エルヴェ・ジュランのホルン協奏曲など(ハイドン)

本日はホルンもの。

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ホルンのエルヴェ・ジュラン(Hervé Joulain)が様々な演奏家を招いて、ハイドンのホルン三重奏曲(Hob.IV:5)、ホルン協奏曲(VIId:2)ほか合わせて8曲を収めたアルバム。ホルン三重奏曲のヴァイオリンはジャン・ジャック・カントロフ(Jean-Jacques Kantorow)、チェロはロラン・ピドゥー(Roland Pidoux)、ホルン協奏曲はフィリップ・ヘレヴェッヘ(Philippe Herreweghe)指揮のフランス放送フィルハーモニー管弦楽団(Orchestre Philharmonique de Radio-France)の演奏。収録は1994年の3月から5月にかけて、パリのフランス放送103スタジオでのセッション録音。レーベルは仏ARION。

アルバムの企画はジュランが有名奏者を招いて様々なホルンの難曲を弾くというリサイタルのような仕立て。ハイドンの2曲の他はシニガリア、モーツァルト、リヒャルト・シュトラウス、ケックラン、フランツ・シュトラウス、グリエールのホルンが活躍する曲。

エルヴェ・ジュランは1966年ボルドーの北にあるサン=ロマン=レ=メル(Saint-Romans-lès-Melle)生まれのホルン奏者。1987年に20歳の若さでマルク・ヤノフスキ時代のフランス放送フィルの首席ホルン奏者に就任したとのことで早くから才能が開花。10年後にはシャルル・デュトワ時代のフランス国立管の首席ホルン奏者に、そしてその後マゼール率いる、イタリアパルマのトスカニーニフィルの首席奏者となっています。オーケストラでのみではなく、パリ・バスティーユ吹奏八重奏団のメンバーとして多数の録音があり、またソリスト、室内楽でも活躍しているとのことで、共演者はバーンスタイン、メータ、バレンボイム、ブーレーズ、マゼール、ジュリーニ、ムーティ、小澤征爾など一流どころが並んでいます。

私自身ホルン奏者に詳しいわけではありませんので、ジュランのアルバムを聴くのは初めてのこと。しかもハイドンのホルンの難曲、ホルン三重奏曲でカントロフ、ホルン協奏曲ではヘレヴェッヘとの共演ということで興味津々ですね。遅ればせながらこのアルバムも湖国JHさんに借りているものです。いつもながらマイナーではありますが、実に興味深い演奏を送り込んでこられます。

Hob.IV:5 Divertimento à tre [flat] (1767)
聴きなれたシンプルな曲。ジュランのホルンは軽快。バウマンのように磨きぬかれた正確な安定感という感じではなく、さらりと爽快な印象。リズム感は抜群で、音に力があります。音階のキレも素晴らしいですね。録音のバランスは自然なままなのでしょうが、ホルンの音量が勝る感じ。スタジオでの収録ですが適度に残響もあり、部屋に響く感じが程よく加わって、小ホールでの録音のような印象。カントロフのヴァイオリンは軽々としたタッチで、曲の軽さをよく表現しています。アンサンブルの制度は抜群。最後のカデンツァのような部分でホルンが法螺貝のごときテクニックで聴かせる音階のジャンプが見事。

Hob.VIId:3 / Concerto per il corno [D] (1762)
こちらも速めのテンポでの軽快な入り。ヘレヴェッヘは古楽器のイメージがありますがフランス放送フィルは現代楽器オケ。ヴィブラートは抑え気味で響きに透明感があります。ジュランのホルンは前曲そのまま軽快そのもの。変に緻密な感じがなく、適度に開放感があっていい感じ。オケも同じテイストで、楽天的な軽快さ。イキイキとした表情は流石ヘレヴェッヘ。こちらも録音はそこそこいいのですが、ホルンのソロとオケが一体となって聴こえ、協奏曲としてはもう少しオケを引いて録ったほうたソロが引き立ちますね。1楽章のカデンツァはジュランの自然ながらさりげない軽さとホルンの音色の存在感を感じさせる見事なもの。
聴きどころのアダージョ。ヘレヴェッヘはゆったりとしながらも、適度な規律を感じさせる流石のサポート。ジュランは爽やかさたもちながら、徐々に音程とテンポを落とし、ホルンの絶妙な音色を紡ぎ出していきます。ジャケットの姿通り爽やかなイケメンキャラを崩しません。何度聴いてもゾクゾクするホルンの低音の唸るような音色。ハイドンの楽器の音色の魅力を踏まえた音楽の素晴らしさに打たれるところ。カデンツァは短いながら深々としたホルンの音色の魅力を際立たせます。
フィナーレでもヘレヴェッヘは素晴らしい安定感でオケをコントロール。軽さと節度を保ちながらイキイキとした表情を作っていきます。ジュランは一貫して爽やか。フランス人らしい華やかさも持っているので実に上品な演奏。よく聴くと音階の切れ目のアクセントが効いているのでこの活気が感じられることがわかります。最後のカデンツァでのホルンの高音と低音のコントラストをうまくつけて聴かせています。実に爽やかな演奏でした。

