ニコラス・クレーマー/BBCフィルの哲学者、ラメンタチオーネなど(ハイドン)

今日はちょっと心ときめくマイナー盤。

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ニコラス・クレーマー(Nicholas Kraemer)指揮のBBCフィルハーモニック(BBC Philharmonic)の演奏で、ハイドンの交響曲22番「哲学者」、26番「ラメンタチオーネ」、67番、80番の4曲を収めたCD。収録は哲学者が2008年6月26日、ラメンタチオーネが2009年1月28日、残り2曲が2007年6月21日、マンチェスターの新放送室第7スタジオでのライヴ。2009年のBBC music誌(Vol.17 No.11)の付録CD。

BBC music誌の付録はこれまでにもホグウッドの未発表録音だった交響曲76番、77番や、ジャナンドレア・ノセダの太鼓連打など、珍しい録音を何枚か手に入れています。今日取り上げるアルバムも含めてこれらは全て中古での入手。このアルバムもディスクユニオンで入手しました。

ニコラス・クレーマーはあまり知らない人と思いきや、以前に一度演奏を取り上げていました。

2010/10/09 : ハイドン–声楽曲 : アンドレアス・シュペリングのカンタータ集

上の記事のアンドレアス・シュペリングの祝祭カンタータ集の最後に収められた交響曲12番がクレーマーの指揮でした。シュペリングの繰り出す華やかな響きに対して、ゆったり慈しみ深い演奏が印象に残っています。

Wikipediaなどによるとニコラス・クレーマーは1945年スコットランドのエジンバラ生まれの指揮者、ハープシコード奏者。最初はハープシコード奏者として主にオーケストラのコンティニュオを担当していましたが、徐々に指揮する機会に恵まれ、1970年代にはイギリス室内管などの弾き振りなどで活躍、レパートリーもバロックから現代音楽まで拡大しました。その後1986年から92年までアイルランド室内管弦楽団、1985年から93年までロンドン・バッハ管弦楽団の音楽監督を務め、現在はマンチェスター・カメラータとシカゴのミュージック・オブ・ザ・バロックの首席客演指揮者、スイスのヴィンタートゥール・ムジークコレギウム管弦楽団の永世客演指揮者となっています。ライナーノーツによると、このアルバムのオケであるBBCフィルハーモニックとは日常的に仕事をしているそうです。

このアルバムに収められた4曲の交響曲ですが、これがまた癒しに満ちた素晴らしい演奏でした。

Hob.I:22 Symphony No.22 "Philosopher" 「哲学者」 [E flat] (1764)
冒頭からゆったりとしたオーケストラの美しい響きに癒されます。規則的なテンポに乗って各楽器が独特のシンプルなメロディーを受け継いでいきますが、録音は非常に良く、オケのそれぞれの楽器が溶け合って極上のとろけるような響き。弦楽器のビロードのような柔らかさ、木管楽器の自然な表情、そしてホルンの膨らみある柔らかさと言うことなし。BBCフィル素晴らしいですね。いきなりこの曲の真髄を突く演奏に惹きつけられます。
つづくプレストは穏やかながら躍動感満点。オーソドックスな演奏なんですが、このしなやかに躍動するリズムと、実に丁寧に繰り出される旋律の美しいこと。メロディーよりも支える内声部のハーモニーの美しさを意識したのか、若干弱めのメロディーがいいセンス。
メヌエットも穏やかながら実にキレのいい表現。奏者が完全にクレーマーのリズムに乗って素晴らしい一体感。ただ演奏するだけでハイドンの名旋律の美しさにとろけます。そしてフィナーレも期待どおり。ホルンがここぞとばかりにキリリとエッジを効かせてアクセントを加えます。素晴らしい疾走感。オケの響きは相変わらず極上。速いパッセージも落ち着きはらってさらりとこなす余裕があります。これは素晴らしい名演奏。名演の多いこの曲のベストとしても良いでしょう。放送用の録音ということでしょうか、最後に拍手が入ります。

Hob.I:26 Symphony No.26 "Lamentatione" 「ラメンタチオーネ」 [d] (before 1770)
哲学者以上に好きな曲。仄暗い始まりはシュトルム・ウント・ドラング期のハイドン特有の気配を感じさせます。この曲はピノックのキビキビとした演奏や、ニコラス・ウォードの名演が印象に残っていますが、同じスコットランドのウォードの演奏と似たオーソドックスなスタイルながら、ニュアンスの豊かさと響きの美しさはウォードを凌ぐ超名演。この曲でも美しい響きとメロディーのしなやかな展開、さっと気配を変える機転とクレーマーの繰り出す音楽にノックアウト。これは素晴らしい。オケも素晴らしい安定感。ライヴのノイズも皆無なのにライヴらしい躍動感に溢れています。
聴きどころの2楽章は予想より少し速めのテンポでサラリと入ります。聴き進むうちにじわりとこの曲の美しさに呑まれていきます。1楽章の豊かな響きをサラリと流すような清涼感が心地よいですね。
フィナーレも素晴らしい充実度。微妙にテンポを動かして豊かな音楽に。いやいや参りました。

Hob.I:67 Symphony No.67 [F] (before 1779)
録音が少しクリア度を増した感じ。冒頭から素晴らしい迫力と躍動感に圧倒されます。オーソドックスな演奏なんですが、正攻法での充実した演奏に圧倒されます。時代は古楽器やノンヴィブラート流行りですが、こうした演奏を聴くと、小手先ではなく曲をしっかりふまえた演奏の素晴らしさこそが重要だと改めて思い知らされます。よく聴くと弱音部をしっかりと音量を落として、しっかりと彫りの深さを表現していることや、畳み掛けるような迫力と力を抜く部分の表現のコントラストを巧みにつけるなど、やることはしっかりやっています。
弱音器付きの弦の生み出すメロディーのユニークさが聴きどころの2楽章のアダージョ。うねる大波のような起伏と、木管の美しい響きを象徴的に配して、静けさのなかにアクセントを鏤める見事なコントロール。終盤のピチカートは聴こえる限界まで音量を落とす機転を利かせます。
堂々としたメヌエットにヴァイオリンのリリカルな演奏が印象的な中間部とこれも見事。大胆なコントラストをつけているのに落ち着ききった演奏。そしてフィナーレは素晴らしい覇気のオケの響きを楽しめます。前2曲よりも時代が下ったことでオーケストレイションも充実していることを踏まえての表現でしょう。この曲ではコントラストの鮮明さが印象的でした。この曲も見事。

Hob.I:80 Symphony No.80 [d] (before 1784)
最後の曲。さらに時代が下り、オケも迫力十分。クレーマーの丁寧なコントロールは変わらず、オケのとろけるような響きの良さと安定度も変わらず。この曲のみ低音弦の音量が他曲より抑えている感じ。
アダージョのしっとりと落ち着きながらのゆるやかに盛り上がる曲想の表現、メヌエッットの自然さを保ちながらのキビキビとしたリズムのキレ、フィナーレの掛け声の応報のようなコミカルな展開の汲み取り方など非常に鋭敏なセンスで演奏をまとめます。もちろんこちらも見事。

BBC music誌の付録としてリリースされたアルバムですが、これが類稀なる名演奏でした。指揮のニコラス・クレーマー、特に日本ではほとんど知られていないと思いますが、以前取り上げた交響曲12番とこのアルバムを聴くと、そのオーケストラコントロール力はかなりのもの。特にハイドンの交響曲のツボを押さえていますね。この優しい、しなやかな演奏を好む人は多いと思います。ニコラス・ウォードのハイドンを超える素晴らしい演奏です。ということで4曲とも評価は[+++++]とします。中古で見かけたら即ゲットをお勧めします。

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tag : 哲学者 ラメンタチオーネ 交響曲67番 交響曲80番 ライヴ録音

【新着】ハイデルベルク交響楽団の35番、46番、51番(ハイドン)

前記事で取り上げたトーマス・ファイとハイデルベルク交響楽団による交響曲全集の23巻ですが、今日はその続きでCD2を取り上げます。前記事はこちら。

2017/03/05 : ハイドン–交響曲 : 【新着】トーマス・ファイの交響曲全集第23巻(ハイドン)

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前記事の再掲になりますが、収録情報にも触れておきましょう。CD2はファイの名前はなく、ベンジャミン・シュピルナー(Benjamin Spillner)がコンサートマスターを務めるハイデルベルク交響楽団の演奏で、交響曲35番、46番、51番の3曲。収録は2016年6月、ハイデルベルクの西20kmくらいのところにあるバート・デュルクハイム(Bad Dürkheim)にあるナチュラルホルンアカデミーでのセッション録音。レーベルはhänssler CLASSIC。

CD1がファイの名前が冠されていただけに、素晴らしい演奏を期待してしまいましたが、ちょっと肩透かしのようになってしまいました。このCD2は、ファイの再起が難しいと判明した後、22巻まで到達した交響曲全集を、オケのみで完成させようと、ある意味開き直っての録音のように思われます。

