【番外】関西・四国・中国大紀行(その5)

(つづき) その1

二泊目に泊まった大和屋は、小規模な老舗旅館らしい風情が漂ってました。夜もぐっすり眠れて爽快な朝。朝食は部屋でいただきます。昨夜かなりお腹いっぱいだったんですが、不思議と朝になると、普通に食べられてしまいます。

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ご飯にみそ汁、イカそうめんに卵焼き、湯豆腐といったベーシックな旅館の朝ご飯でした。流石にどれもいい味でのんびり楽しめました。

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部屋にもどって荷造り。ふと床の間に目をやるとなかなか立派な生け花が。老舗旅館らしい華やかな気配りですね。この日も結構な移動距離ですので、朝9時には出発です。昨夜入った細い路地から旅館の人たちに見送られ、雰囲気のある道後温泉に別れを告げます。旅館を出るときはいつもそうなんですが、荷物を車に積み込むときには旅館の人が大勢でて来てお見送り。それ故カーナビに目的地をセットする暇がないんですね。

道後温泉から本日の第一目的地である尾道へ向かうしまなみ海道方面への交通標識をたよりに少し進んだところの道路脇でカーナビに尾道をセット。以降はカーナビのナビで進みます。どうやら元来た高松自動車道経由でしまなみ海道に進むのではなく、道後温泉から奥道後温泉経由で一般道でしまなみ海道の起点たる今治の方に行く道をセレクトしたようです。

しばらく進むと奥道後温泉のちょっと古びた大きな旅館が目に入りますが、ナビには、ちょうど漁師さんが魚群探知機で大きな魚の群れを発見したときのような、大きな影が映ります。むむむ。

ダムです(笑)

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奥道後温泉のちょっと先にあった石手川ダム。当ブログの読者の皆さんは、うちの母親がダムマニアであることは先刻ご承知の通り。そして旅程にダムがないということにツッコミを入れていただいた熱心な読者の方の存在に対するプレッシャーが、すっと引いていく安堵感に包まれます。

ということで、ダムの脇にあった駐車場に車を停め、ちょっとうろうろしてみます。

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ダムの中央まで来て、下手を望むと、勢いよく放流しているではありませんか。ふと母親の方をみて、「どうだ?」と聞くと、「たいして大きいダムじゃないのね~」と、流石ダムマニア。確かに大きなダムではありませんが、やはりそれでも巨大構造物に違いなく、下をみるとかなりの高さで、かなりの迫力。これくらいのダムでは母親にはインパクト不足だったようです(笑)

一応調べてみると、重力式コンクリートダムとのことで、洪水調節・灌漑・上水道目的に1972年に完成たもの。総貯水量は1280万㎥ということで小河内ダムの10分の1以下の大きさでした。

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今度は上手側に少し歩いてみると、このダムで堰き止められてできた湖は白鷺湖というそう。

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ダムによってできた湖は深いため、独特の濃い色の風情。満々とたたえられた水の穏やかな迫力がつたわります。時間があったらもう少し散策してみるところですが、今日は絶景しまなみ海道に進むため、この程度のダムで長居は禁物です(笑)

ということで石手川ダムを後にして、先を急ぎます。道は典型的な日本の田舎の風景。山の中を適度にカーブを伴いながら一般道をスイスイ進みます。今治市街にさしかかって、ちょっと開けてきたところで、西瀬戸自動車道の今治インターの看板が目に入ります。いよいよしまなみ海道。

すぐに来島海峡サービスエリアという案内がありますが、クライマックスはこの先だろうと、通過。

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一昨日、姫路で明石大橋の巨大な橋脚が見えたときと似たようなどよめきが車内におこります。曇天ではありますが、しまなみ海道最初の吊り橋にさしかかります。せっかくのしまなみ海道、助手席の嫁さんに「橋、撮れ!」と急に指示。「え~」といいながらパシャパシャ写真を撮ります。

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今治側からしまなみ海道を渡ると、最初に吊り橋3連発の最もダイナミックな景観が最初に訪れるんですね。走ってみてわかったんですが、しまなみ海道ということで、道の大半は島。しかも大きな島なので、陸を走っているのとそれほど変わりません。ときおり島を渡る吊り橋、斜張橋などがあるので、もしかしたらしまなみ海道の絶景スポットは先ほどやりすごした来島海峡サービスエリアだったかもと想像しながら先に進みます。大島、伯方島、大三島、生口島と渡ってきたところで瀬戸田パーキングエリアという休憩所があったので、停まってみます。

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直前に渡ってきた橋を振り返ります。これは多々良大橋というそう。天気はだいぶ良くなり、汗ばむほどの妖気、もとい陽気です。どうして先に妖気と変換するのでしょうか、私のMac(笑)

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車を停めた横にはしまなみ海道の観光スポットマップが。こうしてみると、いろいろ観光スポットがあるのですね。これはまたゆっくり見に来なくてはなりませんね。

この日は尾道で昼食の予定。旅行前に昼食を食べるあたりのお店を食べログで調べておきましたが、尾道はオコゼ料理とラーメンが有名ということでした。旅してわかったんですが、連日の旅館の夕食朝食はやはり豪華。普段の生活ではこれほどいただきませんので、昼は軽めにという空気になってきます。同乗の母親兄弟三人に割烹でのオコゼ料理とラーメンのどちらがいいか尋ねると、すかさず「ラーメン」と唱和(笑)。旅のランチのツボがようやく見えてきました。

ということで、尾道でのランチのお目当てはラーメン。平日人気のラーメン店に12時過ぎに行けば結構並びそうな予感がしたので、なんとか早めに到着できるようあわてて出発です。

瀬戸田パーキングエリアから尾道市内まではナビによると30分ほど。生口島から、因島、向島とすぎ、最後の橋を渡るともう本州本土です。最後の景色を楽しんで、尾道市街の奥にある尾道インターを降りて、すこし海側にもどると坂の街尾道でした。ナビにラーメン屋さんをセットしてありましたので、直接ラーメン屋さんに到着です。2台車の入る駐車場にスリスリで車を駐車、やおら昼食です。

食べログ:壱番館

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時刻は11:30くらい。幸い店内には空きがあり、5人ならびの窓際の席へ案内されました。見上げると日よけのスクリーン。この店内風景、おそらくテレビで何度か見ている気がしました。食べログの評価も非常に高いので期待です。

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メニューをみると結構な品数。5人でしばし逡巡。

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私は味玉ラーメン。

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嫁さん、母親、叔母はラーメン。写真はありませんが叔父はネギピリ辛ラーメン。メニューに「店長のオススメ」「人気No.1」「野菜もたっぷり」とお店激推しにもかかわらす、角煮ラーメンは誰も頼みませんでした。こちらにも年齢や体調があります(笑)。これからの旅の食事を考えると「昼は軽めに」との不文律が身に付いております。

流石に人気店だであって、我々の後にはお客さんが大勢。運ばれてきたラーメンは、麺に独特の昔風の香りがあり、昔懐かしい中華麺の味。スープはきっちり旨味の出たスープで、楽しめました。

