マックス・ゴーバーマン/ウィーン国立歌劇場管の交響曲集

今日は、湖国JHさんからお借りしたアルバム。

Goberman48CDR.jpg

マックス・ゴーバーマン(Max Goberman)指揮のウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏で、ハイドンの交響曲48番「マリア・テレジア」、4番、17番、1番、そして歌劇「裏切られた誠実」序曲を収めたCD-R。収録年は不明ですが、このシリーズの録音がはじまったのが1960年、ゴーバマンが亡くなったのが1962年ということで、その間の録音。今回入手したCD-Rには録音会場の記載があり、ウィーンのコンツェルトハウスでのセッション録音。レーベルは米Haydn House。

皆様お気づきのこととは思いますが、マックス・ゴーバーマンの「マリア・テレジア」は以前LPで当ブログで紹介しました。ドラティの前にハイドンの交響曲全集の完成を目指した人。演奏も絶品でした。ゴーバーマンがもう少しだけ長生きしていれば、ハイドン演奏史が変わったかもしれない偉大な存在でしょう。今は知る人ぞ知るという存在です。

2013/04/15 : ハイドン–交響曲 : マックス・ゴーバーマン/ウィーン国立歌劇場管弦楽団のマリア・テレジア、56番

このLPは偶然手に入れたものだったんですが、上の記事で触れたHaydn Houseなるところで、CD化されていることを紹介しておりましたら、よくメールをいただく湖国JHさんが、果敢にも当記事を見て注文され、そして今回お借りした次第。私も注文しようかとは思っていたのですが、まごまごしているうちに、先に聴かれてその素晴らしさから、こちらに貸していただいたと言う流れです。Haydn Houseのリンクも再掲しておきましょう。

Haydn House - SDA

LPはゴーバーマンが興した予約販売のレーベルのものではなくCBSからリリースされているものでした。今回聴くHaydn HouseのCD-Rには「マリア・テレジア」が含まれているため、LPとの聴き比べもできます。音質が問題なければゴーバーマンの遺産を手に入れたくなってしまいますね。

Hob.I:48 / Symphony No.48 "Maria Theresia" 「マリア・テレジア」 [C] (before 1769?)
曲のレビューは前記事を参照いただくとして、ここではCBSのLPと、このCD-Rの音質の違いに触れておきましょう。ちなみにこのCD-R、ステレオLPからのいわゆる板起こしとのことですが、非常にいい音質。図太い音色で迫力十分。うちの再生環境(THORENS TD-320MkII/SME-3009 Series 2 Improved/SHURE V-15 TypeV)では余韻と奥行き、しなやかさはあるんですが音の太さはCD-Rに分があり、聴きやすい録音。LP独特の存在感はLPに分があります。CD-Rの方は途中、回転にちょっとムラがあるような部分があるようにも聴こえますが、基本的に良い録音。なにより素晴しいのはスクラッチノイズが皆無である事でしょう。要はこのCD-Rの存在価値は十分ありということです。

Hob.I:4 / Symphony No.4 [D] (before 1762)
音質がちょっと固めに変わります。古びてちょっと刺激的な成分を含む音色ですが、ザクザクと切れ込むヴァイオリンをはじめとする弦楽器の迫力は素晴しく、基本的にタイトな迫力で押し通す演奏。ヴァイオリンの弓と弦が赤熱してるのではと思わせる素晴しいテンション。ハープシコードもカッチリとした音色でオケを支えます。
2楽章のアンダンテに入ってもヴァイオリンの存在感は流石ウィーン国立歌劇場管。石のような芯のあるタイトな音色でじっくりとメロディーを奏でていきます。
フィナーレは逆に落ち着いたテンポでじっくりしたつくり。弦楽器の鋭い切れ込みが聴き所。やはり迫力はただならないものがあります。

Hob.I:17 / Symphony No.17 [F] (before 1766)
高域の混濁感が少し増しますが、これも迫力と聴こえなくはないので問題なしです。素晴しい推進力と迫力。ゴーバーマンの志の高さが乗り移ったよう。幾分ストイックに振った演奏ですが、その分曲に険しく迫る迫力と聴こえます。
2楽章のアンダンテは静かに盛り上がる情感で聴かせる演奏。なぜかハープシコードは前曲ほど目立ちません。というか前曲のみかなりはっきりハープシコードが録られていました。
フィナーレは勢いのある楷書のようにゴーバーマンがグイグイ煽ります。ハイドンの初期の交響曲としてはかなりハイテンションの演奏でしょう。一貫してテンションの高さが特徴ですね。

Hob.I:1 / Symphony No.1 [D] (before 1759)
交響曲1番は意外と皆さんおなじみでしょう。ドラティの筋骨隆々とした演奏の筋肉が鋼のような強さをもった感じ。ヴァイオリンが髪を振り乱して演奏している様子が見えるよう。オケは粗いものの一貫して怒濤の迫力で攻めて来ます。これほどのテンションの演奏は他にないでしょう。繰り返されるごとに心にザクザクと刺さっていくよう。1番は前2曲よりもしっとりとして演奏も丁寧に感じます。
アンダンテに入ると一層しっとり感が増しますが、立体感もかなりのもの。そして鮮烈なフィナーレに突入。この対比、ハイドンの仕組んだツボを押さえた見事なもの。いやいや見事な演奏。

