スクロヴァチェフスキ/N響の第九(サントリーホール)

今日はサントリーホールのコンサートへ。

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NHK交響楽団:FUJITSU Presents N響「第九」 Special Concert

10月に行ったザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニーとのブルックナーの4番のコンサートがあまりに良かったので、奮発して今日はサントリーホールでのN響の第九を聴きにいきました。これでスクロヴァチェフスキのコンサートは3回目。以前のコンサートのレポートはこちらをご覧ください。

2011/10/19 : コンサートレポート : スクロヴァチェフスキ、オペラシティでのブルックナー爆演
2010/03/25 : コンサートレポート : 読響最後のスクロヴァチェフスキ

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今日は仕事はたまってたのですが、この機を逃す訳にはいかず、早々に会社を引き上げサントリーホールに向かいます。会場の30分前にはいつもどおりサントリーホールにつき、向かいのオーバカナル赤坂店でいつものように軽食とワインをいただきます。今日はコンサートのために昼食すらとっていませんでしたので、お腹ぺこぺこです。まずはワインで聴覚神経が鋭敏になる程度に喉を潤します(笑)

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あとはホットサンド(のようなもの)
ほどよくお腹も満ちてちょうどいい感じです。

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サントリーホール前の広場はクリスマスイルミネーションでこんな感じ。もうクリスマスは過ぎてますがライトアップされていて雰囲気があります。

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スクロヴァチェフスキの第九は同じメンバーにて直前まで4日間にわたりNHKホールで行われており、今日が最終日でかつサントリーホールに会場を移してのもの。NHKホールとサントリーホールでは音響が全く異なりますので、今回は最初からサントリーホールを狙ってチケットをとりました。先日もNHKホールでデュトワのマーラーの8番を聴いたばかりですが、やはりサントリーホールの方がいいですね。

今日の席はRBエリア、オケの右脇2階席。このところサントリーホールで聴く時にはこのあたりを狙って取ります。ただし嫁さんと2枚なんですが、1席間に入る別れた席しか取れませんでした。きょうは幸い間の方が席を代わってくれて並び席に。その代わってくれた方は、娘さんが国立音大の合唱でステージに立つとのこと。その方とおしゃべりしながら開演を待ちました。娘さんは前から3列目の左から12番目で歌ってました。

このコンサートは今日のみオルガンの独奏が前半に置かれています。バッハのトッカータとフーガ、モーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプス、バッハのコラール「主よ、人の望みの喜びよ」と名曲3曲。オルガンは芸大オルガン科卒の勝山雅世さんという若い方。サントリーホールのオルガンの音量をフルに使った迫力のある、日本人らしい几帳面な演奏でした。会場からも暖かい拍手が送られました。が、、、それはあくまで前座でした。休憩後のスクロヴァチェフスキの第九は圧倒的な出来。やはりスクロヴァチェフスキは凄いです。最初から最後まで圧巻の出来でした。

休憩が終わり、合唱団が入場。3/4が女声というくらいの配分。サントリーホールのステージ裏の席一杯に国立音大合唱団が入ります。これまで厳しい練習を積んできたとの事。

