テレーズ・デュソーのピアノソナタ集(ハイドン)

なんだかピアノの響きにはLPが合うようで、ピアノソナタの名録音がつづきます。

IMG_7864.jpg

テレーズ・デュソー(Thérèse Dussaut)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ2曲(Hob.XVI:49、XVI:52)とファンタジア(Hob.XVII:4)の3曲を収めたLP。収録についてはネットで色々調べるとおそらく1972年にリリースされたもののよう。レーベルはARION。

こちらも先日ディスクユニオン新宿店で仕入れたもの。LP売り場は適度に分類されているんですが、交響曲や弦楽四重奏曲はハイドンのコーナーがあるもののピアノ曲はH前後のいろいろな作曲家のアルバムが混ざっており、LP時代には現在もCD化されていない未知のピアニストのアルバムがまだまだあるようで、売り場構成と相まって宝探し的楽しみがあります。このアルバムもそうして発見した一枚。

ジャケットをよく見ると古いスケッチですが、明らかにハイドンのような顔をした男がフォルテピアノの横に座り、鍵盤の前には貴婦人が立っているスケッチ。調べてみるとフランスの画家、ドミニク・アングルの1806年の習作「森の家族」とのこと。アングルは1780年、南仏のモントーバン(Montauban)生まれで、トゥールーズ、パリで学んだのち、当時の若手の登竜門だったローマ賞を受賞し、政府給費留学生として1806年にローマに渡ります。この絵がパリトローマのどちらで書かれたのかはわかりませんが、ハイドンはパリにもローマにも行っていませんので、実際の場面ではなく、当時ヨーロッパ中で知られていたハイドンから音楽を学んでいる姿を想像してスケッチしたものでしょうね。当時のハイドンの人気を物語るものでしょう。LPの魅力はこうしたジャケットにもあるわけで、たかが印刷ですが、なんとなくいい雰囲気が漂うわけです。

さて、本題に戻って、奏者のテレーズ・デュソーについて調べてみます。

IMG_7867.jpg

テレーズ・デュソーは1939年、ヴェルサイユ生まれのピアニスト。父は作曲家のロベール・デュソー(Robert Dussaut)、母も作曲家のエレーヌ・コルヴァティ(Hélène Corvatti)。フランスでマルグリット・ロンとピエール・サンカンにピアノを学び、ドイツではロシアのピアニスト、ウラディミール・ホルボフスキに師事しました。1957年には国際ARDコンクールで優勝し、以後はコンサートピアニストとして活躍、現代音楽にも積極的に取り組んできたそうです。近年は教育者として活躍しているとのこと。

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
しっとりとしたタッチから流れ出る音楽。女性奏者らしいタッチの柔らかさが印象的。サラサラと流れながらも要所でのアクセントはくっきりとつけていきます。まさに気品に溢れた演奏。LPだからか研ぎ澄まされたピアノの音色の美しさが際立ちます。ハイドンの曲のメロディーの美しさも展開の面白さもアイデアの豊富さもすべて折り込んでさらりと美しくまとめいる感じ。ジャケットのスケッチが、女性ピアニストが演奏を終え、ハイドンが満足げに微笑んでいる姿にも見えてきました(笑) 実に品のいい演奏。
アダージョに入ると、実際の音量以上に静けさを感じさせます。楽章がかわって、気配も変わった感じ。聴き手を包み込むようなオーラが発散しています。心に沁み渡るような浸透力。仄暗い部屋の真ん中でスポットライトを浴びながら静かにピアノの響きと向き合うッデュソーの心境がつたわるようです。後半の左手のアクセントの連続は澄み渡るような美しさ。実際の力感ではなく、力感を表現するのは音の対比のみでできるのだとでも言いたげなほど、力が抜けているのに音楽の起伏は険しく感じられる演奏。美しすぎるアダージョ。
3楽章はメヌエット。ことさら演奏スタイルを変えることなくさらりと入り、淡々と進めていきます。キラメキを増す右手にと、絶えず静けさを保ち続ける冷静さのバランスが絶妙。

Hob.XVII:4 Fantasia (Capriccio) op.58 [C] (1789)
こだまのようにメロディーが響き合う小曲。テンポよくすすむ曲想にあわせてタッチのキレも一段と鮮やかになりますが、なにより素晴らしいのが可憐な雰囲気に満ちていること。やはりデュソーの演奏の特徴はこの気品にあります。時折前曲のソナタの演奏では見せなかった激しいアクセントが姿を現してちょっとびっくりしますが、この小曲でのメリハリをきっちりつけようということでしょう。最後の終わり方もちょっと驚く間をとって遊び心をみせます。最後まで透徹したタッチとしなやかさが感じられる名演奏です。

IMG_7874.jpg

Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
曲の構えが大きい分、ぐっと迫力を増した入り。最初の曲ではしなやかさが印象的だったんですが、この曲では力感は十分。素晴らしい迫力に圧倒されます。もちろん繊細な響きの魅力は保っていますので気品に満ちた迫力です。この曲ではやはり力感の表現がポイントとみたのでしょう、1楽章はしなやかな中にも迫力が満ち溢れ、力で押していくようなところもある演奏。
そしてアダージョも打鍵の余韻を実に品良く響かせます。余韻の隅々までしっかりコントロールされた演奏。ところどころでかなり力を抜いた音階をちりばめたり、アクセント、特に左手のメロディーをデフォルメしたりすることで、この優雅な曲にくっきりとした表情の変化をつけていき、音楽の彫りを深くしていきます。
終楽章のプレストへの入りが実に印象的。連続音から始まるこの曲の表情を見事に演じます。タタタタと続く音を実に表情豊かにしあげてきます。このセンスこそデュソーの演奏の真骨頂。全編に気品が満ちているのは音の響きに関する鋭敏な感覚があってのことでしょう。この曲でも一つとして同じ音をならさぬようタッチは非常にデリケート。速い音階の滑らかさとアクセントの対比も見事。突然テンポを落としたりとハイドンのしかけた機知にも呼応します。曲の読みが深いですね。この曲も見事の一言。

ディスクユニオンの売り場から掘り起こしたアルバムですが、これは宝物レベルの名盤でした。まったくしらなかったテレーズ・デュソーというピアニストによるハイドンでしたが、ジャケットに移る美麗な姿そのままの気品に溢れた名演奏でした。音に対する鋭敏なセンスを持ち合わせ、ハイドンのソナタから実に深い音楽を引き出す腕前の持ち主。1曲目のXVI:49ではそのセンスの良さで聴かせ、ファンタジアではタッチのキレのよさ、そして最後のXVI:52では迫力と彫りの深さで圧倒されました。LPのコンディションも悪くなく、美しいピアノの響きを堪能できました。評価は全曲[+++++]とします。

このところの陽気でだんだん目の周りが痒くなってきました。魔のシーズン突入ですね(笑) めげずに頑張ります!

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:49 ピアノソナタXVI:52 ファンタジアXVII:4 美人奏者 LP

フレデリク・マインダースのピアノソナタXVI:49(ハイドン)

最近ディスクユニオンで発掘した名盤。

Meinders49.jpg

フレデリク・マインダース(Frédéric Meinders)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ(Hob.XVI:49)、メンデルスゾーンの6つの子供の小品(Op.72)、7つの性格的小品(Op.7)からアンダンテ、リストのバラード第2番、ローレライ、リスト編曲によるワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」より「イゾルデの愛の死」など6曲を収めたLP。収録情報はPマークが1979年とのみ記されており、レーベルは蘭CBS。

ジャケット写真を見た当ブログのコアな読者の方ならすでにお気づきの通り、何やら怪しい妖気が立ち上っております。ディスクユニオンの店頭でこのアルバムを見かけた時、というか、アルバムに写る奏者と目が合った時、瞬間的に手に入れるべきとのお告げが脳髄に刺さりました(笑) カウンターに持ち込み検盤してみるとほぼミントコンディションで言うことなし。かくして、このアルバムが手元にあるわけです。

一応クリーニングマシンで綺麗に洗浄して針を落とすと、みずみずしいピアノの音色が流れ出すではありませんか。しかも前衛的に攻めてくるかの予想に反して非常に優しいタッチの流麗な演奏。ハイドンのソナタがこれほどまでに柔らかくナチュラルに響く演奏は久しぶりです。これはちゃんと調べて記事にせねばと意気込んで取り上げた次第。

アルバムはオランダCBSのもので解説もオランダ語のみ。という事でオランダ語の解説とネット情報をかき集めて奏者の略歴をさらっておきます。奏者のフレデリク・マインダースは1946年、オランダのハーグ生まれのピアニストで、作曲家でもあるそうです。幼少の頃から両親にピアノを習い、王立ハーグ音楽院に進学後、1968年にはオランダの国内コンクールで1等になります。その後、アルゲリッチの勧めでジュネーブでニキタ・マガロフに師事し、直後にオスロの国際スクリャービンコンクールで優勝。以後世界的に活躍しているそうです。なお、マインダースのウェブサイトはこちら。

