情はかなり豊かでキレのいい低音を重ねていきます。録音はSACDの最新のものだけあって十分。BIS独特の北欧の空気のような澄んだ音響が心地よいです。スドビンはハイドンの楽譜を楽しみながら弾き進めていくような余裕があり、装飾音を加えたり、リズムを変化させたり、構えたところはなく自在な演奏。
この曲もアダージョの音楽性はピカイチ。夕暮れに星が瞬き始めるようなかすかなきらめきをが絶妙。抑えながらも表現は濃い瞬間。オーロラの揺らめきのようにうっすらと表情を変えていく、まさに推移の芸術。
3楽章は2楽章の静かな感動から覚醒するように鮮烈なリズムを刻みます。キレのいいタッチと自在なリズムを重ねてあっという間に曲を結びます。

Hob.XVI:34 / Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
この曲も名曲。かなりスタッカート気味にはじまります。ブレンデルの演奏では低音から沸き上がる音階の面白さに焦点があたっていたものを、スドビンは音符配置の面白さを強調しているよう。高音の音階はまるで編み機から繰り出されるように滑らかなもので、左手の音階と、右手の音階の表情が全く異なる魅力を放つテクニカルな表現。またしても右手から繰り出される転がるような音階は痛快そのもの。途中、おそらくわざとでしょうが、たどたどしさを感じさせる部分もあって、なかなか興味深い演奏。
この曲もアダージョの表現は秀逸。高音のきらめきの美しさはスドビンの持ち味ですね。この曲でもめくるめく美しさが素晴らしいものです。
ハイドンのソナタのフィナーレの中でも非常に覚えやすいメロディーのこの曲。聴き慣れたメロディーラインを自在に変化をつけて、生まれたてのメロディーのように刻んでいきます。

Hob.XVII:4 / Fantasia (Capriccio) op.58 [C] (1789)
弾き散らかすがごとき切れ味で入るファンタジア。音符を完全に自身のものとして自在に弾き進めます。速い音階の切れ味、リズムの切れ味、表現の切れ味の三拍子そろった演奏。途中非常に長い休符をとって表現力を見せつけます。この曲は素晴らしいテクニックと自在な音楽性を嫌というほど見せつけるような素晴らしい演奏です。

Hob.XVII:6 / Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
古くから名演奏の多いこの曲ですが、スドビンは冒頭から詩情あふれるきらめきで圧倒。やはり只者ではありませんね。最初は軽い響きから入りますが、音楽の濃さは別格。伝統の重さを知っているからか、この曲では表現はオーソドックスな範囲にとどめているよう。指のキレは相変わらす素晴らしいものがあり、曲自体を最高の演奏で楽しむような極上のひと時。この曲がこれほど高音のメロディーが美しい曲だったと再認識させられるような素晴らしい演奏。最後の渾身の響きも鋼のような見事なものでした。

Hob.III:63 / String Quartet Op.64 No.5 "Lerchenquartetett" 「ひばり」 [D] (1790)
最後は弦楽四重奏曲のフィナーレをピアノに編曲したもの。3分少々の曲ですが、この腕にしてこの曲を選んだと唸らされるもの。原曲ももちろんいいんですが、このピアノ版も、この演奏でしか聴く事のできない驚きに満ちています。このアルバムのアンコールピースのようなアクロバティックな要素も持つ演奏。


最近聴いた若手のハイドンのピアノソナタの中ではピカイチの出来。エフゲニー・スドビンの演奏によるハイドンのピアノソナタ集はハイドンのソナタの真髄をえぐる素晴らしい演奏でした。スカルラッティを弾いたデビューアルバムが評判となった人だけあって、ハイドンのソナタも自然かつアーティスティックな魅力をもつ素晴らしい演奏でした。これは将来が楽しみな人。若手でこれだけ表情豊かなハイドンを弾くとは驚きにに近い印象です。評価はもちろん[+++++]とします。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:32 ピアノソナタXVI:50 ピアノソナタXVI:34 ファンタジアXVII:4 アンダンテと変奏曲XVII:6 弦楽四重奏曲Op.64 ひばり スカルラッティ SACD