さて、おなかも満ちたところで、少し尾道見物をしようということに。ラーメン屋さんの向かいは道を一本隔てて海。向かいは先ほど渡ってきた向島です。

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この尾道の景色、妙に印象に残りますね。



まだ旅の前半ですが、旅行中にブログを書くのは初めてのこと。この記事を書いているのは最終日の宿です。つづきは帰って、本日土曜の夜か、日曜の朝から書きます。なんだか文章と写真の総量がハイドンのレビューより多くなり、ブログの存在意義を問われかねませんが、不思議とコメントも多く、私の気晴らしが皆さんの記憶や思い出にもつながっているよう。読者の皆さんの期待に沿うよう、旅程も、なんか不思議な展開なんですね。

では、本日はロングドライブで母親三兄弟を東京まで送り届ける最後のミッションにつとめます。

その6へ)

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【番外】関西・四国・中国大紀行(その4)

(つづき) その1

2泊目の宿はこちら。

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道後温泉 大和屋別荘

ここは、叔母が何度か泊まって、とても良かったということで予約した宿。坊ちゃん湯のある道後温泉本館から歩いて数分のところですが、ちょっと奥まったところにある旅館。細い路地を車ですすむと、小さな入り口。まさに隠れ家っぽい造りです。

目の前に車を停めて、5名様6泊分の大荷物を車から降ろして、部屋で一休み。旅館で温泉のことを聞くと、この旅館の温泉はすぐ横にある道後温泉の椿の湯から引泉とのことでです。おそらく同じお湯なんでしょうが、やはり道後温泉本館に行ってみようということで、私と嫁さんは浴衣姿に、宿が用意してくれた湯籠をぶら下げて、本館に向かいます。

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四国松山 道後温泉物語|道後温泉旅館協同組合公式サイト

やはり、長年の歴史からくる風情はなかなかのもの。本館前には人力車がおいてあり、結構な人が乗って温泉街の探索を楽しまれていました。残念ながら母親は宿でひとやすみ。お昼の金毘羅さんの籠につづき、人力車も乗せてあげたいところでしたが、これはまたの機会に。

入り口でお風呂のみの入館料を払って、中に。道後温泉は単純アルカリ泉。男風呂は東の湯と西の湯に分かれていますが、前回訪問時に同じお湯とわかっているので、落ち着いてのんびりお湯に体をしずめてしばし目をとじてお湯を楽しみます。お湯の温度は熱くはありませんので、のんびりとお湯につかってドライブの疲れを癒やしました。こういった観光地の温泉ですが、どうやら地元の人も多いようで、世間話に興じる人もあり、こうした雰囲気も含めてのんびれ楽しみました。

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あがって嫁さんを待つ間、外の涼しい風を楽しみます。空を見上げると、本日の道中の激しい雨がうそだったかのように穏やかな夕刻の空。温泉街のお土産屋さんなどを素見しながら宿に戻ります。この宿はお風呂の前に生ビールサーバーがあり、風呂上がりにビールを楽しむことができます。旅館の風呂ではなく外湯を楽しんできたのですが、もちろんお風呂前に立寄り、さも内湯に入った雰囲気を醸し出しながら、やおら冷えた陶製のグラスにサーバーからビールを注ぎ冷えたビールを楽しみます。もちろん極楽浄土に渡った気分。最高です。

そんなことをしているうちに夕食の時間となり母親一行の部屋に集まります。老舗旅館らしく、質実正統派の懐石です。叔母からここの食事は旨いと聞いていたので、期待大ですね。

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食前酒に、先付のたこのたらこ和え。最近は旅館では甘めの食前酒がつくことが多いですね。ビールを飲んでいるのに食前酒がしみます。もちろんビールもいつものプレミアムモルツを頼んでます。

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八寸は鰻のカステラ、メロンの粕漬け、海老のベーコン巻きです。鰻の味の乗ったカステラ然としたものが美味。

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そしてお椀は鯛の真薯。冬瓜と木の芽が乗せられ、鯛の穏やかな味に木の芽の香りが加わり、香りの変化に酔います。このあたりから日本酒にチェンジ。地酒の冷酒を一本たのんだら、きれいな冷酒よう急須と切り子のおちょこで供され、いい雰囲気。

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絶品だったのがお造り。縞鰺と鯛、トロですが、どれもうっとりするほどの旨味。このあたりは魚が旨いのでしょうが、前日に続き、鯛はほんのりとした旨味、縞鰺はプリプリで日本酒が進みました。

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そして焚合せで、油目沢煮。油目とは調べたところアイナメのことのようです。これを沢山の野菜と煮たものとのこと。だんだん、ヴォリュームがおなかに効いてきますが、穏やかな味と香りの変化はなかなか。

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家喜物(やきもの)は新じゃがを使った鋳込み焼きというもの。

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蒸し物は鱸(すずき)の飯蒸し。焚合せから家喜物、蒸し物までの3品はどれも穏やかな味でしたが、この3品で相当なヴォリューム。この3品のヴォリュームが控えめだといいですね。

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ご飯と、赤だし。特に赤だしのコクの深さはかなりのものでしたが、皆さんかなり満腹状態ゆえ苦しそうでした(笑)

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そしてフルーツは琵琶とスイカ。この季節ならでは。

母親兄弟三人が一緒に旅行に出かけるのは何十年ぶりかでしょうか。料理とお酒がベテランの中居さんによって阿吽の呼吸で供され、皆、にぎやかに食事を楽しむことができました。旅の話題や、食事、素材、器などの話題であっという間のひとときでした。ほろ酔加減のいい気分で、今度は旅館の大浴場に向かいます。

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お湯は先ほどの道後温泉本館と同様でしょうが、夜の人のいない時間にゆったりと浸かるお湯は格別。またまたお湯に体を浸してのんびり。脳の癒し中枢にお湯が回っていい気分。

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露天風呂。風が気持ちよいですね。虫の声と、温泉街の喧噪に耳を傾けていると、酔いが少し醒めてきました。

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ひとしきり温泉を楽しみながら、人気のない旅館の廊下を通って部屋に戻ろうとすると、片隅にライトを浴びて美しく輝く花が。こういうさりげないところに老舗旅館の魅力があるんですね。花を楽しむ心をもったひとが、客人をもてなすために花を生けるわけですが、こうした心のつながりが旅人を癒やすのですね。

二日目の夜は更けていきます。

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tag : 温泉

【番外】関西・四国・中国大紀行(その3)

(つづき) その1

さて、洲本温泉の宿を後にして、いざ四国へ。晴れていれば鳴門海峡の絶景スポットで一休みする予定でしたが、あいにくの雨。ということで、淡路島の海岸線をたどることもあきらめ、神戸淡路鳴門自動車道の洲本インターに向かいます。

インターから高速に乗って鳴門方面に向かいますが、雨ならまだしもすごい横風。電光標識には鳴門海峡二輪車通行止めの表示が。たしかにこの横風に雨では二輪車は厳しいですね。こちらも大型のワンボックスカー故、横風にハンドルをかなり取られます。ふらふらしながら鳴門海峡に近づくと、不思議と雨も上がり、眼下に壮大な渦潮が見えます。運転しながら写真は撮れないので、鳴門海峡の写真は省略。天気が悪いわりには運には恵まれているようです。