そしてオケが入ってチューニングが済むとしばらくでスクロヴァチェフスキが登場。膝でも悪いのでしょうか、歩く姿は流石に年齢を感じさせます。ただし指揮台にのぼり独特の短い指揮棒を振り上げた途端、ホール内の空気が一変。速めのテンポとキレのいいヴァイオリンのボウイングが印象的なキリッとした1楽章。最初はバランス重視で均衡した演奏でしたが、徐々に力感が漲り、1楽章の中盤に入るとオケの全奏はホールを突き破らんがごとき迫力。ホール中の観客を圧倒し始めます。前半は抑えていた事を振り切れた音響によってはじめて気づかされるようでした。キリッと引き締まり大きな起伏も描かれる素晴らしい1楽章。
さらに素晴らしかったのが2楽章。燃えたぎる火の玉、エネルギーの塊のようなモルト・ヴィヴァーチェでした。速めのテンポはそのままに凄まじい起伏。N響のティンパニは今日は素晴らしい出来。まるで鬼太鼓座のような渾身の一撃。これほどの迫力のこの楽章ははじめて。スクロヴァチェフスキが頬を膨らましながら手を振り回してオケを煽り、オケも抜群の精度でそれに応えていました。鳥肌がたつような痛快さ。ベートーヴェンが聴力を失ってから想像した音響。ベートーヴェンもここまでの迫力は想像し得なかったのではないかと思うほどの渾身の出来でした。
そしてアダージョ。このアダージョはブルックナーを得意とするスクロヴァチェフスキならでは。特にチェロとコントラバスがホール内を揺らさんばかりの図太い響きで美しいメロディーを描き、すべての楽器が独立しながらも有機的に絡み合っていく様は非常に高度な音楽的感興をもたらします。遅めのテンポでじっくり描いたアダージョは期待通りのすばらしさでした。
そして終楽章。3楽章から間を置かずすぐに入りますが、普通は3楽章に入るところでソロ歌手が入場するのですが、今日は終楽章がはじまっても歌手はステージ上にいません。オケのみの演奏がしばらく続き大音量となったところで、歌手陣とグランカッサなどの鳴りもの陣がそろりとステージに入ります。歌手はオール日本人。出演者は上のリンクをご覧ください。歌手陣はいい出来。特にテノールの福井敬さんの突き抜ける高音域は素晴らしい迫力でした。そして秀逸だったのは国立音大の合唱団。非常に精度の高い合唱で、しかもスクロヴァチェフスキのコントロールに見事に反応して、デュナーミクのコントロールも完璧。終楽章は後半になるにつれ徐々にテンポを落とし、終盤はベートーヴェンなのにまるでブルックナーのような白亜の神殿の大伽藍が出現。ホール中に歓喜の歌が溢れ荘厳というか幽玄ですらある響きの渦に。最後はスクロヴァチェフスキがオケを煽って速めのテンポでキリッとフィニッシュ。ブラヴォーの嵐、天から降り注ぐ拍手。素晴らしいひと時でした。

延々と拍手が続きましたが、印象的だったのはスクロヴァチェフスキがステージに上がる度に合唱団をたたえていた事。合唱指揮の田中信昭さんも80歳代とのことですが、この2人の作った音楽は、若々しさとエネルギーに満ちていました。合唱団の最後の一人が去っても鳴り止まぬ拍手にスクロヴァチェフスキが再びステージに登場、満面の笑みで拍手に応える姿が印象的でした。

今日は人の作る音楽のこれ以上ない素晴らしさに出会った気がしました。素晴らしいコンサートに感謝です。

私がスクロヴァチェフスキの演奏にはじめて触れたのもテレビで放映していただいぶ前のN響を振った第九。テレビ画面からも発せられるオーラに釘付けになったのを覚えています。今日のコンサートのパンフレットによれば、スクロヴァチェフスキが以前に第九を振ったのは2000年とのことで、かれこれ10年以上も前のことだったわけですね。後何回聴く事ができるでしょうか。入口でもらったチラシでは3月に読響でブルックナーを振るそう。また行きたくなってしまいました。



コンサートの興奮も覚めませんが、お腹も減ってきたので、前回もよった、アークヒルズのカレー屋さん「フィッシュ」へ。今日も美味しかったです。

食べログ:フィッシュ

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まずはビール。

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そして、チキンカレー。

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名物フィッシュ&キーマ。

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ついでにグラスワインも(笑)

コンサートの余韻に浸るため、今日のお食事情報は簡単に。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : サントリーホール ベートーヴェン 第九 N響

