マルクス・シュテンツ/新日本フィルの哲学者、驚愕(すみだトリフォニーホール)

昨日2月2日はチケットを取ってあったコンサートに出かけました。

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新日本フィルハーモニー交響楽団:♯583 トパーズ<トリフォニー・シリーズ>

マルクス・シュテンツ(Markus Stenz)指揮の新日本フィルハーモニー交響楽団。プログラムは下記の通り。

ハイドン:交響曲第22番「哲学者」
ハイドン:交響曲第94番「驚愕」
ヘンツェ:交響曲第7番

このコンサートはもちろんハイドンの曲が含まれるということで目をつけていたものですが、ハイドンはハイドンでも冒頭に置かれた哲学者という滅多に実演には取り上げられない曲がプログラムに含まれるということで、格別の興味を持ったもの。指揮者のマルクス・シュテンツも未聴の人。

マルクス・シュテンツは1965年、ドイツのボンの南にあるバート・ノイェンアール=アールヴァイラー(Bad Neuenahr-Ahrweiler)生まれの指揮者。ケルン音楽院で学び、タングルウッドではバーンスタイン、小澤征爾に師事したそう。現在はオランダ放送フィルの首席指揮者、ボルティモア交響楽団の首席客演指揮者を務めています。1988年にベネチアのフィニーチェ劇場でヘンツェの「若い恋人たちへのエレジー(改訂版)」を初演して以降、ヘンツェの多くの作品の世界初演を担当しており、ヘンツェには格別のこだわりがあるようです。日本ではN響に客演している他、2016年末の読響の第九の指揮を担当するなどそこそこ知られた存在でしょう。手元にアルバムもないため、私はこの日がシュテンツとは初顔合わせです。またヘンツェの曲も聴いた記憶もないため、こちらもこの日初めて聴きます。



平日ゆえ仕事を定時過ぎに切り上げ、新宿からちょっと離れた錦糸町まで向かいますが、中央線と総武線の乗り換えもスムーズでそれほど時間がかからないことがわかりました。

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いつものように先に到着していた嫁さんが、ホールの2階の北斎カフェでサンドウィッチを買って待ってましたので、ワインとサンドウィッチで軽く腹ごしらえをして、期待のコンサートに備えます。

開演は19:00ですが、開演前からオケのメンバーが入り、ほとんど19:00ピタリに演奏が始まるという異例の正確さ(笑) 最初の哲学者のオケの配置は第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが両翼に配置され、ヴィオラが指揮者正面、そしてそのヴィオラの左右にチェロが別れて座るという対称性にこだわった珍しい配置。この日の席は珍しく指揮者の真後ろの真ん中と左右から鳴らされる音を聴き分けるには最適な席。

拍手に誘われシュテンツが指揮台に登壇、大柄な体を揺すって気さくな笑顔で観客に挨拶し、すっと振り返ってタクトを持たずにオケに合図すると、実にユニークな曲想の哲学者の演奏が始まります。テンポは心持ち速めでヴァイオリンは現代風にノンヴィブラートで透明感を重視したもの。この曲は色々な演奏で随分な数を聴いていますが、いきなり驚かされたのが、シンプルなメロディーの多くが左右の第1、第2ヴァイオリンの緻密な掛け合いで交互に演奏されていること。特に指揮者の背後で左右の掛け合いが鮮明にわかる席だったので、その構成の緻密さにはかなり驚きました。シュテンツはフレーズごとにかなりはっきりとコントラストをつけ強弱を鮮明にコントロール。インテンポでハイドンの書いたメロディーを目一杯デフォルメしながら、のどかな曲想から目眩くように変化の面白さをあぶり出す見事なコントロール。そしてメロディーを担当するくすんだ音色のイングリッシュホルンが上手のオケ席後ろ、ホルンが下手のオケ席後ろで立って演奏するというユニークな配置で、オケの左右の掛け合いの面白さを強調。先に書いた弦楽器の左右対称配置と相まって、これがこの掛け合いの面白さを最大限に発揮させるための熟考された配置であることがわかりました。演奏はさながらファイのようにスリリング。というより、ファイよりスリリングでしかもやり過ぎ感は皆無な見事なまとまり。この曲をのどかなメロディーの魅力で聴かせる演奏は数あれど、これほどまでにスリリングな演奏は初めて。1楽章からコンサートマスターの豊嶋さんの見事なボウイングを間近で見ながら素晴らしい演奏を堪能。
1楽章が終わると、先ほどまで両翼に立って演奏していたイングリッシュ・ホルンとホルンの奏者が正面の席に戻ります。シュテンツが再び合図を送ると、このプレスト楽章では前楽章以上にヴァイオリンのキレが際立ち、左右のヴァイオリンの掛け合いはよりスリリングになり、全奏者が体を揺らしてシュテンツに指示されたアクセントを次々にキメていく快感に満たされます。特に第2ヴァイオリンのヴァイオリンの息のあったボウイングは見事。メヌエットは楔を打つようなアクセントをところどころに挟み、舞曲というよりはリズムにも大胆に変化をつけた構成で、オケはシュテンツの巧みな構成にしっかりとついて行く熱演。アタッカで来ると思った終楽章もしっかりと間をとって始まりますが、この湧き上がるような上昇感が各所に散りばめられた曲に対し、シュテンツはその度に体をブルブルと揺らしてオケを煽ります。シュテンツの指揮ぶりは決してタイミングの指示が明確なタイプではないのですが、オケの反応は完璧。よほど練習をしっかりしたとみえてシュテンツの意図に従ってというより意図を先読みして見事な演奏。最後の湧き上がるようなフィニッシュもピタリと決まって、このハイドンの小交響曲を見事に仕上げました。

シュテンツも最初の曲のオケの俊敏な反応に満足そうな笑顔で奏者をたたえていました。続く驚愕のために奏者が少し入れ替わります。

続く驚愕も実にスリリング! 聴きどころの1楽章は、冒頭、シュテンツのポイントの把握しにくい指揮に各パートの入りが少し乱れるところがありましたが、すぐに落ち着き、基本的に少し速めのテンポで、各パートだけでも極めて大胆なコントラストをつけたかなり踏み込んだデフォルメを利かせますが、パート間のスリリングなやり取りの面白さが際立ち、まるで初めての曲を聴くような新鮮さ。そして要所でブルブルと体を揺らしながらオケを煽りまくって炸裂させる波の連続と、やはりファイを上回るファイ感(笑) ヴァイオリンの音階のキレの良さもノンヴィブラートな透明感と相まって実に美しい透明感が漂い演奏に華を添えていました。
見事な1楽章から、肝心のびっくりアンダンテに入ると、やはり何か仕掛けがありそうな予感をさせる、抑えて穏やかな演奏。すると居眠りしていた打楽器奏者に対し、他の奏者がオケを横切りびっくりのところでティンパニを叩いて去るという演出付きでした。もちろんその後の展開部のスリリングさ、ダイナミックさは期待通り、重厚さよりスピードとキレを求めた迫力に圧倒される見事なコントロール。そしてメヌエットはオケの響きの起伏の変化の面白さが聴きどころ、フィナーレではところどころでテンポを極端に落として、熱を冷まして再び炸裂する迫力をますような演出をさせていたのがユニーク。もちろん、観客はおそらく予想外のハイドンの素晴らしい演奏に拍手喝采。誰もこれほどのハイドンが聴けるとは予想していなかったのではないかと思います。私にとっても実演でこれほどの素晴らしい演奏に接すると思っても見なかっただけに非常に満足度の高い演奏でした。

休憩を挟んで後半はこの日のメインディッシュであるヘンツェの交響曲7番。メシアンもデュティユーもブーレーズもリームも聴きますがヘンツェは初めて。この曲はベルリンフィル創立100周年を記念して委嘱され1984年にジャンルイジ・ジェルメッティによって初演された作品。ヘンツェがベートーヴェンの伝統に従い、急・緩・スケルツォ・急という楽章構成に従って作曲した曲で、後半2楽章はドイツの詩人フリードリヒ・ヘルダーリンに影響を受け、ヘルダーリンの苦悩や詩を音楽化したものとのこと。曲は4本のチェロにる暗鬱なメロディから始まり、予想通り不協和音のクラスターが乱舞する難解なものですが、指揮者の真後ろで聞くと、各パートがかなり緻密なコントロールで演奏していることがよくわかり、前衛画家の細密画を間近で眺めるような感じ。おそらく作曲意図はこの不協和音による混沌とした響きの微妙な変化にアーティスティックさを求めたものであろうかと思いますが、緻密さと迫力、そしてオケの見事な演奏はわかったものの曲の真意を汲み取るまでには至りませんでした。まずはこちらの器の問題でしょう。シュテンツの指揮は見事で、オケも一糸乱れぬ快演ということで、最後はカーテンコールが繰り返されました。終演後嫁さんが「武満の偉大さがわかったわ」と意味深なことを呟きましたが、やはり音楽にはテーマがあり、ヘンツェの混沌は常人には難解だということでしょう。

久々の新日本フィルでしたが、オケの演奏水準は非常に高く、前半のハイドンの素晴らしさもあって、楽しめたコンサートとなりました。



ここ数日は母親はショートステイで介護の心配はないため、錦糸町で一杯やって帰ることにしました。

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食べログ:酒屋ばる Tocci

すみだトリフォニーホールの道路を挟んで向かいにあるバル。嫁さんが行きに見かけて良さそうだと目星をつけておいた店。満員の賑わいでしたが、幸い2席のみ空いていてすぐに入れました。お酒はビール、ワイン、日本酒、ウィスキーとなんでも御座れのお店。すぐにオススメのヒューガルテンとワインレモネード(笑)で乾杯。

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まずは豚のハムをつまみます。

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しらすの入った揚げ物。名前忘れました(笑) ビールに合いました。

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喉が渇いていたので、すぐにお酒を追加。グラスの白にスパークリング。

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そして生うにのリゾット。これがウニの香りが乗ってなかなか。量もかなりあって、この辺で打ち止めにしても良かったんですが、、、

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メニューに気になるものがあり、注文してみたのが焼きアボカド テキーラの香り。炎に包まれて出てきたアボカド。日が消えて熱々のところをスプーンですくって食べますが、これが絶妙に美味い。これは見事なアイデアですね。

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そしてイタリアンバルの定番、トリッパ。これも香ばしくて美味かった。

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今日は非常に充実したコンサートだっただけに酒が進みます。私はマッカランをニートでいただきます。昔は何本もいただいたマッカランですが、最近はご無沙汰。口に含んだ瞬間、マッカランらしい蜜のような甘みとバランスの良い樽の香りが広がります。いやいやいいですね。

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嫁さんはバニラアイスのバルサミコソース。ウィスキーとは違う甘みに嫁さんも満足げ。ここはカジュアルな感じでお酒の種類も多く、コンサート帰りに一杯飲むのにオススメのお店でした!