Hob.XXVIII:5 / "L'infedeltà delusa" 「裏切られた誠実」 (1773)
最後はオペラの序曲。これがまた素晴しい高揚感。なぜかこの曲のみタイミング表示がありません。トラックが3つに切られ、アレグロ:ポコ・アダージョ:プレストと言う構成で交響曲のようにも聴こえます。これも見事。

マックス・ゴーバーマンのハイドンの交響曲の録音はこのほかにCD-Rで10枚、合計11枚もリリースされており、今日取りあげた1枚を聴くと、他のものも聴いてみたくなるのが正直なところ。11枚セットを注文することにしましょうか。演奏の評価は以前のLPの記事と同様、ゴーバーマンの見た夢を共有するような素晴しいもの。録音のコンディションは正直1962年頃のものとしては良くはありませんが、板起こしとしては優秀というところでしょう。評価は全曲[+++++]とすることと致します。

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tag : マリア・テレジア 交響曲4番 交響曲17番 交響曲1番 裏切られた誠実 ヒストリカル CD-R

【新着】リッカルド・ムーティ/ウィーンフィルのマリア・テレジアライヴ!

リリースされたばかりのアルバム。

Muti48.jpg
シングルレイヤーSACD:HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS
CD:HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

リッカルド・ムーティ(Riccardo Muti)指揮のウィーンフィルの演奏による、ハイドンの交響曲48番「マリア・テリジア」とベートーヴェンの交響曲3番「英雄」の2曲を収めたアルバム。収録は1992年6月21日、ムジークフェラインザールでのオーストリア放送協会によるライヴ収録。レーベルは良いライヴを次々リリースしているAltus。

このアルバム、リリースされたばかりのアルバム。当ブログで今月メジャーなオケ、指揮者によるハイドンの交響曲のアルバムを集中的に取りあげているのに合わせてリリースされた、、、わけないですね(笑)

リッカルド・ムーティは若い頃は強引な指揮が多く、あまり好きな指揮者ではありませんでしたが、最近はじっくり音楽を奏でるようになり、ウィーンフィルとの演奏などはなかなかいいものが多いですね。見直したのはPHILIPSに集中的に録音したウィーンフィルとのモーツァルトの交響曲。イタリア出身だけあって陽性の伸びやかなメロディーとウィーンフィルのしっとりとした音色、そして時折見せるちょっと強引でもある支配力のバランスが実に良く、モーツァルトの交響曲の新たな魅力を引き出していました。また、ウィーンフィルとの来日公演の放送で、ファリャの三角帽子を取りあげていましたが、これがアンセルメを彷彿とさせる絶妙のリズムと間。ウィーンフィルとは思えないラテン系の響きを聴かせていました。最近はムーティはちょっと気になる指揮者の一人です。

ムーティはハイドンの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」を得意にしているようで、管弦楽版の録音がDVDも含めると3種もあります。ベルリンフィルとのアルバムは以前レビューにも取りあげています。

2010/10/21 : ハイドン–管弦楽曲 : ムーティ/ベルリン・フィルの十字架上のキリストの最後の七つの言葉

ムーティ独特のダンディなカンタービレが聴かれるなかなかの名演です。今日はそのムーティがハイドンのシュトルム・ウント・ドラング期の長調の傑作交響曲をウィーンフィルのムジークフェラインでのコンサートで取りあげたライヴ。しかもSACDシングルレイヤーでもリリースされているということで、音質も期待できそうということで早速amazonに注文を入れ到着したものです。せっかくなのでSACDシングルレイヤー盤を手に入れました。

解説によれば、この演奏が録音された1992年はウィーンフィル創立150周年の記念すべき年。これまで親密だったアバドは1989年にカラヤンの後任でベルリンフィルの音楽監督になり、活動の軸をベルリンに移した事により、ウィーンフィルの主軸となる指揮者を誰が務めるかが焦点となっていたころ。スカラ座の音楽監督を務めていたムーティがその役割をになうことになったのが1992年とのことでした。この演奏は6月21日に開催された「ウィーン音楽祭終幕コンサート」で、ムーティがウィーンフィルの事実上の首席指揮者となった黄金期の模様を収めた貴重な記録と言う事です。

Hob.I:48 / Symphony No.48 "Maria Theresia" 「マリア・テレジア」 [C] (before 1769?)
会場ノイズも含めてムジークフェラインでのライヴの雰囲気が良く伝わる録音。入りはムーティらしくスタイリッシュ。速めのテンポとウィーンフィルをキリリと引き締めて推進力抜群の演奏。この時期のハイドンの曲特有の憂いのあるほのかな明るさが良く出ています。ウィーンフィルの響きは実体感があり、特に分厚い響きの金管のくすんだ音色が印象的。ヴァイオリンをはじめとした弦楽器群はウィーンフィル特有のしなやかな色香を感じさせるもので、やはりリアルな響きが良く伝わります。CDより空気感の伝わる録音の良さがあり、SACDでリリースされた意義はわかります。ムーティは凝った事はあまりせず、ハイドンの交響曲をきりっと引き締めて演奏するのを楽しむような余裕があります。
つづくアダージョはテンポは落としきらず、軽いタッチで流すような演奏。1楽章の興奮を鎮めるように流れよくさらりと仕上げるよう意図しているのでしょう。時折糸を引くように弱音を延ばして間をとります。あっさりとした表現のなかにも、所々ムーティらしい輝きが聴かれ、しっとりとした音楽のなかに一筋の光が差し込むような静かな劇性が込められているのが流石なところ。
メヌエットへの入りは意外と投げやりな印象。わざと構えなく入る意外性を狙っているのでしょうか。この辺が普通の人のハイドンと違うところでしょう。
フィナーレは足早な雰囲気で入りながら、徐々にオケに気合いが漲ってきます。スタイリッシュな荒々しさとでも言えば良いでしょうか。ムーティのタクトから生まれる華やかさは時にピニンファリーナの曲線のような優美さも、色男が見せる粗野な表情もあり、他の指揮者とは聴かせどころがちがいます。最後はオケの統率力を見せつけて適度に盛り上げて終わります。ムジークフェラインの観衆からの拍手が降り注ぎます。