フランスのホルン奏者エルヴェ・ジュランのホルンによるハイドンの名曲2曲。ジュランのホルンはやはりフランスらしい華やかな爽やかさを基調としたもので、ハイドンの名曲に独墺系の演奏とは異なる華やかな余韻が感じられる名演でした。共演するカントロフのヴァイオリンやヘレヴェッヘ/フランス放送フィルのサポートも万全。ジュランのこだわらない自然な妙技が楽しめるいいアルバムでした。ハイドンの2曲の評価は[+++++]とします。

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超絶技巧! アレッシオ・アレグリーニのホルン三重奏曲(ハイドン)

忘年会続きでしばらく間をあけてしまいました。肝臓と心を癒すためにレビューに戻ります。いやいや、すばらしいアルバムはまだまだあるものです。

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アレッシオ・アレグリーニ(Alessio Allegrini)のホルンにイ・ソリスティ・デッラ・スカラ・ミラノ(I Solisti della Scala Milano)の演奏で、ケルビーニのホルンと弦楽四重奏のためのソナタ1番、2番、グラウン(Johan Gottlieb Graun)のホルン、2つのヴァイオリン、チェロの為の4声の協奏曲、コール(Wenzeslaus Leopold Kohl)のホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの為の四重奏曲第3番、ハイドンのホルン、ヴァイオリン、チェロの為の3声のディヴェルティメント(Hob.IV:5)、モーツァルトのホルン、ヴァイオリン、2つのヴィオラ、チェロの為の五重奏曲(KV407)、ロッシーニのラ・グランデ・ファンファーレの7曲を収めたアルバム。収録は2000年10月4日から6日にかけて、バイエルン放送のミュンヘンスタジオ2でのセッション録音。レーベルはスイスのTUDOR。

このアルバム、いつもながら当方の所有盤リストにないアルバムを送り込んでこられる湖国JHさんに貸していただいているもの。湖国JHさんは無類のホルン好きなんですが、このアルバムは私も存在を知らなかったもの。こういったアルバムの中に超絶的な名演盤があるから油断はできません。

アレッシオ・アレグリーニは近年ではアバドとモーツァルト管とのモーツァルトのホルン協奏曲の録音で知られた人ですのでご存知の方も多いでしょう。略歴をWikipediaなどからさらっておきましょう。1972年、ローマの北にあるポッジョ・ミルテート(Poggio Mirteto)生まれのホルン奏者。ローマの聖チェチーリア音楽院で学び首席で卒業、その後ヴェネツィアのフェニーチェ劇場管弦楽団及びサルデーニャ島のカリアリ歌劇場管弦楽団の首席ホルン奏者に就任します。1995年、ムーティに招かれミラノ・スカラ座及びミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者に就任。その後プラハの春国際音楽コンクール、ミュンヘン国際音楽コンクールなどで優勝、2002年にはベルリンフィルの客員奏者を1年間務めます。また現在は聖チェチーリア音楽院管弦楽団首席奏者のほか、アバドに招かれルツェルン祝祭管弦楽団、モーツァルト管弦楽団、ヨーロッパ室内管弦楽団の各首席奏者として活躍しています。現代を代表するホルン奏者の一人と言ってよいでしょう。アレグリーニ以外のハイドンの演奏に参加している奏者は下記のとおり。

ヴァイオリン:フランチェスコ・マナラ(Francesco Manara)
チェロ:マッシモ・ポリドーリ(Massimo Polidori)

ネットで調べてみるとマナラは1992年からスカラ座のコンサートマスターを務めてる人、ポリドーリもスカラ座の首席チェロ奏者ということで、イタリア人の腕利きトリオといったところでしょう。