Frédéric Meinders

アマゾンなどで検索すると編曲もののアルバムがいくつか引っかかるだけですが、ディスコグラフィーには10枚以上ののアルバムが掲載されている他、作曲家らしく、膨大な数の作品リストも掲載されています。今日取り上げるアルバムの姿は若き日のマインダーズであることもわかります(笑)

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
ハイドンのソナタのピアノによる演奏はリズムをキリっと引き締めた演奏が多い中、リズムよりもメロディーラインの流れの良さで聴かせる非常に珍しいタイプの演奏。あまりにサラサラとメロディーが流れ、タッチも鮮やかなため、リズムの山感じられないほど。歯応えを期待した蕎麦を口にした瞬間、あまりの喉ごしの良さに驚く感じ。リズムに機知を感じさせるという先入観を全く持たずに演奏するとこうなるのでしょうか。有名なソナタだけにこちらも「この手があったのか」と膝を打つ始末(笑)
この演奏が気まぐれではなく、間違いなく確信犯だと思うに至ったのが続く2楽章。以前、デルジャヴィナ盤を取り上げた時に、「ショパンのようなハイドン」と評した言葉を思い出しました。マインダースのディスコグラフィーを確認すると、過去の録音がショパンに集中しているわけではありませんが、古典派よりもロマン派以降の音楽が中心なのは明らか。そうした視点で聴くと、このハイドンは古典派の音楽として演奏しているという感じがなく、ハイドンの音符を、ロマン派的な視点で解釈しての演奏と捉えるとしっくりきます。要はそれほどロマンティックな完成度が高いという事です。夢を見ているひと時を音楽にしたような甘い音楽。
フィナーレも非常に柔らかな音楽が流れます。タッチはしなやかさを極め、ドビュッシーの組曲の一編を聴いているような錯覚すら覚えます。アクセントは音量ではなく音のキレのみで作り、すべてのメロディーが流麗に流れ、詩的な瞬間のイメージを大事にする演奏。いつもハイドンばかり聴いている耳には、かえって非常に新鮮に響きます。

ハイドンに続いて、メンデルスゾーンの曲になっても、同じ作曲家の音楽が流れていくように思わせる一貫性のある演奏に、ちょっと驚きますが、表現が単調という意味ではなく、表現の説得力の高さに驚くという感じ。B面のリストではもちろん可憐なタッチはそのままに、剛腕なところも見せますが、詩的ですらある表現の濃さはそのままで、品良くまとまっています。

1979年の録音ということで、マインダーズが30代前半の録音。アルバムに収められたメンデルスゾーン以降の作品と同じく、ロマンティックな演奏のハイドンでした。ハイドンのソナタから芳しい香りが立ち上り、しかも非常にセンス良くまとまった名演奏と言っていいでしょう。LPのコンディションが非常によかったので、マインダースの若さと70年代の空気そのものまでも溝に刻まれたような素晴らしい響きが味わえる名盤です。おそらくCD化はされていないと思いますが、このLPは掘り出す価値のあるものですね。評価は[+++++]とします。これだからLP漁りがやめられないわけです。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:49 LP

デニス・コジュヒンのピアノソナタ集(ハイドン)

今日はピアノソナタの名演盤です。

Koahukhin.jpg
TOWER RECORDS / amazon / ローチケHMVicon

デニス・コジュヒン(Denis Kozhukhin)のピアノによるハイドンのピアノソナタ4曲(Hob.XVI:49、XVI:23、XVI:32、XVI:24)を収めたアルバム。収録は2014年1月6日から8日にかけて、ベルリンのテルデックススタジオでのセッション録音。レーベルはonyx。

このアルバム最近リリースされたものですが、当方の所有盤リストにないことを見抜いた湖国JHさんが、最近送っていただいた何枚かのアルバムに忍ばせていただいたもの。一聴してすぐにハイドンのソナタ演奏のツボを押さえた見事な響きに聴き惚れ、取り上げた次第。

ピアニストのデニス・コジュヒンはもちろん初めて聴く人。1986年、ロシアのモスクワの東方にあるニジニ・ノヴゴロド生まれのピアニスト。バラキレフ音楽学校で学び、その後ルガーノでマルタ・アルゲリッチプロジェクトなどの他、各地の音楽祭になどで腕を磨き、
2009年リスボンで開催されたヴァンドーム・コンクールで第1位、2005年にはエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝し頭角を現しました。日本にも2011年と2013年の2度来日し、NHKでも放送されたそうですのでご存知の方も多いかもしれません。ウェブサイトが見つかりましたのでリンクしておきましょう。

Denis Kozhukhin - Piano

ウェブサイトを見てみると、このハイドンのアルバムは彼の2枚目のアルバムで、デビュー盤がプロコフィエフのソナタ集、そして最新のリリースがグリークとチャイコフスキーの協奏曲、しかも指揮はワシーリー・シナイスキーと強力。シナイスキーは思い出深い指揮者で、少し前に読響に客演した際にコンサートにも出かけています。ということで目下売り出し中のピアニストということでしょう。

Hob.XVI:49 Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
スタジオ録音ですが、残響は豊か。ピアノの音は厚みがあり艶やか。コジュヒンのタッチは極めてオーソドックス。キレ良く、適度にダイナミックで流麗。このバランスがなかなか出せないんですね。特にハイドンらしい展開の面白さと古典の均衡を両立させるセンスが重要なのですが、コジュヒンは冒頭から絶妙なセンスでまとめ、安定感も抜群。ハイドンのソナタの晴朗な美しさ、ピアノの響きの美しさ、機知に富んだ展開が苦もなく示されています。コジュヒンと比べるとブレンデルも独特のクセがおるように聴こえるほどニュートラルな印象。
続くアダージョ・カンタービレも磨き抜かれたピアノの響きの美しさに溢れた演奏。どちらかと言うとさっぱりとした演奏なんですが、そのさっぱりさが曲自体の純度の高い美しさをうまく表現している感じ。特に中音域から高音域の響きの美しさはかなりのもの。右手のタッチの感度が絶妙なのでしょう。ウルトラニュートラル。この繊細な感覚、ロシアのピアニストという先入観を打ち砕きます。
フィナーレはちょっとしたリズムの弾み方が冴えまくっています。このリズム感で曲がしなやかに躍動します。躍動感とフレーズ間の間のコントロールが醸し出す音楽の豊かさ。自然さのなかに冴えた感覚が見え隠れします。1曲目から見事な演奏。

Hob.XVI:23 Piano Sonata No.38 [F] (1773)
ちょっと遡った時期の曲。素直なタッチは変わらず、リズムのキレと機知に富んだ展開が鮮やか。相変わらず安定感は抜群というか、ハイドンのソナタの理想像と言っても良い一貫した演奏が続きます。耳を澄ますと、大きな骨格のメリハリがしっかりしていて、それをつなぐ音階がキレ良く流れているのがポイントのよう。この人、ハイドンのソナタ全集を録音した方がいいと思います。オルベルツの地位を脅かすような安定感を感じます。フレーズごとに閃きもちりばめられ刺激十分。
アダージョは逆に穏やかな表情で安心させ、きらめく星空のような素晴らしい時間が流れます。消え入るような静寂を感じさせ、緩急のコントロールセンスも抜群。
静寂を断ち切る一音。フィナーレの入りでハッとさせ、やはりリズムが踊り、程よいダイナミクスで余裕たっぷりに音符にそって音を置いていきます。やはりデッサンが正確というか、構造が明確になるポイントを押さえながら、他の音符をさらりと加えて行くセンスの良さで聴かせ切ってしまいます。見事。

Hob.XVI:32 Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
1曲1曲にドラマを感じる展開。最初の入りから曲のイメージが鮮明に浮かび上がります。ちょっと前にシフのピアノがしなやかにニュアンスを加えて行くのに対し、コジュヒンは骨格の確かさを保ちながらニュアンスをちりばめているので、ハイドンのソナタとの相性は一段上かもしれません。確かな骨格の存在がハイドンの機知をさらに洗練させているのでしょう。明確なアクセントで空間を仕切っていくので、曲の構造がくっきりと浮かび上がります。ハイドンの音楽のツボを押さえている感じはここから来るのでしょう。
独特の曲想のメヌエットですが、やはり速めのサッパリとした演奏で逆に曲想の面白さが引き立ちます。曲の見通しが非常によく、楽章間の対比の面白さに興味が移ります。
フィナーレも同様、快速な展開でメロディーの面白さを早送りで楽しむよう。残響豊かな空間にピアノの美音で描かれるハイドンの機知に富んだメロディー。この面白さを知っているからこその演奏。またまた見事。