この日の第一目的地は金比羅さん。ということで四国に入るとすぐに高松自動車道に入り、一路高松方面を目指します。土地が変わると景色も変わるもので、四国に入ると山の形が変わります。高松に近づくにつれておにぎり型の山が多数出現しますが、なかでも圧倒的な迫力なのが、高松の手前の右手に出現するかなり鋭角にとんがった山。あとで地図を確認すると五剣山という山のようです。

曇天の景色を楽しみながら高松自動車道を進むと、ようやく高松市街に入ります。市街地が広がりますが、取り囲む山の形がおむすび型ばかり。高松とはおむすびに囲まれた街だったんですね。途中、東京の地名と同じということで、坂出ジャンクション手前の府中湖パーキングエリアで休憩。そして、金比羅山のもよりの善通寺インターに到着しました。インターから金比羅さんまでは6、7km。ほどなく金比羅さんの近くに到着して、参道脇のホテルに車を停めます。駐車場の入り口に立っていたおじさんが丁寧に案内してくれました。ホテルに駐車すると、杖まで貸してくれるというのが、この先の険しさを物語ります(笑い)

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前日の平等院は日曜だったので多くの人でごった返していましたが、今日は月曜。しかも今にも雨が降りそうな曇天ゆえ、人もまばらです。参道も閉まっているお店も多くレトロな雰囲気が漂います。こちらは懐かしいアンクルトリスのイラストを掲げた酒屋さん。

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そして、地元の酒蔵、金陵。この記事を書くためにネットをのぞいたら、今年の全国新酒鑑評会で金賞受賞したそう。行きは通り過ぎただけですが、もちろん帰りに寄ります(笑)

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金毘羅さんの参道に建つ造り酒屋ということで、構えも立派。おそらくお酒好きな参拝者の多くがここでお土産にしていくことでしょう。昔はこの場所は銀座4丁目くらいの隆盛を誇ったのでしょうね。

少し進むと、噂の石段が始まります。脇には籠屋さんが。地元東京狛江の籠屋という酒屋さんには良くお酒の仕入れにいきますが、籠は籠でも本当の籠屋さん。籠屋のご主人、杖をついた母親を見ると、「おばあちゃん、乗ってく?」と、じつにタイミングの良いかけ声。

母親は、これから785段の石段だと事前につたえてありましたので、しばし逡巡。いつもなら、「いいわ、大丈夫」と断るところですが、段数および体力と今後の旅程のことが走馬灯のように流れたのでしょう、しばらく考えてためらいがちに「乗ってく!」との返事。一同も乗っていった方がよいとのことで、籠初挑戦です。

籠かきさんが、木製の竿に竹で吊るされた籠を軽く持ち上げ、母親が座り、いったん籠をおろして、紅白の縄で落ちないように四方を塞ぎます。そして、「皆さん記念撮影をどうぞ」との合図でかごに乗って担がれた母親を真ん中に、籠かきさんと記念撮影。恥ずかしがっていた本人の名誉のために、写真は割愛(笑)

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ということで、籠かきさんに担がれながらのぼり始めたところ。母親は小柄なのでまだ、お客さんのなかでは軽い方でしょうが、結構体格のよい方なら大変。籠かきさんは一人は来年70歳とのことで、木製の竿を肩に直にのせながら、スイスイと上っていくではありませんか。途中、何度か左右の担ぎ手さんが交代しながら、ちょうど真ん中の大門までの両側にお土産屋さんがある階段を上っていきます。途中人がいると、「お姫様が通りま~す」と粋なかけ声で、観光客が左右によけてくれ、皆さん口々に「私も乗っていきたい~」と見事なノリツッコミ。そう、ここは関西文化圏でした(笑)

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籠の終点、大門の前まであがってくると、右側に気になる銅像が。これは、金比羅さんの宮司だった琴陵宥常(ことおか ひろつね)という方の銅像。金毘羅さんは海上交通の守り神とのことで、明治維新の神仏分離・廃仏毀釈が実施される以前は真言宗の象頭山松尾寺金光院というお寺だったそうですが、神仏習合で象頭山金毘羅大権現と呼ばれるようになったとのこと。その宮司さんだった人が琴陵宥常で、明治19年(1886)10月、イギリスの貨物船「ノルマントン号」が紀州大島沖で座礁沈没したのを機に、私財を投じて水難救済会という組織を作った人とのことです。このあたりの情報はこちらで。

水難救済会|日本水難救済会の歴史

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大門で籠を降りた母親とともに、なだらかな坂を上っていきます。左右には過去の寄進者の名を書いた大きな石柱が林立。おそらく地元や海上交通に関係する人からのものが中心でしょうが、巨大な石柱には百万以上の金額、そして金一封とかかれたものまであり、時代と金額を考えるとかなりのもの。金毘羅さん信仰の深さを感じます。

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途中にあった微笑ましい犬の像。こんぴら狗(いぬ)といって、飼い主にがお賽銭や旅の食事代を狗の首に下げた袋に入れ、旅の人に託すと、お札を持ってかえってくる狗とのこと。狗が代わって遠路お参りしてくれるということなんですね。

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そして、その先に進むと、 円山応挙などの襖絵を公開している表書院。立て看板には伊藤若冲の襖絵のある奥書院は非公開ですと記されていましたので、素通りしてしまいましたが、この看板だと、施設全体が非公開に見えてしまいます。奥書院が非公開なだけで、表書院は公開していたようです。表書院が公開しているとちゃんと書いたほうがいいですね。

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石段をさらに上っていくと、だんだん雰囲気が厳かな感じになってきます。木々もうっそうと生い茂り神様が宿っていそうな雰囲気。

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ようやく最後の直登石段。皆さん息をきらして、途中で休みながら最後の石段を登ります。

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ゴールの御本宮について、お賽銭を入れてお参り。母親は途中の神椿Cafeあたりでギブアップしていたので、預かったお賽銭を変わりに入れ、母親の分も参拝。さしずめ息子の私がこんぴら狗の役を演じた訳ですね(笑)
もちろん、この先の旅の安全や家族の健康などを祈りました。

御本宮の右側が広場になっており、見渡すと善通寺市、丸亀市あたりの平野が見通せます。真ん中のおにぎり型の山が讃岐富士とよばれる飯野山とのこと。確かに富士山のごとき存在感はあります。多くの人が石段を登りきって、つかれた体で見た景色として記憶に残っていることでしょう。

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御本宮の左右にある提灯。この赤い字で金平と書いたような文字ですが、よく見るとそう単純でもありません。石段を下りたあと籠かきさんに聞いたところ、この印は「人」、「長」、「平」の文字をかたどったもので、人が長く平和であるようにとの意とのこと。

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御本宮のあたりは広く、いくつかのお社があります。途中の社務所でお札や、母親向けのお土産などを買って、ふと上を見上げると「船肘木」。日本建築の軒下の組み物では最も単純なものですが、書院などでは逆に風流なものとして使われるもの。ちょっとしたところにも手間がかけられていますね。御寄進の賜物でしょう。