そのアレグリーニが2000年に録音した「ラ・グランデ・ファンファーレ」と題されたアルバム。末尾にロッシーニ作曲の題名曲が収められており、それをアルバムタイトルにしたもの。収録曲はいずれもホルンが活躍する曲ばかりですが、アレグリーニのホルンは、ちょっと次元が違いました。とくに末尾のロッシーニのファンファーレは鳥肌が立つような超絶技巧に驚きます。ホルンという楽器はこれほどまでに音量を抑えて美しい音を出せる楽器だったとあらめて認識した次第。また不気味に響く抑えた超低音の表現もぞくぞくするほど。そしてなによりこのアルバムが凄いのが、しなやかな静寂感。完璧なテクニックによって、音楽がとろけるようにしなやかに流れます。忘年会と今年一年の垢を落とすには好適な一枚でした。

Hob.IV:5 Divertimento à tre [flat] (1767)
ハイドンのこの曲は上の曲名のリンク先に表示されるとおり、現時点で手元に今日取り上げるアルバムを含む8枚のアルバムがあり、そのうち5枚をレビューしています。2楽章の小曲ですが、ホルンの奏でる旋律の面白さを味わえる名曲だと思います。これまでこの曲を最も完璧に吹いていたのはヘルマン・バウマン。しかし、このアレグリーニはバウマンを超える演奏です。なにより難曲という演奏ではなく、美しい静寂感に支配された美の結晶のような音楽。

冒頭からホルンがとろけるような美音。角がきれいにとれたなめらかな音。しかもかなり音量をコントロールしてホルンにしては異例のメリハリ。ヴァイオリンとチェロとの息もぴたりと合って、美しいメロディーをしなやかに置いていきます。低い音の安定感も見事。そして高音の抜ける感じも実に自然。この曲がこれほど落ち着いた表情をみせたことはありません。このゆったりとしなやかに響くホルンの美音、尋常ではありません。変奏が淡々と進みますが、盤石の安定感。最後の変奏の見事な低音と音階のジャンプ。たった3人の奏でる音楽ですが、シンプルなメロディーが絡み合って陶酔の彼方へ。軽々と伴奏するヴァイオリンとチェロに乗ってホルンの朗々とした美音が耳に残ります。これは事件のような超名演です。

ハイドンに続くモーツァルトのホルン五重奏曲も同様、異次元の名演。そして最後のロッシーニ!

いやいや、あまりに見事な演奏に惚れ惚れします。アレッシオ・アレグリーニという人、これほどホルンをしなやかに、しかもしっとりと吹けるものとは知りませんでした。映像ではアバドが振るルツェルン祝祭管のホルンセクションではおなじみの人。きれいに手入れされたヒゲがトレードマークで、顔は馴染みがありましたが、その演奏の真価はこのアルバムで初めて知った次第。アバドとモーツァルト管とのモーツァルトのホルン協奏曲の録音がありますが、未聴ですので早速注文しました。このアルバムはホルンの神業的妙技を味わえる宝石のようなアルバム。ハイドンはもちろん[+++++]。ホルン好きな方は、必聴、というより、このアルバムにはホルンという楽器の素晴らしさが全て詰まった世界遺産的価値があります。

いやいや、湖国JHさん、参りました。

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ヤスパー・デ・ワール/コンセルトヘボウ室内管のホルン協奏曲(ハイドン)

今日は好きなホルン協奏曲。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

ヤスパー・デ・ワール(Jasper de Waal)のホルン、コンセルトヘボウ室内管弦楽団(Concertgebou Chamber Orchestra)などの演奏で、ハイドンのホルン協奏曲(Hob.VIId:3)、モーツァルトのホルン四重奏曲からロマンス、ミヒャエル・ハイドンの作曲とされるホルン協奏曲(Hob.VIId:4)、ハイドンのディヴェルティメント(Hob.IV:5)、ミヒャエル・ハイドンのセレナーデからホルンとトロンボーンのためのアダージョ、アレグロモルトの5曲を収めたSACD。収録は2009年6月、9月、アムステルダム中心部のワールセ教会(Waalse Kerk)でのセッション録音。レーベルはCHANNEL CLASSICS。

このアルバム、もちろん現役盤なのですが、当方の所有盤ではなく、湖国JHさんから貸していただいたもの。いままで何度か注文しようとしていたのですが、HMV ONLINEの在庫が切れていたりなどの理由で巡り合わせが悪かったもの。当方の所有盤リストの隙を見事についてアルバムを貸していただくといういつもの流れで、手元にやってきました。

