【新着】ハリー・クリストファーズ/ヘンデル&ハイドン・ソサエティのラメンタチオーネ、86番など(ハイドン)

ちょっと仕事が忙しくて間が空いてしまいました。今日は新着CD。

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ハリー・クリストファーズ(Harry Christophers)指揮のヘンデル&ハイドン・ソサエティ(Handel and Haydn Society)の演奏で、ハイドンの交響曲26番「ラメンタチオーネ」、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲3番、ハイドンの交響曲86番の3曲を収めたアルバム。ヴァイオリン協奏曲のソロはアイスリン・ノスキー(Aisslinn Nosky)。収録は2017年1月27日、29日、ボストンのシンフォニーホールでのセッション録音。レーベルはCORO。

ハリー・クリストファーズとヘンデル&ハイドン・ソサエティはこのところハイドンの初期の交響曲とパリセットの交響曲をセットにしたアルバムをシリーズ物としてリリースし続けています。その最新盤が今日取り上げるアルバム。このシリーズはこれまで2度ほど取り上げています。

2016/05/01 : ハイドン–交響曲 : 【新着】ハリー・クリストファーズ/ヘンデル&ハイドン・ソサエティの昼、雌鶏など(ハイドン)
2013/09/26 : ハイドン–交響曲 : 【新着】ハリー・クリストファーズ/ヘンデル&ハイドン・ソサエティの朝、熊など(ハイドン)

それぞれアメリカの古楽器によるハイドンの交響曲の演奏の現在を伝えるなかなかのものでした。このシリーズ、プログラミングについては明確な企画意図がありそうですね。これまでの演奏から今回のアルバムまでの曲構成を整理してみましょう。

交響曲6番「朝」、ヴァイオリン協奏曲VIIa:4、交響曲82番「熊」(2013年)
交響曲7番「昼」、ヴァイオリン協奏曲VIIa:1、交響曲83番「雌鶏」(2016年)
交響曲8番「晩」、ヴァイオリン協奏曲VIIa:3、交響曲84番(2017年)

そして今回のアルバムが、

交響曲26番「ラメンタチオーネ」、モーツァルトヴァイオリン協奏曲3番、交響曲86番(2017年)

ということで、この後パリセットの85番「王妃」、87番が来るのは確実でしょう。組み合わされる初期交響曲の方は44番「悲しみ」、49番「受難」と来るか、22番「哲学者」、31番「ホルン信号」と来るのか何となく楽しみです。間に挟まれる協奏曲はオケのヘンデル&ハイドン・ソサエティのコンサート・ミストレスのアイスリン・ノスキーがソロを担当するヴァイオリン協奏曲が続いていますので、こちらはモーツァルトのヴァイオリン協奏曲4番、5番というのが順当なところでしょう。このような企画ものの面白さを味合わせてくれる好企画ですね。

演奏の方も最初の方は硬さを感じさせるところもあったんですが、ここにきて響きの自然さが際立つようになり、いい感じになってきました。

Hob.I:26 Symphony No.26 "Lamentatione" 「ラメンタチオーネ」 [d] (before 1770)
この曲の刷り込みはハイドンにのめり込むきっかけとなったピノック盤ですが、ピノック盤に近い颯爽とした入りが好印象。速めのテンポで爽快感あふれる演奏。響きはピノックよりしなやかで、ファイやアントニーニらのようなキレキレな弾けた感じはなく、古楽器の響きの自然な美しさを生かした演奏。これまでリリースされた4枚の中では力が抜けて自然な美しさが聴きどころとなるまでの洗練を感じさせてきました。程よいしなやかさに、程よいアクセント。単調さはなく音楽がしっかり脈打ってハイドンの曲の面白さがいきいきと描かれます。
独特の美しいメロディーで知られるアダージョは、クリストファーズの自然なデュナーミクのコントロールによって淡々と演奏されることで、かえって深い情感を感じさせる秀演。このアダージョや哲学者の1楽章はシンプルな音形だからこそか、淡々とした演奏が深みを感じさせます。よく聴くとオケのパート間の音量バランスや溶け合うような響きが緻密なコントロールによって生まれていることがわかります。凛とした美しいいメロディーから時代の気配が立ち上ります。まさに至福のひととき。
意外に良かったのが終楽章のメヌエット。仄暗い短調のメロディーを適度な緊張感と透明感の心地よいバランスでまとめた演奏。そしてトリオではセンス良く力を抜いてメリハリをつけます。流れの良さと響きの自然さが際立つ見事なコントロールで曲をまとめました。

続くモーツァルトも基本的に外連味なく素直にまとめた演奏ですが、同様にバランスよくしなやかさで聴かせる演奏ですが、古楽器の響きの美しさが抜きん出ているので聴きごたえ十分。アイスリン・ノスキーのヴァイオリンも流石にこのオケのコンサート・ミストレスだけあって見事な調和。協奏曲のソロとしてはもう少し踏み込みを期待したいところもありますが、ソロの存在感ではなくアンサンブルの楽興で聴かせるという珍しい例として悪くありません。ライナーノーツに写るノスキーの姿はちょっとパンクロッカー風ですが、その姿でオーセンティックな響きの魅力を繰り出すという存在がパンクなのでしょう(笑) これはこれで楽しめる演奏でした。

Hob.I:86 Symphony No.86 [D] (1786)
さて、期待の86番。ラメンタチオーネの演奏から想像するに、悪かろうはずはありません。序奏はアッサリした感じも残しながら、響きの美しさで聴かせる演奏。主題に入ると予想通り速めのテンポで畳み掛けるようにグイグイいきます。やはりこの曲はリズムのキレが最もインパクトがありますね。起伏も見事について素晴らしい躍動感に包まれます。速めでキレのあるリズムの連続による血湧き肉躍る陶酔感。この曲に仕込まれたハイドンの機知を見事に汲み取り、様々な楽器が代わる代わるにリズムを打っていく見事な連携。ディティールも何気に凝ったところも散りばめられ、一筋縄では行かないところを印象付けます。1楽章の見事さにすっかり呑まれました。
続くラルゴもアッサリしなやかながら濃い情感をまといます。速めのテンポによる見通しの良さも併せ持ち、続くメヌエットでは、その見通しの良さを保ちながらダイナミックに弾みます。響きの余韻を味わいながらの重なる響きとのコントラストを楽しむ余裕があります。そしてトリオでのコミカルな展開でスッと力を抜いて再びダイナミクスに圧倒される見事な構成。一貫した推進力。
このアルバムの最後を飾るフィナーレはこのオケの機能美を見せつける素晴らしい展開。ハイドンのフィナーレはこうでなくては! 各パートのソロのふわりとした軽さとオケの全奏部の重厚感の対比をくっきりと浮かび上がらせながら頂点に向けて盛り上がっていく快感。強奏部分でもフォルムの美しさを保っているのが完成度の高さを印象付けます。最後は見事にフィニッシュ。これは名演ですね。

ハリー・クリストファーズと手兵、ヘンデル&ハイドン・ソサエティによる交響曲集の4枚目ですが、ここにきて演奏レベルが上がって、これまでの4枚の中では一番の出来。昨今古楽器、あるいは古楽器風の演奏も少なくありませんが、アントニーニやファイやアーノンクール、ピノックなどそれぞれに個性的な響きを持つ中、このアルバムの録音会場となったボストンのシンフォニーホールの響きの良さも手伝って、オーソドックスなタイプの演奏の中でも、最も聴きやすい録音の名演奏盤というのがこのアルバムの位置づけでしょう。もちろんファイやアントニーニもいいんですが、この演奏を聴くとハイドンの曲の純粋な良さを味わえる気がします。評価はハイドンの良曲とも[+++++]とします。

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tag : ラメンタチオーネ 交響曲86番 モーツァルト

ジョナサン・ノット/東響の「ドン・ジョヴァンニ」(ミューザ川崎)

旅行記の途中ですが、猛烈に良かったコンサートレポートを書いておきましょう。

ちなみに現在記載中の旅行記の旅行から帰ったのが12月1日金曜日。実はその翌日12月2日にもコンサートのチケットをとってあり出かけました。東京芸術劇場で行われた読響のコンサート。目玉はドラムの名手、ピーター・アースキンのためにイギリスの作曲家マーク=アンソニー・タネージが書いたドラムス協奏曲「アースキン」の日本初演。こちらの方は時間があれば、別途触れることにして、本題に入りましょう。

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東京交響楽団:コンサート情報:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」

このコンサートは、昨年同じくノットと東響での「コジ・ファン・トゥッテ」があまりにも素晴らしかったんで、早くからチケットをとってあったもの。ノットと東響のコンサートは最近かなり行ってます。

2017/10/15 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の86番、チェロ協奏曲1番(東京オペラシティ)
2017/07/23 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「浄められた夜」、「春の祭典」(ミューザ川崎)
2017/07/17 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響のマーラー「復活」(ミューザ川崎)
2016/12/12 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「コジ・ファン・トゥッテ」(東京芸術劇場)

ノットと東響のコンサートは最近お気に入り。「コジ・ファン・トゥッテ」がかなり面白かったことから通い始めましたが、前回聴いたハイドンの86番は、ちょっとせせこましくて、ノットの指揮する演奏では今ひとつな印象で、逆にハイドンの演奏の難しさというか、奥行きを再認識した次第。

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この日のコンサートの配役は下記の通り。

指揮&ハンマーフリューゲル:ジョナサン・ノット(Jonathan Nott)
ドン・ジョヴァンニ:マーク・ストーン(Mark Stone)
騎士長:リアン・リ(Liang Li)
ドンナ・アンナ:ローラ・エイキン(Laura Akin)
ドンナ・エルヴィーラ:ミヒャエラ・ゼーリンガー(Michaela Selinger)
レポレッロ:シェンヤン(Shenyang)
マゼット:クレシミル・ストラジャナッツ(Kresimir Stražanac)
ツェルリーナ:カロリーナ・ウルリヒ(Carolina Ullich)
ドン・オッターヴィオ:アンドリュー・ステープルズ(Andrew Staples)
合唱:新国立劇場合唱団
演出監修:原純(Jun Hara)

入り口で手渡されたプログラムには「【謹告】出演者変更のお知らせ」というチラシが挟まれ、主役のドン・ジョヴァンニとドンナ・エルヴィーラの歌手が急病のため当初の予定から変わったとのこと。