絶品、バイロン・シェンクマンのピアノソナタ集

今日は最近手に入れた中でとても良かったピアノソナタ集を取り上げます。

Schenkman.jpg
HMV ONLINEicon / amazon

バイロン・シェンクマン(Byron Schenkman)のピアノによるハイドンのピアノソナタ集。ピアノソナタ5曲(XVI:35、XVI:36、XVI:34、XVI:30、XVI:37)とピアノ三重奏曲としても知られるヴァイオリンソナタ(XV:32)、そしてピアノ三重奏曲の2楽章をもとにしたアダージョ(XV:22/II)の計6曲。収録は2005年の5月、アメリカ中部のアイオワ州、アイオワ州立大学クラップリサイタルホールでのセッション録音。久々にアメリカものですね。レーベルはロスにあるCENTAURというレーベル。レーベルの赤いマークを見てわかるとおりケンタウルス(半人半馬の怪物)という意味のようです。

ピアノソナタの未聴盤はわりと積極的に手に入れるようにしているんですが、もちろん玉石混合。このアルバムは1つ前のレビューで紹介したデートレフ・クラウスの素晴らしい枯淡の表現を感じたアルバムとともに、最近手に入れた中では抜群の出来の一枚。

ピアニストのバイロン・シェンクマンははじめて聴く人。ジャケットには仏の慈悲のごとく微笑む優しい笑顔のピアニストが、ピアノの前にたたずむ姿。ジャケットからもオーラが出ています。アメリカ人のピアニストでハープシコードやフォルテピアノも弾くようです。ニューイングランド音楽院やインディアナ大学などで音楽を学び、最初はハープシコード、フォルテピアノ奏者として活躍し、その後ピアニストとしてデビューとのこと。このアルバムにはモダンピアニストとしてはじめての録音であることが表記されています。本人のサイトがありますのでリンクを張っておきましょう。

Byron Schenkmanのサイト(英文)

要はピアニストとしては本盤がデビュー盤ということですが、そうは思えない円熟の響きが聴かれます。

1曲目はハ長調のXVi:35、1780年頃の作曲。いきなり透明感の高い素晴らしい響き。最新の録音らしくホールに響くピアノの美しい音色が印象的。速めのテンポで指もよくまわってよく流れるメロディーライン。フレーズの切れ目はたっぷりと休符をとり、ふたたび快速テンポのメロディーラインに移り快速のまま終了。
2楽章は非常にゆったりした流れ、このアダージョ楽章の透明感と情感の高次のバランスがこのアルバムの聴き所の一つになっています。力が抜けて、メロディーのエッセンスのみが響いていく感じは悪くありません。
3楽章はアクセントをキリッと決めて、メリハリ感も聴かせどころになります。1曲目は全体の印象を左右する重要な役割がありますが、透明感とテンポ感、表現の幅ともに良い演奏。最初の1曲はシェンクマンの力を正直に表した良い演奏と言えるでしょう。

2曲目はXVI:36、1780年以前の作曲。冒頭はぐっと大振りな勢いで挨拶代わりに見栄を切るようなインパクトのある特徴的な出だし。以降は、若干重さを感じるようなゆったりしたテンポで1楽章のメロディーを訥々と表現して行きます。2楽章は軽いタッチで美しい音色を生かした展開。抑えた部分の軽さの表現も十分にコントロールされています。このの人の巧さは、デリケートな弱音のコントロールでしょう。綿菓子をさわるときはその軽さに合わせて触れますが、そういった力加減が非常に巧い人という印象。3楽章のメヌエットはゆったり感満点の展開。ゆったりした流れのなかにハイドンの暖かいメロディーを楽しむ絶妙の演奏。

次は名曲XVI:34ホ短調。1780年代の作曲。冒頭の特徴的な曲想を軽々とさっぱりした指使いでこなします。速いパッセージを軽々とこなしますが、テクニックの誇示と言うような雰囲気は微塵もなく、素晴らしい指の動きで1楽章を終えます。2楽章のアダージョの音楽性は素晴らしいもの。この楽章にハイドンが込めた詩情を非常に自然に表現。特にテンポのコントロールが巧みで、ちょっとしたところでテンポを落とすのを効果的に使い、フレーズの切れ目を巧く表現しています。3楽章のクッキリした推進力も見事。勢いだけではなくフレーズのコントロールが巧いため曲のメリハリを有機的に描いているように聴こえます。この曲も素晴らしい演奏。これは凄い。

次のXVI:30は1776年の作曲。この曲も素晴らしい演奏。1楽章の非常に変化に富んだメロディーを巧く表現しているのに加え、後半のぐっとテンポを落とすところの表現も見事。ハイドンの曲の面白さをのツボがわかっている感じですね。2楽章は変奏曲ですが、変奏ごとの表情の付け方は孤高と言ってもいい澄み切ったもの。