リッカルド・ムーティ指揮のウィーンフィルによる記念すべきコンサートの模様を収めたライヴ盤。もちろん聴きどころは後半に置かれたエロイカでしょうが、マリア・テリジアもムーティの統率によって、ムーティらしいスタイリッシュかつ、ウィーンの伝統も引き継ぐなかなかバランスのよい演奏となっています。録音は私の好きな当日のライヴのようすがつたわる臨場感あふれるもので、SACDらしい空気感が一層リアリティを高めています。この曲のファーストチョイスではありませんが、ムーティのハイドンの良さがじわりとつたわるいいアルバムだと思います。評価は[+++++]とします。

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tag : マリア・テレジア ウィーンフィル ライヴ録音 SACD

ダニエル・バレンボイム/ECOの悲しみ、告別、マリア・テレジア

前記事でとりあげたバレンボイムのLPが良かったので、すかさずamazonにバレンボイムの現役盤CDを注文。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim)指揮のイギリス室内管弦楽団(English Chamber Orchestra)の演奏で、ハイドンの交響曲44番「悲しみ」、45番「告別」、46番「マリア・テレジア」の3曲を収めたアルバム。収録は「悲しみ」が1975年9月エジンバラ、その他の2曲が1978年3月、ロンドンのヘンリー・ウッド・ホールでの世ション録音です。

このアルバム、国内盤でユニバーサルから"The Best 1200"というシリーズでリリースされたもの。この手の国内盤はほとんど買ったことがありませんでしたが、バレンボイムのハイドンの初期交響曲で現在入手しやすいのはこれしかないため、躊躇せず注文したものです。

国内盤はジャケットのセンスも今一。仕事は丁寧ですが、所有欲をかき立てるかというとそうではなく、どうしても輸入盤の方にいってしまうのが正直なところです。このアルバムもジャケットもせっかくのDG風のものに茶色の縁取りとThe Best 1200というセンスの悪いロゴが入って、今ひとつどころか、美的感覚が疑われるところ。ただし内容は悪くありませんでした。

上記のHMV ONLINEのリンクをご覧戴くとわかるとおり、「高精度ルビジウム・クロック・カッティング」が売り物で、帯にも「ルビジウム・クロック・カッティングによるハイ・クォリティ・サウンド」とのコピーが踊ります。LPで聴かれた繊細かつデリケートなコントロールが最新のリマスターでどのように蘇ったのか、興味は尽きません。

バレンボイムの情報は前記事を参照いただくとして、早速レビューに入りましょう。

Hob.I:44 / Symphony No.44 "Trauer" 「悲しみ」 [e] (before 1772)
前記事で取りあげたLPの演奏の穏やかな感覚とは異なり、流石に名曲「悲しみ」は冒頭から力感に満ちた入り。テンポも速めでバレンボイムがかなり煽っているのがわかります。いい意味で期待したよりも覇気に溢れた演奏。バレンボイムらしく音量を落とした部分の丁寧な演出は健在です。オケのイギリス室内管は名手ぞろいで、くすんだイギリスの空のような深みのある音色が魅力。弦パートのキレの良さは他のアルバムでも聴き所なほどイギリス室内管の特徴的なもの。ハイドンの名曲の実に味わい深い演奏です。肝心の音質は、もちろん音にこだわったCDですので安定しています。ただし、LPほどの繊細な解像感はないものの、ダイナミックレンジと迫力は最新のリマスターらしくなかなかのものです。
2楽章のメヌエットはほの暗く、サラッとオーソドックスな演奏。良く聴くと表情の変化があって聴き応えはありますが、バレンボイムらしく実に地味な展開。
秀逸なのは3楽章のアダージョ。やはり前記事のLPから期待した、非常にデリケートな弱音部のコントロールが絶妙。抑えているのに非常に表情豊かな演奏。ハイドンの緩徐楽章のツボをおさえた演奏ですね。古き良きハイドンの魅力を存分に味わえます。
そしてフィナーレに入ると図太い低音弦の象徴的なメロディーが巨大構造物のごとき存在感で非常に印象的。楽章の変わり目の呼吸というか演出が非常に上手いですね。フィナーレは弦の分厚い響きによるザクザクとした演奏が大迫力。オケ全体から立ちのぼる気迫とエネルギーが伝わります。まさに力感の塊のような演奏。

