ファビオ・ルイージ/読響の熊、英雄の生涯(東京芸術劇場)

最近都響や東響のコンサートが多く、ちょっとご無沙汰していた読響ですが、気になるコンサートがありましたので行ってきました。

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読売日本交響楽団:読響サマーフェスティバル2017 ルイージ特別演奏会

テレビのコンサートの放送でしかご縁のなかったファビオ・ルイージが来日し、それもハイドンの熊もプログラムに含まれると知ってチケットを取ってあったもの。放送での印象はかなりアクティブな指揮ぶりで、音楽も少々くどい印象がありましたが、今をときめく一流どころの一人ということで、ハイドンを如何に料理するのか興味津々といったところ。このコンサートの直前には松本で毎年開催されるセイジオザワ松本フェスティバルでマーラーの9番を振っており、ネットなどの評判を見るとなかなか良かったようです。

ファビオ・ルイージは1959年イタリア、ジェノヴァの生まれ。地元のパガニーニ音楽院でピアノを学んだのちオーストリアのグラーツ国立音楽大学で指揮を学びます。指揮者として最初のキャリアはグラーツ歌劇場。1990年に自ら創設したグラーツ交響楽団を皮切りに、ウィーン・トーンキュンストラー管、スイス・ロマンド管、ライプツィヒ放送響、ウィーン交響楽団、ドレンデン・シュターツカペレなどの首席指揮者、音楽監督を歴任。その後も世界の著名なオケに客演し活躍しています。現在はチューリッヒ歌劇場、デンマーク放送響を率い、2018年からはフィレンツェ歌劇場の音楽監督も務める予定とのこと。今が旬の指揮者の一人でしょう。

ルイージは小澤征爾の招きで2014年に前身のサイトウキネンフェスティバルに来ており、2016年にも来日していますが、読響を振るのは今回のコンサートが初めてとのことです。

この日のプログラムは下記の通り。

R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
ハイドン:交響曲第82番「熊」
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

世紀末に生み出されてた管弦楽の極北の姿であるリヒャルト・シュトラウスの2曲に、古典期に交響曲というジャンルを創り上げたハイドンの曲が挟まれる構成。このプログラム構成の意図はメインディッシュたるシュトラウスに対しハイドンを粋な箸休めとする意図でしょうか。まあ、ハイドンが得意でなければこのような構成はとれないでしょうからよしとしましょう。

この日は早めに仕事を切り上げられたので、前回東京芸術劇場でインバルの大地の歌を聴いた時に発掘した芸術劇場の長いエスカレーターの下にあるベルギービールカフェで腹ごしらえしてコンサートに臨みます。

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食べログ:ベルギービール カフェ ベル・オーブ 東京芸術劇場

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頼んだのは海老とアボカドとフレッシュトマトのサンドイッチなどと、酸味の効いた甘口のレッドビール。ホール内のドリンクコーナーよりも落ち着けるので、早くホールに着いたときにはこちらがいいですね。



さて、この日の座席は2階席の右側。S席なのでステージがらさほど遠くなく、オケを軽く見下ろせるいい席。

最初の曲がハイドンではなくシュトラウスなので、ステージいっぱいに団員が並び、チューニングを終えるとファビオ・ルイージが颯爽と登壇。意外に小柄な人でした。ドン・ファンは最初からフルスロットルの曲ですが、ルイージがタクトを上げた途端、今まで読響から聴いたことのないような鮮明な響きが飛び出します。ルイージ、音色に関して非常に鋭敏な感覚を持っているようで、シュトラウスの楽譜に込められた音楽を、重厚なドイツ的響きではなく、超鮮明なハイレゾサウンドのような音にしてホールを満たします。テンポのキレの良さも重厚な響きになる余地をなくしているよう。全ての楽器に対してキューを出すように指揮台いっぱいに動き回って勢力的にタクトを振ります。指揮姿は全くは異なりますが、この指示の緻密さはマゼールを彷彿とさせます。重くなく鮮明、クリアな響きで、ドン・ファンを一気に聴かせ、読響も完璧にそれに応じた演奏。読響がルイージのマジックに完全に制圧された感じ。もちろん、観客は読響のきりりと引き締まったただならぬ熱演に拍手喝采。

2曲目はお目当のハイドンの交響曲82番「熊」。一旦団員が下がっている間にステージが小編成オケ用に配置換えされます。中央奥に据えられたティンパニは4台から2台に減らされ、指揮者に近い方に一段移動。オケの規模は4分の1くらいでしょうか。再びルイージが登壇してタクトを振り下ろすと、今度はしなやかで透明感溢れる響きで満たされます。このハイドンは良かった。クッキリとした筋の通った構成で、所々に多彩なアクセントやルバートが散りばめられ、爽快感と規律、イタリア人らしいスタイリッシュさもある見事な演奏。指揮ぶりはあいかわらす非常に細かく指揮台いっぱいに動き回りますが、音楽に力みはなく、流石にシュトラウスの大編成の曲の間に挟んだ甲斐のあるもの。1楽章の規律ある構成感、2楽章のメロディーをさらりとユーモラスにこなす余裕、そしてメヌエットでオケを伸びやかに響かせてフィナーレは適度に緊密なまとまりを聴かせるなど、ハイドンの面白さを見事に演出。ドン・ファンの大音響とは異なる音楽の面白さを印象付けました。

休憩を挟んで、後半は大曲「英雄の生涯」。少し前にミューザ川崎でマリス・ヤンソンスの振るバイエルン放送響で素晴らしいアルプス交響曲を聴いたばかりでしたが、この日のルイージの英雄の生涯もそれに劣らず素晴らしいものでした。いきなり圧巻だったのは最初の一音。かっちりとエッジの効いた低音弦の伸びやかな響き。ルイージのタクトの一振りで読響から聴いたことのないような引き締まった響きがまたまた引き出され、いきなりルイージのコントロール力を見せつけられます。ヤンソンスの演奏はいつもしなやかさを保ちますが、ルイージはドン・ファン同様、超鮮明ハイレゾサウンドとかっちりとした構成の見通しの良さを武器に、ハイドンとは比較にならない複雑怪奇奇妙奇天烈なシュトラウスの音楽を見事にコントロール。読響もこれまで聴いたどのコンサートの時よりも精緻。このコントロール力はすごいものですね。この日は聴き慣れた版ではなく静かに終わる初稿による演奏。最後の一音が消え入ると、もちろん場内から嵐のような拍手が降り注ぎました。横で聴いていた嫁さんも、「リヒャルト・シュトラウスってやはり変態だったのね」と激賞(笑)。ルイージの統率と読響の力演に拍手は鳴り止まず、ルイージも団員を讃えていました。

いやいや、事前の想定とは異なるルイージの魅力を見せつけられた感じ。リヒャルト・シュトラウスは言うに及ばず、ハイドンも見事にこなすところは流石なところ。現代物を振った時のカンブルランも素晴らしいのですが、ちょっと格が違う感じでした。またの共演の機会があれば、聴いてみたいですね。前回インバルの大地の歌を3階席で聴いた時はそれほど悪いとは思わなかった東京芸術劇場の音響ですが、今回よりオケに近い2階席の前位の方では、オケの残響にちょっと癖を感じ、響きも硬い感じ。席によって結構印象が変わることがわかりました。今度は芸劇ではなく、新装サントリーホールで聴いてみたいところです。

