【新着】トーマス・ファイ/ハイデルベルク響のの98番、太鼓連打(ハイドン)

トーマス・ファイの交響曲全集、久々の新盤です。

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トーマス・ファイ(Thomas Fey)指揮のハイデルベルク交響楽団(Heidelberger Sinfoniker)の演奏で、ハイドンの交響曲98番、103番「太鼓連打」の2曲を収めたアルバム。収録は2013年9月5日、6日、10月21日、22日、ドイツのハイデルベルク近郊にあるドッセンハイムのマルティン・ルター・ハウスでのセッション録音。レーベルはいつもどおりhänssler CLASSIC。

ご存知のとおり、ファイの交響曲集はリリースされる度にかなりの枚数とりあげています。

2013/12/01 : ハイドン–交響曲 : 【新着】トーマス・ファイの交響曲99番,軍隊(ハイドン)
2013/04/12 : ハイドン–交響曲 : 【新着】トーマス・ファイ/ハイデルベルク響のラメンタチオーネ他
2012/11/20 : ハイドン–交響曲 : 【新着】トーマス・ファイ/ハイデルベルク交響楽団の交響曲1番他、爆速!
2012/07/08 : ハイドン–交響曲 : トーマス・ファイ/ハイデルベルク交響楽団の90番、オックスフォード
2012/06/11 : ハイドン–交響曲 : トーマス・ファイ/ハイデルベルグ交響楽団のマリア・テレジア、56番
2012/05/03 : ハイドン–交響曲 : トーマス・ファイ/シュリアバッハ室内管の「時の移ろい」「告別」
2011/07/06 : ハイドン–交響曲 : 【新着】トーマス・ファイの「帝国」、54番
2010/12/26 : ハイドン–協奏曲 : 【新着】トーマス・ファイのホルン協奏曲、ホルン信号
2010/08/01 : ハイドン–交響曲 : トーマス・ファイの69番、86番、87番

全集も半ばを越え、このアルバムで22枚目。私は当初、ファイのかなり外連味のある演奏に抵抗がありましたが、聴き進むうちに、これもハイドンの醍醐味ということで、耳が馴れて、ファイの外連を楽しめるようになりました。これまでの演奏の中ではアーノンクールに近いものですが、アーノンクールが形式的に聴こえるほどに、曲ごとに変幻自在の演奏を聴かせ、聴くものを飽きさせません。そして今回は太鼓連打に98番と、ファイがどのような演奏をしてくるか興味津々といったところでしょう。

前置きはほどほどにして、早速レビューに入りましょう。

Hob.I:98 / Symphony No.98 [B flat] (1792)
ファイのこのシリーズ、不思議と一枚一枚録音会場が異なり、このアルバムも最近のレビューではNo.15のアルバムで使ったマルティン・ルター・ハウスでの録音。かなり響きを抑えた直接音重視の録音で、迫力重視。ヴォリュームを上げると間近にオケが定位するかなり鮮明な録音。98番の冒頭のゴリゴリした展開、まさにオケによってゴリゴリ鳴らされていきます。奏者の演奏は若干粗く、冒頭は音程が若干不安定なところもあるスリリングな演奏。ただしこれはファイの確信犯的演出かもしれません。曲が進むにつれて、徐々にフォーカスが合ってきて、起伏に富んだハイドンの旋律をファイのえぐるような露骨な響きで構成していきます。灰汁の濃いリズムと短く切った金管による縁取りが効いて、旋律は迫力十分。
続くアダージョは過度にさらりとしたテイストで入ります。曲の構造を浮かび上がらせようとしているのか、サラサラとしたテイストながら徐々に起伏がクッキリさせ、迫力を増して行きます。途中で音量をぐっと落として静寂を巧く使った演出。ハイドンの書いたメロディーの巧みな設計が引き立ちます。
メヌエットは一層さらりとしたテイスト。もちろんそれなりの迫力で、なかなかスペクタクルな演奏なんですが、もうひとキレ欲しいと思うの私だけしょうか? そして間をおかずフィナーレに突入。ザクザクとオケを鳴らして、聴き慣れた旋律ですがファイ流に迫力と新鮮味を加えて進めます。オケの鳴らし方がいつもの閃きを感じさせるかといえば、若干一本調子に聴こえなくもありません。曲に対するアプローチにいつものキレがちょっと欠けているでしょうか。誰が聴いてもファイの演奏とはすぐにわかる特徴をもっていますが、ここでももうひとキレ欲しいと思わせてしまいます。最後のクライマックスへの盛り上げ方は流石。ハイドンが仕組んだ最後のフォルテピアノによるメロディーの演出も上手いんですが、フォルテピアノだけが近くに定位する不思議な録音。最後にビシッと締まりますが、ファイにはもう一段のキレっぷりを期待してしまうのが正直なところです。

Hob.I:103 / Symphony No.103 "Mit dem Paukenwirbel" 「太鼓連打」 [E flat] (1795)
続いて太鼓連打。もちろんオーソドックスな遠雷タイプの太鼓ではありませんが、それほど変化に富んだ太鼓でもありません。意外に穏やかにきました。こちらの曲は冒頭から緊張感が支配する演奏。厳かさと前衛的な感じが拮抗する序奏。主題に入るとエネルギーが満ちて、覇気が迸る演奏。ファイの面目躍如。聴き慣れたメロディーですが、ファイによる斬新なメリハリで曲に生気が漲ります。1楽章の終わりの太鼓はなんと普通の遠雷タイプ。オケも乗っているのか1楽章は素晴しい充実ぶり。
2楽章は前曲同様さらりとした練らない入り。徐々にリズムがクッキリと浮かび上がり、木管によるテーマもかなり浮き立たせてクッキリとしたわかりやすい演奏。途中から副旋律を目立たせて今度はメロディーの絡みあうようすを強調するよう。このへんの細かい演出はファイならではでしょう。テンポや強弱などもずいぶん動かしていくので、こちらも集中力が途切れません。なかなか聴かせますね。展開部の怒濤の迫力と静寂の対比を繰り返して終盤に至るところは聴き応え十分。
前曲とは異なりメヌエットもキレてます。オケに力が漲り、フレーズのひとつひとつが弾みます。アクセントとレガートを巧みに使い分けて旋律を立体的に浮かび上がらせていきます。中間部のユーモラスな旋律もちょっと普通では思いつかない変わった演出。
フィナーレは敢えてレガートを効かせた抑えた入り。爆発を際立たせようということでしょうか。主題に入るとコラールのような荘厳さを思わせる演奏。この抑えた表現からぐぐぐっと沸き上がってくるようなオケの迫力は痛快。このフィナーレはまさにファイならではのユニークな演出。これは聴いていただかなくてはわかりませんね。擦るようにように奏でられる弦のモチーフのなかからオケの大音量が沸き上がってくる快感。独特の表情の効果抜群。最後は期待通り灰汁の強いクライマックスにもちこんで盛り上げます。

