カスパール・フランツ/カレイドスコープ・ソロイスツ・アンサンブルのピアノ協奏曲集(ハイドン)

今日は協奏曲のアルバム。こちらも湖国JHさんから送り込まれたもの。

CasparFrantz.jpg
TOWER RECORDS / amazon / ローチケHMVicon

カスパール・フランツ(Caspar Frantz)のピアノ、カレイドスコープ・ソロイスツ・アンサンブル(Solistenensemble Kaleidoskop)の演奏で、ハイドンのピアノ協奏曲3曲(Hob.XVIII:11、XVIII:9、XVIII:2)と、ピアノ、2本のホルン、ヴァイオリン、チェロのためのディヴェルティメント(Hob.XIV:1)の4曲を収めたSACD。収録は2009年1月、ベルリンのテルデックス・スタジオでのセッション録音。レーベルは独Ars Produktion。

このアルバム、ちょっと聴いてみた印象はキレのいいオーソドックスな演奏で、取り立てて個性的な印象はなく、レビューに取り上げるつもりはなかったんですが、何回か聴いてるうちにジワリと良さを感じてきたもの。SACDらしく透明感あふれる鮮明な録音であるのもいいところです。

カスパール・フランツは1980年、ドイツのデンマーク国境に近い港町キール(Kiel)に生まれたピアニスト。ドイツ国内は言うに及ばず、世界的に活躍しており、ソリストのみならず室内楽の分野でも活躍しているとのこと。彼のサイトを貼っておきましょう。

CASPAR FRANTZ

また、オケのカレイドスコープ・ソロイスツ・アンサンブルは2006年にチェロ奏者のミカエル・ラウター(Michael Rauter)と指揮者のジュリアン・クエルティ(Julian Kuerti)が設立したベルリンに本拠地を置く若手中心の室内オーケストラ。ライナーノーツには精鋭のイケメンと美女が写っており、本当に若手中心だとわかります(笑) こちらもサイトを貼っておきましょう。

Solistenensemble Kaleidoskop

モノクロのサイトデザインがイケてます。

Hob.XVIII:11 Concerto per il clavicembalo(l'fortepiano) [D] (1784)
ハイドンの最も有名なピアノ協奏曲。オケは小編成らしいキビキビとしたもの。速めのテンポの序奏に乗ってカスパール・フランツも小気味良いタッチの非常にキレのいいピアノで応じます。オーソドックスながらリズムの冴えが素晴らしい演奏。録音が鮮明なので、アンサンブルの精緻さが手に取るようにわかります。キレ味ばかりではなく、フレーズごとの微妙なニュアンスの変化も巧みで、非常にクォリティの高い仕上がり。カデンツァも短いながらキラリと光るセンスがあって唸らされます。
続くウン・ポコ・アダージョも爽やかさ保ちながら、じわりと情感を漂わせるもの。特にフランツのピアノの磨き込まれたクリスタルのように青白く光る冷徹な美しさがたまりません。この楽章ではテンポを比較的自在に動かしてメロディーを唄わせますが、キリリと引き締まった表情はしっかり保ちます。
フィナーレは再びキレ味抜群。オケの軽々とした吹き上がりが痛快。キレ味とデリケートさを両面持ち合わせたピアノが華を添えます。ピアノの鮮やかなタッチと展開部の高揚感、骨格のしっかりした構成と言うことなし。

Hob.XVIII:9 Concerto per violino, cembalo e orchestra [G] (before 1767)
ハイドンの真作ではない可能性からか録音の少ないHob.XVIII:9ですが、この演奏で聴くと実に面白い。序奏からユニークな曲想に手に汗握る面白さ。フランツは前曲とはスタンスを変えて、曲想の面白さを際立たせるべく、実に自在に表情をコントロール。基本的にタッチの鮮やかさを保ちながら、オケとの絶妙な掛け合いを演じます。それにしてもこの曲のアイデアの多彩さには驚くばかり。
続くアダージョは短調でロマンティック。フランツは曲を楽しむように美しい音色を響かせます。
終楽章はTempo di Minuettoの指示のとおり、終楽章としてはゆったりとしたテンポで音楽を楽しむように、おおらかに起伏をつけながら時折アクセントを利かせてサラリとまとめます。

