スクロヴァチェフスキ/読響のブルックナー8番(東京オペラシティ)

今日は東京オペラシティのコンサートに行ってきました。待ちに待ったコンサート。

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読売日本交響楽団:スクロヴァチェフスキ指揮 特別演奏会 《究極のブルックナー》 2日目

スクロヴァチェフスキはなんと92歳。高齢ゆえ、前回2014年10月のコンサートを聴きに行った時も、これで聴き納めかもと思っていましたが、またまた来日して、しかも曲目はブルックナーの8番ということで、このコンサートが発表された時からチケットをとってあったもの。これまでスクロヴァチェフスキのコンサートは定期公演に組み込まれていましたが、今回は「特別演奏会」という企画。もしかしたら、本当にこれで聴き納めかもしれないとの想いもよぎります。

普段はハイドンばかり聴いていますが、ブルックナーも嫌いではありません。ただ、自宅のオーディオセットで長大なブルックナーの曲を通しで聴ける忍耐力もなく、ブルックナーは最近は専らコンサートで楽しんでいます。ふとしたことから2010年に読響のスクロヴァチェフスキの8番のコンサートに行き、あまりの熱演に腰を抜かして、以来スクロヴァチェフスキのブルックナーはほとんど聴いています。一度東京芸術劇場での7番を、チケットはとってあったのに仕事で行けなかったのが痛恨事でした。コンサートレポートも随分書いています。

2014/10/10 : コンサートレポート : スクロヴァチェフスキ/読響のブルックナー&ベートーヴェン!(サントリーホール)
2013/10/13 : コンサートレポート : 90歳のスクロヴァチェフスキ/読響/サントリーホール
2012/09/30 : コンサートレポート : 東京オペラシティでスクロヴァチェフスキ/読響の英雄に打たれる
2011/12/27 : コンサートレポート : スクロヴァチェフスキ/N響の第九(サントリーホール)
2011/10/19 : コンサートレポート : スクロヴァチェフスキ、オペラシティでのブルックナー爆演
2010/03/25 : コンサートレポート : 読響最後のスクロヴァチェフスキ

今日の東京は夜は雪の予報。この重要なコンサートに万が一にも遅れてはならぬということで、いつもよりも余裕をもって出かけ、東京オペラシティには開場の30分前には到着。

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周りをうろついているうちに開場時刻となり、ホールに戻ってみると、すでにごった返していました。

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ベストコンディションにコンサートに臨むため、赤ワインにエスプレッソを煽り、脳の神経が最も冴え渡るよう体調をコントロール(笑)

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久々のオペラシティですが、1階の平土間席はあまり好きでないため、サントリーホールの定番席同様、2階席の右側、指揮者とオケを右から見下ろす席をとりました。(写真は2階席正面奥からのもの)

流石にスクロヴァチェフスキのコンサートということで、客席は満席。開演時刻をすこし過ぎたところで場内の照明が落ち、オケのメンバーとこの日のコンサートマスターの長原さんが登壇してチューニング。この開演前のそわそわした雰囲気はいいものですね。そしてスクロヴァチェフスキがステージに姿を見せたとたん割れんばかりの拍手が降り注ぎます。以前から登壇の時は足が悪そうで引きずっていましたが、今回は右足が曲がらないのか、かなり引きずるようす。それでもゆっくりゆっくり自分で歩いて指揮台に登り、いつものように気さくな笑顔で拍手に応えます。実際に姿をみてようやく安心。

そして独特の短い指揮棒を振り下ろすや否や、脚の悪さなど微塵も感じさせない矍鑠とした指揮姿を見せ、オケから荘重な響きを引き出します。今日の演奏、スクロヴァチェフスキも読響も神がったような素晴らしい集中力。指揮台には譜面台と楽譜が置かれていましたが、一度も開くことなく、すべて暗譜で指揮