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そして御本宮から左奥に進んだところにある絵馬殿。何やら変わったつくりになっていて、中に船のようなものがおさめられていますが、札によるとアルミ缶リサイクルで作られた船とのこと。海上交通の守り神ということで、妙に納得。

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見上げると軒には多くの船の写真が飾られていました。なにやら海上保安庁やら軍艦然とした船の写真もかざられています。

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ひとしきり御本宮のまわりでのんびりして、今度は今まで登ってきた石段を下ります。登りはモモにきますが、下りは膝にきますね(笑) 途中母親の待つ神椿Cafeのあたりまで降りて合流。そして大門までいくと、往復で頼んでいた籠がスタンバイしていました。籠かきさんは、登りも下りも同じ人が担ぐシステム。母親を担いで登った二人は、そのあと1時間少しの間に何人か担いだようで、お疲れのようでしたが、ほかのお客さんを運んで登ってきた直後にも関わらず、すぐに出発。驚いたのは登りは何回か休みましたが、下りは一回のみ。しかも一緒に下る我々の追いつけないほどのスピード。文字通り飛ぶように降りていきます。乗っている母親曰く、全然揺れずに快適だったとのこと。いやいや、プロの仕事です。山小屋の荷揚げの仕事なども重労働ですが、金毘羅さんの籠かきさんもプロフェッショナルでした。

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途中母親はこの石段、ゆっくりなら登れると言ってましたが、ほかの神社では石段の真ん中に手すりがあって、つかまれるようになっているところが多いので、「手すりがあれば私も自分で登れるのにね~」とつぶやくと、すかさず「そんなものあったら私たち商売になりません」との籠かきさんの突っ込み。お客さんを楽しませる軽妙洒脱なおしゃべりまでふくめてあっぱれでした。お姫様扱いされた母親も妙に感慨深げでした。



さて、心配された雨にもあたらず、無事金毘羅さん詣でを終え、おなかもぺこぺこ。朝、洲本の旅館でしっかり朝食をとりましたが、都合1570段の石段の上り下りはおなかを空かすには十分なエクササイズでした。

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立ち寄ったのは、事前に食べログでしらべていた讃岐うどんのお店。ここまできたら、本場の讃岐うどんをいただかないわけには参りません。

食べログ:こんぴらうどん 本店

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讃岐うどんはかけとかぶっかけとかうどんの食べ方と、乗せるものなどからものすごい数のメニューがありますが、ひと際目を引いたので、私が頼んだのは巨大アゲがのったきつねうどん。甘く煮込んだアゲの味が疲れたからだに染み渡ります。やはりこれは旨いですね。出汁も旨味が乗って最高。満足です。

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嫁さんがたのんだのが温玉ぶっかけ。こちらは想像どおりの味と、うどんのコシなんですが、添えられたレモンの風味が抜群。東京では讃岐うどんのお店以外ではうどんにレモンを添えることはあまりありませんが、流石本場讃岐です。母親などは、ただのかけ。お店の壁に貼ってあったシズル感溢れるポスターを見て、「あれがいい」と即断。真のうどん通のような泰然とした姿勢に驚きます(笑) いずれもおいしく、大変満足できました。

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こんぴらうどんのお店を出ると、外は雨。参拝中天気がもってよかったです。雨をよけながら駐車場までもどりますが、もちろん途中、金陵で自分へのお土産に何本か日本酒をゲット。ここは建物も古く、お酒を造ったり売ったりするだけでなく酒蔵の雰囲気を文化として伝えるということを狙っているようで、なかなかいい造り。帰ってゆっくり思い出しながら仕入れた酒を味わうことにいたしましょう。

ということで、雨のなか駐車場までもどり、この日の宿を目指します。目的地は松山、道後温泉です。

金毘羅さんからふたたび善通寺インターに戻り、高松自動車道を進みます。途中雨がひどくなり、ワイパーをパシパシに動かしても雨がはけないほど。途中桜三里パーキングエリアで一休み。そして松山インターで降りて、市内を通って道後温泉に。

道後温泉は以前、仕事で松山に来たときに、坊ちゃん湯に入ったことがあります。その坊ちゃん湯の横を抜けて、この日の宿にようやく到着。この日の移動距離約270km。長距離ドライブにもようやくなれてきました。

なんか、このペースで行くと、いつハイドンのレビューにもどれることやら、、、

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【番外】関西・四国・中国大紀行(その2)

(つづき) その1

明石大橋のたもとの道の駅あわじ、後で調べたら生シラス丼が名物なんですね。おなかに余裕があれば挑戦したいところでしたが、余裕はありませんでした(笑)

道の駅あわじ

さて、淡路島の北端から、今日泊まる洲本までは、まだ30kmくらいありましたが、好天の海沿いの道は気持ちよかろうということで、高速に乗らず、下界を進みます。やはり淡路から見る大阪湾はいいですね。好天も手伝って景色を存分に楽しみました。しばらく海沿いを南下して、洲本の街に入ったところで丘の上にはお城が見えます。後で調べたところ、洲本城というお城だったんですね。そして、洲本の街をすぎて次の港の手前が本日の宿。1泊目の宿はこちら。

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淡路島 洲本温泉 ホテル|渚の荘 花季(はなごよみ)

今回の1泊目の宿は、眺望と瀬戸内海の鯛料理目当てでネットで探してとった宿です。

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今時の宿らしく、建物自体はそれほど新しいものではなさそうですが、かなり手が入っており、あか抜けた感じに改装されていました。ロビーからも絶景の眺望。すぐに部屋に案内されます。部屋からの眺めも最高です。地図で確認すると、対岸に見えるのは大阪府の南端、阪南市から和歌山県にかけてのあたり。夕方でいい感じに空が色づき始めた時間帯で、本日の約600キロのドライブの疲れが吹き飛びます。

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夕食まで少し間がありますので、宿の冷蔵庫からよく冷えたエビスを取り出します。よく冷えたグラスがあればなお良しだったんですが、まあいいでしょう。海をバックに冷えたエビスの缶がうっすらと水滴をまとい、妙にセクシー(笑) アンディー・ウォーホールではありませんが、缶ビールの缶のフォルムが美しいと思ったのでパチり。

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部屋にはもちろんオーシャンビューの露天風呂がついており、早速ざぶんと身を沈めてしばし潮の音と風を楽しみます。いやいや、長旅のご褒美ですね(笑)

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ほどなく夕食の時間となり、夕食会場へ向かいます。まずは初日の移動を労ってもらいビールで乾杯。今日の料理は花季会席でメインは鯛しゃぶです!