さてさて、毎度楽しみにしているファイのハイドンの交響曲シリーズですが、今回のアルバムは98番に太鼓連打という玄人好みの選曲。特に太鼓連打はファイがどう来るか特に楽しみにしていた曲です。アルバムのジャケット写真は譜面を見ながらヘッドフォンで録音をチェックしているようなファイの姿が写っていますが、その表情には若干迷いもありそうな印象。このアルバム、98番は1楽章こそ抜群のメリハリで入ったものの、以降にいつものファイの閃きが聴かれず、若干迷いを含んでいるよう。まさに98番のテイクを聴いている写真ではと邪推しています。一方太鼓連打はファイの面目躍如。冒頭の太鼓をどう鳴らすかというような野次馬的聴衆の感心を見事に裏切り、曲自体をファイにしかできない演出で聴かせてくるあたり、流石と言わざるを得ません。評価は98番を[++++]、太鼓連打は[+++++]とします。

シリーズを追いかけている方、今回ももちろん買いです(笑)

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tag : 交響曲98番 太鼓連打

【新着】コリン・デイヴィス/LSOのライヴ交響曲集(ハイドン)

久々に交響曲の新着アルバム。待望のアルバムですね。

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サー・コリン・デイヴィス(Sir Colin Davis)指揮のロンドン交響楽団の演奏によるハイドンの交響曲92番「オックスフォード」、93番、97番、98番、99番の演奏を収めたアルバム。収録は2010年から11年にかけて、ロンドンのバービカンセンターでのライヴ。収録日は各曲のレビューに記載しましょう。レーベルはご存知LSOの自主制作LSO Live。

コリン・デイヴィスはアムステルダム・コンセルトヘボウ管とザロモンセットなどをPHILIPSに録音したアルバムが有名ですが、CD化されたPHILIPS盤は音質が往時のLPのキレの良い響きの魅力まで届かず、私はLPの方を愛聴しています。コリン・デイヴィスのアルバムはいままで結構取りあげているんですね。

2013/04/21 : ハイドン以外のレビュー : 【番外】コリン・デイヴィス/アムステルダム・コンセルトヘボウの「春の祭典」
2013/04/19 : ハイドン–交響曲 : 【追悼】コリン・デイヴィスの88番、99番
2011/10/28 : ハイドン–交響曲 : コリン・デイヴィス/バイエルン放送響の「ロンドン」ライヴ
2011/08/19 : ハイドン–交響曲 : コリン・デイヴィス/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の熊、雌鶏
2011/08/13 : ハイドン–声楽曲 : 【お盆特番3】コリン・デイヴィス/バイエルン放送交響楽団のネルソンミサ
2011/06/16 : ハイドン–オラトリオ : コリン・デイヴィスの天地創造ライヴ-2
2011/06/14 : ハイドン–オラトリオ : コリン・デイヴィスの天地創造ライヴ-1
2010/07/17 : ハイドン–交響曲 : コリン・デイヴィスの時計ライブ

なんと、コリン・デイヴィスの略歴を今まで紹介してきませんでしたので、このアルバムを聴きながら、ちょっと調べてみました。生まれは1927年、イングランドのロンドンの南のサリー州のウェーブリッジ(Weybridge)。貧しい家だったようでピアノを買う事ができず、最初は安価に入手できたクラリネットを学びはじめ、ロンドンの王立音楽大学にすすみます。どうもあまりピアノが上手くなかったようで、指揮者になりたいと思う一方、大学では指揮を学ぶ事ができなかったそう。また一時兵役につき、近衛騎兵連隊のクラリネット奏者として働いていました。ウィンザーに駐留中、ビーチャムやブルーノ・ワルターのコンサートを何度も聴く機会に恵まれ、兵役を終えると、王立音楽大学のかつての生徒を集めてカルマー管弦楽団を立ち上げフリーランスで指揮活動をしていました。クラリネット奏者として働く一方、指揮者としての最初のチャンスは設立されたばかりのチェルシー歌劇場で「ドン・ジョヴァンニ」を振り、すぐにバレエ団の指揮者に就任しますが、3ヶ月で倒産してしまいました。ようやく1957年にBBCスコテッシュ管の副指揮者となり活躍し始めます。転機は1959年、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールで体調不良のクレンペラーに代わってドン・ジョヴァンニを振り、これが評判を呼んで有名になりました。また翌年にはグラインドボーンで今度はビーチャムの代役で「魔笛」を振りこれも成功。以後はサドラーズ・ウェルズ・オペラ、ロンドン交響楽団、BBC交響楽団などで活躍しました。1971年からはショルティの後任として、コヴェント・ガーデン王立歌劇場の首席指揮者に就任。その他、ボストン交響楽団の首席客演指揮者、バイエルン放送交響楽団首席指揮者、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団名誉指揮者、そして1995年にこのアルバムのオケであるロンドン交響楽団首席指揮者に就任。オケの自主制作レーベルであるLSO Liveからはかなりの数のアルバムがリリースされています。とくにティペット、シベリウス、ベルリオーズを得意としている人という印象。亡くなったのは昨年の2013年の4月、85歳ということでした。

ということで、このアルバムはデイヴィスが80歳を超えた最晩年の貴重なライヴ。ザロモンセットが揃わないのが惜しいところですが、選曲も実に渋いところを突いています。特に、97、98、99番を取り上げるところなど、ハイドンの真髄はここにありと言わんばかりの渋さ。

聴くとすべての邪心を捨て、虚心坦懐にオケを鳴らすまさに燻し銀のハイドン。もともとアポロン的構築感と中庸の美学を重んずるハイドンを聴かせていただけに、最晩年に至って、力が抜け、オケに身を任せながらハイドンの交響曲の面白さを描ききる素晴しい演奏です。録音もSACDらしい自然なリアリティに富んだ素晴しいもの。いや、以前聴いた天地創造がちょっと期待と異なる演奏だっただけに、これほどの演奏とは思いませんでした。曲ごとに聴き所を書いておきましょう。

Hob.I:92 / Symphony No.92 "Oxford" 「オックスフォード」 [G] (1789)
2011年10月2日、4日のライヴ。バービカンセンターに轟くオケの分厚い響きが痛快。音量を上げて聴くと、部屋がバービカンセンターになったような素晴しい迫力。会場のノイズや咳払い、拍手はカットされていますが、リアリティは失われていません。スピーカーから等身大のオケが吹き出してくるよう。デイヴィスのコントロールは極めてオーソドックス。奇を衒うようなところは皆無。1楽章は分厚いオケに圧倒されます。
アダージョに入っても大河の流れのように、滔々とした音楽の流れが印象的。時折デイヴィスの声らしき鼻声がうっすらと聴こえます。すこし穏やかになったと思いきや、中間部でオケが炸裂。またしてもオケの風圧を感じるような図太い響き。終盤になるに従って音が溶け合うようになり、長い間と木管の掛け合いの美しい響きにとろけそう。
メヌエットは予想どおり、グイグイとオケの迫力で聴かせます。楽章間のバランスのよい構成はデイヴィスなならでは。そして聴き所のフィナーレの入りは軽やか、すぐに怒濤のオケに飲み込まれます。オケのスロットルのコントロールが見事。フルオーケストラの分厚い響きと軽やかなヴァイオリンの音階を自在に切り替えながら、ハイドンの名旋律を落ち着いて聴かせます。リズム感の良さは流石デイヴィス。演奏スタイルどうこうを全く意識させない、正統派の堂々としたハイドンの名演奏。