1楽章からオケは乱れることなくスクロヴァチェフスキの指示に完璧に応え、表現は精緻さを優先させ、スクロヴァチェフスキとしてはやや抑え気味。読響は特にヴァイオリンをはじめとした弦楽器陣のビロードのように揃ったトレモロの演奏が秀逸、金管陣もほとんど乱れることなくバリバリと号砲で迫力を加えます。ティンパニは溜めの効いたバチさばきの岡田さんではなく武藤さんという人で、シャープなリズムでさらりとこなします。メロディーを歌わせるところの朗々とした表情と、全奏部の圧倒的な力感、そして時折すっと静寂に沈むところを自在にコントロールしていくのはスクロヴァチェフスキならでは。2楽章まではセッション録音の演奏のように完璧な演奏でしたが、様相が一変したのが3楽章のアダージョから。それまでも素晴らしい演奏だったんですが、アダージョはスクロヴァチェフスキの面目躍如。表現の幅が一段と大きくなり、ホール内もスクロヴァチェフスキの棒に完全にのまれます。深々と鳴動するフレーズ。ホールに響き渡る轟音。そして完全にそろった3台のハープから流れる美しいメロディー。爆音の後、静寂に吸い込まれていく余韻。長大な3楽章を何度も峠を越えながら終盤のクライマックスに向けて盛り上げていく手腕は見事。しかもずっと立ちっぱなしでの指揮にもかかわらず、まったく疲れを感じさせない矍鑠としたスクロヴァチェフスキ。オケに緻密に指示を出しながらものすごいダイナミックレンジを制御します。このアダージョの神々しさは今まで聴いたことのない高みに達していました。
フィナーレの冒頭の喧騒は、テンポを上げて火の玉のようなオケのパワーで圧倒。アダージョとの対比からか、全般に速めに曲をすすめますが、終盤に至り、天上から光が差すように荘厳な雰囲気を作り、最後の号砲を轟かせて終わります。

静寂を突き破るようにフラインブブラボーと拍手が降り注ぎますが、スクロヴァチェフスキは微動だにせず無視。それを見てお客さんが静寂にもどってようやくタクトを置くと、ホールをつんざくような拍手とブラヴォーが降り注ぎ、ようやくスクロヴァチェフスキが拍手に応えます。タクトを置くのを我慢できない一部のお客さんのイマイチなマナーを、さらりと制するスクロヴァチェフスキの粋なさばきに皆笑顔に戻りました。もちろん客席は総立ちで92歳の老指揮者の渾身の名演を讃えます。袖に下がるときはもちろん脚をひきずりながらゆっくり歩いてですが、この名演に拍手がやむはずもなく、オケのメンバーを讃え、お客さんの拍手に応えて何度もステージ上に呼び戻されていました。最後はオケのメンバーが下がったあとも2度ほどステージに昇り、胸に手を当てて深々と笑顔で挨拶する姿が感動的でした。

この奇跡のような素晴らしい時間。指揮棒ひとつで全ての観客の心を奪う大伽藍のような音楽を繰り出ますが、どこにも媚びたところもなく、純粋無垢な音楽が次から次へお湧き出てくるような素晴らしい説得力。再度来日する機会があるのでしょうか。92歳という年齢からすると可能性は低くなってくるかもしれませんが、できればもう1度、奇跡の時間を味わいたいものです。

2日前の東京芸術劇場でのコンサートにはNHKの収録が入ったとのことですので、放送があるかもしれませんね。生とは迫力がちがいますが、スクロヴァチェフスキという人の真価を知るにはいいものだとおもいますので、コンサートを聴かれていない方は放送にご期待ください。

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tag : 東京オペラシティ ブルックナー

カンブルラン/読響のリーム、ブルックナー(サントリーホール)

相変わらず忙しい日が続いておりますが、本日は以前からとってあったチケットを持ってコンサートに出かけました。

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読売日本交響楽団:第547回定期演奏会

シルヴァン・カンブルラン(Sylvain Cambreling)指揮の読売日本交響楽団の演奏で、プログラムはリームの「厳粛な歌」−歌曲付き、とブルックナーの交響曲7番の2曲。実は数日前の同じくカンブルランと読響のコンサートプログラムにはハイドンの驚愕が入っていたんですが、物の見事に見逃していました。