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この日の開演は15:00ということで、いつものように少し早めについて、ホワイエで嫁さんとワインを楽しんプログラムやらチラシやらをチェックして開演時刻を待ちました。この日の配布物には「オペラ『ドン・ジョヴァンニ』を彩る楽器たち」というチラシが含まれていましたがこれが秀逸。ハンマー・フリューゲル、ティンパニ、マンドリン、トロンボーン、オーボエ、クラリネットなど演奏に使われる楽器の解説が書かれていますが、内容が非常に良くできていて役にたちました。制作はリトルミューザという小学生から高校生までのコミュニティ。これはいい取り組みですね。

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席はお気に入りのステージ右側の2階。歌手は横から聴くことになりますが、何より指揮姿はよく見えますし、オケの響きも程よくダイレクトで音響は申し分なし。

ステージ上には演出用に白と赤の布がかけられた大きな箱が一つ置かれています。ティンパニはバロックティンパニ、そして先ほどのチラシに解説があったハンマーフリューゲルが中央に置かれています。

開演時刻になり、オケのメンバーが登場し、チューニングを終えるとノット登場。序曲からタイトに引き締まったビヴラートを抑えた古楽器風の響きに包まれます。前回の「コジ・ファン・トゥッテ」同様、アクセントをきっちりつけ、フレージングは非常に表情豊か、そしてテンポはかなり自在に動かしながらゆったりとしたところときりりと引き締めるところの対比を鮮明につけ、軽やかなところの爽快感はノットならではの高揚感。やはりモーツァルトはノットの演奏スタイルに合っているのでしょう。序曲が終わって、ハンマー・フリューゲルを実にニュアンス豊かに自ら弾きながら音楽を紡ぎ出していく様子は見事。ハンマー・フリューゲルの入り一つで曲のニュアンスが変わってしまいますので、他の人に任せるわけにはいかないのでしょう。歌手の主役のドン・ジョヴァンニ役はイケメンバリトンで代役ながら素晴らしい演技と歌唱。レポレッロはちょっと太め(笑)で道化役にしてはちょっと演技のキレが悪いですが、歌はよかったです。そして最初に殺されてしまう騎士長は役に負けない素晴らしい声量のバスで迫力十分。ドンナ・アンナは抜けるようなクリアなソプラノで役の期待通りの美しいソプラノ、ドン・オッタヴィーオは実に味わい深い円熟の演技が光るテノール。そして物語の展開を左右するドンナ・エルヴィーラはこちらも代役ながら演技力も歌唱も見事なレベルで、代役とは思えない素晴らしい存在感でした。そのほかツェルリーナ、マゼットとも含めて歌手は皆見事な演技と歌唱ということでジョナサン・ノットによると思われる歌手の配役は皆レベルが高くこれも見事。
第一幕ではモーツァルトの書いたアリアが次から次へと湧き出てくる素晴らしさを堪能できました。特にレポレッロのカタログの歌の軽やかなオケ、そして何より登場人物それぞれの複雑な思いが交錯しながら一つのメロディーにまとめ上げて行くモーツァルトの見事なアンサンブルが味わえる第一幕半ばの四重唱と第一幕最後のアンサンブルの見事なことと言ったらありませんでした。
オケはバロックティンパニの硬質な響きで引き締まって迫力十分。小規模オケにも関わらずキレ味鋭い俊敏な反応でミスらしいミスはなしで完璧でした。
25分の休憩を挟んで第二幕でよかったのはマンドリンの伴奏によるドン・ジョヴァンニのカンツォネッタ「窓辺にいでよ」。舞台下手から登場したマンドリン奏者の女性がドン・ジョヴァンニの横に座って奏でるマンドリンの響きの美しさは素晴らしかった。そして女心を射止めようとするドン・ジョヴァンニの歌が引き立ちました。そして何と言ってもハイライトはやはり最後の騎士長が登場する地獄落ちの場面でしょう。騎士長の亡霊がノックするところから始まる最後のクライマックスは迫真の歌唱と演奏。演出ではドン・ジョヴァンニが拳銃自殺してしまうという落ちでしたが現代風の演奏会形式の舞台にマッチしていてなかなかよかったです。終曲ではドン・ジョヴァンニが生き返って歩き回る大団円。最初から最後まで緊迫した歌唱と演奏に惜しみない拍手が送られ、ノットと歌手陣が何度も何度も呼び戻されるカーテンコールが続きました。

昨年のトーマス・アレンを中心とした歌手陣もよかったですが、このドン・ジョヴァンニのメンバーも実に良かった。そしてノットと東響も素晴らしい演奏で舞台を盛り上げました。非常にレベルの高い舞台にこの日の観客は熱狂。心に残るコンサートとなりましたね。

プログラムには早くも来年の12月にフィガロの結婚が組まれるとの速報が掲載されていました。ノットの素晴らしいモーツァルトのダポンテ3部作が完結することになりますね。こちらも必聴でしょう。

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tag : モーツァルト

ジョナサン・ノット/東響の86番、チェロ協奏曲1番(東京オペラシティ)

10月15日日曜は以前からチケットを取ってあったコンサートに出かけました。

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東京交響楽団:東京オペラシティシリーズ 第100回

最近、ちょっとお気に入りのジョナサン・ノット。昨年末に聴いた演奏会形式の「コジ・ファン・トゥッテ」があまりに素晴らしかったので、その後も何回かコンサートに通っています。

2017/07/23 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「浄められた夜」、「春の祭典」(ミューザ川崎)
2017/07/17 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響のマーラー「復活」(ミューザ川崎)
2016/12/12 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「コジ・ファン・トゥッテ」(東京芸術劇場)

コジ・ファン・トゥッテはキビキビとした進行に実に多彩な表情をつけて長いオペラを一気に聴かせる素晴らしい演奏でしたし、復活はオケを鳴らしきるど迫力の演奏。そして「浄められた夜」の精緻な透明感と曲ごとに多彩な表情を見せる人。そのノットがハイドンを振る、それも好きな86番にチェロ協奏曲ということでチケットを取ったもの。プログラムは下記の通り。

ハイドン:交響曲第86番 ニ長調 Hob.I:86
ハイドン:チェロ協奏曲 第1番 ハ長調 Hob.VIIb:1 チェロ独奏:イェンス=ペーター・マインツ(Jens Peter Maintz)
モーツァルト:交響曲 第39番 変ホ長調 K.543

ハイドンを振るのにいきなり玄人好みの86番を取り上げるあたりが流石のプログラミングセンス。ハイドンとモーツァルトという2人の作曲家の代表曲の影の傑作交響曲を並べるという趣向でしょう。そして協奏曲にはチェロ協奏曲1番ということで完璧に私好みのプログラムなんですね。



さて、日曜のコンサートということで、少し早めにオペラシティについて、こちらもお気に入りのお店で腹ごしらえ。

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食べログ:HUB 東京オペラシティ店

東京オペラシティの地下1階にある英国風パブチェーンのHUB。コンサート前の腹ごしらえはここです。

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ギネスにレッドアイを頼んで、まずは喉を潤します。

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そして、なぜかいつも頼むザ・フィッシュ&チップス。ビールのつまみになります。のんびりとビールを楽しんでいるうちに開場時刻となり、ホールに向かいます。

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この日の席は2階席のステージ右の一番奥の方。オケを上から眺める席です。しかも指揮者の指示が非常によく見える席。ステージ上は小規模オケということで余白たっぷり。ステージの真ん中だけ使うくらいで、マーラーやブルックナーの時のステージいっぱいに席が並ぶのとは異なりスッキリした感じ。客席の入りは5〜6割とあまりぱっとしません。やはりこのプログラムではお客さんが入らないのでしょうか。

定刻になりオケが入場し、ジョナサン・ノットもいつものようにステージに勢いよく駆け出てきて、注目の86番。ノットがタクトを下ろすと聴き慣れた序奏のメロディーが響きますが、最初はオケがまだ硬い感じなのに加えて、オケの直上の直接音主体の響きも手伝って、奏者の微妙な入りのタイミングの差が少々気になります。ノットのコントロールはフレーズごとにかなり表情をはっきりつけながらも、古楽器風の清透な響きを意識したもの。主題に入って86番独特の規則的なリズムを刻んでいく部分もちょっとリズムを重くしたり、軽くしたりと念入りな表情づけ。ノットの指揮も特に強音部ではかなり細かくタクトを振り回すので忙しい印象を与えます。なんとなくリズミカルなこの曲の魅力が、演出過剰でゴテゴテした印象もついてしまった感じ。ただし聴き進むうちにオケも徐々にこなれて、音楽の流れも良くなっていきます。1楽章も終盤になるとノットの激しい煽りでライブらしい高揚感に包まれます。
続く2楽章のカプリッチョは、古楽器風に少し速めのテンポで、この楽章もノット風のテンポを微妙に細かく変えながらの演奏。アクセントをかなり明確につけるので、メリハリは十分。そしてメヌエットは覇気十分で活気ある舞曲。今少し優雅さがあればとも思いますが、このゴツゴツとした感触を感じるデフォルメがノットの特徴でしょう。そして終楽章は渾身の力演。これは生ならではの盛り上がりを感じさせます。最後はノットの煽りで小規模なオケといってもホールに轟く大音響で終わり、盛大な拍手に迎えられました。

ステージ上にチェリストが乗る台が運ばれ、一部の奏者が入れ替わって、次のチェロ協奏曲。チェロのイェンス=ペーター・マインツとノットが登壇。マインツは長身ですね。チェロ協奏曲の伴奏は86番同様、ノット風に小刻みな表情づけが行われますが、協奏曲ゆえ基本的に流れの良い演奏なので、86番ほどノットの表情づけが気になることはありません。チェロのマインツは非常にキレの良いボウイングでいきなり観客の耳を釘付けにします。特に早いパッセージの鮮やかさは目もくらむほど。テンポよくキレの良いチェロでハ長調のこの曲の明るい推進力あるメロディーを先導します。1楽章のカデンツァはマインツの美音とボウイングの鮮やかさを印象付けるもの。オケも86番よりも流れが良くなり、マインツのキレの良さがノットの鮮やかな面を引き出し、掛け合いの面白さも活きる演奏でした。
続く2楽章のアダージョはマインツの美音の鮮やかさが際立ちました。大柄なマインツが弾くとチェロが小さく見えるほどで、楽器をコントロールし尽くしている感じ。2楽章のカデンツァは現代音楽風の不協和音をも織り交ぜ静寂を印象付ける踏み込んだもの。マインツが完全に観客をのんでいました。フィナーレはチェロの超絶テクニックの聴かせどころ。特に速いパッセージのボウイングの鮮やかさは素晴らしいものがありました。あまりの鮮やかさに聴衆からは嵐のような拍手が降り注ぎました。やはりソロがキレると協奏曲はいいですね。何度かのカーテンコールで、マインツが平台からノットを指揮台に乗せる場面があり、指揮台に乗ったノットがようやくマインツに背が届くとわかって会場は笑いに包まれました。アンコールはバッハの無伴奏チェロ組曲3番からサラバンド。チェロの豊かな低音の唸りを祈りに昇華させるようなアーティスティックな演奏に聴き惚れました。