ヤスパー・デ・ワールはアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席ホルン奏者を2004年から2012年まで務めた人とのこと。1983年から84年にかけてオランダの数々の音楽コンクールで優勝します。その後オランダ南部のティルブルフ(Tilburg)にあるブラバント音楽院を1988年に卒業、1990年にはハーグ王立音楽院で学位を得ました。そして1990年から2004年までハーグ管弦楽団の第一ホルン奏者を務め、そしてコンセルトヘボウの首席ホルン奏者となったんですね。現在ではソリストとして活躍しています。

オケのコンセルトヘボウ室内管弦楽団は、1987年にコンセルトへボウ管の主要メンバーを集めて設立された室内管弦楽団ということです。

名手ぞろいのコンセルトヘボウのメンバーによるハイドンということで期待十分ですね。

Hob.VIId:3 / Concerto per il corno [D] (1762)
非常に透明感の高いオケ。古楽器のようなノンヴィブラートの響きですが、現代楽器による演奏ですね。キビキビとしたテンポのオーケストラの伴奏に乗って、ホルンも蒸留水のような清らかな響き。清透な響きの美徳に溢れた演奏。健康にこだわった食事が少し物足りない印象を残すのと同様、スッキリクリアな演奏ですが、もう少し個性というか灰汁が欲しいと言う気になってしまうところもあります。
つづくアダージョもスタンスは変わらず、爽やかな序奏から入り、ホルンもまったくストレスなく、さりげない演奏。ホルンのワールは、テクニックは確か。こともなげにホルンのメロディーを正確に吹いていきます。あまりに軽々と吹いていくのでご利益が感じられないほど(笑) このアダージョの聴かせどころであるホルンの低音の魅力も、あまりに淡々と吹いていくので肩すかしを食った気がします。ただ、カデンツァに入ると只ならぬ安定感で高音のフレーズを吹き抜き、はっとさせられます。
フィナーレは、軽やかさがようやく曲想にマッチして、華やかさを帯びた美音の響宴の趣。あまりに正確なホルンの音階がここにきて快感に変わります。オケも透明一途。特にヴァイオリンの線の細いきらめきが繊細感をもたらします。最後のカデンツァもワールの屈託のないホルンの上昇感が聴き所。

つづくモーツァルト、そしてハイドンの作とされてきたミヒャエル・ハイドンのホルン協奏曲は、1曲目のハイドンのホルン協奏曲よりもメリハリがついて、正直すこし上の出来。オケの響きにもリアリティが増し、軽やかさばかりではない清楚な印象が残ります。

Hob.IV:5 Divertimento à tre [flat] (1767)
難曲ホルン三重奏曲。この曲でもワールの軽やかなホルンさばきは変わりません。この曲は先日聴いたヘルマン・バウマン盤の圧倒的な存在感の演奏を取りあげたばかりですが、その演奏とは異なり、ワールのテンポ感の良いクリアなホルンの響きがスルスルと通り過ぎていくよう。難しい曲を演奏している風情も重要であると再認識した次第。あまりに軽々と演奏しているので練習曲のように聴こえてしまうくらい。演奏の精度は高く、やはりワールのテクニックの確かさが印象にのこりました。

実はこのアルバムでもっとも心に残ったのが最後のミヒャエルハイドンのセレナーデからの2曲。適度な溜めと癒しに満ちた音楽。曲自体もハイドン程の構成の面白さはないものの、高揚感に満ちたメロディーの面白さはなかなかのもの。ホルンとトロンボーンの織りなすえも言われぬとろけるような響きに、オケもこころなしか弾み気味。これは文句なし!

はじめて聴くヤスパー・デ・ワールのホルン。非常に清潔感あふれる、キリリとした演奏でしたが、上手いだけでは上手く聴こえないということを感じさせた演奏。やはり音楽は心で聴くもの。当たり前の事ですが奏者の個性がもうひと踏み込み欲しいという余韻がのこりました。特にハイドンの曲にはもうすこしメリハリがあったほうがいいでしょう。逆に末尾のミヒャエルハイドンのセレナーデでは、穏やかな演奏から滲み出る癒しが感じられる名演奏でした。これは奏者と曲の相性の問題か、はたまた、演奏のムラの問題なのかはわかりません。ハイドンの評価は両曲ともに[++++]とします。

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ヘルマン・バウマンのホルン三重奏曲(ハイドン)