ここ数日東京は真冬のように寒く、この日はあいにくの雨。いつもはコンサートの開演前に外でのんびりお茶でも飲んでから入るのですが、仕事もいろいろあってサントリーホールに着いたのは開演15分前。嫁さんが先に到着していて、すでにサンドウィッチとワインを注文済みでした。

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ワインをちょいといただいて落ち着いたところで、席へ。

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この日はお気に入りのRA席の最前列。同じRAでも最前列だとよりオケに近く響きもダイレクトさが増しますね。着席時にはオケのメンバー数人がステージ上で慣らし運転(笑)してました。私が行く読響のコンサートは満席に近い事が多いのですが、この日は8割ほどの入りでしょうか。けっこう空席が目立ちました。

1曲目のリームの「厳粛な歌」−歌曲付きは日本初演ということです。日頃ハイドンばかり聴いてはいても、現代音楽はわりと好きで、ベルクあたりからリゲティ、メシアン、デュティユー、ブーレーズくらいまで手元にもいろいろなアルバムがあり、たまに聴いていますが、リームはアバドがウィーンフィルを振った演奏会のライヴである「ウィーン・モデルン」というアルバムに収録されている「出発」という曲以外聴いたことがありません。ただこのアバドのアルバムに収められた「出発」という曲は空間に打楽器とコーラスが響きわたる素晴らしいもの。アルバム自体も現代音楽の息吹に圧倒されるような素晴らしいものということで、実はこの日のコンサートはブルックナーではなく1曲目のリーム目当てでとったもの。

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Wien Modern

リームは1952年、ドイツ・カールスルーエに生まれた作曲家。Wikipediaで調べてみると上記のアバドのコンサート後、アバドつながりでベルリンフィルのコンポーザー・イン・レジデンスとなったとのこと。リームはほぼ即興的に曲を書くため多作で編成の大きな曲が多いこと、ドイツ文学への造詣が深く、ドイツ語の歌詞を伴う曲が多いため、ドイツ語圏では圧倒的な評価を得ているそうですが、非ドイツ語圏との評価にギャップがあるとのこと。プログラムの広瀬大介さんの解説によると録音も十分に揃っていず、まだまだ作品研究は緒(いとぐち)に就いたばかりとのこと。

この曲はウォルフガング・サバリッシュの委嘱により作曲され、ブラームスの没後100年の1997年に初演され(作曲は前年)、ブラームスの後期ピアノ作品、歌曲を研究した末誕生した作品とのこと。ヴァイオリン、フルート、オーボエ、トランペットなどの高音楽器が奏でる叙情性を排した断片的なメロディーが特徴とのこと。終盤ゲオルク・ビューヒナーの最晩年のテキストによる歌が入りります。



開演時刻になり、1曲目のリームの曲にあわせた中規模なオケの配置にメンバーが揃うとカンブルランとバリトンの小森輝彦さんが入場。リームはウィーン・モデルンで聴かれたパーカッションの活躍のようなキレ主体ではなく、静寂と微妙な響きの変化、意外性を狙ったような旋律の変化と楽器間の掛け合いなどが主体の曲。20分弱ぐらいの曲でしょうか。カンブルランはいつもどおり、体全体でかなり大きなアクションで各パートに指示を出しながら全体をコントロール。流石に現代音楽を得意としているだけあって、表現は見事でしたが、曲のせいでしょうか、あまり緻密な印象を受けませんでした。これはウィーン・モデルンに収録された「出発」と比べての印象かもしれませんね。終盤登場するバリトンの小森輝彦さんは声量、声の張り、現代音楽らしい峻厳さもあわせもって素晴らしい歌唱でした。リームの作品の国内初演ということで、観客も盛んにブラヴォー連発。なかなかいい演奏でした。

休憩を挟んでブルックナー。休憩中にステージいっぱいに席がひろげられ、大オーケストラに変わります。読響でブルックナーといえば、もちろんスクロヴァチェフスキ。このところ来日の度にスクロヴァチェフスキのブルックナーを聴き、昨年も0番を聴きに行きましたがそのたびにスクロヴァチェフスキの構築する巨大なブルックナー伽藍に圧倒されるのですが、今日はフランス人シェフのカンブルラン。こちらは、どうなるかという興味本意で聴きにきたといいうところ。