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休憩を挟んで後半はモーツァルトの39番。オケの編成はほぼ変わらず、コントラバスが2本から3本に増えたくらい。このモーツァルトはハイドンとはまたスタイルを大きく変えてきました。ほぼ古楽器の演奏と思わせるようなリズムの早打ちに、ほぼノンヴィブラートで澄み切った音色を強調するヴァイオリン、そして細かい表情づけは少し後退して優雅さを感じさせるような大らかさも持ち合わせた演奏。1楽章の美しいメロディーの繰り返しにうっとり。ハイドンではあれだけ緻密に表情づけをしていたのに対し、モーツァルトの天真爛漫なメロディーに触発されたのか、流れの良さはだいぶ上がってきています。演奏のテイストは一貫して、2楽章、3楽章、フィナーレと安心して身を任せられる演奏でした。もちろん観客は大満足の演奏だったようで、最後も盛大な拍手に包まれました。



これで4回目のジョナサン・ノットのコンサート。今回は私好みのハイドンの曲中心のプログラムでしたが、このハイドンが演奏の難しさを感じさせるものでもありました。期待の86番はノットのせわしない指揮が曲のシンプルな魅力を表現しきれていない印象も残してしまいました。チェロ協奏曲はソロも含めてなかなかいい演奏、そして後半のモーツァルトは期待以上の素晴らしさでした。86番については好意的に聴いた人も多かったかと思いますが、日頃ハイドンばかり聴いている私ゆえの辛口コメントということでお許しください。

さて、次のノットはドン・ジョバンニです。昨年のコジ・ファン・トゥッテは名歌手トーマス・アレンの魅力もあり素晴らしい舞台でしたが、ドン・ジョバンニは如何に仕上がってくるでしょうか。今から楽しみです。

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tag : 交響曲86番 チェロ協奏曲1番 モーツァルト 東京オペラシティ

アンドラーシュ・シフ ピアノリサイタル(東京オペラシティ)

3月21日月曜は、コンサートに出かけてきました。

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ハイドンファンにはおなじみのアンドラーシュ・シフ(András Schiff)による「ザ・ラスト・ソナタ」と銘打たれた2017年のコンサート。このコンサートに注目したのは、もちろんハイドンのソナタが演奏されるからに他なりません。

当初は3月25日土曜の彩の国さいたま芸術劇場のチケットを取っていたんですが、なんとドンピシャの日に仕事が入ってしまい、やむなくそのチケットを友人に譲り、ネットを駆使して(笑)あらためて東京オペラシティのチケットを取った次第。普段だったら、譲ってあきらめるだけで終わるんですが、なんとなくこういうコンサートは機会を逃すと再びチャンスがこないような気がしたので、私にしては珍しく深追いしたもの。

そういえば、以前もスクロヴァチェフスキと読響のブルックナーの7番も仕事で聴き逃しましたが、あとから考えるとあれを聴いておきたかったという思うばかり。

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この日の公式のプログラムは下記のとおり。

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第17番 変ロ長調 K.570
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 op.110
ハイドン:ピアノ・ソナタ ニ長調 Hob. XVI:51
シューベルト:ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D959

「ザ・ラスト・ソナタ」と名を冠するのにふさわしく、モーツァルトもベートーヴェンもシューベルトも最晩年のソナタを並べていますし、ハイドンもロンドンで作曲された最後の3つのソナタの一つであるXVI:51が選ばれるなど、コンサートの企画としては一本筋の通ったもの。円熟の境地にあるシフの演奏とあって期待が高まりますね。

シフのハイドンのソナタ自体はDENONから1枚、TELDECから2枚組がリリースされていますが、DENON盤が1978年、TELDEC盤が1997年の録音と結構古いもの。フレージングはシフ独特の個性的なもので、多彩なタッチの変化とダイナミクスを強調した演奏が印象に残っています。また奥さんの塩川悠子とボリス・ベルガメンシコフと組んだピアノトリオのアルバムは昨年レビューに取り上げました。

2016/03/15 : ハイドン–室内楽曲 : アンドラーシュ・シフ/塩川 悠子/ボリス・ベルガメンシコフのピアノ三重奏曲(ハイドン)

ピアノソナタ集の方は、ハイドンの曲の良さをもう少し素直に出してもいいのではないかとも思われるもので、今回の実演でそのあたりのシフの個性がどう響くのかを確かめたかった次第。



さて、この日は年度末でバタバタのなか、仕事をやっつけて会場の東京オペラシティには開演の15分前に駆け込み到着。外はあいにくの雨でしたが、ホワイエにはすでに多くの人が駆けつけ、かなりの熱気でした。

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昼飯も抜きで仕事を片付けてきたのでお腹エコペコ。いつものようにサンドウィッチと赤ワインを5分で平らげ、プログラムを買って3分前に着席。この日の席は1階正面8列目とピアノを聴くにはベストポジション。会場はもちろん満員。

定刻の19:00を過ぎると会場の照明が少し落ちて、下手からシフが登場。

すぐにモーツァルトが始まります。コンサートの1曲目ということで、若干硬さも感じられるなか、シフらしく緩急とメリハリをしっかりつけながらフレーズごとの巧みな描き分けが徐々にくっきりと焦点が合ってきて、音楽が淀みなく流れるようになります。ピアノは最近のシフの定番ベーゼンドルファー。厚みというか独特の重みをもった低音に、すこしこもり気味に聴こえる石のような響きの高音が特徴ですが、モーツァルトの曲にはスタインウェイのようなクリアな響きの方が合うような気がしながら聴き進めます。そのうちに左手の表情の豊かさがこの演奏のポイントだという気にさせられ、シフがキレより迫力の表現が引き立つベーゼンドルファーを好む理由がわかったような気がしました。アレグロの起伏の陰影の深さに対し、アダージョの響きの柔らかさの対比は見事。タッチの多様さ表現の変化は流石なところ。そしてアレグレットではタッチの鮮やかさ、躍動感で圧倒されました。弾き進むうちに場内もシフに魔法をかけられたように集中度が上がります。もちろん盛大な拍手が降り注ぎますが、袖に下がることなくすぐに続くベートーヴェンに入ります。

ベートーヴェンは最初の入りは柔らかなハーモニーと力強いアクセントが豊かな情感のなかに交錯するような音楽でした。普段あまり聴かないせいか新鮮に聴こえます。暖かな音色と楔を打つような鋭い音にフレーズごとに巧みに変化する曲想がシフの魔法のようなタッチから紡ぎ出される感じ。ベーゼンドルファーだけに高音の輝きではなく、中低音の輝きが優先するような分厚い響きがベートーヴェンの力感を表すよう。2楽章は分厚い音色に襲われる感じ。タッチの軽さをかなり綿密に制御して、重厚さと軽やかさの対比のレンジが広大。そして3楽章の荘厳な印象も楽章間のコントラストの演出が完璧に決まります。モーツァルトでも豊穣だった響きがさらに豊穣さを増して、観客は皆前のめりでシフのタッチに集中します。またまた拍手が降り注ぎますが、シフはステージを囲う四方の観客に丁寧にお辞儀をしてすぐにピアノに向かいます。

もちろん私の興味はハイドンですが、このコンサートにおけるハイドンの役割はシフの表現力のうち軽やかな機知に満ちた表現に対する適性を垣間見せるという構図のよう。晩年のソナタでも珍しい2楽章構成の曲。最初からタッチのキレの良さが際立ちます。音が跳ね回るように見事な展開。ハイドンのソナタの演奏としては味付けは濃い目ですが、中音部で奏でられるメロディーの面白さはベーゼンドルファーならでは。そしてハイドンだからこそフレーズごとのタッチの変化の面白さが聴きどころ。やはり圧倒的な表現力はシフならではのもの。ハンガリー生まれのDNAに由来するのでしょうか。続く2楽章でもタッチの軽やかが際立ちます。うっとりとしながら人一倍聞き耳を立てて聴き入りますが、短い曲ゆえ、あっと言う間に終わってしまいます。私は2楽章構成と知って聴きますが、他の人は3楽章の始まりを期待しているような終わり方なので、拍手が湧き上がる間も無くすぐに続くシューベルトに入ってしまいます。

この日はやはりシューベルトがメインプログラムでした。普段ほとんどシューベルトは聴きません。その私が聴いてもこれは素晴らしい演奏でした。長大なソナタですが、シフがその魂を抜き取りピアノで再構成したような劇的かつ壮大な音楽。ちょっとくどい感じさえする低音の慟哭がシフの手にかかるとキレよく図太い低音の魅力に昇華され、時折聞かせる長い間が時空の幽玄さすら感じさせます。シューベルトが終わると、まさに嵐のような拍手が降り注ぎ、まさに観客の心をシフが鷲掴みにしてしまったがごとき状況。何度かのカーテンコールにつづいて、アンコールの演奏にシフがピアノの前に座り、演奏を始めました。

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最初はシューベルトの3つの小品から。アンコールとは思えない本格的な構成の曲に再び場内が静まり返ります。コンサートのプログラムも全て暗譜。そしてアンコールに入ってもさらりと演奏をはじめ、はじまると実に豊かな音楽が流れます。すべての曲を完全に自分のものにしきっているところに一流どころのプライドを感じます。シューベルトが終わったところで席を立つ人もいましたが、アンコールは1曲ではありませんでした。プログラム最後のシューベルトの演奏に酔いしれた観客に、さらにシューベルトがだめ押しで加わったかと思うと次はバッハのイタリア協奏曲の1楽章。バッハのアルバムをいろいろリリースしているだけあってシフのバッハを待っていた人も多かったのでしょう。アンコールに寄せられた拍手はどよめきにも近いものに変わります。これで終わりかと思っていると、シフはまたまたピアノに向かい、なんとイタリア協奏曲の2楽章、3楽章を演奏。すでに観客はクラクラ(笑)。完全にシフに魂もってかれてます。もちろん盛大な拍手に迎えられ、シフも引き下がれず、今度はゴリっとした感触が印象的なベートーヴェンの6つのバガテルから。ここまでくると、休憩なしで張り詰めっぱなしの観客とシフの根比べ(笑)。盛大な拍手にアンコールで応えるシフも引き下がらず、その後モーツァルトに最後はシューベルトの楽興の時を披露。聴き慣れた曲が異次元の跳躍感に包まれる至福のひととき。そして盛大な拍手が鳴り止まず、シフが再びピアノの前に座ると、そっと鍵盤の蓋を笑顔で下ろし、長い長いアンコールの終わりを告げ、観客も満足感に包まれました。