デュトワ/NHK交響楽団のマーラー「一千人の交響曲」

今日はチケットを取ってあったN響のコンサートを聴きに渋谷のNHKホールへ。

NHK交響楽団:第1715回定期公演 Aプログラム

マーラー 交響曲第8番「一千人の交響曲」
シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団
ソプラノ:エリン・ウォール(Erin Wall)
ソプラノ:中嶋彰子
アルト:イヴォンヌ・ナエフ(Yvonne Neaf)
アルト:スザンネ・シェーファー(Susanne Schaeffer)
テノール:ジョン・ヴィラーズ(Jon Villars)
バリトン:青山 貴
バス:ジョナサン・レマル(Jonathan Lemalu)
合唱:東京混声合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
ソプラノ(オルガン横):天羽明惠

マーラー最大規模の交響曲で、マーラーのオラトリオとも言える大曲。この曲は1980年に小沢征爾と新日本フィルの演奏を東京文化会館で聴いて以来です。かれこれ30年以上前という事になりますね。当時小沢征爾と言えば大曲をスペクタクルに振るというイメージ。覇気に溢れた伸びのあるコントロールと晋友会の精度抜群のコーラス、そして何よりホールを吹き飛ばさんばかりの大迫力に圧倒されたものでした。今回はやはり老練の域に入ったデュトワの一千人ということで、珍しくマーラーのコンサートへ。

デュトワを生で聴くのは実ははじめてです。デュトワはモントリオール交響楽団とDECCAに大量の録音を残しており、N響の音楽監督を務めていたこともあり日本ではおなじみの人でしょう。私がデュトワに興味をもったのはDECCAではなくDeutsche Grammophonにロンドン交響楽団と入れたストラヴィンスキーのペトルーシュカ。抜群のキレと鮮明な録音で後年モントリオール交響楽団とのDECCAの録音よりもいいですね。イメージとしては大局的に曲をカッチリ仕上げていく人との印象。淡々とコントロールしながら色彩感あるオケを上手く鳴らしてあまり小細工はしない人ですね。マーラーの録音はあまり聴いた事がありませんが、デュトワの振るマーラーは如何なるものか興味があり、チケットを取った次第。

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今日は開演が6時で開場が5時と土曜日ならではの時間。5時過ぎにはNHKホールに到着。お昼まで降っていた雨は上がっていたんですが、湿度が高く蒸すような感じさえしました。

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いつものようにサンドウィッチで軽くお腹を満たします。今日はビールじゃなくて赤ワインにしました。開演まで余裕があるのでホワイエでのんびり過ごします。

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今日の席は2階右側奥の席。チケットの発売から少し経ってから取ったので後ろの方の席ですが、この席は今日の曲ではポイントになる席でした。

開演時刻の5分前くらいから合唱団が入場し始めます。ステージ上のひな壇の上から次々に入っていきますが、流石に大合唱団、男性、女性と入り、つづいて児童合唱団、その両脇に再び女性合唱が入り、ステージ裏の反響版の際までぎっしりの合唱団。続いてオケが入りチューニングに入るまで10分以上かかりました。広いNHKホールとはいえ、ステージ上はオケと合唱団が隙間なく入り壮観です。

チューニングが終わるとソリスト7名とデュトワが入り万来の拍手に包まれます。

第1部:讃歌「来たれ、創造主たる聖霊よ」
冒頭のオルガンの重低音からはじまる第1部。冒頭は迫力は感じるもののオケがまだ固く、また湿度が高かったせいか楽器の鳴りがまだ良くないような印象。デュトワは大オーケストラと大合唱団を掌握しようと、大きなアクションでオケを煽ります。今日はちょっと金管の安定感が今ひとつ。しばらくするとオケの音色も落ち着いてきて、精度も上がってきます。第1部の終結部のクライマックスに至り、ちょっとビックリ。ちょっと前の通路に譜面台がありましたが、それを演奏中にもかかわらずホールのスタッフの方が持ち上げ、楽譜を見るためのランプに灯を入れます。そこに金管奏者8人が現れ、第1部の最後に天から降り注ぐようなメロディーを演奏。そのやり取りをビックリしながら見ていたせいか、第1部のクライマックスはちょっと集中できませんでした。ホールを揺るがす大音響に会場内も手に汗握る状況。最後の一音の余韻が消え入るまで、ホールは静寂に包まれました。流石デュトワのコントロールと言うべきクライマックスへの盛り上げ方でした。