カンブルランのブルックナーは弦楽器を一貫して滑らかに磨き込み、一貫して力感重視、そして強音部のダイナミクス重視というところ。1楽章はよく磨き込まれた金属細工のように流麗かつ全音符に艶がのったような造り。おそらく休符で音楽をくぎるところが流麗なつながりを重視するがためにちょっと平板な印象を与えてしまっている印象。ブルックナーの音楽の骨格のようなものよりも表面の響きの美しさを重視しているという印象でした。オケは金管陣がちょっと不揃いなところが散見されましたが、徐々に調子もあがって、1楽章の最後はホールを揺るがすような大音響で観客を圧倒しました。
アダージョはフレーズの息の長さよりも起伏を重視した設計。フレーズ単位で磨き込むカンブルランの作法が徹底していて、深遠さよりも音色の変化、表情の変化を際立たせようとしているよう。
よかったのが続くスケルツォ。ブルックナーの楽章のなかでカンブルランの作法に一番マッチしていたようです。逆にフィナーレはブルックナーの意図した混濁と秩序の行き来の妙のようなものがちょっと平板に力づくでむすびつけられているようでちょっと落ち着きませんでした。クライマックスへもあっという間に到達して、じっくり頂点に向かうような荘厳な印象というよりは、響きの起伏という感じで、4楽章の素晴らしい構築感が弱かったという印象。それでもフルオーケストラの大音響は素晴らしく最後はブラヴォーの嵐が降り注いでいました。

やはり今日のブルックナーは心のなかではスクロヴァチェフスキの演奏と比べて聴いてしまっていたというのが正直なところ。あの陶酔感、あの静寂、そしてうなるようなメロディーをくっきりと浮かび上がらせるスクロヴァ爺の神業の刷り込みが深く刻まれているということでしょう。観客の反応は非常によかったので、私の個人的な感想ということでご理解いただきたいと思います。



さてさて、コンサートも終わって外に出るとまだ冷たい雨が降っていました。いつも寄るサントリーホールの周りのレストランは貸切や満席ということで、珍しくコンサート後にラーメンです(笑)

食べログ:博多豚骨たかくら赤坂店

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瓶ビール!(笑)

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こちらがあっさり豚骨一番釜スープ。麺は固め。

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こちらが濃厚豚骨二番釜スープ。なんとなく勢いで「かえだま」いっちゃいました(笑) 2人で1玉ですが。隣の若い女性2人組は1人1玉注文してました!

寒かったのでラーメンで温まってちょうどよかったです。激辛高菜をちょっとまぜるとスープにさらにコクが加わりよかったです。博多ラーメンは久しぶりでしたが、ここは美味いです。おすすめですね。

さてさて、またレビューにもどりませんと、、、

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スクロヴァチェフスキ/読響のブルックナー&ベートーヴェン!(サントリーホール)

書きかけの記事がいくつかあるんですが、10月9日はコンサートに出かけましたので、レポートしときます。

読響とその桂冠名誉指揮者、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキのコンサート。毎回これが最後かもとの不安がよぎるなか、このところ毎年コンサートに出かけています。今年も読響にやってくるということでチケットとってありました。今回のプログラムはブルックナーの交響曲0番にベートーヴェンの交響曲7番。まずはコンサート情報を。

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読売日日本交響楽団:第541回定期演奏会

スクロヴァチェフスキは1923年10月3日生まれ。つまりこのコンサートの時には91歳ということになります。この日もその年齢が信じられないほどのキビキビとした指揮でサントリーホールを陶酔の坩堝と化してしまう素晴しい指揮ぶり。これまで何度もスクロヴァチェフスキのコンサートに通っていますが、間違いなく過去最高の出来でした。これは事件といってもいいほどの素晴しい出来。この日の聴衆はもの凄いエネルギーを発するスクロヴァチェフスキから、得難い音楽体験を受け取ったことでしょう。

