【新着】アン=マリー・マクダーモットのピアノソナタ集第2巻(ハイドン)

最近リリースされたCD。

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アン=マリー・マクダーモット(Anne-Marie McDermott)のピアノによるハイドンのピアノソナタ集の第2巻。収録曲はHob.XVI:48、XVI:39、XVI:46、XVI:37の4曲。収録は2017年4月17日から18日にかけて、デンマークのオーデンセ(Odense)のカール・ニールセンコンサートホール(Carl Neelsen Musikhuset)でのセッション録音。レーベルは米BRIDGE。

ちょっとエリザベス・テイラーを思わせる美貌のピアニスト、アン=マリー・マクダーモット。2014年にハイドンのソナタと協奏曲を収録した2枚組のアルバムがリリースされていましたが、緩徐楽章の美しい音楽が魅力的な一方、速いテンポの楽章にちょっとそそくさとした印象があって記事に取り上げるほどのインパクトはありませんでした。今回Vol.2がリリースされ、ちょっと聴いてみると、なかなか深い演奏ではありませんか。ということで記事に取り上げることにした次第。

アン=マリー・マクダーモットはアメリカのピアニスト。風貌から想像するにアンジェラ・ヒューイットと同世代の方と見受けました。略歴などを見ても年齢や師事した人などの記載はなく、数多くのコンクールで優勝してコンサートピアニストとして長年活動している方ということです。調べてみると日本の浜松で1991年に開催された浜松国際ピアノコンクールで2位と日本人作品最優秀演奏賞を受賞していますね。アルバムはBRIDGEレーベルからショパン、モーツァルト、プロコフィエフなどのアルバムがリリースされていますが、中でもハイドンの2枚目のアルバムをリリースしてくるということは、ハイドンにひとかたならぬ情熱を傾けているということでしょう。ライナーノーツにはこのところの欧米や中国でのリサイタルでオールハイドンプログラムを演奏しているとも記載されています。彼女もハイドンの純粋無垢な美しさにとらわれたのでしょう。

Hob.XVI:48 Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
ピアノはヤマハCFX。最近ではジャン=エフラム・バヴゼがヤマハを使ってソナタ全集の録音に挑んでいますね。硬く澄んだ中音域がヤマハらしい音色。ゆったりとしたテンポでまるで山水画のように侘び寂びを感じさせるような入り。前作から明らかに演奏スタイルが進化しているように聴こえます。静寂の中に音を置いてく様子が枯山水の玉石のなかに点在する岩のよう。一音一音の余韻にうっすらと乗る淡い色彩の絶妙な変化を楽しむような趣。1曲目から素晴らしい緊張感に包まれます。
続くプレストは前作とは異なり、さらりと流すような余裕があり、しかも音符のグラデーションの綾を描くような統一感があります。軽妙洒脱なハイドンのウィットと純音楽的なキラメキが高度に融合した素晴らしい演奏。タッチも鮮やか。

Hob.XVI:39 Piano Sonata No.52 [G] (1780)
続いて軽いタッチのソナタ。キレ良く楽しげなタッチでハイドンの宝石箱のようなメロディーをなぞっていきます。実に楽しそうに演奏しているのが伝わります。そして微妙に陰る部分の陰影のデリケートなコントロールはハイドンのソナタを演奏し続けているからこそ表現できるポイントでしょう。変奏が重なって音楽がどんどん展開していく面白さを、フレーズごとに表情を微妙に変えることで表現していきます。そして最初のメロディーに帰ってきたときに広がる安堵感。ソナタの面白さを存分に味わえます。
続くアダージョはもとより深い情感の表現に長けたマクダーモット得意の楽章。いきなり峻厳な輝きに満ちた美しさに包まれます。純粋無垢な美しさとはこのような演奏のことでしょう。深い呼吸としなやかなタッチから生まれる絶美の瞬間。特に高音の磨き抜かれた響きの透明感と弱音のコントロールが見事。マクダーモットの演奏でこの楽章の素晴らしさを再認識した次第。
フィナーレもいい意味で力の抜けたいい演奏。複雑な音階をさらりと弾き進めていきますが、大きな音楽の流れをしっかりとつかんで進めているのでせいた感じは皆無。音楽の軽さとタッチの適度な重さが絶妙。

Hob.XVI:46 Piano Sonata No.31 [A flat] (1767/70)
初期のソナタの中では有名なもの。フレッシュな響きを意識しているのかこのソナタでも軽やかさは変わらず。メロディーラインをくっきりと浮かび上がらせながらもかなり短く切られた伴奏音が軽やかさを印象づけます。メロディーラインの響きの美しさ、表情の豊かさと一貫した伴奏の描き分けの見事さに唸ります。おそらくこれまでのコンサートでも繰り返し演奏したことでこの境地に到達したのでしょう、初期とはいえこの音楽の深みは見事という他ありません。
楽しみにしていた美しい曲想のアダージョ。空間の透明度が極限まで上がったような研ぎ澄まされた音楽に引き込まれます。響きの純度もこれ以上ないほどで、特に高音のメロディーは宝石のごとく輝き、詩情が滲み出してきます。ハイドンの美しいアダージョに浸る至福のひととき。冬の高原で満点の星を眺めるがごとき趣。セッション録音にも関わらず、今そこでピアノを弾いているような極上のコンサートを独り占めしている心境になります。絶品。
フィナーレは再び軽やかさを取り戻しコミカルでウィットに富んだ音楽をさらりと流します。この流し方が粋なんですね。軽く表情をつけながらもサラリ感に満ちた音楽で最後をまとめます。

Hob.XVI:37 Piano Sonata No.50 [D] (c.1780)
最後は中期の曲。鮮やかなタッチの魅力を最後に聴かせようということでしょう。速いパッセージにもくっきりとメリハリをつけながら決して足早に聴こえることないよう注意深く演奏されてています。この曲は1楽章の軽やかな展開から、2楽章でグッと沈み込む対比が聴かせどころですが、1楽章の鮮やかさが、次の展開の対比を想起させるハイドン一流の仕掛けがあります。
その仕掛けを見事に表現。2楽章のラルゴの冒頭は沈み込むのではなく壮麗な伽藍を思わせる見事な入りで度肝を抜きます。私の想像を見事に超えてきました。まさにマクダーモット入魂の演奏。ハーモニーに魂が宿ります。
そしてそよ風のような自然なフィナーレの入り。楽章間の変化の面白さを見事に活かした演奏は流石にハイドンを弾きこんできただけのことはあります。最後は媚びることなくさらりと軽やかに終えるところも見事。いやいや素晴らしい演奏でした。

マクダーモットの最初のハイドンの録音(下に参考アルバムとして掲載)から大きく進化した2枚目のアルバムは多くのコンサートでオールハイドンプログラムを演奏し続けてきたマクダーモットの面目躍如。最近聴いたハイドンのソナタ集では出色の出来です。高音の輝きはまるでグルダを思わせ、全体の見通しよく、ハイドンならではの機知やユーモアを織り交ぜながらも研ぎ澄まされたアーティスティックさでまとめられた素晴らしい演奏でした。このアルバムのジャケット写真をよく見ると、マクダーモットがピアノに向かいハイドンと心の対話をしながら演奏しているように見えてなりません。このソナタ集、必聴です。評価は全曲[+++++]とします。

(参考アルバム)
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【新着】オリヴィエ・カヴェーのソナタ集第2弾(ハイドン)

久々の新着アルバム。CDです!