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tag : リヒャルト・シュトラウス 東京芸術劇場

ギュンター・ヴィッヒ(ウィッチ)/南ドイツ室内フィルのパリセット(ハイドン)

本日は七夕。出会いはあるものです(笑)

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ギュンター・ウィッチ(Günther Wich)指揮の南ドイツ室内フィルハーモニー(Süddeutsche Kammerphilharmonie)によるハイドンの交響曲82番「熊」、83番「雌鶏」、84番のパリセット前半3曲を収めたアルバム。収録はPマークが1974年と記載があるのみでわかりません。レーベルはなんだかよくわからない廉価盤を多数リリースするINTERCORD。

このアルバム、ちょっと前に新宿ディスクユニオンの店頭で見かけて、所有盤にないということで何気なしに手に入れたもの。さも廉価盤然とした造りが気になるところですが、パリセットについてはヒュー・ウルフやリボール・ペシェクなどの古くからリリースされている廉価盤にもいい演奏が多いという体験的知識から、躊躇せずに入手したもの。結果的にこの判断は正しかったです。1曲目の熊から聴き始めましたが、録音年代なりのそこそこキレのいい演奏という感じでした。ただし、聴き進めていくにつれ、演奏の熱気とキレが徐々に増してくるではありませんか。2曲目の雌鶏、そして3曲目の84番はなかなかの名演です!

さて、いつものように指揮のギュンター・ウィッチについて調べてみますが、カペラ・コロニエンシスを振ったアルバムなどが何枚かひっかかるほか、あまり中身のある情報に出会えません。リリースされたアルバムの数は少ないわけではありませんので、そこそこの実力者とみていいと思いますが、具体的な情報はわからずじまい。ということで、演奏を虚心坦懐に聴くことにいたします。

Hob.I:82 Symphony No.82 "L'Ours" 「熊」 [C] (1786)
録音は年代なりで、若干古めかしい印象はあるものの鮮明な範疇に入るでしょう。くっきり鮮明ながら泰然としたオケの入り。オーソドックスとはこの演奏のことでしょう。適度な力感、十分なメリハリ、バランス感覚のある進行となかなかの演奏。せせこましくもなく、何回か聴くうちにオーソドックスな演奏の魅力に引き込まれます。覇気あふれる1楽章、穏やかながら規律を感じさせるアンダンテ、ゆったりとオケを鳴らして進むメヌエット、そして熊のニックネームとなったフィナーレの適度にユーモラスな展開。このバランス感覚は見事ですね。普通どこか響きやリズムにこだわりがあって個性を出したくなるものですが、曲にもともと備わる面白さを表現することのみに徹するある意味達観したコントロール。

Hob.I:83 Symphony No.83 "La Poule" 「雌鶏」 [C] (1785)
基本的に熊同様、オーソドックスな演奏ですが、この曲の1楽章の弦楽器によるメロディーの切れ込みが素晴らしく、かなりの迫力。この曲も演奏によっては灰汁の強い演奏となりがちですが、ウィッチのバランス感覚があって、平常を保ちながら曲の面白さを引き立てる構成が成り立っている感じ。1楽章から一歩踏み込んだ印象。そして美しいアンダンテに入るとテンポは落とさないのに妙にリラックスした気分にさせるしっとりとした演奏。オケの反応も俊敏で、オーソドックスながら緊張感のある素晴らしい流れになっています。よく聴くと弦楽セクションのメロディーが研ぎ澄まされて見事な立体感。小気味好いテンポの中でのこの立体感、絶品です。つづくメヌエットは対比を明確にするためか、リズムをすこし鈍らせ、ゆったりとした表情でメロディーの美しさをに光を当てているよう。さりげないのに実に表情豊か。フィナーレはメヌエットを受けてか、すこしゆったりとした入りから、徐々にオケが力を帯びて、特に弦楽器のキレを印象付けてコントラストつけます。曲は最後まで落ち着きを保って、この曲でもバランス感覚の見事さを見せつけます。

Hob.I:84 Symphony No.84 [E flat] (1786)
このアルバムの白眉。バランスの良い序奏から弦楽器がくっきりとキレよくメロディーを刻んでいき、冒頭からグイグイ引き込まれます。ウィッチは完全にこの曲を読み解いて自身の音楽にしています。この1楽章は見事。これほど音楽がいきいきと躍動しながら、しかもまとまりよく秩序を感じさせるとは。音楽に合わせて自然に体が動いてしまうほど。見事すぎます。ハイドンの仕組んだ翳りと躍動の対比に圧倒されます。そして癒し満点のアンダンテ。やさしい音楽が心に沁みます。中間部の展開を挟んで再び癒しに包まれるところの装飾音のなんというさりげなさ! ウィッチのコントロールの見事さに完全にやられてます。8分以上ある長い楽章ながら聴きごたえ十分。この曲のアンダンテがこれほど深い音楽だったとは。まさに至福。メヌエットも余裕ある音楽で適度に折り目正しい演奏からわきあがる自然な詩情がたまりません。そしてフィナーレ。最初のフレーズからテンポを上げるのではなく、ちょっと前楽章の受けのような部分を作って徐々にフィナーレのペースに持ち込む抜群のセンス。曲が進んでいくにつれて音楽が徐々に躍動していく匠の技。このフィナーレをゆったりと運んで聴かせどころを作るという逆転の発想。力もいい具合に抜けているからこそのこの雰囲気でしょう。この曲の楽譜からここまで見えるとは酔眼でしょう。これまた見事でした。

ギュンター・ウィッチという指揮者によるハイドンのパリセット前半3曲を収めたアルバム。なんとなく名演を予感させるオーラを感じたわけですが、予感的中でした。このアルバム、数は結構出回っているのではないかと予想されますが、熊だけ聴いて終わっている人もいるかもしれませんね。このアルバムの聴きどころは上にも書いたように最後の84番です。この84番、これまで聴いたアルバムのなかでも一二を争う素晴らしさ。雌鶏もなかなかの名演。ということで評価は熊が[++++]、ほか2曲は[+++++]とします。

なお、アルバム写真にリンクをつけていないことからもわかるとおり、アルバムとしては流通しておらず、中古を丹念に探すしかないでしょう。ただ、Apple Musicには登録されているので、この演奏の素晴らしさを味わっていただくことは可能です。パリセットについてはこのアルバムと同デザインの85番「王妃」、86番、87番もリリースされているようですので、私もApple Musicで聴いてみようと思います。このアルバムの出来からすると87番なんかもよさそうな予感がしますね!