ソナタの最後は名曲XVI:37、1780年頃の作曲。1楽章のクッキリとした旋律を右手の輝きに満ちたタッチで描き、テンポのコントロールも一定ながら、フレーズ感の休符を長めにとってメリハリ感は十分。あっさりとした演奏ながらこれ以上の表現は必要ないとも思わせる完成度。2楽章は意外に迫力に満ちたもの。冒頭の一音から聖堂の大伽藍を思わせる重厚な音色。そして消え入るようにつづくフレーズ。なんという解釈。この楽章はハスキルの演奏に代表される情感を色濃くだすものと思っていましたが、シェンクマンの描く2楽章は全く異なる険しい世界でした。そしてつづく3楽章は前楽章の静寂をうけて静かに始まりますが、途中から険しさも顔をみせるようになり、右手のキラメキ感とともに曲をすすめ、フィニッシュ。デュナーミクの繊細なコントロールが印象的な名演奏ですね。

そしてピアノ三重奏曲としても知られるヴァイオリンソナタ(XV:32)。ヴァイオリンはケイティ・ウォルフェ(Katie Wolfe)。アイオワ州立大学の准教授としてヴァイオリンを教えている人のよう。本人のサイトがありましたので、リンクを張っておきましょう。

Katie Wolfeのウェブサイト(英文)

ヴァイオリンとピアノの息がピタリとあって素晴らしいアンサンブル。シェンクマンのピアノに寄り添うようなケイティの落ち着いた音色のヴァイオリン。楽器が2台になったとたん掛け合いの妙が楽しめるんですね。この曲も素晴らしい出来。

最後はこのアルバムのアンコールピースのようなピアノ3重奏曲からのアダージョ(XV:22/II)。そっとピアノに振れるようなタッチで優雅なアダージョをゆったりと弾いていきます。ハイドンならではのシンプルながら味わい深いメロディー。この感興は聴いていただかないと伝わらないと思いますが、しみじみ心に響く名旋律。シェンクマンの極上のタッチで存分に楽しめます。最後の余韻の消え入る美しさは絶品ですね。

ふと見つけたこのアルバムですが、その演奏はハイドンのピアノソナタの魅力を存分に味わえる名演奏でした。評価はすべて[+++++]としました。別に超絶的なテクニックでも、突き抜けた個性を持つ訳でもないんですが、さらっと弾いているようでハイドンのピアノソナタの本質をえぐるような表現力があり、非常に説得力があります。久々に「ハイドン入門者向け」タグも進呈です。ハイドンをこれから聴こうというひとにおすすめの一枚。今日はシェンクマンの素晴らしい演奏に酔いしれました。良いお休みでした。

この人にはこのアルバムより前に入れたフォルテピアノによる初期のハイドンのソナタ集が同じCENTAURレーベルよりリリースされているんですが、こちらも注文しなくてはなりませんね。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:35 ピアノソナタXVI:36 ピアノソナタXVI:34 ピアノソナタXVI:30 ピアノソナタXVI:37 ヴァイオリンソナタ ハイドン入門者向け