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オリヴィエ・カヴェー(Olivier Cavé)のピアノによるハイドンとベートーヴェンのピアノソナタ集。ハイドンのソナタはHob.XVI:32とXVI:48の2曲で、ベートーヴェンの3曲のソナタ(Op.2-1、Op.2-2、Op.10-2)に挟まれた曲順。収録は2017年9月にベルリンのテルデクススタジオでのセッション録音。レーベルはα。

オリヴィエ・カヴェーのソナタ集の第1弾は以前に取り上げており、しかもその演奏は素晴らしいものでした。

2015/07/05 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】オリヴィエ・カヴェーによるピアノソナタ集(ハイドン)

演奏以上に意欲的だったのが、ハイドンとスカルラッティを交互に並べ、「明と暗」とタイトルをつけたアルバムの企画。このあたりのことは前記事をご参照ください。そして今日取り上げるアルバムはレーベルは異なるものの同じouthereグループのレーベルで、今度はハイドンの中期以降のソナタとベートーヴェンの初期のソナタを交互に配置したもの。この2枚のアルバムで、ハイドンのソナタを音楽史というより音楽の成り立ちの変遷のパースペクティヴの中で位置付けようと意図しているのでしょう。しかも前アルバムは暗闇の中にすっと浮かぶカヴェーの姿を写したジャケットだったのに対し、今度は目も眩むような明るさの中に浮かぶカヴェーの姿を基調としたもの。なかなかコンセプチュアルな企画に、聴く前から興味津々です。

1曲目はベートーヴェンのソナタOp.2-1ですが、作曲年は1796年とハイドンの存命中。いかにもハイドン的なリズムの面白さと、シンプルながらほのぼのとしたアダージョが印象的な曲。カヴェーの演奏は透明感に溢れたもので、タッチも極めてデリケート。特にアダージョの鏡面に映る星空の澄んだ空気感のようなものが素晴らしい演奏。実に柔らかなタッチから生まれる極上のピアノの響きを堪能できます。メヌエットから終楽章にかけてはハイドンには聴かれなかったエネルギーが漲りベートーヴェンらしさを感じさせます。

Hob.XVI:32 Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
ベートーヴェンよりも少し硬めの音でくっきりとメロディーを浮かび上がらせます。基本的に速めのテンポで爽快に進めますが、1音1音のタッチの揺るぎない感じと、巧みな音量変化のキレの良さで聴かせる演奏。それぞれの音の打鍵から余韻が消えるまでが克明に聴こえることでハイドンの書いたリズムとハーモニーの巧みな融合が実に興味深く感じられます。指先の隅々まで神経が行き届いていて、さらりと弾いていながら実に深い音楽が流れます。特に高音のメロディーラインがきっちり浮かび上がるので、曲の見通しが素晴らしくよく感じられます。
続くメヌエットでは、先ほどベートーヴェンのアダージョで聴かせたしなやかなタッチが復活。メロディーラインでも弱音を非常に効果的に用いてハッとするようなアイデアでフレーズをまとめて行くあたり、タッチの多様さは驚くほど。語りかけるようなピアニッシモから楔のようなアクセントまで表現力は多彩。
そしてフィナーレでは高まる気のようなものを伴って、速いパッセージをグイグイ引き進めていきます。鮮やかなタッチのキレ、透明感、展開の対比などハイドンのソナタに必要な表現について手抜かりなく繰り出してきます。最後はカッチリと締めて終わります。

続いてベートーヴェンのOp.2-2。曲の構えはさらに大きくなり、リズムもハイドンと比べるとぐっと複雑に。ただし音楽の流れの良さはハイドンのシンプルな楽想に分があるように感じるのは私だけでしょうか。ユニークな2楽章、これまでの中ではハイドンっぽいスケルツォ、そして終楽章のロンドンは展開が進むにつれて徐々に音楽のスケールが大きく育っていきます。

Hob.XVI:48 Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
ベートーヴェンの後に聴くと、ハイドンのメロディーラインの明快さと潔さが一層引き立ちます。この曲でもタッチのキレの良さと、余韻の美しさは絶品。よく聴くとかなりの音量差を伴ってくっきりとメロディーを描いています。この緩急自在のタッチこそカヴェーの本領でしょう。そして音階の美しさも同様。しんしんと降る雪に音が吸い取られ、静寂の中にピアノの音が響くような峻厳な美しさ。これぞカヴェー。2楽章のロンドはタッチの冴えも極まってリズムはキレキレ、鍵盤に重さを感じないほどにリズムがいきいきとする見事な演奏。まるで練習で弾いているがごとき遊興の極み。いやいや参りました。

最後のベートーヴェンのソナタはOp.10-2。入りから鍵盤を目一杯使って、ハイドンの作品とは展開のアイデアも規模も違う感じ。私はハイドンをベートーヴェンと対比させて聴いていますが、聴きかたを変えればベートーヴェンをハイドンと対比させて聴くことになり、そういった耳で聴くとこの展開のボキャブラリーとエネルギーに耳が行くわけですね。ハイドンを演奏するのに必要なテクニックと同様のテクニックながら、より表現力を要し、しかもその表現が映える曲の構造であるということが、直接対比させることで見えてくるわけです。これは、このアルバムを通しで聴いていただくことで初めて感じられる感覚かもしれません。

オリヴィエ・カヴェーによるハイドンのソナタの第2弾は、ハイドンに続くベートーヴェンとの繋がりを浮かび上がらせるという企画意図がピタリと決まったアルバムでした。ハイドンだけ聴いたとしても、冴え渡るタッチの素晴らしさを感じられる一級の演奏に違いありませんが、ベートーヴェンと並べることによって、音楽の発展や時代の流れを感じられるのに加えて、ハイドンにはベートーヴェンにない簡潔な美学があることも気づかされます。そしてこの構成で最も際立ったのがカヴェーの表現力でしょう。スカルラッティの見事な演奏とハイドンを組み合わせた時と同様、ベートーヴェンと並べて両者に共通する感覚を意識させながら弾き分ける手腕の凄みを印象付けました。企画意図、演奏共に素晴らしいアルバムです。ハイドンの2曲の評価は[+++++]とします。

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アンドレ・ワッツ デビュー25周年記念ライヴ(ハイドン)

久々にCDです(笑)

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アンドレ・ワッツ(André Watts)のデビュー25周年記念で行われたカーネギー・ホールでのコンサートの模様を収録したアルバム。この1曲目にハイドンのピアノソナタ(Hob.XVI:48)が収められています。その他の収録曲はモーツァルトのK.332、シューベルトのD.784、ブラームスの4つの小品Op.119。収録は1988年4月6日、ニューヨークのカーネギーホールでのライヴ収録。レーベルは今は亡き英EMI。

アンドレ・ワッツは私にとっては懐かしい人。昔、父がFM放送から何曲かエアチェックしたカセットテープあり、好んで聴いましたが、それが誰の曲だったか、記憶があまりにもおぼろげでもはや覚えていません。その記憶以来ワッツの演奏を意識して聴いたことはありませんでしたが、このアルバムのジャケットでにこやかに微笑む姿を見て、懐かしく思った次第。特段ハイドンを演奏するという印象がある人ではありませんでしたが、このアルバムにハイドンの曲が含まれているとわかり手に入れました。

アンドレ・ワッツはWikipediaなどを調べてみると、1946年、ドイツのニュルンベルクでアフリカ系アメリカ人の父とハンガリー人の母の間に生まれました。フィラデルフィア音楽院でピアノを学び、何と9歳でフィラデルフィア管弦楽団とハイドンのピアノ協奏曲を演奏したそう。その後1963年、バーンスタインがCBSテレビの全国放送である「青少年コンサート」に招き、有名になりました。以来ワッツのコンサートはテレビ放送で幾度も取り上げられるなど、テレビによってキャリアを築いてきた人のようです。ワッツの録音を調べてみると、ハイドンのソナタを収めたディスクは他にもあり、コンサートでもハイドンを取り上げていたようです。今日取り上げるディスクはワッツのデビュー25周年を記念してニューヨークのカーネギー・ホールで開催されたリサイタルの模様を収めたものですが、同時期にリンカーンセンターでメータ指揮のニューヨークフィルとの共演 で、ベートーヴェン、リスト、ラフマニノフの協奏曲を演奏したコンサートも催され、こちらもテレビ中継されたとのこと。特にリストを得意とするということで、テクニックには自信があるようです。日本にも1969年に初来日しており、以降何度も来日しているようですので、実演に接した方もいらっしゃるかもしれませんね。