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tag : パリセット 交響曲84番 雌鶏

【新着】ロジャー・ノリントン/チューリッヒ室内管のパリ交響曲集(ハイドン)

気になっていたアルバムが到着。

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TOWER RECORDS / amazon / HMV ONLINEicon

サー・ロジャー・ノリントン(Sir Roger Norrington)指揮のチューリヒ室内管弦楽団(Zurich Chamber Orchestra)の演奏で、ハイドンのパリ交響曲集を収めた3枚組のアルバム。収録は2013年6月26日、7月9日から10日チューリッヒのZKO-hausでのセッション録音。ZKOはオケの略称で、ホールでもありリハーサルもできる多用途スタジオといったところでしょうか。レーベルはSONY CLASSICAL。

ノリントンは気になる指揮者。最近N響にも客演しているので、日本での知名度も上がってきているでしょう。映像で見るノリントンは作曲者が音符に吹き込んだメッセージとは全く関係なくノンヴィブラートのピュアな響きで音楽を自在に操るのを楽しむような実にユニークな指揮ぶり。このアプローチはハイドンにこそ好適だと思っているのですが、これまでリリースされている交響曲のアルバムは、そのノリントンの自在な魅力が捉えられているかというと、案外そうでもありません。古くはEMIによるザロモンセット後半の6曲、そしてHässler CLASSICによるザロモンセットのライブなどがありますが、いずれもちょっと条件が良くなく、ノリントン節を堪能するというところまでいってません。むしろ良かったのは天地創造と四季。

2014/10/22 : ハイドン–管弦楽曲 : ノリントン/カメラータ・ザルツブルクの十字架上のキリストの最後の七つの言葉(ハイドン)
2010/06/26 : ハイドン–オラトリオ : ノリントンの四季、到着
2010/06/20 : ハイドン–オラトリオ : ノリントンの天地創造
2010/03/18 : ハイドン–交響曲 : ノリントンの新旧交響曲集

そして直近に聴いた「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」も良かったですね。ということで今日取り上げるアルバムは最近のノリントンの良さをうまく表せているかどうかがポイントですね。

このアルバム、HMV ONLINEなどではその録音の良さなどに評判が集中してきましたが、これはいい。これまでのノリントンによる交響曲のどの録音よりもノリントンの良さがうまく録られています。じっくり落ち着いた入り。そしてオケが実に良く鳴って、弱音から強音への吹き上がりも見事。そしてノリントンらしい突然レガートになったり、意表をつくアクセントを仕込んだりという変化。最近はファイなどによる斬新な演奏の影響もあり、自在な表現へのアレルギーもあまり感じなくなりつつあります。そして前評判どおり録音は鮮明。ノリントンによる変幻自在な響きを良く捉えてスタジオらしい空間にタイトに満ちる小編成オケの魅力を存分に感じさせるもの。今日到着したばかりですが、すぐに3枚とも聴き終えました。演奏は作曲順で87番から。各曲のポイントをさらっておきましょう。

Hob.I:87 Symphony No.87 [A] (1785)
1曲目からキレ味鋭いオケの魅力に圧倒されます。推進力あふれる曲ですが、意外に冷静にオケをコントロールしていきます。この曲の素晴らしい集中力を聴き名演を確信。2楽章の実に落ち着いた演出、そしてメヌエットもじっくりとした語り口。この落ち着きはかなり確信犯的なもの。そしてこの曲一番の聴きどころであるフィナーレの躍動感、胸のすくようなクレッシェンド。そして時折りレガートをしっかりと効かせる表現上のアクセントが効果的。

Hob.I:85 Symphony No.85 "La Reine" 「王妃」 [B flat] (1785?)
本来しっとりとした入りですが、流石ノリントン、十分に現代的な響きにまとめてきます。聴き進むうちにノリントンの創意に釘付けになります。ちょっと踏み込んだ表現ばかりだと聴き疲れしてしまいますが、このアルバムそうした状況にはならず、曲本来の響きに対するちょっとした表現の工夫というレベルでバランス感覚を保っているのが素晴らしいところ。2楽章はかなり足早やにまとめますが、そのまとめ方が絶妙。このあたりがノリントンの素晴らしいところ。そしてゆったりとしたメヌエットでリズムの面白さを存分に際立たせ、フィナーレでは再び足早に進める魅力を再現。

Hob.I:83 Symphony No.83 "La Poule" 「雌鶏」 [C] (1785)
クセのある曲ですが、もうノリントン節にやられていますので、実に心地良く響きます。聴きなれたメロディーですが実に新鮮に響きます。そして通常癒しに満ちた音楽としてメロディーの自然な美しさで聴かせるアンダンテは、そうした表現を月並みだと言わんばかりの小気味好いさっぱりと表現。そして、メヌエットは逆に自然に響かせ、音楽の起伏を逆転させようとでもしているかのような工夫。フィナーレまで完璧にコントロールされたオケの秩序に惚れ惚れとします。

Hob.I:84 Symphony No.84 [E flat] (1786)
ピュアトーンの純粋な響きが脳にダイレクトに伝わります。ハイドンはこのように響くlことを想像していたのでしょうか? 響きの変化だけでも十分に刺激的。あえてオーソドックスな展開とすることで響きの純粋さが際立ちます。この曲の素晴らしさを再認識した次第。ちょっとデフォルメされたアクセントが心地よく耳に刺さります。2楽章のアンダンテは曲の霊が乗り移っているがごときコントロール。このアルバムの中でも深い洞察に痺れる箇所。そしてメヌエットではオケの残響を楽しむようにオケを鳴らしていきます。フィナーレまで落ち着いた表現を保ちます。この曲のベストと言いたいほどの素晴らしい出来。

Hob.I:86 Symphony No.86 [D] (1786)
一番楽しみにしていた曲ですが、期待以上に素晴らしい演奏。この曲のリズムともに響きの陶酔に至るようなところが、ノリントン流の味付けで絶品に仕上がっています。特にオケの精度と鳴りの良さは出色。オーソドックスな演奏も良いものがたくさんありますが、このノリントン流の変化球も悪くありません。オケを自在に操るノリントンのほくそ笑むようすが見えてくるよう。アバドの奇跡の切れ味鋭いオケの反応を上回るような俊敏なオケに聴き惚れます。あまりに鮮やかな吹き上がりにアドレナリン噴出。いやこれは素晴らしい。そして深く沈むラルゴ。明るさを取り戻すようなメヌエット。フィナーレはオケがキレキレ。いやいや見事の一言。

Hob.I:82 Symphony No.82 "L'Ours" 「熊」 [C] (1786)
最後の熊、1楽章は素晴らしい迫力で入ります。熊に襲い掛かられるような迫力。しかも力で押されるばかりではなく現代風にアーティスティック。続くアレグレットはさっぱりと足早なパターン。それでも曲の本質をえぐるような迫力を帯びているのが流石なところ。そしてメヌエットで再びじっくりとした演出。フィナーレは恐ろしい気配のようなものを感じさせつつ最後はオケの妙技を印象付けて終わります。私はこの演奏を熊のベスト盤に推します。

到着したばかりのアルバムですが、あまりに面白くて一気に3枚を通して聴きました。ノリントンの才気とチューリッヒ室内管の精緻な演奏が融合した素晴らしいハイドン。パリ交響曲集の演奏としてもおすすめできる素晴らしいアルバムです。ようやくノリントンのハイドンの面白さを存分に楽しめるアルバムに出会ったということでしょう。評価は全曲[+++++]を進呈です。

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tag : パリセット 雌鶏 王妃

【新着】ハリー・クリストファーズ/ヘンデル&ハイドン・ソサエティの朝、熊など

今日は久々の新着アルバム。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

ハリー・クリストファーズ(Harry Christophers)指揮のヘンデル&ハイドン・ソサエティ(Handel and Haydn Society)の演奏で、ハイドンの交響曲6番「朝」、ヴァイオリン協奏曲(Hob.VIIa:4)、交響曲82番「熊」の3曲を収めたアルバム。ヴァイオリン協奏曲のソロはアイスリン・ノスキー(Aisslinn Nosky)。収録は2013年2月22日、24日、ボストンシンフォニーホールでのセッション録音。レーベルはCOROというところ。