Hob.XVIII:2 Concerto per il clavicembalo(l'organo) [D] (before 1767)
元々オルガン協奏曲ですが、あえてピアノで弾いてくるところ、前曲のような曲を選曲してくるところになんとなくこのアルバムの意図が見えてきた感じ。耳に残るオルガンの音色での曲想を洗い流すようなクリアなピアノのタッチの美しさが際立ちます。オケも非常に純度が高く、相当な腕利き揃いでソロイスツ・アンサンブルの呼称に偽りなし。この曲ではピアノに増してオケの表現の幅の大きさが聴きどころ。各パートがフレーズごとに新鮮な響きを創ることにこだわっているよう。
続く2楽章は、もともとオルガンの音色の陶酔感で聴かせる楽章ですが、ここでもピアノのキリッとしたメロディーと、響きに変化をつけたオケの掛け合いで、この曲の違った魅力にスポットライトを当てています。1曲目の純粋なキレの良さとは全く異なった演奏は、曲ごとにコンセプトをしっかりもって演奏を組み立てている感じ。オルガンの低音で聴かせるところも、しっかりピアノで演出できていますが、少々無理がある感じで、このあたりは逆に楽器の特性を踏まえて作曲していたハイドンの巧みな手腕をかえって際立たせている感じ。
最後のアレグロは驚くほどさらりとした速めのテンポで意表をついた序奏。ピアノが入るとオルガンよりもキレのいいところを生かして快速テンポで、この曲の高揚感というかトランス状態のような音階の繰り返しをオルガン以上の面白さで表現。オケも恐ろしいほどのキレ味でささえ、この楽章はピアノのでの演奏の面白さ満点。見事です。

Hob.XIV:1 Quintett [E flat] (c.1760)
最後の曲はピアノ、2本のホルン、ヴァイオリン、チェロによるディヴェルティメント。ハイドンのディヴェルティメントらしい愉悦感に富んだ音楽。フランツのキリリとしたピアノを中心にホルンとヴァイオリン、チェロが楽しげにメロディーを重ねます。協奏曲とはまったく異なる音楽の楽しさがありますね。かなり初期の曲ゆえ、ピアノトリオともまた異なり、素朴な面白さ。この曲がなくても協奏曲3曲でアルバムが成立するはずですが、あえてこの曲を収めてきたところは、ピアノをキーにハイドンの音楽の多様性をあえて表現したいということではないかと想像しています。演奏の方は、完全にリラックスして掛け合いを楽しむような演奏。

1曲目の正攻法のキリリと引き締まった演奏を聴いて、冒頭にふれたようにオーソドックスな演奏と感じたわけですが、聴き進むうちにこのアルバムの企画意図の深さがわかってきました。ピアノのカスパール・フランツはかなりの腕前の持ち主。しかも曲に応じて演奏スタイルも明確な意図をもっており、音楽性も確かなものがあります。オケのカレイドスコープ・ソロイスツ・アンサンブルも腕利き揃いで見事なサポート。私は非常に気に入りました。特に3曲目については意見が分かれるところかもしれませんが、オルガン協奏曲をあえてピアノで弾くという意味がある演奏であり、フランツの意図は買いです(笑) 評価は協奏曲は3曲とも[+++++]、ディヴェルティメントは[++++]とします。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノ協奏曲XVIII:11 ピアノ協奏曲XVIII:2 ピアノ協奏曲XVIII:9 ピアノ五重奏曲 SACD

ラ・ディヴィナ・アルモニアの協奏曲集(ハイドン)

12月最初のアルバムは古楽器もの。聴くと幸せになる演奏です。

LaDivinaArmonia.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

ロレンツォ・ギエルミ(Lorenzo Ghielmi)指揮のラ・ディヴィナ・アルモニア(La Divina Armonia)の演奏で、ハイドンのオルガン協奏曲(Hob.XVIII:2)、ヴァイオリン協奏曲(VIIa:4)、ヴァイオリン、オルガンと弦楽合奏のための協奏曲(VIII:6)、オルガン協奏曲(VIII:10)の4曲を収めたアルバム。ヴァイオリン協奏曲のヴァイオリンはステーファノ・バルネスキ(Stefano Barnesch)。収録はイタリア北部のロンバルディア州ソンドリオ県ヴァッレ・ディ・コロリーナにある聖囚人聖堂でのセッション録音。レーベルはベルギーのpassacaille。

このアルバムはTOWER RECORDS新宿店で先日手に入れたもの。ネットでは国内盤と輸入盤がありますが、国内盤は輸入盤にマーキュリーが和訳解説をつけてパッケージしたものですので、実質は同じもので、日本語解説の有無のみの違いです。ちなみに私はマーキュリーのものは国内仕様を買うことにしています。少々値段は上がりますが、こうして丁寧に国内向けに地道な仕事をしてくれる会社を応援したいからという趣旨です。ちなみに国内盤に起こしたものはなんとなくアルバムから香る雰囲気まで抜けてしまうような気がしてイマイチ好きになれませんので、こうして輸入盤に国内向けの解説をつけてくれるだけでも十分であり、十分というより、これがベストだと思います。

