ウィーン少年合唱団/ウィーン響の大小オルガンミサ

日曜日に熱っぽかったのが、昨日は朝から8度以上の熱と激しい関節痛。喉もガラガラで、やむなく仕事はお休み。朝から内科に行ってみるとご年配の方を中心に長蛇の列。診察と薬で3時間近くもかかってしまいぐったり。元気がないと医者に行けませんね(笑)インフルエンザの検査もしてもらいましたが、結果はシロ。インフルエンザだとしてもまだ反応が出ない可能性があるので、昨日薬を飲んでも熱が下がらないようであればまた翌日来てくださいとのことでした。医者から帰って薬を飲むと幸い熱は下がり、関節痛もおさまってきました。
今日は朝から熱も下がり仕事に出たんですが、やはり本調子ではなく、早めに帰宅しのんびりしています。まだ熱っぽいので、食欲も今ひとつです。普段食欲がない等という事は滅多にないので、嫁さんもお袋もちょっと心配しています。

ということで、こうゆう時は心に沁みるミサ曲をということで選んだアルバム。

 Harrer
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ウーベ・クリスチャン・ハラー(Uwe Christian Harrer)指揮のウィーン交響楽団、ウィーン少年合唱団、そのOBで構成される男性合唱団であるコルス・ヴィエネンシスの演奏による、ハイドンの大オルガンミサ、小オルガンミサを収めたアルバム。オルガンはマーティン・ハーゼルベック(Martin Haselböck)が担当。収録は1986年2月ウィーンでのセッション録音。レーベルは今は亡きPHILIPS。

大オルガンミサの作曲年代はちょうどハイドンの創作の前半の頂点に当たるシュトルム・ウント・ドラング期。以前にサイモン・プレストンの名演盤を取りあげています。作曲の経緯などはこちらをご参照ください。

2010/12/23 : ハイドン–声楽曲 : 【年末企画】サイモン・プレストンの大オルガンミサ

このアルバムはコーラスにウィーン少年合唱団とそのOBの男声合唱団であるコルス・ヴィエネンシスが担当しているのがポイント。少年合唱と男性合唱団によるコーラスの清澄な響きの美しさは他のアルバムにはないもの。

ウーベ・クリスチャン・ハラーは1944年生まれのオーストリアの指揮者、作曲家。ウィーン音楽アカデミーで学び、ハンス・スワロフスキーなどに師事していました。当初はウィーン少年合唱団の指導にあたり、1980年代には芸術監督に就任。また1984年から89年までコルス・ヴィエネンシスの音楽監督を担当。ウィーン交響楽団との仕事も多かったそうで、このアルバムはハラーがウィーン少年合唱団、コルス・ヴィエネンシス、ウィーン交響楽団など掌握していた時代の録音であろうと想像されます。ネット上で検索するとハラーの名を冠したアルバムはPHILIPSからウィーン少年合唱団との録音がいろいろリリースされています。私自身は今日取り上げるアルバム以外は聴いた事がありません。

Hob.XXII:4 Missa in honorem Beatissimae Virginis Mariae "Grosse Orgelmesse" 「大オルガンミサ」 (1768/69)
ソロは下記の通り。

ソプラノ域:ゲオルク・ニゲル(Georg Nigl)
アルト域:ミカエル・シュヴェンデインガー(Michael Schwendinger)
テノール:ペーター・ジェロシッツ(Peter Jelosits)
バス:アントン・シャリンジャー(Anton Scharinger)