ハリー・クリストファーズのアルバムははじめて聴きます。

ハリー・クリストファーズは1953年、ロンドンの南東約50kmのところにあるグードハースト(Goudhurst)生まれの指揮者。ザ・シックスティーンという合唱と古楽器オケの創設者として知られている人。

Handel and Haydn Society

ヘンデル&ハイドン・ソサエティはなんと1815年設立のアメリカ最古のオーケストラ。2年後には創立200年を迎えます。ボストンを本拠地とする古楽器オケです。文字通りヘンデルやハイドンの時代の音楽を得意としてるのはもちろん、ヘンデルのメサイアのアメリカ初演(1818年)をはじめとして、ハイドンの天地創造(1819年)、ヴェルディのレクイエム(1878年)、バッハのマタイ受難曲(1879年)など有名曲のアメリカ初演をこなしてきた名門オケ。ハリー・クリストファーズは2008年からヘンデル&ハイドン・ソサエティの音楽監督となっています。それに先立ち、2006年9月にはアイゼンシュタットのエステルハージ宮殿でヘンデル&ハイドン・ソサエティとのコンサートを成功させているとのこと。日本ではハイドンの演奏が広く知られているわけではなさそうですが名門に間違いありませんね。

クリストファーズ体制になった新生ヘンデル&ハイドン・ソサエティの実力はいかばかりのものか、当ブログで取りあげない訳には参りません。

Hob.I:6 / Symphony No.6 "Le matin" 「朝」 [D] (1761?)
出だしの朝。通例朝、昼、晩と組み合わせて録音されることが多いので、このアルバムの組み合わせは珍しいですね。冒頭からまとまりの良い古楽器の響き。特にアクセントをしっかりつけて力強さをきっちり表現していきます。音量を絞って聴くと少し凡庸な演奏に聴こえなくはないのですが、ヴォリュームを上げててみると、なかなかの迫力。クレッシェンドに勢いがあり、なかなか痛快。ホルンのはじけっぷりを聴きたいところですが、なぜかホルンがすこし控えめの演奏。奏者一人一人のキレっぷりはほどほどですが、アンサンブルのコントロールで聴かせるという感じでしょうか。
アダージョはしなやかと言うより軽快さがポイントの演奏。古楽器本来の音色の魅力を活かしたものでヴァイオリンソロは次のヴァイオリン協奏曲でソロを務めるコンサートマスターのアイスリン・ノスキーでしょうか。渋めの音色で淡々と弾いていくタイプ。割と好きなタイプのソロです。適度なリアリティと適度な残響でボストンシンフォニーホールの響きを活かした録音。
続くメヌエットでもくすんだ古楽器ならでは音色を活かした素朴な演奏。自然な印象からまるでライヴを聴いているよう。セッション録音らしい磨かれた演奏ではなく、一発録りのような印象。コントラバスの唸りがかなりヴォリューム感で録られていて妙にリアル。
ちょっと雑に聴こえるような素朴なフィナーレ。すこし重さを感じるオケの反応。ここはすっきりキレてほしいところですが、妙に生々しい印象もあり、不思議な感触。ザラッとした感触は往時のブリュッヘンと18世紀オーケストラに近い印象もありますが、ブリュッヘンのようなガッチリとした迫力ではなく、音楽の流れが多少たどたどしいく武骨な感じがします。それはそれで独特な印象。不思議な存在感を感じる演奏です。

Hob.VIIa:4 / Violin Concerto [G] (c.1765/70)
この曲、少し前に取りあげた、マルク・デストリュベの素晴しい演奏がまだ耳に残っていますが、その演奏に非常に響きが近いですね。前曲で感じた素朴な古楽器オケの響きのよさをそのままの響きから入り、ソロのアイスリン・ノスキーの少し線の細いヴァイオリンが華麗に応じます。デストリュベのキレキレの演奏とは少し差があるものの、なかなか良い線行ってます。この曲のオーソドックスな秀演と聴きました。線の細さを逆に活かして、すっきりとしたカデンツァは悪くありません。
アダージョに入るとノスキーのヴァイオリンが活き活きとしてきます。一段ギアが上がった感じで、音楽にも生気が漲ってきました。この曲のしなやかさがよく表現できています。
フィナーレは前曲とは異なり、しっかりキレて来ます。キレる所でキレるのは大事です(笑)

Hob.I:82 / Symphony No.82 "L'Ours" 「熊」 [C] (1786)
そして、期待の熊。残響の印象がちょっと変わります。冒頭から鬼のような迫力。力入ってます! なりふり構わずはじけるような演奏。まるでライヴのよう。アンサンブルの精度はほどほどながら、やはり音楽は迫力だと言わんばかりの力の入り方。この演奏を生で聴いたら、迫力にのまれそう。熊の1楽章は構築感やメロディーの美しさの表現で聴かせる演奏も多いなか、ここまで力感で押してくるとは思いませんでした。
ここでアレグレットをすこし引いてくると思いきや、音量はともかくテンションが下がりきりません。フレーズ事の変化も大きくなく、せっかく1楽章でびしっと迫力を印象づけたのに、入りからちょっと単調な印象を残してしまいます。この辺にもうすこし対比がつくと深みが出そうです。この楽章も中間部の迫力はかなりのもの。終盤意外にもテンポを結構動かしてきます。
楽章毎に印象が少し変わり、メヌエットはなかなか。力感も適度な範囲で、ブリュッヘンのようなおどろおどろしい迫力を感じさせます。音楽がコントロールされています。フィナーレにもいい流れが続いて、音楽が弾み、ハイドンの書いたフィナーレのメロディーの絡み合いとダイナミクスが実にうまく表現されていきます。終盤の畳み掛けるような迫力も見事。1楽章冒頭同様の鬼のような迫力が戻ってきました。最後はものすごい迫力でフィニッシュします。

ボストンの名門、ヘンデル&ハイドン・ソサエティのハイドン名曲集。アンサンブルの精度はほどほどなものの、ハイドンに対するリスペクトがエネルギーとして結集したような演奏でした。朝とヴァイオリン協奏曲は古楽器の素朴なまとまりのよい演奏。熊は弩迫力の演奏でした。ちょっと先入観が強かったのか、熊の2楽章に違和感を感じてしまいましたが、この曲の演奏としてはかなり迫力重視。もしこのアルバムがライヴであったら、即興性も加わり、違った印象になったかもしれませんね。演奏者の視点で聴くと興味深い演奏かもしれません。評価は3曲とも[++++]としておきましょう。

ハリー・クリストファーズ指揮のヘンデル&ハイドン・ソサエティにはもう一枚ハイドンの交響曲85番「王妃」を入れたアルバムがあり、こちらも注文中。もう一枚くらい聴いてみないと、彼らの音楽をつかみきれない感じです。