今日はこのアルバム。懐かしいPHILIPSのアルバムです。

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ヘルマン・バウマン(Hermann Baumann)のホルン、ゲヴァントハウス四重奏団(Gewandhaus-Quartett)の演奏で、モーツァルトのピアノ四重奏曲KV.407、ハイドンのホルン、ヴァイオリン、チェロのためのディヴェルティメントIV:5、ミヒャエル・ハイドンがモーツァルトのホルン協奏曲3番の2楽章を編曲したロマンス、ベートーヴェンの六重奏曲Op.81b、アントン・ライヒャのホルンと弦楽四重奏のための五重奏曲Op.106の5曲を収めたアルバム。収録は1992年1月、ライプツィヒのポール・ゲルハルト教会でのセッション録音。レーベルは今は亡きPHILIPSレーベル。

このアルバムは例によって、こちらの所有盤リストにないアルバムのうち、これぞという名演盤を貸していただく湖国JHさんから送り込まれた刺客(笑) 名手へルマン・バウマンによる難曲IV:5ということで、興味津々です。ヘルマン・バウマンの演奏は以前にホルン協奏曲を集めたアルバムを取りあげています。

2010/10/16 : ハイドン–協奏曲 : ヘルマン・バウマンのホルン協奏曲集

バウマンについては一度も略歴などを紹介していませんので、簡単に触れておきましょう。

ヘルマン・バウマンは1934年、ドイツのハンブルクに生まれたホルン奏者。なんと17歳まではジャズドラムと歌手の勉強をしていたそう。17歳でヴュルツブルク音楽学校に入り、以来12年に渡ってドルトムンドフィル、シュツットガルト放送響などで首席ホルン奏者を務めました。1964年にミュンヘンで開催されたARD国際コンクールで優勝し、その後はソロ活動などに転向。多くのレコーディング、コンサート等で活躍しています。教育者としてはエッセンのフォークワン音楽学校で30年に渡ってホルンを教えています。

バウマンのホルンは難しいホルンを軽々と安定感抜群に吹き抜いていく素晴しいテクニックが特徴。あまりに軽々と正確に吹くので、ホルンが簡単な楽器に思えてくるほど。

曲のIV:5にはそれほど多くの録音がある訳ではないんですが、これまでに2枚のアルバムを取りあげています。

2013/03/23 : ハイドン–室内楽曲 : アベッグ・トリオ20年ぶりのピアノ三重奏曲集
2012/07/15 : ハイドン–室内楽曲 : ライプツィヒ放送響ホルン四重奏団によるホルン三重奏曲など

難曲だけにテクニックの見せ所ということでしょう。えも言われぬ楽興にすいこまれそうな曲です。

Hob.IV:5 Divertimento à tre [flat] (1767)
ヴァイオリンはカール・スズケ(Karl Suske)、チェロはイェルンヤコブ・ティム(Jürnjakob Timm)。今回、これまでレビューで取りあげた2枚のアルバムをあらためて聴き直してみましたが、ホルンの安定度はバウマンの方が俄然上ですね。PHILIPS全盛期の空気感を感じる素晴しい録音。教会の空間の中に、ホルンと2本の弦楽器が鮮明に定位します。まったく溜めのない見事なリズムで吹いていくバウマン。そしてスズケのヴァイオリンと、ティムのチェロもしっかりとした存在感で、こちらも安定度抜群。リズムのキレも素晴しいものです。スズケのヴァイオリンは落ち着き払って、冷静沈着。なによりバウマンのホルンのあっけらかんと感じるほどのびのびとした旋律が圧倒的。この演奏だけ聴いている方は単純な曲だと思うでしょうが、他のアルバムを聴くと、この曲の難しさに気づくでしょう。テクニックはそれほど素晴しいものがあります。7分少々の短い曲ですが、ホルンのテクニックと室内楽の喜びに溢れた名曲でしょう。聴いているうちに圧倒的なバウマンのホルンに打ちのめされるよう。まるで簡単な練習曲でも弾くような軽さ。何気にスズケのヴァイオリンの音色の美しさにもうっとり。最後までホルンの超絶テクニックに圧倒される演奏。本当に凄いテクニックはテクニックを感じさせない自然さにあるのだと教えられるような演奏。これぞ神業と言うべきでしょう。

他の曲も同様、バウマンが軽々と吹くホルンの絶妙な音色に酔いしれる曲。やはり他の奏者とはレベルが違うと再認識した次第。素晴しい録音、素晴しい演奏、そして素晴しいアルバム企画と三拍子そろったPHILPS全盛期の名盤ということでしょう。PHILIPSにはこうした何気ないアルバムも宝石のような仕上がりのものが多く、全盛期はモーツァルトのアルバムを中心にずいぶん集めたものです。このアルバム、ハイドンの名曲IV:5のベスト盤です。評価は[+++++]に間違いなしです。

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プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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