Hob.I:35 Symphony No.35 [B flat] (1767)
冒頭から格別の覇気が宿っています。勢いだけはまるでファイが振っているように錯覚するほど。まさに開き直ったといわんばかりにオケも攻める攻める。この痛快さを待っていました。よく聴くとファイならもう少し意表をついてくると思わせなくはありませんが、CD1よりもずっとイキイキとした演奏に嬉しくなってしまいます。おそらくCD1がファイのコントロールを失った直後の演奏だったのに対し、こちらはファイの意思を受け継いで、ここまで到達した交響曲全集の完成を志すよう、あらためてファイならばどうしたかをオケ全員が考えて演奏しているようです。まるでファイの魂が乗り移ったようなオケの熱演。この鬼気迫るオケの熱演にちょっと込み上げてくるものを感じます。
驚いたのが2楽章のアンダンテ。まるでファイのようにさらりと来ました! これまでのファイの録音を聴いて研究しつくしたのでしょうか。このさりげなさこそファイの緩徐楽章。もちろん、ファイ自身が振っていたら、もっと閃いていたんでしょうが、CD1で感じたやるせなさとは別次元の仕上がり。
ファイの想像力を再現するのが最も難しいと思われるメヌエットは、若干物足りない印象もありますが、中間部をぐっと落とし込むことでなんとかレベルを保ちます。そしてフィナーレで再び痛快さを取り戻します。オケ全員が偉大な才能に追いつこうと決死の演奏で臨みます。オケの心意気が心を打ちます。

Hob.I:46 Symphony No.46 [B] (1772)
おそらく告別交響曲の後に書かれた曲。ここでもベンジャミン・シュピルナー率いるハイデルベルク交響楽団は、まるでファイが振っているがごとく振る舞い、起伏に富んだ1楽章聴き応え十分な彫りの深さと機知を織り交ぜていきます。これは素晴らしい。よく聴くとファイらしくもあり、ファイらしくなくもあり、ファイなきハイデルベルク響の新たな魅力といってもいいでしょう。指揮者の才能ではなくオケの意思でここまでの演奏に仕上げてくるあたり、気合十分と言っていいでしょう。
つづくポコ・アダージョに入ると表現の変化の幅も十分。ハイドンの音楽を完全に消化して自らの音楽として歌い、仄暗いシュトルム・ウント・ドラング期の静謐な気配まで表現しつくします。指揮者の個性に頼らぬ音楽に聴こえなくもありません。これは見事。
この曲のメヌエットは迷いが無くなり、音楽の説得力が上がります。完全にファイの演奏を真似から脱し、オケ自らの音楽になってきた感じ。フィナーレも絶品。

Hob.I:51 Symphony No.51 [B flat] (before 1774)
前曲同様、表現に迷いなく、素晴らしい演奏。この曲も絶品です。当ブログの読者の皆さんも是非この素晴らしい演奏を聴いていただきたいと思います。

前記事を書いた時に感じた、なんとなくやるせない気持ち、そして悲しい気持ち、そして改めてファイの才能の偉大さに気づいたという気持ち。記事にするかどうか、ちょっとためらい、そしてなんとなくそのまま記事にしてしまったわけですが、今日改めてCD2を聴いて、そうしたもやもやが吹っ切れました。このアルバムが2枚組としてリリースされた深い意味がようやくわかりました。ファイを失い、混乱した状態のCD1に対し、2年という時間をかけてそれを克服し、ファイの遺産に負けないレベルの演奏で残りの曲を演奏し、全集を完成させようとする力強いオケの意思を感じさせるCD2。それをあえてまとめてリリースすることがハイデルベルク交響楽団のやるべきことだと世に問うたのでしょう。私はファイなきハイデルベルク交響楽団の素晴らしい演奏に心から感動しました。評価は3曲とも[+++++]とします。

皆さん、このアルバムは買いです!

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【新着】トーマス・ファイの交響曲全集第23巻(ハイドン)

前記事でファイのハイドンの最初の録音を取り上げアップした翌日に、偶然にも待っていた新譜がamazonから届きました。

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トーマス・ファイ(Thomas Fey)指揮のハイデルベルク交響楽団(Heidelberger Sinfoniker)の演奏で、ハイドンの交響曲6番「朝」、7番「昼」、8番「晩」の3曲に、ファイの名前はなく、ベンジャミン・シュピルナー(Benjamin Spillner)がコンサートマスターと記されハイデルベルク交響楽団の演奏による、交響曲35番、46番、51番の3曲、合わせて6曲を収めた2枚組のアルバム。収録はファイの3曲が2014年3月、他の3曲が2016年6月、どちらもハイデルベルクの西20kmくらいのところにあるバート・デュルクハイム(Bad Dürkheim)にあるナチュラルホルンアカデミーでのセッション録音。レーベルはもちろんhänssler CLASSIC。

このアルバムですが、CD1の3曲はファイの指揮とされる録音。ファイの交響曲集のこれまで最後にリリースされた22巻が2013年の9月から10月の録音。そしてこの23巻の収録が約半年後の2014年の3月とのことですが、22巻のリリースは2014年8月でしたので、このアルバムはそれから2年半も経ってからのリリースとなります。ファイが脳損傷になって再起が危ぶまれるという情報は出回ったのですが、いつ頃のことなのかなど詳しいことはわかりません。私の想像ですが、このアルバムがファイの指揮で編集まで済んでいた状態だったとしたらもう少し早くリリースされていたはずですので、編集段階か、あるいは録音の途中でアクシデントに襲われたのではないかと思います。とすると、このアルバム、前半のファイの指揮の曲の出来もそうした状況の手がかりとなります。

2017/03/03 : ハイドン–協奏曲 : ファイ/シュリアバッハ室内管のピアノ協奏曲集(ハイドン)

前記事のファイの原点たる1999年録音の協奏曲集が素晴らしいキレで度肝を抜く演奏だったのもあって、このアルバムにファイの最後の魂が乗っているかが非常に気になり聴き始めた次第。

Hob.I:6 Symphony No.6 "Le matin" 「朝」 [D] (1761?)
聴く耳を立てているせいか、厳かな始まりに聴こえます。演奏としては快活ないい演奏なんですが、ファイらしい個性というか突き抜けたところが影を潜め、普通に精緻ないい演奏。低音弦のキレ方などはファイの特徴を感じさせますが、ファイだったこちらの想像を超えるアイデアが次々とくりだされてくるはずとの先入観に対して、普通に精緻な今風の演奏。もしかしたら、この録音、最後までファイが振ったものではないのではないかとの想像がよぎります。こちらの期待を蹴散らす豪放さがないのでちょっと肩透かし。
つづくアダージョ楽章はファイならば表情を抑えて淡々とくるところですが、ほどほどに起伏もあり、こちらも普通にいい演奏。録音がいいので弦楽器の響きの美しさは惚れ惚れするほど。落ち着いたテンポによる丁寧な表現がかえってファイっぽくない感じを醸し出してしまいます。こちらも普通にいい演奏なんですが、ファイらしさがあまり感じられません。
メヌエットも実にゆったりとした表情で進みます。ファイだったらこうはしないと思います。導入も展開部も勢いで攻めてくるところはなく、落ち着いた判断で乗り切ります。
なんとなくここまで特段オケが一肌脱ぐ感じとなったことはなく、終楽章もそれぞれ役割を果たすべくオケの奏者がしっかりと実力を発揮して、演奏を律儀にまとめています。どうしたことでしょう。繰り返しに閃きが宿るわけでもなく、非常にオーソドックスな演奏が続きます。もちろんいい演奏なんですが、ちょっと肩透かしを食らった感じです。

Hob.I:7 Symphony No.7 "Le midi" 「昼」 [C] (1761?)
つづく昼ですが、朝よりもキレていてひと安心。曲想のせいか、展開の速さに合わせて生気が戻ります。朝では踏み込めなかったエネルギッシュな場面も多々あり、なかなかスリリングです。ただ、ファイ特有の多様な変化にまではいたっていません。
2楽章は交響曲には珍しいレチタティーヴォアダージョ。劇的な展開の面白さが聴きどころ。徐々に曲の面白さの真髄にせまりつつあります。次々と繰り出される変化球のようなメロディーの描き分けもなかなかのレベル。かなり踏み込んできていますが、ファイの突き抜けた想像力の域と同じようにはいかないようです。
メヌエットはかなりテンポを落として念入りな描写。念入りなところがちょっと一本調子な印象を残してしまいます。そしてフィナーレもちょっと重さを感じさせるもの。ファイのフィナーレでこのようなことはありません。

Hob.I:8 Symphony No.8 "Le soir" 「晩」 [G] (1761?)
CD1の最後の曲。ここまで一番生気を感じる楽章。勢いで曲をあおっていく迫力を感じます。この曲にはファイの存在が感じられなくもありません。2楽章のアンダンテでも楽器感のバランスやアクセントには閃きが感じられ、穏やかな音楽にもかかわらずキラリとひかるものがあります。音楽も今までで一番起伏に富んでいます。そして3楽章のメヌエットへの入りのセンスも悪くありません。コントラバスのユーモラスなメロディーもそれなりにこなし、演出も十分表現力豊か。ですが、ファイだったらさらに突き抜けた面白さを聴かせるだろうと想像してしまいます。フィナーレも雄弁。あのスリリングさ戻ってきました。

今日のレビューはここまでにしておきます。

ちょっと複雑な心境となってしまった、トーマス・ファイの交響曲の23巻。まったく私の勝手な想像ですが、なんとなくこのアルバムの朝、昼、晩の3曲の録音にあたり、晩はリハーサルまでこなしたところまでファイが関わり、その他の曲は関わってもごく浅いレベルまでだったような気がします。特に昼はまったくファイらしくない単調さや重さが見られ、朝も演奏自体は悪くないものの、これまでの多くの演奏からつたわるファイの個性が感じられません。リリースまで時間がかかったのもこの状態でのリリースについていろいろ考えるところがあったのかもしれませんね。ただ、このアルバムの演奏は、このアルバム自体の良し悪し以上に、この演奏から逆にファイのこれまでの非凡さが浮かび上がるという意味でもリリースした意味があると思います。やはりオーケストラで最も重要なのは指揮者だということがよくわかりますね。これまでファイの全集を応援してきた私としては、このあとリリースされるアルバムの状態如何にかかわらず、サポートしていきたいと思います。評価は晩が[++++]、朝と昼は[+++]とします。

ファイの名をはずしたCD2については次の記事で!