第2部:ファウストの終幕の場
第2部は圧巻の出来。素晴らしかったです。第1部でオケが暖まったのか、またデュトワもペースをつかんだのか、第2部は冒頭から緊張感が漲る絶妙のコントロール。長大な第2部ですが、抑えた部分のフレーズをくっきり描き、また適度にテンポを変化させながら闇の深さを表現していくような密度の濃い音楽が流れます。歌手は粒ぞろい。体格の良い外人の歌手に混ざって、日本人の歌手の方も決して劣るようなことはなく、張りのあるいい声でした。印象に残ったのはアルトのイヴォンヌ・ナエフ、バリトンの青山貴、バスのジョナサン・レマル。特にバリトンの青山さんは存在感のある非常にしっかりとした声で良かったです。合唱の東京混声合唱団も手堅い出来。入りがおくれたりテンポが乱れることもなく盤石の出来。ところどころ入る児童合唱は中学生中心のように見受けられましたが、児童合唱ならでは透明感ある響きがきっちり表現できていて良かったです。
第2部も後半に入るとデュトワの棒が冴え渡り、マーラーの叙情的な静かな美しい旋律を磨き抜かれた響きで表現。今まで聴いたこの曲の解釈の中では最も深くこの長大な曲の構造を彫り込んだような演奏でした。そして圧巻は第2部の終結部への盛り上げ方。どうしても間延びした部分が出来てしまうこの曲を、完璧に自分の音楽にした上で、フレーズひとつひとつを組み立てながら流麗な音楽を重ね、最後は宇宙が鳴動するような響きのカオスへ。
再び目の前に金管8人が現れ最後の爆発の響きをホールの奥から振りまきます。この第2部のコントロールは鳥肌が立たんばかりの見事なもの。デュトワ先生、圧巻でした。

もちろんホールは割れんばかりの拍手とブラヴォーの嵐。何度もカーテンコールが繰り返され、合唱団の最後の列が開場を去るまで暖かい拍手が続きました。

今日はデュトワの底力を知った気がしました。オケは前半粗かったものの徐々に調子をあげ、最後は渾身の演奏。ただ金管はもっと練習した方がいいですね、今日の素晴らしいコンサートに唯一水を差した形です。



コンサートが終わってお腹も減ったので、久しぶりにパルコのレストラン階へ。

食べログ:ニャーベトナム渋谷パルコ店

最近ベトナム料理づいています(笑) なんとなく美味しいフォーが食べたくなり飛び込みで入ってみました。

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ベトナムのビール、「サイゴンスペシャル」と嫁さんはグァバジュースベースのカクテル「サイゴン・サイゴン」。ベトナムビールは悪くありません(笑)

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フォーのセットについてくる生春巻き。

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同じくセットについてくる前菜3点。どれも穏やかな味付けで美味しくいただきました。

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こちらが蒸し鶏のフォー。意外にスープの出汁が濃いめでしっかりした味。鶏のスープが良く出て美味。

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こちらが海鮮のフォー。こちらの方がスープがあっさり目でフォーらしい爽やかさがありました。お米の麺ですが、これが日本ではなくベトナムのものというのが不思議なところ。さっぱりした味は日本人の舌にも良くあいますね。このあとココナッツミルクにアズキを浮かべたデザートがでて終了。

このお店も悪くありません。キビキビ働く店員さんがなかなか気が利いて楽しく食事が出来ました。

このあと久しぶりの渋谷なので、音楽の聖地、タワーレコード渋谷店にたちより、いろいろ仕入れました。このあたりは今後のレビューで取りあげたいと思います。

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tag : マーラー N響 ベトナム料理 NHKホール

ヨーゼフ・カイルベルト/N響の「驚愕」ライヴ

昨日、一昨日の土日はなぜか仕事で早朝から遅くまで力一杯働いたので、疲労困憊。ということで今日は仕事を午前中で切り上げ、午後半休。疲れてとぼとぼ帰るところですが、渾身の力でディスクユニオンに寄って珍品探し。そう、ストレス発散には音楽が必要なんです。