Hob.I:45 / Symphony No.45 "Farewell" 「告別」 [f sharp] (1772)
演奏場所が変わってヘンリー・ウッド・ホールでの録音。どちらかというと、前曲のエジンバラでの録音の方がキレがあるように聴こえます。基本的には聴きやすい録音ですが、響きが前曲と比べると固まって、余韻の漂う感じが薄れ、多少デッドな印象です。この録音の印象が演奏の印象にも影響して、やはり第一印象はオーソドックスで地味目なもの。ただし良く聴くとイギリス室内管の魅力ある演奏でもあり、バレンボイムらしいオーソドックスながら豊かな表情も聴き取れます。
続くアダージョも同様、前曲で聴かれた繊細なコントロールほどの緻密さは感じず、実にオーソドックス。これはLPで聴くともうすこし表情がくっきり浮かんでくるような気がします。ただ、曲が進むにつれて抑えた部分の表情は豊かになってくるところはバレンボイムの意図通りなのでしょうか。
そしてメヌエットは吹っ切れたような自然なソノリティが魅力。前楽章のデリケートなコントロールのあとに、ある意味淡々としたメヌエットを重ね、楽章ごとの変化を印象づけます。
そして聴き所のフィナーレ。前半は予想通りクッキリした表情で淡々といきます。後半も予想通りあっさり淡々とした入り。徐々に楽器が減るところでも一貫した表情で特に目立った演出は加えません。徐々に寂しさが浮かび上がってきて,ふと我に返るような演奏ですね。

Hob.I:48 / Symphony No.48 "Maria Theresia" 「マリア・テレジア」 [C] (before 1769?)
最後はマリア・テレジア。録音会場は前曲同様ヘンリー・ウッド・ホールですが、響きの力感と鮮明さはむしろ1曲目の悲しみに近い印象。このアルバムで一番クッキリハッキリした録音に聴こえます。クッキリしすぎてちょっと整理し過ぎな印象もある感じです。祝祭感あふれるこの曲らしく、力感とエネルギー感を感じさせるコントロールですが、逆にデリケートさは交代して、若干の単調さをはらんでしまっています。
2楽章に入るとデリケートなニュアンスが戻ってきました。陰りのあるイギリス室内管のしっとりとした響きとバレンボイムのあっさりとしたコントロールが実にいい感じ。木管楽器の美しい音色と弱音器付きの弦楽器群の織りなすハーモニーが美しく溶け合います。
メヌエットは祝祭感満点。クッキリ明るい部分は若干古風な印象もありますが、すぐに展開して、陰りが強くなり陽と陰のコントラストを見せます。そしてフィナーレもクッキリした明解な響きが基調となり、バレンボイムもクライマックスに向けてテンポを上げて煽ります。フィナーレは快速テンポで一気に聴かせてしまいます。

バレンボイムの指揮するイギリス室内管の演奏によるハイドンのシュトルム・ウント・ドラング期の傑作交響曲集。前記事のLPが一貫してゆったりかつ抑えた部分の表情の美しさで聴かせたのに比べると、こちらはテンションの高い力感を重視した演奏に聴こえますが、曲によっては、力感重視のところは単調な印象もはらみますね。CDとしてのリマスタリングは手間をかけているように聴こえ、音質もなかなかのものですが、やはりLPによる繊細な響きの魅力は捨て難く、比べるとLPに軍配が上がりますでしょうか。評価は「悲しみ」が[+++++]、告別が[++++]、マリア・テレジアは[+++]とします。

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tag : 悲しみ 告別 マリア・テレジア

トーマス・ファイ/ハイデルベルグ交響楽団のマリア・テレジア、56番

最近未入手のアルバムをHMV ONLINEで注文して届いたもの。

FeyMariaTheresia.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

おなじみトーマス・ファイ(Thomas Fey)指揮のハイデルベク交響楽団(Heidelberger Sinfoniker)の演奏でハイドンの交響曲48番「マリア・テレジア」、56番の2曲を収めたアルバム。収録は2009年1月20日から22日、ドイツ、ハイデルベルク西方のバート・デュルクハイムのナチュラル・ホルン・アカデミーでのセッション録音。レーベルはhänssler CLASSIC。

トーマス・ファイの交響曲シリーズは気づく度に入手しています。シュトルム・ウント・ドラング期の傑作「マリア・テレジア」が含まれているので気になってはいましたが、このアルバムはご縁がなく、いままで手元になかったもの。先日HMV ONLINEのバーゲンの際に未入手アルバムを何枚かまとめて注文していたもの。

ファイの演奏は今まで4回取りあげています。

2012/05/03 : ハイドン–交響曲 : トーマス・ファイ/シュリアバッハ室内管の「時の移ろい」「告別」
2011/07/06 : ハイドン–交響曲 : 【新着】トーマス・ファイの「帝国」、54番
2010/12/26 : ハイドン–協奏曲 : 【新着】トーマス・ファイのホルン協奏曲、ホルン信号
2010/08/01 : ハイドン–交響曲 : トーマス・ファイの69番、86番、87番

最初はファイの前衛性が気になり素直に評価できなかったのですが、最近は痛快を極めるファイの術中にハマり、非常に気になる存在に。ハイドンの楽譜から表現の限りを尽くしてハイドンの交響曲の新たな価値を創造していこうと言う姿勢に感服しています。今日取り上げる「マリア・テレジア」は短調の名曲揃いのこの時期の曲のなかで晴朗かつ祝祭感に溢れる曲。ファイの演奏スタイルがぴしゃりとハマる曲との期待されます。