最初はなかなか凝った器に盛りつけられた八寸。魚が枕で寝ているような洒落た配置。料理人、風流の心がわかる人のようですね。海の宿らしくサザエなどもあり、繊細な味と香りの変化に脳の味覚中枢が覚醒。いや、これは期待できます。

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続いて茶碗蒸し。たかが茶碗蒸しですが、八寸で舌が鋭敏になっているところに癒しのような温かさと出汁の深み。早速日本酒を注文。頼んだのはこの日、淡路島を南下する途中で蔵元が目に入った、淡路市久留麻の千年一酒造の特別純米生貯蔵酒。明石大橋のイラストが入ったボトル。すっきりした飲み口ですが、純米酒らしいコクもあり、料理にはぴったり。

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つづいてお造り。ウニ、太刀魚!、鯛、たこなどですが、やはり鯛の美味さは別格。歯ごたえと旨味のハーモニーにやられました。このあと、鯛や玉葱の宝楽焼。こちらは食べるのに集中して写真撮り忘れました。淡路島は玉葱が名産だそうですが、玉葱がこれほど美味いと思ったのは初めて。いやいやすばらしい甘みで、鯛と玉葱にやられます。

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そして、アワビが食べたいと言っていた母親のリクエストで注文していたアワビの焼き物。これも実に柔らかく、香りよくし上がって、絶品。だんだん皆、お腹いっぱいになってきて、箸を動かすスピードが落ちます(笑)

皆脇目に気になっていたしゃぶしゃぶをするための鍋がまだ控えていますが、このあとようやくメインの鯛しゃぶでした。おそらく昼の平等院ですばらしいヴォリュームの抹茶ゼリーでおなかにダメージが加わったため、肝心の鯛しゃぶに至る前に、許容範囲に至ってしまったという流れでしょう(笑)

鯛しゃぶも美味かったです。この絶品の鯛しゃぶを前にしての満腹感。翌日以降の一行の昼食のセレクトに大きな教訓を残しました。「昼は軽めに」

私は昼軽めにしておいたので、鯛しゃぶを堪能。鯛の上品な旨味に酔いますが、日本酒も皆さん結構飲んで小瓶4本目。つまり四号瓶2本分です! 高齢者中心の旅にしては飲んでます。酒と旨味に酔っていい気持ち。

そして、ご飯と赤出汁は皆さん、入っちゃうんですね。

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こちらで最後のデザート。いやいや、おいしい食事と美味い酒で満腹。幸せ中枢が満腹中枢の大きな影響で反応。お腹いっぱいなだけですが、妙に楽しい夕食でした。この日の旅、母親三兄弟にも宇治平等院は印象深かったようで、無事初日を終えられ一安心でした。

もちろん部屋に露天風呂がありましたので、一休みしてから夜の海を見ながらひと風呂楽しみました。対岸の右側は空がほんのり明るくなっていましたが、Googleマップを見てみると和歌山市街のようです。そして左側には一点明るい光が。こちらは関空のようで、飛行機が上っていくのが見えました。



翌朝は曇り。5時前には朝日が昇るとのことで、早めに目覚ましをセットしますが、年齢故、目覚ましがなる前に起きてしまいます(笑) また、ひと風呂入ってシャッキリ!

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この日は雨予報でしたが、幸いまだ降っていません。

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港の方に目をやると、海は静か。なんとなく風情がある景色。

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早起きしたので、ブログを書いたり荷物を片付けたりしながらのんびりして、ようやく朝食の時間。朝食はバイキングなんですが、昨夜の満腹感にも関わらず、みなさん、いろいろ取るうちにスイッチが入ります。やはり、どれをとっても美味い。特に美味かったのが玉葱のサラダ。新鮮な玉葱の美味さに再び感動。ほかのお料理もご飯も皆すばらしく美味かったです。

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一休みしてチェックアウト。エントランスから宿に入るときに最初に目に入る景色。最近のホテルは実によくできてます。古いホテルでもここまできれいに手が入っていると、まるで新築のホテル並みです。

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ロビーもご覧のとおり。アイキャッチを意識して、エントランス周りは非常にきれい。

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初日の宿は、料理も景色もお部屋も文句なし。中居さんたちもみな親切でいい宿でした。

さて、宿を出る頃には外は雨模様。この日は鳴門海峡経由で四国に入ります。

その3へ)

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【番外】関西・四国・中国大紀行(その1)

前記事で予告のとおり、旅に出ております(笑) 今回ははじめての旅先執筆。

そもそも今回の旅は、いつもの嫁さん、母親、私の3人の旅ではありません。加えて母親の弟(叔父)、妹(叔母)をあわせて5人の旅。つまり母親3兄弟のための旅行です。ちょっと前から、叔母の発案で、亡くなった祖母の故郷、出雲に行ってみたいということで、旅行の企画がもちあがったもの。出雲だけだったら飛行機でいく手もありますが、母親の兄弟ということで皆さん今では立派な高齢者(笑)。見た目はまだまだしゃっきりしていますが、長旅は疲れます。そして皆さんどうせ行くならいろいろ寄ろうということで、2ヶ月ほど前からこの企画が始まり、いろいろ協議を重ねた結果、何と6泊7日の大旅行となりました。5人での移動ということで大型のレンタカーを借りての大旅行です。

実は以前、土日1,000円で高速道路乗り放題という民主党時代の政策がありましたが、その頃出雲まで車で旅したことがあり、なんとなく行ける自信はありました。その時は初日は渋滞も予想されたため、朝4時に家を出て、大阪あたりまで来たところで結構行けることがわかり、車中から島根県江津市の有福温泉を予約し、約12時間ほぼ運転しっぱなしで浜田の手前まで運転しての旅行。そこから4泊かけて東京まで温泉旅行というかなり大胆な計画。私たち夫婦のみだったので、いつも通りほぼ無計画にあちこちの共同浴場巡りをしながらの気楽な旅でしたので、それなりに楽しむことができました。

ところが、今回は母親3兄弟の引率ということで、責任重大! 普段は行く先を含めてあんまり計画を立てずに適当に旅するのですが、高齢者を無計画に引き回すわけにも行かず、かなり事前にネットを駆使して情報を集め、慎重に旅程を考えての旅行。さながら修学旅行の担当旅行代理店のような心境であります。旅行に行くのにバスの手配を忘れた担当者の恐怖感が手に取るようにわかり、その手配漏れの起こす悲劇も事前にあった出来事で全国的に知られてしまっております(笑)ので、レンタカーの手配も何度も確認しました。

ということで土曜夜、レンタカーを予定通り借り、日曜早朝に世田谷、新宿にそれぞれ住む叔父、叔母をピックアップして、いざ大旅行に出発です。

(業務連絡)今回の旅の予定に今のところダム見学は入っておりません(爆笑)

レンタカーは長旅ゆえ、8人乗りのアルファード。普段はイタリアっぽい(庶民的なの意)小型車に乗っております故、巨大な車体を操るのに少々慣れが必要でしたが、流石は大型車。高速ではゆったりした挙動で、運転も楽で長距離ドライブもそれほど疲れませんね。

早朝6時にピックアップを終え新宿を出発して、初台南から首都高に乗り、大橋のグルグル目の回るようなジャンクションを経て首都高3号線経由で東名高速に乗ります。途中中井パーキングエリア、浜松サービスエリアで休憩。天気は良好、日曜日でしたが、都心も首都高も東名もどこも渋滞せず、まったく停滞せずに浜松までつきました。途中新東名を使いましたが、道の造りがよく、道路も広いため運転が楽ですね。東名と合流したあとは道路の継ぎ目がでこぼこして、かなり老朽化している印象。やはり新しい道のほうが快適です。