プログラムの演奏だけで90分ほど。そしてアンコールを入れると2時間半弱。休憩まったくなしで完璧な演奏を続けたシフ。私はプログラム最後のシューベルトの余韻に浸っていたかった気もしましたが、最後まで聴いてみると、シフの観客をもてなそうとする気持ちもわかり、これがシフの流儀だと妙に納得した次第。ピアノという楽器の表現力の偉大さをまざまざと見せつけられたコンサートでした。

先に紹介したようにシフのハイドンの録音は古いものばかり。この円熟の境地で再びハイドンのソナタに挑んでほしいと思うのは私ばかりではないはず。こころに響くいいコンサートでした。

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tag : 東京オペラシティ モーツァルト ベートーヴェン シューベルト

【追悼】ニコラウス・アーノンクール

古楽器による演奏を世界に広めた立役者の一人、ニコラウス・アーノンクールが3月5日に亡くなりました。報道によれば6日に家族が公表したとのことです。1929年生まれということで享年86歳でした。このところブリュッヘンにホグウッドと古楽器演奏のパイオニア世代の音楽家が次々と亡くなり、そしてこの度のアーノンクールということで、一つの時代が終わりつつあるような複雑な心境です。

当ブログの読者の方ならご存知のとおり、アーノンクールはハイドンの作品も、交響曲ばかりではなく、オラトリオ、ミサ曲などかなりの数のアルバムを残しており、ハイドンの演奏者としても代表格の一人です。もちろん当ブログでも何度も取り上げています。また、最後の来日となった2010年、サントリーホールで天地創造の実演にも接しています。どんぐり眼でオケに鋭い指示を出す姿が脳裏に鮮明に焼き付いています。そのあたりのところは過去の記事を御覧ください。

2013/09/01 : ハイドン–交響曲 : アーノンクール/ベルリンフィルの熊ライヴ
2013/01/02 : ハイドン–オラトリオ : アーノンクールの十字架上のキリストの最後の七つの言葉オラトリオ版
2010/10/31 : ハイドン–オラトリオ : アーノンクールの天地創造旧盤
2010/10/31 : コンサートレポート : アーノンクールの天地創造(サントリーホール10/30)
2010/10/07 : ハイドン–声楽曲 : アーノンクールのハルモニーミサ
2010/06/13 : ハイドン–オラトリオ : 灰汁のぬけたアーノンクールの天地創造新盤
2010/06/11 : 徒然 : アーノンクールの天地創造へ
2010/04/07 : ハイドン–交響曲 : アーノンクールの初期交響曲集

アーノンクールは、古楽器演奏を広めたといってもそれだけではなく、当時としては驚くほど前衛的なスタイルで過去の演奏の垢をそぎ落として、独自というか超個性的な演奏によって音楽界に大きなインパクトを与えた人というのが適切な評価でしょう。他の誰にも似ていない強い個性の持ち主でした。

ただし、もともとレオンハルトとバッハのカンタータ全曲録音など、地味というか時代考証を経た堅実な取り組みで知られるようになり、徐々にその個性が開花、ウィーン交響楽団、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団や手兵のウィーン・コンツェントゥス・ムジクスなどと多くの個性的な録音を残しましたし、昨今はウィーンフィル、ベルリンフィルなどとロマン派の曲まで演奏するまでになり、その突き抜けた個性によって、バロックや古典のみならず、現代の代表的な指揮者の一人と見做される存在といってもいいでしょう。2010年の来日時には体力の問題から最後の来日と公言していましたし、近年は演奏活動からも引退すると発表したばかりと聞いています。



追悼にあたって、私がアーノンクールの演奏に開眼した思い出のアルバムを何枚か紹介しておきましょう。私がアーノンクールの演奏に衝撃を受けたのは、バッハでもハイドンでもベートーヴェンでもなく、モーツァルトでした。

ブログの最初期に私がハイドンにのめり込んだ経緯を書いていますが、ハイドンに興味を持ったのは1991年のモーツァルトの没後200年のアニバーサリーで、あまりにもモーツァルトを聴いて、ちょっと飽きてしまった反動からでした。天真爛漫なモーツァルトの音楽のなかでも、当時アーノンクールがリリースしたモーツァルトの交響曲25番の演奏が話題になり、レギュラー盤ではなくコンセルトヘボウ100周年記念アルバムにその25番が含まれていたのを最初に入手したのがアーノンクールとの出会いでした。

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このアルバム、現在は検索してもでてきませんね。収録曲は下記のとおり。

モーツァルト:
交響曲25番(Kv 183(173 d B))
「ルーチョ・シッラ」序曲(Kv135)
2台のピアノための協奏曲(フリードリヒ・グルダ、チック・コリア!)(Kv 365(316a))
「劇場支配人」序曲(Kv 486)
交響曲32番(Kv 318)
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

このアルバムの衝撃は忘れませんね。ワルターやベームでモーツァルトに親しんだ耳と脳をかち割るような先鋭的な響きに腰を抜かしたものでした。そしてグルダにチック・コリアというクラシックでは前例のないソロによるモーツァルトの2台のピアノのための協奏曲。こちらもハスキルとアンダ盤が刷り込みだったので、アーノンクールの操るキレキレのオケに乗って、グルダのガラス細工のような透明な音階とチック・コリアとの火花散る共演にゾクゾクしたものです。豪華絢爛、外連味あふれる歌舞伎の舞台のような華やかさ。そもそもモーツァルトの音楽にはちょっと俗っぽい演出が似合うものという真髄をついた演奏と納得したものでした。アーノンクールは激しいアクセントを連発しながらも華やかさとアーティスティックさを振りまきますが、今思うとこれがデフォルメの効いた見栄を切る歌舞伎の演出とかぶりますね。不思議な高揚感に浮かされた名演奏でした。この記事を書くために実に久しぶりにこのアルバムを取り出して聞いてみると、このアルバムを手に入れた頃の新鮮な驚きが蘇ってきました。また最後の32番がこれもいい。


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TOWEER RECORDS / amazon

上のアルバムがあまりに面白かったので手に入れたアルバム。今度はグルダと組んでのピアノ協奏曲23番と26番「戴冠式」。グルダはアバドとウィーンフィルとの演奏が有名で、私も好きな演奏ですが、このアーノンクール盤ではアーノンクールのキレの良いアクセントに刺激されて、グルダもキレキレ。アバド盤の透き通るようなピアノの輝きとは異なり、オケに呼応して色めき立つのを抑えながら演奏するようすが実に面白い演奏です。このころのアーノンクールには後年のちょっとアーティスティックにシフトした演奏とは異なる楽しさがあるような気がします。協奏曲とは対決であると知った演奏です。


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TOWER RECORDS / amazon

そして、次に手に入れたのはこちら。グルダの次はクレーメルです。このアルバム、ウィーンフィルを振ったモーツァルトのヴァイオリン協奏曲5曲を収めたアルバム。全曲素晴らしいのですが、ことに冒頭に置かれたクレーメルとキム・カシュカシュアンをソロに迎えた協奏交響曲が実に面白い。やはり名門ウィーンフィルからウィーンフィルらしからぬ前衛的な響きを引き出し、クレーメル、カシュカシアンともバチバチ火花を飛ばしながらの対決が続きます。非常に聴きごたえのある演奏です。



いずれも懐かしい3組のアルバムを取り出して聴き直してみると、まるでタイムスリップしたような心境になります。このころのアーノンクールには覇気と前衛がみなぎっていました。そしてそのエネルギーをぶつけた先がモーツァルトだったということで、ハイドンを演奏するアーノンクールとは顔つきが違う感じで、奏者自身が楽しんで演奏しているような自然さが、灰汁の強さを中和して音楽に本質的な生命感をもたらしているのだと思います。

古楽器演奏のパイオニア、そして外連派筆頭のアーノンクールの死は、まさに時代の転換点のような気がします。ご冥福をお祈りします。

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tag : モーツァルト

地元で再び静寂に消え入るクラヴィコードに聴き入る

先週、通勤途上でネットを見ていると、Twitterの書き込みでコンサートの情報をみつけました。今年の5月に東京は茗荷谷の学下コーヒーでクラヴィコードの生演奏をはじめて聴いて以来フォローしているクラヴィコード奏者の筒井一貴さんの書き込みですが、その筒井さんのコンサートが、なんと私の自宅のすぐそばで行われるとのこと。しかもその週の土曜日の夜ということで、幸いいろいろ予定が入っていたものの夜は都合がつきそうということで行ってみることにしました。以前に聴いた学下コーヒーでのコンサートの模様はこちら。

2015/05/16 : コンサートレポート : 茗荷谷のカフェでクラヴィコードの響きに耳を欹てる

コンサート会場となる場所は、自宅がら歩いてすぐ! なぜこのようなところでコンサートを開催されたかというと、筒井さんとコンサート会場を提供している会社の担当(社長の息子さん)が大学の同じクラブの先輩後輩という関係とのことだからと後からわかりました。それだけならまだしも、その担当者、なんと私の中学までの同級生でした! 私も父が亡くなるまでは生まれ育った地元を離れて暮らしていて、地元に戻って3年ということで、地元の交友が広いわけではありませんでしたので、今回の再会はまったくの偶然。このコンサートで同級生に約40年ぶりくらいに再会したことになります。

コンサートの情報はこちら。

古典鍵盤楽器奏者/筒井一貴 つれづれ草紙:9月12日/最も静かな鍵盤楽器、クラヴィコード 〜時を超えて蘇る モーツァルトの時代〜@狛江

会場となったのは地元の建設会社の中にあるコミュニティースペース。せっかくなので会場となった会社の方も紹介しておきましょう。

東建ハウジング

そもそも、クラヴィコードに興味を持ったのは、当ブログでクラヴィコードによるハイドンのソナタ集を取り上げた記事に、新潟は三条のクラヴィコード製作者である高橋靖志さんからコメントをいただき、いろいろアドバイスをいただいてから。そのあたりは茗荷谷の記事の方に触れてありますのでお読みください。

ご存知の通りクラヴィコードは音量が非常に小さい楽器ゆえ、録音でもその繊細な音色を伝えるのは非常にむずかしいもの。いろいろなアルバムを聴きましたが、前回の学下コーヒーでの生演奏を聴いて、やはり生で聴くのが一番この楽器の魅力が伝わると知った次第。それゆえ今回も貴重な機会ということで参加する気になったのですが、今回はクラヴィコードの魅力を前回以上に体感することができました。