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レイモン・レッパード/イギリス室内管の哲学者、47番(ハイドン)

はい、LPです(笑)

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レイモン・レッパード(Laymond Leppard)指揮のイギリス室内管弦楽団(English Chamber Orchestra)の演奏で、ハイドンの交響曲39番、22番「哲学者」、47番の3曲を収めたLP。収録に関する情報は記載されていませんが、別途リリースされているCDに含まれている47番が1968年12月の録音ということで、おそらく3曲とも1968年ころの録音だと思われます。レーベルは蘭PHILIPS。

このLPは先日開催した第2回ハイドンオフの当日、開催前の時間にディスクユニオンで仕入れたもの。レイモン・レッパードは地味な指揮者ですが、以前取り上げた演奏はなかなか良く、好きな指揮者の一人。そのレッパードのLPを見かけ、収録曲を所有盤リストで調べてみると、39番と47番は手許にCDがあるものの、哲学者については未所有音源だとわかり、手に入れたもの。しかも未所有の曲は好きな「哲学者」で、LPもオランダプレスのPHILIPS盤ということで、手に入れないわけには参りませんね。

2014/11/11 : ハイドン–交響曲 : レッパード、マッケラスの交響曲77番、34番、18番(ハイドン)
2014/03/27 : ハイドン–交響曲 : レイモン・レッパード/イギリス室内管の交響曲39番(ハイドン)
2013/06/01 : ハイドン–協奏曲 : モーリス・ジャンドロンのチェロ協奏曲1番、2番
2012/08/27 : ハイドン–交響曲 : レイモン・レッパード/イギリス室内管のラメンタチオーネ
2011/02/20 : ハイドン–協奏曲 : アルテュール・グリュミオーのヴァイオリン協奏曲
2010/11/03 : ハイドン–オペラ : ベルガンサのオペラアリア集
2010/06/05 : ハイドン–交響曲 : レイモン・レッパードのハイドン

レッパードの略歴などについてはラメンタチオーネの記事をごらんください。今日はこのアルバムに含まれている3曲のうち、冒頭の39番は米Haydn HouseのCD-Rを取り上げており、その原盤がこのLPということで、哲学者と47番を取り上げましょう。39番もCD-RとこのLPの音質比較などをする余地があるのですが、もともとHaydn HouseのCD-Rは湖国JHさんからお借りしていたものということで、手元にないため、比較は断念です。

Hob.I:22 Symphony No.22 "Philosopher" 「哲学者」 [E flat] (1764)
どうもこの曲は好みのツボがあるようで、冒頭から朴訥な音楽が流れると一瞬にしてハイドンの世界に引き込まれます。規則的に刻まれるリズムに乗って木管楽器と弦楽器によって奏でられるメロディーの心地よいこと。LPもミントコンディションで言うことなし。音量を絶妙にコントロールしながらゆったりとした起伏が描かれ、いきなりの味わい深さ。特に音量をスッとおとしながら弱音器つきの弦楽器が奏でるやさしい旋律に癒されます。何もしていないのですが、曲の真髄をえぐる演奏にアドレナリン噴出。
2楽章のプレストは実に落ち着いた演奏。キビキビとしているのですが、盤石の安定感で、オケも軽々と楽しみながら演奏しているよう。1楽章のアダージョでグッと聴かせたあとの爽快なプレスト。まさに展開の妙が味わえます。3曲入りのLPの2曲目ということで、2楽章の終わりでLPをひっくり返さねばなりません。

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3楽章のメヌエットも実に堂に入ったもので、コミカルかつ美しいメロディーの連続にハイドンの交響曲の楽しさが炸裂。適度にキレ良く、適度に弾み、適度に落ち着いたまさに名演奏。この自然さは素晴らしい。
そしてフィナーレに入るとここぞとばかりにオケが踊りだします。弾む弾む。これは演奏していたら楽しいですね。よくぞこれだけ曲に素直に楽しんで演奏できるものです。よく聴くとアクセントに独特なところもなくはないのですが、決して自己主張するようなことはなく、最後まで曲に素直な演奏で楽しませてくれます。これぞハイドン!

Hob.I:47 Symphony No.47 [g] (1772)
つづいて47番。この曲はマリナーの名前付き交響曲集に含まれているのでこのLPではじめて聴くわけではありません。後記するようにこの曲にもニックネームがついているために、マリナーの選集を補完す役割を担わされたということでしょう。演奏のスタイルは哲学者と変わらないものの、曲想にあわせて、冒頭からキレよく入ります。哲学者でもそうでしたが、ホルンの音色が実に美しい。オケの音色に華やぎが加わります。曲が速い分、オケの精度は哲学者より少し荒い気がしなくもありませんが、そんなことが気になるような演奏でもなく、冒頭から曲に引き込まれっぱなし。リズムがイキイキと弾み、弦のボウイングも鮮やか。
2楽章は流石に「告別」と同時期のシュトルム・ウント・ドラング期の最盛期に書かれた曲だけあって、仄暗い陰りと深みに溢れた名曲。レッパードは相変わらず安定感抜群で、邪念なくハイドンの曲に込められたこの時代の空気を再現することに集中しているよう。変に感傷的になることもなく、味わい深くもありながら淡々と曲を進め、曲自体の魅力を聴かせる役に徹します。次々と展開するメロディーの面白さに耳が釘付け。さらさらと筆が運ばれるしなやかな筆致。
3楽章のメヌエットは途中から逆行するためこの曲にはパリンドロウム(回文)というニックネームがついています。短い曲ながらハイドンの遊び心が込められた名旋律。
そしてフィナーレは1楽章のキレ味と呼応するようにオケが鮮やかさを取り戻します。曲の規模に対してフィナーレの充実度が勝るように感じるほどフィナーレは展開していきます。レッパードもここにきて畳み掛けるように攻めて終わります。

レイモン・レッパードと手兵イギリス室内管によるハイドンの交響曲集ですが、レッパードの無欲のコントロールがハイドンの交響曲の魅力を上手く引き出している感じ。録音も流石はオランダプレスのPHILIPSだけあって、1960年代としては十分瑞々しく、曲を存分に楽しむことができます。ちなみに哲学者はやはり一歩味わい深さが違いますね。47番の方はそれに比べると少し劣る感じがします。ということで評価は哲学者を[+++++]、47番を[++++]といたしましょう。

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tag : 哲学者 交響曲47番 ヒストリカル LP

ダグラス・ボストック/ボヘミア室内管の帝国、ラ・ロクスラーヌ(ハイドン)

本日は最近手に入れて感心したアルバム。

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ダグラス・ボストック(Douglas Bostock)指揮のボヘミア室内フィル(Chamber Philharmonic of Bohemia)の演奏で、ハイドンの交響曲53番「帝国」、63番「ラ・ロクスラーヌ」の2曲を収めたアルバム。収録は1999年、チェコのブラハの東のパルドヴィツェ(Paldubice)でのセッション録音。レーベルはCLASSICO原盤で手元にあるのはScandinavian Classicsという廉価盤然としたもの。

このアルバム、ただハイドン中期の交響曲2曲を収めたというだけでなく、帝国の方は4種のフィナーレ、ラ・ロクスラーヌの方は2種のメヌエットとフィナーレの演奏が収められており、原盤の方には世界初録音との記載がされています。

そもそもこのアルバムを手に入れたのは、同じ演奏者による交響曲88番、89番などを収めたアルバムを最近入手して、なかなかの出来だったため。指揮者もオケも未知の奏者でしたが、交響曲の他に「アチデとガラテア」序曲、「薬剤師」序曲、「突然の出会い」序曲などが盛り込まれ、アルバムの造り自体にハイドンの曲へのこだわりが感じられ、また、演奏の方も正攻法にきっちりオケを鳴らし、見事な吹き上がりが聴かれました。これはいいということで、こちらのアルバムもすぐに取り寄せたもの。聴いてみると、今日取り上げるアルバムの方がさらにいいということで記事にすることにした次第です。

指揮者のダグラス・ボストックですが、1955年イングランド北西部のチェシャー州ノースウィック(Northwich)生まれの指揮者。シェフィールド大学を出て、ロンドンでサー・エイドリアン・ボールトに師事。1980年より南西ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者、1991年より1998年までカルロヴィ・ヴァリ交響楽団の音楽監督・首席指揮者、1992年にはチェコ室内フィルハーモニックの首席客演指揮者となり、1997年よりミュンヘン交響楽団の常任指揮者を務めました、彼のウェブサイトのディスコグラフィーを見ると、今日取り上げるアルバムのオケはチェコ室内フィルと表記されているので、現在はそう呼ばれているのでしょう。日本にもゆかりがあり、2000年東京佼成ウインドオーケストラの常任指揮者、2006年より2011年6月まで東京佼成ウインドオーケストラの首席客演指揮者を務めた他、2012年4月より東京藝術大学音楽学部招聘教授とのことです。

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なんとなくハイドンに拘りがありそうな選曲のアルバムを2枚リリースしているボストックですが、ウェブサイトを見るとこれまでかなりの数のアルバムがリリースされており、しかもマイナー系の作曲家のアルバムが多く、ハイドンも普通は選ばない曲を持ってきており、なんだか拘りがありそうな人ですね。

ちなみに、帝国の4種のフィナーレについてと、ラ・ロクスラーヌの2種のメヌエットとフィナーレについては、よくコメントをいただくHaydn2009さんのウェブサイトに詳しい解説があるのでそちらをご覧ください。

ハイドン作品辞典:交響曲(4)
ハイドン作品辞典:交響曲(5)

このサイト、ハイドンの作品についての情報が網羅的に記されており、非常に役立ちます!