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tag : ヴァイオリン協奏曲 古楽器

アーノンクール/ベルリンフィルの熊ライヴ

9月に入りました。久々の交響曲のアルバム。先日ディスクユニオンの店頭で探し当てたもの。

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ニコラウス・アーノンクール(Nikolaus Harnoncourt)指揮のベルリンフィルの演奏で、モーツァルトの「音楽の冗談」ベートーヴェンとモーツァルトのバリトン向けアリア4曲、そしてハイドンの交響曲82番「熊」を収めたアルバム。バリトン独唱はジェラルド・フィンレイ(Gerald Finley)。収録は2001年4月29日、ベルリンフィルハーモニー大ホールでのライヴ。レーベルはCD-Rの米GNP。

この日のコンサートの記録はベルリンフィルの公式サイトのカレンダーでも確認できます。

Berliner Philharmoniker - Concert Calender - 29 April 2001

アーノンクールの演奏は天地創造の実演も聴いていますし、これまで声楽曲などを中心にいろいろ取りあげていますが、交響曲の演奏はブログをはじめた頃に簡単に取りあげたのみ。

2010/04/07 : ハイドン–交響曲 : アーノンクールの初期交響曲集
2010/02/28 : ハイドン–交響曲 : 新着! ウィーンフィルの交響曲集

今回は2001年と比較的最近、しかも相手はベルリンフィルということで、アーノンクールがベルリンフィルをどう操っているか興味津々。いつもの手兵ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスばりに刺激音炸裂なのでしょうか。

1曲目のモーツァルトの音楽の冗談から、アーノンクールやり放題(笑) テンポをかなり自在に動かし、ベルリンフィルの奏者に好き放題にやらせてます。小節がキツいのがアーノンクール流。ただ聴いていくうちにアーノンクールの術中にハマったのか、間延び寸前のテンポが妙に心地良く聴こえるようになります。最後はめちゃくちゃな不協和音にベルリンフィルハーモニーのお客さんも笑いと拍手の嵐。真の意味での遊び心炸裂を楽しんだ事でしょう。続くベートーヴェンとモーツァルトのアリアで、コミカルな音楽の正統な魅力を再認識させ、いざ最後にハイドンの熊です。アリアのフィンレイ、かなりの役者ぶりを発揮。おそらくハイドンの交響曲はコンサートの最初に演奏される事は多いものの、最後に演奏されるのはオールハイドンプログラムくらいじゃないでしょうか。

Hob.I:82 / Symphony No.82 "L'Ours" 「熊」 [C] (1786)
ここまでの演奏でオケが温まったのか、ベルリンフィルのキレの良さ炸裂です。アーノンクール流の癖はありますが、あまりにベルリンフィルの鳴りが良いので陶酔感すら感じる入り。最後のハイドンこそ古典の頂点とばかりにアーノンクールは厳かな印象も加え、ベルリンフィルもそれに万全に応えます。フィルハーモニーに響き渡る轟音、弾むリズム、音の塊が過ぎ行き静けさが訪れ、そして音塊が繰り返し襲ってきます。オケのあまりのキレの良さに聴き惚れます。正直これだけの威容で立ちはだかる熊の1楽章は初めて。アーノンクールは落ち着き払って、まるでハイドンが乗り移ったかのように純音楽的に澄みきります。フィルハーモニーにハイドンの圧倒的な音楽が満ちあふれ、ホール内が異様な迫力にのまれます。
アンダンテはすこし足早な穏やかさ。1楽章の火照りを鎮めるように進みますが、山は中間部にありました。鮮烈な響きを何度か響かせてアクセントをしっかりつけます。徐々にベルリンフィルの威力が増し、アーノンクールはテンポをダイナミックに変化させ、曲にメリハリをつけていきます。
メヌエットは予想通り小節を効かせたアーノンクール流のものですが、相手がベルリンフィルだけに、アーノンクールの意図を俊敏に察知して見事な反応。フィルハーモニーに響き渡る音塊が痛快。ホールがざわめきます。
クライマックスのフィナーレ。木管群の素晴しいプレゼンス。弦楽器群は唸るような弩迫力。カラヤン時代のような分厚いベルリンフィルを彷彿させる素晴しい合奏力。キレの良いアーノンクルールのコントロールにベルリンフィルが恐ろしい迫力で応じます。アーノンクールは要所でテンポと間を切り替え、鳴りまくるベルリンフィルを制御。ハイドンの楽譜に込められた機知に反応して、ベルリンフィルハーモニーを響きの渦に巻き込み、観客を異様な集中に放り込みます。最後はかなり大胆にリズムを変えて場内を圧倒。観客もここまで変化させてくるとは思わず、拍手が先走ります。いやいや圧倒的な演奏とはこのことでしょう。

流石アーノンクール。ベルリンフィルハーモニーをハイドンの熊で圧倒。世界最高峰のオケを自分がコントロールすれば、ハイドンでホールを圧倒できるのだと言わんばかり。トリックスターの面目躍如です。間違いなくアーノンクールの振るハイドンの交響曲のベストです。当日の観客はこの伝説的な演奏に酔いしれたことでしょう。録音で聴くと癖の目立ってしまう演奏が多いアーノンクールですが、この演奏はベルリンフィルという名オケとのライヴだけに、周到に準備して臨んだことでしょう。見事というほかありません。もちろん評価は[+++++]とします。

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ザンデルリンク/読響の「熊」1990年サントリーホールライヴ

昨夜は実に久しぶりにTOWER RECORDS新宿店に。いつものようにエスカレーターで9階に行きましたが、クラシック売り場がありません! もしやクラシック売り場がなくなってしまったのではと嫌な予感がよぎりましたが、店内表示を見ると10階がクラシック売り場とあり、一安心。あんまり久しぶりだったので、クラシック売り場が移動したのに気づいていませんでした。しかも10階に上がると、ちょうど9階にあった売り場とほぼ同じ構成で見やすいままでした。仕事が忙しくなかなかお店で買う機会がありませんでしたが、やはり見ながら買うのは楽しいですね。いろいろ仕入れました(笑)

今日はその中からの1枚。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

クルト・ザンデルリンク(Kurt Sanderling)指揮の読売日本交響楽団の演奏で、ハイドンの交響曲82番「熊」とブラームスの交響曲1番の2曲を収めたアルバム。収録は1990年2月7日、サントリーホールでの読響「第283回名曲シリーズ」のライヴ。レーベルはクラシックアルバムの輸入を手がける東武トレーディングの読響アーカイブシリーズ。

読響のコンサートは割合気に入っていて、スクロヴァチェフスキやカンブルランの振る読響のコンサートにちょくちょく出かけて、当ブログでも何度か取りあげていることはご存知の通り。ただ、読響のコンサートに出かけるようになったのは最近のことで、このアルバムが収録された頃には読響のコンサートには通っていませんでしたので、この千載一遇の機会は知る由もなかった訳です。

このアルバムの解説によると、このコンサートで取りあげられた熊はザンデルリングのお気に入りだそうで、コンサートの前半に置かれることがしばしばあったとのこと。これまで取りあげたザンデルリンクの演奏でもここ一番、ベルリンフィルに客演した際にも熊とショスタコーヴィチという組み合わせでした。