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今日見つけたのは、ヨーゼフ・カイルベルト(Joseph Keilberth)指揮のNHK交響楽団の演奏でハイドンの交響曲94番「驚愕」、モーツァルトの交響曲41番「ジュピター」、ヘンデルの合奏協奏曲Op.3-2の3曲を収めたアルバム。収録はハイドンが1968年5月14日、前川国男設計のかつてのオーケストラの殿堂、東京文化会館大ホールでの収録。レーベルはキングレコードのNHK CDと題されたシリーズ。発売は2003年ですが、同シリーズの他のアルバムが現役盤なのに対しこのアルバムは廃盤のようですね。

カイルベルトといえば、最近ではTESTAMENTレーベルから発売されたワーグナーの「ニーンベルンクの指輪」が話題になりましたが、私はあまりなじみのない指揮者。HMV ONLINEで検索するとワーグナー、モーツァルト、リヒャルト・シュトラウスあたりのアルバム、それもオペラが多いですね。

カイルベルトについてあらためて調べてみると1908年、ドイツ南部フランス国境に近いカールスルーエに生まれました。カラヤンと同年生まれということになります。このアルバムの収録された1968年の7月20日にバイエルン国立歌劇場で「トリスタンとイゾルデ」の公演中に心臓発作で亡くなっていますので、この録音自体亡くなる3ヶ月前の録音ということになります。音楽一家に生まれ、最初はコレペティドール(音楽家に稽古を付ける際のピアノ奏者)から始まり、バンベルク交響楽団、ドレスデン・シュターツカペレ、ベルリン国立歌劇場、ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団など、ドイツの主要オケの指揮者を務めました。1952年か1956年までバイロイト音楽祭でワーグナーを振り、その時のライヴが現在いろいろリリースされているということでしょう。1959年よりバイエルン国立歌劇場の音楽総監督となり、最後のトリスタンに至ったわけですね。キャリアも得意とする音楽もドイツものを中心にしてきた人ですね。モーツァルトはともかくハイドンの録音は少なく、本アルバムは貴重なものでしょう。

交響曲94番「驚愕」(Hob.I:94)1791年作曲
CDをかけてビックリしたのが録音の良さ。1968年のライヴとしては完璧な仕上がりでしょう。東京文化会館のコンクリートと木製のレリーフのモダン調のホールのリアリティある音響が完全に再現されています。分厚いしかもキレのいいオーケストラの響きが圧倒的な存在感。ときおり会場ノイズが聴こえますが気になるほどではありません。流石NHKの収録といったところでしょう。1楽章は一言でいうと質実剛健。じっくり遅めのテンポでハイドンの名曲の構造を3Dで見せるようながっしりした演奏。カイルベルトがドイツものを得意としていることがよくわかる演奏。N響なんですが、ドレスデン・シュターツカペレのような音といってもいいでしょう。オケには力が漲り一音一音が素晴らしい迫力。陽光に輝く大理石の神殿を臨むような彫刻的な演奏。
2楽章のアンダンテは非常に遅いテンポ。一貫してガッチリした音響。ビックリの部分はビックリするというよりオケの底力を見せつけるような圧倒的な響き。先日聴いたヨッフムの流麗なハイドンとは同じドイツ系の演奏でも全く異なる重厚なハイドン。後半の展開部の演奏は弩迫力。揺るぎない響きが観客を襲います。
3楽章のメヌエットは逆に力感はあるものの、多少力を抜いて舞曲らしさを演出。ちょっと溜を効かせてこれまでの楽章と変化をつけます。コントラバスなどの低音弦楽器が非常に反応がいいですね。アクセントも結構明解なので舞曲の面白さが伝わります。
終楽章の入りはスピードが上がり、この演奏のなかでも最も流麗な演奏。1楽章の構築感、アンダンテの迫力、メヌエットの変化、そしてフィナーレは流麗な迫力で聴かせるというはっきりした意図を感じます。最後は素晴らしい迫力でフィニッシュ。そして割れんばかりの大音量の拍手。当日の会場の興奮がつたわる名録音ですね。