最初のキリエから充実の響き。プレストン盤も久々に取り出して聴いてみましたが、ハラーの方がテンポが速く、オケの響きに実体感があります。このアルバム、録音はオケとコーラスが渾然一体に迫り来る迫力と柔らかな響きが両立した流石PHILIPSというすばらしいもの。いきなりウィーン少年合唱団の透明感溢れる響きに耳を奪われます。風邪で弱った体調もあって、心に染み渡る美しい響き。ソロのソプラノやアルトの名前が男性のようで気になっていましたが、ボーイソプラノということですね。マーティン・ハーゼルベックのオルガンもかなりキレの良い響きを聴かせ、また、要所で打ち込まれるティンパニの迫力ある打撃も痛快です。
ハラーの指揮は合唱に神経が張り巡らされているのはもちろん、ウィーン交響楽団によるオーケストラの部分も緻密。この演奏は非常に自然ながら、音楽的感興も感じられるバランスのいいものです。グローリア以降も活き活きとした響きが癒しの次元まで達するような演奏。以前聴いた演奏ではドラティの「トビアの帰還」と同次元の素晴らしさ。一流どころの指揮者に勝るとも劣らない演奏ですね。
4曲目のクオニアムと続くクレドの堂々とした響きはシュトルム・ウント・ドラング期のハイドンの素晴らしい才能を十分に感じさせられるもの。録音の素晴らしさと相俟って極上の響き。
6曲目のソロを担当するテノールのペーター・ジェロシッツは調べたところこの人もウィーン少年合唱団の出身者で少年合唱時代はソプラノソロを担当していたそうですが、テノールとして抜群の歌唱。美しい声で、テンポも良く絶妙な歌唱を聴かせます。続く7曲目はミサ曲としては驚くほど踏み込んだオーケストレーション。ハイドンの創意爆発といったところでしょう。曲がすすむにつれて、大オルガンミサの曲の出来がこれほど素晴らしかったかと驚くような展開が続きます。サンクトゥスのコーラスの清らかさ、ベネディクトスの冒頭のオルガンのトランス状態に入りそうなほどの高揚感とソロの掛け合いの妙。完璧な演奏で曲が心にぐさりと刺さります。つづく最後の2曲も絶品。アニュス・デイの清らかなコーラス、終曲の華麗な盛り上がりも完璧。最後にちょっとテンポを落として間を取るあたりもキマってます。

Hob.XXII:7 / Missa brevis Sancti Joannis de Deo "Klein Orgelmesse" 「小オルガンミサ」 [B flat] (c.1775)
ソプラノソロはドミニク・オリーシェニヒ(Dominik Orieschnig)。ボーイソプラノです。大オルガンミサよりさらに研ぎすまされた美しさで知られる小オルガンミサ。こちらも大オルガンミサ同様の素晴らしさ。冒頭からハラーの素晴らしいコントロールに圧倒されっぱなし。コーラスは曲に合わせて鮮烈さを極め、小編成ではありますが、オケの緩急もこころなしか自在さが増してメリハリがついている感じ。やはりボーイソプラノによるソロと少年合唱と男声合唱の清らかな響きがこの演奏のポイントです。曲全体に静寂から祈りが聖堂内にしなやかに満ちてくるような独特の気配を持っています。この曲でもなにげにいい感じなのがマーティン・ハーゼルベックのオルガン。この曲も沁みる出来でした。
最後に第2曲のグロリアをミヒャエル・ハイドンが加筆編曲したヴァージョンが収められています。

ちょっと体調が悪い時に聴いたせいもあるかもしれませんが、ハラーの指揮するウィーン少年合唱団、コルス・ヴィエネンシス、ウィーン交響楽団の大小オルガンミサはミサ曲に求められる敬虔な雰囲気とハイドンの才気を両立させた素晴らしい演奏でした。後年の6大ミサ曲の成熟した筆致とは差があるものの、特にシュトルム・ウント・ドラング期独特のはじけるような生気もあり、魅力的な曲であることは間違いありません。このアルバム、残念ながら現役盤ではないものの、その素晴らしさはすべての人にお薦めしたいもの。評価はもちろん両曲とも[+++++]としました。

はやく風邪をなおさなければなりませんね。やはり体調が良くないと音楽も食事も酒も素直に楽しめません(笑)

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【年末企画】サイモン・プレストンの大オルガンミサ

プレストンのチェチーリアミサがあまりに良かったので、つづいて大オルガンミサを取り上げましょう。

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このアルバムは、前記事で取り上げたサイモン・プレストンと古楽アカデミー(AAM)、オックスフォードキリスト教会合唱団の演奏によるハイドンの初期のミサ曲などを集めたアルバムで、チェチーリアミサの2年後の1768年~69年に作曲された「聖母マリアを讃えるミサ曲(通称:大オルガンミサ)」と、その4年後である1772年に作曲された「聖ニコライミサ」、そしてハイドンの最も初期のミサ曲とされる1748年~49年作曲とされる「ロラーテミサ」の3曲を収めたアルバム。収録は大オルガンミサが1977年7月、ニコライミサが1978年7月、ロラーテミサが1979年6月、ロケーションは何れもチェチーリアミサと同様ロンドン近郊ハンプステッドの聖ユダ教会。