ザンデルリンクの情報はリンク先の39番の記事をご参照ください。

2012/11/13 : ハイドン–交響曲 : クルト・ザンデルリンク/ベルリン交響楽団の王妃、86番
2012/06/30 : ハイドン–交響曲 : 【新着】ザンデルリンク/スウェーデン放送交響楽団の39番ライヴ
2010/11/04 : ハイドン–交響曲 : クルト・ザンデルリンク/ベルリン・フィルの熊ライヴ
2010/06/18 : ハイドン–交響曲 : クルト・ザンデルリンクの86番

ザンデルリンクが読響を初めて振ったのは1976年。その後1978年、1980年、そしてこの録音の1990年と4たび客演し、読響の名誉指揮者となっていましたが、2011年9月、ベルリンで98歳で亡くなっています。この録音はザンデルリンクの最後の来日の際の貴重な記録ということです。

Hob.I:82 / Symphony No.82 "L'Ours" 「熊」 [C] (1786)
ちょっと古びた音色のながら鮮明に録られ、少し遠めに定位するオーケストラ。残響は少し多めで、ホールに響きわたる響きの余韻まで楽しめます。入りは中庸なテンポで、キリッと引き締まった表情を聴かせながら、熊のユーモラスなメロディーをまるで教科書にとりあげるように、きっちり描いていきます。ヴァイオリンパートの響きの良さが印象的。テンポはかなり一貫してていて、この曲からアポロン的均衡を浮かび上がらせます。きっちりと隈取りをテンポ良く描いていくヴァイオリン。1楽章からハイドンの交響曲の均整とのとれた魅力にハマります。
つづくアレグレットも、一貫したテンポでのクッキリした表情が魅力の演奏。すこしザラッとした読響の弦楽器群がザンデルリンクの几帳面なフレージングにきちんとついていきます。途中からの盛り上がりでは、かなりの力感となりますが、少しも乱れる事なくキリッとした風情は保ちます。タイトにコントロールが行き届いています。
ちょっと予想と異なったのがメヌエット。かなりレガートを効かせたフレージング。リズムがキリッとしているのは変わらないのですが、非常に優雅と言うか典雅な演奏。奏者一人一人が楽しんで弾むような旋律を奏でていきます。木管楽器群が見事に歌っています。非常に優雅にダンスを踊っているようなメヌエット。
フィナーレも予想とはちょっと異なる演奏。入りはすこし遅めで、速度よりも演奏がスローモーションを見ているように感じられる面白い表現。なかなか粋な演出です。曲が進むにつれてテンポが少しづつ上がり、オケに力も宿ってきますが、メヌエットの余韻か、そこはかとない典雅さも感じさせます。展開部のメロディーが交錯するところに至って盛り上がりも頂点に達しますが、一杯飲んで楽しんでいるような余裕のある盛り上がり。最後はしっかり聴かせどころをつくって、サントリーホールの観客からブラヴォーが降り注ぎます。

クルト・ザンデルリンクが得意としていた熊の、読響との1990年という晩年の貴重なライヴ。なにより読響がザンデルリンクの指示に忠実に従って、非常によくコントロールされた演奏なのが素晴らしいですね。オケが一体となってザンデルリンクのキリッとしていながら非常に優雅なハイドンを表現しています。会場の興奮も伝わる臨場感のある録音も悪くありません。もちろん評価は[+++++]とします。
このあとに置かれたブラームスの1番もハイドン以上の名演です。濃密な音楽が観客の心を鷲掴みにしているようすが伝わる素晴らしいライヴですね。東武トレーディングさん、いい仕事です!

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コリン・デイヴィス/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の熊、雌鶏

久しぶりの交響曲です。

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サー・コリン・デイヴィス(Sir Colin Davis)指揮のアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で、ハイドンの交響曲82番「熊」と83番「雌鶏」の2曲を収めたアルバム。収録は1986年1月アムステルダム・コンセルトヘボウでのセッション録音。懐かしいPHILIPSレーベルのアルバム。

コリン・デイヴィスはお盆に取りあげたネルソンミサがセッション録音の域を越えた大迫力の演奏だったのが記憶に新しいところ。ただしネルソンミサの記事にも書きましたが、肝心のアムステルダム・コンセルトヘボウとの交響曲は、手元にあるザロモン・セットを聴く限り、今ひとつリズムが重く粗さも目立つ演奏でした。今日は最近ディスクユニオンの店頭で発見した、もうだいぶ前に廃盤になったと思われる「熊」と「雌鶏」の2曲を収めたアルバム。このアルバムの演奏はザロモンセットの1970年代の演奏よりも85年のネルソンミサの演奏に近く、覇気と迫力を感じられる演奏ゆえ取りあげました。例によって過去のデイヴィスの記事へのリンクを張っておきましょう。

2011/08/13 : ハイドン–声楽曲 : 【お盆特番3】コリン・デイヴィス/バイエルン放送交響楽団のネルソンミサ
2011/06/16 : ハイドン–声楽曲 : コリン・デイヴィスの天地創造ライヴ-2
2011/06/14 : ハイドン–オラトリオ : コリン・デイヴィスの天地創造ライヴ-1
2010/07/17 : ハイドン–交響曲 : コリン・デイヴィスの時計ライブ

Hob.I:82 / Symphony No.82 "L'Ours" 「熊」 [C] (1786)
PHILIPSにしては珍しい直接音重視でスピーカーのまわりオケが定位する録音。残響成分は多いんですが、不思議と定位感が曖昧な録音。ディヴィスらしくテンポは少し遅めでリズムはちょっと重めですが、推進力はあり、一本筋の通ったジェントルな印象。ヴァイオリンの響きがちょっと薄めなのが気になるところ。奏者は決まったリズムの中で活き活きとしたリズムとボウイングで旋律を浮かび上がらせようとしているのがわかります。リズムの一貫性がデイヴィスらしいところ。曲がすすむにつれてじわりと盛り上がる大人な演奏。1楽章は腕試しのような趣。
2楽章のアレグレットも一貫したリズムの中でじわりと変化を表現するこれまた大人な演奏。デイヴィスなりのハイドンの機知の表現でしょう。フレーズごとのメリハリ、対比をハッキリつけて箱庭的スペクタクルを追求。ユーモアや暖かさを感じさせる余裕もあり、後半の変奏では気迫も見せる至芸。良く聴くと木管楽器がかなり踏み込んだアクセントをつけて盛り上げます。これは玄人好みなアレグレットですね。
前楽章の最後の盛り上がりの勢いをそのまま持ち込むようなメヌエットのはじまり。決まった型の中での表現を尽くすすような演奏。リズムの一貫性を基調とした表現。
フィナーレの熊のニックネームの元になった有名なフレーズ。あえて遅めのテンポでじっくりはじまります。フィナーレは慌てず、おおらかなスタンスで、しかしじっくりがっちりしたメリハリをつけてすすめます。最後はティンパニの活躍で迫力を増しフィニッシュ。