Hob.XVI:48 Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
カーネギーホールに降り注ぐ暖かい拍手から始まる雰囲気たっぷりの録音。非常にデリケートなタッチで優しく音を響かせて入ります。聴衆が耳を澄ましてワッツの美音に聴き入るピンと張りつめた気配包まれての演奏。美しい音階が特徴の曲ですが、その音階を力を抜いてサラサラと清水が流れるように響かせる円熟のタッチ。一音一音を丁寧に置いていきながら、余裕たっぷりに流れをコントールして、淀みを作ったり、さらりと流したりしながら、ハイドンの楽興の彼方に引き込まれていく快感。ホールの空気感が伝わる名録音。1楽章は未曾有の緊張感にしびれます。そして2楽章に入ると指が気持ちよく回り、ハイドンの曲を軽々と弾きこなしていきます。素晴らしいテクニックの持ち主が、力を抜いてさらりとこなす粋な演奏。殺気がみなぎるようなアムランとも異なり、シフのような濃い目の情感を伴うこともなく、純粋無垢な響きに包まれる演奏。純粋に音楽の躍動とハーモニーの透明感、そしてリズムの戯れを味わえる名演奏。最初の1曲目から聴衆を釘付けにする見事な演奏。拍手の前にブラヴォーが気持ちよく響きます。ハイドンのソナタの最上の姿にこの日の聴衆はいきなり幸福感に包まれたことでしょう。

続いてモーツァルトのK.332。これまた素晴らしいモーツァルト。これほど美しく響くモーツァルトは久しぶり。ハイドンも絶品だったんですが、こちらも極上の演奏。まるでカーネギーホールで当時の興奮を味わっているような至福のひととき。自身の四半世紀の活躍の節目というタイミングのコンサートにワッツがどれだけの準備をしたのでしょうか。あまりに完璧な演奏にとろけそうです。そして、シューベルトもブラームスも集中力が途切れることなく完璧な音楽が流れます。

アンドレ・ワッツのデビュー25周年を記念したライヴですが、まさに宝物のようなアルバム。この日のコンサートを聴いた聴衆はワッツのピアノの素晴らしさに打ちひしがれたでしょう。冒頭に置かれたハイドンのソナタのなんたる美しさ。ワッツの円熟のタッチから生み出される美しい響きにノックアウトです。ピアノの好きな方は必聴のアルバムでしょう。もちろんハイドンの評価は[+++++]とします。てにはいるうちにどうぞ。

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tag : ピアノソナタXVI:48 ライヴ録音

ジャン=クロード・ぺヌティエのピアノソナタ集旧録音(ハイドン)

またまたお宝盤発掘! どうしてもLPにいってしまいます。

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ジャン=クロード・ぺヌティエ(Jean-Claude Pennetier)のピアノによるハイドンのピアノソナタ3曲(Hob.XVI:34、XVI:48、XVI:49)を収めたLP。収録は1984年10月、南仏マルセイユの北にあるソーヴァン城(Château de Sauvan)でのセッション録音。レーベルはharmonia mundi FRANCE。

ぺヌティエのハイドンのソナタの録音は以前に取り上げていますし、ラ・フォル・ジュルネで実演も聴いています。

2015/05/04 : コンサートレポート : ジャン=クロード・ペヌティエの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」(ラ・フォル・ジュルネ)
2010/11/24 : ハイドン–ピアノソナタ : ジャン=クロード・ペヌティエのピアノソナタ集

以前取り上げたピアノソナタ集のCDは曲はXVI:50、51、52などで、録音は1999年から2000年にかけて。今日取り上げるアルバムの録音はその約15年前の1984年の録音で、曲はXVI:34、48、49とCDとは重なっておらず、ハイドンのピアノソナタの晩年の名曲を網羅する形になっています。CDというメディアが世の中に出回ったのが1982年ということでこのLPはその直後の録音ということになります。ネットで調べてみた限りではこの録音がCD化された形跡もなく、知る人ぞ知る存在でしょう。

針を落としてみると、驚くほど瑞々しい響き。ジャケットにはピアノはベーゼンドルファーを使っていると書かれています。気になってCDの方をチェックしてみるとこちらはスタインウェイ。CDも非常に響きに美しい録音でしたが、このLPにはベーゼンドルファーの豊穣な響きが最上の形で記録されています。

Hob.XVI:34 Piano Sonata No.53 [e] (c.1782)
少し遠くに残響を伴って定位するピアノ。LPのコンディションは最高で響きの美しさが際立ちます。ぺヌティエの強力な左手のアクセントがメリハリをつけながらの流麗なタッチ。後年の悟ったような表情は見せず、曲の淀みない流れの美しさに焦点を当てた演奏。1楽章はあっという間に流れていきます。1楽章の演奏から想像できましたが、続くアダージョは自然なデュナーミクの美しさが極まる絶美の演奏。ぺヌティエの自在なタッチの魅力にとろけそう。そしてフィナーレも自然な表情の美しさを保ったまま、流れるようなタッチでどこにもストレスを感じさせない演奏。ピアノの純粋無垢な響きの美しさが楽しめます。時折り響きをざらりと分解するような表現でハッとさせるのも効果満点。最後にクライマックスを持ってくるあたりのマナーもオーソドックスでいいですね。

Hob.XVI:48 Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
続くソナタも響きの美しさと流れの良さは変わらず。しかも一音一音の表情が実に豊かで、ハイドンのピアノソナタのオーソドックスな演奏の最上の姿と言っていいでしょう。特に低音の余裕のある図太い響きの魅力はLPならでは。ちょっと強面のぺヌティエのぶっとい指からこれほどの詩情が立ち上るとは。タッチに余裕があるからこそコントロールできる柔らかさということでしょう。まさに夢見心地で響きに酔います。ゆったりとした雰囲気をさらりとかわすかのようにそよ風のような優しさて、驚くほど流麗なタッチで2楽章に入ります。テンポはかなり速めにもかかわらず、まるで魔法のように鮮やかなタッチで弾き進めます。若きぺヌティエの驚くべきテクニック。タッチの冴えをここぞとばかりに聴かせますが、驚くほど自然に響くところに凄みを感じさせます。これは凄い!

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Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
LPをひっくり返して最後のソナタ。片面に1曲ゆったりとカッティングされているため響きにも余裕があります。この曲はリズムとメロディーの面白さを融合したハイドンの見事な筆致を楽しめる曲。ぺヌティエの自然なタッチは変わらず、左手の図太いアクセントと流麗な右手のパッセージが乱舞する絶妙な演奏。スタインウェイよりも内声部が豊かに響くように感じるためか、非常に豊穣に響きわたります。フレーズ毎の表情ではなく流れるように表情を変えていくことでメロディーの自然なつながりの面白さが浮かび上がります。2楽章は前2曲同様自然な詩情の美しさが沁みます。もう少し表情が濃いとロマン派の曲のように聴こえてしまう寸前のバランス感覚。大きな波のようにうねる曲想をしっかりと捉えてゆったりと盛り上げます。宝石のように磨き抜かれた響きに三度うっとり。この曲はフィナーレがメヌエット。最後まで落ち着き払ったぺヌティエの見事なコントロールで、ハイドンの機知に溢れたソナタを一貫してロマンティックな姿に仕立て上げてきました。この曲も最後の一音を轟かせて終了。

ジャン=クロード・ぺヌティエの1984年に録音されたハイドンのピアノソナタ集。ベーゼンドルファーの豊かな響きを活かした秀逸な録音によって若きぺヌティエがハイドンを流麗にまとめた演奏。後年の録音では枯れたところも聴かせましたが、このころのぺヌティエの演奏はタッチの鮮やかさも、バランスよくまとめる力も後年よりも上と聴きました。この3曲は絶品の出来と言っていいでしょう。評価はもちろん3曲とも[+++++]とします。LPの再生環境がある方、見かけたら即ゲットをオススメします!