Hob.XVI:24 Piano Sonata No.39 [D] (1773)
最後のソナタ。最後にハッとするような美しい響きの入りで驚かせます。シンプルな音楽の流れですが、そこここに知的刺激がちりばめられて、脳が冴えまくります。さりげないメロディーにつけられた微妙な表情の変化がこちらの期待を超えて響き、それに合わせて聴きに行きながら次の刺激に反応する繰り返し。聴きなれたメロディーなのにあちこちに仕掛けが施され、音楽がコジュンヒンの感性で再構築されていきます。豊かな音楽とはこのようなことの繰り返しでしょう。実に自然に流れる音楽なのに、実に豊か。
少し速めのアダージョはこのアルバム共通。このアダージョ、転調が印象的な曲ですが、その転調の瞬間のニュアンスがあまりに素晴らしく、ゾクゾクします。その瞬間の鮮やかさを強調するように、それまでは実に穏やかに音楽が流れます。
名残惜しさを感じさせながらさらりとフィナーレに入り、いたずら心に溢れたメロディーが弾みます。どこにも力みを感じさせずに、軽々とメロディーを絡ませていき、最後はさらりとまとめます。

これは絶品。途中にも書きましたが、コジュヒン、ハイドンのソナタ全集を録音すべきです。このアルバムに収められた4曲の演奏が上手いのではなく、ハイドンのソナタの本質を突くような絶妙な演奏であり、他のソナタもこのタッチなら間違いなく名演奏になるはずだとの安心感があります。まったくムラなく、まったく迷いなく、確信に満ちた演奏。録音も見事で言うことなし。このアルバム、すべての人に聴いていただきたい名盤と言っていいでしょう。もちろん評価は[+++++]とします。いつもながら湖国JHさんの深謀遠慮にやられました。いつもながらありがとうございます!

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:49 ピアノソナタXVI:23 ピアノソナタXVI:32 ピアノソナタXVI:24

ハンス・リヒター=ハーザーのピアノソナタXVI:49(ハイドン)

久しぶりにヒストリカルなアルバム。

RichiterHaaser.jpg
HMV ONLINEicon

ハンス・リヒター=ハーザー(Hanns Richter-Haaser)のピアノによる、モーツァルトのピアノソナタ2曲(K.284、K.533)、ベートーヴェンのピアノソナタ16番、そしてハイドンのピアノソナタHob.XVI:49の3曲を収めたアルバム。何れも1950年代の収録ですが、ベートーヴェンとハイドンは1959年10月7日、ラジオ放送向けにフランクフルトのヘッセン放送3/Cスタジオでのセッション録音。レーベルはヒストリカルなアルバムを多くリリースしているmelo CLASSIC。

ハンス・リヒター=ハーザーは、もちろんはじめて聴く人。調べてみるとドイツのピアノの大家でベートーヴェンを得意としていた人のようです。1912年、ドレスデンで大工とアマチュア音楽家の家庭に生まれ、13歳の時にドレスデン音楽アカデミーに進み、ハンス・シュナイダーに師事。18歳でベヒシュタイン賞に輝いたとのこと。16歳でドレスデンでデビューし、ドイツ国内でフリーランスのピアニスト、指揮者、作曲家として活躍しました。大戦中はドイツ軍の高射砲部隊に配属され、ピアノを弾く機会には恵まれず、ピアノの腕も落ちましたが、終戦時には米軍病院で演奏する機会を得て音楽活動に復帰します。1946年にはドイツ中部のデトモルト(Detmolt)のデトモルト管弦楽団の音楽監督となり、翌1947年までにはピアノのマスタークラスをもつ教授の立場となり、後年のデトモルト音楽アカデミーの礎となりました。1949年、再びコンサート活動を再開し、ヨーロッパの主要国で、カラヤン、ベーム、バレー、ヨッフム、フリッチャイ、サヴァリッシュらと共演し、ギーゼキングやバックハウスに次ぐヨーロッパの音楽界を席巻するピアニストとして活躍しました。録音も多かったようですが、有名なところではカラヤン/ベルリンフィルとのブラームスのピアノ協奏曲2番があります。1959年アメリカでデビューを果たし、1963年にはザルツブルク音楽祭にも出演しました。亡くなったのは1980年、ドイツのブラウンシュヴァイクでブラームスのピアノ協奏曲を演奏中に倒れ、間もなく息途絶えたとのこと。

ピアニストに詳しいわけではありませんが、かつては一世を風靡した人ですね。今は知る人も少なくなってきたのではないでしょうか。アルバムの左下には"FIRST CD RELEASE"とあり、この録音がCD時代も終わりを迎えんとする、演奏から55年もの年月を経てリリースされたということを感慨深く感じざるを得ませんね。

アルバムをCDプレイヤーにかけると、モノラルながら恐ろしく鮮明なピアノの響きに打たれます。しかも揺るぎない堅固さをもちながらも、タッチのキレも良く、今の時代に聴いてもあまり古さを感じさせません。モーツァルトのソナタもベートーヴェンも流石の演奏。じっくりと聴いて、いざハイドンです。

Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
1959年という録音年代が信じられないような鮮明な響き。十分クリアな響きで、眼前に厚みのあるピアノが位置します。かなり速めのテンポで、グイグイ弾き進めていきます。ハンス・リヒター=ハーザー47歳の演奏ということで、脂の乗りきった頃の演奏。この年アメリカデビューを果たしますが、アメリカから帰ったあとの演奏でしょうか。指はキレまくり、メロディーは高速に転がるよう。テクニックは素晴しいものがあります。速いパッセージの指のキレはグールドを思わせるような冴え冴えとしたもの。もちろんグールドの狂気のようなものはなく、あくまでも正統な、しかもかなり本流の正統派の演奏。辛口硬派なハイドン。
アダージョに入っても速めな印象は変わらず、しっとりというより岩清水のような清透な響きですが、水質は超硬水。ゆったりとするとか癒されるというより、鋼の冷たさと固さをもったアダージョという感じ。敢えて間をおかずに音楽の滔々たる流れの良さを意識した展開。良く聴くと右手のメロディーの揺るぎないタッチが一貫して音楽の強さを造っているよう。同じ鋼を感じさせているとはいえ、リヒテルの空間を揺るがすような強さとは、また異なった演奏。
フィナーレは逆にテンポを少し落として枯れた印象を加えます。淡々と音楽を進めますが、鋼のよなタッチが時折表情を引き締め、あくまでもハンス・リヒター=ハーザーの演奏であるという枠をはずしません。骨太なのにキレの良い不思議と充実したハイドンでした。

ハンス・リヒター=ハーザーの演奏するハイドンのソナタ。55年も前の演奏とは思えない瑞々しい録音によって、往年の巨匠の演奏が蘇りました。これは素晴しい仕事。リリースする甲斐のある素晴しい演奏といっていいでしょう。ここには今の時代には聴かれることのない骨太の音楽があり、ピアニストの気骨が噴出するような素晴しく個性的な音楽が流れていました。ハイドンのソナタの演奏としてどうこうと言うより、一人のピアニストの貴重な演奏の記録として存在意義のある演奏です。最初はすこし評価を割り引こうかとも思いましたが、この気骨は多くの人に聴いていただく価値があるということで、[+++++]を進呈することにしました。音楽を聴くということは、そういうことなのでしょう。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:49

ドミトリー・バシキーロフのピアノソナタXVI:49(ハイドン)

4日にディスクユニオンで見つけたアルバム。

Bashkirov.jpg
HMV ONLINEicon / amazon

ドミトリー・バシキーロフ(Dmitry Bashkirov)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタXVI:49、ベートーヴェンのピアノソナタ14番「月光」、ショパンのマズルカなど8曲、合わせて10曲を収めたアルバム。収録は2006年6月、モスクワのグネーシン音楽大学のコンサートホールでのセッション録音。レーベルはチェコのEUROPE RCDというところ。

ドミトリー・バシキーロフははじめて聴く人。調べてみると1931年、黒海とカスピ海の間にあるグルジアの首都トビリシ生まれのピアニスト。1968年にはソ連の功労芸術家(ソ連の芸術家の栄誉称号)となり、1990年にはより上位の人民芸術家となりました。教育者としてモスクワ音楽院とマドリードのソフィア音楽大学で教え、多くの後進をを育てたとの事です。娘のエレーナ・バシュキロワもピアニストで、あのギドン・クレーメルと結婚後離婚、その後ダニエル・バレンボイムと再婚し、2人の子供がいるそうです。バレンボイムといえば、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの映像でお目にかかったばかりですね。

ということで、ロシア圏では有名なピアニストだと思われますが、ネットでアルバムを探してみると、それほど多くのアルバムがリリースされている訳ではなく、ハイドンもおそらくこの1枚に1曲収められているだけのようです。