2013/10/13 : コンサートレポート : 90歳のスクロヴァチェフスキ/読響/サントリーホール
2012/09/30 : コンサートレポート : 東京オペラシティでスクロヴァチェフスキ/読響の英雄に打たれる
2011/12/27 : コンサートレポート : スクロヴァチェフスキ/N響の第九(サントリーホール)
2011/10/19 : コンサートレポート : スクロヴァチェフスキ、オペラシティでのブルックナー爆演
2010/03/25 : コンサートレポート : 読響最後のスクロヴァチェフスキ



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コンサートの開演はいつもどおり19:00。仕事を17:30ごろ切り上げ一路サントリーホールに向かいます。先についていた嫁さんとホール前のカフェでで合流して開演を待ちます。流石にスクロヴァチェフスキの公演だけあって、開演前にはホールの前はかなりのお客さん。読響のスクロヴァチェフスキの公演の素晴らしさを知ってか、一様に笑顔で開演前の時間を楽しんでいます。いつものように開演を知らせるパイプオルゴールが広場に鳴り響き、開演を待っていたお客さんがホールに吸い込まれます。

ホールに入るとまずは2階のドリンクコーナにまっしぐら(笑)。 

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まずはワインにサンドウィッチで腹ごしらえというところですが、開場直後にもかかわらずサンドウィッチが売り切れ! どうゆうことでしょう。なぜか嫁さんが鞄から大きなオリーブ入りフォカッチャを出して、勧めます。なんとなく気が引けましたが、サンドウィッチを切らしたサントリーホールのドリンクコーナーに明白な落ち度有りと妙に納得して、ワインとともにフォカッチャをがぶり。もちろん写真は撮りませんでしたが、2階のドリンクコーナーで巨大なフォカッチャをほおばる客を発見した皆さん、それは私です(笑)

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この日はいつものRA席。指揮者もオケもよく見えて、音もダイレクトに響くお気に入りの席。

1曲目は、あんまり馴染みのないブルックナーの0番交響曲。家に帰ってからザールブリュッケン放送響とのブルックナーの交響曲全集のCDを確認してみると、こちらにも0番は収録されており、他の指揮者はあまり取り上げないもののスクロヴァチェフスキは得意としている曲のようです。いづれにせよコンサートで聴く機会は滅多になかろうということで、聴く側も若干緊張気味。

定刻少し前にオケのメンバーがステージ登場。そして拍手に迎えられてコンサートマスターが登場しチューニング。この日のコンサートマスターは長原幸太さん。チューングを終えたステージ上に袖からスクロヴァチェフスキが登場すると、まさに嵐のような拍手。皆さん91歳にもなる指揮者の登場に早くも興奮気味。興奮と暖かさの入り交じった拍手の嵐にスクロヴァチェフスキも笑顔で応えます。いつもどおり脚をすこし引きずりながら指揮台に向かいますが、体調は悪くはなさそうです。前回コンサートの時より少し痩せたでしょうか。そして指揮台にあがり、いつもどおり極端に短い指揮棒を振り上げた途端、水をうったような静寂からブルックナー独特の弱音からの開始。リズミカルに音階を進めるとすぐに吠える金管。この日の読響、特に前半のブルックナーは完璧なアンサンブル。よほど練習を重ねたのか、弦楽セクションのボウイングは見事の一言。コンサートマスターの長原さんにピタリと従うように全員の弓がそろうところは圧巻。スクロヴァチェフスキが頬を膨らませながら振るタクトにもピタリとついて、しかも分厚い、まるでベルリンフィルのような深い響きをホールに轟かせていました。こちらが曲になじみが無い分、音楽が記憶を通りこしてダイレクトに脳髄に響きます。ブルックナーは習作として、番号をつけなかったこの曲ですが、スクロヴァチェフスキの手にかかると、いつものような巨大な伽藍が出現し、圧倒的な迫力。1楽章のアレグロは時折現れるもの凄い推進力のメロディーと静寂、深い呼吸が交錯する見事な構成。これほどのスケールの曲であると実演ではじめて知りました。
爆音の響きに酔えた1楽章に続いてアンダンテは、深い淵を思わせる沈みこみ。一転して精妙なオケの音の重なりによって荘重なメロディーが奏でられます。研ぎすまされたヴァイオリンの美しいメロディーを木管が響きを華やかに隈取り、幽玄な転調を加えながら独特の神々しさを感じさせます。このへんのスクロヴァチェフスキのコントロールは他の曲での演奏の通り、弦の深々としたフレーズと独特の唸りによって常人には表現できない世界観に至ります。まさにスクロヴァ節。
続くスケルツォはまさにオケが轟きまくります。速めのテンポで極端なアクセントを多用しながらも非常に流れの良い音楽。いつものようにティンパニの岡田さんが渾身の一撃を加え、頬がびりつくような轟音で音楽を引き締めます。ティンパニの岡田さん、これもいつも通り頻繁にマレットを変え微妙に響きを変えています。
フィナーレは癒されるような響きからはじまり、轟音を織り交ぜながらオケをグイグイと煽って音楽を創っていきます。指揮台に登るまでの足腰の弱さはどこにいったのか、指揮台のスクロヴァチェフスキの動きの機敏さと、リズムの正確さは驚くほど。ブルックナーの長大な曲を渾身の力で降り続けていますが、まったく疲れらしきものは見えず、クライマックスに向けてひたすらオケを煽っていく姿は、すでに神がかってます。ホール中がスクロヴァチェフスキの造り出す音楽と発散するエネルギーに圧倒されっぱなし。終盤のクライマックスは観客も身を乗り出してエネルギーを浴びるよう。最後の一音を轟かせ、スクロヴァチェフスキがタクトを下ろすと、場内から嵐のような拍手が降り注ぎます。スクロヴァチェフスキもオケの素晴しい出来に満足したのかオケを讃えながら拍手に応えていました。プログラムの前半から場内は異様な興奮につつまれていました。観客も脚の悪い爺を気遣ってか、カーテンコールは2度ほどで休憩に入ります。