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アレクサンドル・スロボジャニクのXVI:48(ハイドン)

またしてもLPです。

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アレクサンドル・スロボジャニク(Alexander Slobodyanik)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ(Hob.XVI:48)、ショパンのマズルカから4曲(No.19、20、21、42)、プロコフィエフのピアノソナタNo.6(Op.82)の6曲を収めたLP。残念ながら録音年に関する記載はなく、またネットを調べても判明しませんでした。LPの状態などから1970年代の録音かなと想像しています。レーベルは露Мелодия(Melodiya) 。

こちらは最近オークションで手に入れたもの。見たことも聞いたこともない奏者のアルバムを手に入れるのは実にスリリングで楽しいものですね。このアルバムの奏者のアレクサンドル・スロボジャニクもそうした奏者で、これまで全く知らなかった人。Wikipediaなどによれば、1941年、現ウクライナ、旧ソ連のキエフ生まれのピアニスト。アルバムの解説では1942年生まれとありますが、どちらが正しいかはちょっとわかりません。7歳でウクライナの西端、ポーランド国境近くにあるリヴィウ(Lvov)にあるリヴィウ音楽院でピアノを学び、その後モスクワ音楽学校でリヒテルの師でもあるゲンリフ・ネイガウスに学び、またモスクワ音楽院でヴェラ・ゴルノスタエヴァに師事しました。1966年に開催されたチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で4位に入るなどして国際的に名が知られるようになり、以来50年にわたってピアニストとして活躍したそう。1968年にアメリカにデビューツアーを行い、カーネギーホルでのコンサートが評判となり、米ソの文化交流が途絶える1979年までアメリカ、カナダツアーを繰り返していました。9年間のブランクの後、1988年のアメリカツアーはシカゴ・トリビューン紙から「勝利の帰還」と称賛されました。以後欧米の主要なオケとの共演するなど国際的に活躍し、亡くなったのは2008年とのこと。欧米での活躍に比べ日本での知名度は今ひとつだったのでしょう。

このスロボジャニクの弾くハイドン、これがなかなか凄みを感じさせる演奏なんですね。

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Hob.XVI:48 Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
適度に残響が含まれる澄んだピアノの響きの美しさが感じられる録音。冒頭からデリケートなタッチで豊かな詩情を醸し出す演奏。それでいて徐々に直裁なタッチも垣間見せ、霊気を帯びたような独特の雰囲気にただならぬ迫力を感じます。スロボジャニクの特徴はこの雰囲気のある直裁なタッチでしょう。1楽章はしなやかな静寂感と強奏部分の力強さとを織り交ぜ聴かせたりと表現の幅の大きさを印象付けます。この曲は2楽章構成。続くプレストへの入りは微風のような爽やかさを感じさせる絶妙なもの。軽やかなタッチでコミカルなメロディーを刻み徐々に強音を織り交ぜていくタッチの鮮やかさは流石なところ。短い楽章ですが聴きごたえ十分。この小曲でも冷静に起伏をつけながらこれだけの表現の変化を聴かせる手腕は見事でした。

続くショパンのマズルカはちょっと録音の印象が変わってハイドンの方が鮮度が高く音がいいですね。スロボジャニクの演奏はハイドンと同様の傾向を感じますが、ショパンとしてはかなり辛口の演奏でしょう。そして裏面のプロコフィエフも録音はショパンと同様。スロボジャニクの冴え冴えとしたタッチの魅力と迫力にはこの曲が一番合うでしょう。音が飛び散るようなプロコフィエフ独特の雰囲気を見事に表現しています。このアルバムの聴きどころはハイドンと並んでこのプロコフィエフでしょうね。

このハイドンの演奏で思い起こしたのは若い頃のグールドのキレ。もちろんグールドの強烈な個性とは比べられませんが、変幻自在のタッチのコントロールとその鮮やか、そして主情を排した冷徹な雰囲気はグールドに近い凄みを感じます。また硬めのピアノの音色もそう思わせるのでしょうね。現在入手できる音源は少ないものの、この見事な演奏から往時の凄みは感じることができました。ハイドンの評価は[+++++]といたします。

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tag : ピアノソナタXVI:48 LP

フランツペーター・ゲーベルスのソナタ集(ハイドン)

ちょっと間が空いてしまいました。今日は最近オークションで手に入れたLP。

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フランツペーター・ゲーベルス(Franzpeter Goebels)のフォルテピアノによるハイドンのピアノソナタ(Hob.XVI:6)、カプリッチョ「豚の去勢にゃ8人がかり」(XVII:1)、ピアノソナタ(XVI:48)、アンダンテと変奏曲(XVII:6)の4曲を収めたLP。収録は1981年10月、ハイデルベルクの音楽スタジオとフランクフルトのフェステブルク教会でのセッション録音。レーベルはmusicaphon。

なんとなくスッキリとしたデザインのLPジャケットに惹かれて手に入れたもの。いつものようにLPをVPIのレコードクリーナーと必殺超音波極細毛美顔ブラシで丁寧にクリーニングして針を落としてみると、ジャケットのデザインのイメージそのままのスッキリとした響きが流れ出します。律儀な普通の演奏にも聴こえますが、何度か聴くうちに実に深い演奏であることがわかり取り上げた次第。

奏者のフランツペーター・ゲーベルスは1920年、ドイツ東部のミュールハイム(Mülheim an der Ruhl)に生まれたピアニスト、フォルテピアノ奏者、教育者。修道院のオルガン奏者の父を持ち、ピアノを学ぶ他、音楽学、文学、哲学などを学びました。1940年からはドイツ放送(Deutschlandsender)のソロピアニストととして活躍しましたが、兵役に徴収されたのち収監されました。戦後はデュッセルドルフのロベルト・シューマン音楽院で教鞭をとるようになり、1958年からはデトモルトの北西ドイツ音楽アカデミーでピアノとハープシコード科の教授を1982年の定年まで勤めたそう。亡くなったのはデトモルトで1988年とのこと。ほぼ教職の人ということで、あまり知られた存在ではありませんが、演奏はまさに教育者の演奏と感じられる手堅さに溢れています。

Hob.XVI:6 Piano Sonata No.13 [G] (before 1760)
鮮明に録られたフォルテピアノの響き。LPならではのダイレクトな響きによってフォルテピアノを眼前で弾いているようなリアリティ。一定の手堅いテンポでの演奏ながら、硬めの音と柔らかめな音を巧みに組み合わせて表情を変化させていきます。純粋に内声部のハーモニーの美しさが実に心地良い。素直な演奏によってフォルテピアノの木質系の胴の響きの余韻と曲の美しさが際立ちます。
続くメヌエットは左手の音階を短く切ってアクセントをつけます。ちょっと音量を落としたところの響きの美しさが印象的。高音の典雅な響きも手伝って、リズミカルな中にも優雅な雰囲気が加わります。実に素朴なタッチからニュアンス豊かな響きが生まれます。鍵盤から弦を響かせるフリクションの範囲での穏当な表現ですが、この音色の変化は見事。妙に沁みる演奏です。
そしてこの曲で最も美しいアダージョ楽章。ピアノの澄んだ響きとは異なり、微妙に音程が干渉するようなフォルテピアノ独特の音色が味わい深い響きを生んでいきます。楽器と訥々と会話するような孤高の響きの連続に心が安らぎます。
フィナーレは軽すぎず、穏当な表現が心地良いですね。しっかりと音を響かせながら決して焦らず、一音一音をしっかり響かせての演奏。さりげない終わり方もいいセンス。

Hob.XVII:1 Capriccio "Acht Sauschneider müssen sein" 「豚の去勢にゃ8人がかり」 [G] (1765)
ユニークなメロディーを変奏で重ねていく7分弱の曲。今度は音色をあまり変えることなく、ちょっとギクシャクした印象を伴いながらもフレーズごとのメリハリをつけながら弾き進めていきます。変奏の一つ一つを浮かび上がらせるというよりは、渾然一体となったメロディーを訥々と弾いていく感じ。終盤はバッハのような印象まで感じさせて、これはこれで面白いですね。

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Hob.XVI:48 Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
LPをひっくり返して再びソナタに戻ります。晩年の傑作ソナタの一つ。今度は間をしっかりとっての演奏。ソナタによってしっかり演奏スタイルを変えてきますが、それでもすっきりとしたゲーベルスのタッチの特徴は残しています。ソリストというよりは教育者としての演奏といえば雰囲気が伝わるでしょうか。かといって教科書的な厳格さではなく、抑えた表現の深みと円熟を感じるすっきりさ。やはりLPならではの響きの美しさが最大の魅力となる演奏ですね。眼前でフォルテピアノが鳴り響く快感。
2楽章のロンド、3楽章のプレストとも落ち着いたタッチからジワリと音楽が流れ出します。噛みしめるような音楽。フォルテピアノをしっかりと鳴らし切った演奏に不思議に惹きつけられます。

Hob.XVII:6 Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
最後は名曲。予想通り、さりげなく入り淡々とした演奏です。まさにハイドンの書いた音楽自身に語らせようとする自然体の演奏。この曲はそうした演奏スタイルが最も曲の良さが映えますね。流石に変奏の一つ一つの扱いは丁寧で、フレーズごとに素朴な詩情が立ち上り、曲の美しさが際立っていきます。まさにいぶし銀の演奏。A面の変奏曲とは扱いが全く異なります。このアルバムの演奏の中では最も音色とダイナミクスの変化をつけた演奏で、変奏毎の表情の変化の多彩さが印象的。最後までフォルテピアノの美しい音色による演奏を堪能できました。

実はこのアルバム、前記事を書いてからほぼ毎日、なんとなく針を落として聴いていました。最近仕事の帰りが遅いので、聴いているうちに寝てしまうのですが、最初はただのさりげない演奏のように聴こえていたものが、だんだんと深みを感じるようになり、特に音色の美しさが非常に印象に残るようになりました。ということで、私にしては珍らしく聴き込んだ上で取り上げたものですが、書いた通り、実に良い演奏です。フランツペーター・ゲーベルスという人の演奏は初めて聴きますが、なかなか含蓄のある演奏で、流石に教育者という演奏。どう表現しようかというスタンスではなく、曲の真髄に迫る演奏スタイルを地道に探求するようなスタンスですね。私は非常に気に入りましたので、評価は全曲[+++++]とします。

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ニキタ・マガロフのピアノソナタXVI:48(ハイドン)

なんだかLPの勢いが止まりません。こうなったら今月はLPに特化します!