普段は輸入盤でも英語の解説やネットの情報をコツコツ調べて記事にしていますので、日本語の解説、しかも輸入盤の解説そのものの訳をつけてくれるありがたさは身にしみております(笑)

さて、せっかくなので解説からかいつまんで、奏者の情報を紹介しておきましょう。オケのラ・ディヴィナ・アルモニアはこのアルバムでオルガンと指揮を担当しているロレンツォ・ギエルミによって2005年に設立された古楽器オーケストラ。イタリアを中心に古楽器の腕利き奏者が集まったオケで、2008年以降、ヨーロッパで活躍しているそうです。なんと、昨年、2013年末には来日公演もあったそう。全く知りませんでした。
ロレンツォ・ギエルミはイタリアの古楽鍵盤奏者でオルガン奏者。1991年以来ミラノのサン・シンプリチアーノデイ聖堂のオルガンの奏者を務め、ここで1992年から94年にかけてバッハの作品の連続演奏会を開催して話題となりました。またドイツのブルーンスに関する研究書、フレスコバルディの楽譜の校訂、16~17世紀のオルガン音楽に関する記事の執筆など研究者としても活躍しています。それゆえミラノ市立音楽院での教職、バーゼルのスコラ・カントルムでオルガンの今日教授などの立場にあったそうです。日本には目白の東京カテドラルのオルガンの設置の監修を担当しています。
奏者としては先日ハイドンの第4の交響曲全集の作成に踏み切ったイル・ジャルディーノ・アルモニコの最初期のメンバーとして活躍していました。そんな中、2005年のラ・ディヴィナ・アルモニアを設立し、以後はその音楽監督として活躍しています。
ヴァイオリンのステーファノ・バネルスキはイル・ジャルディーノ・アルモニコのヴァイオリン奏者として活躍した人で、2011年からはイル・ジャルディーノ・アルモニコの音楽監督でもあるそうです。

イタリアの気鋭の古楽器奏者の集まったオケでのハイドンの協奏曲集。いかなる出来でしょうか。

Hob.XVIII:2 / Concerto per il clavicembalo(l'organo) [D] (before 1767)
リズミカルに響く古楽器オケの序奏。最近では珍しい一貫したリズムに乗ったノリのよいオケ。ロレンツォ・ギエルミのオルガンも小気味良いリズムに乗ってキレの良い演奏。オルガン協奏曲ではコープマンの古くはPHILIPSの録音が懐かしいところですが、最新の古楽器の録音にしては珍しいオーソドックスな演奏。リズムに素直な演奏が微笑ましくもありますが、表現は徐々に幅が広くなり、色彩感に富んだ千変万化する響き。フレーズの描きかたも丁寧で実に味わい深い音楽です。オルガン協奏曲に共通するちょっとおもちゃっぽい響きの面白さが一貫したリズムでかえって強調されるよう。1楽章も終盤になるとかなりメリハリの効いたヴァイオリンが存在感を主張。オルガンとオケのリズミカルなメロディーのやりとりが続くことでトランス状態寸前に。
2楽章のアダージョ・モルト。1楽章でトランス状態になりかけたんですが、これぞ至福の境地。オルガンの不可思議なメロディーの面白さにすぐに引き込まれます。オルガンはキレの良さばかりではなく聴かせる演奏。途中で転調するところとぐっと音程を下げるところの表現が絶妙。オルガンの低音が出切らないところにゾクゾクします。このメロディーをどうやって描いたかを考えるとハイドンのとてつもない才能に今更驚きまます。オケはすでに癒しに満ちたサポート役に徹して、渾然一体となった素晴らしい音楽に酔いしれます。
フィナーレはこれ以上軽さをうまく表現できないような、そよ風のような入りですが、すぐにリズミカルに響き古楽器の魅力に包まれます。クッキリとアクセント効かせての演奏に慣れているせいか、ラ・ディヴィナ・アルモニアのエッジを落とした柔らかな響きがやけに新鮮に感じます。しなやかな伴奏とはこのこと。フィナーレはやはりオルガンとオケのトランス状態然とした演奏を楽しみます。オルガンという楽器の魅力を万全に表現したハイドンの筆致に感嘆。変奏がドンドン進んで最後は表現が大きくなって遊園地のコーヒーカップをぐるぐる回して目が回ってしまったような陶酔感に包まれます。めくるめく音楽の快感!