Hob.I:93 / Symphony No.93 [D] (1791)
2011年12月11日、13日のライヴ。前曲とは別の日ですが、音響は非常に良くそろっています。分厚いLSOの響きはそのまま。威風堂々とした序奏にたじろぎます。主題に入ってもあまりに素晴しいオケの響きにのけぞらんばかり。正統派の演奏の魅力にただただ立ちすくみます。93番がこれほど力感に満ちて響くとは。キレは適度ながら、推進力とリズムの正確さは素晴しいものがあります。1楽章は均整のとれたギリシャ彫刻のごとく圧倒的な存在感。
ラルゴは独特の情感を醸し出しながら、やはりオケの迫力の素晴しさで聴かせます。抑えた表現のところでもそのうちオケの響きに飲み込まれる予感が緊張をはらみます。
メヌエットは畳み掛けるよう。次々と響きの波が襲いかかり、手に汗握る展開。そしてフィナーレは少し推進力をおとしてじっくりと攻める感じで入り、ところどころリズムに力が漲って、最後の盛り上がりへ向けてオケが空ぶかしで煽ります。最後は冷静に盛り上がってフィニッシュ。

Hob.I:97 / Symphony No.97 [C] (1792)
2010年5月6日、9日とこのアルバムでは一番古い日付。好きな97番。デイヴィスのこの演奏スタイルで聴かされるとあって、聴く前から身構えます。デイヴィスは1楽章の機知にあふれた曲想を相変わらず大局的な視点でグイグイ音にして行きます。前2曲にくらべて少し枯れて聴こえはするものの、オケの迫力は相変わらず。人間80歳を越えてこのような迫力に溢れた音楽を生み出せることに驚きます。アダージョ、メヌエットは前2曲同様、オケの迫力をベースにした上での自然な表現。フィナーレも最後に間をしっかりとってハイドンの仕込んだユーモアをきっちり描いて終わります。いやいや見事。

CDを入れ替えて2枚目。

Hob.I:98 / Symphony No.98 [B flat] (1792)
2011年12月4日、6日のライヴ。冒頭から力漲るサウンド。やはり前曲でちょっと枯れた印象があったのは録音の期日が古かったからでしょうか。この曲では響きは鮮明、デイヴィスのコントロールは手綱のテンションが少し下がって、オケに身を任せているようです。刻むリズムの迫力に徐々に打たれて行きます。コントロールはしなやかさを増し、実に柔らかい響きを造っています。このアルバムでもっとも自然体な演奏スタイル。1楽章終盤はすこしリズムが重く感じました。
アダージョははじめてぐっと沈み込みます。これまで中庸なリズムと大河のような流れの一貫性で聴かせてきたデイヴィスですが、この曲のアダージョに至って情が深くなり、音楽に陰りが見えまず。ほんの少しの違いですが、すこし感情移入の方にに振れてきました。
メヌエットに入っても力の抜け具合はいい感じ。フィナーレは意外に朴訥な感じで入ります。最後に鍵盤がコミカルに加わるイメージがあるので、そこここにその前振りがあり、このころの交響曲でも独特のユーモラスな曲調。デイヴィスも力が抜けてゆったりとコントロールしているよう。最後はリズムを強調して、珍しく誇張した表現。金管が一音とちりますが、気にせず終了。

Hob.I:99 / Symphony No.99 [E flat] (1793)
2011年5月28日、6月2日のライヴ。1楽章はこのアルバムでも一番踏み込んだ演奏。穏やかかに聴かせる演奏が多い曲ですが、リズムが活き活きとして快活。デイヴィスの棒が冴えているのがわかります。穏やかな曲なのに素晴しい高揚感と引き締まった響きにぐっと来ます。
アダージョに入るとオケの奏者のソロが絶妙なキレを聴かせ、絡み合うメロディーの綾に魅せられます。時折大波のように押し寄せる弦楽器の艶やかなこと。絶品。デイヴィスも唸ってます。中間部の展開の迫力はこのアルバム共通。
メヌエットはやはりスロットルコントロールによってオケが自在に吹き上がる快感に溢れたもの。ティンパニのリズムが冴え、ホールの空気を自在に揺らしている感じ。最後はかなり溜めてフィナーレの入りを引き立てます。
フィナーレはアルバムの最後にふさわしく神々しいばかりに堂々とした演奏。途中のコミカルなフレーズは抑え気味でオケの迫力を際立たせるのでしょうか。正統派のオケの魅力を振りまくような素晴しい迫力。最後は本当に怒濤の迫力で締めます。バービカンセンターに本当は鳴り響いたであろう拍手がカットされているのが惜しいところ。素晴しい演奏でした。

コリン・デイヴィスの亡くなる2年前の最晩年に手兵ロンドン交響楽団を振ったハイドンの交響曲5曲を収めたアルバム。夕暮れのビッグベンを写したジャケットの写真といい、ホールの雰囲気をそのまま伝える鮮明な録音といい、そしてライヴらしい活きた音楽の流れといい、ハイドンを聴くには絶好のアルバム。コリン・デイヴィスと言う人の生き様を音にしたような、素晴しいライヴでした。人は80歳を越えて、これほど純粋無垢な音楽を奏でられるものなのでしょうか。特に99番は絶品。フィナーレこそ岩のような堅牢さを聴かせたものの、デイヴィスが踏み込むようすがよくわかる演奏。そして冒頭のオックスフォード、93番も名演です。期待した97番、98番は他の3曲の素晴しさと比べるとちょっと差がついてしまうというのが正直なところ。オックスフォード、93番、99番を[+++++]、他2曲は[++++]ということにしておきましょう。

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オイゲン・ヨッフム/ベルリンフィルの88番、98番(ハイドン)

コンサートや桜見物に興じている間に、レビューから遠ざかっておりました。やはりレビューをこなしてこそ、当ブログの存在意義があるというもの。本日は名演奏家のアルバムですが、ちと変わったもの。

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オイゲン・ヨッフム(Eugene Jochum)指揮のベルリンフィル(Berliner Philharmoniker)の演奏で、ハイドンの交響曲88番、98番を収めたLP。収録の情報はLP自体に記載はありませんが、この演奏を収めているCDのザロモンセットの情報を見ると88番は1961年10月、98番は1962年5月の収録であることがわかります。レーベルはDeutsche Grammophoneです。

CD盤のザロモンセットは手元にあるのですが、このベルリンフィルとの演奏を含まない4枚組のものですが、現行盤はボックスセットの5枚組で、今日取り上げる演奏もオマケのように含まれています。

さて、ヨッフムのハイドンですが、あらためて調べてみると、かなりの回数取りあげていることがわかりました。書いている本人はそれほど取りあげた記憶がないのですが、、、(笑)