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amazon(別装丁CD)

ニキタ・マガロフ(Nikita Magaloff)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ(Hob.XVI:48)、ベートーヴェンのピアノソナタ30番、リストの「パガニーニによる大練習曲」の3曲を収めたLP。収録情報は記載されていませんが、同音源を収録したCDの情報によると1960年8月のおそらくセッション録音。レーベルはPHILIPSの日本盤ですが、フォノグラムではなく日本ビクター時代のもの。解説にソナタが奏鳴曲と記されているところに時代を感じますね。

このLPは最近オークションで手に入れたもの。手元にマガロフの弾くハイドンのアルバムはヴァントが伴奏を務めるピアノ協奏曲くらいで、その演奏もあまり記憶にありませんでした。ところが最近記事にした、フレデリク・マインダースのピアノソナタを聴いて、マインダースのしなやかな演奏の原点がマガロフに師事していたというところにあるような気になり、マガロフのソナタを聴いてみたいと思っていたところ、タイミングよくオークションで見つけて手に入れたという次第。こうした巡り合わせもあるもんですね。

2017/02/03 : ハイドン–ピアノソナタ : フレデリク・マインダースのピアノソナタXVI:49(ハイドン)

ピアニストの演奏の個性というのはなんとなく師事したピアニストの影響を受けるもの。ブログを始めたばかりの頃、カルメン・ピアッツィーニの演奏が師事したハンス・レイグラフの演奏にそっくりだったので調べたらレイグラフに師事していたことがわかりびっくりしたことが、当ブログで奏者の略歴などをいちいち調べるようになったきっかけとなりました。

2010/02/15 : ハイドン–ピアノソナタ : ピアノソナタ全集のあれこれ

ということで、マインダースの、ハイドンの演奏としては珍しくリズムよりもしなやかさに聴きどころを持ってきた背景には師事したマガロフの影響があるだろうとの仮説を検証するためにマガロフを手に入れたという、歴史を遡る仮説検証的興味が脳内に充満している状態。ハイドン以外に特段詳しくもない私でも、ニキタ・マガロフといえばショパンを得意としていたようであるというくらいの感触は持っていて、仮説もそれほど的外れなものではなさそうであるとの憶測もあり、興味津々といったところ。

さらに歴史を遡るわけではありませんが、一応マガロフの略歴もwikipediaなどからさらっておきましょう。

ニキタ・マガロフは1912年、ロシアのサンクト・ペテルスブルクでジョージア(グルジア)貴族の家系に生まれたピアニスト。1918年に家族共々ロシアを離れてフィンランドに渡ります。家族ぐるみの付き合いだったプロコフィエフに刺激を受け、ウクライナ出身のピアニスト、アレクサンドル・ジロティとともに音楽を学び、その後パリ音楽院に進みピアノ学部長のイシドール・フィリップに師事、またパリ音楽院を卒業した1929年にはラヴェルに才能を認められます。マガロフも恩師であるイシドール・フィリップから優雅で折り目正しい趣味のよさを受け継いでいるとのこと。ピアニストとして活躍し始めたのは戦後になってからで、やはり、ショパンの演奏で知られるようになり、特に1974年から78年にかけてPHILIPSレーベルに録音したショパンのピアノ音楽全集は、初めての全曲録音としてのみならず、録音も良く、またマガロフの叙情的かつ端正な演奏が評判となった名盤とのことです。
教育者としても有名で、1949年、あのディヌ・リパッティの後任として1949年から1960年までジュネーブ音楽院の教授を務め、教え子にはマルタ・アルゲリッチ、マリア・ティーポ、イングリット・ヘブラーなど錚々たるピアニストがいます。
私生活ではヨーゼフ・シゲティの伴奏を務めていた縁で、シゲティの娘と結婚し、スイスのジュネーブに居を構えました。亡くなったのは1992年、スイスレマン湖畔のヴェヴェイとのこと。

マガロフの録音履歴を見ると、1950年代後半からポツポツと録音され始めていますので、今日取り上げるアルバムも1960年とごく初期のもの。しかも、ジャケットにもレーベル面にも誇らしげに”HI-FI STEREO”とグィーンと表示されており、ステレオ初期のもの。このレーベルは珍しいですね。

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Hob.XVI:48 Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
盤のコンディションはそこそこでしたが、2度ほどクリーニングしてノイズは綺麗さっぱり無くなり、演奏に集中できます。多少歴史を感じる雰囲気はありますが、ピアノの響きは非常にいい感じ。しなやかさは期待通りですが、叙情的すぎず、落ち着いたタッチから紡ぎ出されるピアノの音色が心地よいですね。前の記事のハンス・シュタットルマイアの演奏でも感じた「気品」に満ちた演奏。端正な中にも程よい芳香が感じられる演奏。この録音当時48歳くらいですので、この味わい深さは流石です。
このソナタは2楽章構成。2楽章に入ると、クッキリとメロディーを浮かび上がらせるタッチのキレを感じさせます。曲の勢いよりも少し遅れて盛り上がる独特の雰囲気。早いパッセージもさりげなくこなしますが、どこかに力の抜けた感じを伴い、優雅さがあります。ハイドンのソナタからは展開の面白さを強調する演奏が多い中、あえてさり気なく弾き進め、メリハリはメロディーを浮かび上がらせるところくらいで、やはりしなやかかつ雰囲気を重視した演奏。そう、仮説通り、フレデリク・マインダースの演奏の原型を感じさせる演奏でした。ただ鍵盤へのタッチから音がなるだけのピアノですが、こうした気配や魂のようなものが師から弟へ受け継がれていくわけですね。

つづいてベートーヴェンの30番、B面はリストの「ラ・カンパネッラ」を含む「パガニーニによる大練習曲」。ベートーヴェンも力感よりも味わいが勝る、まさに気品に満ちた演奏。そして、ショパンとともに得意としていたリストでは、驚くようなきらめきに満ちた演奏でした。これはいいですね。

わたしは、あまりイメージのなかったニキタ・マガロフでしたが、ひょんなきっかけから興味をもち、マガロフという人のことを調べ、その音楽を聴き、なんとなくこの人の音楽というか、独特の美学にふれたような気になりました。また、このところいろいろピアノの古い演奏を聴き、ピアノという楽器の表現力の幅広さをあらためて知った気がします。さらっと聴くとなにげない演奏ですが、実に深い演奏でした。ベートーヴェンとリストと組み合わされたハイドンという構図もいいですね。いいアルバムを手にいれることができました。評価は[+++++]とします。

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【新着】ジョン・オコーナーのピアノソナタ集(ハイドン)

今日はピアノの美しい響きをとことん味わえるアルバム。

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TOWER RECORDS / amazon / ローチケHMVicon

ジョン・オコーナー(John O'Conor)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ5曲(Hob.XVI:32、XVI:23、XVI:46、XVI:20、XVI:23)を収めたアルバム。収録は2016年8月29日、ニューヨークのスタインウェイホールでのセッション録音。レーベルはピアノで有名なSTEINWAY & SONS。