Hob.I:83 / Symphony No.83 "La Poule" 「雌鶏」 [C] (1785)
パリセットで唯一短調のこの曲。適度にタイトな響きで、前曲同様余裕あるテンポながらテンションは高い演奏。鋭角的な演奏も多いのですが、デイヴィスの雌鶏は落ち着いて聴いていられるおおらかさがあります。タイトな曲想の曲だけにこの余裕あるデイヴィスのコントロールは効果的。ヴァイオリン主体の険しいながらもウィットに富んだメロディーをフレーズごとの間を生かしながら重ねていきます。
絶品なのは次のアンダンテ。デイヴィスのスタンスはアンダンテにぴったり。非常にデリケートなフレージングでハイドンの美しいメロディーラインを浮かび上がらせていきます。何気ない演奏ながら慈しみ深い音楽が溢れ出てきます。感情に流されることなく淡々と進めるところもいいですね。ところどころ弦楽器の大波が襲うところの突抜ける感じは流石アムステルダム・コンセルトヘボウ管、美しい響きに圧倒されます。
一貫してゆったり感のある演奏。つづくメヌエットもいい意味で力が抜けて、自然さが際立ちます。
最後のフィナーレは遅いと思っていたのですが、その予想よりさらにじっくりとしたスピードではじまります。しばらくでテンポは落ち着きますが、繰り返しのところで再びスピードダウン。確信犯的表現なんでしょう。引き続き八分の力で演奏するような力みのなさ。最後もさっぱりとしたフィニッシュでした。

コリン・デイヴィスとアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団という最強の組み合わせによるハイドンの交響曲ですが、これまで聴いた中では最上の部類の演奏と言えるでしょう。「熊」は迫力漲る演奏ながらもまだいけるという印象もあり[++++]、「雌鶏」は逆に無欲の力の抜けた自然さが心に残る素晴らしい演奏ということで、最高評価の[+++++]とします。

最近とどいた四季のアルバムは、まだちょい聴きながら、やはりリズムの重さがちょっと気になるところ。ヨッフムもそうですが、デイヴィスのハイドンもそれぞれモーツァルトの交響曲の素晴らしさを知っているだけに、もう一つ突き抜けた演奏に期待してしまうのは致し方ないところでしょう。デイヴィスはライヴ盤などがあればまた取りあげてみたいと思ってます。

今日は昼頃の豪雨から一転、涼しい気候になりました。このまま涼しくなってくれると良いのですが、そうもいかないでしょうね。

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【新着】ギィ・ヴァン・ワース/レザグレマンの熊、86番

何日か間があいてしまいましたが、年度末で部下が2名異動になり、連日の送別会でした。震災対応もありしばらく飲みにいくという感じではありませんでしたが、何年かともにした部下の送別会を開かない訳にはまいりません。久しぶりに飲みにでかけましたがやはり人出は少ないですね。時たま余震があったり計画停電の予定に右往左往している状況で、まだまだ平常時とはいえませんが、しばし仲間との楽しいお酒、卒業式にも似た独特の送別の雰囲気に連日酔いました。

今日は新着アルバムです。

GuyVanWaas82.jpg
HMV ONLINEicon / amazon


ギィ・ヴァン・ワース(Guy Van Waas)指揮のアンサンブル・レザグレマン(Les Agrémens)の演奏によるハイドンの交響曲82番「熊」、ルートヴィッヒ=アウグスト・ルブラン(Ludwig-August Lebrun)のオーボエ協奏曲ハ長調、ハイドンの交響曲86番の3曲を収めたもの。ハイドンの収録は熊が2009年2月10日、オーボエ協奏曲と86番が2010年7月10日~11日、ベルギー、ブリュッセルの近郊、ルーヴァン・ラ・ヌーヴ(Louvain-la-Neuve)という街のビエロー農場音楽堂(Ferme du Biéreau)でのセッション録音。レーベルはマーキュリーが輸入するRICERCARですね。

ギィ・ヴァン・ワースのハイドンは以前に一度取り上げ、そのアルバムは古楽器の自然な美しさに溢れた名演奏として、2010年11月のHaydn Disk of the Monthに輝いたもの。前記事のリンクを張っておきましょう。

2010/11/14 : ハイドン–交響曲 : ハイドンとパリ/ヴァン・ワースの交響曲集

この組み合わせでの新たな録音のリリース、しかも曲目は「熊」に私の好きな86番ということで、期待の一枚ですね。ハイドンのパリ・セットの6曲の交響曲の中でも最後に作曲された2曲。演奏者の情報などについては上のリンクの記事をご参照ください。

交響曲82番「熊」(1786年作曲)
以前取り上げたアルバムの「王妃」、「告別」と同様、非常に自然な響きの古楽器オケによる自然なフレージングの演奏。ちょっと聴くと個性が弱い演奏に聴こえなくはないんですが、良く聴くと響きの細かい変化を巧みに演出に取り入れているんですね。テンポはあまり動かさず、一貫した流れ。熊はティンパニがかなり活躍する曲。弦とティンパニによるアクセントが痛快で推進力も十分。木管楽器の自然な響きも加わって極上の響き。録音も古楽器のデリケートな余韻が美しいもの。1楽章の終盤のリズムが交錯する部分の面白さも万全。このアルバムも名演奏の予感ですね。最近トーマス・ファイなどの演奏もまんざらではないと思っているんですが、ワースのこの自然な美しさは説得力ありますね。
2楽章はアレグレット。さらっと速めに入り、速めの一貫したテンポで曲の起伏を描いてきます。途中から金管楽器のアクセントが効いた突っ込みが印象的。さりげないフレーズも変化に富んだ響きを感じるほどの演出上手ですね。
3楽章はメヌエット。こちらも少々速めのテンポで入ります。最初の一音の溜めで特徴ある表情を作ります。この楽章は溜めを巧く使ってフレーズごとの表情の変化を表現。
終楽章は有名な冒頭第一主題のバグパイプを思わせるメロディーが熊の踊るさまを連想させたので、この曲に「熊」というニックネームがついたという楽章。終楽章はこれまでの緻密なコントロールからオケをゆったり鳴らすことに主眼が移ったよう。次々と楽器が引き継がれながらメロディーをつないでいき最後はパンチアウト。

ルブラン:オーボエ協奏曲(1777年出版)
詳しくはふれませんが、序奏からめくるめく変化を楽しめる不思議な曲。曲自体面白い曲であるのは間違いないんですが、ハイドンの名曲に挟まれてしまうと、逆に引き立て役になってしまうのも面白いところ。やはりハイドンの天才は揺るぎないものと納得してしまいます。

交響曲86番(1786年作曲)
期待の86番。1楽章は力入ってます。この曲の面白さの神髄にふれる感興。力感と余裕、木質系の美しい古楽器の響き。次々と畳み掛けるように襲ってくる響きの波。じっくりと味わうハイドンの名曲の響き。最高です。
2楽章は1楽章の興奮を鎮めるようなゆったりとした響きから始まり、ゆったりと大きな波が返すよう。
3楽章のメヌエットは木管の美しい響きと弦のさざめくような音の鮮やかな対比の織りなすメヌエット。そしてフィナーレはハイドンの秩序の中にふつふつと沸き上がるエネルギー。普通の演奏の中にハイドンの神髄が詰まった名演奏ですね。

ギィ・ヴァン・ワースのハイドンの交響曲2枚目の本アルバム。評価はもちろん両曲とも[+++++]です。個性的な演奏ではありませんが、ハイドンの傑作交響曲の神髄を楽しめる名演奏であることは間違いありません。このアルバムでパリ・セットが3曲。残りの3曲も是非リリースされることを楽しみに待ちたいと思います。