学下コーヒーでは10名少し入る程度のとても小さなスペースでしたが、それでも春日通り沿いということで、耳を澄ますと車の往来の暗騒音が常にしている状態でした。ところが今回の会場は、住宅地で、しかも目の前の道路に車が通るのはごく稀。今回お客さんは20名くらいだったでしょうか、もともとマンションの一室のようなフローリングのスペースで、外からの騒音はほぼありません。

コンサートが始まるまではエアコンの音が主な暗騒音でしたが、コンサートのためにエアコンを切ると、かなり静か。前回同様筒井さんがいろいろお話ししながら、くつろいだ雰囲気で演奏が始まります。最初はクラヴィコードの音の小ささに皆さん驚いていたものの、ちょっと音色に慣れたところで、筒井さんが冷蔵庫の電源を切るように告げ、実際に電源を落とすと、本当の静寂が訪れました。

プログラムの構成は前回の学下コーヒーのコンサートとほぼ同じ。曲順が若干変わっているのと数曲入れ替わってますが、コンサートの基本的な流れは同じで、筒井さんがお話しされながら、次々と演奏をしていきます。

J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集より 第1巻第1番プレリュード(BWV846)
モーツァルト:アレグロ(K.3)、メヌエット(K.4)、メヌエット(K.5)
モーツァルト:アレグロ(K.9a)
モーツァルト:グラーフのオランダ語歌曲「われ勝てり」による8つの変奏曲(K.24)
モーツァルト:ウィーンソナチネ第6番
モーツァルト:クラヴィーアのための小品(K.33B)
モーツァルト:ウィーンソナチネ第3番
(休憩)
フィッシャー(Johann Caspar Ferdinand Fischer):組曲集「音楽のパルナス山」より No.3 Melpomene:音楽・叙情詩の女神
パッヘルベル:アリエッタと変奏ヘ長調

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演奏に使っているクラヴィコードは、前回と同じもので、1763年製Johann Andreas Steinの旅行用クラヴィコードの複製でAlfons Huber & Albrecht Czernin(2002)というもの。

前回のコンサートでは耳が慣れた後半の曲の素晴らしい展開に圧倒されんですが、今回は逆に前半の曲のタッチの冴えが印象的でした。そもそも音量が小さな楽器ゆえ、今回のコンサート会場の静寂はクラヴィコードの演奏には理想的。筒井さんもこの会場が大変気に入られたようでした。私見ですが、この会場でクラヴィコードが良く鳴ったのはもちろん静寂が一番大きな理由でしょうが、他にもクラヴィコードをのせていたテーブルが無垢の木材によるかなりしっかりとしたものだったことや、響きすぎない適度な残響だったこと、クラヴィコードを置いた前が空の本棚で、適度に響きを散乱させる効果があったことも好影響だったんだと思います。

最初のバッハの平均律は冷蔵庫の電源を切る前に1回、そして電源を切ったあとに1回、都合2回演奏されましたが、ほんのわずかの騒音の違いが、響きの繊細さ、耳に届く繊細なクラヴィコードの響きの豊穣さに極めて大きな影響があることがわかりました。2度目の演奏の繊細な響きに皆さんウットリ。ここまで静かだとクラヴィコードの音量の小ささによるダイナミックレンジ、つまり強弱のレンジの狭さが全く気にならないどころか、ハープシコードなどと比較しても十分ダイナミックに聴こえることに気づきました。前半のモーツァルトの幼少時の曲は前回と全く同じ曲ですが、音量の小ささはまったく気にならず、逆に非常にダイナミックにも聞こえました。低音部は強く弾くと音程が若干ずれるのはクラヴィコードの構造特有のものですが、実際はかなり抑えたタッチなのに見事にメリハリがついた演奏に、クラヴィコードのさらなる魅力を発見した次第。筒井さんも会場の響きの良さに反応して、前半は前回のコンサート以上にクラヴィコードの音域、音量域を駆使してモーツァルトの曲の演奏を楽しんでいる様子でした。

それなりの人数で空調を切っての演奏が続くと、さすがに温度が上がってきます。前半を終えたところで休憩となり、エアコンを入れます。この日初めてクラヴィコードを聴く人も多かったようで、開演前にもクラヴィコードに近づき、しげしげと眺めている方が多かったんですが、実際にクラヴィコードの音色を聴いたあとなので、休憩時間にはみなさんクラヴィコードに触ってみたりと興味深々で和やかに談笑されていました。

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前回非常に感銘を受けた後半。おそらく筒井さんはこの会場の静寂を意識されて、前回よりもタッチを抑え、弱音の魅力を意識された演奏だったのでしょう。まずはモーツァルトの小曲を2曲のあと、前回とは逆の順で、先にフィッシャー、そしてパッヘルベルの曲順でした。どちらも前回はクラヴィコードの音色に慣れた耳に躍動感のつたわる演奏でしたが、今回は曲のそこここに静寂のなかに響きが消えていく美しさを意識した部分がちりばめられ、メロディーの美しさが印象的でした。パッヘルベルの癒されるような美しいメロディーがしなやかに浮かびあがる演奏はは今回も素晴らしかったです。

あまりに小さな音量に、お客さんも拍手を抑え気味。前回の演奏の時に、うまくいった時ほど拍手の音量が小さくなるんですと筒井さんが言っていたとおり、最後の響きが静寂のなかに消えると、ひとりひとりがクラヴィコードの音量に合わせた拍手で筒井さんの演奏に応えます。筒井さんも響きの良い会場での演奏に満足げ。アンコールは前回同様、モーツァルトのグラスハーモニカのためのアダージョ(K.617a)。筒井さんの言われるとおり、グラハーモニカの繊細な音色を表現するのにクラヴィコードはぴったり。まさに天上の音楽のような研ぎ澄まされた音色に脳内で変換されました。短い曲ですが、モーツァルトが晩年に到達した研ぎ澄まされた世界にトリップ。そしてもう一曲アンコールでモーツァルトのK.333だったでしょうか、筒井さんもここで演奏するのが楽しそうでした。

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演奏後は筒井さんがビール片手に皆さんの質問に気さくに答える談笑タイム。クラヴィコードの仕組みの話やこの楽器が愛好されてきた歴史などを、いつも通り面白おかしく説明してくれました。これも小規模コンサートの楽しみの一つですね。

私はこの日体調がよければこのコンサートを聴きにきた母親を家に残してきていたので、談笑なかばで失礼させていただきました。筒井さんもこの静かな環境を非常に気に入られていたので、またこの会場でコンサートが企画されるかもしれませんね。

実は、この前の週には念願の浜松楽器博物館へ詣でており、筒井さんがこの日にクラヴィコードの歴史の説明で触れられていた、クリストフォリピアノやスクエアピアノ、フォルテピアノなどをいろいろ見てきました。鍵盤楽器の歴史のなかでも、最も表現力があるのはクラヴィコードというのはそのとおりと確信。昔の静かな環境で、蝋燭の火を囲んで家庭で音楽を楽しんでいた時代には、クラヴィコードこそ音楽を身近でたのしむには最適な楽器であり、その繊細かつ豊穣な響きをたのしむ心の豊かさがあったのだろうと、はるか昔に想いを馳せた一夜でした。

浜松楽器博物館詣では次の記事で!

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tag : 古楽器 クラヴィコード モーツァルト バッハ パッヘルベル

茗荷谷のカフェでクラヴィコードの響きに耳を欹てる

今週は水曜日にサントリーホールのコンサートに出かけたばかりですが、もう一つコンサートの予約をしておりました。

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珈琲と古楽 Vol.2 最も静かな鍵盤楽器、クラヴィコード

茗荷谷の学下コーヒーというカフェでクラヴィコードを聴くという15人限定のコンサート。

学下コーヒー
食べログ:学下コーヒー

当ブログのコアな読者の方ならご存知のとおり、いろいろなご縁から、クラヴィコードという楽器の素晴らしさに開眼したのは割と最近のこと。きっかけはたまたま取り上げたマーシャ・ハジマーコスのクラヴィコードによるハイドンのピアノソナタ集の記事に新潟のクラヴィコード製作者の高橋靖志さんからコメントをいただいたこと。高橋さんの推薦されたデレク・アドラム盤を聴いて、クラヴィコードの深遠な世界を初めて知った次第。以来、クラヴィコードによる演奏は気になって取り上げている次第。

2015/02/05 : ハイドン–ピアノソナタ : キャロル・セラシのクラヴィコードによるXVI:20(ハイドン)
2013/07/21 : ハイドン–ピアノソナタ : ウルリカ・ダヴィッドソンのソナタ集
2013/06/05 : ハイドン–ピアノソナタ : 綿谷優子の初期ソナタ集(クラヴィコード&ハープシコード)
2013/03/02 : ハイドン–ピアノソナタ : キャロル・セラシのフォルテピアノ/クラヴィコードによるソナタ集
2013/01/27 : ハイドン–ピアノソナタ : デレク・アドラムのクラヴィコードによるソナタ集
2012/12/22 : ハイドン–ピアノソナタ : マーシャ・ハジマーコスのクラヴィコードによるソナタ集

ハジマーコス盤のレビューでのコメントのやりとりを見ていただければわかるとおり、今回のコンサートの奏者である筒井一貴さんともご縁があったのでしょう。

クラヴィコードはピアノやフォルテピアノと比較すると極端に音量が低い楽器。多くのアルバムが録音に苦労しており、クラヴィコードのひっそりとした美音が自動車の通過音や暗騒音に紛れて聴こえる録音も少なくありません。このクラヴィコードの美しい音を是非生で聴いてみたいと思っていたところ、たまたまネットでこのコンサートの存在を知り、しかも席は15席限定で残り1席という状態だったので、慌てて予約したという次第。生のクラヴィコードをもしかしたら理想的な環境で聴ける千載一遇のチャンスかもしれないと思ったわけです。

当日は19:30開演のところ開場時間の19:00には駆けつけましたが、着いてみると既にほとんどのお客さんが席でコーヒーを楽しんでいるではありませんか。ちょっと出遅れ感です(笑)。

コンサート会場の学下コーヒーは茗荷谷駅から3分ほどの春日どおり沿いにあるカフェ。オーナーの方によると少し前まで目白の学習院下にあったお店がビルの建て替えにともなって茗荷谷に移り、元の学習院下、「学下」の名前のままやっているとのこと。お店のオーナーも古楽好きとのことで、このような企画となっているとのことでした。

お店の入り口からちょっと奥に入ったところに小部屋のような空間があり、そこにテーブル席がいくつかあるという構えですが、その隅にクラヴィコードが置かれ、まわりの席をコンサート向けに少し動かして、15人入るとちょうどいい感じの空間。白壁にシンプルなインテリアで、まるでハイドンの生家でクラヴィコードを聴くような心境になります。