最近リリースされたアルバムをチェックしていて、何気なく手に入れたアルバムですが、ピアノメーカーのスタインウェイが自らリリースしているアルバムということで、ちょっと気になる存在でした。世界中の一流のピアニストに弾かれる楽器ゆえ、多くのピアニストの中から、スタインウェイの美音を最も美しく響かせる演奏に違いないとの想像力も働きます。

ピアニストのジョン・オコーナーは1947年、アイルランドのダブリン生まれのピアニストで教育者。ダブリンのベルヴェデーレ・カレッジでピアノを学んだ後、オーストリア政府の奨学金でウィーンに留学、ディーター・ウェーバーの元で学びました。その間、ケンプにベートーヴェンの演奏の教えを受け、1973年にウィーンで開催された国際ベートーヴェンピアノコンクールで優勝、1975年にはベーゼンドルファーコンクールで優勝し、世界に知られるようになったとのこと。今回アルバムをリリースしているスタインウェイとはライバル関係にあるベーゼンドルファーのコンクールで優勝しているのも何かの因果でしょうか(笑)

これまでにリリースされているアルバムを調べてみると、TELARKレーベルからベートーヴェンのピアノソナタ全集、協奏曲全集、モーツァルトの協奏曲全集などがリリースされており、やはりベートーヴェンを得意としているようですね。

ということで、早速聴いてみます。

Hob.XVI:32 Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
流石に最新の録音だけあってピアノの臨場感は素晴らしいものがあります。自然な響きと鍵盤の重みが伝わってくるような録音。このところエイナフ・ヤルデンやツィモン・バルト、デニス・コジュヒンなど、ハイドンの機知をアーティスティックに表現したピアノを聴いてきましたが、このジョン・オコーナーは実にオーソドックスで変な自己顕示欲は皆無。淡々とハイドンの書いた音楽をピアノに乗せていく感じの演奏で、安心して演奏を楽しむことができます。オコーナー自身もリラックスして演奏を楽しんでいる感じ。かといってオルベルツほど枯れてもおらず、程よくバランスのとれた演奏。先生が楽しげに見本で演奏しているような感じ。この「楽しげに」というのが大事なところ。タッチが精緻を極めるわけでもなく、このすっかりリラックスしてストイックさとは無縁の表情がハイドンの面白さを引き立てるわけです。

Hob.XVI:23 Piano Sonata No.38 [F] (1773)
軽いタッチで入る曲。まるで朝飯前だとでも言いだしそうなカジュアルな入り。これが曲想にピタリ。よく聴くと一音一音が磨かれていて、流石にピアノの音色は絶品です。1楽章は流れるように一貫して軽めにサカサカ弾き進めていくのが乙なところ。
素晴らしいのが続くアダージョ。軽さを保ちながらも、ぐいぐい響きが深く変化して行きます。デリケートな表情の変化に引き込まれます。音の長さを絶妙にコントロールして曲の一貫性を保ちながら表情を変えていく表現が素晴らしい。
そして軽いフィナーレ。同じ軽さでもわずかな曇りを帯びさせて曲想に合わせているのがわかります。ピアノの響きをリアルに伝える録音だからこそ、こうしたデリケートな変化を味わえます。

Hob.XVI:46 Piano Sonata No.31 [A flat] (1767/70)
同じく軽くくるのかと思いきや、実に滑らかしっとりとした表情にハッとさせられます。ピアノの響きの表情の変化を実に巧みに表現してくる、さすがスタインウェイという演奏。ふとしたフレーズの切り替えのアクセントの一音の変化で響きが実に新鮮に聴こえます。こうしたところを控え目にさりげなく挟んでくるのが流石なところ。静寂の中に浮かび上がるハイドンのメロディーの美しさが際立ちます。徐々にタッチがチョコがとろけるように流れ出したり、千変万化するオコーナーのタッチに聴き惚れます。この曲からこれまで聴いたことのないような多彩な響きがあふれ出します。
前曲同様、アダージョの美しさは絶品。とりわけピアノの響きの美しさは鳥肌もの。凜と澄んだ夜空に浮かぶ天の川を眺めるよう。細かい星雲に無数の表情が宿り、美しい音楽が心に刺さります。
対比のためにあえて繊細さを避けるようにグイグイとくるフィナーレで曲を引き締めます。

Hob.XVI:20 Piano Sonata No.33 [c] (1771)
好きな曲。入りは意外に少し重め。この短調の入りを厳かなコントラストで強調しようということでしょう。もちろんふと力を抜いたり、さりげないアクセントで曲の変化の面白さを炙り出してくるところはこれまで同様。力の抜き際のタッチの鮮やかさが徐々に印象的になり、曲にグイグイ引き込まれて行きます。最初の重さから徐々にキレてくる絶妙な演出。聴き進むうちにオコーナーの意図がなんとなくわかってきました。
ハイドンのソナタの緩徐楽章の中でも一二を争う美しい楽章。期待どおり、あまりの美しさに言葉になりません。この詩情あふれる楽章がオコーナーの手にかかると、美しさも極まり、一音一音が宝石のごとく輝きます。ピアノという楽器の素晴らしさを思い知らされる感じ。
フィナーレはアンダンテの余韻をすっと断ち切り、気配を一瞬にして変えるマジックのよう。全く異なる音楽の魅力を突合させるハイドンのアイデアとそれを鮮やかに演出するオコーナーの技にやられました。

Hob.XVI:48 Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
最後の曲は唯一晩年の曲。最後は余裕たっぷりに有名曲の演奏を楽しむスタンス。自分の指から繰り出される多彩な響きを自ら楽しんでいるよう。ピアノの余韻が消え入る美しさを存分に味わえます。聴き進むうちに後年の作曲であるアンダンテと変奏曲を先取りするような曲想を感じさせる大きな構えの音楽であることに気づきます。
そして、絶妙な軽さのタッチでのロンド。このタッチの変化の幅の大きさと自然さがオコーナーの魅力でしょう。重さも軽さも自在に使い分けながらピアノという楽器の表現の幅を生かしきった演奏。ハイドンだけにダイナミクスの表現の幅は上品な範囲でこなしていくところが良識的です。最後はカッチリとした響きで締めました。

ベテランピアニスト、ジョン・オコーナーによるハイドンのソナタ集。最初はオーソドックスな演奏かと思いきや、これは深い演奏です。途中で触れたように、最近聴いたエイナフ・ヤルデンやツィモン・バルト、デニス・コジュヒンなどハイドンの曲に潜む機知をアーティスティックに表現した演奏とは表現の方向が異なり、自然な美しさの範囲での表現ですが、円熟の技がもたらすその美しさはかなりのもの。ピアノメーカーであるスタインウェイがリリースするアルバムだけあって、ピアノという楽器がもつ響きの美しさを存分に活かした演奏となりました。これはこれで素晴らしいもの。非常に気に入りました。XVI:20も良かったんですが、その前のXVI:46は、この曲の素晴らしさを改めて知ることになった秀演です。もちろん評価は全曲[+++++]とします。

これほど美しい音色ゆえ、できればSACDでリリースすべきでしょうね。

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ボビー・ミッチェルによるソナタ集(ハイドン)

今日はフォルテピアノによるソナタ集。

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TOWER RECORDS / amazon / HMV ONLINE
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ボビー・ミッチェル(Bobby Mitchell)のフォルテピアノによるハイドンのピアノソナタ3曲(Hob.XVI:23、XVI:28、XVI:48)、アダージョ(Hob.XVII:9)、アンダンテと変奏曲(Hob.XVII:6)の5曲を収めたアルバム。収録は2014年1月13日から15日、ベルギーのブリュージュ音楽堂でのセッション録音。レーベルはouthere MUSICグループのAlpha Productions。

このアルバム、タワーレコード新宿の店頭で見かけて手に入れたもの。マーキュリーが輸入盤に解説をつけてパッケージしたもの。いつもながら輸入盤そのままの雰囲気に丁寧な翻訳、解説をつけたパッケージングがありがたいですね。

ジャケットは意表を突く犬がフォルテピアノのような楽器を弾く姿の油彩。解説を見てみると、これはハイドンと同時代のフィリップ・レイネグルという人が描いた「びっくりするくらい音楽がわかる、とある犬の肖像」というもの。この謎めいたジャケットからこのアルバムに込められた創意が伝わってくるようで聴く前から実に興味深いもの。