2013/07/12 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送響の91番、太鼓連打
2012/03/20 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/ウィーン響の驚愕、95番ライヴ
2012/01/25 : ハイドン–声楽曲 : オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送響のチェチーリア・ミサ
2011/12/30 : ハイドン–交響曲 : 【600記事記念】オイゲン・ヨッフム/ロンドンフィルの「ロンドン」
2011/09/22 : ハイドン–オラトリオ : オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送交響楽団の天地創造ライヴ-2
2011/09/20 : ハイドン–オラトリオ : オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送交響楽団の天地創造ライヴ
2011/06/07 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/ロンドンフィルの93番
2011/05/28 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/ドレスデン・シュターツカペレの93番
2010/12/29 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/ロンドン・フィルの軍隊、時計ライヴ
2010/09/02 : ハイドン–協奏曲 : フルニエ/ヨッフムのチェロ協奏曲
2010/08/05 : ハイドン以外のレビュー : ヨッフム/バンベルク響のモーツァルト後期交響曲

ヨッフムのハイドンのザロモンセットはある意味定番とされている録音です。軽やかに吹き上がるタイトな名演盤なんですが、その影にかくれて、いろいろな録音があり、先日取りあげたバイエルン放送響との91番、太鼓連打などやドレスデン・シュターツカペレとの録音、ライヴなどがあり、スタイルは一貫しているものの、演奏の出来はいろいろ。ツボにはまった演奏の素晴しさは格別なものがあります。

今日取り上げる、1960年代初頭の演奏は、数あるヨッフムの演奏の中でも、指折りの一枚です。当時のLPからは若きヨッフムのキレキレの音楽が吹き出してきました。

Hob.I:88 / Symphony No.88 "Letter V" 「V字」 [G] (1787?)
冒頭からベルリンフィルらしい、低音弦の力強い響きが印象的。ヨッフムらしい折り目正しい端正なコントロールの序奏。そして軽やかに主題に入りますが、ベルリンフィルらしく弦楽器の切れ込むようなタイトなボウイングが素晴しい緊張感を感じさせます。インテンポで攻め込む弦楽パートのせめぎ合いがスリリング。録音はかなり直接音重視ですが、エコー成分ががかなりあり、ダイレクトなのに潤いを感じる不思議な響き。
バーンスタインの演奏では脂っこさを感じさせる2楽章ですが、ヨッフムのコントロールはまさに端正。ゆったりとしすぎず、適度にリラックスした奏者がアンサンブルを楽しんでいるよう。中盤の盛り上がりも力まず、オケを素直に鳴らし、反響を楽しむようです。ふたたびリラックスしたメロディーラインが戻り、至福のひととき。
意外にメヌエットが練ります。ゆったりと溜めをつくってオケを巧みにコントロール。なんとなく今まで知るヨッフムの印象と異なるので新鮮な感じ。中間部のトルコ風のメロディーの演出の巧みなことに驚きます。何気ないメロディーを実にニュアンス豊かに奏で、音楽が踊るよう。
まったく間を置かずフィナーレに突入。小気味好くメロディーが弾み、めくるめくような変化に富んだ音楽。徐々にヴァイオリンが畳み掛けはじめ、ベルリンフィルの表現意欲のスイッチが入りました。ヨッフムの変化に富んだ棒が活き活きと弾む音楽を繰り出し、音楽は最高潮に上り詰めます。これほどの面白さとは予想だにしなかった陶酔。これはハイドンに聴かせてあげたい、空前絶後の面白さ。いやいや参りました。

Hob.I:98 / Symphony No.98 [B flat] (1792)
LPをひっくり返して、今度は98番。88番と98番とは実に渋い選曲です。序奏から機敏な展開。タイトに響き渡る音楽が心地よい展開。緩急自在とはこのことのように、時に速めのテンポで畳み掛けます。音楽を冷静に捉えると、変化と機知が織りなす感興が極まる素晴しい演奏。そこここで引き締まった音楽が感じられるタイトな進行。
つづくアダージョは凛々しさを保ちながら、ベルリンフィルの演奏とわかる緊張感溢れる音楽が流れます。ゆったりとしきらない音楽。
メヌエットもフレージングの面白さはつづき、CDとはひと味違うダイレクトな感興がスピーカーから流れ出します。クッキリと浮かび上がるメロディーライン。すこし力を抜いたり、輝かしいフレーズを聴かせたりと、ヨッフムのコントロールは自在。オケがそれについていっているので、音楽は一貫して引き締まっています。
前曲同様やはり間を置かずにフィナーレに入ります。ハイドンが書いた音楽はこれほど面白いものと誇示するようなヨッフムのコントロール。録音の鮮度が高いので、まさにそこで演奏しているような緊張感。ベルリンフィルも自然にヨッフムの棒についていきます。LPから流れ出す音楽はまさにヨッフムが楽譜から読みとった機知をそのままあらわすよう。音楽は鮮度を失わず、ソロのヴァイオリンとオケの掛け合いも気合いを失いません。この交響曲独特の展開を楽しむような余裕たっぷりの展開。最後はコミカルな展開を織り交ぜていきますが、チェンバロのソロの聴かせどころの演出の巧みさを印象づけて終わります。

今まで抱いていたヨッフムのハイドンのイメージよりもかなり踏み込んだ演奏。速めのテンポで畳み掛けるだけの演奏ではなく、かなり曲の真髄にせまるタイトなコントロールが聴き所の演奏でした。ロンドンフィルとのザロモンセットの演奏よりも緊張感は数倍上の素晴しい演奏と言っていいでしょう。上のリンク先のボックスセットをお持ちでない方は買い直す価値ありです。評価は両曲とも[+++++]とします。この演奏、両曲ともにそれぞれの曲のベストな演奏と言ってもいい出来です。ブラヴォー!

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クラウディオ・アバドの98番、軍隊

仕事やら飲み会やらでちょっと間があいてしまいました。今日は大御所アバドのハイドンを久しぶりに聴き直しました。

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クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)指揮のヨーロッパ室内管弦楽団の演奏で、ハイドンの「月の世界」序曲、交響曲98番、交響曲100番「軍隊」の3曲を収めたアルバム。収録は軍隊が1992年2月、序曲と98番が1993年6月、イタリア、フェラーラのテアトロ・コムナーレでの録音。序曲と98番はライヴです。

このアルバム、1枚ものとしてはずっと前に廃盤になっていましたが、何と来月、国内盤で再発売されるようです。HMV ONLINEのリンク先は再発売盤です。amazonの方は中古ですが、12万少しと恐ろしい値段がついています。CD1枚に出せる値段ではありませんね。今入手するなら、アバドのハイドンの交響曲の録音4枚をまとめたこちらでしょう。

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アバドのハイドンは今まで2度ほど取りあげています。

2012/04/30 : ハイドン–協奏曲 : アドルフ・ハーセス/アバド/シカゴ響のトランペット協奏曲
2010/02/11 : ハイドン–交響曲 : アバドの「奇跡」

交響曲についてはブログをはじめたばかりの頃に奇跡を中心に取りあげていますが、そのころは、かなり大雑把な取りあげ方だったので、そろそろ再度取りあげなくてはと思っていたところ。

アバドといえば大オーケストラを緻密に操り、もの凄い精度で大曲をコントロールしていく人。情に溺れず透明な音楽をつくっていき、イタリア人ならではメロディーラインの自然な美しさを描いていきます。そのぶん直接的な感情表出は抑え気味なので、カルロス・クライバーの燃えたぎる火の玉のような音楽のわかりやすさはありませんが、音楽の構造をくっきり浮かび上がらせ、感情ではなく理性に響くようなところがありますね。最近では神憑ったような恐ろしい精度の演奏も多く、私の好きな指揮者の一人です。