Hob.I:48 / Symphony No.48 "Maria Theresia" 「マリア・テレジア」 [C] (before 1769?)
いきなり炸裂するオーケストラ。鋭角的なアタックが心地よい刺激を与え、意外に滑らかに進むフレーズは推進力に溢れています。音が四方八方に飛び散る快感を味わえる名演奏。テンションの高いヴァイオリンはボウイングがキレまくって、演奏者も吹っ切れているよう。ファイのコントロールもここまで来ると、有無をも言わせぬ説得力。ティンパニの桴捌き素晴らしく、アーノンクールを超える知的刺激。途中テンポをふと落としたりと変化の付け方も万全。吹っ切れた完璧な演奏。
続くアダージョは、シュトルム・ウント・ドラング期の憂いを帯びた短調のメロディーラインをゆったりというよりも、じっくり一歩一歩噛み締めるように緊張感を保ちながらコントロール。ありきたりな演奏に陥らないところがファイの矜持でしょう。しっかりとした足取りとフレーズごとの表情付が独特の音楽。
メヌエットは、一律なテンポの演奏で、これまでで最も力感にあふれ、ファイならではの強烈なアクセントによって生き物のような生命感を帯びてきます。強音の迫力は抜群。痛快とはこの事でしょう。祝祭感溢れる演奏。時折聴かせる修飾音の変化が新鮮。ティンパニもかなり変化を聴かせて楽しんでいます。
フィナーレは、オケをフルに鳴らし、もはや抑えが利かないほどの充実ぶり。ホール中に響きわたるハイドンの名旋律。この説得力は流石。はち切れんばかりのオケの爆発。ティンパニ乱れ打ち。金管の号砲がホール中に轟きます。この「マリア・テレジア」の最高の演奏の一つでしょう。

Hob.I:56 / Symphony No.56 [C] (1774)
基本的に同一の正確の演奏。「マリア・テレジア」より数年後の作品。曲想は少し地味に変わるものの、ファイはフルコースの料理よろしく、まずは鮮烈なオーケストラの魅力でリスナーを圧倒。不思議と飽きる事がないのは、フレーズフレーズの説得力と、目的を見失わない指揮者の見識でしょうか。お祭り騒ぎとはこの演奏のことを言うのでしょう。次々と繰り出される響きの塊が耳を通って脳に達します。ハイドンの交響曲に潜むエネルギーをここまであからさまにした演奏はないのではないかと思わせる、まさに火の玉のような演奏。スピーカーからの音圧に吹き飛ばされそう。
この曲でも1楽章の爆発を鎮めるようなアダージョの絶妙の語り口が、曲の深みを増しています。木管楽器は普通に吹けばもちろん美しい響きの楽器であった事に気づかされます。それだけ1楽章の爆発は凄まじいものがありました。
メヌエットは非常に変わった曲。走り抜ける音階と、荒れ狂うティンパニ、そしてリズムを取り戻すオーケストラ。このような曲を良く思いつくものと感心しきり。この交響曲はハイドンの創意の塊のような曲。
フィナーレは変わった曲ですがやはり荒れ狂う嵐のような演奏。もう、ファイの勢いをだれも止めることができないでしょう。

ハイドンの交響曲に潜むエネルギーをこれほどまでに露骨かつ刺激的に表した演奏はありません。とくにこのアルバムで聴かれるファイのコントロールはキレまくり、嵐のような演奏。痛快至極。この演奏を聴かずしてハイドンを語るなと言われているような演奏。ノックアウトです。評価はもちろん両曲とも[+++++]としました。

この全集の進行、今後がますます楽しみになってきました。

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tag : マリア・テレジア 交響曲56番 古楽器

アンタル・ドラティのマリア・テレジア

昨日アダム・フィッシャーの交響曲を取り上げたので、今日はやはりドラティ盤を取り上げるのが筋(笑) 手元のアルバムは、だいぶ古い輸入盤です。

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アンタル・ドラティ指揮、フィルハーモニア・フンガリカの演奏によるハイドンの交響曲全集の分売で48番から59番までを収めた4枚組。今日はこの中から48番「マリア・テレジア」を取り上げます。収録は1971年、ドイツのオランダ国境に近いエッセン近郊の街マルル(Marl)の聖ボニファティウス教会でのセッション録音。

昨日のアダム・フィッシャーと同様、ドラティの交響曲の演奏も当ブログでまだちゃんと取り上げていなかったため、まずは曲を選んできちんとレビューしようとの主旨。ただし、ドラティの交響曲全集からなぜこのアルバムを選んだかと言うと、個人的に思い出深いアルバムということからだけなんです。

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写真のシールはウィーン国立歌劇場の建物内のショップ、ARCADIAオペラ・ショップのもの。値段は760ナントカ。当時オーストリアはクローネだったでしょうか。シールの日付は1991年2月19日とあります。これは約20年前の1991年に新婚旅行でウィーンを訪れた際に、ARCADIAオペラ・ショップでお土産に購入したアルバム。当時はドラティの全集はすべて4枚組のセット8組で成り立っていましたが、他は日本でほぼ手に入れ、偶然このアルバムのみ未入手。ARCADIAオペラ・ショップの店頭でこのアルバムを見つけ、荷物になるので国内で買えばいいかと思っていると、収録曲の1曲目が48番「マリア・テレジア」ではありませんか。ウィーンまで来て買うお土産(もちろん自分用!)としては文句なし、ということで買った記憶があります。