Hob.I:53 Symphony No.53 "L'Imperiale" 「帝国」 [D] (1778/9?)
実に気持ちよくオケが鳴り響きます。88番の方のアルバムは響きがちょっと痩せていたのですが、こちらは豊穣。正攻法でオケがくっきりとメロディーを奏でていきます。メロディーに対してアクセントをかなりしっかりとつけているんですが、適度な範囲を保っているのでくどい感じは皆無。これほど気持ちよく響くオケの録音は滅多にありません。ストレスなくキリリと吹き上がるアクセントの快感。管弦楽の真の魅力は実はこうしたところにあると気づかされるような演奏。抜群のリズム感で曲がクイクイ進み、絶えることなく響きのシャワーが心地よく降り注ぎます。曲に合わせてタクトを振りたくなりますね。響きの快感一本に焦点を絞ったボストックの見事な手腕。この時期のハイドンの曲の理想的な演奏でしょう。
アンダンテもハープシコードの繊細な響きを纏いながらリズミカルな演奏が続きます。純粋無垢な響き自体がいかに素晴らしいかを思い知らされます。ふとした転調の瞬間の美しさが際立ち、テンポの一貫性がかえって情感を煽ります。淡々とした曲のさりげない表情の美しさに昇天。こりゃ絶品です。
予想通り、メヌエットはボストックの良いところが一番活きるところ。メヌエットのリズムがこれだけ弾む演奏はそれほどありません。アンダンテではテンポを動かさず颯爽とした魅力で聴かせたんですが、メヌエットではフレーズごとにリズムを変え、曲想の面白さを強調します。なかなか見事なコントロール。
そして問題の4種のフィナーレですが、A、B、C、Dと順に収録されてます。AとBはハイドンの作とされており、Cはハイドンの作ではなく、Dは序曲の転用とのこと。Aが一番馴染むのはもちろん、Bは交響曲62番のフィナーレに転用されていますの聴き覚えがあります。Cは明らかにハイドンから格が落ちるので私でもハイドン作とは思えません。Dは序曲(Hob.Ia:4)の転用です。この4種の演奏とも、演奏はキレの良いものですが、とりわけAとBの充実度は素晴らしいものがあります。

Hob.I:63 Symphony No.63 "La Roxelane" 「ラ・ロクスラーヌ」 [C] (before 1781)
1楽章は歌劇「月の世界」の序曲の改作。ボストックのリズムのキレの良さは一貫していて、この曲でもオケの響きの快楽に包まれる見事な入り。この異次元のキレの良さこそがハイドンの曲が映えるポイントとの確信に満ちているよう。聴いているこちらが身を乗り出してかぶりつきで聴き入ります。
そして、この曲でも2楽章のアレグレットは一貫して速めのテンポで描いていきます。筆のタッチは一貫していながらパレットの色数が多いので実に繊細で深いニュアンスが伴います。この楽章は木管楽器が大活躍。リズムのキレは木管も同様、ボストックのコントロールが行き渡ってます。
そしてAパターンのメヌエットとフィナーレが続きますが、メヌエットの充実ぶりは前曲同様で、スカッと気持ちよくオケが反応します。この曲自体が色々な曲のつぎはぎで出来ているとのことで、ハイドン特有の緊密さは少し不足するものの、曲が展開するアイデアは相変わらず常人の想像を超えたレベルにあります。
Bパターンもメヌエットは見事。こうしてヴァージョンの違いに耳が行ってしまうのは、このアルバムの素晴らしい演奏を考えるとちょっと損かもしれませんね。ただ、マイナーなレパートリーに執着のあるボストックのことですから、本人的には必然性があったのでしょう。最後はちょっと色々聴き比べることに集中出来なくなり聴き終えましたが、演奏は前曲同様素晴らしいもの。できれば聴く時はヴァージョンを決めて他のヴァージョンをスキップした方が音楽に集中できるかもしれませんね。

ダグラス・ボストック指揮のボヘミア室内フィルの演奏によるハイドン中期の交響曲2曲を収めたアルバム。演奏は触れたとおり、オケの気持ち良い響きを存分に味わえる素晴らしいもの。おまけで両曲の異なるヴァージョンが収録されていますが、それに惑わされることなく、このキレの良い演奏を存分に楽しむべきアルバムですね。ハイドンの交響曲の中では地味な選曲ですが、その曲がこれだけ鮮やかに演奏されることで、真価を再認識できる素晴らしいアルバムです。評価は両曲とも[+++++]とします。

ボストックは2012年から藝大の先生ということで、生徒の方々もこれだけのハイドンを振る人との認識はないかもしれませんが、オケを鳴らすことにかけては才能溢れる人です。他の曲の録音も期待したいところですね。

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tag : 帝国 ラ・ロクスラーヌ

ヒュー・ウルフ/セント・ポール室内管の交響曲1番(ハイドン)

皆さま、明けましておめでとうございます。今年も激ニッチな当ブログをよろしくお願いいたします。

お正月最初のレビューはハイドンの交響曲1番のアルバム。最近手に入れたものですが、キレ味抜群の演奏でした。

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TOWER RECORDS / amazon1 / amazon2 / amazon3

ヒュー・ウルフ(Hugh Wolff)指揮のセント・ポール室内管弦楽団(The Saint Paul Chamber Orchestra)による、プロコフィエフの交響曲1番「古典」、ハイドンの交響曲1番、ビゼーの交響曲の3曲を収めたアルバム。収録は1992年9月、アメリカ、ミネソタ州のセント・ポールにあるオードウェイ劇場(現オードウェイ・パフォーミング・アーツ・センター)でのセッション録音。レーベルはTELDEC。

なにやらちょっとアーティスティックにハイドン、プロコフィエフ、ビゼーの肖像がコラージュされたジャケットのアルバム。アルバムのタイトルは「ビゼー、プロコフィエフ、ハイドン交響曲1番」というもの。古典期から近代までの3人の作曲家の「古典的な」最初の交響曲を並べた不思議な企画。

プロコフィエフの交響曲1番がハイドンの作品にインスピレーションを得たものであるのは有名なことであり、この2人を選んだ意図はなんとなくわかるのですが、これに、特に交響曲が有名ではないビゼーをもってきたところにこの企画の真意が今ひとつ分かり難いところ。想像するに、プロコフィエフの曲はもとより、ビゼーの交響曲もハイドン以来の交響曲の伝統的な4楽章構成ということで、時代を超えてハイドンが構築した交響曲という形式が受け継がれているということから選ばれているような気がします。ただしここで選ばれている肝心のハイドンの交響曲1番は3楽章構成ということでどうも座りが悪い。ということで、そうした点よりも、素直にタイトル通り「交響曲1番」という、それぞれの作曲家が「最初に」書いた交響曲の着想を比較するというのが狙いでしょうか。そうした点においても、交響曲というジャンルを確立したハイドンの曲の完成度、そしてハイドンの手法に着想を得たプロコフィエフそれぞれの完成度の高さに比べてビゼーの交響曲が一歩劣って見えてしまう感じ。個人的にはビゼーの代わりにメンデルスゾーンあたりを持ってきた方が並びが良かったように感じます。

選曲というか、アルバムの企画意図はさておき、このアルバムに興味を持ったのは演奏がヒュー・ウルフとセント・ポール室内管だったから。コアなハイドンファンならご存知の通り、この組み合わせでパリセットの交響曲6曲の録音が残されていますが、これがスタイリッシュで端正な演奏で実に素晴らしいもの。以前に代表して86番を取り上げています。

2011/12/19 : ハイドン–交響曲 : ヒュー・ウルフ/セント・ポール室内管の86番

今日取り上げるアルバムはこのパリセットのアルバムとほぼ同時期の録音ということで、出来が気になります。奏者の情報などは前記事をご参照ください。

ということで、CDをプレイヤーにかけてみると、1曲目のプロコフィエフがいきなりキレまくってます! この曲は手元にキタエンコ/ケルン・ギュルツェニヒ管盤、小澤/ベルリンフィル盤、ゲルギエフ/ウィーンフィルのDVDがありますが、テンポも一番速めで、何よりオケの鮮やかな反応が素晴らしい。新古典的な諧謔さよりも、プロコフィエフの書いた千変万化する響きを鮮烈に聴かせようということでしょう。これは見事。キタエンコ盤の馬力、小澤盤の諧謔性、ゲルギエフの統率されたエネルギーに対して、この鮮やかでスタイリッシュな演奏からプロコフィエフの前衛と古典の均衡が浮かび上がります。この鮮烈なプロコフィエフの演奏でこのコンビのキレの良さを再認識。