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この日使われた楽器は1763年製Johann Andreas Steinの旅行用クラヴィコードの複製でAlfons Huber & Albrecht Czernin(2002)。演奏前には、この繊細かつ不思議な楽器を皆さんしげしげと見入ってました。

プログラムは次のとおり。

J. S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集より 第1巻第1番プレリュード(BWV846)
モーツァルト:アレグロ(K.3)、メヌエット(K.4)、メヌエット(K.5)
モーツァルト:アレグロ(K.9a)
モーツァルト:ヴィレム・ファン・ナッソーの歌による7つの変奏曲(K.25)
J. S. バッハ:リュートまたは鍵盤楽器のためのプレリュード、フーガ、アレグロ(BWV998)
(休憩)
モーツァルト:クラヴィーアのための小品(K.33B)
パッヘルベル:アリエッタと変奏ヘ長調
フィッシャー(Johann Caspar Ferdinand Fischer):組曲集「音楽のパルナス山」より No.3 Melpomene:音楽・叙情詩の女神

まさにこの日のクラヴィコードが使われていた時代の音楽。ほどなく開演時時刻になり、奏者の筒井一貴さんが笑顔で登場。

筒井一貴/HASSEL 古典鍵盤楽器奏者(クラヴィコード/フォルテピアノ/チェンバロ)

筒井さんが、作品のことをお話しされて演奏するという、コンサートというよりはまさにサロンで演奏を楽しむという、クラヴィコードの時代のスタイルのような進行。クラヴィコードが最も静かな鍵盤楽器と呼ばれるように、最初にさらりと奏でられた音は、アルバムのみでクラヴィコードを聴いていた私の想像よりもかなり小さなものでした。まさに人が静かにしゃべる声と同じ程度の音。1曲目はバッハの平均律クラヴィーア曲集の冒頭の1曲。馴染みのメロディーですが、まだ耳が慣れないのか、身を乗り出して耳を澄ませて繊細な音色を聴きます。実は最初の1曲の印象はやはりか細いなかの繊細な音色という感じだったのですが、これが曲が進むにつれて、実にニュアンス豊かに聴こえるようになってきます。ちょうど暗い部屋に入ったときにはよく見えないのですが、目が慣れると暗さのなかにも陰影がくっきりついて見えてくる感じ。そう、バッハの曲は耳ならしという意図で配置されていたのでしょう。最初の曲が終わると15人の拍手がクラヴィコードの音以上にカフェに響きわたりますが、曲が進むにつれて拍手も小さな音になります(笑) これは皆さんがクラヴィコードの音に耳があってきたからということでしょう。

そして、続くモーツァルトの幼少時代の曲が何曲か続きます。作曲の背景や曲の成り立ちについてのとてもわかりやすい話に続いて、モーツァルトの天真爛漫なメロディーが奏でられますが、ケッヘル番号の1桁台ということで、1曲ごとにどんどんひらめきが加わり、モーツァルトの才能が急激に開花するようすが手に取るようにわかります。耳がなれて、クラヴィコードの繊細なニュアンスを伴った音楽に引き込まれます。すぐ外は春日通りということで、もちろん車の通る音も聞こえるのですが、お客さんはクラヴィコードの繊細な音色に集中しているので、ほとんど気になりません。小さな部屋で耳を澄ましてひっそりと音楽を楽しむ至福の時間とはこのことでしょう。

前半は小曲が中心で、前半の最後はバッハ。それまでのモーツァルトがクラヴィコードから閃きの進化を聞かせたのに対し、普段はハープシコードでの印象の強いバッハでは、バッハの音楽から華やかな音色という飾りを取り去った素朴な姿を想起させます。静かに耳を澄ませて聴くバッハの音階。静寂に潜む空気のようなものに触れたような気持ちになりました。演奏を終えて静かな拍手に笑顔で応えた筒井さんでした。



休憩を挟んで後半はモーツァルトから。最初の曲はもともと管楽器による演奏をイメージして書かれた曲。筒井さんの説明に従って、これまでの速い曲調ではなく、ゆったりとした曲調の曲を脳内で管楽器の音色を想像して聴いてみると、まさに楽器としてのクラヴィコードの優れた点がわかりました。

クラヴィコードは鍵盤を打鍵すると張られた弦の中央部を下から金属で「押して」その両側の弦が振動して音が鳴る仕組み。鍵盤を打鍵している間だけ音がなり、打鍵している鍵盤を抑える指に弦の振動がつたわってきます。以前クラヴィコードはヴィブラートがかけられると聞き、いったいどういうことなのか想像できなかったんですが、実際に楽器を目の前にして、自身で打鍵してみて初めて仕組みがわかりました。

このようなクラヴィコードだからこそ、管楽器の曲をイメージして演奏できるというわけです。このころの作曲家がクラヴィコードを愛用していた理由もなんとなくわかりました。

続いて演奏されたパッヘルベルのアリエッタと変奏曲。この曲はオルガンのための曲ですが、今度はオルガン用の曲をクラヴィコードで楽しみます。このパッヘルベル、素晴らしかったです。前曲同様、クラヴィコードの音色を聴きながら、オルガンの音色を想像して音楽を楽しみます。最初のテーマから次々と変奏がつづき、耳は完全にクラヴィコードの繊細な響きの変化のレンジに一体化して、デリケートに変化するメロディと音楽に引き込まれます。体を揺らしながら次々に変奏を繰り出す筒井さんの演奏に、カフェの小空間は完全に引き込まれました。カノンばかりが有名なパッヘルベルですが、このアリエッタと変奏曲はいいですね。特にこの日のクラヴィコードの演奏は絶品でした。筒井さんも満足そうに笑顔で暖かく静かな拍手に応えていました。

最後は大バッハがその作品を研究して、影響を受けたと言われるフィッシャーの曲。パッヘルベルに比べて明るく鮮やかなメロディーが織り込まれた組曲。曲が進むにつれて筒井さんのタッチも鮮やかになり、こちらも引き込まれる本格的な演奏。皆さん最初の曲の時とは異なり、クラヴィコードの音量と音色に完全にフォーカスが合って、音楽を楽しまれていました。

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最後も拍手につつまれ、アンコールで弾かれたのはモーツァルトのグラスハーモニカのためのアダージョ(K.617a)。いやいやクラヴィコードは想像力を掻き立てられます。この曲では天上から振り注ぐようなグラスハーモニカの繊細な音色を想像させます。

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いやいやいいコンサートでした。クラヴィコードを楽しむには絶好の規模。カフェの一室がバッハ、モーツァルト、ハイドンの時代にタイムスリップしたようでした。やはり生で聴くクラヴィコードは素晴らしいものでした。

終演後は筒井さんが皆さんの質問に気さくに応えたり、楽器を触らせていただいたりしながらしばらく談笑。リクエストに応じて愛器の前で写真も撮らせていただきました。

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大ホールでのコンサートとはまったく異なり、小さなカフェでクラヴィコードという楽器を存分にたのしませてもらう、まさに至福の時間。今週は仕事が忙しくお昼もろくに食べられないほど忙しかったのですが、このコンサートで心のそこから癒されました。主催者の皆さん、学下コーヒーの皆さん、筒井さん、ありがとうございました!

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tag : モーツァルト バッハ パッヘルベル クラヴィコード

イェンセン/読響/シュタイアーのモーツァルト、ショスタコーヴィチ(サントリーホール)

昨日は仕事山積みのなか、そそくさと切り上げてチケットをとってあったコンサートにでかけました。

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読売日本交響楽団:第548回定期演奏会

お目当てはフォルテピアノで自在な演奏を聴かせるアンドレアス・シュタイアー。あまりよく考えずにシュタイアーのフォルテピアノを生で聴いてみたいと思ってチケットをとったんですが、ホールに入ってステージに準備されていたのはフォルテピアノではなくピアノ! 先入観からシュタイアーはフォルテピアノを弾くイメージしかなかったため、ちょっと裏をかかれた感じ。プログラムはよく見てチケットを買わなくてはいけませんね(笑)

曲目はモーツァルトのピアノ協奏曲17番とショスタコーヴィチの交響曲7番「レニングラード」。まあ、このコンサートの来場者の半分以上はショスタコーヴィチ目当てかと思われますが、私はあまりそちらに関心はありませんでした。ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンは好きですし、ブルックナー、マーラー、ファリャ、プロコフィエフ、ストラヴィンスキー、デティユー、メシアン、ブーレーズも守備範囲ですが、正直ショスタコーヴィチは守備範囲外です(笑) 唯一好きなのは交響曲9番とショスタコーヴィチでは変り種。ということで、事前の関心はもっぱらモーツァルト。ショスタコーヴィチは完全にオマケあつかいでした。

奏者についても、この日の指揮者、エイヴィン・グルベルグ・イェンセンは読響初登場ということで、未知の若手指揮者を聴くのも悪くないという程度。

しかし、この日のコンサートで衝撃を受けたのはエイヴィン・グルベルグ・イェンセンのショスタコーヴィチでした。



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いつもどおり、仕事を切り上げてサントリーホールについたのは開演15分前くらい。先に入っていた嫁さんが首尾よくドリンクコーナーでサンドウィッチとワインを注文して待ってましたので、軽く腹ごしらえして、いざホールに入ります。座席はお気に入りのRA席。この日は前から2列目でした。

1曲目のモーツァルトの17番。全く未知のイェンセンでしたが、モーツァルトの序奏からいきなりしなやかな響きを聴かせ、引き込まれます。読響がまるでウィーンフィルのように柔らかに、しかも非常に美しい音色に響きます。優雅にのびのび、しかも要所でクッキリ緩急とアクセントをつける見事なコントロール。イェンセンの略歴を見ると直前までハノーファー北ドイツ放送フィルの首席指揮者を務め、また多くの歌劇場でオペラを振ってきただけにオケを実に巧みにコントロールします。かなりアクションは大きいのですが、動作が流麗なので指示が非常にわかりやすいです。ピアノソロは、ピアノの蓋が正面に向けて開けられていたのでRA席からだと直接音があまり聴こえず、ホールに響くピアノの音を聴く感じ。ピアノ協奏曲の時はRA席ではない方がいいかもしれません。肝心のシュタイアー、手元にある多くのフォルテピアノの録音では鮮烈なキレと自在な緩急による素晴らしい演奏が多く、やはりそんな演奏を期待して聴いてしまうのですが、ピアノでのシュタイアーは、そうしたキレの片鱗を感じさせるものの、演奏スタイルはリズムを少し砕いて、力を抜いた大人な表現。まるで自宅でピアノを前に指慣らしをしながら軽くオケに合わせていくよう。モーツァルトを自身で楽しむような演奏でした。
1曲目のモーツァルトですが、印象に残ったのはイェンセンの繰り出すしなやかな音楽。読響もイェンセンに応えて素晴らしい出来。お客さんも万雷の拍手で演奏を称えました。シュタイアーも快心の出来だったようで、アンコールでモーツァルトのソナタK.330の1楽章が演奏され、こちらも力の抜けた流して弾くようなタッチで聴かせる大人の技。フォルテピアノの冴え渡るキレとは全く別のシュタイアーを楽しむことができました。