もちろんハイドンの録音は非常に少なく、これまで取りあげたものの他にはほとんどないと思います。最近はモーツァルトを結構取りあげており、もしかしたらハイドンも新録音が期待できるかもしれませんね。

最近のお気に入りはルツェルン祝祭管とのマーラーの交響曲でしょうか。とりわけ3番の映像がお気に入り。特に長大な1楽章のしなやかな構築感とイタリア人らしい伸び伸びとしたメロディーラインの表情から、マーラーの描いた巨大な交響曲が、大河の流れのような滔々とした音楽となり、緻密なのに恐ろしく自然な表情が続く見事な出来映え。極度の緊張感にホール中が静まり返る奇跡のコンサートの様子が楽しめます。あとはロッシーニの「ランスへの旅」。アバドにしては非常にノリのいいライブで、次から次へとアリアが襲ってくる、まさにアリアの洪水のような名演奏です。

さて、久々に聴くアバドのハイドン。

Hob.XXVIII:7 / "Il mondo della luna" 「月の世界」序曲 (1777)
歌劇「月の世界」は1777年、エステルハージ侯爵の次男、ニコラウス・エステルハージ二世とマリア・アンナ・フランツィスカ・フォン・ヴァイセンヴォルフ伯爵令嬢の結婚祝賀に上演されたもので、この序曲は交響曲63番「ラ・ロクスラーヌ」の1楽章に転用されました。ハイドンらしい晴朗快活なメロディーの序曲。アバドのハイドンは基本的に鮮やかなキレ重視。ヨーロッパ室内管はウィーンフィルのようなとろける響きではなく、ちょっと粗い響きで、ヴィブラートは控え目。アバドらしいあっさりとした透明感を帯びながら、各パートそれぞれのリズムがピタリと合って、キビキビとした雰囲気が良く出ています。曲自体が快活な雰囲気をもっているので、アバドも演奏を楽しんでいるような感じ。独特の透明感が演奏に気品を与えているよう。

Hob.I:98 / Symphony No.98 [B flat] (1792)
98番は間の取り方が印象的な入り。ハイドンではあっても弱音の緻密なコントロールとほんのりと明るさを帯びたメロディーラインの表現にアバドらしさを感じます。低音弦のキレのいい存在感をベースに、コミカルな98番の1楽章の語り口の面白さを上手く表現していきます。97番、98番あたりのこうした面白さはハイドンの音楽の聴き所の一つです。
秀逸なのが2楽章のアダージョ・カンタービレ。アバドの緻密なコントロールでハイドンの美しいメロディーがクッキリと浮かび上がります。磨き抜かれたメロディーのコントロールはハイドンなのにマーラーの演奏のようなしっとりとした透明感溢れる美しさを帯びていきます。やはり弦のコントロールは素晴しいですね。
そしてメヌエットは弦の反応の良さを楽しむような素晴しいキレ味を聴かせます。中間部の愉悦感も余裕たっぷりで、キレのいい弦楽器と木管楽器のしっとりとした響きの対比が見事。さっぱりとした余韻にアバドらしさが良く出ています。
フィナーレはアクセントをカッチリつけて、キレのいいオケの響きがさらにクッキリとします。軽やかなメロディとオケの鋭いアタックが織りなす感興。音量ではなくキレで聴かせる迫力。恐ろしく俊敏なオケ。最後のハープシコードのソロのキレも見事でした。ライヴですが拍手は収録されていません。

Hob.I:100 / Symphony No.100 "Military" 「軍隊」 [G] (1793/4)
序奏のあっさりと媚びないフレージングがアバドならでは。オーケストラの迫力で聴かせる演奏が多い中、前曲同様、抜群のオケのキレと透明感で聴かせるアバドならではのアプローチ。軍隊のメロディーがこれほど透明にクッキリと浮かび上がるとは。重厚感は一切感じさせず、むしろ軽やかに聴こえるのが不思議なほど。良く聴くと弦楽器のメロディーラインはかなりはっきりとアクセントがつけられ、また低音弦やティンパニは明らかに抑え気味で、意図して軽やかにしてるのがわかります。軍隊という曲から、迫力ではなく緻密な構成とメロディーの美しさにスポットライトを当てた演奏。
2楽章も同様に重厚な音楽をあっさりさっぱり仕上げようというアバドの意図が感じられます。有名な打楽器炸裂の部分もグランカッサも抑えて鳴らされるなど、鳴りものも抑え気味で、曲をクッキリ描こうとしているのがわかります。この辺は迫力を期待して聴くと肩すかしを食うほどの抑え方。
メヌエットは98番ほど対比を印象づけず、流れの良いもの。やはり2楽章と終楽章が聴き所との判断から流しているように聴こえます。
フィナーレはやはりオケの俊敏な反応が見事。鮮やかなオケの反応が痛快。あまりにキレが良すぎて重厚感は一切なく最後の一音は風圧がすっとふきぬけるよう。さっぱりとした余韻の残る軽やかな軍隊でした。

久しぶりに取り出して聴いたアバドのハイドン、やはりアバドのハイドンの交響曲を鮮やかに料理する手腕は見事でした。他の指揮者とはアプローチが異なります。ハイドンの交響曲を俊敏なオケで軽やかに仕上げたキレ味鋭い剃刀のような演奏。今回98番の素晴しさにあらためて気づかされました。軍隊もアバドならではの素晴しい演奏ですが、曲中に書いたように、聴き方によっては肩すかしをくらうような演奏でもあります。評価はあらためて前曲[+++++]とします。

今回記事を書くのに調べていたら、アバドとルツェルン祝祭管のマーラーの1番から7番のBlu-rayがまとめて非常に安い値段で出ていますね。(HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS) ん~、どうしよう(笑)

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【新着】シャルル・ミュンシュ/ボストン響の98番ライヴDVD

今日は昨日HMV ONLINEから到着したばかりのDVD。

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シャルル・ミュンシュ(Charles Munch)指揮のボストン交響楽団の演奏で、ハイドンの交響曲98番とブルックナーの交響曲7番の2曲を収めたDVD。収録は1960年10月18日、マサチューセッツ州ケンブリッジのハーヴァード大学サンダース劇場でのライヴ。もちろん映像は白黒です。レーベルはica CLASSICSというはじめて買うレーベル。

ミュンシュといえば爆演を期待してしまいますので、このアルバムも発売されると知ったときにすぐ注文。待ちに待った入荷です。爆演に打たれる準備をして、DVDをレコーダーにセット。いや、そわそわしますね。