ハイドンがエステルハージ家の楽長に昇進して最初に書いたミサ曲が、前記事で取り上げたチェチーリアミサ。それまで楽長ウェルナーが担当してきた宗教曲を初めて自ら作曲することとなった記念すべき曲ですが、その素晴しい充実ぶりは前記事のとおりです。そのチェチーリアミサに続く、大オルガンミサとニコライミサ。時期的には今回年末企画で集中して取り上げているシュトルム・ウント・ドラング期にあたり、ハイドンの宗教曲に対するエネルギーが集中している時期の作品。

大オルガンミサはオルガンが活躍することから名付けられたもの。純粋な祈りの心境を感じる佳曲。この曲のソロはソプラノがユディス・ネルソン、コントラアルトがキャロリン・ワトキンソン、テノールがマーティン・ヒル、
バスがデヴィッド・トーマス。

出だしのキリエ。最初からオルガンが加わります。このアルバムににはメンバー表がついていないのとオルガン奏者の名前がありません。プレストン自身なのかチェチーリアミサ同様ホグウッドが担当しているのかはわかりません。オルガンの響きが加わることでミサ曲の雰囲気が敬虔なものになりますね。音響的にはチェチーリアミサとほぼ同様ですが、合唱の存在感はチェチーリアミサの方が上という感じですね。実際のことはわかりませんが、合唱の人数はチェチーリアミサの方が多いのではないでしょうか。プレストンのコントロールは、チェチーリアミサ同様、自然で個性的な部分はないものの、よく聴くとデュナーミクの変化が豊かで、フレージングも有機的。オルガンとオケとコーラスの織りなす軽やかでかつ爽やかな荘重さを感じる素晴しいメロディーライン。

続くグローリア。暖かな気持ちになる導入部。古楽器オケの弦楽セクションの雅な響きとコーラスの実在感がもららすハーモニー。ソロはチェチーリアミサほどクローズアップされず、アンサンブルの一部といった位置づけですね。聴けば聴くほど味わい深い情感豊かな旋律。コーラスのバスセクションの純度の高い歌声が心にしみます。教会内に響きわたるバスの朗々としたソロも印象的。オルガン、コーラス、ソロ、オケがかわるがわるメロディーを引き継ぎ、天上に迫る上昇感。

クレドはグローリアの余韻をそのまま引き継ぎ、教会内に満ちる恍惚の響き。テノールのソロが静謐な響きを演出。チェチーリアミサもそうでしたがソロの響きの質まで完全に一体感溢れる響きに制御されているのはプレストンのコントロールによるものでしょう。敬虔な祈りを音楽で表現する素晴しいコントロール。クレドの中間部からは一気に曲の集中力が増しテンポを落とし荘厳な流れに。この部分の音楽的な密度は素晴しいですね。ミサ曲の神髄を感じる部分でしょう。後半はまたテンポを上げ曲の起伏が激しいものに変わります。大オルガンミサは後期の有名な6曲のミサに比べると目立たない曲ではありますが、この曲のクレドを聴くかぎり素晴しい音楽の充実ぶりです。今更ながらそのすばらしさに打たれてます。

続いてサンクトゥス。コーラスの見事な重なりぶりと素晴しいハーモニー。2分少々の短い曲。

そしてベネディクトス。オルガンとコーラス、ソロの静かな掛け合い。この曲のメロディーの美しさは筆舌に尽くし難いもの。至福の時。抑えた部分の表現は絶品の仕上がり。教会のオルガニスト歴が長いプレストンの面目躍如の素晴らしさ。

終曲のアニュス・デイ。これ以上清らかな旋律は誰にも書けないだろう、すばらしく清透なメロディーをコーラスが歌います。コーラスの神髄を感じる素晴しいハーモニー。静寂と声の競演のごとき余韻の美しさ。曲を結ぶ方向にハイドンが徐々に筆をとっているようすが手に取るようにわかる曲の展開。オルガンの響きがこの曲のキャラクターを担っていることがよくわかります。最後はアーメン。

大オルガンミサもプレストンにやられました。もちろん[+++++]。同じアルバムに収められたニコライミサは次の記事にしましょう。連日のシュトルム・ウント・ドラング期の傑作ミサに打たれ続けて良い年の瀬です(笑)

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Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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