いやいや、この日はいいコンサートでした。マルクス・シュテンツ、要チェックです。新日本フィルの中の人、ハイドンを再びプログラムに入れてください!

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tag : 哲学者 驚愕

サッシャ・ゲッツェル/読響の第九(サントリーホール)

またまた旅行記の途中ですが、コンサートに顔を出しましたので、コンサートレポートです。

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読売日本交響楽団:第607回名曲シリーズ

ちょっと懐かしいエマニュエル・クリヴィヌが読響を振るということでチケットをとってあったものですが、なんとコンサートの少し前に読響からハガキが届き、クリヴィヌは健康上の問題で来日できず、代役としてサッシャ・ゲッツェルというオーストリアの人が振るとのこと。クリヴィヌが聴けないのは残念ですが、私にとって未知の指揮者が聴けるということで、出かけることにしました。

日本ではなぜか年末に第九を聴く風習があり、各オケとも有力な指揮者で第九を当てて来ます。なんとなく昔はそのマーケティングには乗らずにいたんですが、ブログを書き始めて以降、2011年から3年ほど年末の第九を聴きにいっており、最近は第九をよく聴いているという感触でしたが、調べてみると2013年を最後にしばらく空いていて、今年は久しぶりの年末の第九鑑賞。

2013/12/26 : コンサートレポート : デニス・ラッセル・デイヴィス/読響の第九(東京オペラシティ)
2012/12/21 : コンサートレポート : カンブルラン/読響の第九(サントリーホール)
2011/12/27 : コンサートレポート : スクロヴァチェフスキ/N響の第九(サントリーホール)
2011/11/03 : コンサートレポート : 【サントリーホール25周年記念】ホグウッド/N響の第九

ということで、チケットを取る時はN響のエッシェンバッハとクリヴィヌの読響で迷ったのですが、バリトンに妻屋さんが出るということで読響を取った次第。妻屋さんは、先日聴いた高関健と東京フィルの天地創造のラファエル、アダムが実に朗々とした歌唱が素晴らしかったので印象に残ってます。

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これまでに行った第九のコンサートもたまたまというか、なぜか全てサントリーホールでのコンサート。この日もサントリーホールですが、今年はサントリーホールはしばらくお休みして改装工事をしており、私はこの日が改装後はじめてのサントリーホールのコンサートです。ネットで情報収集してみると、今回の改装ではステージの床板の全面張り替え、客席のシート張り替え、パイプオルガンのメンテナンス、トイレ増設、バリアフリー化、照明のLED化、舞台機構のメカニックの最新化などだそうで、音響面は変更なしとのことでした。

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ということで、いつも通り先に着いていた嫁さんがドリンクコーナーでワインを注文して待っていてくれたので、仕事帰りで立ち寄った私も一杯やって士気を高めます。ちなみにサントリーホールのドリンクコーナーで以前赤ワインを注文すると、よく冷えた(笑)赤ワインが供され、お酒の文化を先導するサントリーの運営するホールとは思えない状況だったんですが、今回は赤ワインは適温、白もよく冷えていて、私にはこの点が改装の恩恵が一番感じられたところ。惜しむらくは、サントリーが誇る色々なワインが選べてもいいと思うのですが、、、

この日の席はお気に入りのRA。2階のステージ真横の席。コーラスの編成が大人数の時はステージ裏の客席にコーラスが入ることがありますが、この日はコーラスもステージ上に収まりました。

この日、クリヴィヌの代役として急遽指揮をとることになったサッシャ・ゲッツェル(Sascha Goetzel)についてさらっておきましょう。1970年ウィーン生まれで、グラーツ音楽大学、ジュリアード音楽院などで学び、小澤征爾の招きでタングルウッド音楽祭の研修指揮者を経験。その後ウィーンフィルのヴァイオリン奏者を務めながらシベリウスアカデミーで指揮を学び、2001年にウィーンフォルクスオーパーで指揮者デビュー。その後ベルリン交響楽団、バーミンガム市響など各地の有名オケを振る一方、日本でも神奈川フィルの首席客演指揮者を務めるなど、日本でも活動しているとのことでした。読響には今年の4月に客演しているそうです。現在はトルコのボルサン・イスタンブールフィルの芸術監督とのこと。

今回芸劇、サントリーホール、大阪フェスティバルホール、みなとみらいなど4カ所6公演の代役ということで、それなりの実力とスケジュールの両方が合ったということでの代役でしょうが、ゲッツェルにとっては日本での知名度を上げる好機となったことでしょう。

歌手と合唱は下記の通り。
ソプラノ:インガー・ダム=イェンセン(Inger Dam-Jensen)
メゾソプラノ:清水華澄(Kasumi Shimizu)
テノール:ドミニク・ヴォルティヒ(Dominik Wortig)
バス:妻屋秀和(Hdekazu Tsumaya)
合唱:新国立歌劇場合唱団
合唱指揮:三澤洋史(Hirofumi Misawa)

コンサートの方は、おそらくゲッツェルのことを知らないお客さんがほとんどだったと思われますが、サントリーホールが完全に埋まってます。先週のみなとみらいのデュトワ/N響のコンサートが4割くらいの入りだったのと対照的。やはり第九はお客さんが入るということでしょう。

定刻となり、コーラスとオケが入場、そしてゲッツェルが指揮台に登壇。全く予備知識なしに行きましたので、どのような音楽を繰り出すのかわかりませんでしたので興味津々。登壇したゲッツェルはプロフィール写真とは異なり、ロン毛のちょいワルオヤジ分のイケてる感じの人でした。

1楽章は、ダイナミクスを重視しながらも、丁寧なコントロールでベートーヴェンの燃えたぎる音楽を手探りで形にしていくよう。オケが十分に暖まっていないのか少々テンポが落ち着かないところもありましたが、時折クライバーばりに左右に大きく指揮棒と体をくねらせてオケの響きの深みを求めるなど、オケを鳴らし切ろうとするところが多々あり、徐々にオケもそれに刺激されて活気がみなぎってきます。2楽章に入ると、若手らしく鋭いアクセントでグイグイとオケを煽り、オケもだいぶこなれてきました。歌手は3楽章の前に入場。そして3楽章に入ると意外にテンポを落としてこの曲のジワリとくる静寂感を活かすよう、オーソドックスに攻めてきました。響きの流麗さはまだまだ磨くべきところはあるものの、力感を軸にしながら楽章間のコントラストをしっかり意識していて悪くありません。そして特に良かったのが終楽章。畳み掛けるような迫力と、かなりはっきりと音量を落とすところを設けてコントラストを鮮明に表現。迫力一辺倒の演奏とはならず、ダイナミクスが心地よく流れるなかなかのコントロール。そしてバスソロの妻屋さんの第一声が轟くと場内の雰囲気が一変。体の芯から轟く素晴らしいバスに完全にのまれます。ステージ横から見下ろす席から見ると、場内のお客さんが圧倒されているのが良くわかりなす。この一瞬の轟き、神々しさ、そして人の声のもつ浸透力。そして、コーラスが入るとさらに響きにしなやかな厚みが加わり、オケの演奏も一段ギアチェンジ。やはり第九の終楽章の神々しさは素晴らしいですね。歌手も妻屋さんを筆頭に非常にレベルの高い歌唱。コーラスも一糸乱れぬ名唱で盛り上げ、最後はゲッツェルがフルトヴェングラー並みにテンポアップして終了。ゲッツェルを知っている人も知らない人も楽しめるいい演奏でした。

ゲッツェルも満足いく演奏だったのか、歌手とコーラス、そしてオケの各パートの奏者をたたえますが、ピンチヒッターだからかカーテンコールからの切り上げも早くさっぱりとしたものでした。このへんの謙虚さもなかなか良かったですね。

この日のプログラムは第九1曲でしたので、カーテンコールを含めても20:30にはホールを出られました。サントリーホールのコンサートの反省会の定番、向かいのスペインバルを嫁さんが21:00に予約していたんですが、この日は21:00まで団体客で貸切り。仕方なくコンサートの余韻を楽しみながら、ホール前の広場で少し待ってからお店に入りました。

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バレンシアナ バル ブリーチョ

最初はテンプラニーリョとサングリア。

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頼んだチーズがなかったということで代わりに出されたハードチーズ。味は変わったものではないのですが、変わっていたのは蜂蜜をつけて食べること。これが実に美味。日本人には思いつかないアイデアにちょっと驚きます。

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この日のオムレツにジャガイモのグリル。オムレツはマヨネーズが合わせて出されました。これもなかなか美味。

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レンズ豆、生チョリソの軽い煮込み。いつも頼む定番。独特の香りがお酒に合って旨いんです。

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こちらはブラックベリーのシードル。不思議な(笑)味でした!