ドイツの伝統を感じる骨太の驚愕でした。N響も熱演で緊張感あふれる演奏。当時の楽団員とカイルベルトの信頼関係を感じさせる名演奏といっていいでしょう。やはりライヴはいいですね。評価は[+++++]とします。ハイドンの演奏としては骨太すぎるという印象を持つ人もいるかもしれませんし、アンダンテの遅さはちょっと時代がかっているように感じる人もいるかもしれませんね。ただ、ライヴとしての面白さ、貴重さ、録音のよさは素晴らしいものがあります。またN響に客演したカイルベルトの演奏の貴重な記録としても価値のあるものでしょう。



今日は平日昼間にディスク・ユニオンでのんびり物色したあと、もう仕事に戻らなくていいので、疲れた体にご褒美を(笑)

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キンキンに冷えた生ビールです。染み渡るような美味さ。昼から生ビールとは極楽浄土ですね(笑)
立ち寄ったのは、近くに来たときにたまに寄らせていただく新宿南口からすぐのところにあるとんかつ屋さん。小さなお店ですが、とんかつは非常に美味しいお店です。

食べログ:とんかつ専門店 とん竹

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新宿南口のルミネの角から代々木に向かってすぐ左にあるお店です。

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ランチタイムですが、ランチメニューではなく「ヒレカツ定食」。私はとんかつはヒレ派です。いい加減いい年ですのでヒレの方が口に合います。今日もレモンをきゅっと絞って、ソースとたっぷりのカラシをつけていただきます。お腹がすいたちょっと遅めのお昼。ビールとヒレカツで昇天、成仏しました。いつもながら美味しかったです。

先週から働き詰めで睡眠不足故、帰りの電車の眠いこと眠いこと。一休みしてからこのアルバムを聴いてようやく記事アップとなりました。明日は月末故恒例のHaydn Disk of the Monthの発表です。どのアルバムを選びましょうか、、、これから検討します。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : 驚愕 ライヴ録音 おすすめ盤 N響

サヴァリッシュ、N響の天地創造ライヴ

本日は、先日ディスクユニオン神保町店で仕入れた、珍しいアルバムを。

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レーベルはなんと、BMW Japan。これはBMW Japanの設立10周年を記念して開かれたコンサートをライヴ収録したもの。コンサートは1991年10月13日にサントリーホールで開かれたもの。ライナーノーツの最初に記載された当時のBMW Japanの社長であるハンス=ペーター・ゾンネンボルンの挨拶文によると、このコンサートには定員の10倍もの応募があったとのことで、そのライヴ盤を制作し申込者に配布したものとのこと。ということでこのアルバムは一般に販売されたものではありません。設立10周年の記念にお客さんを招待して天地創造をやるとは、流石ドイツの会社、というより社長の力量でしょうか。

演奏陣がまた凄いメンバー。指揮はウォルフガング・サヴァリッシュにオケがNHK交響楽団、合唱が東京芸術大学合唱団(合唱指揮は田中信昭)。ソロはソプラノがドンナ・ブラウン(Donna Brown)、テノールがヘルベルト・リッペルト(Herbert Lippert)、バスがなんとクルト・モル(Kurt Moll)です。サヴァリッシュとN響は当時国内で天地創造をやるといったらベストに近い選択でしょう。しかも歌手にはあのバーンスタインのDVDで完璧な歌唱を聴かせたクルト・モルに、アーノンクールのミサなどのテノールを担当するリッペルト、そしてガーディナーのミサ曲などでソプラノを担当する、ブラウン。歌手の布陣は企業の主催するコンサートとしては申し分ないものでしょう。