Hob.I:1 Symphony No.1 [D] (before 1759)
続いてハイドンの交響曲1番。痛快なほどの速めのテンポと、キレキレの鮮やかさは変わらず。このスピード、以前取り上げたファイの1番の異常なまでのハイスピードには劣りますが、それでもかなりもの。ハイドンの晴朗なメロディーがたたみかけるようにスピーディーに流れ、くっきりとしたコントラストと華やかな色彩感を帯び、しかも古典の均衡を守った名演奏。速めのテンポにホルンを始めとした管楽器もピタリとついてキレ味を保ちます。
続くアンダンテも実に爽やか。キビキビとした曲の運びが心地よいリズムを刻みます。小規模オケの俊敏な反応の良さが活きていますね。一貫してリズムのキレを保ちながら巧みに音量を変化させメリハリも充分。
フィナーレは再び小気味好いほどの切れ味が戻り、ハイドンの典型的なフィナーレの形式的な美しさを早くも感じさせます。鮮やかなオケの反応を存分に活かした素晴らしい演奏でした。

続くビゼーは、個人的にはほとんど馴染みのない曲。かなり昔にハイティンクの演奏を聴いた記憶があるくらい。オケの反応は相変わらず素晴らしいのですが、曲が今ひとつしっくり来ないため、なんとも評しがたいところ。ビゼーといえばカルメンですが、今回調べてみると、ビゼーの生前はカルメンも含めてあまり評価されていなかったとのこと。この曲もかなり実験的というか、カルメンで聴かれる美しいメロディーの萌芽も2楽章にわずかに感じられる程度で、ビゼー自身の試行錯誤が見えるような印象。その若書きをヒュー・ウルフが爽やかにまとめたというところでしょう。

このアルバムを最後まで聴いて、ようやくヒュー・ウルフの「鮮やか」、「爽やか」、「スタイリッシュ」と言いう特徴が、3人の作曲家の「若書き」というかフレッシュなアプローチを実に周到に考えてまとめているような気がしてきました。私自身はこういう意欲的な企画ものは嫌いではありません。単なる曲の演奏ではなく、作曲家や曲の組み合わせかから新たな視点が生まれ、その視点から俯瞰した景色の新鮮さが生まれるわけです。最初はなんとなく腑に落ちない企画でしたが、ようやくしっくりときました。肝心のハイドンの演奏は[+++++]とします。パリセット以上にヒュー・ウルフの演奏の面白さが感じられる秀演です。

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tag : 交響曲1番

アントニオ・デ・アルメイダ/ハイドン協会管による交響曲集(ハイドン)

12月最初のアルバムは交響曲。最近オークションで手に入れたもの。

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アントニオ・デ・アルメイダ(Antonio de Almeida)指揮のハイドン協会管弦楽団(The Haydn Foundation Orchestra)の演奏で、ハイドンの交響曲67番、69番「ラウドン将軍」の2曲を収めたLP。収録は解説によると1969年。レーベルは日本ビクター。

このアルバム、ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、この他に3枚、合わせて4枚のシリーズ物。いずれもアルメイダ指揮のハイドン協会オーケストラによるもので、シリーズは下記の通り。

第1集 交響曲62番、66番
第2集 交響曲67番、69番「ラウドン将軍」(本盤)
第3集 交響曲70番、71番
第4集 交響曲74番、79番

今回、この4枚とも入手できたので、色々聴き比べてこのアルバムをレビューに選んだ次第。国内盤ゆえ日本語の解説が付いているのですが、ハイドンの著作で有名な大宮真琴さんによるもので、ロビンス・ランドンがハイドン協会などで主導した、1960年代から70年代当時のハイドンの交響曲の録音の経緯がよくわかります。まずは、1960年からマックス・ゴバーマンとウィーン国立歌劇場管弦楽団による全集が企画された件はゴバーマンのレビューで触れた通りですが、1962年のゴバーマンの急死で中断。続いて1967年から1968年にかけて、デニス・ヴォーンとナポリ管弦楽団によるパリセットなど82番から92番と協奏交響曲など12曲を録音。そしてロビンス・ランドンが1968年に完成したランドン版の交響曲全集をもとに、このアントニオ・デ・アルメイダとハイドン協会管弦楽団によって60番代から81番の17曲と93番から98番までの6曲が録音されたそう。国内盤でリリースされているのが上記の8曲のみということで、60番代から81番までにあと9曲の録音がある模様ですが、ネットを検索してもそれらしきアルバムは見当たりません。まあ、気長に探してみることにします。

指揮者のアントニオ・デ・アルメイダは1928年パリ近郊のヌイイ=シュル=セーヌ (Neuilly-sur-Seine)生まれの指揮者。父はポルトガル人、母はアメリカ人。10代でアルゼンチンに渡り、ヒナステラに音楽理論を学び、その後ボストンのMITで核化学を専攻するという変わった経歴の持ち主。ただし音楽への興味は尽きず学生オーケストラを組織し、ヒンデミット、クーセヴィツキー、セルなどの薫陶を受け、指揮活動を本格化。1949年にリスボンでポルトガル国立放送交響楽団を指揮してデビュー。同年からポルトガル北部のポルトのポルト交響楽団の首席指揮者に就任。1962年から1964年までシュトゥットガルト・フィルの首席指揮者、1965年から1966年までパリ・オペラ座の指揮者、1969年から1971年までヒューストン交響楽団の首席客演指揮者、1971年から1978年までニース・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督、1993年から1997年に亡くなるまで、モスクワ交響楽団の音楽監督を務めるなど各地のオケの首席指揮者を歴任しました。オッフェンバックの研究で知られる他、1968年からロビンス・ランドンと共にハイドン協会の音楽監督を務めたとのこと。

ということで、現在ではハイドンの交響曲といえばドラティ以後の録音が知られる存在ですが、マックス・ゴバーマン、デニス・ヴォーン、そしてこのアントニオ・デ・アルメイダがドラティ以前にロビンス・ランドンと共に果たした役割は非常に大きかったに違いありませんね。

このアルバム、針を下ろしてみると、なんとも素晴らしい響きが流れ出します。国内盤なので音質はさして期待していませんでしたが、部屋中に優美な響きが轟く素晴らしい録音です。

Hob.I:67 Symphony No.67 [F] (before 1779)
いきなり彫りの深い、LPならではの彫刻的なオケの響きに引き込まれます。この時期のハイドンの曲はメロディーの適度に晴朗な面白さと巧みな構成がバランスよくまとまったもの。それをわかりやすく表現するようにテンポはややゆっくり目ながら、テーマを適度な推進力で牽引していきます。オケも弦楽器を中心に潤いのある音色がピシッと揃ってなかなかのもの。特に弦楽器の深い響き、木管楽器の軽やかな響きはかなりのレベルです。
続くアダージョは弱音器付きのヴァイオリンによる甘美なメロディーが印象的な曲。曲が滔々と流れゆく感じがよく表現されていて、非常に自然な佇まい。時間がゆったりと流れていく感じが心地よい音楽。最後にコル・レーニョ奏法でコミカルな余韻を残します。
メヌエットは壮大な構えの音楽。非常に雄大な響きを聴かせたかと思うと、中間部のトリオは、ヴァイオリン2本のみの繊細な響きではっとさせられます。
そしてフィナーレは、予想とは異なるかなり遅めのテンポ。まさに壮大さが滲み出てくるよう。これぞオーソドックスなスタイルと言わんばかりの確信犯的アプローチでしょう。ちょっと歴史を感じてしまいますね。フィナーレにもゆったりとした中間部が挟まれ、今度は2本のヴァイオリンとチェロによる三重奏。これがしんみりと聴かせる聴かせる。一貫してゆったりとしたテンポなので徐々に音楽がとろけるように聞こえてきます。途中慟哭のような強奏が挟まり、まるでロマン派の音楽のような展開を経て、冒頭のメロディーを再現します。いつもながら、尽きないハイドンのアイデアに驚くばかり。なかなか壮大な名演です。

Hob.I:69 Symphony No.69 "Laudon" 「ラウドン将軍」 [C] (before 1779)
こちらもゆったりとしたテンポでの入りですが、オケには最初から力が漲り、一筆一筆しっかりとした筆致で筆を進めていきます。一音一音にエネルギーが満ちて、しかも確信に満ちた説得力というかオーラを感じる演奏。現代ではこのようなスタイルの演奏はもう聴かれてなくなってしまったのかもと、余計なことを考えてしまいます。若干古さを感じさせながらも、圧倒的な存在感が印象的な演奏です。
続く2楽章は、前曲同様、弱音器付きのヴァイオリンなどによるハイドンらしい音楽が展開します。仄暗い感じがよく出ていて、メロディーがその印象にからまり合いながらも、こちらの期待を上回る展開力を見せ、追いかけて聞くだけでも刺激的。
メヌエットの威風堂々とした様子も前曲同様。日頃メヌエットの演奏には厳しいのですが、このアントニオ・デ・アルメイダ盤の演奏はそうした聴き方を跳ね返すだけの伝統というか一貫して堅固なものがあるような気がします。
そして壮麗なフィナーレへ突入。遅めなテンポ設定なのも変わらず、適度にしなやかに流れながらも筋骨隆々とした力感にあふれた演奏は痛快そのもの。大宮真琴さんの曲目解説によれば、ランドンはハイドンのこのフィナーレを「想像力が貧困で霊感に欠如している」と評していますが、オーソドックスながら起伏に富んだアルメイダの棒によって均整のとれたハイドンらしい古典的な見事なフォルムに仕上がっています。これはこれで一本筋の通った演奏に違いありません。