奏者のボビー・ミッチェルは1985年生まれのアメリカのピアニスト。マイアミのインターロッケン芸術アカデミー、ニューヨークのイーストマン音楽院などで学びました。その後渡欧し、オランダのデン・ハーグ王立音楽院でピアノ、歴史的ピアノ奏法などを学び、ドイツのフライブルク音楽院でロバート・ヒルに師事。2013年にベルギーのブリュージュ古楽コンクールで入賞し、本盤の録音につながったとのことです。このアルバムにはボビー・ミッチェル自身による「21世紀の今、ハイドンの作品を録音するということ」という記事が掲載され、その内容が実に深い洞察を含むもの。彼の主張を要約すると、ハイドンの時代の楽器と、その演奏スタイルを意識して演奏するが、自分自身から湧き出てくる音のことばとして読み解き、そのことばで流暢に語ることにこだわっているということ。そして、それゆえ当時よく行われてきたように、曲間やフェルマータの箇所で即興を挟み、それは作曲家と張り合おうということではなく、そうした混沌を挟むことによって作曲家の作品の素晴らしさを際だたせようとしているといことです。彼の演奏はフォルテピアノによるありきたりな演奏ではなく、彼のことば通り、ハイドンの音楽の多様な魅力を際だたせようとそこここに即興を挟み、大きな川の流れのように感じさせるもの。ハイドンに対するアプローチの角度が非凡。なんとなく「びっくりするくらい音楽がわかる、とある犬の肖像」をジャケットに使った意図もわかってきました。

この録音に使われている楽器はハイドンが活躍していた18世紀末のオーストリア、ドイツ南部のヨハン・アンドレアス・シュタイン作のモデルと良く似た作者不詳の楽器とのこと。コンディションは非常によく、フォルテピアノの録音としては理想的なものですね。

Hob.XVI:23 Piano Sonata No.38 [F] (1773)
ホールに自然にフォルテピアノの響きが広がる名録音。音の粒立ちというか鮮度は抜群で、楽器がよく鳴っているのがわかります。ボビー・ミッチェルはクッキリとメリハリをつけながらもテンポを自在に揺らし、最初から即興的なタッチの面白さを感じさせ、ハイドンの曲に仕込まれた機知を十分踏まえているよう。スピードコントロールの自然な加減を楽しむような風情。速い部分でタッチのキレを見せたかと思うと、しっとりと長い休符をとり、曲の立体感をしっかり際だたせるあたり、そしてそれがハイドンの曲の真髄をふまえたものと感じさせる手腕は見事なものです。
続くアダージョはさらに見事。ミッチェルがまさに自身から湧き出てくる音のことばとして弾いているのがよくわかります。ミッチェルの指にハイドンの魂が乗り移ったような活き活きとした音楽。そしてフィナーレに入る瞬間のえも言われぬ絶妙さ。この冴え渡るセンスはミッチェルのただならぬ才能を感じさせるところ。ちょとした修飾と間の取り方でこのソナタがこれだけ冴えた表情を見せるということがミッチェルの非凡さを物語ります。

そして曲の結びの余韻を踏まえた短い即興が入りますが、これがまた絶妙。ソナタとソナタを実に見事につなぎます。

Hob.XVI:28 Piano Sonata No.43 [E flat] (1776 or before)
すっかりミッチェルの術中にハマって、ミッチェル自身の音のことばにどっぷり浸かります。ミッチェルはハイドンの楽譜の上で自在に遊びまわるよう。本当に自在。それがミッチェルの独りよがりに聴こえないのが凄いところ。聴いていただければわかりますが、演奏自体は実に自然な印象を保っていますが、これまでフォルテピアノの演奏でここまで自在な演奏は聴いたことはありません。奏者によってここまでの表現に行き着くということを思い知ります。前曲よりさらに踏み込んだ境地に達しています。
つづくメヌエットは遠い日の記憶のような不思議な入り。曲に潜む気配のようなものをえぐり出す才があるようです。音量を落として静かに語るようなタッチの妙。
そしてフィナーレは非常に個性的な曲想をこれもえぐり出すように際だたせ、冴え渡るタッチで描いていきます。いつ聴いても不思議なメロディーですが、その不思議さを際だたせるという常人離れした解釈。う~ん、凄いです。

ふたたび即興。現代音楽的な冷たさがなく、不思議とホッとする瞬間。そして次のソナタへの絶妙なつなぎ。

Hob.XVI:48 Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
聴きなれた有名曲ですが、これまで聴いた演奏が踏み込み不足に聴こえるほど旋律に説得力が漲ります。ハイドンへのリスペクトからか、この有名曲では自在な表現の振れ幅は少し抑えてオーソドックスに演奏していきますが、それでも表情のキレは素晴らしく、古楽器でのこの曲の演奏のベストといってもいい出来。終盤にちょっと加えた装飾音の機転と、1楽章最後の和音の幸福感にこの演奏の真髄を感じます。
2楽章構成の2楽章。右手のメロディーの冴え渡り方が尋常ではありません。脳内にアドレナリンが噴出。この短いロンドがものすごい陰影がついてクッキリと浮かび上がります。これまた見事。

このあとはかなり激しく盛り上がる即興。すっと引いたと思うと、つづくアダージョにつながります。

Hob.XVII:9 Adagio [F] (before 1792)
ブレンデルの演奏が刷り込みの曲。ピアノの演奏もいいものですが、ミッチェルのフォルテピアノでの演奏は、すこし溜めながら、幽玄なメロディーをしっとりと綴っていく、これも曲自体の気配をよく踏まえたもの。曲に合わせて表現の幅をかなり意図的にコントロールしていることがわかります。すっと心になじむ純粋さがあります。

なぜかこのあとに即興は入らず、最後は名曲アンダンテと変奏曲。

Hob.XVII:6 Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
表現というより音色をかなり巧みに変えながらの入り。フォルテピアノの音色をどう変えるのかは詳しくありませんが、乾いたキレのいい音としっとりと曇った柔らかい音をフレーズ毎に入れ替え、フレーズ毎に千変万化する表情。もともと変奏曲だけに、こうしたアプローチは自然ですが、変化の幅が大きいので面白さが際立つわけです。変奏が進むにつれてミッチェルが音楽に込めるエネルギーが増してくる様子が手に取るようにわかります。力むわけではなく、そのエネルギーが虚心坦懐な表現として曲自体の魅力をしっかり伝えます。20分強あるこの曲があっという間に感じられる至福の時間。だんだん変奏間の間が長くなって終盤の盛り上がりの後は枯淡の境地に。そして最後はカデンツァのような即興をたっぷり聴かせて終わります。

アメリカの若手ピアノ奏者、ボビー・ミッチェルによるハイドンのソナタ集。あまり期待せずに聴いたのですが、このアルバム、絶品です。ミッチェルのウェブサイトを見てみると、このアルバムがデビュー盤のようですね。フォルテピアノに限らずピアノも弾くようですが、その彼がデビュー盤でフォルテピアノでハイドンに挑み、しかもしっかりとしたコンセプトを持った演奏。恐ろしい才能の持ち主と見ました。このアルバムを聴く限り、テクニックはかなりのものですが、テクニックの誇示といった感じはまったくなく、それを上回る音楽的な才能を持った人ですね。このアルバム、最近聴いたフォルテピアノによるハイドンでは一押しです。久々にハイドンに聴かせたいと思った次第。偉大な作曲者は現代の若者のこの演奏にきっと驚くでしょう。評価はもちろん全曲[+++++]とします。御一聴あれ!