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いちおう先の旅程を考えると、2時間に一度くらいは休まないと、疲れもたまってしまいますので、無理せず安全第一で運転。写真は楽器の街浜松らしいオブジェ。

浜松からは、伊勢湾岸道に入り、名古屋港の大きな橋、揖斐川にかかる橋など絶景スポットを通ります。この旅で唯一渋滞情報がでてはっとしましたが、ナガシマスパーランドの出口渋滞で、そこで降りない私たちは、出口渋滞の車を横目にスイスイ。そして伊勢に向かう東名阪道に入り、途中東京人には妙に新鮮に響く、四日市、鈴鹿、亀山、甲賀などの各地を通ります。途中土山サービスエリアでまた休憩すると、ここは甲賀。どうしても物陰に忍者がいるような気がしますが、皆さん現代人になりすましているせいか、こちらからは気配を察することはできません(笑)

そして再び新名神に乗り、信楽、草津、瀬田、南郷などの地名を楽しみながら、今回の旅の第一目的地である宇治に到着。宇治東インターを降り、宇治市内に入ると、何やら観光地の雰囲気満点。景色が古都です。宇治川にかかる橋あたりからみると、観光客でごった返しています。宇治市内に入ったのはお昼前。車も多く、事前に調べておいた昼食スポットも1時間待ちということで、しかたなく車を停めるところを探しますが、流石に日曜の観光地だけあって、どこの駐車場も満車。はて、どうしたものかと行き来していると、たまたま1台出庫した直後の駐車場に車を止めることができました。

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そして訪れたのがこちら。宇治といえば平等院。平等院といえば鳳凰堂。というか十円玉ですね(笑) 平等院には大学時代に来たことがありますが、おそらく30年以上前。当時の記憶は曖昧ですが、平等院のまわりがこれほど観光地化していなかった気もします。平等院の入り口前はお土産屋さん、お茶屋さんなどで多くの人でごった返していました。

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大学時代にはいちおう建築史を学んでいましたので、この平安時代からの優美な建物のフォルムのすばらしさは、一見の価値ありということで旅程に組みこみました。母親三兄弟も初めての訪問でうれしそう。鳳凰堂の裏側が修理工事中でしたが、正面からの優美な姿はそのままでした。内部の拝観は2時間待ちとのことであきらめましたが、多くの人が池の前で記念写真を撮っていました。鏡のような池に映る平等院の写真はこちらをご覧ください。

世界遺産 平等院

今は世界遺産になっているんですね。平安時代の後期、永承7年(1052年)の創建。日本の寺院としては珍しく壮麗なつくり。左右の翼廊は純粋に外観を整えるためのもので、こうした形式のお堂はあまり例がないですね。庭園は浄土式庭園で池の中に中島があり、橋が架かっていますが、それを渡ると極楽浄土に行けるとの構図。いやいや、旅の最初に極楽浄土とは縁起がいいのかわかりません(笑)

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鳳凰堂を一周すると、裏側には昔はなかった鳳翔館という近代的な建物があり、中には鳳凰堂の名のもととなった鳳凰や、木造雲中供養菩薩像が展示されています。この雲中供養菩薩像は鳳凰堂の中央に安置されている阿弥陀如来のまわりの長押の上に52体が配されているもので、全体国宝。調べたところ内27体が楽器を演奏した姿で、まさに当時の音楽がながれてくるようなえも言われぬ雰囲気のある彫刻。これはすばらしいですね。この雲中供養菩薩などを含めて平等院ことについてはWikipediaにかなり詳しい記述がありますのでご参考まで。

Wikipedia:平等院

さて、かなりのピーカンな日差しのなか鳳凰堂巡りを満喫したため、先ほど1時間待ちだった昼食スポットに戻ってみます。

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食べログ:中村藤吉本店

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お昼前に立ち寄ったときは長蛇の列で、1時間待ちとのことでしたが、平等院を回ってきたので、お昼時をすぎていましたので、ほどなく入ることができました。ここは甘味処ということですが、茶そばも食べられるということでセレクト。人気店故予約はできませんでしたが、なかなか雰囲気のあるお店。

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食べログの評価はこのあたりでは一番。お店の中はお土産売り場などがあり多くの昼食待ちの人であふれていました。

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いただいたのは茶そばに、茶そばと甘く煮たアゲや梅干しをあしらったもの。さすがにお茶の香りは良く、宇治ならではのメニューですね。おなかが空いていたのでなおさらおいしくいただけました。

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全体に雰囲気のあるいいお店なんですが、ランチョンマットも麻でお店の名前がさりげなく入れられたもの。古くからやっているお店でしょうが、若い店員さんも多く、いろいろ工夫しているようですね。

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そして茶そばだけでは済みませんでした。私は大人なので冷やし抹茶。程よい甘さが加えられており、なかなかいい感じ。

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そして、嫁さんを含めての残りの4人は、名物らしい抹茶ゼリー。大きな竹筒に抹茶ゼリーとアイス、あずきなどが山盛り。ちなみに茶そばより確実にヴォリュームがあります。 今夜の旅館の食事を考慮すると、この選択には少々無理がありました、、、(笑)

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まあ、母親は名残惜しそうに完食はあきらめてました。お昼までの激走の疲れがとれたので、再び車に戻って先に進みます。



店の駐車場から、今度は宇治西インターに向かい、京滋バイパスに乗ります。大山崎、茨木、尼崎とまたまた新鮮な地名をおさらいしながら、明石大橋を目指します。神戸あたりの景色を楽しみながら、明石大橋の巨大な橋脚が見えると、車内がどよめきます。いよいよ本州を離れます。

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明石大橋の手前が長いトンネルで、視界が開けたとたん巨大な橋脚が正面にいきなり出現する展開もいいです。平等院の雅な雰囲気もいいですが、こうした巨大構造物も見応えがありますね(笑)

天気は快晴。明石大橋から眺める景色は絶景でした。あっという間に渡り終え、最初のインターで降りて、明石大橋の淡路島側の根元の下にある道の駅あわじに立ち寄ります。

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真近で見る橋脚は迫力がありますね。そして、なんと橋を吊るロープのカットモデルがおいてありました。このロープの束で橋を吊っているわけです。いやいやすごいの一言。ちょっと休んで、本日の宿に向かいます。

初日は洲本温泉に泊まります。

その2へ)

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Haydn Disk of the Month - May 2014

訳あって、今月は早々とこの記事です。

訳あってとは、来週からちょっとお休みをいただき、月末まで通常更新ができませんので、早めに今月の一枚を選んでおこうということです。残念ながら最近仕事が忙しく、帰りも遅いため、レビューの数が思ったように延びません。眠気と戦いながら2、3日がかり1記事書いているという感じ。輸入盤の小さい文字の英語の解説を老眼鏡にかけかえながら読んだりするのも妙に時間がかかります。要は歳をとったということでしょう(笑) ただし、ハイドンが71歳まで作曲を続けたことを考えると、この辺で弱音を吐くことは許されませんね。