ARCADIAオペラ・ショップ

さきほど、アルバムを久しぶりに手にするとシールが残っているのをみつけて、ちょっと懐かしくなっちゃいました。この時はローマ、フィレンツェ、ミラノ、ヴェネチアを経て列車でウィーンに入り、ウィーンではオペラやコンサート、オットー・ワグナーやハンス・ホラインの建築やクリムトの絵などをゆっくり見て回る優雅な旅行でした。今では時間がなかなか取れず、時間をかけた旅行はなかなかできませんね。国立歌劇場ではタンホイザーの今とは違った重厚な演出とウィーン国立歌劇場管弦楽団のここぞというときの爆発を聴いてうっとり。幕間にシャンパンやワインをのみながら至福の時間。ムジークフェラインではアリシア・デ・ラローチャのピアノリサイタルを楽しみました。あれからもう20年、はやいものです。

脱線してすみません。ドラティのハイドンですが、現在は全集のボックスが安く販売されているようですので、昔に比べて手に入れやすくなっていますね。

DoratiSet.jpg
HMV ONLINEicon / amazon

この箱のデザインのものが現行盤だと思いますが、なぜかHMV ONLINEにあるのは旧デザインの高い方。リンクは旧デザインの方になります。

さて、肝心のマリア・テレジアの演奏。ドラティの特徴である彫りの深いオーケストレイションが痛快。ハイドンの機知をはじけんばかりの生気溢れるオケがぐいぐい弾いていきます。リズムの表現が秀逸でまさに弾むような演奏。マリア・テレジアのハ長調の晴朗な曲想も相俟って、すばらしいキレ。ティンパニがズドンと腹にくる感じも迫力を増しています。
2楽章は冒頭から抑えた弦の可憐なメロディーとホルンの美しい響きが印象的。繰り返しを経て美しさがさらに際立ちます。
3楽章のメヌエットはまさに舞曲のような弾むリズムが心地よい音楽。舞曲の力の抜け加減とアクセントの対比が見事。必要十分というかハイドンの交響曲におけるメヌエットの位置づけを良く踏まえた力加減だと思います。
フィナーレは筋肉質のオケがリズミカルにハイドンの楽譜をこなしていく快感を素直に楽しむ楽章。ふたたび素晴らしい生気。よく聴くと細かいフレーズごとのメリハリやアクセントをかなり巧みにつけているのがわかりますが、小細工のように聴こえるところは皆無。図太いエネルギーに貫かれているせいか、怒濤のように音楽が進みフィニッシュ。

ドラティのハイドンの交響曲はやはり私のオリジンでもあり、これを聴かずにハイドンの交響曲を語ることができない素晴らしいもの。アダム・フィッシャーがハイドンの自然な響きと素朴なフレージングに焦点を合わせたのに対し、ドラティはハイドンの交響曲の楽譜から、その彫刻的な面白さと生気を録音によって際立たせました。まるで普通の大理石彫刻とミケランジェロの彫刻の埋められない差のような度肝を抜く立体感と生気。マリア・テレジアという短い交響曲からですら浮かび上がるハイドンの創意のエネルギー。久しぶりのドラティの演奏はこのアルバムを何度も感動しながら聴いていた遥か昔を思い出させる、素晴らしい時間でした。

実はドラティのハイドンの評価はリストを造り始めた時からあまり変えていませんが、ちゃんとよく聴いて評価をつけ直さなくてはならないと思っています。マリア・テレジアはもちろん[+++++]です。

記事を書いていたら、次の「受難」素晴らしい音楽が流れてきました。惜しいところですが、またの機会にレビューすることに致しましょう。

これから、しばらく、ドラティの交響曲全集の魅力再発見のため、たまにドラティの交響曲をレビューに取り上げていきたいと思います。私はハイドンの交響曲の全集ならば、まずはドラティを薦めます。もちろん今日は「ハイドン入門者向け」タグも進呈。

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tag : マリア・テレジア 交響曲全集 ハイドン入門者向け

オルフェウス室内管弦楽団のマリア・テレジア、受難

今日は久しぶりのオルフェウス室内管弦楽団の交響曲集。

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見つけるたびに入手していますが、今回見つけたのは、ハイドンの交響曲48番「マリア・テレジア」と49番「受難」の2曲。1986年3月、ニューヨーク州立大学での録音。

オルフェウス室内管弦楽団のハイドンの交響曲集はこれまで2回当ブログで取り上げてきました。

ハイドン音盤倉庫:オルフェウス室内管の哲学者
ハイドン音盤倉庫:オルフェウス室内管弦楽団の60番、91番

オルフェウス室内管弦楽団のハイドンは、現代楽器の反応の良いオケのハイドンをリラックスして手軽に楽しめる安心感があり、最近お気に入りです。特段個性的でもないんですが、無機的な感じもせず、逆に温かい部分は非常に良い出来。これまで聴いた中では哲学者などは叙情性あふれる素晴しい演奏でした。