Hob.VIIa:4 / Violin Concerto [G] (c.1765/70)
1曲目からノックアウトですが、頭をリセットしてヴァイオリン協奏曲に入ります。まるでハイドン遊園地で無心に遊びまわるような気分。音楽が躍動し、すべての音楽が耳に心地よく入ってきます。アーティスティックという印象ではなく、躍動する音楽が心にドンドン沁みてくる感じ。ヴァイオリンのステーファノ・バルネスキの弓裁きは自己主張ではなく、やはり遊びまわるような無邪気な音楽の面白さをストレートに表したもの。テクニックは確かで、あまりに自然なリズム感に技巧をまったく感じさせない、真のテクニシャンのよう。微笑みながら演奏を楽しんでいるような実に愉快なヴァイオリンソロ。これもギエルミの指示によるものでしょうか。実に楽しい協奏曲。カデンツァは音楽の神様にいたずら心を捧げるような自在な音楽。これほど聴いて幸せになるヴァイオリン協奏曲ははじめてです。凛々しいハイドンではなくいたずら心を素直に表すようなハイドン。
2楽章のアダージョは圧巻の出来。しなやかな音楽が天上の音楽のように響きます。ヴァイオリンの実にせつない弓裁きに聴き入りますが、オケも合わせてこちらの期待を超える浸透力で音楽をグイグイ進めていき、ただただ聴き惚れるのみ。
フィナーレは弓裁きの妙技を味わうような楽章。コープマンのリズムを超える自在な陶酔感。ヴァイオリンのテクニックも冴え渡りますが、テクニックを誇示するというよりは、あまりに見事なフレージングにテクニックを超越した音楽に到達。やはり遊びまわるような自在さにノックアウト。

Hob.XVIII:6 / Concerto per violino, cembalo e orchestra [F] (1766)
そして、名曲ヴィアオリンとオルガンのための協奏曲。演奏のスタイルは変わらず、完成度も完璧。なにより音楽の素朴な躍動に打たれっぱなし。遊びまわるようなヴァイオリンにトランス状態のようなオルガンに感極まりそうなのでレビューは中断(笑) あとは自身で聴いて楽しんで下さい! いやスバラシイ!

Hob.XVIII:10 / Concerto per il clavicembalo(l'organo) [C] (before 1771,1760?)
最後は録音が少ないXVIII:10。曲想が複雑になりますが、ギエルミのオルガンもオケも程よくキレて素晴らしい演奏。この曲でも一貫して音楽を楽しむスタンスは抜群です。

ロレンツォ・ギエルミ操るラ・ディヴィナ・アルモニアの演奏ですが、古楽器かどうかなどまったく問題にならない、素晴らしい音楽への没入感。ハイドンの協奏曲でこれほど楽しい演奏ははじめてです。虚心坦懐に演奏を楽しんでいるのがよくわかります。まさに聴いていて幸せになる演奏です。ギエルミは先日ハイドンの交響曲全集の第1巻をリリースしたイル・ジャルディーノ・アルモニコの初期メンバーでもあり、そのイル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏にも共通するノリの良さを持っています。現代楽器演奏のアンチテーゼとしての古楽器演奏の時代は終わり、ファイに代表される自在な表現と、この演奏に見られる表現を超えた虚心坦懐な音楽を奏でる演奏の時代に突入したのでしょう。あまりの素晴らしさにびっくりしたというのが正直なところです。もちろん評価は全曲[+++++]。皆さん、この演奏を聴いて幸せを感じて下さい!

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノ協奏曲XVIII:2 ヴァイオリン協奏曲 ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6 ピアノ協奏曲XVIII:10 古楽器

ブラウティハムのピアノ協奏曲集2

昨夜はレビューの途中で時間切れ。原因は近所でそこそこ飲んでしまったため(笑)
まずは昨夜の始末を報告。

IMG_0674.jpg
ぐるなび - 肉汁うどんと炭火串焼き 汁るべ家
お通しのタコわさびとハイボールダブル! お通しとはいえわさびの利いたたこは絶品です。(日本酒にしとけば、、、)

IMG_0675.jpg
秋刀魚のたたきと生湯葉刺。秋刀魚が脂がのって美味。

IMG_0678.jpg
この前にいろいろ頼みましたが、写真撮るの忘れました(笑) 〆は鍋焼きうどん。ハイボールなどが効いていい気分! この店はうどんが美味しく、お値段も手頃なのでたまによってお酒と食事を楽しんでます。