ということで、軽めの夕食を兼ねた反省会を楽しんで帰りました。ここ、サントリーホールのコンサート帰りにはおすすめです。

年内のコンサートはこれで打ち止め。また旅行記に戻ります(笑)

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tag : ベートーヴェン

シャルル・デュトワ/N響の王妃、嘆き、スコットランド(横浜みなとみらいホール)

旅行記の途中ですが、12月16日はチケットを取ってあったコンサートに出かけました。

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シャルル・デュトワ指揮 NHK交響楽団2017横浜定期演奏会

このコンサート、シャルル・デュトワがハイドンを振るということでチケットを取ったのですが、お目当てはハイドンばかりではありません。2曲目置かれた細川俊夫の「嘆き」もちょっと気になる存在。というのもこの「嘆き」、2013年のザルツブルク音楽祭で、この日の組み合わせであるデュトワとN響、そしてアンナ・プロハスカで初演されており、その模様はNHKの番組で観ています。すなわち今日は初演コンビでの演奏ということです。また、今年の7月にはノットと東響、藤村実穂子の組み合わせで藤村のためにメゾ・ソプラノ用に用意された改訂版も実演で聞いてその素晴らしさを味わっています。

2017/07/17 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響のマーラー「復活」(ミューザ川崎)

また、アンナ・プロハスカはDGから歌曲集をリリースしており、その中にハイドンの英語によるカンツォネッタ「人魚の歌」が含まれていたので、こちらも一度記事にしています。

2013/09/24 : ハイドン–声楽曲 : アンナ・プロハスカの歌曲集(ハイドン)

もちろん、デュトワのハイドンも一度取り上げています。デュトワの唯一のハイドンの録音であるパリセットは定番の一つですね。

2012/12/17 : ハイドン–交響曲 : デュトワ/モントリオール・シンフォニエッタの87番

ということで、私にとってこの日のプログラムは非常に興味深いプログラムな訳ですね。

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この日は晴天。いつものように早めにみなとみらいに到着。ホールに入ると全面ガラスのホワイエからの眺めは気持ちの良いもの。

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開演まで時間があるので、いつものようにワインを頼んで、景色をツマミにのんびりさせていただきました。

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この日の席は2階席の真正面。いつもは右側を選ぶのですが、たまには正面でということで取った席。ちなみにこの日の席の埋まり具合は4割弱ぐらいだったでしょうか。2階席の左右後方は誰も居ない感じ。ちなみに数日前にサントリーホールで2夜連続同じプログラムで演奏されたということで、首都圏で3日目ということでこの入りだったんでしょう。また、翌日は福島の磐城で同じプログラムゆえ計4日の興行ということになりますので、N響としても第九並みに力の入った演目という扱いでしょうが、メインがメンデルスゾーンということで第九ほどの集客力はなかったというオチでしょう。

定刻になってオケの奏者がステージ上に現れ始めると拍手で迎えるのはこのホールの習わしでしょう。メンバーが揃ってチューニングが終わるとデュトワが颯爽と登場。1曲目の王妃は手元のアルバム同様、スタイリッシュな演奏でした。全体の設計がしっかりるのでテンポやアゴーギクには揺るぎない安定感があり、逆にスリリングな感じは皆無。そしてオケの奏者もデュトワの指示に従って正確にトレースしていく感じ。パート間の音量のバランス、デュナーミクの変化、アクセントなどまるでセッション録音を聴いているような安定感。古典の構築美をデュトワ流にさらりと表現したという感じの演奏でした。プログラム構成上も完全にハイドンは前座。もう少し攻めてくるかと思いきや、オケのアイドリングのような演奏でした。

観客の拍手もそこそこに切り上げ、ステージ上は次の細川俊夫の「嘆き」に向けて歌手の歌うスペースを用意して、奏者も増えます。そしてプロハスカとデュトワが登場し、場内はハイドンの時以上に盛り上がります。

この「嘆き」は東日本大震災で子供を失った母親のために書かれた哀悼歌。曲については先のノットのマーラーの記事に触れてあります。7月に聴いたジョナサン・ノットの演奏が静寂から響きのクラスターがめくるめくように湧き上がる鋭利な印象を感じさせたのに対して、デュトワの演奏は、大河の流れにキラメキが漂うよな演奏。ユッサユッサと大きなモーションでオケに的確な指示を与えて、その度にオケの響きが湧き上がってくるため、ハイドンどうよう盤石の安定感。ノットのシャープな表現に対して、デュトワは余裕すら感じるコントロールでこの曲を完全に掌握している感じ。時折り鳴らされる鈴やりんの音が祈りの感情を想起させます。ソプラノのプロハスカは鳥肌が立つような高音の伸びと透明感が見事。藤村実穂子が語りでも豊かなニュアンスを聴かせたのに対し、やはり高音の抜けるような伸びやかさが見事。哀悼歌という心情をうつくしさに昇華した印象。もちろん、最後の音が静寂に包まれると万雷の拍手が降り注ぎます。プロハスカの絶唱に観客から惜しみない拍手が注がれました。

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休憩を挟んで後半はメンデルスゾーンの「スコットランド」。私にとってこの日のコンサートのお目当ては前半で、後半は完全にオマケという感じでした。ハイドンもバッハもマーラーもブルックナーも武満も細川もブーレーズも好きなんですが、メンデルスゾーンは完全に守備範囲外。手元にはアバド/ロンドン響の1968年のスコットランドとイタリアにこれもアバド/ロンドン響の80年代の交響曲全集くらいしかありません。スコットランドを聴くのも実に久しぶり。結論から言うとデュトワのメンデルスゾーンのスコットランド、素晴らしい演奏で、目からウロコが落ちた感じ。N響のデュトワに対する絶大な信頼が感じられる素晴らしい演奏でした。絵画的と言われるこの曲ですが、冒頭からデリケートな情景描写の巧さと、明るいメロディーの伸びやかさ、揺るぎない全体設計、一糸乱れぬオケの安定感、そしてハイドンの時以上の完璧な音量バランスで、まさに完璧な演奏。冒頭のハイドンの時にはちょっと安定感と完成度重視で踏み込み不足を感じたんですが、流石にコンサートの目玉にしただけあって最後のファンファーレの部分の堂々とした響きで場内を圧倒。もちろん素晴らしい演奏に惜しみない拍手が送られました。

いやいや、N響にデュトワありとの存在感を見せつけた感じ。やはりオーケストラコントロールにかけては素晴らしい才能を持った人だと再認識しました。嫁さんも、「流石に上手いわね〜」とにっこり。この素晴らしい演奏にしてはお客さんの入りが残念でした。後で聞きましたが、この日はJRが午後動いていませんでしたのでその影響もあるかもしれませんね。

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終演後のホワイエからの景色は陽が少し傾いて雲が目立つようになっていました。

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この日は叔母に母親の留守番を頼んで出かけてきましたので、家路を急ぎました。
デュトワとN響、次のコンサートも要チェックです。

(付記)
この日のプログラムでは、ハイドンの85番のタイトルが「女王」となっていましたが、原題の"La Reine" の直訳は女王でしょうが、この曲にこのニックネームがついた経緯はルイ16世の王妃であったマリー・アントワネットが愛好したという由来を考慮すれば「王妃」が正しいでしょう。

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ジョナサン・ノット/東響の「ドン・ジョヴァンニ」(ミューザ川崎)

旅行記の途中ですが、猛烈に良かったコンサートレポートを書いておきましょう。

ちなみに現在記載中の旅行記の旅行から帰ったのが12月1日金曜日。実はその翌日12月2日にもコンサートのチケットをとってあり出かけました。東京芸術劇場で行われた読響のコンサート。目玉はドラムの名手、ピーター・アースキンのためにイギリスの作曲家マーク=アンソニー・タネージが書いたドラムス協奏曲「アースキン」の日本初演。こちらの方は時間があれば、別途触れることにして、本題に入りましょう。

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東京交響楽団:コンサート情報:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」

このコンサートは、昨年同じくノットと東響での「コジ・ファン・トゥッテ」があまりにも素晴らしかったんで、早くからチケットをとってあったもの。ノットと東響のコンサートは最近かなり行ってます。

2017/10/15 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の86番、チェロ協奏曲1番(東京オペラシティ)
2017/07/23 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「浄められた夜」、「春の祭典」(ミューザ川崎)
2017/07/17 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響のマーラー「復活」(ミューザ川崎)
2016/12/12 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「コジ・ファン・トゥッテ」(東京芸術劇場)

ノットと東響のコンサートは最近お気に入り。「コジ・ファン・トゥッテ」がかなり面白かったことから通い始めましたが、前回聴いたハイドンの86番は、ちょっとせせこましくて、ノットの指揮する演奏では今ひとつな印象で、逆にハイドンの演奏の難しさというか、奥行きを再認識した次第。

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この日のコンサートの配役は下記の通り。

指揮&ハンマーフリューゲル:ジョナサン・ノット(Jonathan Nott)
ドン・ジョヴァンニ:マーク・ストーン(Mark Stone)
騎士長:リアン・リ(Liang Li)
ドンナ・アンナ:ローラ・エイキン(Laura Akin)
ドンナ・エルヴィーラ:ミヒャエラ・ゼーリンガー(Michaela Selinger)
レポレッロ:シェンヤン(Shenyang)
マゼット:クレシミル・ストラジャナッツ(Kresimir Stražanac)
ツェルリーナ:カロリーナ・ウルリヒ(Carolina Ullich)
ドン・オッターヴィオ:アンドリュー・ステープルズ(Andrew Staples)
合唱:新国立劇場合唱団
演出監修:原純(Jun Hara)

入り口で手渡されたプログラムには「【謹告】出演者変更のお知らせ」というチラシが挟まれ、主役のドン・ジョヴァンニとドンナ・エルヴィーラの歌手が急病のため当初の予定から変わったとのこと。

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この日の開演は15:00ということで、いつものように少し早めについて、ホワイエで嫁さんとワインを楽しんプログラムやらチラシやらをチェックして開演時刻を待ちました。この日の配布物には「オペラ『ドン・ジョヴァンニ』を彩る楽器たち」というチラシが含まれていましたがこれが秀逸。ハンマー・フリューゲル、ティンパニ、マンドリン、トロンボーン、オーボエ、クラリネットなど演奏に使われる楽器の解説が書かれていますが、内容が非常に良くできていて役にたちました。制作はリトルミューザという小学生から高校生までのコミュニティ。これはいい取り組みですね。

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席はお気に入りのステージ右側の2階。歌手は横から聴くことになりますが、何より指揮姿はよく見えますし、オケの響きも程よくダイレクトで音響は申し分なし。

ステージ上には演出用に白と赤の布がかけられた大きな箱が一つ置かれています。ティンパニはバロックティンパニ、そして先ほどのチラシに解説があったハンマーフリューゲルが中央に置かれています。