交響曲98番(Hob.I:98)1792年作曲
かなりレトロなフォーカスの甘い映像。黒が浮いてきていますので映像の保存状態は今ひとつでしょう。ただ、迫力と緊張感は伝わります。拍手とともにミュンシュが登場、今となっては誰も使ってはいないような超ロングな指揮棒をやおら振り下ろして序奏が始まります。指揮棒は50センチはありそうです。非常に低速な序奏の入り。さらに音量とテンポを落として尋常ならざる雰囲気に。序奏だけでも劇画タッチ。ゆったりと主題のメロディーに入り、聴き慣れたところでミュンシュ独特の小節を効かせた大迫力のメロディーに。オーケストラのメンバーはプロらしく無表情に演奏していますが、音響は大迫力の気迫を帯びてきます。ミュンシュの指揮は長い指揮棒をキレよく振り回してアクセントをかなり強調するようコントロール。1楽章の途上ではザクザクとした推進力が素晴らしい迫力。抑えた部分の指揮姿が非常にダンディ。譜面台の楽譜を鋭く見ながら的確に各楽器に指示を出していきます。オケは背筋ピーンのまま弓の長さをフルに使ったボウイングで迫力の音響を構築。1楽章の最後は覚醒した爆発といった趣です。

2楽章のアダージョ。抑えの効かせ方が巧く、非常にハイセンスな感じの始まり方。息の長いフレーズを巧く使ってメロディーの美しさを引き出しています。徐々に起伏の幅を広げますが、力で押し通すようなところはなく、あくまでジェントル。この辺りの演出は流石です。十分に余裕のあるコントロールで懐の深さを見せつけます。

3楽章のメヌエットは再び長い指揮棒をしならせて、きっちりアクセントを効かせたフレージング。ヴァイオリン奏者はみな機械仕掛けのような正確無比なボウイング。途中のフレーズはあえて少しテンポを落として、ゆったり感を演出。

フィナーレも普通のテンポで入りますが、最初は余裕ある冷静な演奏ながら、ミュンシュのあおりに応じてオーケストラから青い炎が見え始めます。おそらくオケ全員の神経がどこで爆発するかの指示を待っているかのような模様眺め感。徐々にオケも伸びやかになり、ミュンシュの動きに敏感になり、びしっと線のそろった節回しで応えます。終盤はチェンバロではなくソロヴァイオリンが特徴的なメロディーを奏で、最後の盛り上がりにむけて力が入ります。最後は今度も冷静に爆発。フライング気味の興奮した聴衆の拍手に包まれ、ミュンシュも満足そうに退場します。

映像も音も古いものの、貴重なミュンシュの指揮姿の映像と、これも貴重なミュンシュのハイドンの演奏。ミュンシュらしい爆演でもありますが、今回はターボ半狂乱スイッチが入らず、というかハイドンは冷静にコントロールする曲とわきまえた範囲での爆発感ある演奏なんだと思います。評価はちょっと期待しすぎたというのも正直なところ故、[++++]としたいと思います。あくまで冷静な、しかしただでは済まないないミュンシュの片鱗も垣間見せる演奏というところでしょう。

今回到着したHMV ONLINEの荷物には他にも未聴盤がいくつか。先日指摘いただいたフルトヴェングラーの94番驚愕を含むセットもようやく手に入れました。こちらはまた週末にでも紹介することといたしましょう。

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【新着】バーンスタイン/NYPの97番、98番DVD

今日はもう1枚いきます。

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レナード・バーンスタイン指揮のニューヨークフィルの演奏で、ハイドンの交響曲97番、98番の演奏。1975年エイヴァリー・フィッシャーホールでの収録のDVDです。DVDはドリームライフレーベル。

ご存知のとおり、私はいまひとつバーンスタインのハイドンのアルバムは今ひとつ評価しきれない印象をもってます。ヨーロッパの伝統に対し、バーンスタインの演奏から醸し出されるアメリカンな雰囲気にちょとしたアレルギーがあるのが正直なところ。

ところが、このDVDを見て、軌道修正です。古い映像ですが、そこから聴こえてくる音楽はタイトで引き締まったものでした。このDVDの演奏はいいです。

最初は97番。少人数に絞られたニューヨークフィルのメンバー。1楽章は中庸なテンポながら、バーンスタインの自在なタクトのコントロールに従い、いきなり引き締まった主題を演奏。ただならぬ殺気です。油っこくもなく、表情が濃すぎることもありません。映像を見ると客席に観客はいないため、映像収録目的のセッションでしょう。切れの良い旋律が奏でられていきます。ノリノリのバーンスタインの指揮とは対照的にオケはタクトの指示に従い淡々とした進行。ただし表現の幅は非常に大きく、しかも集中力も素晴らしいものがあります。1楽章を聴くだけでただならない迫力を感じます。後半の展開部の迫力も素晴らしいものがあります。ニューヨークフィルの全盛期のエネルギーが直接放射されるような素晴らしい力感。最後は古典の矜持を守るような素晴らしい感興。
2楽章のアダージョは、素晴らしい表現の深さを感じさせますが、演奏は極めてオーソドックス。この演奏でニューヨークフィルの実力が浮き彫りに。途中から増す迫力。素晴らしい力感。オケは微動だにしない平常心で素晴らしい感情の起伏を演出。プロですね。なにげに巧いのがティンパニ。バーンスタインの表情豊かな指揮にあわせて、オケのメリハリを明確につけていきます。
3楽章のメヌエットは入りから大迫力。やはりヨーロッパの伝統というよりは、純粋に楽譜をバーンスタイン流にホールに再現というニュアンス。素晴らしい迫力の演奏。度肝を抜かれるとはこのことでしょう。ハイドンのメヌエットがバーンスタインの解釈によって大音響で降誕した感じ。
フィナーレは素晴らしい推進力。観客のいないホールにニューヨークフィルのオケの大音響が響き渡ります。次の98番は観客入りの演奏ですが、観客の有無でライヴ感もだいぶ変わります。こちらはオケがホールの隅々まで響き渡る快感を感じられます。オケの力感も素晴らしいものがあり、ノリは最高潮。フィナーレは興奮の坩堝と化します。流石はバーンスタイン、オケをならすという意味では突き抜けた演奏です。

続く98番。97番は非常にオーソドックスな演奏だったんですが、98番は違います。1楽章の主題からギアを下げて超低速テンポになります。ビックリするようなじっくりさですが、それほど違和感はありません。バーンスタインは核心をつくような恍惚の表情で何事もなかったように進めます。それにしてもオケの一人一人は巧いですね。ニューヨークフィルの全盛期の素晴らしいアンサンブルですね。1楽章は落としたテンポで通します。ダイナミックレンジは振り切れんばかりで、テンポ以外は素晴らしいノリの演奏。ちょっと気になるのはオケのメンバーが指揮者をほとんど見ていないこと。バーンスタインの身振りが視線を合わさなくても伝わるほど大きいためか、はたまたオケと指揮者の関係の微妙さを物語るものかは解りません。
2楽章のアダージョ。2楽章はふつうのテンポに戻り、違和感はなくなります。呼吸の深さは素晴らしいものがあります。相変わらす表現の幅が大きくニューヨークフィルのメンバーの深いフレージングは圧倒的な迫力。途中チェロのソロが入る部分の映像がありますが、これぞ至福の瞬間という絶妙のタイミング。やはりバーンスタインの全身全霊を傾けたフレージングは素晴らしいものがありますね。この楽章は聴き所ですね。
3楽章のメヌエットは、大迫力の音響。出だしのバーンスタインのバックスイングに反応してオケも素晴らしい演奏。テンポはゆったり気味ですが、濃い演出。バーンスタインがタクトを振り下ろすたびにオケがフルスロットルに。溜めも迫力も素晴らしいんですが、ちょっとくどい印象も否めません。途中からタクトを持たない手で指揮をする変化は流石バーンスタイン、見せ場を作ります。
フィナーレは、軽い雰囲気で入りますが、次第にオケがかぶさって重厚な音響に。この楽章はフィナーレにしては長く8分以上の曲。バーンスタインは踊るように恍惚の表情。途中の転調からは表情の変化を付けますがすぐにオケの力感漲る強音に飲み込まれるよう。フィナーレの盛り上がりはエィヴァリー・フィッシャーホール中に轟かんばかりの大音響。最後はチェンバロの繊細な音色が心にしみる隙もなく、大音響で締めくくります。98番は観客がおり拍手喝采で終わります。