ロシア系といえば先日グロウホヴァのなかなかいいハイドンを聴いたばかりですが、バシキーロフはどう弾いてくるでしょうか。

Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
予想したよりも灰汁が強くなく、音質はブレンデルのハイドンに似た、磨かれたピアノの美音が広い空間に漂うような録音。ピアノがスピーカーの少し奥に定位し、残響はコンサートホールとしては多めでしょう。ブレンデルの演奏に似てはいますが、音階、フレージングが少し固い印象があり、アクセントもほんの少し強め。アクセントに少し溜めがあるのがロシア流でしょうか。それでも年配のロシアのピアニストの演奏とは思えない垢抜けた感じがあります。十分美しく磨かれたハイドンがそそり立ちます。
詩的なアダージョ・カンタービレは非常にデリケートなタッチで一音一音を空間に置いていき、意外と濃密な音楽が流れます。ブレンデルが音楽に興じながら音色を微妙に変化させてながら弾いていたの対し、バシキーロフは一貫してキラ星のごとき美音を奏でていきます。中間で大きく盛り上げるところ、テンポを落としてぐっと沈むところのコントロールは流石。この2楽章の可憐さをのこした構築感は悪くありません。演奏当時75歳にしてはタッチが鮮明で、若い人の演奏といっても通用するほど。
フィナーレはクッキリと弾むタッチの魅力に溢れた演奏。ピアノが良く鳴って余韻がホールに響く様が手に取るようにわかります。メロディーラインがクッキリと浮かび上がり、しっかりと主導権をとっていきます。曲を締めるのに相応しいダイナミックさ。やはり力みはなく、落ち着き払ってダイナミックに終わります。

このあとのベートーヴェンは幽玄、雄大な演奏。ハイドンはもう少しロシアっぽい力感を予想したのですが、さにあらず。非常に洗練された響きを重ねた、垢抜けた名演奏でした。こうなると、この人のハイドンの他の曲の演奏も聴いてみたくなると言うものです。リリースされているアルバムを見るとレパートリーは特にロシア系を狙っている訳ではなく、むしろ独墺系のものが多いことを考えると、むしろロシアのピアニストとしての先入観を持たずに聴いたほうが良かったのかもしれません。このハイドン、良く磨かれた名演でしょう。おすすめです。評価は[+++++]とします。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:49

【新着】宇山ブヴァール康子のソナタ、音楽時計曲集

今日もすばらしいアルバムを紹介しましょう。先日HMV ONLINEから到着したばかりのアルバム。

YasukoUyama.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

宇山ブヴァール康子(Yasuko Uyama Bouvard)のフォルテピアノの演奏で、ハイドンのピアノソナタ48番、49番、アンダンテと変奏曲(XVIII:6)、オルガンの演奏で、音楽時計曲8曲(XIX:11、14、12、13、10、24、15、9)を収めたアルバム。収録年はPマークが2012年とだけ表記されています。フォルテピアノはフランス南部、トゥールーズの県庁舎のサロン、音楽時計の方はトゥールーズのサン・ピエール・カルトゥジオ修道会教会堂(saint pierre des chartreux a toulouse)での録音。レーベルは仏EDITIONS HORTUSという未知のレーベル。

フォルテピアノによるピアノソナタとオルガンによる音楽時計曲という非常に珍しい構成のアルバム。一聴してフォルテピアノもオルガンも楽器を美しく響かせることに関して、非常に鋭敏な感覚をもった人との印象を受けました。しかも演奏は非常に自然で、ハイドンの音楽の豊かさがにじみ出てくるもの。良いアルバムそうですね。

奏者の宇山ブヴァール康子さんについて、ライナーノーツやらネットやらで調べてみたところ、現在はトゥールーズのトゥールーズ地方音楽院(Conservatoire à rayonnement régional de Toulouse)のハープシコードとフォルテピアノの教授とのこと。このアルバムでオルガンを弾いているサン・ピエール・カルトゥジオ修道会教会堂のオルガニストでもあるそうです。京都生まれで東京芸術芸大学でオルガンを学び、1976年に渡仏、フランスのオルガン奏者、ピエール・コシュロー(Pierre Cochereau)との出会いで大きな影響をうけたとのこと。フランスではオルガンとハープシコードをさらに学び、パリ国立高等音楽院でヨス・ファン・インマゼールにフォルテピアノを学び、フォルテピアノにも開眼。ハープシコードとオルガンでは国際コンクールで1等をとるなどの成果につながりました。その後、鍵盤楽器全般のソリストや室内楽の鍵盤楽器奏者として活躍し、録音もいろいろあるようです。このアルバムを聴いてまずピンと来た、楽器の音色に関する鋭敏な感覚、おそらくインマゼールから学んだものでしょう。インマゼールと似た透徹した感覚の持ち主とみました。

音楽時計については以前に2度ほど取りあげていますので、楽器や曲の解説は下記リンク先をご覧ください。

2011/06/13 : ハイドン–室内楽曲 : ペーター・アレキサンダー・シュタットミュラーの音楽時計曲集
2011/02/11 : ハイドン–協奏曲 : マルタン・ジュステルのオルガン曲集-2

レビューは収録順に記載します。

Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
フォルテピアノは1785年製のアントン・ワルターのコピーで、2003年クリストファー・クラーク(Christopher Clarke)の作。録音会場は18世紀の板張りのサロンということで、状態の良い楽器が適度な大きさ、適度な残響のサロンで良く鳴っている録音。フォルテピアノがスピーカーの奥に定位してコンサートの席で聴くよう。流石インマゼール門下という素晴しい楽器の響き。一般的には残響がちょっと多めの録音ですが、聴きにくくはありません。宇山さんの演奏はゆったりとしたテンポで、メリハリを適度につけながら楽器の響きを自身で楽しんでいるよう。それでいてハイドンの書いた楽譜に込められた創意をくまなく拾い上げて、旋律の受け渡しや対比を楽しむ余裕があります。非常に穏やかな心情の持ち主なのでしょう、表現にはかなりのメリハリがつけられているのに、一貫して穏やかに曲が進みます。
2楽章のアダージョも同様。時折軽やかに装飾音を加えますが、メロディーラインがしっかり一貫しているので音楽の流れにぶれがありません。日本人ならではの清らかさも感じますが、表現の陰影が深いので、ともすると単調になりがちなところを、深い情感も帯びて聴き応え十分。深いアダージョの呼吸に打たれます。
フィナーレはテンポを速めますが、やはり楽器の響きを楽しむように落ち着いてハイドンの創意を響かせていきます。楽器のダイナミックレンジは素晴しく、強音の響きも澄みきっていて、弱音の繊細さも見事なもの。今まで聴いたフォルテピアノのの中でも最高のコンディションのものの一つでしょう。楽器の音響を踏まえた打鍵強度のコントロールも見事なもの。透明感ある表情から浮かび上がるハイドンの傑作ソナタを存分に楽しめる秀演と言っていいでしょう。

Hob.XIX:11 MS. Wien No.1 Allegretto [C] (before 1789)
Hob.XIX:14 MS. Wien No.4 Menuett [C] (before 1789)
Hob.XIX:12 MS. Wien No.2 Andante [C] (before 1789)
Hob.XIX:13 MS. Wien No.3 Vivace [C] (before 1789)
音楽時計曲は収録通り4曲まとめて。それぞれ1分少々の短い曲。このオルガンも実に美しい響き。オルガンの技術的なことは詳しくはありませんが、録音で聴けるオルガンの最上の響きと言って良いでしょう。曲ごとに音色をかなり変えて変化を付けます。フォルテピアノによるソナタと同様、演奏には揺るぎない安定感というか、非常に穏やかな心境で一貫して演奏していくのが印象的。この方、達観されていますね。音楽時計という細工物のために書かれた、微笑ましい小曲を、音楽時計以上に微笑ましく演奏していきます。本来壮麗、重厚であろうオルガンからおとぎ話のようなメロディーを紡ぎ出し、文字通りおとぎ話のような音楽。録音も鮮明で言うことなしです。

Hob.XVI:48 / Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
再びフォルテピアノの演奏に戻ります。楽器が変わっても音楽の穏やかさは一貫しています。間を十分にとって、この曲潜む詩的な表情を浮かび上がらせます。ブレンデルのピアノの演奏や、インマゼールのフォルテピアノの演奏がこの曲の刷り込み盤ですが、良く聴くと宇山さんの素直な響きの演奏もそれに勝るとも劣らない素晴しいもの。力強さも、詩情も負けていませんね。むしろ曲自体を楽しむにはこちらの方が良いほど。ちょっとハマってしまう良さ。2楽章構成のこの傑作ソナタを完全に手中に収めた素晴らしい演奏です。