開演時刻になり、オケのメンバーが登場し、チューニングを終えるとノット登場。序曲からタイトに引き締まったビヴラートを抑えた古楽器風の響きに包まれます。前回の「コジ・ファン・トゥッテ」同様、アクセントをきっちりつけ、フレージングは非常に表情豊か、そしてテンポはかなり自在に動かしながらゆったりとしたところときりりと引き締めるところの対比を鮮明につけ、軽やかなところの爽快感はノットならではの高揚感。やはりモーツァルトはノットの演奏スタイルに合っているのでしょう。序曲が終わって、ハンマー・フリューゲルを実にニュアンス豊かに自ら弾きながら音楽を紡ぎ出していく様子は見事。ハンマー・フリューゲルの入り一つで曲のニュアンスが変わってしまいますので、他の人に任せるわけにはいかないのでしょう。歌手の主役のドン・ジョヴァンニ役はイケメンバリトンで代役ながら素晴らしい演技と歌唱。レポレッロはちょっと太め(笑)で道化役にしてはちょっと演技のキレが悪いですが、歌はよかったです。そして最初に殺されてしまう騎士長は役に負けない素晴らしい声量のバスで迫力十分。ドンナ・アンナは抜けるようなクリアなソプラノで役の期待通りの美しいソプラノ、ドン・オッタヴィーオは実に味わい深い円熟の演技が光るテノール。そして物語の展開を左右するドンナ・エルヴィーラはこちらも代役ながら演技力も歌唱も見事なレベルで、代役とは思えない素晴らしい存在感でした。そのほかツェルリーナ、マゼットとも含めて歌手は皆見事な演技と歌唱ということでジョナサン・ノットによると思われる歌手の配役は皆レベルが高くこれも見事。
第一幕ではモーツァルトの書いたアリアが次から次へと湧き出てくる素晴らしさを堪能できました。特にレポレッロのカタログの歌の軽やかなオケ、そして何より登場人物それぞれの複雑な思いが交錯しながら一つのメロディーにまとめ上げて行くモーツァルトの見事なアンサンブルが味わえる第一幕半ばの四重唱と第一幕最後のアンサンブルの見事なことと言ったらありませんでした。
オケはバロックティンパニの硬質な響きで引き締まって迫力十分。小規模オケにも関わらずキレ味鋭い俊敏な反応でミスらしいミスはなしで完璧でした。
25分の休憩を挟んで第二幕でよかったのはマンドリンの伴奏によるドン・ジョヴァンニのカンツォネッタ「窓辺にいでよ」。舞台下手から登場したマンドリン奏者の女性がドン・ジョヴァンニの横に座って奏でるマンドリンの響きの美しさは素晴らしかった。そして女心を射止めようとするドン・ジョヴァンニの歌が引き立ちました。そして何と言ってもハイライトはやはり最後の騎士長が登場する地獄落ちの場面でしょう。騎士長の亡霊がノックするところから始まる最後のクライマックスは迫真の歌唱と演奏。演出ではドン・ジョヴァンニが拳銃自殺してしまうという落ちでしたが現代風の演奏会形式の舞台にマッチしていてなかなかよかったです。終曲ではドン・ジョヴァンニが生き返って歩き回る大団円。最初から最後まで緊迫した歌唱と演奏に惜しみない拍手が送られ、ノットと歌手陣が何度も何度も呼び戻されるカーテンコールが続きました。

昨年のトーマス・アレンを中心とした歌手陣もよかったですが、このドン・ジョヴァンニのメンバーも実に良かった。そしてノットと東響も素晴らしい演奏で舞台を盛り上げました。非常にレベルの高い舞台にこの日の観客は熱狂。心に残るコンサートとなりましたね。

プログラムには早くも来年の12月にフィガロの結婚が組まれるとの速報が掲載されていました。ノットの素晴らしいモーツァルトのダポンテ3部作が完結することになりますね。こちらも必聴でしょう。

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ジョナサン・ノット/東響の86番、チェロ協奏曲1番(東京オペラシティ)

10月15日日曜は以前からチケットを取ってあったコンサートに出かけました。

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東京交響楽団:東京オペラシティシリーズ 第100回

最近、ちょっとお気に入りのジョナサン・ノット。昨年末に聴いた演奏会形式の「コジ・ファン・トゥッテ」があまりに素晴らしかったので、その後も何回かコンサートに通っています。

2017/07/23 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「浄められた夜」、「春の祭典」(ミューザ川崎)
2017/07/17 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響のマーラー「復活」(ミューザ川崎)
2016/12/12 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「コジ・ファン・トゥッテ」(東京芸術劇場)

コジ・ファン・トゥッテはキビキビとした進行に実に多彩な表情をつけて長いオペラを一気に聴かせる素晴らしい演奏でしたし、復活はオケを鳴らしきるど迫力の演奏。そして「浄められた夜」の精緻な透明感と曲ごとに多彩な表情を見せる人。そのノットがハイドンを振る、それも好きな86番にチェロ協奏曲ということでチケットを取ったもの。プログラムは下記の通り。

ハイドン:交響曲第86番 ニ長調 Hob.I:86
ハイドン:チェロ協奏曲 第1番 ハ長調 Hob.VIIb:1 チェロ独奏:イェンス=ペーター・マインツ(Jens Peter Maintz)
モーツァルト:交響曲 第39番 変ホ長調 K.543

ハイドンを振るのにいきなり玄人好みの86番を取り上げるあたりが流石のプログラミングセンス。ハイドンとモーツァルトという2人の作曲家の代表曲の影の傑作交響曲を並べるという趣向でしょう。そして協奏曲にはチェロ協奏曲1番ということで完璧に私好みのプログラムなんですね。



さて、日曜のコンサートということで、少し早めにオペラシティについて、こちらもお気に入りのお店で腹ごしらえ。

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食べログ:HUB 東京オペラシティ店

東京オペラシティの地下1階にある英国風パブチェーンのHUB。コンサート前の腹ごしらえはここです。

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ギネスにレッドアイを頼んで、まずは喉を潤します。

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そして、なぜかいつも頼むザ・フィッシュ&チップス。ビールのつまみになります。のんびりとビールを楽しんでいるうちに開場時刻となり、ホールに向かいます。

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この日の席は2階席のステージ右の一番奥の方。オケを上から眺める席です。しかも指揮者の指示が非常によく見える席。ステージ上は小規模オケということで余白たっぷり。ステージの真ん中だけ使うくらいで、マーラーやブルックナーの時のステージいっぱいに席が並ぶのとは異なりスッキリした感じ。客席の入りは5〜6割とあまりぱっとしません。やはりこのプログラムではお客さんが入らないのでしょうか。

定刻になりオケが入場し、ジョナサン・ノットもいつものようにステージに勢いよく駆け出てきて、注目の86番。ノットがタクトを下ろすと聴き慣れた序奏のメロディーが響きますが、最初はオケがまだ硬い感じなのに加えて、オケの直上の直接音主体の響きも手伝って、奏者の微妙な入りのタイミングの差が少々気になります。ノットのコントロールはフレーズごとにかなり表情をはっきりつけながらも、古楽器風の清透な響きを意識したもの。主題に入って86番独特の規則的なリズムを刻んでいく部分もちょっとリズムを重くしたり、軽くしたりと念入りな表情づけ。ノットの指揮も特に強音部ではかなり細かくタクトを振り回すので忙しい印象を与えます。なんとなくリズミカルなこの曲の魅力が、演出過剰でゴテゴテした印象もついてしまった感じ。ただし聴き進むうちにオケも徐々にこなれて、音楽の流れも良くなっていきます。1楽章も終盤になるとノットの激しい煽りでライブらしい高揚感に包まれます。
続く2楽章のカプリッチョは、古楽器風に少し速めのテンポで、この楽章もノット風のテンポを微妙に細かく変えながらの演奏。アクセントをかなり明確につけるので、メリハリは十分。そしてメヌエットは覇気十分で活気ある舞曲。今少し優雅さがあればとも思いますが、このゴツゴツとした感触を感じるデフォルメがノットの特徴でしょう。そして終楽章は渾身の力演。これは生ならではの盛り上がりを感じさせます。最後はノットの煽りで小規模なオケといってもホールに轟く大音響で終わり、盛大な拍手に迎えられました。

ステージ上にチェリストが乗る台が運ばれ、一部の奏者が入れ替わって、次のチェロ協奏曲。チェロのイェンス=ペーター・マインツとノットが登壇。マインツは長身ですね。チェロ協奏曲の伴奏は86番同様、ノット風に小刻みな表情づけが行われますが、協奏曲ゆえ基本的に流れの良い演奏なので、86番ほどノットの表情づけが気になることはありません。チェロのマインツは非常にキレの良いボウイングでいきなり観客の耳を釘付けにします。特に早いパッセージの鮮やかさは目もくらむほど。テンポよくキレの良いチェロでハ長調のこの曲の明るい推進力あるメロディーを先導します。1楽章のカデンツァはマインツの美音とボウイングの鮮やかさを印象付けるもの。オケも86番よりも流れが良くなり、マインツのキレの良さがノットの鮮やかな面を引き出し、掛け合いの面白さも活きる演奏でした。
続く2楽章のアダージョはマインツの美音の鮮やかさが際立ちました。大柄なマインツが弾くとチェロが小さく見えるほどで、楽器をコントロールし尽くしている感じ。2楽章のカデンツァは現代音楽風の不協和音をも織り交ぜ静寂を印象付ける踏み込んだもの。マインツが完全に観客をのんでいました。フィナーレはチェロの超絶テクニックの聴かせどころ。特に速いパッセージのボウイングの鮮やかさは素晴らしいものがありました。あまりの鮮やかさに聴衆からは嵐のような拍手が降り注ぎました。やはりソロがキレると協奏曲はいいですね。何度かのカーテンコールで、マインツが平台からノットを指揮台に乗せる場面があり、指揮台に乗ったノットがようやくマインツに背が届くとわかって会場は笑いに包まれました。アンコールはバッハの無伴奏チェロ組曲3番からサラバンド。チェロの豊かな低音の唸りを祈りに昇華させるようなアーティスティックな演奏に聴き惚れました。