家に帰ってブラウティハム盤に耳を峙てますが、集中力も続かず途中で断念という経緯ですね。

今夜はブラウティハムのフォルテピアノのキレはいかほどのものか、続きですね。

アルバムの3曲目はXVIII:2。1楽章の出だしは、ちょっと浮き足立った印象があります。モルテンセンは速めのテンポが頭にあるようで、フォルテピアノが入るまですこし落ち着かない展開。ブラウティハムが入るやいなや、テンポが落ち着きますが、途中でテンポの主導権争いがあるように思わせる微妙な掛け合いがあります、オケが終始速度を上げようとしているように聴こえます。中盤からテンポも落ち着き、掛け合いもテンポよくなります。
2楽章は中盤までは高音の音階によって弦主体のオケの装飾を担当するような旋律。きらめく装飾が曲想に華をそえます。その装飾が低音に移る瞬間は素晴しい閃き。この曲の最も美しい瞬間でしょう。カデンツァのような部分はその瞬間の回想を交えながらぐっと腰をおとして曲想を描きます。
3楽章は今度は最初から快速に入り、フォルテピアノとオケの細かい掛け合いの応酬。インテンポでフックを打ち合うような痛快さ。両者ともにテクニックの冴えが素晴しい仕上がり。

そして最後のXVIII:4です。この曲はぐっと落ち着いた入り。最初から少し練り気味のオケがいい感じ。フォルテピアノは軽いタッチでで主題を奏でます。余裕たっぷりの弾きぶり。途中の転調部分が小気味好いアクセントになって曲に変化をつけ、それほど複雑でもない曲の、曲想の面白さを演出。
2楽章はオケがすり足のような不思議なリズム感で入ります。序奏のあとの静寂から、フォルテピアノがゆっくり入り、つぶやくようなフレージング。静寂と優しさが支配する音楽。フォルテピアノによる美しさが良くマッチしていますね。詩的なカデンツァをゆったり披露して終了。
3楽章は颯爽とはじまりやはり快速に飛ばします。オケのキレのよい音色が前楽章との対比を際立たせます。最後は鍵盤を縦横無尽に駆け巡るブラウティハムのテクニックとオケが融合してフィニッシュ。
後半2曲も出来に少々差があるというのが私の見立てです。

評価はXVIII:2が[++++]、XVIII:4が[+++++]としました。ブラウティハムのハイドンの協奏曲は古楽器による演奏のスタンダードとしてもお薦めできるものといえるでしょう。

ブラウティハムにはソナタの録音もほぼ全曲あり、こちらもそのうち取り上げなくてはならない演奏ですね。そして今回指揮をしたモルテンセンの方もハープシコードを弾いたソナタの録音があります。取り上げなくてはならない演奏に限りはありませんね。(うれしい悲鳴です!)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノ協奏曲XVIII:2 ピアノ協奏曲XVIII:4 古楽器 おすすめ盤