評価は97番が[+++++]、98番は[++++]というところです。97番の意外にもオーソドックスながらバーンスタイン節が良い方向に働いた演奏と、98番のちょっとくどくなってしまった演奏という評価。いずれにしてもバーンスタイン全盛期のニューヨークフィルとの貴重な映像の記録であることは間違いありません。

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新着! コープマンの97、98番

昨日HMV ONLINEからついたばかりのアルバムの1枚。

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トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック管弦楽団の演奏によるハイドンの交響曲98番、97番。2009年9月、アムステルダムでのセッション録音のようです。交響曲の録音はかなり久しぶりで、今回はザロモンセットの第1巻との表記ですので12曲の録音を目指したものでしょう。レーベルはこれまでのERATOレーベルではなくCHALLENGE CLASSICSというレーベル。

コープマンのハイドンの録音は、交響曲はパリセットから3曲と疾風怒濤期の3曲の6曲が知られていますが、何れも1980年代、90年代の録音。他にオルガン協奏曲、ピアノ協奏曲などの録音がありますが、新しいものでも94年の録音。ハイドン自体の録音が相当久しぶりということになります。

私がコープマンの指揮する演奏で印象に残っているのはモーツァルトのディヴェルティメントK.136、137、138、251のセットを収めた1枚。なんという繊細な響きのコントロール。流麗なK.136のメロディーを他の演奏とは全く違う音響で表現。弦の一音一音の出だしの角をすべて滑らかに丸く削ったような不思議な表現ですが、その表現が古楽器の繊細な音色と、非常にきめ細かい音量コントロールと相俟って、磨き抜かれた絶妙なモーツァルトの響きを再現しています。このアルバムに代表されるような繊細な響きというか色彩感豊かな古楽器の響きがコープマンの一番の特徴でしょう。あとはモーツァルトの交響曲21番、23番、24番、27番を収めたアルバム。特に23番の響きの素晴しさ、流れるような構成は息を飲まんばかりのもの。以前その指揮姿をダンパーの緩んだ車のようだとふれました(ノセダの太鼓連打)が(笑)、どっこい生み出す音楽はすばらしいものがあります。

モーツァルトの特に初期の作品の演奏では素晴しい演奏をしていたコープマンですが、これまでのハイドンの交響曲の録音ではその繊細な響きはそのままに、ほの暗いハイドンの音楽をじっくり表現しています。流麗、華麗さの表現においては一際鮮烈な印象を残したものの、ハイドンにおけるコープマンの表現はオーソドックスな範囲に聴こえてしまっていたのが正直なところ。果たしておよそ20年を経過して録音した新たなこのアルバムは如何なる演奏でしょうか。

まず98番から。冒頭の響きはある意味コープマンらしい柔らかい響きの特徴が薄れ、むしろダイナミックな印象。録音の関係か、色彩感よりもダイナミクスに特徴を感じます。弦の音色が以前に比べ響きよりも直接音の主体に。コープマンらしいところはオーソドックスなリズム感とフレージング。オケの各奏者は人数の少ない小編成だけに一人一人の音がよく聴こえ、テクニックも素晴しいもの。以前の録音としての響きの美しさではなく、まさに録音会場にいるような音響が時代の流れを感じさせます。
聴き所は2楽章と終楽章でしょうか。2楽章はあっさりした表現ながら、コープマン流のフレーズコントロールが行き渡り、端正な中にも叙情性を感じさせる表現。終楽章は弦と金管のアクセントのメリハリをつけながら複雑な音符を巧くまとめ、最後はコープマン自身のハープシコードを交えてスケール大きなフィニッシュ。

続いて97番。冒頭から迫力あるオーケストラ。曲調からから97番のほうが流れがいい感じです。コープマンの良さがオケの響きを生かした曲のほうが合っている感じです。途中の木管の響きが非常に美しい。こうした各楽器とマスとしてのオーケストラの掛け合いが97番の聴きどころですが、対比は抜群。ただし、強奏部分のオケがちょっと重い印象もあります。1楽章最後の部分でのティンパニがどすっと来る独特の音色でいい感じです。
2楽章は弱音の美しさが際立ついい演奏。コープマンのアダージョは、さっぱりした叙情性がいいですね。相変わらず木管の音色も美しくほれぼれします。3楽章が速くてビックリ。流れるようなメヌエット。そして終楽章も比較的速めのテンポで入りリズムのエッジを段々に立てていき、最後はオーケストラの各楽器の響きの競演に。どちらかというと98番のほうがいい出来と感じました。

ザロモンセットをリリースするのに最もマイナーな97番、98番から始めるあたり、コープマンやレーベルの意図はどこにあるのか判然としませんが、おそらくいろいろな演奏の刷り込みが少ない曲から、最新のコープマンの純粋無垢な響きを印象づけるという狙いかもしれません。1枚目の出来は今後のリリースの売上げをおそらく大きく左右することになるでしょうから、重要のものかと思います。

総じて、以前のコープマンのスタイルと、最近の現代楽器による古楽器演奏の成果を取り入れた演奏の中間のような演奏というとわかりやすいでしょうか。コープマンらしい特徴が少し薄まってしまい、ハイドンの交響曲の演奏としての踏み込みという点でも、もう一歩踏み込んでほしいという印象を残しました。当ブログの評価は両曲とも[++++]としました。

ちなみに、今後のリリースはおそらくすべて手に入れるのが当ブログの責務でありますので、続くリリースもその度にレビューしていきたいと思います。コープマンは注目するアーティストですので。

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フリッチャイ、ケルン放送響の交響曲

しばらく天地創造漬けだったので、ヒストリカルな交響曲を。
auditeからリリースされているフリッチャイのハイドンの交響曲録音をとりあげましょう。

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フリッチャイのハイドンはグラモフォンから44番悲しみ、95番、98番、100番軍隊、101番時計がベルリンリアス交響楽団よりリリースされていますが、これは録音時期もほぼ同じ、1952年、53年の録音で、オケはケルン放送響です。

曲目は44番悲しみと98番。
44番は録音多少弦が荒めなものの、ヒストリカル特有のノスタルジー溢れる曲想。ゆったりと入り、テンポもかなりゆったり目。最近のきびきびした演奏とはまったく異なるじっくりとした演奏。ただしそれだけではなくフレーズの表情付けが旨くメランコリックな曲想が引き立ちます。悲しみにはこうゆう演奏も有りだと思います。