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休憩を挟んで後半はモーツァルトの39番。オケの編成はほぼ変わらず、コントラバスが2本から3本に増えたくらい。このモーツァルトはハイドンとはまたスタイルを大きく変えてきました。ほぼ古楽器の演奏と思わせるようなリズムの早打ちに、ほぼノンヴィブラートで澄み切った音色を強調するヴァイオリン、そして細かい表情づけは少し後退して優雅さを感じさせるような大らかさも持ち合わせた演奏。1楽章の美しいメロディーの繰り返しにうっとり。ハイドンではあれだけ緻密に表情づけをしていたのに対し、モーツァルトの天真爛漫なメロディーに触発されたのか、流れの良さはだいぶ上がってきています。演奏のテイストは一貫して、2楽章、3楽章、フィナーレと安心して身を任せられる演奏でした。もちろん観客は大満足の演奏だったようで、最後も盛大な拍手に包まれました。



これで4回目のジョナサン・ノットのコンサート。今回は私好みのハイドンの曲中心のプログラムでしたが、このハイドンが演奏の難しさを感じさせるものでもありました。期待の86番はノットのせわしない指揮が曲のシンプルな魅力を表現しきれていない印象も残してしまいました。チェロ協奏曲はソロも含めてなかなかいい演奏、そして後半のモーツァルトは期待以上の素晴らしさでした。86番については好意的に聴いた人も多かったかと思いますが、日頃ハイドンばかり聴いている私ゆえの辛口コメントということでお許しください。

さて、次のノットはドン・ジョバンニです。昨年のコジ・ファン・トゥッテは名歌手トーマス・アレンの魅力もあり素晴らしい舞台でしたが、ドン・ジョバンニは如何に仕上がってくるでしょうか。今から楽しみです。

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高関健/東京シティフィルの天地創造(東京オペラシティ)

昨夜は気になっていたコンサートに出かけました。

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東京シティフィルハーモニック管弦楽団:第309回定期演奏会

コンサートに行くたびにチラシで次のコンサートを物色するのですが、なんと今週来週、東京で天地創造が2回も取り上げられます。一つがこちらの高関健の振る東京シティフィル、もう一つが大野和士の振る都響。東京がアイゼンシュタットになったような祝祭感! 両方とも聴きたかったのですが、いろいろな都合もあり、なんとなく聴いたことのなかった東京シティフィルの方のチケットを取った次第。

指揮・チェンバロ:高関 健(Ken Takaseki)
ソプラノ:安井 陽子(Yoko Yasui)
テノール:中嶋 克彦(Katsuhiko Nakashima)
バス:妻屋 秀和(Hidekazu Tsumaya)
合唱:東京シティ・フィル・コーア(TCPO Chor)
合唱指揮:藤丸 崇浩(Takahiro Fujimaru)

高関健も東京シティフィルも名前はもちろん知っているものの録音も含めて聴くのはまったくはじめて。
高関健は群馬交響楽団のイメージがありますが、国内の主要オケの音楽監督を歴任し、今は東京シティフィルの常任指揮者と京都市交響楽団の首席客演指揮者で芸大指揮科の教授を務める人。1955年生まれで桐朋学園在学中にカラヤン指揮者コンクールジャパンで優勝し、ベルリンでカラヤンのアシスタントを務めていたそう。その後、バーンスタイン、小澤征爾に師事するなど、桐朋、カラヤン、バーンスタインという流れは小澤征爾と同じなんですね。
東京シティフィルは東京に数多存在するオーケストラのうちの一つで、なんとなくN響、読響などとはランクがちょっと違う感じですが、最近の在京オーケストラの水準は以前とは比べものにならないほど上がっていますので、お手並み拝見といったところ。

天地創造のアルバムのレビューは数えてみたら51種も書いていましたが、コンサートはこれまで2度のみです。

2017/06/04 : コンサートレポート : 鈴木秀美/新日本フィルの天地創造(すみだトリフォニーホール)
2010/10/31 : コンサートレポート : アーノンクールの天地創造(サントリーホール10/30)

ハイドンの作品の中でも最高傑作であり、天地創造というコーラスを伴う大規模なオラトリオは録音よりも生で聴きたいものですね。この日のコンサートはお手並み拝見といった気持ちでチケットを取ったわけですが、結果からいうと実に素晴らしいコンサートで、天地創造という名曲を存分に楽しめる超名演でした。



この日の会場は東京オペラシティ。いつも通り西新宿の職場から歩いてオペラシティに参上。先に待っていた嫁さんと合流して、いつも通りサンドウィッチとワインで腹ごしらえ。

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ワインはいつものものではなく、東京オペラシティ開館20周年記念で勝沼の鳥居平今村の甲州とブラッククイーンが供されており、それを注文。お腹も満ちたところで、いざ、天地創造です。

この日の席は1階前方中央と日頃めったに取らないS席。6列目でしたがステージが拡大されていたので、実質4列目。普段は上から俯瞰できる2階席右側を取るのですが、そちらが空いていなかったので、珍しくS席とした次第。オケの至近距離で響きもダイレクトですが、前方の奏者以外の奏者の様子がよく見えないので、眺めは今ひとつです。

ほどなくコーラスのメンバーが登場。ステージ後方にかなりの人数が並びます。そしてオケも天地創造としては大編成でしょう。オペラシティーのステージが狭く感じるほど。定刻になり歌手と高関健が登場。高関健さんはなんとなく近所のおじさんがタキシードを着てステージに上がったような気さくな感じ(笑) このところファビオ・ルイージ、ジョナサン・ノット、エリアフ・インバル、エサ=ペッカ・サロネンとスタイリッシュな指揮者のコンサートが続いていましたので、隣の嫁さんも指揮者というのはスタイリッシュなものだと思い込んでいたとのこと。高関健はチェンバロも兼ねているので、指揮台はなくステージにたち、チェンバロを20センチくらいの台に乗せ、立ってチェンバロと指揮をこなすスタイル。オケの東京シティフィルも、普通のオケにはいるギラついたオーラを発するような奏者は見当たらず、なんとなくアマチュアオーケストラ風な佇まい。

高関健が拍手に応えて実に気さくに微笑み観客に向かって挨拶を終え、奏者の方に向き直って両手を振り下ろすと、第一部冒頭の混沌の描写が始まります。響きはゆったりとしたもので最初はかなり遅めのテンポでじっくりと描いていきます。ヴァイオリンも丁寧すぎるくらい表情をつけたボウイングで、これより遅いと音楽が停滞しかねないくらい。コンサートの冒頭ゆえかオケもまだ少し硬い感じがありますが、奏者の数が多いので迫力はかなりのもの。そして注目のラファエルの第一声。ラファエルとアダムはバスの妻屋秀和。この日の妻屋さん、実に素晴らしかった。大柄な体に似つかわしくキリリとひきしまったバスがホールに轟きます。ラファエルこそ天地創造の要が持論ですが、アーノンクールの来日公演でのフローリアン・ベッシュの度肝を抜くような声量には及ばずとも、存在感と伸びやかさは十分。そこからのオケが徐々にオケが目覚めて湧き上がるように盛り上がります。ウリエルの中嶋克彦は非常に柔らかで透明感のある声。こちらも声量はほどほどながらしなやかな歌唱が絶品。そしてガブリエルとエヴァの安井陽子は明るく非常に伸びやかな高音の美しい声でチャーミング。第一部の聴きどこのガブリエルのアリアは名盤の名歌手の歌唱にも迫る素晴らしいものでした。この日の歌手陣は3人とも素晴らしい歌唱でした。高関健のコントロールは精緻な演奏ではありませんが、自然な呼吸とアゴーギクはハイドンの音楽の素朴な良さを引き立てます。第一部では前半に硬さが見られたものの、これはコンサートの常。大編成オケの迫力を活かしてゆったりと盛り上げ、要所で各楽器の音色を際立たせるアクセントを設けるなど流石に芸大指揮科の教授。曲全体の流れを一貫して保ちながら場面ごとの情景描写に変化をつける円熟の技。第一部終盤の盛り上がりは素晴らしいものがありました。

この日は第一部終了後に休憩が入り、休憩中にチェンバロを入念に調律し直していました。第一部の演奏は素晴らしかったんですが、お手並み拝見の想定内。ところが、休憩後の第二部以降はそれを超える想定外の素晴らしさ。天地創造の第二部はご存知の通り、素晴らしいアリアの宝庫。休憩でリラックスできたのか、オケも歌手もすっかり落ち着き払って、演奏の方は所謂ゾーンに入って、もはやハイドンの音楽と一体化したような素晴らしさ。淀みない音楽の流れに乗って、歌手が代わる代わるアリアを披露。剛腕指揮者の強烈なドライブとは正反対の自然な音楽。ハイドンの名演奏の多くはこうした素朴な中から心弾むような音楽が溢れ出してくる演奏。まさにこの日の第二部はそのゾーンに入っていました。次々と流れる絶品のメロディー。歌っていない歌手も他の歌手やコーラス、オケの演奏に聴き惚れながら次の出番を待つ至福の時間。ホール全体が演奏に集中する素晴らしい演奏でした。そしてクライマックスでは大波のように押し寄せるコーラスとオケが渾然一体になった怒涛の迫力。

そして、それまでステージに向かってラファエルが指揮者の左、ガブリエル、ウリエルが指揮者の右に配置されていたのが、ラファエルとウリエルが入れ替わって、第三部でのアダムとエヴァのデュエットに備えた配置に変わり、終曲で4重唱に参加するアルトの背戸裕子がステージに上がります。圧巻の第二部に続いて第三部でもゾーンは続いていました。入りのレチタティーヴォに続いて聴きどころのアダムとエヴァのデュエットは絶品。表情一つ変えずに朗々と歌う引き締まったアダムの声に表情豊かに可憐に歌うエヴァが寄り添い、2人の息もピッタリ。まさに至福のデュエット。安井さんのソプラノはまるで全盛期のルチア・ポップのような可憐さ。2つ目のデュエットはまさに夢見心地。そしてさらに素晴らしかったのが終曲。あえて軽めに終わる演奏もある中、堅固な大理石の神殿のような威容が姿を現し、これまでの演奏の総まとめ的クライマックスに突入。指揮者の影に控えていたアルトが前に立ち最後の四重唱。最後のアーメンの響きがホールに吸い込まれる前に拍手が降り注ぎました。