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

最新記事
カテゴリ
タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6バッハすみだトリフォニーホールピアノソナタXVI:34ピアノソナタXVI:20ピアノソナタXVI:49ピアノソナタXVI:46サントリーホールブーレーズラヴェル弦楽四重奏曲Op.74弦楽四重奏曲Op.71変わらぬまことモーツァルトアルミーダチマローザ騎士オルランド無人島哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ英語カンツォネッタ集ピアノ協奏曲XVIII:3ピアノ協奏曲XVIII:1ピアノ協奏曲XVIII:11ピアノ協奏曲XVIII:4弦楽四重奏曲Op.20交響曲3番古楽器ラメンタチオーネ交響曲79番アレルヤチェロ協奏曲1番驚愕オックスフォード交響曲88番交響曲58番交響曲19番交響曲27番アンダンテと変奏曲XVII:6ベートーヴェンショスタコーヴィチ紀尾井ホールドビュッシーストラヴィンスキーピアノ三重奏曲ミューザ川崎オーボエ協奏曲協奏交響曲LP日の出ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:38ピアノソナタXVI:29スタバト・マーテルピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:39ピアノソナタXVI:48ブルックナーマーラーヒストリカル十字架上のキリストの最後の七つの言葉交響曲97番告別交響曲90番交響曲99番奇跡交響曲18番ひばり弦楽四重奏曲Op.64フルート三重奏曲悲しみ交響曲102番交響曲86番ヴァイオリン協奏曲哲学者小オルガンミサニコライミサミサブレヴィス交響曲95番交響曲93番交響曲78番時計軍隊ピアノソナタXVI:23王妃ピアノソナタXVI:52ライヴ録音SACD武満徹チェロ協奏曲交響曲81番交響曲80番交響曲全集マリア・テレジア交響曲21番豚の去勢にゃ8人がかりクラヴィコードBlu-ray東京オペラシティ交響曲12番交響曲10番交響曲9番交響曲11番太鼓連打ロンドン交響曲2番交響曲15番交響曲4番交響曲1番交響曲37番弦楽四重奏曲Op.54ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:2ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:3ピアノソナタXVI:5ピアノソナタXVI:1天地創造ディヴェルティメント東京芸術劇場リヒャルト・シュトラウス交響曲98番ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:35ピアノソナタXVI:7ロッシーニドニぜッティライヒャ弦楽三重奏曲皇帝シェーンベルク東京文化会館ホルン協奏曲フルート協奏曲弦楽四重奏曲Op.2弦楽四重奏曲Op.17弦楽四重奏曲Op.9剃刀弦楽四重奏曲Op.103弦楽四重奏曲Op.77ファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:26ピアノソナタXVI:31バードタリスアレグリモンテヴェルディパレストリーナピアノソナタXVI:6美人奏者四季迂闊者交響曲70番アコーディオンピアノ協奏曲XVIII:7バリトン三重奏曲スコットランド歌曲ヴェルナーガスマンシューベルト交響曲67番ピアノソナタXVI:24交響曲51番交響曲35番交響曲46番DVD交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:21ピアノソナタXVI:28アリエッタと12の変奏XVII:3ラ・ロクスラーヌ帝国弦楽四重奏曲Op.76ハイドンのセレナードピアノソナタXVI:51ラルゴ五度ピアノソナタXVI:44ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.1弦楽四重奏曲Op.33騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス時の移ろい交響曲42番ベルリンフィルホルン信号弦楽四重奏曲Op.55交響曲87番トランペット協奏曲リュートピアノソナタXVI:10ピアノ五重奏曲チェチーリアミサ東京国際フォーラムラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン雌鶏交響曲39番冗談ナクソスのアリアンナピアノ協奏曲XVIII:9ピアノ協奏曲XVIII:5ヴァイオリンソナタ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2ロンドン・トリオモテットカノンドイツ国歌オフェトリウム弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールパッヘルベルアダージョXVII:9受難交響曲84番パリセットベルク主題と6つの変奏オペラアリアピアノソナタXVI:41スクエアピアノ交響曲68番交響曲57番リラ・オルガニザータ協奏曲リーム交響曲89番交響曲50番CD-R偽作トビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師オルガン協奏曲交響曲38番火事リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲77番交響曲34番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日校長先生ピアノソナタXVI:47bis音楽時計曲ピアノソナタXVI:11ピアノ小品カートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲91番交響曲66番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47第九読売日響オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7オペラ序曲天地創造ミサジャズネルソンミサ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルンライヴ府中の森芸術劇場裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャ交響曲56番マリアテレジア2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ新橋演舞場交響曲5番テ・デウムサルヴェ・レジーナカッサシオン室内楽曲ピアノソナタXVI:45ベトナム料理国立新美術館高音質CD交響曲28番交響曲13番交響曲62番交響曲107番交響曲108番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲スカルラッティ声楽曲カンタータ戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲54番交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲65番交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽狩りピアノソナタ

ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
08 | 2018/09 | 10
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

このブログの成分解析。キーワードによるブログランキング。
blogram投票ボタン

大家さんFC2のクラシックブログランキング。


おすすめ(音楽)
当ブログが発掘した超名演盤
ViventeR.jpg
衝撃の爆演(記事1 記事2

PetersenQ.jpg
Op.1の超名演(記事

Destrube.jpg
美音の饗宴(記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック


クラシックの独自企画・復刻盤は要注目


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実
HMVジャパン
HMV & BOOKS ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV & BOOKS ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

おすすめ(音楽以外)





アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
144位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
10位
アクセスランキングを見る>>
twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