Hob.XIX:10 Andante [C] (????)
Hob.XIX:24 MS. Niemecz No.3 Presto [C] (1789)
Hob.XIX:15 MS. Wien No.5 Allegro ma non troppo [C] (before 1789)
Hob.XIX:9 (Hob.III:57-III) Menuetto, Allegretto [C] (1788)
再び音楽時計曲4曲。今度はパパゲーノの吹く笛のような音色で来ました。やはり楽器の音色に関しては非常に鋭い感覚をもたれています。聴く人の想像力をかき立てる音色の変化。こればかりは聴いていただかなくてはわからないでしょう。たかが音楽時計のための曲と片付けられない深みを感じます。音楽とは音を楽しむものなりと諭されているよう。これまできいた音楽時計曲の演奏の中で間違いなく一番洗練され、一番楽しめる演奏です。

Hob.XVII:6 / Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
最後は再びフォルテピアノの演奏。間違いなくハイドンの最高傑作の一つです。この曲を最後にもってくるということは、ハイドンのことを熟知されているからに他ならないでしょう。前2曲のソナタと同様の一貫した演奏スタイルですが、テンポは前2曲より自由にとって、フレーズひとつひとつを噛み締めるように弾き進めていきます。右手のきらめき感も素晴しく、儚さをを帯びた美しいメロディーを繊細な表情と落ち着いた心で音にしていきます。淡々と変奏を重ねながら静かに心に刺さってきます。終盤の盛り上がりの力強さ、混濁感のない美しい響き、波の満ち引きの演出の巧みさ、そして穏やかな心境に裏付けられた、美しい音楽。この曲のフォルテピアノの演奏のなかでも飛び切り美しい演奏の一つでしょう。

初めて聴いた宇山ブヴァール康子さんの演奏ですが、これは素晴しい。フォルテピアノの演奏は、古楽器の弱点を一切感じさせない磨き抜かれた演奏。そして音楽時計曲もこれほどの完成度の演奏は聴いた事がありません。加えて素晴しいのがアルバムのプロダクションとしての完成度の高さ。初めて手にするレーベルですが、デザインのセンスもタイポグラフィーも素晴しいですね。昔ジュピターレコードでACCENTの美しいLPを手にした時と同じような悦びを感じます。評価はすべての曲を[+++++]とします。このアルバムのフォルテピアノの演奏、古楽器の演奏を苦手としている人にも聴いていただきたいですね。この雄弁なフォルテピアノによる深い詩情は、きっと気に入ると思います。

最近取りあげるアルバムが素晴しいので、レビューも楽しいです。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:48 ピアノソナタXVI:49 アンダンテと変奏曲XVII:6 音楽時計曲

【新着】エカテリーナ・デルジャヴィナのピアノソナタ全集

今月はメジャーな交響曲のアルバムを取りあげていますが、今日はお休みして新着アルバムを。

Derzhavina.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

エカテリーナ・デルジャヴィナ(Ekaterina Derzhavina)のピアノによるハイドンのピアノソナタ全集を収めた9枚組のアルバム。収録は1993年から2008年にかけて、ドイツ、ザールブリュッケンにあるザールランド放送の室内楽スタジオおよび放送大ホールでのセッション録音。レーベルは独Profil。

デルジャヴィナはまったくはじめて聴く人。今までその存在も知りませんでしたが、いきなりハイドンのピアノソナタ全集がリリースされビックリしたのが正直なところ。ハイドンのピアノソナタ全集を出されて、放っておく訳にはまいりません。

エカテリーナ・デルジャヴィナ1967年モスクワ生まれのロシア人ピアニスト。6歳の頃からピアノを学び始めました。モスクワにあるグネーシン音楽大学、グネーシン音楽アカデミーに進み1989年ロシアピアノコンクールで3位とロマン派ピアノ演奏特別賞を受賞、また1992年ザールブリュッケンで開催されたバッハピアノコンクールで90人のピアニストのなかから1位に輝きました。1993年から2006年までの間出身校であるグーネシン音楽大学で講座をもち、また、モスクワのチャイコフスキー音楽院でも2003年以降教職の立場にあるとのことです。

日本には2012年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンに出演して話題となったそうです。このアルバムの他にはメトネルなどの演奏をはじめとして数枚のアルバムがリリースされているくらいで、あまり知られた存在ではない模様です。ルックスはロシア人というより、東洋の血が混じった人のように見受けられ、ライナーノーツに多数載せられた写真はおじさんの心を射止めているようです。
※当ブログ読者のあるおじさんのからカミングアウトがありました(笑)

今日は全集のなかでも録音年代が最近の2曲を取りあげましょう。

Hob.XVI:48 / Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
2008年とこのアルバムの中では最新の録音。ハイドン晩年の2楽章のソナタ。ライプツィヒの出版社クリストフ・ゴットロープ・ブライトコップの依頼で作曲された曲。女流らしい華麗なピアノを想像していたところ、1楽章のアンダンテはかなり力強いタッチで朴訥な音楽を奏でる人。遅めのテンポでじっくりとメロディーを単音単位で積み上げ、一音一音をかなりはっきり区別しながら、ミニマルな響きで詩情を乗せていきます。和音の響きよりも単音の独立性がかなり印象に残ります。ハイドンの演奏としてはかなり個性的なもの。ハイドンのソナタを古典期の曲として描くと言うよりは現代音楽のような孤高の表情も垣間見せます。放送ホールでの録音らしくオンマイクの直接音重視の鮮明なもの。もう少し残響があるほうが潤いがあっていいように思います。
続くプレストはテンポあがるものの、ゴリッとした力強さはそのまま。すこし荒っぽいところもありますが、かなりバリバリと弾き進めていくところの力強さはかなりのもの。あまり細かいところにこだわらず曲の勢いを描く事を重視しているようです。思ったより男性的な演奏でした。

Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
こちらは2006年の録音。荒々しく迫力重視で弾き進めていくところは前曲同様。力強いタッチでメロディーラインに隈取りをクッキリつけて描いていき、キレのいいアクセントが特徴。どちらかというと強音で押していく演奏。指はかなり良く回る方で、音階のクリアさはありますが、一音一音のツブがそろっている訳ではなく、いい意味で弾き散らかしていくようなところが迫力を生んでいるのでしょう。
2楽章はアダージョ・カンタービレ。音量を落としたところで、ようやく繊細な表情が見えてきました。繊細な中にも音を一音一音独立させて構成していくデルジャヴィナの特徴は保たれていて、独特の表情は健在。中間部の大きな盛り上がりでは再び鋼のような強音を聴かせて、クリア強音を印象づけます。
フィナーレは本当にミニマルミュージックのような印象が強くなります。左手の伴奏が信号音のように単純化された響きを繰り返し、それに乗ったメロディーもクッキリ、間をしっかりとってかなりの存在感。良く聴くとピアノの一音一音が透き通った氷のような純度の高い音。

エカテリーナ・デルジャヴィナのハイドンのピアノソナタ全集から2曲ばかりを選んで聴きましたが、ルックスから想像される可憐な演奏とは異なり、かなり力強く個性的な演奏。ハイドンのソナタに新たな光を当てようと言う斬新なアプローチでしょう。ただ、これまでのハイドンの演奏から聴かれる豊穣な響き、流麗な表情や機知に富んだ解釈の多様性が失われ、整理されすぎてしまった感もなきにしもあらず。ちょっと評価が割れそうな演奏です。もしかしたら、この演奏に対する評価は、こちらの耳や心の柔軟性が問われているのかもしれませんね。まだまだ数枚取り出して聴いているだけですので、これからゆっくりデルジャヴィナのハイドンを解きほぐして行かなくてはなりません。この2曲の評価は[++++]とします。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:48 ピアノソナタXVI:49

リースベト・ドフォス/リュカス・ブロンデールの「ナクソスのアリアンナ」など

久々に歌曲のアルバムを。

Blondeel.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

リュカス・ブロンデール(Lucas Blondeel)のピアノ、リースベト・ドフォス(Liesbeth Devos)のソプラノで、ハイドンのピアノソナタ(XVI:49)、ファンタジア(XVII:4)、ピアノソナタ(XVI:48)、カンタータ「ナクソスのアリアンナ」、アンダンテと変奏曲(XVII:6)の5曲を収めたアルバム。収録は2009年12月28日から31日、ベルギー、ブリュッセルのフラジェ・スタジオ1。ライナーノーツには音響のいいスタジオとして知られていると記載されています。レーベルはcypres。シプレーと読むそう。

このアルバム、先日新宿タワーレコードに立ち寄った際、マーキュリーが輸入するアルバムがセールになっていたので、すかさず未入手のハイドンのアルバムを探して求めたもの。輸入盤の方が安いのですが、マーキュリーの輸入するアルバムは解説が充実しているので、つい国内仕様盤を手に入れてしまいます。

このアルバムにもライナーノーツに記載されたピアニストのリュカス・ブロンデールの長文の解説やナクソスのアリアンナの歌詞等つけられていて、このアルバムの理解を深めるのに役立ちます。英文も辞書を引きながら読めない訳ではありませんが、最近老眼が進み、小さい字の英文はかなりしんどいです(苦笑)