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

最新記事
カテゴリ
タグリスト
スクロールできます。

剃刀ひばり古楽器弦楽四重奏曲Op.77弦楽四重奏曲Op.103ピアノソナタXVI:46ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:31ファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:268人のへぼ仕立屋に違いない東京オペラシティバードタリスパレストリーナモンテヴェルディアレグリ天地創造すみだトリフォニーホールピアノ協奏曲XVIII:11ライヴ録音マーラーストラヴィンスキー弦楽四重奏曲Op.9アンダンテと変奏曲XVII:6ピアノソナタXVI:48ピアノソナタXVI:6交響曲97番ヒストリカル告別交響曲1番美人奏者ピアノソナタXVI:39四季迂闊者交響曲70番交響曲12番東京芸術劇場太鼓連打ピアノ協奏曲XVIII:7ピアノ協奏曲XVIII:3アコーディオンピアノ協奏曲XVIII:4SACDバリトン三重奏曲スコットランド歌曲ガスマンディヴェルティメントヴェルナーモーツァルトベートーヴェンシューベルトLPピアノソナタXVI:38ラメンタチオーネ哲学者交響曲80番交響曲67番ピアノソナタXVI:24交響曲46番交響曲35番交響曲51番協奏交響曲ヴァイオリン協奏曲DVDピアノソナタXVI:49ピアノソナタXVI:52交響曲47番十字架上のキリストの最後の七つの言葉テレジアミサピアノソナタXVI:28ピアノソナタXVI:34ピアノソナタXVI:21ピアノソナタXVI:23ピアノソナタXVI:40アリエッタと12の変奏XVII:3ピアノソナタXVI:20サントリーホールラ・ロクスラーヌ帝国弦楽四重奏曲Op.76皇帝ハイドンのセレナードピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:51五度ラルゴピアノ三重奏曲弦楽四重奏曲Op.64日の出チェロ協奏曲ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:44ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.1弦楽四重奏曲Op.33軍隊リヒャルト・シュトラウス騎士弦楽四重奏曲Op.74弦楽四重奏曲Op.20交響曲17番ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:27シベリウス武満徹時の移ろい交響曲4番無人島交響曲42番ベルリンフィル交響曲19番ホルン信号弦楽四重奏曲Op.55弦楽四重奏曲Op.54王妃交響曲87番交響曲86番フルート三重奏曲トランペット協奏曲ピアノソナタXVI:29ピアノソナタXVI:25驚愕時計ロンドンリュートピアノソナタXVI:10ピアノ五重奏曲ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6チェチーリアミサラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン東京国際フォーラム雌鶏交響曲39番冗談ナクソスのアリアンナ英語カンツォネッタ集アレルヤピアノ協奏曲XVIII:9ピアノ協奏曲XVIII:5ヴァイオリンソナタバッハ交響曲52番ホルン協奏曲ピアノ協奏曲XVIII:2交響曲78番交響曲79番交響曲81番交響曲99番ロンドン・トリオブルックナー交響曲88番オックスフォードモテットドイツ国歌カノンオフェトリウムスタバト・マーテルピアノソナタXVI:42弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールクラヴィコードパッヘルベル弦楽四重奏曲Op.17交響曲102番アダージョXVII:9受難ピアノソナタXVI:35パリセット交響曲84番ベルクブーレーズ交響曲全集主題と6つの変奏弦楽四重奏曲Op.71オペラアリアスクエアピアノピアノソナタXVI:41ショスタコーヴィチ交響曲57番交響曲68番オーボエ協奏曲リラ・オルガニザータ協奏曲悲しみリーム交響曲89番交響曲50番偽作CD-Rトビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタオルガン協奏曲交響曲38番火事リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10奇跡交響曲18番交響曲77番交響曲34番温泉フルートソナタ交響曲98番ドイツ舞曲誕生日交響曲90番校長先生交響曲93番ピアノソナタXVI:47bisピアノソナタXVI:11音楽時計曲ピアノ小品カートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストシェーンベルクピアノソナタXVI:14オーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲66番交響曲91番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響第九オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:12変奏曲XVII:7ピアノソナタXVI:22オペラ序曲天地創造ミサジャズネルソンミサ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノピアノソナタXVI:2ヴェーベルン哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェライヴ府中の森芸術劇場マリア・テレジア裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ピアノソナタXVI:8ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャ交響曲56番マリアテレジア交響曲27番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場弦楽四重奏曲Op.2皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ小オルガンミサ新橋演舞場交響曲5番交響曲10番サルヴェ・レジーナテ・デウムカッサシオン室内楽曲ピアノソナタXVI:45ベトナム料理国立新美術館高音質CDドビュッシー交響曲28番交響曲13番交響曲95番交響曲108番交響曲107番変わらぬまこと交響曲62番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲交響曲9番交響曲2番交響曲3番スカルラッティ声楽曲カンタータ戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲54番交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中交響曲58番ピアノソナタXVI:30カラヤン弦楽三重奏曲スウェーリンク書籍交響曲65番ニコライミサ交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽Blu-ray狩りピアノソナタ

ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2016年9月のデータ(2016年9月30日)
登録曲数:1,361曲(前月比+3曲) 登録演奏数:9,608(前月比+87演奏)
月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

音楽家、音大生、音楽愛好家のブログランキング。
音楽ブログランキング

このブログの成分解析。キーワードによるブログランキング。
blogram投票ボタン

大家さんFC2のクラシックブログランキング。


おすすめ(音楽)
ハイドンの超厳選名演盤。
AdamFischer97.jpg
沸き上がる興奮(Blog記事

Gloukhova2.jpg
ピアノソナタ新風(Blog記事

RialAria.jpg
恋人のための...(Blog記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック。


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実。
HMVジャパン
HMV ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

クラシックの独自企画・復刻盤は要注目。


おすすめ(音楽以外)




アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
98位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
5位
アクセスランキングを見る>>
twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