休憩の間にピアノが下げられ、ステージ上は大オーケストラ用の配置に転換されます。

オケが入場して、笑顔のイェンセンが颯爽と登場。守備範囲外のショスタコーヴィチをどう料理してくるのか恐る恐る聴き始めます。ショスタコーヴィチ独特の散らかり感ですが、イェンセンの非常に丹念な描写に、あっという間に引き込まれます。長大な(本当に長大!)な1楽章、中間部にラヴェルのボレロを丸ごとショスタコーヴィチ流にアレンジしたような曲が挟まりますが、オケの精度が素晴らしく、特に小太鼓が極度の緊張感の中一定のテンポでリズムを刻み続ける姿を観客も固唾を飲んで見守ります。のけぞるようにバックスイングをともなってオケを煽るイェンセンですが、紡ぎ出される音楽は素晴らしい精度。1楽章はパーカッション郡も金管も大活躍。そして何より素晴らしかったのが各パートの音色の美しさ。途中ヴィオラが奏でるメロディーには鳥肌がたつような美しさ。木管、弦楽器、そしてピアノまでが響きの美しさの限りを尽くした演奏。戦争をテーマにした抑圧された心情のこの曲のなかの一瞬のきらめきのような瞬間がそこここに降り注ぎ、不協和音のなかに虹が浮かぶような不思議な美しさがちりばめられます。読響は私が聴いたなかでは一番の精度。この難曲なのに完璧な演奏で指揮者の期待に応えました。圧倒的な1楽章から普通の長さの2楽章、3楽章、そして間をおかずにフィナーレに続き、最後はブルックナーばりの大伽藍。ホールを揺るがすような大音響がイェンセンに巻き取られて、しばしの沈黙。イェンセンがタクトを下ろした途端にブラヴォーの嵐が降り注ぎました。正直ショスタコーヴィチの真価を初めて身をもって浴びた感じです。もちろんショスタコーヴィチなど詳しいわけもない嫁さんも圧倒され、ワナワナしてました。

イェンセンも会心の出来に満足したようで、小太鼓を皮切りに全奏者を丁寧に指名して祝福。やはり奏者の努力があっての名演奏であることをよくわきまえているようで、なかなかの人柄であることもわかりました。スクロヴァチェフスキからカンブルランときている首席指揮者ですが、つぎはこのイェンセンなどいいかもしれません。

イェンセン、ショスタコーヴィチ、そしてシュタイアーを目一杯楽しめたコンサートでした。今後イェンセンからは目が離せませんね。



ということで、モーツァルトとショスタコーヴィチに酔いしれたコンサートでした。サントリーホールを出るといつものように目の前のアークヒルズのなかの適当なお店で夕食をとって帰ります。この日はおなじみのカレー。

食べログ:フィッシュ

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ここは遅くまでやっているのでコンサート帰りにたまに寄るのでですが、前より味が良くなってますね。まずはビールとコンビネーションサラダ。

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こちらが定番白身魚のカリーライス。揚げた白身魚の旨みがカレーにいい香りを加えていて、癖になる味。

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こちらはキーマカリーライス。なんでしょう、日本のカレーとはかなり異なる香辛料の強烈な香りをベースとしたカレー。こちらも旨いです。

ショスタコーヴィチに酔ったところでカレーを食べながら反省会。このあとの読響のスケジュールを見るとハイドンも幾つかあります。どうしようかな~(笑)

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tag : サントリーホール モーツァルト ショスタコーヴィチ

エドウィン・フィッシャー/ウィーンフィルのピアノ協奏曲(ハイドン)

今日はヒストリカルなアルバム。

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エドウィン・フィッシャー(Edwin Fischer)のピアノと指揮、ウィーンフィルの演奏によるハイドンのピアノ協奏曲(Hob.XVIII:11)などを収めたアルバム。収録は1942年10月28日ウィーンでのセッション録音。レーベルはEMI CLASSICSですが、新星堂のThe Great Recordings of EMIというシリーズの一枚。

エドウィン・フィッシャーは高明なピアニストであり、手元にもバッハなど何枚かのアルバムがあったはずです。今回このアルバムを手に入れたの機に聴いてみようといろいろひっくりかえして探したのですが見つかりません(苦笑)

仕方なくライナーノーツなどから略歴を紹介しておきましょう。生まれは1886年、スイスのバーゼル。父はバーゼル市管弦楽団のオーボエ奏者とのこと。バーゼル音楽院でハンス・フーバーに師事、1904年に父が亡くなったのを機にベルリンに移り、シュテルン音楽院でリストの弟子だったマルティン・クラウゼに師事。次第にピアニストとして頭角を現します。同音楽院を卒業後演奏活動を開始すると同時にいきなり音楽院で教鞭をとることになります。1920年代以降ベルリン、リューベック、ミュンヘンなどで演奏活動を行い、当初はバッハを得意としていました。1931年、シュナーベルの後任としてベルリン音楽大学ピアノ科の教授に就任し、このころから積極的に録音を残すようになります。1933年にバッハの平均律、1934年にシューベルトの「さすらい人幻想曲」、1937年にフルトヴェングラーの「ピアノと管楽のための交響的協奏曲、そして1942年にフルトヴェングラーとブラームスのピアノ協奏曲2番を録音しています。このアルバムに収められたハイドンはまさにその頃の録音。その後ナチスから逃れるためスイスに戻り、1958年までルツェルン音楽院で教鞭をとります。1950年にはバッハの没後200年を記念してヨーロッパの主要都市でバッハの鍵盤用の全協奏曲を演奏、その後1954年まで演奏、録音活動を続けましたが神経性の腕の麻痺などに悩まされ、54年以降は録音から遠ざかり指揮などで活躍。亡くなったのは1960年、チューリッヒで。74歳でした。

同時代の演奏家である、コルトー、ギーゼキング、フルトヴェングラーと親交がありたびたび共演、またヴァイオリンのクーレンカンプ、チェロのマイナルディとはトリオを結成していた。クーレンカンプ没後シュナイダーハンが加わったとのこと。ピアニストのバドゥラ=スコダ、バレンボイム、ブレンデルはフィッシャー門下ということで教育者としても多くの名演奏家を育てた人でした。

このアルバムにはハイドンの協奏曲の他に、1937年収録のモーツァルトのピアノ協奏曲17番(K.453)、ダラバーゴの教会のための4声の協奏曲 作品2の9が収められています。ハイドン以外のオケはフィッシャー自身が1934年に結成した室内管弦楽団です。

Hob.XVIII:11 / Concerto per il clavicembalo(l'fortepiano) [D] (1784)
原盤は独ElectrolaのSP盤。ヒスノイズとわずかにスクラッチノイズが聴こえますが音質は良好。ちょっと低域が薄いですがキレは十分。もちろんモノラルです。速めの快活なテンポに乗ってウィーンフィルのキレのいい弦楽セクションが伴奏で入ります。フィッシャーのピアノは鮮烈なキレ味。速めのテンポに合わせて実に鮮やかなタッチで音階を刻んでいきます。くっきりとアクセントをつけて音楽が立体的に浮かび上がります。ちょっとドイツ風の重厚な演奏を想像していたのですが、ドイツ風のくっきりした面は感じさせつつもここまでキレたタッチを聴くことができるとは思いませんでした。録音の古さを脳内フィルターで除去するとドイツ風なアルゲリッチのようなピアノのキレ。いやいや見事なタッチです。さらりとしながらもくっきりと香り立つハイドンの古典的楽興。見事な1楽章です。
2楽章は先ほどまでの軽快さから一転、ぐっとウィーンフィルが沈み込み、なかなか深い情感を感じさせます。それに合わせてフィッシャーのピアノは今度は磨き抜かれた輝きを発します。ピークでちょっと音が歪むのはご愛嬌ですが、やはり脳内フィルターで録音のアラを除去すると素晴らしい音楽が流れます。ピアノのメロディーと伴奏のコントラストをかなりはっきりとつけるところなど、現代のピアニストでもこれだけの表現はなかなか聴くことができません。リリカルなメロディーが沁みますが、さすがフィッシャーとウィーンフィルの演奏だけあって高雅さも失いません。カデンツァはシンプルながらピアノの音の美しさは感極まるほど。極上のの輝き。ハイドンの協奏曲のピアノの輝きの極北。最後に暖かい音色のオケが向かいに来るところの安心感はすばらしいものがあります。
フィナーレは再びフィッシャーのピアノの鮮やかなタッチを堪能できます。ピアノの音階はまったく抵抗なく転がり、タッチが冴え渡ります。並のピアニストとは次元の違うタッチの冴え。これを実演で聴いたら鳥肌ものでしょう。最後は迫力よりもキレ味で聴かせて終わります。

このあとのモーツァルトのピアノ協奏曲もハイドン同様の魅力をもった素晴らしい演奏です。録音はさらに古いですが原盤のコンディションが良くノイズは逆に少なく聴きやすい録音です。こちらもオススメ。

エドウィン・フィッシャーのピアノと指揮、ウィーンフィルの演奏によるハイドンのピアノ協奏曲でしたが、あらためてエドウィン・フィッシャーという人の偉大さを再認識した次第。今聴くと録音のアラが少々気にならなくはないですが、その録音の奥に広がる深淵な魅力は十分伝わります。冴え冴えとしたタッチ、くっきりと浮かび上がるメロディー、恐ろしく立体感にあふれた音楽、そして気高さもあり、ピアノという楽器の表現できる音楽の素晴らしさに打ちのめされた感じ。脳内にアドレナリンが充満です(笑)。もちろん評価は[+++++]。ヒストリカル好きな方は是非入手すべき素晴らしい演奏です。

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tag : ピアノ協奏曲XVIII:11 モーツァルト

トリオ・カレニーヌのピアノトリオ(ハイドン)、アンヌ・ケフェレックの「ジュノム」(ラ・フォル・ジュルネ)

昨日5日は再び東京国際フォーラムに出かけ、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンを楽しみました。

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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」2014公式サイト