アントニオ・デ・アルメイダがハイドン協会管を振って、当時ランドン版の楽譜が出版されたばかりのハイドンの60番から70番台の珍しかった曲を演奏した一連のアルバムの中の1枚。改めて所有盤リストをしげしげと眺めてみると、この60番台から70番台の曲は、ほとんどが1969年以降の録音であり、このアルメイダ盤が中でも一番古い録音であることが珍しくありません。こうした歴史の流れの中でこのアルバムを捉えると、演奏史的な視点での価値もあることがわかります。この直後に録音されたドラティの素晴らしい偉業もあり、アルメイダの演奏はドラティ以前の演奏スタイルを知るための貴重なものでしょう。私はこのおおらかながら険しさも感じさせるアルメイダのハイドンは気に入りました。ということで両曲とも[+++++]とします。

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tag : 交響曲67番 ラウドン将軍 LP

【新着】飯森範親/日本センチュリー交響楽団の交響曲集第1巻(ハイドン)

ちょっとご無沙汰しておりました。相変わらず仕事でバタバタとしているのですが、今日帰宅すると、ちょっと楽しみにしていたアルバムがamazonから届いていました。

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TOWER RECORDS / amazon / ローチケHMVicon

飯森範親指揮の日本センチュリー交響楽団の演奏で、ハイドンの交響曲6番「朝」、17番、35番の3曲を収めたSACD。収録は2015年6月5日、大阪のいずみほホールでのライヴ。レーベルは日本のEXTON。

このアルバム、大阪をホームグラウンドとする日本センチュリー交響楽団とその首席指揮者の飯森範親が8年をかけてハイドンの交響曲全集を演奏しようとする「ハイドンマラソン」という企画の第1回のコンサートの模様をライブ収録したもの。飯森範親のハイドンは少し前にNHKで放映されていて、ちらっと見て、かなり本格的なものとの印象を受けているので、この録音の出来は気になっていた次第です。

飯森範親さんは、録音もかなりリリースされているのでご存知の方も多いでしょう。いちおう略歴をさらっておきましょう。

1963年鎌倉に生まれ、桐朋学園指揮科で学び卒業後はドイツに留学、1985年民音コンクール2位、1987年ブサンソン指揮者コンクール2位などの経歴があります。1989年からバイエルン国立歌劇場でウォルフガング・サヴァリッシュについて修行、1994年から東京交響楽団専属指揮者、モスクワ放送交響楽団特別客演指揮者、1995年から広島交響楽団正指揮者などを務め、2007年から山形交響楽団音楽監督となっています。この間世界の有名オケに客演を重ね、このアルバムのオケである日本センチュリー交響楽団の首席指揮者には2014年に就任しています。日本でも実力者の一人と言っていいでしょう。

私自身は録音も生もあまりちゃんと聴いたことがない人ですが、手元のアルバムでは水野由紀がチェロを弾くチェロ協奏曲集の伴奏を日本センチュリー交響楽団を振って担当したアルバムがあることに気づきました。が、アイドルものということで、オケに注目して聴いていませんでした。

今一度、アルバムの帯をよく見てみると、「ハイドン;交響曲集Vol.1」との表記。コンサートの企画自体は交響曲全集の演奏ですが、録音自体が全集を目指すという志はない模様です。あれば「交響曲集」ではなく「交響曲全集」となるわけですので。これには少々がっかり。

これまでハイドンの交響曲全集に挑んだ指揮者はいたものの、完成に至ったのはアンタル・ドラティ、アダム・フィッシャー、デニス・ラッセル・デイヴィスの3名のみ。古くはマックス・ゴバーマン、クリストファー・ホグウッド、ロイ・グッドマン、トーマス・ファイなどが、かなりの数の録音を残したものの、完成を見ずに断念しています。もし全集の録音を志すとしたら、そこに日本人にである飯森範親が急遽加わる形になります。ヨーロッパではジョバンニ・アントニーニが主兵、イル・ジャルディーノ・アルモニコと2032年の完成を目指した全集が第3巻までリリースされている中、我が日本でもついにハイドンの交響曲全集が企画されるのかとの期待もありましたので。まあ、このアルバムの出来が今後の録音リリースの判断材料にもなろうということで、襟を正してアルバムをかけてみます。朝はつい最近、佐渡裕の振るウィーンのトーンキュンストラー管の超名演盤がリリースされたばかり。こちらとの比較も気になるところです。

Hob.I:6 Symphony No.6 "Le matin" 「朝」 [D] (1761?)
佐渡盤も素晴らしい録音でしたが、こちらもDSD録音のSACDということで、ホールの空気感たっぷりの素晴らしい録音。会場ノイズは皆無で音楽に集中することができます。冒頭から精緻な演奏。オケの響きはライヴとは思えない精度。朝靄がはれていくようなハイドンの音楽が立体的に響きます。演奏はオーソドックスですがオケもリズミカルに反応して、素晴らしい展開。弦の響きの潤いは一流オケとは少々差がつくところですが、素晴らしいホールの響きに支えられて悪くありません。若干ホルンが重いところもなくはありませんが、木管や弦を中心に全体にキレよく非常にクリアな演奏。
つづくアダージョはソロの腕の見せ所。ヴァイオリンはコンサートマスターの松浦奈々でしょうか、しっとりとした弓さばきで艶やかかつ味わい深いソロ。チェロも軽々とした弓さばきでさざめくような静けさにしなやかにメロディーを描いていきます。
メヌエットは柔らかくたっぷりと響く低音につつまれて、キレよりも穏やかさを感じさせる演奏。相変わらずオケの精度はすばらしくわずかな乱れもありません。中間部のファゴットのソロはぐっとテンポを落としてコントラバスがファゴットを表情豊かに引き立てます。中間部と両端のコントラストが十分について再びオケに勢いが戻ります。
フィナーレはソロを効果的に配しながらオケとの掛け合いが聴きどころの曲。ソロの精度は十分でオケとの呼吸もぴったり。ハイドンの描いた複雑にからみあう音楽の面白さがクッキリと見事に描かれています。1曲目からクリアで端正、精緻な演奏でした。

Hob.I:17 Symphony No.17 [F] (before 1766)
2曲目は推進力が魅力の曲。冒頭から楽天的なハイドンの音楽がリズミカルに進みます。注意して聴くとオケのパートがそれぞれカラフルな音色で代わる代わるメロディーを引き継いでいく様子が鮮明にわかり、実に面白い。上下に乱舞するメロディーの面白さ。時折挟まれる異なる響きのアイデアを存分に楽しめます。この曲ではホルンの重さも解消されました。
2楽章のアンダンテは程よいテンポと程よい抑揚で音楽が進みしっとりとした曲の魅力に集中できます。ここにきてヴァイオリンの音色も十分艶やかさを加えて、音楽も深みを帯びてきました。
フィナーレは堂々とした分厚い響きできかせるもの。特に低音弦の厚みが効いて迫力十分。この小交響曲の魅力を十分に活かした演奏でした。

Hob.I:35 Symphony No.35 [B flat] (1767)
すこし時代が下って、シュトルム・ウント・ドラング期の交響曲。この曲もオケの力感が素晴らしく、素晴らしい録音でオケが自宅にやってきたよう。演奏には力感が漲り、グイグイと攻めてきます。曲も全2曲よりも引き締まっていて、この時代のハイドンの充実した筆致が演奏の勢いに乗り移っています。テンポの変化こそ少ないものの、カラフルなオケの魅力は変わらず、力強いメロディーがほんのりと色づいて聴こえて響きを華やかにしています。
つづくアンダンテは1楽章のエネルギーを冷ますようにしっとりとした音楽。オケも緊張感が途切れず、充実した演奏。ゆったりとした流れの中で穏やかに変化を聴かせるコントロール。
メヌエットは迫力満点。まるで大オーケストラの演奏のように力が漲った演奏。中間部のソロで勢いを変化させるものの、両端部分は図太い響きの迫力で一貫して押してくるため、ちょっと一本調子な印象も感じなくはありません。
そしてフィナーレも正攻法の迫力で押してくる演奏。オケも見事に応えて、曲をまとめます。

飯森範親と日本センチュリー交響楽団のハイドンマラソンという交響曲全曲の演奏会の第1回のコンサートのもようを収めたライブ盤。事前の印象どおり、ライヴとは思えない精度の高い演奏で、ハイドンの交響曲の演奏としては素晴らしいものでした。演奏は日本人らしい正攻法で磨き上げた演奏でオケも精度の高い演奏で非常に高レベルな仕上がりです。若干気になるのは、演奏スタイルのせいか、録音のせいかは判然としないのですが、ハイドンの初期の交響曲の演奏としては、ちょっと力感重視に寄っているところ。特に35番の分厚いオケの響きは、まるでベートーヴェンの演奏のように聴こえるところもあります。ハイドンの初期の交響曲の面白さは次々と変化するアイデアにあふれた曲想の変化をどう表現するかにあります。どちらかというとこの演奏スタイルはハイドンであればザロモンセットなど後期のものに会うスタイルかもしれませんね。このアルバムに収められた3曲の中では真ん中の17番はこのコンビの一番いいところが出ていて深みを感じさせるいい演奏でした。ということで評価は17番が[+++++]、他2曲は[++++]としました。