あまりに素晴しい出来のオケに、後半のベートーヴェンにも期待が高まりますが、後半のベートーヴェンの7番、その予想を遥かに上回る怒濤の演奏でした。ベートーヴェンの7番といえば私の世代の刷り込みはもちろんカルロス・クライバー。熱狂の坩堝に叩き込まれる舞舞踏の聖化ですが、最初はクライバーの演奏と脳内で比べながら聴いてしまっていました。しかし、2楽章以降は完全にスクロヴァチェフスキの術中にハマりました。

1楽章は思いのほかオーソドックスに攻めてきます。テンポは予想したほど速くなく荘重な印象。前半のブルックナーの轟音が耳に残る中、逆に古典の矜持をあらためて保とうとする意図か、スクロヴァチェフスキもあえて少し抑え気味の1楽章の入り。印象が一変したのは2楽章。それまでどこかでクライバーの演奏をイメージしながら聴いていましたが、一楽章の最後の一音が鳴り終わるとアタッカですぐに2楽章に入り、そのフレージングはまさにスクロヴァチェフスキの真骨頂。さざ波のようにざわめく弦。現代風のあっさりした演奏とは対極にあり、しなやかにメロディーを刻みながらも、かなりはっきりとしたコントラストをつけて媚びない劇性を表現。ベートーヴェンの音楽がスクロヴァチェフスキによってちょっとブルックナーチックに響きます。そして、3楽章のスケルツォにもアタッカで入りますが、指揮棒を振り下ろす瞬間の気合いが凄い。鬼気迫るとはこのこと。ここからグイグイオケを煽ってフルスロットルの連続。スクロヴァチェフスキのエネルギーがオケに乗り移ってホールを揺るがすような迫力。フィナーレに入る時にはスクロヴァチェフスキの気合いが声になって注がれ、フルスロットルどころかオーバーヒート寸前の気合いの嵐。読響もスクロヴァチェフスキの煽りに見事についていき、ティンパニは皮が張裂けんばかりの打撃で応えます。この音楽と煽り、エネルギーが91歳の老指揮者から生み出されているとは信じられません。最後のリズムがカオスに包まれるところのコントロールも盤石。爆風のようなクライマックスを迎え最後の一音がなり終わると、今まで聴いた事のないようなブラヴォーの嵐が降り注ぎます。すぐにスタンディングオヴェーションになり、オケも一緒に老指揮者に惜しみない拍手を送ります。まさに奇跡のような音楽。ホールの全観客がスクロヴァチェフスキに打ちのめされた、心地よい脱力感。奇跡の瞬間に立ち会った観客の興奮したようすがホール内に満ち、脚を引きずりながらも何度かのカーテンコールに応じますが、爺が握手でコンサートマスターに退場を促します。オケのいなくなった広いステージに再び呼び戻されたスクロヴァチェフスキの快心の笑顔に観客も満足したのか、拍手が止んで素晴しいコンサートが終わりました。