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【新着】宇山ブヴァール康子のソナタ、音楽時計曲集

今日もすばらしいアルバムを紹介しましょう。先日HMV ONLINEから到着したばかりのアルバム。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

宇山ブヴァール康子(Yasuko Uyama Bouvard)のフォルテピアノの演奏で、ハイドンのピアノソナタ48番、49番、アンダンテと変奏曲(XVIII:6)、オルガンの演奏で、音楽時計曲8曲(XIX:11、14、12、13、10、24、15、9)を収めたアルバム。収録年はPマークが2012年とだけ表記されています。フォルテピアノはフランス南部、トゥールーズの県庁舎のサロン、音楽時計の方はトゥールーズのサン・ピエール・カルトゥジオ修道会教会堂(saint pierre des chartreux a toulouse)での録音。レーベルは仏EDITIONS HORTUSという未知のレーベル。

フォルテピアノによるピアノソナタとオルガンによる音楽時計曲という非常に珍しい構成のアルバム。一聴してフォルテピアノもオルガンも楽器を美しく響かせることに関して、非常に鋭敏な感覚をもった人との印象を受けました。しかも演奏は非常に自然で、ハイドンの音楽の豊かさがにじみ出てくるもの。良いアルバムそうですね。

奏者の宇山ブヴァール康子さんについて、ライナーノーツやらネットやらで調べてみたところ、現在はトゥールーズのトゥールーズ地方音楽院(Conservatoire à rayonnement régional de Toulouse)のハープシコードとフォルテピアノの教授とのこと。このアルバムでオルガンを弾いているサン・ピエール・カルトゥジオ修道会教会堂のオルガニストでもあるそうです。京都生まれで東京芸術芸大学でオルガンを学び、1976年に渡仏、フランスのオルガン奏者、ピエール・コシュロー(Pierre Cochereau)との出会いで大きな影響をうけたとのこと。フランスではオルガンとハープシコードをさらに学び、パリ国立高等音楽院でヨス・ファン・インマゼールにフォルテピアノを学び、フォルテピアノにも開眼。ハープシコードとオルガンでは国際コンクールで1等をとるなどの成果につながりました。その後、鍵盤楽器全般のソリストや室内楽の鍵盤楽器奏者として活躍し、録音もいろいろあるようです。このアルバムを聴いてまずピンと来た、楽器の音色に関する鋭敏な感覚、おそらくインマゼールから学んだものでしょう。インマゼールと似た透徹した感覚の持ち主とみました。

音楽時計については以前に2度ほど取りあげていますので、楽器や曲の解説は下記リンク先をご覧ください。

2011/06/13 : ハイドン–室内楽曲 : ペーター・アレキサンダー・シュタットミュラーの音楽時計曲集
2011/02/11 : ハイドン–協奏曲 : マルタン・ジュステルのオルガン曲集-2

レビューは収録順に記載します。

Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
フォルテピアノは1785年製のアントン・ワルターのコピーで、2003年クリストファー・クラーク(Christopher Clarke)の作。録音会場は18世紀の板張りのサロンということで、状態の良い楽器が適度な大きさ、適度な残響のサロンで良く鳴っている録音。フォルテピアノがスピーカーの奥に定位してコンサートの席で聴くよう。流石インマゼール門下という素晴しい楽器の響き。一般的には残響がちょっと多めの録音ですが、聴きにくくはありません。宇山さんの演奏はゆったりとしたテンポで、メリハリを適度につけながら楽器の響きを自身で楽しんでいるよう。それでいてハイドンの書いた楽譜に込められた創意をくまなく拾い上げて、旋律の受け渡しや対比を楽しむ余裕があります。非常に穏やかな心情の持ち主なのでしょう、表現にはかなりのメリハリがつけられているのに、一貫して穏やかに曲が進みます。
2楽章のアダージョも同様。時折軽やかに装飾音を加えますが、メロディーラインがしっかり一貫しているので音楽の流れにぶれがありません。日本人ならではの清らかさも感じますが、表現の陰影が深いので、ともすると単調になりがちなところを、深い情感も帯びて聴き応え十分。深いアダージョの呼吸に打たれます。
フィナーレはテンポを速めますが、やはり楽器の響きを楽しむように落ち着いてハイドンの創意を響かせていきます。楽器のダイナミックレンジは素晴しく、強音の響きも澄みきっていて、弱音の繊細さも見事なもの。今まで聴いたフォルテピアノのの中でも最高のコンディションのものの一つでしょう。楽器の音響を踏まえた打鍵強度のコントロールも見事なもの。透明感ある表情から浮かび上がるハイドンの傑作ソナタを存分に楽しめる秀演と言っていいでしょう。

Hob.XIX:11 MS. Wien No.1 Allegretto [C] (before 1789)
Hob.XIX:14 MS. Wien No.4 Menuett [C] (before 1789)
Hob.XIX:12 MS. Wien No.2 Andante [C] (before 1789)
Hob.XIX:13 MS. Wien No.3 Vivace [C] (before 1789)
音楽時計曲は収録通り4曲まとめて。それぞれ1分少々の短い曲。このオルガンも実に美しい響き。オルガンの技術的なことは詳しくはありませんが、録音で聴けるオルガンの最上の響きと言って良いでしょう。曲ごとに音色をかなり変えて変化を付けます。フォルテピアノによるソナタと同様、演奏には揺るぎない安定感というか、非常に穏やかな心境で一貫して演奏していくのが印象的。この方、達観されていますね。音楽時計という細工物のために書かれた、微笑ましい小曲を、音楽時計以上に微笑ましく演奏していきます。本来壮麗、重厚であろうオルガンからおとぎ話のようなメロディーを紡ぎ出し、文字通りおとぎ話のような音楽。録音も鮮明で言うことなしです。

Hob.XVI:48 / Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
再びフォルテピアノの演奏に戻ります。楽器が変わっても音楽の穏やかさは一貫しています。間を十分にとって、この曲潜む詩的な表情を浮かび上がらせます。ブレンデルのピアノの演奏や、インマゼールのフォルテピアノの演奏がこの曲の刷り込み盤ですが、良く聴くと宇山さんの素直な響きの演奏もそれに勝るとも劣らない素晴しいもの。力強さも、詩情も負けていませんね。むしろ曲自体を楽しむにはこちらの方が良いほど。ちょっとハマってしまう良さ。2楽章構成のこの傑作ソナタを完全に手中に収めた素晴らしい演奏です。

Hob.XIX:10 Andante [C] (????)
Hob.XIX:24 MS. Niemecz No.3 Presto [C] (1789)
Hob.XIX:15 MS. Wien No.5 Allegro ma non troppo [C] (before 1789)
Hob.XIX:9 (Hob.III:57-III) Menuetto, Allegretto [C] (1788)
再び音楽時計曲4曲。今度はパパゲーノの吹く笛のような音色で来ました。やはり楽器の音色に関しては非常に鋭い感覚をもたれています。聴く人の想像力をかき立てる音色の変化。こればかりは聴いていただかなくてはわからないでしょう。たかが音楽時計のための曲と片付けられない深みを感じます。音楽とは音を楽しむものなりと諭されているよう。これまできいた音楽時計曲の演奏の中で間違いなく一番洗練され、一番楽しめる演奏です。

Hob.XVII:6 / Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
最後は再びフォルテピアノの演奏。間違いなくハイドンの最高傑作の一つです。この曲を最後にもってくるということは、ハイドンのことを熟知されているからに他ならないでしょう。前2曲のソナタと同様の一貫した演奏スタイルですが、テンポは前2曲より自由にとって、フレーズひとつひとつを噛み締めるように弾き進めていきます。右手のきらめき感も素晴しく、儚さをを帯びた美しいメロディーを繊細な表情と落ち着いた心で音にしていきます。淡々と変奏を重ねながら静かに心に刺さってきます。終盤の盛り上がりの力強さ、混濁感のない美しい響き、波の満ち引きの演出の巧みさ、そして穏やかな心境に裏付けられた、美しい音楽。この曲のフォルテピアノの演奏のなかでも飛び切り美しい演奏の一つでしょう。

初めて聴いた宇山ブヴァール康子さんの演奏ですが、これは素晴しい。フォルテピアノの演奏は、古楽器の弱点を一切感じさせない磨き抜かれた演奏。そして音楽時計曲もこれほどの完成度の演奏は聴いた事がありません。加えて素晴しいのがアルバムのプロダクションとしての完成度の高さ。初めて手にするレーベルですが、デザインのセンスもタイポグラフィーも素晴しいですね。昔ジュピターレコードでACCENTの美しいLPを手にした時と同じような悦びを感じます。評価はすべての曲を[+++++]とします。このアルバムのフォルテピアノの演奏、古楽器の演奏を苦手としている人にも聴いていただきたいですね。この雄弁なフォルテピアノによる深い詩情は、きっと気に入ると思います。

最近取りあげるアルバムが素晴しいので、レビューも楽しいです。

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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:48 ピアノソナタXVI:49 アンダンテと変奏曲XVII:6 音楽時計曲

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Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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2017年7月のデータ(2017年7月31日)
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