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2014/05/12 : ハイドン–オラトリオ : 【新着】フィリップ・ヘレヴェッヘ/シャンゼリゼ管の四季(ハイドン)

久しぶりに新着アルバムからのセレクト。ハイドンをほとんど録音していないフィリップ・ヘレヴェッヘと手兵シャンゼリゼ管弦楽団によるハイドン最後のオラトリオ「四季」。ヘレヴェッヘといえばバッハというイメージでしたが、最近はいろいろな曲を振っているようで、ハイドンを天地創造ではなく四季からくるのも玄人好み。古楽器による非常に自然な演奏。歌手も万全です。四季の古楽器の演奏としてはブルーノ・ヴァイル盤とともにオススメです。

そして、候補盤が少ないのですが、どうしてもはずせないのがこちら。

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2014/05/09 : ハイドン–協奏曲 : ジャン=ジャック・カントロフのヴァイオリン協奏曲集(ハイドン)

ジャン=ジャック・カントロフのヴァイオリン、神がかってます。ヴァイオリン協奏曲にはお気に入りの名盤が多いんですが、このカントロフ盤も新たに加わりました。伴奏のクリスチャン・ベンダとシュツットガルト室内管弦楽団がまた活き活きとした素晴しいサポートで完璧なサポート。現代楽器によるヴァイオリン協奏曲集では一押しの名盤です。残念ながら入手は難しいでしょう。このようなアルバムこそ長く現役盤であってほしいものです。



他にいい評価をつけたものは下記のとおり。今月は湖国JHさんからお借りしたアルバムをこなすので精一杯。若き日のオジェーの麗しい声にもうっとり。それぞれ素晴しいアルバムでしたので、なかなか楽しめました。

2014/05/21 : ハイドン–室内楽曲 : リノス・アンサンブルのディヴェルティメント集(ハイドン)
2014/05/17 : ハイドン–室内楽曲 : シェーンブルン・アンサンブルのディヴェルティメント集(ハイドン)
2014/05/05 : ハイドン–声楽曲 : アーリーン・オジェーのカンツォネッタ(ハイドン)

さて、明日から一週間休みをとっての、恒例の「センチメンタル・ジャーニー」です。どうなることやら、、、



2014年5月のデータ(2013年5月24日)
登録曲数:1,324曲(前月比+2曲)登録演奏数:7,809件(前月比+68演奏)

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リノス・アンサンブルのディヴェルティメント集(ハイドン)

またまたマイナー盤(笑)

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

リノス・アンサンブル(Linos Ensemble)の演奏で、ハイドンの管楽器と弦楽器のための室内楽曲4曲を収めたアルバム。ちょっと不思議な立ち位置のアルバムです。収録は1994年11月7日から10日にかけて、ミュンヘンのバイエルン放送の第2スタジオでのセッション録音。レーベルは独CAPRICCIO。

このアルバムは、いつもながら、湖国JHさんに貸していただいたアルバムなんですが、レビューを始めようと収録曲を調べ始めたところ、どうもこのアルバムだけに含まれる、、、というか、他のアルバムでは見かけない曲がいくつかふくまれているんですね。なんとなく調べあぐねていたところ、実は手元の未登録盤を保管してあるボックスに同じリノス・アンサンブルの演奏によるハイドンのフェルドパーティー曲集があり、こちらも同様、曲の特定に難航して長らく未登録盤ボックスの中に板と言う次第。おそらくハイドン作のものや、ハイドンの作と思われる曲を意図して集めて録音していると思われるアルバム。

ハイドンの曲ばかりを普段聴いているとはいえ、学者ではありませんので、こうゆう微妙な曲を扱っているアルバムについては、何となく落ち着きません。所有盤リストへの登録も、既知の曲であれば、ただ登録するだけなんですが、他のアルバムにない曲についてはいろいろ調べないと正体がわかりません。

このような微妙かつ激マイナーな曲を録音しているリノス・アンサンブルという団体、一体何者なんでしょう。

linos ensemble

彼らのサイトもドイツ語のみのため詳しいことはわかりませんが、1977年オーボエ奏者のクラウス・ベッカーが設立した管楽器を軸にしたアンサンブルで、レパートリーはバッハからシュトックハウゼンまで、編成はトリオから室内楽オーケストラまでということくらい。ということでわかる曲のレビューをしておきましょう。

Hob.II:F2 / Cassation
1曲目はカッサシオンのヘ長調。所有盤リストでカッサシオンのヘ長調を探すと、ホーボーケン番号でHob.II:F2というのがあり、エミール・クラインとハンブルク・ソロイスツの演奏が登録されていますが、このアルバムにあるだけで他に資料がない曲。5楽章構成でヴァイオリン、ヴィオラ、オーボエ、ファゴット、ホルン×2、コントラバスという編成。最近ディヴェルティメントをいろいろ聴いているせいか、出だしの1楽章のアレグロ・モデラートから軽快な音楽に引き込まれます。ホルンの加わった響きの美しさもかなりのもの。演奏は現代楽器によるオーソドックスなものですが、演奏から音楽が溢れ出してくるような活き活きとした歌が感じられるなかなかの演奏。一人一人のクッキリとメリハリのある演奏から、ソリストの腕はかなりのものでしょう。続いてメヌエット、アダージョ、メヌエット、ロンドと言う流れ。メヌエットはまさにハイドンの作というキレの良いもの。ファゴットのコミカルなメロディーの演出の上手さが光ます。アダージョはオーボエとコントラバスが活躍。ゆったりとしたリズムに乗ってオーボエが抜けるような上昇感のフレーズを奏でていきます。4楽章のメヌエットは最初のメヌエットとは異なりかなり展開していきます。フィナーレのロンドはハイドンの作風とはちょっと異なるような気もしますが、良くまとまってはいますし、展開に閃きもあり、私はハイドンの真作ではないかとの印象を持っています。

Hob.II:B4 Divertissement [B flat] (????) (Doubtful 疑作)
続く曲は、まったく知らなかった曲。ホーボーケン番号ではHob.II:B4と言う名前がついていますが。ちなみにこのアルバム以外では全く見かけない曲。オーボエの軽快な旋律から入る曲。ちなみに前々記事のシェーンブルン・アンサンブルのディヴェルティメント集の記事に対してHaydn2009さんからコメントいただいた情報によると、この曲の出だしから少しの部分が下記のTVCMに使われているとのことでした。

ハウス食品株式会社:商品・CM情報:ザ・ホテル・カレー

1楽章の演奏が軽やかに弾んでいるのは先に触れた曲同様。CMに使われることからも明らかなとおり、非常に流れが良く高揚感と推進力も十分。ハイドンの作にしては非常に滑らかな展開。演奏自体は非常に盛り上がり、リノス・アンサンブルの演奏によりクッキリとフレーズが浮かび上がりますが、構成感と言う点ではハイドンの筆によるものだとは断言できない曲ということでしょう。演奏は非常に緻密なもの。つづく2楽章はロンドで2楽章構成の曲ですが、なんとなくこの2楽章もハイドンではない人の作品のような気がします。