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tag : 交響曲86番 古楽器 おすすめ盤

クルト・ザンデルリンク/ベルリン・フィルの熊ライヴ

今日も帰宅が遅く、何をとりあげようか、CDラックの前で右往左往。
そういえば、今年は各地で異常に出没して、人が襲われたり、町中で目撃されたり、日本列島中大騒ぎです。

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今日は「熊」。ハイドンが1曲というアルバム構成も、遅く帰った日に取り上げるには好都合ですね(笑)

このアルバムは一昔前にシリーズで発売されたベルリン・フィルの自主制作盤で、クルト・ザンデルリング(Krut Sanderling)指揮のベルリン・フィルでベルリン・フィルハーモニー・大ホールでのライヴ収録。録音は1997年の6月9日。ベルリン・フィルのウェブサイトで過去のコンサートカレンダーを確かめると、その通りの記録でした。
当日のコンサートは、ハイドンの交響曲82番とショスタコーヴィチの交響曲8番ですが、このアルバムの収録曲はショスタコーヴィチが8番ではなく15番。こちらは1999年3月16日のコンサートの収録のようです。

クルト・ザンデルリングはハイドンのパリ・セットの録音を残しており、これは私のパリセットの刷り込み盤で、非常に気に入っている演奏。そのザンデルリングがベルリン・フィルを振ったライヴとくれば悪かろうはずもないでしょう。パリセットの方はベルリン交響楽団とちょい格下オケなのと、録音が1971年と古いこともあり、この演奏に期待が集まります。

冒頭からつややかながら芯がしっかりとあるベルリン・フィルの分厚い響き。ザンデルリングのコントロールはつんのめりそうになる寸前のインテンポでハイドンの傑作のリズムを刻みます。流石ベルリン・フィルと言うべき正確なリズムと生気。ティンパニのリズム感が素晴しいのが華を添えてますね。録音はフィルハーモニーでの録音にしては残響が多く、鮮明さはほどほどながら交響曲を楽しむにはいい音響。会場のノイズや咳はほとんど気にならないので、何らかの処理をしているんだと思いますが、この種の処理を施した録音に多く見られる生気の抜けたような音にはなっていないのが素晴しいですね。1楽章の畳み掛けるような迫力も巧く表現できており、大音量で聴くとフィルハーモニーにいるような素晴しい疑似体験ができます。

2楽章は、押さえた部分は淡々と、強調する部分はレガートを利かせるという演出。基本的にインテンポはつづいており、全く練らないのが爽快で、爽快な詩情という風情。陰ながら木管楽器の巧さも光ります。全体設計でいくと2楽章は押さえた表現とし、後半の弦主体の大きなうねりもその枠のなかでの演出なので振り切れません。この音楽性は玄人好みですね。

3楽章のメヌエット。高潔な表現というべきでしょう。ぴたりとサイズの合ったタキシードを着た老齢の紳士のダンスを見るがごとし。シンプルな曲調だけに各楽器のキレのいいリズム感が際立ちます。全奏者のリズムがキレている感じ。鈍重な感じは皆無です。単純なフレーズも跳躍感を感じさせるほど唄っています。最後はキリッと絞めて終了。

フィナーレの出だしはぞくぞくするようなデリケートなコントロール。スピードはそこそこで、次々と楽器を重ねてゆき、クライマックスへ集中力を高めていきます。一貫したテンポなのに曲調にはメリハリがついて、変化にも富んでます。各楽器がそれぞれ巧いだけではこのようなまとまりは形成できません。最後はオーケストラの醍醐味を十分表現します。唸る低音弦が響きの坩堝に!

フィルハーモニーのお客さんの拍手喝采で幕を閉じます。

このアルバムの聴き所は一般的にはショスタコーヴィチであることは間違いないですが、今日はその余裕がないためこれにてレビューはまとめます。

もちろん評価は[+++++]。「熊」の現代楽器の演奏の万人にお勧めできる名盤との評価です。

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カンブルランのハイドン

昨日のコンサートが良かったので、あんまりきちんと聴いてなかったカンブルランのハイドンを取り出して、聴き直し。

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曲目は、73番狩(2001年)、26番ラメンタチオーネ(2005年)、82番熊(2001年)の3曲。オケはバーデン=バーデン&フライブルクSWR交響楽団。
コンサートでのモーツァルトと同様、クッキリした旋律とメリハリのついたオーケストレーションが特徴。73番は1楽章の明るいメロディーをテンポよく描いていきます。弦楽器のつややかさが昨日の読売日響より一枚上手でしょうか。やはり各旋律のコントロールが行き届いて緻密さを感じさせるところがカンブルランの美点でしょう。有名なフィナーレもびしっと盛り上がっていい切れです。

26番は疾風怒濤期のほの暗い旋律が、どこか色っぽいニュアンスもともなって、ドイツ系の指揮者とは違ったアプローチです。私の好きな2楽章のメロディーは第一ヴァイオリンの明るい音色が特徴的な純音楽的な美しさを感じさせる演奏。こうゆうメロディーをきっちり聴かせるところは流石です。

そして熊。基本的に前の2曲と同じアプローチですが、テンポが速めに設定され、メロディーラインにもすこし遊びが入るなど、個性的な部分が増えています。この明るい熊の始まり方で思い出すのが、デュトワですが、彼の場合はテンポはほとんど揺らさずというかかなり堅固な印象があり、同じような緻密なオーケストレーションを特徴とするアプローチながら、表現する内容は結構違うものになります。

あらためて生を聴いたことを踏まえて評価すると、いい演奏ですね。ドイツ系の指揮者のハイドンとは少々異なりますが、現代オケによるハイドンの交響曲の演奏としてはおすすめ盤だと思います。

ついでに、昨日手に入れたモーツァルトの方も紹介しておきましょう。

Cambreling.jpg
HMV ONLINEicon

こちらは33番(2006年)、ハフナー(2002年)、プラハ(2005年)の3曲とDVDのセット。ジュピターが良かったので、つい手が伸びました。ハフナーだけ音がオフマイク気味ですこし音響がちがいますが、3曲とも名演。特にプラハは気合いの乗ったいい演奏ですね。こちらもおすすめですね。


HMV ONLINEでカンブルランを検索

正直言うと、私自身はカンブルランのことはあまり良く知りませんでしたし、今回のコンサートを聴くまで、ノーマークでした。
いや、あなどってましたが、HMV ONLINEでも78件ものアルバムが引っかかりますので、ずいぶんとアルバムがリリースされていることになります。現代もの、オペラが多いようですが、ブルックナーやモーツァルトなども含まれていて、オールラウンダーな印象。
ヨーロッパではかなりメジャーな存在なんでしょうね。

ライナーノーツによると、トロンボーン奏者出身で、70年代にはブーレーズに招かれアンサンブル・アンテルコンテンポランの客演指揮などを担当していたとのこと。現代音楽に対する理解はこのころに築かれたものでしょう。それからはヨーロッパ各地の歌劇場で数々のオペラを手がけるとともに、コンサート指揮者としてベルリンフィルをはじめとする有名オケと共演し、99年からこのアルバムのオケであるバーデン=バーデン&フライブルクSWR交響楽団の主席指揮者に。

読売日響はスクロヴァチェフスキにつづき、いい指揮者を選んだものですね。これからも時々コンサートに顔をだして楽しまさせてもらいます。

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tag : 狩り ラメンタチオーネ 読売日響

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
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