このプロジェクト、オーケストラのウェブサイトをみると、コンサートの方はすで6回ほど行われていて、アルバムの方もリリースされていくものと思われます。続くリリースも期待して待ちたいと思います。

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tag : 交響曲17番 交響曲35番 ライヴ録音

【新着】イル・ジャルディーノ・アルモニコの交響曲全集第3巻(ハイドン)

いよいよ第3巻まで来ました。

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ジョヴァンニ・アントニーニ(Giovanni Antonini)指揮のイル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏で、ハイドンの交響曲42番、「無人島」序曲、交響曲64番「時の移ろい」、コンサートアリア「ひとり物思いに沈み」(Hob.XXIVb:20)、交響曲4番の5曲を収めたアルバム。収録は2015年11月18日から22日にかけて、ベルリンのテルデックス・スタジオでのセッション録音。レーベルはouthere MUSICグループのALPHA-CLASSICS。

このアルバムはご存知の通り、ジョヴァンニ・アントニーニ率いるイル・ジャルディーノ・アルモニコによるハイドン交響曲全集の第3弾。このシリーズについては、膨大なハイドンの交響曲全集への挑戦ということで前2作もレビューに取り上げています。

2015/06/08 : ハイドン–交響曲 : 【新着】イル・ジャルディーノ・アルモニコの交響曲全集第2巻(ハイドン)
2014/11/08 : ハイドン–交響曲 : 【新着】イル・ジャルディーノ・アルモニコの交響曲全集第1巻(ハイドン)

シリーズの企画についてや、演奏者については第1巻の記事をご参照ください。このシリーズ、いつも丁寧な日本語解説をつけて販売しているマーキュリーから国内盤がリリースされていて、いつもはそちらを手に入れるのですが、今回のアルバムはamazonで見かけてポチった際、あまり考えずに注文したため、輸入盤の方を入手してしまいました。

このシリーズ、ジャケットやアルバムの造りは非常に手が込んでいて、レーベルのこのシリーズにかける意欲が伝わって来ます。膨大なハイドンの交響曲全曲をハイドンの生誕300年のアニヴァーサリーイヤーである2032年までかけてリリースするという壮大な計画ゆえ、商業的に成り立つには演奏の出来が非常に重要です。レビューに書いた通り、第1巻はアントニーニの躍動感と全集を見据えた冷静さのバランスのとれた名演奏でしたが、第2巻はちょっと力みが感じられ、今後に不安を残しました。そしてこの第3巻ということで、今後を占う重要なリリースとなるわけです。

ということで期待の第3巻を聴いてみましょう。

Hob.I:42 Symphony No.42 [D] (1771)
シュトルム・ウント・ドラング期の交響曲。冒頭から俊敏な古楽器オケが躍動しますが、力む感じはなく、オケが一番キレた音を聴かせる範囲での演奏。やはり全集を見据えての落ち着きのようなものが感じられます。もちろんアントニーニらしいうねるような躍動感は健在ですので、いいバランス。古楽器らしいタイトな響きと凝縮したエネルギーを保った良い演奏。全集としては理想的な演奏に聴こえます。
1楽章のエネルギーを癒すように、極めて自然な2楽章の入り。このあたりの絶妙なセンスは流石です。聴きなれた2楽章のメロディーがすっと耳に入って来ます。作為を避けた虚心坦懐な演奏。仄暗いこの時期のハイドンの音楽の魅力が滲み出します。静寂に吸い込まれるような弱音のコントロールが見事。
メヌエットは鮮やかな弦楽器のキレが聴きどころ。ここでも弱音をしっかり抑えることで音楽にくっきりと陰影がつきます。アントニーニのコントロールが行き渡った素晴らしい精度。
間をおかずフィナーレに入りますが、このあたりの曲間のセンスは前記通り素晴らしいものがあります。ざわめくような絶妙の感覚。聴く方も聴覚を研ぎ澄ませて構えます。いつもながらフィナーレに仕込んだハイドンのアイデアのキレの良さを確認しながら聴きます。ブレーズごとに千変万化する音楽をアントニーニが完璧に汲み取り、アイデアのおもちゃ箱のように仕上げて来ます。第3巻の最初の曲はこれまで最高の出来と言っていいでしょう。

Hob.XXVIII:9 "L'isola disabitata" 「無人島」 (1779)
オペラの序曲を挟んで来ました。シュトルム・ウント・ドラング期の少し後の曲。序奏はぐっとテンポを落として深く沈みますが、主題に入るとエネルギー爆発。ここでも力みはなく、吹っ切れた開放感に満ちた演奏。ほんのわずかの違いですがこれが大きいんですね。この曲はアントニーニのいいところが非常によく出ています。次々に襲い来る打撃を見事にオケをコントロールしてエネルギーの波としてこなします。やはり抑えた部分をしっかりコントロール出来ているからこそのこの躍動感でしょう。見事。

Hob.I:64 Symphony No.64 "Tempora mutantur" 「時の移ろい」 [A] (before 1778)
この曲は告別同様シュトルム・ウント・ドラング期最盛期の作曲と分類されています。アントニーニはこの巻では非常に落ち着いていて、クライマックス以外の部分ではかなり冷静に音楽を制御しています。この曲の1楽章でも、時折キレの良いアクセントでアントニーニらしさを主張しますが、使いどころが適切なのでゴリ押し感は皆無。第3巻になってハイドンの音楽の真髄に近づいたのでしょう。さりげない部分の表現も非常に上手く、これまでの古楽器の演奏ではもっとも自然な表情豊かさを感じます。古楽器による演奏での決定盤を感じさせるオーラに包まれています。
42番同様、静寂からすっと入る絶妙な2楽章の入り。この楽章はアントニーニの抑えた表現が冴え渡って素晴らしい展開。静寂の中にそっと流れる厳かな音楽。そしてこの曲がこれほどまでに聴きごたえがあったのかと再認識。
メヌエットは鮮やかなキレの良さで聴かせるのは変わらず。しかも軽さを伴った見事なキレ。古楽器ならでは妙技と唸ります。
そしてフィナーレも穏やかな表情から湧き上がるエネルギーのスロットルコントロールが見事。途中からスイッチが入り、アントニーニ特有の炸裂感を楽しみます。ハイドンの交響曲の面白さが詰まった名演奏と言っていいでしょう。ここまでべた褒めですが、いいものはいいんですね。

Hob.XXIVb:20 Aria da "Il canzoniere" di Francesco Petrarca "Solo e Pensoso" 「ひとり物思いに沈み」 [E flat] (1798)
1798年と少し年代が降ったコンサート用アリアを挟んで来ました。ソプラノはフランチェスカ・アスプロモンテ(Francesca Aspromonte)という人。1991年生まれの若手。ザルツブルクのモーツァルテウム、ローマのセチェチーリア国立アカデミーのレナータ・スコットオペラスタジオなどで学んだ人。非常に透明感のある軽やかな歌声が素晴らしい人ですね。
しっとりとしながらも劇的な伴奏に乗って、透き通るような美声が轟きます。以前聴いた中ではヌリア・リアルに似た声質ですね。古楽器に合う声でしょう。アントニーニはこのアリアでも抑制が効いたコントロールでオケを制御。途中からオケにぐっと力が漲り、アントニーニの面目躍如。アスプロモンテも難しい高音の聴かせどころを難なくこなして実力のほどを見せつけます。交響曲の合間に歌曲が置かれるのも粋な選曲。

Hob.I:4 Symphony No.4 [D] (before 1762)
最後は初期の交響曲。冒頭からはち切れんばかりのエネルギー。この曲をアルバムの最後に持って来た理由がわかります。初期の小交響曲ですが、迫力満点。そしてアントニーニの振るこのオケのテンションの高さがもっともよく伝わる演奏。アクセントとメロディーの流れのバランスが良く、力みは感じません。ファイの演奏も似たキレキレの演奏ながら、ファイがフレーズ毎に創意を凝らして、即興的面白さを聴かせるの似たしアントニーニは周到に演奏プランを練ったキレという感じ。キレそのものを聴かせるアーノンクールとも異なる音楽的完成度を感じます。この1楽章はキレまくってますね。
極度に音量を落としたアンダンテが1楽章の鮮やかさを引き立てます。日向から暗い室内に入り、暗闇の中の微妙な濃淡に目が慣れて来てうっすらとフォルムを見通せた時のよう。ハイドンは創作の初期からこれほどの深い音楽を書いていたことに改めて驚きます。そして、この絶妙のコントラストでハイドンの意図を見抜いたアントニーニの才能にも驚きます。
この曲は3楽章構成で終楽章がメヌエット。曲は比較的シンプルなんですが、アントニーニの棒によって鮮烈なメヌエットが流れ、シンプルな曲のシンプルさに深い陰影がついて見事なフォルムに仕上がりました。最後は各パートのアクセントがせめぎあう饗宴のごとき音楽が痛快。最後の1フレーズの厳しいアクセントがアントニーニらしい余韻を残します。