お手並み拝見とは失礼な前振りでしたが、この日の天地創造は素晴らしかった。もちろん生演奏の迫力があってのことですが、これまで聴いた数多の天地創造の中でも、心に残る演奏の一つとなりました。演奏の精度やオケの力量がこの演奏を上回るものは山ほどありますが、天地創造というハイドンが書いた曲の美しさ、素晴らしさを素朴に表現し、曲の本質に迫る演奏という意味では名だたる名演と肩を並べる素晴らしさでしょう。特に歌手3人は絶品。客席から降り注ぐ拍手とブラヴォーにステージ上で歌手もオケもコーラスも満足そうに笑顔で応えていたところみると、満足ゆく出来だったことでしょう。

終演後は、一部の奏者がロビーで観客に挨拶したり、プログラムも丁寧な作りで非常に好感の持てるコンサートでした。東京シティフィル、実に侮れない存在でした。今度はこの名演のコンビで、マイナーながら天地創造と同様美しいアリアの宝庫であるハイドンの「四季」か「トビアの帰還」を是非取り上げていただきたいですね。当ブログの総力を結集して集客に協力させていただきます!(大した集客力はありませんが、、、(笑))

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ファビオ・ルイージ/読響の熊、英雄の生涯(東京芸術劇場)

最近都響や東響のコンサートが多く、ちょっとご無沙汰していた読響ですが、気になるコンサートがありましたので行ってきました。

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読売日本交響楽団:読響サマーフェスティバル2017 ルイージ特別演奏会

テレビのコンサートの放送でしかご縁のなかったファビオ・ルイージが来日し、それもハイドンの熊もプログラムに含まれると知ってチケットを取ってあったもの。放送での印象はかなりアクティブな指揮ぶりで、音楽も少々くどい印象がありましたが、今をときめく一流どころの一人ということで、ハイドンを如何に料理するのか興味津々といったところ。このコンサートの直前には松本で毎年開催されるセイジオザワ松本フェスティバルでマーラーの9番を振っており、ネットなどの評判を見るとなかなか良かったようです。

ファビオ・ルイージは1959年イタリア、ジェノヴァの生まれ。地元のパガニーニ音楽院でピアノを学んだのちオーストリアのグラーツ国立音楽大学で指揮を学びます。指揮者として最初のキャリアはグラーツ歌劇場。1990年に自ら創設したグラーツ交響楽団を皮切りに、ウィーン・トーンキュンストラー管、スイス・ロマンド管、ライプツィヒ放送響、ウィーン交響楽団、ドレンデン・シュターツカペレなどの首席指揮者、音楽監督を歴任。その後も世界の著名なオケに客演し活躍しています。現在はチューリッヒ歌劇場、デンマーク放送響を率い、2018年からはフィレンツェ歌劇場の音楽監督も務める予定とのこと。今が旬の指揮者の一人でしょう。

ルイージは小澤征爾の招きで2014年に前身のサイトウキネンフェスティバルに来ており、2016年にも来日していますが、読響を振るのは今回のコンサートが初めてとのことです。

この日のプログラムは下記の通り。

R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
ハイドン:交響曲第82番「熊」
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

世紀末に生み出されてた管弦楽の極北の姿であるリヒャルト・シュトラウスの2曲に、古典期に交響曲というジャンルを創り上げたハイドンの曲が挟まれる構成。このプログラム構成の意図はメインディッシュたるシュトラウスに対しハイドンを粋な箸休めとする意図でしょうか。まあ、ハイドンが得意でなければこのような構成はとれないでしょうからよしとしましょう。

この日は早めに仕事を切り上げられたので、前回東京芸術劇場でインバルの大地の歌を聴いた時に発掘した芸術劇場の長いエスカレーターの下にあるベルギービールカフェで腹ごしらえしてコンサートに臨みます。

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食べログ:ベルギービール カフェ ベル・オーブ 東京芸術劇場

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頼んだのは海老とアボカドとフレッシュトマトのサンドイッチなどと、酸味の効いた甘口のレッドビール。ホール内のドリンクコーナーよりも落ち着けるので、早くホールに着いたときにはこちらがいいですね。



さて、この日の座席は2階席の右側。S席なのでステージがらさほど遠くなく、オケを軽く見下ろせるいい席。

最初の曲がハイドンではなくシュトラウスなので、ステージいっぱいに団員が並び、チューニングを終えるとファビオ・ルイージが颯爽と登壇。意外に小柄な人でした。ドン・ファンは最初からフルスロットルの曲ですが、ルイージがタクトを上げた途端、今まで読響から聴いたことのないような鮮明な響きが飛び出します。ルイージ、音色に関して非常に鋭敏な感覚を持っているようで、シュトラウスの楽譜に込められた音楽を、重厚なドイツ的響きではなく、超鮮明なハイレゾサウンドのような音にしてホールを満たします。テンポのキレの良さも重厚な響きになる余地をなくしているよう。全ての楽器に対してキューを出すように指揮台いっぱいに動き回って勢力的にタクトを振ります。指揮姿は全くは異なりますが、この指示の緻密さはマゼールを彷彿とさせます。重くなく鮮明、クリアな響きで、ドン・ファンを一気に聴かせ、読響も完璧にそれに応じた演奏。読響がルイージのマジックに完全に制圧された感じ。もちろん、観客は読響のきりりと引き締まったただならぬ熱演に拍手喝采。

2曲目はお目当のハイドンの交響曲82番「熊」。一旦団員が下がっている間にステージが小編成オケ用に配置換えされます。中央奥に据えられたティンパニは4台から2台に減らされ、指揮者に近い方に一段移動。オケの規模は4分の1くらいでしょうか。再びルイージが登壇してタクトを振り下ろすと、今度はしなやかで透明感溢れる響きで満たされます。このハイドンは良かった。クッキリとした筋の通った構成で、所々に多彩なアクセントやルバートが散りばめられ、爽快感と規律、イタリア人らしいスタイリッシュさもある見事な演奏。指揮ぶりはあいかわらす非常に細かく指揮台いっぱいに動き回りますが、音楽に力みはなく、流石にシュトラウスの大編成の曲の間に挟んだ甲斐のあるもの。1楽章の規律ある構成感、2楽章のメロディーをさらりとユーモラスにこなす余裕、そしてメヌエットでオケを伸びやかに響かせてフィナーレは適度に緊密なまとまりを聴かせるなど、ハイドンの面白さを見事に演出。ドン・ファンの大音響とは異なる音楽の面白さを印象付けました。

休憩を挟んで、後半は大曲「英雄の生涯」。少し前にミューザ川崎でマリス・ヤンソンスの振るバイエルン放送響で素晴らしいアルプス交響曲を聴いたばかりでしたが、この日のルイージの英雄の生涯もそれに劣らず素晴らしいものでした。いきなり圧巻だったのは最初の一音。かっちりとエッジの効いた低音弦の伸びやかな響き。ルイージのタクトの一振りで読響から聴いたことのないような引き締まった響きがまたまた引き出され、いきなりルイージのコントロール力を見せつけられます。ヤンソンスの演奏はいつもしなやかさを保ちますが、ルイージはドン・ファン同様、超鮮明ハイレゾサウンドとかっちりとした構成の見通しの良さを武器に、ハイドンとは比較にならない複雑怪奇奇妙奇天烈なシュトラウスの音楽を見事にコントロール。読響もこれまで聴いたどのコンサートの時よりも精緻。このコントロール力はすごいものですね。この日は聴き慣れた版ではなく静かに終わる初稿による演奏。最後の一音が消え入ると、もちろん場内から嵐のような拍手が降り注ぎました。横で聴いていた嫁さんも、「リヒャルト・シュトラウスってやはり変態だったのね」と激賞(笑)。ルイージの統率と読響の力演に拍手は鳴り止まず、ルイージも団員を讃えていました。

いやいや、事前の想定とは異なるルイージの魅力を見せつけられた感じ。リヒャルト・シュトラウスは言うに及ばず、ハイドンも見事にこなすところは流石なところ。現代物を振った時のカンブルランも素晴らしいのですが、ちょっと格が違う感じでした。またの共演の機会があれば、聴いてみたいですね。前回インバルの大地の歌を3階席で聴いた時はそれほど悪いとは思わなかった東京芸術劇場の音響ですが、今回よりオケに近い2階席の前位の方では、オケの残響にちょっと癖を感じ、響きも硬い感じ。席によって結構印象が変わることがわかりました。今度は芸劇ではなく、新装サントリーホールで聴いてみたいところです。

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ジョナサン・ノット/東響の「浄められた夜」、「春の祭典」(ミューザ川崎)

前週に続き、ミューザ川崎にジョナサン・ノットを聴きに行きました。

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フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2017 東京交響楽団オープニングコンサート

前週に聴いた細川俊夫の「嘆き」とマーラーの「復活」ががあまりに素晴らしかったので楽しみにしていたコンサート。この日のプログラムはジョナサン・ノット(Jonathan Nott)指揮の東京交響楽団でシェーンベルクの「浄められた夜」にストラヴィンスキーの「春の祭典」の2曲。小規模な弦楽合奏に大規模オーケストラの代表曲という絶妙な組み合わせ。これがジョナサン・ノットで聴けるということで、聴く前から期待に胸膨らみます。

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このコンサートはミューザ川崎で毎年行われている夏の音楽祭「フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2017」のオープニングコンサート。チケットも通常の公演より安いので何らかの助成があるのでしょう。

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東京も川崎もこの日は酷暑。日なたにいると干物になってしまいそうな強烈な日差しの中、コンサートを楽しみにミューザに向かいました。川崎駅からデッキで直結という便利な立地にもかかわらずホールに着くと汗だく。開演40分前に到着しましたが、幸い既に開場していましたので勝手知ったる2階のドリンクコーナーに直行。ビールで喉を潤します。このビールがよく冷えてて実にうまい。ミューザのドリンクコーナーは年配のバーテンダーのような方が睨みを効かせていて、なかなかサービスが良いのでお気に入りです。

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この日の座席は3階のオケ右。上からオケを見下ろすような席でした。ステージいっぱいにパーカッションなどが配置されていますが、前半の浄められた夜は弦楽合奏の皆ので、前の方にまとめられた小編成の席がオケの配置になります。