さて、このアルバム、よく見るとアルバムのタイトルは「マリアンネに」と気になるもの。以前取りあげた、ヌリア・リアルのアルバムを思い起こさせます。

2010/11/06 : ハイドン–オペラ : ヌリア・リアルのオペラ挿入アリア集

このアルバムタイトルのマリアンネとは、ハイドンが晩年に恋心を抱いた、マリア・アンナ・フォン・ゲツィンガーという人の事。ハイドンの同僚のゲツィンガーという医師の夫人。ハイドンが57歳の1789年、マリアンネ夫人からハイドンに届いた1通の手紙にはハイドンの作品をピアノ独奏曲に夫人自身が編曲した楽譜がそえられていました。その出来の見事さに驚いたハイドンが返事を書いたことから文通がはじまり、ハイドンの恋心に火がついたのですが、それから4年後のマリアンネ夫人の急死によって、静かな友愛は終わりを迎えたとの事。その間、ハイドンの作曲活動は頂点を極めた時期にあたります。1790年にはニコラウス・エステルハージ候が亡くなり、ウィーンに転居した後、第1回目のロンドン旅行に出発、翌1791年にはロンドンでザロモン演奏会が開かれ、交響曲の93番から98番までが作曲されました。

このアルバムに収められた曲もすべて、この4年間に作曲された曲で、ハイドンがマリアンネ夫人のことを想ってかいたと想像される曲が選ばれています。詳しくはこのアルバムを実際に手に入れて解説を読まれるのがよいでしょう。

演奏者ですが、2人ともベルギーの人。ピアノのリュカス・ブロンデールは1961年ベルギーのブリュッセル生まれ。アントウェルペン音楽院、ベルリン芸術大学などで学び、アントウェルペンで開かれたエマニュエル・デュルレ国際ピアノコンクールで優勝、ベルリンで開かれたシュナーベル・コンクールで3位、チューリヒで開かれたクルト・ライマー・コンクールで優勝などの経歴があります。ソロ活動や室内楽や歌曲の伴奏などにも感心が高く、バイロイトで開かれたラ・ヴォーチェ・コンクールでは最優秀伴奏者賞を受賞。また古楽器の演奏をインマゼールとバルト・ファン・オールトなどに師事し、古楽のアプローチを現代楽器でも生かしているとのこと。
ソプラノのリースベト・ドフォスは1983年オランダのベーフェレン=ワースの生まれ。ベーフェレン=ワースの音楽舞台芸術大学、アントウェルペン音楽院、エリザベート王妃音楽院などで学び、地元オランダを中心に歌劇場で活躍しています。
2人は2004年以来デュオを組んでベルギー、オランダ、ドイツ、フランス、スペインなどで活躍しているとのことです。

Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
最初はソナタ。ピアノはなんとヤマハ(YAMAHA CFIIIS)です。響きのよいスタジオとのふれこみ通り、PHILIPSレーベルがラ・ショー=ド=フォンで録ったような磨き抜かれた宝石のような音色。適度な残響が非常に美しい録音。中低音のちょっとゴリッとした感触がヤマハの特徴でしょうか。リュカス・ブロンデールのピアノはハイドンの曲の面白さを適度に表現する、ブレンデルの演奏に近いもの。ブレンデルよりも全体の流れの良さを意識してかテンポが全般に速めで、メリハリはかなり付けているのに爽やかな印象を残しています。この曲はハイドンがマリアンネ夫人のために書いた曲であるとハイドンの手紙に書かれ、2楽章の深い情感がハイドンのマリアンネ夫人に対する想いを現しているようです。ブロンデールのピアノはその想いを美しい想い出にしたようなキラキラした美しい演奏でまとめます。フィナーレもいい意味で軽妙なタッチが、ハイドンの想いを昇華させるような、爽やかな演奏。

Hob.XVII:4 / Fantasia (Capriccio) op.58 [C] (1789)
この曲はハイドンがロンドンでの出版のため、楽譜をマリアンネ夫人に送ってもらったとされています。軽妙な曲想とブロンデールの爽やかな語り口が合って、ユーモラスな表情の面白さが味わえます。

Hob.XVI:48 / Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
マリアンネ夫人との文通をはじめる前に作曲がはじめられた作品。女性に想いを馳せながら書いた曲だと知って聴くと、なるほどこの研ぎすまされたハイドン成熟期の音楽の美しさの理解も深まります。ブロンデールは起伏は大きくないものの、磨かれたピアノの響きで詩情溢れる演奏。

Hob.XXVIb:2 / Cantata "Arianna a Naxos" 「ナクソスのアリアンナ」 [E flat] (c.1789)
ブロンデールのピアノは、流石、最優秀伴奏者賞を受賞しただけのことはあります。静けさのなかに情感がこもった穏やかな伴奏から入り、歌手を引き立てることに細心の注意が払われています。ソロとはまた違ったブロンデールのピアノの魅力が見えました。ソプラノのリースベト・ドフォスはちょっと芯の堅い癖のある声ですが、声量とヴィブラートが良くかかった響きは魅力です。表情を抑えながらも雄弁なブロンデールのピアノに乗って、絶唱。安定感は文句なしですが、声質が強いせいか、歌自体に少々固さが感じられます。もう一段リラックスして力を抑えた方が歌に余裕が出るのではと感じた次第。

Hob.XVII:6 / Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
そして最後は名曲です。なんとこの曲、マリアンヌ夫人が亡くなった直後に書かれ、この曲独特の深みは、マリアンヌ夫人を失った深い悲しみを現しているのではないかとされています。ブロンデールのピアノはやはり、ことさら重くなる事はなく、磨かれた美音で淡々とすすめていきます。かえってこうした抑えた表情の方が、深い悲しみを表すように感じられるのが不思議なところ。ハイドン自身が本当にどう感じていたのかは、今となってはわかりませんが、やはり禁断の恋の終わりを透徹した美しさで昇華させたというところではないでしょうか。

このアルバムの解説はブロンデール自身によって書かれていますが、非常に面白い。こうした曲の背景を理解してまとめられた企画ものは貴重ですね。最新の鮮明な録音で、ピアノの美しい響きとキリリと締まったソプラノの美しい響きを味わえるいいアルバムであることは間違いありません。実力派のベルギー人デュオによるナクソスのアリアンナも感慨深いもの。評価はピアノソナタ2曲とアンダンテと変奏曲が[+++++]、他2曲は[++++]とします。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:48 ピアノソナタXVI:49 ファンタジアXVII:4 ナクソスのアリアンナ アンダンテと変奏曲XVII:6

ヨス・ファン・インマゼールのソナタ集

今日は古楽器の音色が恋しくなって選んだアルバム。古楽器の音色を最も美しく表現する人といえばこの人です。

Immerseel4.jpg
amazon

ヨス・ファン・インマゼール(Jos van Immerseel)の演奏による、モーツァルトとハイドンのピアノソナタ集。ハイドンはファンタジア(Hob.XVII:4)、ピアノソナタ(Hob.XVI:48)、ピアノソナタ(Hob.XVI:49)の3曲。収録は1989年5月、ベルギーのアントウェルペン(アントワープ)のエルゼンフェルト・ホテルのゴシック教会でのセッション録音。レーベルはオランダのGLOBE。

インマゼールのハイドンはこれまで指揮者としてチェチーリア・ミサを取りあげています。

2011/04/03 : ハイドン–声楽曲 : インマゼールの聖チェチーリアミサ

ヨス・ファン・インマゼールは1945年はベルギーのアントウェルペン生まれのフォルテピアノ奏者、指揮者。アントウェルペン音楽院にてピアノ、オルガン、チェンバロを学び、ケネス・ギルバートらに師事。地元アントウェルペンに古楽アンサンブル、コレギウム・ムジクムを設立し、レパートリーはルネサンス、バロック音楽から、後に古典派から初期ロマン派音楽まで広がりました。1987年にはアニマ・エテルナを設立し、モーツァルトのピアノ協奏曲全集などを録音、また1999年には指揮者としてベートーヴェンの交響曲のヨーロッパ・ツアーを行い、その後交響曲全集の録音も残しました。

インマゼールはいまやヨーロッパ中でコンサートに引っ張りだこ。即興演奏の名手としても知られているそうです。また、自身のフォルテピアノを運んで演奏旅行をすることでも有名だそうです。

私が愛聴しているモーツァルトのピアノ協奏曲全集の録音もフォルテピアノの非常に研ぎすまされた音色、アニマ・エテルナの繊細な響きが心地よい演奏。古楽器の音色にことさら鋭敏な感覚をもった人との印象です。そのインマゼールの弾くハイドンのピアノソナタということで、期待が高まる演奏です。

この3曲はほぼ同年代に作曲された曲を集めたもの。

Hob.XVII:4 / Fantasia (Capriccio) op.58 [C] (1789)