演奏はサヴァリッシュらしい、ドイツ正統派の重厚な響き。古典的な雰囲気を出すために音を短めに切っている感じもあります。いい意味でちょっと重めのテンポにのって、じっくり溜めながらオケが序奏を演奏。第一声のラファエル役のクルト・モルの素晴しいバスの響き。録音は鮮度が十分ではありませんが、会場の雰囲気をちゃんと伝えており鑑賞には問題ありません。会場のノイズはほとんど気になりませんので、何らかの処理をしているんでしょうか。ウリエル役のリッペルトは地味ながら安定した歌唱。そして芸大の合唱も力の入ったいい歌唱ですね。ガブリエル役のブラウンは透明感のある高音の抜ける響きが美しいですね。いつものトラック8のガブリエルのアリアでは美声を轟かせます。3人とも安定感は流石ですが、やはり、モルの圧倒的な存在感がこの演奏の支えとなっていますね。ちょっと癖のある声ですが、正確なテンポ感と揺るぎない岩のような迫力はずば抜けています。
トラック10から13に書けての第一部のクライマックスへの盛り上げ方は、流石ライヴというべきで、落ち着きを失わないサヴァリッシュのにらみがきいていながら、オケは頂上に一歩一歩近づいていく感じ。トラック13は素晴しいふけ上がり。

第二部に入ると、オケがあったまったのか、よりリラックスして弾いているように聴こえます。トラック18の3重唱は見事の一言。そしてトラック19の盛り上がりでCD1を終わります。
CD2に入り、第二部後半は名曲のオンパレード。まずは、トラック3の第22曲「神を讃える人間の必要性」、かなりテンポを落として神々しさを演出。モルの圧倒的なバスの存在感。そして、トラック5、第24曲「神の姿に似た人間の創造」。サヴァリッシュの重厚なテンポの伴奏にのって爽やかなリッペルトのテノールが微風のよう。そして第二部の終曲はビッチリメリハリをつけて終わります。

花園ともいうべき第三部。あったまったオケとサヴァリッシュの巧みなコントロール。アダムとエヴァの掛け合いは意外に少し速いテンポに変わり、絡み合いの妙を聴かせます。最後の第34曲はサヴァリッシュ大爆発。なんと神々しい序奏。これまでの演奏の総決算的、重厚なリズムに天から光が射すような神々しさ。最後は拍手喝采に包まれます。いやいや、これは素晴しい演奏。当日のホールの興奮が伝わってきますね。

評価はもちろん[+++++]としました。特に第二部、第三部の出来は素晴しいの一言。オケとソロが徐々に火がついて、だんだん表現が深くなっていくところが聴き所でしょう。これは、BMW Japanのみならず、BMWのドイツ本国のお客さんにも配るべき名演奏だと思います。91年といえばバブル絶頂期の芳香を放っていた怪しい時代でもありますが、この時期にこれほど深い文化の淵を見せてくれたBMWの見識を見直さざるを得ませんね。

テーマ : クラシック
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tag : 天地創造 ライヴ録音 おすすめ盤 N響