プログラムとしては春の祭典が目当てで取ったチケットでしたが、前半の浄められた夜は絶品の出来。前週の細川俊夫の精妙な響きは堪能していたんですが、それをさらに上回る精妙さを聴かせてくれました。

この浄められた夜の刷り込みはカラヤン/ベルリンフィルの弦楽合奏版とラサールクァルテットらによる弦楽六重奏版。特に1970年代の凄みのあるベルリンフィルの弦楽陣の分厚い響きが印象に残っていました。実演でこの曲を聴くのは初めてです。解説にはこの曲の元になったリヒャルト・デーメルの詩の訳が掲載されていて、この詩を読んでこの曲を聴くのは初めてでしたので、曲の理解が深まりました。

冒頭からノットが静寂感をベースに各パートのフレーズをかなり丁寧にコントロールして、静かな夜の情景を彷彿とさせる静謐なアンサンブルを聴かせます。東響のメンバーも見事にノットの棒に応えて緻密な演奏。カラヤンの唸るような分厚い弦の響きが頭に残る中、冷たい空気に満たされた暗い夜空のような空気感に驚きます。まさに精緻な響き。そして曲が進むにつれて弦の響きの艶やかさと、弦の響きの余韻までコントロールされ尽くしたアンサンブルの美しさにさらに耳を奪われます。観客もノットの棒から繰り出される緻密な音楽にのまれるように集中して聴いています。繊細な感情の変化を実にデリケートに扱い、特に後半の第4部「君の身ごもっている子供をきみの心の重荷と思わないように」との詩に対応する部分の深く暖かい響きは印象的、そしてさざめくようなトレモロの美しさ等、ノットの得意とするダイナミクスとは異なる非常にデリケートな弦の扱いに鳥肌がたたんばかり。この第4部の美しさは絶品でした。そして最後の第5部の最後の消え入るような響きの美しさ。最後の音の余韻が静寂に吸い込まれ、ノットがタクトを下ろしながらオケの熱演を両手で讃えようと手を少しあげかかったところで会場からの惜しみない拍手の波に包まれました。いやいや素晴らしい。この曲に込められた心の変化を見事に表現しきった絶美の演奏でした。東響の弦楽陣も絶美。この演奏を共有した観客の感動の深さが伝わるような心がこもった拍手が続き、ジョナサン・ノットも演奏の出来に満足気。前半からあまりに素晴らしい演奏にこのチケットを取って良かったと感慨しきり。

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休憩時間のホワイエは笑顔に包まれた観客がくつろぐ姿が印象的でした。

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そして休憩中に春の祭典に向けて、ステージいっぱに席を作り直し、重要な役割をもつパーカッション奏者が楽器の鳴りを確かめるようにステージ上で調整を始めます。中でもグランカッサは休憩中から不気味な重低音をホール内に轟かせ、まるでスーパーの試食品コーナーのホットプレートが放つ香ばしい焼けた香りが客の購買意欲を煽るように、次なる春の祭典の大爆発を予感させ、休憩中の観客の期待を煽っていました(笑)

お目当ての春の祭典は期待通りの素晴らしい演奏でした。出だしのファゴットから東響は素晴らしい演奏。もちろん春の祭典は手元に色々なアルバムがあり、実演でもカンブルラン/読響のフランスのエスプリ香る演奏を聴いています。録音でもブーレーズの新旧名演、コリン・デイヴィスのコンセルトヘボウの空気ごと揺らす怪演、アバドの鋭利な刃物のような切れ味、マゼールのおどろおどろしい外連味、ムーティのスーパーカーのようなスピード感など、それぞれ指揮者の個性が生きる曲でもあります。ノットは出だしで持ち前のデリケートなコントロールで現代音楽としてのキレ味よりもメロディーの美しさにスポットライトを当て、最初はノットらしく非常に丁寧な入り。ただ、曲が進むにつれてオケもノットのタクトが非常に細かく指示する通りにコントラストを上げ、すぐに響きの渦を巻き起こすように炸裂。細かくテンポを変えるノットの指示にしっかりと追随して見事な演奏を聴かせます。やはりダイナミクスのコントロールはノットの真骨頂。緻密に表情を変えながら曲の本質をしっかりと見据えて大局的な視点で曲の頂点を見据えてオケを煽ります。ここぞという時の爆発力はその前後の緻密なコントロールによって鋭利さと迫力を見事に演出します。ノットの体の動きが奏者にわかりやすいのか各パートもノットの意図通りにダイナミクスをコントロールできているので全体として見事な統一感に包まれます。第二部の「乙女の神秘的な踊り」の最後の11発のど迫力の打撃から始まる終盤への畳み掛けるような展開は、静寂と爆発のコントラスト操縦の見事さを見せつけ観客を圧倒。ここにきて3階席だと打楽器陣の低音の圧倒的な音量の反射に他の楽器の演奏が埋もれてしまいます。つくづくもう少し良い席を取っておけば良かったと反省。そんなこととは関係なくオケは大爆発を続け、最後の「生贄の踊り」は打楽器陣が快演。ティンパニの刻むの鋭いリズムに皆が引っ張られるように乱舞。グランカッサも銅鑼も荒れ狂うリズムに乗って渾身の一撃を繰り返します。この音楽を書いたストラヴィンスキーの尋常でない狂気の冴え方に圧倒されながらのオケの熱演に身を任せます。最後の一撃が観客全員にぶっ刺さって観客も腰が抜けたことでしょう。もちろん嵐のような拍手とブラヴォーで場内騒然でした。ノットも演奏に満足したのか、何度も拍手に呼び戻される度に深々と観客に一礼していました。

やはりジョナサン・ノットは只者ではありませんね。繰り出す音楽の幅の広さが違います。コジ・ファン・トゥッテで聴かせた鮮やかなモーツァルトに細川俊夫の静謐な響き、マーラーの雄大さ、そしてこの日のシェーンベルクの精妙な弦のコントロール。とどめは春の祭典のダイナミクスの表現。東響とは2026年までと異例の長期契約を結んだとのことですので、ノットも東響とこのミューザでの演奏がお気に入りなのでしょう。これからも目が離せませんね。

ノットと東響は10月にハイドンの86番とチェロ協奏曲のプログラムがあるんですね〜。また12月にはドン・ジョバンニも。もちろん両方すでにチケットは押さえてあります。ハイドンの交響曲の中から86番を選ぶとはハイドン通でもあります! いやいや、今から楽しみです。

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インバル/都響のマーラー「大地の歌」(東京芸術劇場)

前日のジョナサン・ノットの「復活」に続き連日のマーラー! 別にハイドンに愛想を尽かした訳ではありません(笑)

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東京都交響楽団:都響スペシャル

プログラムはエリアフ・インバル(Eliahu Inbal)指揮の東京都交響楽団の演奏で、マーラーの交響詩「葬礼」と「大地の歌」の2曲。コントラルトにアンナ・ラーション(Anna Larsson)、テノールにダニエル・キルヒ(Daniel Kirch)。

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こちらも最近行ったコンサートでチラシを見てチケットを取りました。インバルのマーラーはDENONのワンポイント録音の4番、5番あたりが話題になった時に5番のアルバムを手に入れ、その後かなり後に8番千人を手に入れたくらいで、その後はほとんど聴いていません。手元の5番のアルバムがリリースされたのが1986年ということで、かれこれ30年以上前のことになりますね。この頃のインバルのマーラーは非常に見通しの良い透明感に溢れた演奏。世の中ではバーンスタインの濃厚なマーラーが話題をさらっていました。私はこの頃までに、実演では小澤/新日本フィルの8番、カラヤン/ベルリンフィルの6番、アバド/ロンドン響の5番などを聴いていましたが、インバルのマーラーはちょっとアクがなさすぎて録音という面以外ではあんまり印象に残っていなかったのが正直なところ。ところが最近リリースされているアルバムやコンサートはなかなかいい評判ではありませんか。ということで、最近の充実ぶりを聴いてみようということでチケットを取った次第。都響はつい前週にミンコフスキのハイドンとブルックナーを聴いていますので2週連続ですね。

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最近東京は猛暑続き。ということで、池袋の東京芸術劇場に着くと、すでに汗だく。1階エスカレーターの裏にあるカフェでビールを煽って、クールダウンしながら開場時刻を待ちます。

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この日のコンサートは発売開始後しばらくしてから取ったものなので、あまりいい席は取れませんでした。2階席のいつもの右側ですが、3階席が庇のように張り出た下ということで、オケへの視線は確保できるものの、ちょっと圧迫感のある席。

1曲目は前日にジョナサン・ノットと東響の素晴らしい演奏の興奮さめやらん、マーラーの「復活」の1楽章の原曲。細かい部分はともかく、ほぼ「復活」の1楽章そのままの曲ということで、前日の演奏との嫌が応にも比較してしまいます。

ジョナサン・ノットのオケの配置は左右に第一、第二ヴァイオリンが別れコントラバスが第一ヴァイオリンのすぐ横にくる編成なのに対し、この日のインバルはオーソドックスに右にチェロ、その後ろにコントラバスというもの。席がオケから遠いのでその違いを視覚的に感じるのが精一杯でしたが、ノットがコントラバスを重要視していたのに対し、インバルはバランスを重視していたよう。

1曲目は、ジョナサン・ノットが新鮮なフレージングで常に緊張感を保っていたのに対し、インバルは流石に王道を行く安定感とバランスの良さ。オケの風圧は座席の影響を受けますが、1楽章中程の爆発は流石に大迫力。昔ほど透明感重視ではなく、オケをよく鳴らし、迫力も流石と思わせる演奏。私の印象ではこの曲では前日のノットの新鮮な解釈に分がありました。もちろん観客は拍手喝采でインバルを讃えます。この時点で私のインバルの演奏への印象は昔の演奏からは大分深みを感じられるようになったというもの。

ところが、休憩後の「大地の歌」を聴いてその印象も吹き飛びました。この大地の歌には心底驚きました。まさに奇跡の名演と言っていいでしょう。ワルターやクレンペラーの録音はそれこそ擦り切れるほど聴きましたが、今日のインバルの演奏はそれをはるかに超えるこの曲の凄みと深みの淵を見せてくれる圧倒的なものでした。大地の歌の特徴的な響きの中にも艶やかで流麗な響きをうまく救いあげて、晩年のカラヤンを上回る耽美的な美しさ、ジュリーニやアバドらのイタリアの指揮者の伸びやかさを、節度あるコントロールでまとめ上げ、響きの一つ一つを非常にデリケートに扱いながら、この曲に潜む厭世観を見事に表現仕切っていました。