期待通りのフォルテピアノの雅さが際立つ宝石のような素晴らしい響き。録音も澄み切った静寂な空間にフォルテピアノがしっかり定位する素晴らしいもの。楽器の胴鳴りも聴こえてくるようなリアルな響き。インマゼールの演奏はテンポはわりと自在に動かしながらも、自然なフレージングが印象にのこるもの。先日いきなりソナタ全集をリリースしたトム・ベギンがテンポを動かすことを強調というか、少し癖を感じるフレージングなのに対し、インマゼールはあくまで自然なフレージングと自然さを大事にした響きに意識が集中しているように聴こえます。主旋律をクッキリ浮かび上がらせ、アクセントもクッキリつけるのですが、嫌みさは皆無。即興演奏も得意としているだけに、この辺の鋭敏な感覚は流石なもの。途中音色の変化をつける部分のキレも流石。終盤は迫力ある音階の下降と、一瞬の静寂を経てさらりとしたフィニッシュ。

Hob.XVI:48 / Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
聴き慣れたメロディーが雅な音色で流れます。冒頭から抜群の集中力。一音一音の力感の変化に耳を峙てます。ゆったりと言うより、静寂を聴けと言われているように訥々と進みます。すべての音のフォルテピアノの響きの消え入る様子をゆったり楽しめる演奏。フォルテピアノの音域ごとの音色のの変化を音階を通して虹の色の変化のように楽しめます。特にしっかりとした中音域と軽めの高音域の音色の変化の織りなす彩は素晴らしい美しさ。古楽器の音色を極め尽くしているインマゼールならではの至芸と言うべきでしょう。1楽章最後のくだけた落ち着きは流石の表現。
この曲は2楽章構成。フォルテピアノのエネルギーを浴びる要な演奏。テンポの変化は保ちながら、素晴らしい迫力と音色の美しさが同居。ピアノの演奏でもこれだけの畳み掛ける迫力が出せるかどうかわからないほど楽器を鳴らしきっています。途中指が引っかかるような表現の部分がありますが、セッション録音故、意図した表現なんでしょう。一気呵成に吹き抜けてゆく圧巻の演奏でした。

Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
前曲のエネルギーを引き継いだような力の入った入り。フォルテピアノの演奏としては異例の迫力でしょう。ちょっとヴォリュームを大きめにして、部屋にフォルテピアノが出現したような音響を楽しみます。この曲では次々と現れるアクセントの変化を楽しむような演奏。大山脈の峰の連なりを眺めながら縦走する感じです。後半ではアクセントに変化をつけて音楽に驚きを与えます。ここでもインマゼールの鋭敏な感覚は素晴らしいキレ。
瞬時に柔らかな音色に切り替わり、2楽章のアダージョ・カンタービレに移ります。今度は慈しむようにメロディーを刻み、宝石のように磨かれた音色をデリケートなタッチで表現。尾根から眺める深い青の湖のような趣。済んだ湖の青の深さの変化が聴き所。深い深い演奏。
フィナーレは軽いタッチではいります。軽さを楽しむうちに音色な徐々にクリアに変化するあたりは素晴らしいアイデア。同じメロディが聴いているうちに別の響きで再現され、また戻りと音色の変化が脳に刺激を与えます。ここが聴かせどころかと驚きました。最後は力強さを帯びて、そしてすっと引くような秀逸な最後。いや、インマゼールの魔法にかかったようなひと時でした。

ヨス・ファン・インマゼールの弾くモーツァルトとハイドンのピアノソナタ集。ハイドンの演奏は期待通りというか、久しぶりに聴き直して、その鋭敏な感覚と多彩な音色の変化に圧倒されました。やはり古楽器を知り尽くした人との認識をあらたにしました。評価は3曲とも[+++++]としました。古楽器によるハイドンのピアノソナタのおすすめ盤として広く聴いていただきたい1枚です。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:48 ピアノソナタXVI:49 ファンタジアXVII:4 古楽器

アンドレ・チャイコフスキーのピアノソナタ集

今日は久々のピアノソナタ集。

Tchaikowsky23.jpg
amazon

アンドレ・チャイコフスキー(André Tchaïkowski)のピアノによるハイドンのピアノソナタXVI:49、アンダンテと変奏曲XVII:6、ピアノソナタXVI:23の3曲を収めたアルバム。収録は1966年1月4日~7日、パリの凱旋門のすぐそばのワグラムホール(Salle Wagram)でのセッション録音。レーベルはDante。もともとはEMIフランスの録音のようです。

アンドレ・チャイコフスキーはポーランド生まれのピアニスト、作曲家。本名はアンジェイ・チャイコフスキ(Andrzej Czajkowski)。1935年生まれで1982年にがんで47歳の若さで亡くなってます。ユダヤ系だったために幼少のころ両親を失いポーランド人の家族に養われ、音楽も学ぶことが出来なかったよう。終戦後ポーランド中部の都市ウッチの国立音楽学校で学び、1948年にはパリに留学、そして1950年に再びポーランドに戻り、ポーランド最北端のソポトのソポト国立音楽院、ワルシャワ音楽院などで学んだ。1955年ショパンコンクールで入賞、1956年にはベルギー・エリザベート王妃国際音楽コンクールで3位に入賞などの実績を残し、コンサートや録音を残すようなピアニストとして知られるようになったよう。ピアニストとしても有名になったにもかかわらず、晩年は作曲に力をいれたとのこと。

リパッティ、デュ・プレ、グールド、ブレイン、カンテルリなど若くして亡くなった人の演奏には、なぜか鬼気迫るものが感じられれるものです。チャイコフスキーの演奏はどうでしょうか。

Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
ちょっとピアノが軽めの音で録られています。スタジオ録音のようなオンマイクで定位感があいまいな音。鮮明さはありますが、もうすこし残響と広がりがあれば音楽に没頭できるのにと思わせる音。ヴォリュームを上げると自宅にピアノがあるような近接した音響ですが、音は明らかに録音装置を通して聴くようなちょっと人工的な雰囲気が漂います。1966年ということなのでチャイコフスキー31歳の頃の演奏。この曲独特の起伏のある1楽章をなぜか孤独感がにじみ出るような乾いた明るさを感じさせる演奏。起伏重視で流麗という感じではありません。
2楽章はやはり独特の孤独感が支配します。どこか寂しげな雰囲気。リパッティの演奏に感じられる華やかな悲しさとは異なり、独特なうら悲しい感じがチャイコフスキーのピアノの特色だとだんだんわかってきます。このアダージョ・カンタービレには何か不思議なメッセージを感じるような力があります。録音が独特なのでその印象に引きずられないように聴くとなかなかの味わい。
終楽章はやはりあっさりと起伏を表現して、ハイドンのフィナーレの音符の絡み合いの妙をさらりと聴かせる感じ。ちょっと聴くとさっぱりした演奏ながら、良く聴くと独特の味わいを持つ演奏。この曲だけではチャイコフスキーの進化をまだはかりきれない感じ。

Hob.XVII:6 / Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
大曲、アンダンテと変奏曲。チャイコフスキーの音楽性と曲の相性はこの曲の方がいいでしょう。聴きすすめていくと盛り上がる部分で音をかなり短く切るところが個性的な演奏となっている感じですね。楽譜を心地よく響かせようという意図ではなく、音符をチャイコフスキーが噛み砕いて独自の音楽に再構築している感じ。曲自体が素晴らしい構成感で書かれているため、チャイコフスキーの訥々とした音楽でも徐々に心に沁み入ります。終盤には鍵盤から渾身の力で音楽を絞り出すような演奏が険しい音響を構築。最後の消え入る感じは絶妙。

Hob.XVI:23 / Piano Sonata No.38 [F] (1773)
だいぶ時代が遡った時代の躍動感のある曲。早いパッセージの指のまわりはクリアにこなし、相変わらず起伏重視で流麗さや滑らかな展開は視野にないもよう。やはり不思議な孤独感を感じる演奏。左手をあえて弱めに弾くことで、軽さを意図的に狙っているように感じます。
ラルゲット(アダージョ)は淡々としながらもこれまで通りチャイコフスキーの個性的なフレージングでこの曲の今まで聴いた演奏とはすこし異なり、孤高な余韻をのこします。
最後のフィナーレはアクセントとリズムの変化を織り交ぜながらさらりとメロディーを弾き進めていき、粒立ちのよい右手の音階と、そっと支えるのみの左手で弾き進め、最後は終わったのかどうかわからないような抜け方。こんな終わり方は聴いたことがありません。

早逝のピアニスト、アンドレ・チャイコフスキーのハイドンは起伏と軽さと粒立ちによって、独特の孤高な表情を浮かび上がらせようとするチャイコフスキーの意図がハイドンの楽譜と拮抗する、ちょっと実験的でもあり、確信犯的でもある不思議な余韻をのこす演奏でした。明らかに個性的な演奏。そして明らかに曲をうまく弾こうというより、チャイコフスキーの考える音楽として響かせようと言う意図を感じる、骨のある演奏でした。評価は当ブログ的には[++++]とします。この演奏の評価は難しいですね。いろんな人の意見を聞いてみたくなる不思議な演奏といえるでしょう。