48番「マリア・テレジア」は1769年頃作曲された曲。1773年9月に女帝マリア・テレジアがエステルハーザ宮訪問の際に演奏されたと伝えられたことによるが、ランドンによると、この時演奏されたのは50番ではないかという推測を発表しているもの。
49番「受難」はその前年1768年の作曲。1768年はアイゼンシュタットで最初の大火がおこっており、おそらくハイドンや楽団はドタバタしていたんでしょう。ハイドン36歳のことです。

1曲目の「マリア・テレジア」はハ長調の明るい曲。冒頭から木管、金管入り乱れて派手な曲調。オケが小編成で濁りの少ない響きを保っています。オケは小編成なのでスケール感はほどほどですが、オルフェウス室内管弦楽団固有の個々の楽器の精度が高く、響きの純度も高い印象。メロディーにちょっとひねったアクセントをつけたりさりげない演出も好印象です。何よりリズムが重くならないのがいいですね。2楽章は軽めな音響ながらじっくりした感じがいいですね。柔らかいホルンの奏でるメロディーがいいアクセントに。3楽章のメヌエットはスタイリッシュ。よく引き締まった流線型のメヌエット。フィナーレは軽さがいい意味で爽快感を演出。エッジをきちんと立てた速いパッセージが爽快感の大きなポイントになってます。非常に安心感のある演奏といっていいでしょう。

2曲目の「受難」は短調の曲。第1楽章がアダージョと変わった構成。軽量級の反応のいいオケがほの暗いこの曲のイメージを鮮明に演出している感じですね。じっくりとメロディーを重ね曲の構造を浮き彫りにしていきます。聴いているうちにハイドンの生きていた時代にトリップしそうな切々とした吐息。フレーズ間の間の取り方も詩情を濃くしていますね。2楽章はアレグロ。押さえながらもオケの活気がじわりと上がってきます。3楽章は再びほの暗い曲想にもどり、メヌエットとしての骨格をしっかり描いていきます。フィナーレは前曲同様速さにメロディーが埋もれないように、メロディーらいんにきっちりエッジをつけて曲の見通しを良くしています。リズムの基調になっている低音弦の刻みの安定した進行も一役買ってますね。受難のほうが一枚上の出来と聴きました。

評価は「マリア・テレジア」は[++++]、「受難」は[+++++]としました。気軽に聴けるハイドンの初期の交響曲ですが、奥行きも深いものがあります。受難は素朴な名演と言えるでしょう。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : マリア・テレジア 受難 おすすめ盤

ロバート・ハイドン・クラークの交響曲集

昨日より料理や食事をしながら聴いていたロバート・ハイドン・クラークのハイドンの名前付き交響曲集。
単なる廉価盤と思いきや、さにあらず。あまりに素晴らしい演奏なので、ブログに取り上げましょう。

HaydonClark.jpg

Collins Classicsというレーベルの1990年、91年のプロダクション。
ロバート・ハイドン・クラーク(Robert Haydon Clark)指揮のコンソート・オブ・ロンドンの演奏。名前にハイドンとあるところにただならぬ運命を感じさせますが、つづりには作曲家ハイドンとはちがい、”o”が入っています。

収録曲目は次の通り(収録順)
<CD1> オペラ「月の世界」序曲、48番「マリア・テレジア」、92番「オックスフォード」(1990年1月録音)
<CD2> オペラ「アルミーダ」序曲、49番「受難」、100番「軍隊」(1989年5月録音)
<CD3> 94番「驚愕」、96番「奇跡」、45番「告別」(1990年7月録音)
<CD4> オペラ「オルフェオとエウリディーチェ、または哲学者の魂」序曲、103番「太鼓連打」、104番「ロンドン」(1990年1月録音)

ネットで調べたところ、Collins Classicsは1989年の創業ですが、1998年に廃業したとの記述がありました。まさにこのアルバムが創業時に録られたものでしょう。この演奏のすばらしさは個人的にはレーベルを興すのに十分なインパクトがあると思いますが、アルバムが売れるかどうかは演奏者の知名度をはじめとして、広告やPR、プロダクトデザイン、流通、価格などブランディングに関する様々な要素が影響するゆえ、商業的な面では課題を解決できなかったのでしょう。惜しいレーベルをなくしたものです。

演奏ですが、現代楽器による極めて正統なハイドンの交響曲の演奏。これといって個性的な部分はあまりありませんが、凡庸な普通の演奏とのわかる人にはわかる大きな違いは、溢れんばかりの生気と、力感と弛緩の絶妙のバランス感覚。そして驚くべきは各曲のムラのない仕上がり。そしてハイドンを知り尽くした曲順の設定。月の世界の序曲からはじまり、ロンドンで幕を閉じる構成は見事。3枚目が告別で終わるところも最高。各CDの冒頭に序曲がおかれているのもよく考えられています。
オケは非常にうまく、テンポ感も素晴らしいです。そしてそれらの長所を引き立てる素晴らしく自然な録音。この録音も鑑賞という視点からは素晴らしいものです。このアルバムの制作に関わった人の気合いすら感じます。