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この日は早朝から千代田区が震度5弱の地震に見舞われ、ちょっと心配しましたが、交通機関もさして乱れることなく、順調に有楽町までやってこれました。取ったプログラムは10:45開演のものと14:00開演のものの2つ。最初のプロブラムがホールではなくG棟での開催だったので、まずはG棟に入ってみます。

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まだまだ10時台なので人出はそれほどでもありませんでした。G棟の吹き抜けはまだ席が残っているプログラムのチケットを販売しています。1時間弱の短いコンサートとはいえ、いくつも聴くには体力がいります。ということで、追加でチケットを買うのはやめにしました。

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東京国際フォーラムは新宿に移転した東京都庁跡地に1997年に完成したコンサートホール、国際会議場などのコンプレックス。国際コンペで勝ったのは当時無名だったラファエル・ヴィニオリ。これを建てている間に日本のバブルは崩壊し、バルブルの象徴と見られていた時期もありましたが、今は純粋に素晴しい空間を楽しめる東京の名建築というところでしょう。巨大な吹き抜け空間と、恐竜の骨格のような露出した構造はいつ見てもスペクタクル。ラ・フォル・ジュルネも今年で10階目ということで、ここでやるのがすっかり定着しているようですね。最初のコンサートがG409という4階の会場ですので、エレベーターで4階に向かいます。

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まだ、開場まで間があるので、吹き抜けに面した廊下でのんびりと開場を待ちます。

最初のプログラムはこちら。

公園番号:361(ホールG409)
ハイドン:ピアノ三重奏曲 ホ長調(Hob.XV:28)
ラヴェル:ピアノ三重奏曲 イ短調
トリオ・カレニーヌ (ピアノ三重奏)

やはりハイドンのプログラムは聴かない訳には参りません。演奏者のトリオ・カレニーヌ(Trio Karenine)ももちろんはじめて聴く人たちゆえ、興味津々です。メンバーは次のとおり。

ヴァイオリン:アナ・ゲッケル(Anna Göckel)
チェロ:ルイ・ロッドゥ(Louis Rodde)
ピアノ:パロマ・クーイデル(Paloma Kouider)

若手の美女2人にイケメンチェリストの組み合わせでした。トリオの設立は2009年と比較的最近で、トリオ名はトルストイの「アンナ・カレーニナ」に因んだものとのこと。メンバーはパリ国立音楽院、エコールノルマル音楽院の卒業生で、イザイ弦楽四重奏団に師事したそうです。第5回ハイドン室内楽コンクールで特別賞、プロ・ムジチス協会賞を受賞。また2013年にミュンヘン国際音楽コンクールで1位無しの第2位となった若手実力派といったところでしょう。

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会場はG棟の会議室に椅子を並べた簡易的なもの。会議室の中央にステージが設定され、5列の客席で囲んでいます。東京国際フォーラムは場所、ホールはいいのですが、会議室は残響が極端に少なく、演奏者にはちょっと酷な会場ですね。キャンドルスタンド風の照明がピアノの左右におかれ、雰囲気が会議室然としないよう配慮しているのでしょうか。

さて、定刻になりトリオ・カレニーヌのメンバーが登場。デッドな空間に1曲目のハイドンのトリオが響き始めます。抑えたピアノにピチカートを合わせたこの曲独特の入り。間近で聴くとやはりトリオの中でもピアノの音の存在感が際立ちます。1曲目のせいか、ピアノのリズムが少し重く、ヴァイオリンも弓のキレが今ひとつ。チェロの男性のみ最初から活き活きとした演奏を聴かせていました。それでもピアノの響きのデリケートな変化にハイドンが晩年に到達した澄みきった音楽の素晴らしさを感じざるを得ません。トリオ・カレニーヌも徐々にリラックスしてきて、2楽章の暗い中にもきらめきのある名旋律、そして3楽章の軽快な音楽を演奏していきます。それでもどこか少しギクシャクとした固さを残していました。このまま終わったらトリオ・カレニーヌの名前は記憶に残らなかったと思いますが、つづくラヴェルのピアノトリオは圧巻の出来でした。
やはり、得意としていたのはラヴェルでしょう。冒頭から神がかったようなキレ味。特に先程ハイドンでは今ひとつノリが良くなかったヴァイオリンのアナ・ゲッケルが別人のようにキレキレ。演奏技術的にはよほどラヴェルのほうが難しいのでしょうが、音楽として演奏するのはハイドンの方が難しいのでしょうか。前曲をハイドンが作曲したのが1796年、このラヴェルのピアノトリオは1914年ということで、120年の時を経た音楽。同じピアノ、ヴァイオリン、チェロという楽器での音楽ながら、ラヴェルの書法は精緻を極め、色彩感と楽器から引き出す音色の多彩さは比べるべくもありません。トリオ・カレニーヌはまるでラヴェルが乗り移ったような素晴しいキレ味で音楽を演奏していきます。デッドな会場にもかかわらず、観客はトリオ・カレニーヌの演奏に釘付け、素晴しい演奏でした。

会場は拍手の渦。しかしながら、皆さんこの後続くコンサートのチケットをとっているらしく、そそくさと会場を後にします。これもラ・フォル・ジュルネの風物詩ですね(笑)

時間は11:30をまわったところ。ということでG棟の下まで降りて、丸の内側の出口の方に行ってみると、何やら銅像が建っています。これは今まで気づきませんでした。

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台座を見ると太田道灌像とあります。太田道灌といえば室町時代の武将で江戸城築城の主ということで、以前ここにあった東京都庁の敷地内にあったものをここに移転したものとのこと。戦国武将の像が時代を超えて現代建築のなかに雄々しく立ちはだかる姿は、さしずめテルマエ・ロマエさながらのキッチュな存在ですね(笑)

お昼の時間ということで、東京国際フォーラムの中庭の屋台は多くの人でにぎわっていました。なにか屋台で買ってベンチで食べても良かったのですが、生憎多くの人でベンチは満席。ということで有楽町のガードの方に出て、どこかにはいろうかと歩き始めると、最初にあるのが長崎ちゃんぽん、リンガーハット。脳内の記憶中枢に電流が走り、ここしばらく長崎ちゃんぽんは食べていませんし、脳内に長崎ちゃんぽんという記憶領域も薄れかけている事に気づき、嫁さんに「ちゃんぽんでも食うか?」と聞くと、「最近食べてないからいいわよ」と同様の脳の構造、入ってみる事にしました。

食べログ:長崎ちゃんぽんリンガーハット 有楽町店

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ということで、お休みかつ車ではありませんので、ビールです(笑) 店内はお昼時なので満員ですが、注文後すばやくビールが供される風流を解する店でした。うま~。

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そして定番長崎ちゃんぽんに餃子をたのみました。個人的にはチェーン店はあまり好きな方ではありませんが、ここはいいですね。チャンポンも出汁たっぷり。そして箸の袋に餃子に柚子胡椒をつけて食べると美味しいとの記載があり、店側のマーケティングにマルノリして、ちょっと柚子胡椒をつけていただくと、、、 これは美味い!
お手軽にお昼をすませて、すこしまわりをうろうろして午後のプログラムまでの時間を過ごします。

午後とったプログラムはこちら。

公演番号:343(ホールC)
モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K.136
モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 K.271 「ジュノム」
アンヌ・ケフェレック (ピアノ)
横浜シンフォニエッタ
ジョシュア・タン (指揮)

ケフェレック目当てでとったプログラムです。ケフェレックは過去に2ほど演奏を取りあげています。

2013/04/03 : ハイドン–協奏曲 : アンヌ・ケフェレック/アルマン・ジョルダンのピアノ協奏曲(XVIII:11)
2011/02/06 : ハイドン–ピアノソナタ : アンヌ・ケフェレックのピアノソナタ集

実演でも香り立つようなピアノが会場を圧倒しました。

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3日のホールAはかなり後ろの席だったのでアルゲリッチのピアノも遠くに聴こえましたが、今回のホールCでは前から5列目で、十分ダイレクトな音が楽しめる席です。先程のG棟とは違い、音楽専用ホールだけに残響も多めでいい響きです。昨年このホールで、アンサンブル・アンテルコンタンンポランの超絶の名演を聴いています。

さて、ケフェレック目当てと書きましたが、1曲目はモーツァルトのディヴェルティメントK.136。指揮者のジョシュア・タンはシンガポールの指揮者で中国、台湾、シンガポールなどで活躍している人。もちろんはじめて聴く人でしたが、1曲目のモーツァルトは素晴しい仕上がり。速めのテンポなんですが、オケを非常にふくよかに鳴らし、晴朗なモーツアルトの名曲を、実に伸びやかに演奏。横浜シンフォニエッタもはじめて聴きましたが、アンサンブルの精度も高く、かなりの腕利き揃いとみました。このオケの伴奏でケフェレックのモーツァルトを聴けるということで期待十分です。1曲目から拍手喝采。ホールも大いに盛り上がります。

そしてピアノをステージ中央にに動かして、ケフェレック登場。1948年生まれということで、もう70近いお歳にもかかわらず、優美な舞台姿は流石です。ジュノムの最初のピアノの一音から雰囲気のあるピアノにうっとりです。最初はちょっとオケとのやり取りのリズムが固いところもありましたがすぐに一体化。ふくよかに弾むオケに優美なピアノが乗って絶品の演奏。華やかな1楽章、沈む2楽章、そして華麗に展開するフィナーレと雰囲気満点。音楽はテクニックで聴かせるものではなく、溢れ出すような情感で聴かせるものですね。最後の一音がホールに響き渡ったあと、万来の拍手に包まれます。何度もカーテンコールに呼び出され、ジョシュア・タンに促されてアンコールで弾いたのがヘンデルのメヌエット。訥々と語られるような音楽にホール中がのまれているのがよくわかりました。これは絶品。音楽家という職業、楽器を演奏するのではなく、人の心を打つのが仕事だと言わんばかりの沁みる演奏。もちろんブラヴォーの嵐。文字通り香り立つようなモーツァルトとヘンデルに心を奪われたコンサートでした。

いやいや、やはり生はいいですね。横浜シンフォニエッタも流石の出来でした。

コンサートが終わって、時刻はちょうど15時頃。先程近くをうろついた時に向かいのビックカメラの中に結構な品揃えの酒屋さんがあることがわかり、そこで1本仕入れです。

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好きなニッカのモルトですが、12年は製造終了ということで、この機会にゲットです(笑) そして新宿経由で帰宅し、ゴールデンウィークのイベントごとは終了。

東京のゴールデンウィークの風物詩ですが、適当に楽しむにはいい企画。ラ・フォル・ジュルネ、来年はハイドン特集という、、、わけはないですね(笑) 

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tag : 東京国際フォーラム モーツァルト ヘンデル

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
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