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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ピアノ協奏曲XVIII:11序曲ヴィヴァルディ軍隊バッハオペラ序曲ベートーヴェンアリア集パイジェッロ弦楽四重奏曲Op.76皇帝ヒストリカル日の出モーツァルトピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6すみだトリフォニーホールピアノソナタXVI:46ピアノソナタXVI:49ピアノソナタXVI:34ピアノソナタXVI:20ブーレーズサントリーホールラヴェル弦楽四重奏曲Op.71弦楽四重奏曲Op.74変わらぬまこと騎士オルランドアルミーダチマローザ無人島哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ英語カンツォネッタ集ピアノ協奏曲XVIII:4ピアノ協奏曲XVIII:1ピアノ協奏曲XVIII:3弦楽四重奏曲Op.20アレルヤ交響曲79番交響曲3番古楽器ラメンタチオーネ交響曲88番オックスフォードチェロ協奏曲1番驚愕交響曲27番交響曲58番交響曲19番アンダンテと変奏曲XVII:6紀尾井ホールショスタコーヴィチストラヴィンスキードビュッシーピアノ三重奏曲ミューザ川崎オーボエ協奏曲LP協奏交響曲ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:29ピアノソナタXVI:38スタバト・マーテルピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:48ピアノソナタXVI:39ブルックナーマーラー十字架上のキリストの最後の七つの言葉交響曲97番告別交響曲90番奇跡交響曲18番交響曲99番弦楽四重奏曲Op.64ひばりフルート三重奏曲悲しみ交響曲102番交響曲86番ヴァイオリン協奏曲哲学者ニコライミサミサブレヴィス小オルガンミサ交響曲95番交響曲93番交響曲78番時計ピアノソナタXVI:23王妃ピアノソナタXVI:52SACD武満徹ライヴ録音チェロ協奏曲交響曲80番交響曲81番交響曲全集マリア・テレジア交響曲21番豚の去勢にゃ8人がかりクラヴィコードBlu-ray東京オペラシティ交響曲9番交響曲11番交響曲12番交響曲10番太鼓連打ロンドン交響曲15番交響曲4番交響曲2番交響曲37番交響曲1番弦楽四重奏曲Op.54ピアノソナタXVI:2ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:3ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:5天地創造ディヴェルティメントリヒャルト・シュトラウス東京芸術劇場交響曲98番ピアノソナタXVI:35ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:36ライヒャドニぜッティロッシーニ弦楽三重奏曲シェーンベルク東京文化会館フルート協奏曲ホルン協奏曲弦楽四重奏曲Op.2弦楽四重奏曲Op.17弦楽四重奏曲Op.9剃刀弦楽四重奏曲Op.103弦楽四重奏曲Op.77ピアノソナタXVI:26ピアノソナタXVI:31ファンタジアXVII:4アレグリタリスモンテヴェルディバードパレストリーナピアノソナタXVI:6美人奏者四季交響曲70番迂闊者ピアノ協奏曲XVIII:7アコーディオンバリトン三重奏曲スコットランド歌曲ガスマンヴェルナーシューベルト交響曲67番ピアノソナタXVI:24交響曲35番交響曲51番交響曲46番DVD交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:28ピアノソナタXVI:21アリエッタと12の変奏XVII:3ラ・ロクスラーヌ帝国ハイドンのセレナードピアノソナタXVI:51ラルゴ五度ピアノソナタXVI:44ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.1弦楽四重奏曲Op.33騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス時の移ろい交響曲42番ベルリンフィルホルン信号弦楽四重奏曲Op.55交響曲87番トランペット協奏曲ピアノソナタXVI:10リュートピアノ五重奏曲チェチーリアミサラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン東京国際フォーラム雌鶏交響曲39番冗談ナクソスのアリアンナピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2ロンドン・トリオオフェトリウムカノンドイツ国歌モテット弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールパッヘルベルアダージョXVII:9受難交響曲84番パリセットベルク主題と6つの変奏オペラアリアスクエアピアノピアノソナタXVI:41交響曲68番交響曲57番リラ・オルガニザータ協奏曲リーム交響曲89番交響曲50番CD-R偽作トビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師オルガン協奏曲交響曲38番火事リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲77番交響曲34番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日校長先生ピアノ小品ピアノソナタXVI:47bisピアノソナタXVI:11音楽時計曲カートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲91番交響曲66番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響第九オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7天地創造ミサジャズネルソンミサ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルンライヴ府中の森芸術劇場裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャマリアテレジア交響曲56番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ新橋演舞場交響曲5番テ・デウムサルヴェ・レジーナカッサシオン室内楽曲ピアノソナタXVI:45ベトナム料理国立新美術館高音質CD交響曲28番交響曲13番交響曲108番交響曲107番交響曲62番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲スカルラッティ声楽曲カンタータ戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲54番交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲65番交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽狩りピアノソナタ

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2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
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