ここ数年スクロヴァチェフスキのコンサートには通ってますが、いつも最高の演奏。今回はこれまでで最高の出来だと思います。ただ力任せな演奏ではなく、オケがクッキリとコントラストがついて格調高く響き、そして振り切れんばかりに鳴らせきってしまう手腕は見事。演奏に老いの影はなく、溌剌としてダイナミック、そして深い響き。この高みはどこまで行くのでしょうか。ほんとうに素晴しいコンサートでした。



心地よい興奮のなか、この日はサントリーホールの並びのカフェで反省会。

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食べログ:ARK HiLLS CAFE

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グラスワインに前菜盛り合わせ、パスタなどをいただきましたが、カジュアルな割に美味しいお店。料理が出てくるのも速いのでコンサートの反省会に向いています。

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サントリーホールのコンサートチケットを見せるとデザートがついてくるというサービスもいいですね。

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コンサートの余韻を楽しみながらゆっくり食事をして帰りました。

この至福の時間、再び味わう事ができるでしょうか。もちろん、スクロヴァチェフスキのコンサートの予定が発表されれば、次の機会もぜひ聴きたいものです。

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スクロヴァチェフスキ、オペラシティでのブルックナー爆演

今日は東京オペラシティでコンサート。

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東京オペラシティ文化財団:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮のザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニーの東京公演。プログラムはモーツァルトの交響曲41番「ジュピター」とブルックナーの交響曲4番「ロマンティック」。

スクロヴァチェフスキのコンサートは昨年3月に読売日本交響楽団の音楽監督最後の公演でブルックナーの8番を聴き、生のオーケストラの大伽藍を満喫しました。今度はおなじみのオケとの組み合わせでの公演と知り、チケットをとってあったもの。スクロヴァチェフスキの年齢を考えると、もう何度も聴けないとの思いもあります。以前のコンサートレポートはこちら。

2010/03/25 : コンサートレポート : 読響最後のスクロヴァチェフスキ



久々のオペラシティ。今日は仕事が予定通り終わったので、オペラシティには開場間もなくの時間に到着。

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いつも通り、オペラシティのカフェでサンドウィッチと白ワイン、嫁さんはコーヒーで腹ごしらえ。入口でもらったチラシ等をちらちら見ながらワインでいい気分。オペラシティは規模が大きすぎず、落ち着いた雰囲気がいいですね。

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今日の席は右側前から数列のいい席。いつものように開演前のざわめきを楽しみながらのんびりと待ちます。開演前のステージをこっそりパチリ。今日は指揮台の周囲に4本のマイクが立てられていましたので、ライヴ収録があるようですね。終演後ドイツの放送局が録音していたとの張り紙がしてありました。

お客さんの入りは前の方が少し空いていましたが、程よく埋まってちょうどいい感じ。

定刻を少し過ぎたころにオケがステージに上がります。最初はジュピターなので編成は大きくありません。オケがそろって2段階のチューニングが終わったところで、割れんばかりの拍手のなかスクロバチェフスキが登場。1923年生まれということで88歳! お元気そうではありますが、指揮台に登るときに手すりに頼らないと登れなさそうなところに年齢を感じます。