オケは上手いというレベルではなく、インバルの流麗な棒に乗って妖艶な響きを聴かせ、ソロや静けさには凄みを感じさせるほど。何と言ってもホルンやトロンボーンのブワッっと響く大地の歌特有の響きの迫力も素晴らしいものがありました。これが日本のオケとはとても思えない素晴らしい響き。私は生で大地の歌を聴くのはこれがはじめてですが、これほどの演奏に出会うとは思ってもみませんでした。庇の下の席は横にお客さんがいないことを見計らって、休憩後はちょっと横にスライドしたせいか、響きも良く聴こえるようになったのも良かったですね。

コントラルトのアンナ・ラーションはまさに絶唱。アバドとルツェルン祝祭管と2番と3番のブルーレイに登場していますのでマーラーは得意としているのでしょうが、膨よかで艶やかな声は絶品。特に最後の告別はキャスリーン・フェリアの絶唱を過去のものとする現代の深みを感じさせました。テノールのダニエル・キルヒもアンナ・ラーションとは格が違うものの見事な歌唱でこなしていましたね。

告別の最後の一音が消え、インバルがタクトを下ろすと、ジワリと盛り上がる拍手。この大地の歌も都響の演奏史上に残る演奏として語り継がれる価値のある演奏でしょう。インバルという指揮者、今回の演奏会でその素晴らしさがしっかりと刷り込まれました。最近の評判が良いのが良くわかりました。

前日のジョナサン・ノットといい、この日のインバルといい、現在の日本のオケの素晴らしさは一昔前とは隔世の感がありますね。ここまでの演奏を聞ければ、高いチケットを買ってウィーンフィルやベルリンフィルの演奏を聴く価値も揺らごうというもの。インバルのコンサートは要注目ですね。

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tag : マーラー 東京芸術劇場

ジョナサン・ノット/東響のマーラー「復活」(ミューザ川崎)

7月16日(土)は以前からチケットを取ってあったコンサートに出かけました。

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東京交響楽団:川崎定期演奏会 第61回

このチケットを取ったのも、昨年12月に聴いたモーツァルトの「コシ・ファン・トゥッテ」が非常に面白かったからに他なりません。ジョナサン・ノットはフォルテピアノを弾きながらの指揮でしたが、実にイキイキとした音楽を繰り出し非常に引き締まった舞台を作っていたのが印象的でしたが、そのジョナサン・ノットがマーラーを振ったらどうなるのかというのが今回の聞きどころということでチケットを取った次第。

2016/12/12 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「コジ・ファン・トゥッテ」(東京芸術劇場)

この日のプログラムは下記の通り。

細川俊夫:「嘆き」 ~メゾ・ソプラノとオーケストラのための〜
グスタフ・マーラー:交響曲2番 「復活」

指揮:ジョナサン・ノット(Jonathan Nott) 東京交響楽団
ソプラノ:天羽明恵
メゾ・ソプラノ:藤村実穂子
合唱:東響コーラス

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会場は東響のホームグラウンドで、響きのとても良いミューザ川崎シンフォニーホール。この日の席は2階のオケの真右で上から指揮者とオケを俯瞰できる好きな席。ミューザ川崎は客席が螺旋状にオケを取り囲む座席配置なので、奏者との一体感もあり、サントリーホールや東京オペラシティよりも響きに癖がないのでお気に入りのホールです。1曲目の細川俊夫の曲も大編成のようで、ステージいっぱいに座席が設けられ、ホールに入った時には一部の奏者が音出しをしているのはいつもの通り。この時点でホールの響きの良さがわかります。

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1曲目の細川俊夫の「嘆き」は解説によればこの東日本大震災の津波の犠牲者、特に子供を失った母親に捧げられる哀悼歌とのこと。歌詞はザルツブルクの表現主義の詩人ゲオルク・トラークルによる2通の手紙と嘆きという構成。ザルツブルク音楽祭の委嘱により2011年から12年にかけて作曲され、2013年の同音楽祭でデュトワ指揮のN響、アンナ・プロハスカの独唱で初演。今回はメゾ・ソプラノの藤村実穂子のために書き下ろされた改訂版ということで、2015年5月に京都市交響楽団のヨーロッパ公演の壮行演奏会で広上淳一指揮で初演されたとのこと。私は現代音楽も嫌いではないんですが、細川俊夫の作品は初めて聴きます。手元にもアルバムはありません。

定刻になり、団員が登場。チューニングを終えるとジョナサン・ノットと真っ赤なドレスの藤村実穂子が登壇。ジョナサン・ノットがタクトを下ろすと、精緻な弱音での序奏が始まります。藤村実穂子は最初は手紙の朗読が中心、歌わないかと思いきや、途中から美声を轟かせ、会場の視線を釘付けにします。解説の歌詞対訳を見ながら聴きますが、「最近、恐ろしい出来事があり、私はもはやその影から逃れることができない。(訳:細川俊夫)」と始まるテキストの深い心の傷を表すような暗澹たる印象を感じますが、静寂に響きが浮かび上がるような現代音楽特有の感覚が続き、時折トラアングルやタムタム、風鈴など響きが印象的な打楽器を織り交ぜて色彩感を巧みに表現していきます。響きの精緻さ、美しさは武満に迫るものがあり、日本人らしい清透な感覚に貫かれた素晴らしい響きに満たされます。ジョナサン・ノットは非常に丁寧に響きを作っていき、この曲に込められた心情をしっかりと表現できていたと思います。素晴らしかったのは藤村実穂子のメゾ・ソプラノ。流石に一流どころだけあって圧倒的な存在感でした。最後の一音の余韻が静寂に吸い込まれて沈黙が続き、ノットがタクトをすっと下ろすと万雷の拍手。これは素晴らしかった! 会場が完全にのまれた感じでした。東響も完璧な演奏で最後まで集中力を保ってノットの指示に見事に応えていました。

休憩を挟んで、マーラーの復活。これまた素晴らしかった!

冒頭の唸るような低音弦から東響のコントラバス奏者の迫真の演奏に釘付け。鬼気迫るとはこのこと。ノットのマーラーは初めてですが、フレーズごとに非常に丁寧に曲を描いていくセンスとここぞという時の鋭いアクセントが絶妙。モーツァルトでも感じたフレッシュさを感じさせる音楽づくりがマーラーでもいきていました。その上、この日のオケの集中力は素晴らしく、オーボエのくっきり浮かび上がるようなソロをはじめとして、2台のティンパニ、トランペットなど金管陣も絶品。弦楽器の迫力、特にコントラバスは往時のベルリンフィルのような地響きを伴うようなうねりを感じるほど。1楽章半ばのクライマックスの炸裂で観客の度肝を抜き、完全にノットペースに。これは録音では味わえないもの。そして思った以上にバンダ隊の演奏箇所が多いこともわかりました。
1楽章のほとぼりを冷ますように、ゆっくりとコーラスが入場する間、しばらくノットもオケも静止。2楽章はゆったりとした音楽。こうした音楽でもジョナサン・ノットは華やかさをしっかり感じさせ、くっきりとした印象を保ちます。そして3楽章の「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」は各パートの音色の変化を巧みに強調していきます。ここでもコントラバスとティンパニが大活躍。フレーズごとに変化をさせながらバランス良く統一感を保っているのがノットの非凡なところでしょう。時折グランカッサが微弱音で不気味な気配を感じさせるのも実演で初めてわかること。
4楽章からメゾソプラノの藤村実穂子が入ります。1楽章終わりのコーラスの入場時にもソロの入場がないなと思っていたところに、いきなり藤村実穂子の声が轟きびっくりしますが、どうやら指揮者から見てオケの右側にいたらしく、私の席から死角になっていたようです。やはり艶やかで見事な歌。
最後の長大な5楽章は4楽章の響きが消えかかるところにノットが振りかぶって渾身の一撃から始まります。オケもこれまでノットのタクトに俊敏に反応して大音響を轟かせてきましたが、この静寂を断ち切るような大音響こそマーラーの真髄。このキレ味はこのコンビの現在の調子を物語るようですね。そしてそれに続いて美しい牧歌的なメロディーが流れ、曲が進みます。ここでもバンダ隊の金管陣とステージ上のピッコロとの掛け合いが見事にキマリます。終楽章でようやくコーラスが登場しますが、思ったより終盤の出でしたね。そして最初は座ったまま精妙な弱音のハーモニーを聴かせます。このコーラスの純度の高い響きも素晴らしかった。そしてソプラノの天羽明恵とメゾ・ソプラノの藤村実穂子も加わり、壮大なクライマックスへノットが最後の煽りをかけていきます。驚いたのはそれまでトライアングルやグロッケンシュピールを担当していたパーカッションの女性が終盤ティンパニの横に移動し、2台のティンパニを3人で同時に演奏する場面があること。これが楽譜の指示かはわかりませんが、巧みに書かれた大曲にも意外に細かい工夫があることがわかりました。最後は未曾有の迫力で鐘が打ち鳴らされながらのフィナーレ。観客もこのクライマックスには我慢できず、最後の音が消える前に大拍手に包まれました。これは致し方ないでしょう。

私が聴いたマーラーの演奏では間違いなく一番素晴らしかった演奏。昔小澤征爾が新日本フィルを振った千人も素晴らしかったですが、ジョナサン・ノットは見事なコントロールでこの大曲の真髄に迫る圧倒的な迫力と情感溢れる美しい響きをバランス良くまとめ上げました。拍手は弱まる気配を見せず、何度もジョナサン・ノットと歌手、合唱指揮者が呼び戻され、この日の素晴らしい体験を共有した観客と喜びを分かち合っていました。ノットは定年退団するメンバーを讃え、観客もひときわ大きい拍手を送っていたのが印象的でした。これは東響の演奏史に残る名演と言っていいでしょう。

これは東響とジョナサン・ノット、今後も楽しみですね。

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Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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