中でもおすすめは、、、これはすべての曲がおすすめです。
似たタイプにテイトの交響曲集がありますが、私自身はテイトよりいいと思います。

肝心の指揮者のロバート・ハイドン・クラークですが、このアルバムのライナーノーツにはひところもふれられていません。ネット上にもほとんど情報がありませんが、他にハイドンのトランペットコンチェルトなどの録音があるようです。タワーレコードでのふりがなはハイドンではなくヘイドンとなっていました。

すでに廃業してしまったレーベルですが、私自身はこの入魂の素晴らしいアルバムによって深く心に刻まれました。今はこの会社から離れて違う仕事をしている人も多くいるかと思いますが、このアルバムの制作に関わったすべてのひとに感謝を。

これだからアルバム収集はやめられません。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : オペラ序曲 マリア・テレジア オックスフォード 受難 軍隊 奇跡 驚愕 告別 太鼓連打

シェルヘン、軍隊の爆演

今日はシェルヘンの交響曲集(2枚組)。最近tahraからリリースされたもの。

ScherchenTahra.jpg
HMV ONLINEicon

曲目はリンク先をご覧ください。
この選集の聴き所は1954年のロイヤルフィルによる軍隊です。
軍隊はこれまで、ウィーン国立歌劇場管弦楽団との1951年の録音がウエストミンスターやドイツグラモフォンからリリースされていましたが、この録音は初CD化とのことです。

まずびっくりしたのが、腹に響く重低音。第2楽章のグランカッサが炸裂です。もちろん音に古さは感じられますが、1954年の演奏とは思えない鮮明さと迫力。ライナーノーツによれば、初出時には”Panorthophonic Technology”なる技術を使った実験的なシリーズとしてリリースされたものとのこと。当時から音の良さを売りにした録音だった訳ですね。
tahraのこのリリースもリマスターエンジニアの名前がCharles Eddiと表示されていることから、リマスターに非常に拘ったリリースになっています。

他の曲もドイツグラモフォンの19曲収めたボックス(こちらは廃盤のようですね)の録音にくらべて、高域のキレ、奥行き感などが良くなっており、あえてリリースする意味があるすばらしい仕事といえるでしょう。

もともとシェルヘンは好きな指揮者で、音符を直接音にするというよりは、曲の構造を俯瞰して、各楽章を明確に描きわけ、また、曲の構造を明確化するようなメリハリ、情緒に溺れない毅然としたフレージングなどが特徴です。ハイドンの交響曲もシェルヘンが振ると構造的な厳しさが表現され、他の指揮者とはまったくことなった、岩のような揺るぎなさをもつ姿が浮き上がってきます。

この選集の冒頭の告別はフィナーレの奏者がだんだん少なくなるところで、さよなら(Auf Wiedersehen)と言いながら奏者が去っていく、録音ならではの粋な演出があり、遊び心も少なからず持っていたことがわかります。

演奏から50年以上を経て、なお録音がリリースされるというのはやはりすごいこと。時代を超えて人の心に何かを訴えるものがあります。古楽器の演奏も好きですが、ヒストリカルな録音もやめられませんな。
現在演奏され、リリースされている数多くの演奏のうち、50年後にもリリースされ続ける演奏は、数えるほどになるんでしょうね。

(Blogでつぶやき)
今日はNHKで諏訪御柱祭りの生中継をみながらのんびりと。いやいや山から柱もろとも人が雪崩落ちる勇壮なお祭り。軍隊に負けず劣らず大迫力でした(笑)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : 告別 マリア・テレジア オックスフォード 驚愕 軍隊 時計 ヒストリカル おすすめ盤

絶品! リステンパルトのホルン信号

今日は古いコレクションからお気に入りの一枚。

Ristenpart.jpg

カール・リステンパルトの交響曲集。ホルン信号、マリア・テレジア、王妃の3曲のセットで1960年代の録音です。
これは文句なしの名盤です。

一言でいうとごく普通の演奏なんですが、まろやかなオケの音色、中庸なテンポ、すべての奏者の息がぴたりと合って大きな音楽を奏でていて、これ以上の演奏はないというような完成度。ホルン信号とマリア・テレジアのアダージョ楽章の美しさはほれぼれするほど。古い録音ですが古風な感じはあまりせず、時を超えた演奏の価値を感じさせます。録音もこの時期としては非常によく、聴きやすい音です。
ハイドンの演奏でいえばビーチャムの交響曲の演奏の方向に近いかもしれませんが、ビーチャムにはイギリス風、リステンパルトにはフランス風を感じるというのが違いでしょうか。

これほどの演奏をするリステンパルトがもっと取り上げられてもいい気がしますが、日本では古い方以外はほとんど知られていないんじゃないかと思います。シューリヒトなんかが好きな方には受けるような気がします。

リステンパルトの録音で今手に入るものは多くありませんが、ユニバーサルから最近旧ACCORDのコレクションが黄色いジャケットのシリーズでリリースされた中に、同じハイドンの時計、軍隊、驚愕のセット、モーツァルトのピアノ協奏曲22、23番や、ミサ曲集(エクスラーテ・ユビラーテ、戴冠ミサ、ヴェスペレ ハ長調)などがあり、リステンパルトの魅力を知るにはこちらもいいアルバムです。
今見たら、HMV ONLINEの検索に引っかかりませんが、もしかして廃盤かしら、、、

テーマ : クラシック
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tag : ホルン信号 マリア・テレジア 王妃 ヒストリカル おすすめ盤 ハイドン入門者向け

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
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