今日は震災からちょうど半年。テレビでは震災関連番組がいろいろやられて、あらためて今回の震災が人々の心と生活にもたらした傷跡の大きさを再認識せざるを得ませんでした。受け入れなくてはならない事実の大きさに多くの人がまだまだ整理しきれない心情でいるのは致し方のないところ。もし自身の身に同じことが起きたらと考えると人ごとではありません。言葉にできない大きな穴があいてしまったのでしょうね。あらためて被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノソナタXVI:49 ピアノソナタXVI:23 アンダンテと変奏曲XVII:6

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

最新記事
カテゴリ
タグリスト
スクロールできます。

モーツァルトベートーヴェン東京オペラシティシューベルトヒストリカルピアノソナタXVI:38ピアノソナタXVI:31LPアンダンテと変奏曲XVII:6交響曲67番交響曲80番ライヴ録音哲学者ラメンタチオーネピアノソナタXVI:24美人奏者交響曲51番交響曲35番交響曲46番ピアノ協奏曲XVIII:11ピアノ協奏曲XVIII:3ピアノ協奏曲XVIII:4古楽器協奏交響曲ヴァイオリン協奏曲天地創造ピアノソナタXVI:52ピアノソナタXVI:49ファンタジアXVII:4交響曲47番ピアノソナタXVI:48十字架上のキリストの最後の七つの言葉テレジアミサピアノソナタXVI:23ピアノソナタXVI:34ピアノソナタXVI:46ピアノソナタXVI:21ピアノソナタXVI:28バリトン三重奏曲アリエッタと12の変奏XVII:3ピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:20サントリーホールラ・ロクスラーヌ帝国皇帝ハイドンのセレナード弦楽四重奏曲Op.76ピアノソナタXVI:51ピアノソナタXVI:50ラルゴ五度四季交響曲1番ピアノ三重奏曲ひばり弦楽四重奏曲Op.64日の出チェロ協奏曲ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:44東京芸術劇場ピアノ協奏曲XVIII:11ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.1弦楽四重奏曲Op.77弦楽四重奏曲Op.33軍隊リヒャルト・シュトラウス弦楽四重奏曲Op.74騎士弦楽四重奏曲Op.20交響曲17番ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:27アンダンテと変奏曲(XVII:6)弦楽四重奏曲Op.103シベリウス武満徹マーラー交響曲4番交響曲42番時の移ろい無人島ベルリンフィル告別ホルン信号交響曲19番弦楽四重奏曲Op.55弦楽四重奏曲Op.54王妃交響曲87番交響曲86番弦楽四重奏曲Op.9フルート三重奏曲トランペット協奏曲スコットランド歌曲集ピアノソナタXVI:26ピアノソナタXVI:29ピアノソナタXVI:25驚愕時計ロンドンピアノソナタXVI:10ピアノ協奏曲XVIII:6ディヴェルティメントピアノ五重奏曲チェチーリア・ミサ東京国際フォーラムラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン雌鶏交響曲39番冗談英語カンツォネッタ集ナクソスのアリアンナアレルヤピアノ協奏曲XVIII:9ピアノ協奏曲XVIII:5ヴァイオリンソナタバッハ交響曲52番ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6ホルン協奏曲ピアノ協奏曲XVIII:2交響曲81番交響曲79番交響曲78番交響曲99番ロンドン・トリオブルックナー交響曲88番オックスフォードドイツ国歌カノンモテットオフェトリウムピアノソナタXVI:37スタバト・マーテルピアノソナタXVI:42弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールパッヘルベルクラヴィコード弦楽四重奏曲Op.17太鼓連打交響曲102番太陽四重奏曲アダージョXVII:9交響曲70番受難ピアノソナタXVI:35パリセット交響曲84番イタリアンベルクブーレーズピアノソナタXVI:6交響曲全集主題と6つの変奏弦楽四重奏曲Op.71オペラアリアチェチーリアミサピアノソナタXVI:41スクエアピアノスコットランド歌曲ショスタコーヴィチ交響曲57番交響曲68番ビールタイ料理オーボエ協奏曲リラ・オルガニザータ協奏曲悲しみSACDパリ交響曲集ラーメンリーム交響曲89番交響曲50番CD-R偽作トビアの帰還清水スタバトマーテルホルン三重奏曲薬剤師ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタオルガン協奏曲交響曲38番火事リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10ヴァイオリンとピアノのための協奏曲XVIII:6奇跡交響曲97番交響曲34番交響曲77番交響曲18番ストラヴィンスキー温泉ロープウェイ日本酒フルートソナタ長野ワイン蕎麦DVD交響曲98番ドイツ舞曲誕生日交響曲90番校長先生交響曲93番ピアノソナタうなぎ和食旅館シングルモルトうどんダムカートリッジ雅楽そばプロコフィエフヘンデル英語によるカンツォネッタ集サン=サーンス交響曲36番リストシェーンベルクピアノソナタXVI:14オーディオバリトン二重奏曲ピアノ協奏曲交響曲75番交響曲66番交響曲91番ピアノ三重同曲迂闊者パスタ洋食諏訪国立劇場歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47第九読売日響オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:39ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7オペラ序曲天地創造ミサほうとう国立西洋美術館焼肉ジャズネルソンミサ横浜弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番聴き比べピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:43カフェフレンチ古楽器風カレー東急文化村ノットゥルノピアノソナタXVI:2ヴェーベルンまたはオルフェオとエウリディーチェ哲学者の魂ライヴappleiMac府中の森芸術劇場鹿児島料理裏切られた誠実マリア・テレジアバリトン五重奏曲音楽時計曲ハイドン入門者向け焼酎居酒屋歌曲ピアノソナタXVI:G1ピアノソナタXVI:11ピアノソナタXVI:8散歩ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ定食ファリャお寺モルトインド料理交響曲56番マリアテレジア交響曲27番2つのホルンのための協奏曲トランッペット協奏曲外食自宅料理展覧会中華ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集とんかつウイスキー焼き鳥シャンゼリゼ劇場8人のへぼ仕立て屋に違いない弦楽四重奏曲Op.2皇帝讃歌交響曲24番小オルガンミサ大オルガンミサCDラックiPhone新橋演舞場交響曲5番交響曲10番ポルトガル料理赤坂ACTシアター演劇テ・デウムサルヴェ・レジーナ日帰り温泉喫茶狛江インドネシア料理カッサシオン室内楽曲ピアノソナタXVI:45ベトナム料理ギネス国立新美術館高音質CD剃刀庭風景狛江のお店ピアノとヴァイオリンのための協奏曲ドビュッシーネパール料理交響曲28番交響曲13番交響曲95番変わらぬまこと交響曲62番交響曲108番交響曲107番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲交響曲9番交響曲3番交響曲2番スカルラッティ府中のお店映画声楽曲カンタータ牛タン戦時のミサルテアトル銀座ヴァイオリンとオルガンのための協奏曲珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコード中華料理マーキュリージャケット買い管弦楽曲お宅訪問Mac室内楽変奏曲XVII:5交響曲54番交響曲41番焼き肉冷麺韓国料理飲み食いギターピアノソナタXVI:33府中交響曲58番ピアノソナタXVI:30カラヤン弦楽三重奏曲テレビ番組スウェーリンク書籍セル交響曲12番交響曲65番ニコライミサ交響曲71番ハイボールアプラウステンシュテットピアノソナタXVI:13アーノンクールピアノ小品ラトル魂の歌海鮮寿司仙台グルダヤナーチェクモンゴル料理現代音楽ワールドカップクロノス・クァルテットノンサッチ長岡鉄男リュートマイケル・ジャクソンBlu-rayiPad狩りショップピアノ曲アップルのめり込んだ経緯

ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2016年9月のデータ(2016年9月30日)
登録曲数:1,361曲(前月比+3曲) 登録演奏数:9,608(前月比+87演奏)
月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
02 | 2017/03 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

音楽家、音大生、音楽愛好家のブログランキング。
音楽ブログランキング

このブログの成分解析。キーワードによるブログランキング。
blogram投票ボタン

大家さんFC2のクラシックブログランキング。


おすすめ(音楽)
ハイドンの超厳選名演盤。
AdamFischer97.jpg
沸き上がる興奮(Blog記事

Gloukhova2.jpg
ピアノソナタ新風(Blog記事

RialAria.jpg
恋人のための...(Blog記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック。


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実。
HMVジャパン
HMV ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

クラシックの独自企画・復刻盤は要注目。


おすすめ(音楽以外)




アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
95位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
4位
アクセスランキングを見る>>
twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