ジョヴァンニ・アントニーニ率いるイル・ジャルディーノ・アルモニコによるハイドンの交響曲全集の第3巻はこれまでで一番キレた素晴らしい演奏でした。アントニーニも第2巻で聴かれたちょっと空回りするような力みから抜け出し、抑えた部分をしっかり抑えて各曲にくっきりとコントラストをつけて来ました。ホグウッドに欠けていたエネルギーがあり、ピノックよりもクッキリとアクセントをつけ、ブリュッヘンよりもムラがなく、クイケンよりも踏み込んだ、古楽器による決定盤を予感させる素晴らしい出来でした。これは続くリリースが楽しみです。評価は全曲[+++++]とします。

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【新着】佐渡裕/トーンキュンストラー管の朝、昼、晩(ハイドン)

最近LPや古い録音ばかり取り上げていますが、新譜にも気になるアルバムがないわけではありません。

YutakaSado678.jpg
TOWER RECORDS / amazon / ローチケHMVicon

佐渡裕(Yutaka Sado)指揮のトーンキュンストラー管弦楽団(Tonkünstler-Orchester)の演奏で、ハイドンの交響曲6番「朝」、7番「昼」、8番「晩」の3曲を収めたアルバム。収録は2015年10月から2016年5月にかけて、ウィーンのムジークフェラインでのライヴ。レーベルはトーンキュンストラー管の自主制作レーベル。

佐渡裕のハイドンはもちろん初めて聴きます。いつものようにWikipedeiaなどから略歴をさらっておきます。1961年京都生まれと、私と同世代。京都市立芸術大学フルート科を卒業。ブラスバンドや関西二期会の副指揮者をへて小澤征爾、レナード・バーンスタインに師事します。その後ヨーロッパに渡りバーンスタインに師事しながら1989年にブザンソン国際指揮者コンクールで優勝し指揮者としてデビューしました。その後多くのオケに客演して経験を積み、2002年に日本のシエナ・ウィンド・オーケストラの音楽監督、西宮の兵庫県芸術文化センターの建設にともない兵庫県芸術文化協会芸術監督に就任、そして2015年10月から今日取り上げるアルバムのオケであるトーンキュンストラー管弦楽団の首席指揮者に就任しています。特に日本では日曜朝に放送している題名のない音楽会の司会者として同じみですね。また2011年にはベルリンフィルの定期に登場した際の模様も放送されました。

皆さんもそうでしょうが、佐渡裕がハイドンを振るイメージはないのですが、トーンキュスンストラー管の自主制作アルバムの第2弾にハイドン、しかも「朝」「昼」「晩」と質実なところを持ってきたのはちょっと驚きでした。ベルリンフィルの定期でも、汗だくになりながらオケから強烈な響きを絞り出すように鳴らす姿が印象に残っていますので、ハイドンの小規模な交響曲を振るイメージは全くありません。そこにこのアルバムということで、逆に興味深いアルバムと言うのが正直なところ。ということで早速聴いてみましたが、これはこれまでの佐渡裕のイメージを払拭する整然とした名演でした。

Hob.I:6 Symphony No.6 "Le matin" 「朝」 [D] (1761?)
ムジークフェラインだからか、オケの響きの厚みと溶け合い方が見事。ライブですが会場のノイズはまったく聴こえず、ノイズ除去に伴う定位感の乱れもありません。実に見事な録音。オーソドックスなテンポに乗って品のいいアクセントを伴いリズムが躍動。デュナーミクの変化もしっかりつけてメリハリも充分。何より一貫して爽やかさを保って1楽章から見事。
続くアダージョはソロが活躍する楽章ですが、オケの美音に包まれながらヴァイオリンソロの自在なフレージングはまるで草原を飛び回る蝶のごとく自在。相変わらずリズムが清々しく、このリズムが基調にあることで非常に爽やかな印象。オケも非常にリラックスして、ノンヴィブラート気味の透明感溢れる響きと相まって実に穏やかな音楽が流れます。弱音の扱いも見事。
そして、さらに見事なのがメヌエット。実に自然で堂々とした入りにづづいてフルートの美音に耳を奪われます。自身がフルート奏者出身だからか、フルートと木管楽器のコントロールは特に見事。中間部で一旦曲調が変わる所の一瞬の変化の鮮やかさは音楽の気配までコントロールしているよう。しなやかなコントラバスのソロも効果的。各パートがイキイキとメロディーを重ねていくことでハイドンの音楽の見事な綾が輝きます。再び現れるメヌエットのメロディーは力が抜けて余裕たっぷり。
フィナーレも力むことなくよく抑制を効かせながらリズミカルにハイドンの音楽をトレースしていきます。ヴァイオリンのメロディーに耳を奪われがちですが、副旋律を担当するフルートや他の楽器の抑揚のついた演奏も素晴らしく結果的に豊かな音楽を作っていきます。いやいや、ここまでハイドンの音楽に集中してくるとは思いませんでした。会場からは暖かい拍手が降り注ぎます。これは見事!

Hob.I:7 Symphony No.7 "Le midi" 「昼」 [C] (1761?)
テミルカーノフの秀演で俄然注目するようになった「昼」。前曲の出来から悪かろうはずもなく、安心して耳を傾けます。相変わらずのムジークフェラインでの素晴らしい響き。録音上はウィーンフィルよりも美しく聴こえます。豊かな響き、規律正しく躍動するリズム、フレーズ毎にしなやかに迫りくる迫力、穏やかな表情付けと非の打ち所がありません。極上の心地よい音楽に身を任せます。ヴァイオリンも木管群も最高。佐渡裕もリラックスして指揮を楽しんでいるよう。この曲ではホルンの柔らかい音色がさらに印象的に加わります。
ハイドン渾身の音楽と気づいた昼の2楽章。もちろんここでも手を抜くはずもなく、劇的な展開を古典の規律の範囲で豊かにまとめてきます。素晴らしい緊張感を保ちながら美しすぎる音楽を織り上げていきます。ヴァイオリンもチェロもフルートも最高。終盤のソロの掛け合いも遊び心を高度に昇華させたやりとりが素晴らしいですね。
メヌエットでは低音弦がリズムの軽やかさを保ったまま迫力たっぷりの響きを聴かせます。中間部のコントラバスの活躍する場面はぐっとテンポを落として絶妙な語り口。さらりと寄り添うホルンも絶妙なテクニック。
フィナーレはこれまでの見事な演奏の総決算。佐渡裕もスロットルを巧みにコントロールして、オケを束ね、ハイドンのアイデアの結集した音楽をまとめます。昼のコミカルな側面にスポットライトを当てた名演出でした。

Hob.I:8 Symphony No.8 "Le soir" 「晩」 [G] (1761?)
「朝」も「昼」も絶妙の演奏が続いたので、安心して「晩」に入れます。もちろんこれまでの見事な演奏と同様の素晴らしさ。コミカルなメロディーが転調して展開していく推移の面白さは尋常ではありません。吹け上がりの良いオケが軽々と響く痛快さ。短い1楽章も聴きどころ十分。
晩の聴きどころといえば続くアンダンテでしょう。美しいメロディーと静けさが同居する至福の時間。2本のヴァイオリンの磨かれたメロディーに深みのあるチェロとファゴットが応じ、十分に間をとって音楽がしっとりと進みます。
アンダンテの安らぎを断ち切るように柔らかくも直裁な響きで入るメヌエット。楽章間の転換の見事さもこの演奏の特徴でしょう。ちょっとしたセンスが重要なんですね。トリオは再びコントラバスの聴かせどころ。今度は敢えて鈍い感じを意図したのでしょう、曲に応じて見事な語り口の使い分け。再びメヌエットに戻ると、今度は適度に躍動させます。
そして締めくくりのフィナーレ。どうしてこのようなメロディーが浮かんでくるのかわからないほど入り組んだ構成とメロディーに釘付け。佐渡裕の鮮やかな手腕でハイドンの創意が見事に音になっていきます。最後はキレよく終了。もちろんこの大人のハイドンに聴衆から暖かい拍手が降り注ぎました。

いい意味で予想を完全に覆す超名演盤でした。佐渡裕が新たに首席指揮者に就任後、オケの自主制作レーベルの第二弾としてリリースされたこのアルバム。そこにハイドン、しかも初期の「朝」「昼」「晩」という質素な名曲を選んだ理由がわかりました。佐渡裕さん、ハイドンの交響曲の演奏のツボを完全に掌握していました。一流の料理人が作った親子丼のように、きっちり親子丼ですが、味の深さ、素材の活かし方、バランス、食後の余韻まで並みの親子丼とは次元の異なる味わい深さ。なのに親子丼としての素朴さを失っていない名人芸。ホールを鳴らしきるような迫力の演奏もできる腕力を封印し、ハイドンのこの粋な交響曲のまさに「粋」たる部分をしっかり表現した名演奏と言っていいでしょう。録音は万人が想像するムジークフェラインの黄金のとろけるような響きを捉えて完璧。現代楽器による「朝」「昼」「晩」の入門盤でかつ決定盤と断じます。もちろん評価は全曲「+++++]。全ての人に聴いていただきたい素晴らしいアルバムです。

これは是非、さらなるハイドンの録音を期待したいところですね!(佐渡さん本人は見ていないでしょうね〜)

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なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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