独特の短い指揮棒を振り上げた途端、引き締まったジュピターの1楽章がはじまります。音楽がはじまるととても88歳という年齢が信じられない機敏な動き。ジュピターは速めのテンポでドイツの重厚さを感じさせながらも非常に引き締まったタイトな響き。下手な若手の指揮よりもよほど若々しい響きに驚きます。ノンヴィブラートだったりするようなことはなく、新しいスタイルではありませんが、キビキビとしたフレージングと独特のメリハリ、アクセントが音楽を活き活きとさせています。3楽章までは、それでもエンジン全開前のならし運転のような風情もありましたが、終楽章に入ると、異次元の迫力。テンポは一層速まり、アクセントのキレも最高。そしてオケから放たれる凄まじいエネルギー。アポロン神殿のような均整のとれた古典的姿ではなく、畳み掛けるエクスタシーのような終楽章。モーツァルトの天才的は音楽がスクロヴァチェフスキの魔術で古典的均整を越えたデフォルメすら感じさせるエネルギーの塊のようなフィナーレとなりました。前半のプログラムから嵐のような拍手とブラヴォー。恐ろしいエネルギーにしばし放心。

休憩にはいると早速ステージ一杯にオケの座席を拡張。後半のブルックナーは私の聴いたコンサートでは間違いなく一番の出来。号砲と静寂、祈りにも似た深い弦の響き。ブルックナーの交響曲の録音では伝わなない殺気のようなものまで感じさせる素晴らしい体験でした。

1楽章はステージ全体から発せられる抑えこんださざ波のようなトレモロにホルンの聞き慣れたフレーズ。会場の霧のような静寂からほのかに光が射すようなブルックナー特有の開始。録音で聴くのとは明らかに異なる気配。冒頭からフルオーケストラが振り切れるような号砲とスクロヴァチェフスキ特有のドイツ風ながら伸びのある弦のメロディーが繰り返され、いきなりブルックナーの大伽藍が眼前に出現。ジュピターとは逆にゆったりしたテンポとスクロヴァチェフスキ流の間を挟んだ流れのよいフレージングでブルックナーの名旋律をたどって行きます。長大な1楽章だけでも壮大な建築物を眺めるような緊密な構築感。今日はオーケストラのノリもよく、ヴァイオリンパートは素晴らしく深いフレージング。そしてブルックナーのメロディを奏でるのに最も特徴的なのがヴィオラ。今日はヴィオラもキレていました。ホルンは非常に安定した演奏。右サイドだったのでコントラバスも素晴らしいメリハリを表現しているのが良く聴こえました。
2楽章はピチカートを多用して朴訥なメロディーを浮かび上がらせます。終盤の盛り上がりは素晴らしい効果。フルオーケストラの号砲とその消え入る余韻までのタケミツメモリアルの空間に響き渡る余韻。オーケストラの醍醐味を満喫。3楽章は何度もオーケストラが爆発。3楽章が終わるとスクロヴァチェフスキは眼鏡をはずして汗を拭くほど。
そしてフィナーレは宇宙との交信のごとき超絶的な音楽。最後の一音がなり終わった後はしばしの静寂。スクロヴァチェフスキが手をおろしてようやく拍手とブラヴォーの嵐。オケのメンバーの快心の笑顔が今日の出来を物語っていましたね。スクロヴァチェフスキはやはりオーケストラコントロールの達人ですね。

今日はオペラシティのホールが吹き飛ばんばかりの素晴らしい迫力でした。何度もステージに呼び戻されブラヴォーの嵐。最後はオケが出払った後も、今日大活躍の首席ホルン奏者やコンサートマスターと一緒に拍手に応じていました。今日は心に残るいいコンサートでした。



コンサート前のサンドウィッチももう消化済み。それゆえオペラシティの地下鉄からの入口の横にあるインドカレーで嫁さんと反省会。

食べログ:ガンジス 初台オペラシティ店

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もちろん、生ビール。嫁さんはマンゴビール(笑)

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カレーのセットを頼んだら出てきた野菜スープ(ニンニク風味)。なかなか旨い。

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ナンとご飯にカレー2種、タンドリーチキンのようなものにサラダまでついています。カレーはマイルド系ながら生姜が効いていました。なかなかのお味でしたね。



今日は十分いいコンサートを堪能できました。明日からまた仕事ですね。ふぅ。

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Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
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