98番は録音の鮮度が俄然あがり、切れのあるテンションの高い演奏。ヒストリカルな録音特有な、若干デッドな感じの音質で切れのいい高音減とちょっと固めの木管の響きが特徴的な音色。1楽章は一気に聴かせます。2楽章の深い呼吸が曲のコントラストを明確にしていきます。そして大胆な切り込みが印象的な3楽章、そして速すぎず力みすぎない終楽章。チェンバロとの掛け合いの妙も安心して楽しめます。最後はフレーズのメリハリを強調して印象的なフィニッシュ。
98番は名演奏ですね。
98番の名演奏は、不思議と力が入りすぎない余裕がある演奏が多いように感じます。

Wikipedia : フリッチャイ

フリッチャイは1914年生まれですが、1963年に48歳の若さで白血病で亡くなっています。
ハイドンの交響曲はある意味オーソドックスな演目ですが、ハイドンをうまく聴かせる音楽性はなかなか高度なもの。フリッチャイも才能あふれる指揮者だったことがよくわかりますが、指揮者としてはあまりにも若すぎる死というほかありません。もうすこし長生きしていたら、もうすこし良い音質のすばらしいハイドンが聴けたことでしょう。

録音から60年近くたった今、もう2度と得られないものと知りつつ、頭のなかでメロディーは鳴り響きます。

風呂でもはいりますかな。

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レイモン・レッパードのハイドン

いつもながら平日はドタバタしてなかなか更新できませんでした。
今週は会社帰りに渋谷のレコファンにおそらく10年ぶりくらいで立ち寄ってみました。
最近、国立や新宿のディスクユニオン、府中のポポロなど、中古屋さんで思わぬ見っけものに立続けに出会い、中古屋さんもなかなかいいものだなと再認識。

今回のめっけもんはレイモン・レッパードのハイドンの交響曲集。
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昔懐かしいエラートのBonsai(盆栽)シリーズですが2枚組なのでDuo Bonsaiシリーズです。
単純にコレクションにない盤なので入手した訳ですが、これが味わい深い佳演ですね。

曲目は94番驚愕、98番、101番時計、104番ロンドンの4曲で、録音は1982年から83年にかけて。スタジオ録音です。基本的にはテイトに近い、現代楽器によるオーソドックスな演奏。テンポもフレージングも至って常識的な演奏で、それだけだったら普通の演奏ですが、弦のコントロールが行き届いていていて、ちょっとしたフレーズのメリハリがとても小気味よくまとまってます。どの曲もムラのない仕上がり。特に良かったのは驚愕の2楽章のビックリ以外の部分やアダージョ楽章。

レイモン・レッパードはロンドン生まれのイギリスの鍵盤楽器奏者、指揮者。

Wikipedia:Raymond Leppard

名前はあちこちで見かけるのでよく知られたひとですが、あんまりちゃんと聴いたことがありませんでした。CDもそれなりにリリースされていますので、実力もそこそこ、いわゆる職人タイプの指揮者なんでしょうか。
こうゆう指揮者のさりげない実力溢れた演奏はいいですね。飾らず堅実に音楽を奏でている素朴さがとてもいいです。

学生時代にヨーロッパ旅行に行ったときに、今はニューイヤーコンサートに登場して超メジャーになってしまった、ジョルジュ・プレートルの指揮で、ムジークフェラインのウィーン響でベートーベンの4番、7番を聴いて、当時全く知らなかった職人指揮者プレートルが奏でる豊穣なベートーベンにいたく感動したものでした。ケルンではもう亡くなってしまった、ジョン・プリッチャードの指揮でヴォツェックの暗澹たる迫力を堪能。アルバムが世界に流通するようなメジャーな指揮者の個性的な名演もいいですが、こうゆう職人指揮者の手堅い仕事も実にいいものです。

さてさて、渋谷のレコファンは渋谷のBEAMという超バブルな建物の中にあります。

渋谷BEAM

設計は当時前衛としてならしたワークショップ。データによれば1992年竣工。バブル絶頂期ですね。久々の訪問の印象ですが、宴のあとの空虚感が満ちあふれてました。建築表現としてのコンセプトから、全体像としては廃墟に近い雰囲気がただよってます。今の渋谷のこのあたり(宇田川町周辺)は人通りは多いものの、雑然とした雰囲気が満ちあふれ、街の魅力が落ちてしまっているようです。昔はスペイン坂、パルコ、シネマライズ(北河原温設計)SEEDなど新しい魅力のある施設が点在するラビリンスのような魅力がありましたが、そのような街としての魅力はかなり衰退してしまいました。BEAMもチェーン店がいろいろ入ってますが、ただの雑居ビルというテナント構成で、1階のテナントのシャッターが閉まっていたり、ビラが乱雑に貼られていたり、あか抜けたテナントビルという趣はありません。これも時代の流れでしょうか。

繁華街の街の魅力という意味では日本はもっとも無策で、こういったことも国の国際競争力低下の一断片を象徴しているように感じられます。

レコファンですが、肝心のショップとしてはあまりクラシック目当ての人が多そうでないゆえ、掘り出し物に出会える期待もありますかな。また、たまに寄って見たいとおもいます。
レッパードの交響曲以外にもいくつか仕入れましたので、この週末にリストに登録したいと思います。

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tag : 驚愕 交響曲98番 時計 ロンドン 建築

古楽器新世代、弾む機知

昨日到着をおしらせしたミンコフスキのハイドン、まずははDisc1と2の前半6曲を聴いています。

ミンコフスキのハイドンの特徴はなんといってもこれまでの古楽器での演奏とは逆のベクトルの動的な曲想表現にあると思います。
傾向としては、コープマンやノリントンに近いのかもしれません。ただし、コープマンの動的な演奏には流麗というか美しく響かせようとする秩序を感じさせ、ノリントンの動的な部分の根底には奇抜な発想と既成概念の破壊のような意図を感じさせるのに対し、ミンコフスキの方は純粋に弾むエネルギーの表現を志向し、ハイドンの機知を即興性で表現しようとする方向性の違いがあります。

このような演奏スタイルがライヴで非常に評判がいいことにつながっているよのでしょう。実際、このアルバムでも、奇跡や95番のフィナーレの盛り上がりはなかなかの盛り上がり具合で、フィニッシュまでのスペクタクルが楽しめます。
逆に、アダージョ楽章は意外とあっさりとした表現で、もしかしたら、もうすこしゆったりと演奏することでハイドンの曲のメリハリをもう少し生かせるんじゃないかと思う部分もあります。

オケの音響は録音の影響もあるかもしれませんが、低音弦が強いようで、怒濤のごとく畳み掛けるような部分はブリュッヘンに近いかもしれません。

前半6曲での私のおすすめは、96番奇跡、95番、98番といったところでしょうか。
ネット等であまり評判のよろしくない、驚愕の2楽章びっくりの部分は、むしろ悪い印象はなく、許される遊びというような印象です。

明日は、後半6曲を。
こちらも話題のドラムロールは如何に!

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プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2016年9月のデータ(2016年9月30日)
登録曲数:1,361曲(前月比+3曲) 登録演奏数:9,608(前月比+87演奏)
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