Hob.II:A4 Quartett [A] (before 1777)
つづいての曲はフルート四重奏曲イ長調。4楽章構成の曲。どことなくロンドン・トリオを思わせるフルートの音階が印象的。解説によればボルドー市立図書館で発見されたフルート四重奏曲6曲の中の1曲とのこと。2楽章のアダージョにはバッハのマタイ受難曲のアリアが引用されているのとのこと。この曲の構成と展開の面白さはハイドンそのもののように感じます。

Hob.II:25 / Notturno No.1 [C] (1789/90)
そして最後はようやく聴き慣れたノットゥルノ。いくらマイナー盤好きだからといっても、これだけ聴いたことがない曲が続くのはちょっとストレス(苦笑)。この曲ナポリ王フェルディナンドIV世の依頼で作曲した一連のノットゥルノやリラ・オルガニザータ協奏曲などは、過去に何度か取りあげていますので、メロディーに親しみがありますね。躍動感溢れる演奏はこういった機会音楽としては理想的な演奏。先日取りあげたシェーンブルン・アンサンブルよりも明るい調子でノリも良いので、一聴して楽しい雰囲気が伝わる演奏ですね。

シェーンブルン・アンサンブルにつづき、マイナー曲、埋もれた曲を活き活きと演奏するリノス・アンサンブル。ハイドンのディヴェルティメントはよく聴くと室内楽の喜びに溢れたいい曲が多いですね。情報の少なさ、アルバムの少なさからあまりつっこまずにいましたが、今回レビューしてみてその良さがわかりました。手元にはマンフレッド・フス盤やコンソルティウム・クラシクム盤もあり、挑み甲斐がありますね。こちらはまたの機会にでも取りあげることといたします。リノス・アンサンブルの今回の4曲、やはり[+++++]を進呈しないわけには参りませんね。

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ワシリー・シナイスキー/読響定期演奏会(サントリーホール)

昨日5月17日は読響の定期公演を聴きにサントリーホールへ。この日の指揮はワシリー・シナイスキーということでチケットをとった次第。学生時代にFM放送で聴いたプロコフィエフの5番の演奏があまりにも素晴しかったので覚えていた人ですが、そのシナイスキーが生で聴けると言う事に加えて、プログラムはプロコフィエフにリヒャルト・シュトラウスということで、ハイドンではないのにグッときたという次第。

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読売日本交響楽団:第537回定期演奏会

ワシリー・シナイスキー(Vassily Sinaisky)は1947年、ロシア東北部のコミ共和国生まれの指揮者。レニングラード音楽院出身で、卒業後、モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団でキリル・コンドラシンの助手として指揮をはじめたとの事。1973年に西ベルリンで開催されたカラヤン・コンクールで金メダルを受賞し、その後、1991年から96年までモスクワフィルの音楽監督、2000年から2002年までロシア国立交響楽団(ソ連国立交響楽団の後身)の音楽監督、2007年から2011年までスウェーデンのマルメ交響楽団の首席指揮者、2010年から2013年までボリショイ劇場の音楽監督として活躍しています。読響には2007年、2011年と過去2回客演しているそうです。

協奏曲のヴァイオリンソロはワディム・グルズマン(Vadim Gluzman)という人。こちらははじめて聴く人。1973年、現在紛争地になってしまったウクライナ生まれのヴァイオリニスト。米ジュリアード音楽院の出身で、日本での評判は知りませんが、世界の有名オケとの共演歴は錚々たるものです。楽器はシカゴのストラディヴァリ協会から貸与された1690年製のストラディヴァリウスということでした。

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この日は土曜だったので開演は18:00。平日ではないので、早めにアークヒルズに到着し、向かいのオーバッカナルのテラス席で風を楽しみながら一杯。夕方の爽やかな風が気持ちよい時間帯です。程なくサントリーホールの開場を知らせるパイプオルゴールが鳴り、ホール前が賑わいます。

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人の流れが一段落したところで入場。席はお気に入りのRA席です。この日のプログラムは下記のとおり。

プロコフィエフ:交響曲第1番「古典」
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番
リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
リヒャルト・シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」組曲

今日は8割すこしくらいの席の埋まり具合でしょうか。日本での知名度は今ひとつなのでしょう。今日来られなかった方は惜しいことをしました!

1曲目のプロコフィエフの1番は好きな曲。父がよく聴いていたのを思い出します。前衛で知られたプロコフィエフが「もしもハイドンが今でも生きていたら書いたであろう作品」として作曲した曲。ワシリー・シナイスキーは、拍手に迎えられて入場すると、さっと手を上げ、指揮棒なしでさっと合図を出して入ります。この人がこれほど指揮が上手いとは知りませんでした。体全体をゆらして、次々と奏者に非常にわかりやすく指示を出していきます。特に第1ヴァイオリンへの指示は綿密。抑えるところをかなり明覚に指示してプロコフィエフの諧謔的なメロディーにクッキリとメリハリをつけていきます。ヴァイオリンの軽やかなフレーズはヴァイオリンパート全員がシナイスキーの指示に従って異次元の軽やかさで弓を運びます。遥か昔にFM放送で聴いた鮮烈なイメージそのままでした。実に巧みなオーケストラコントロール。読響も厳しい練習を経たのか、今日はいつもよりも精度が上がりリズムのキレは抜群。そしてロシア人らしくここぞというときの迫力は流石。1楽章の小気味良い展開、2楽章の穏やかな前衛、ハイドンがメヌエットを常用した3楽章はガヴォットも本質的に機転が利いて、古典的なものへのオマージュになってます。そしてハイドンが得意とした複雑にメロディーをからめたフィナーレは、その形骸を受け継ぎ、コミカルなメロディーをテクニカルにからめた面白さに昇華。最後の吹き上がるようなアタックのキレでホールが吹き飛ばんばかり。シナイスキーのクライバー張りの見事な指揮と、読響の見事な演奏でプロコフィエフ前衛がホールに充満。1曲目から、これからさらに盛り上がる素晴しいコンサートの幕開けにふさわしい興奮に酔います。

前半2曲目はプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲2番。個人的にはほとんどなじみのない曲ゆえ、かなり新鮮に聴く事ができました。作曲は1935年。先の古典交響曲が1916~17年ということで、だいぶ後の作曲。
1楽章はいきなりソロから入る珍しい入り。ソロのワディム・グルズマンはシナイスキーが連れてきた人でしょうか、派手さはありませんが大きな体を目一杯使って、楽器を非常に良く響かせる人。彼の使っているストラディヴァリウスは素晴しい音色。サントリー・ホールに楽器全体から発散される美しい胴鳴りが響き渡り、ちょっと聴いたことがないくらいいい音。
曲は難解というより、プロコフィエフ独特の象徴的な美しいメロディーをキーにした展開ではなく、様々な要素が渾然一体となって迫ってくるような曲。グランカッサ、トライアングル、カスタネットなどが使われ、特にグランカッサはかなり活躍。3楽章の最後には不思議なメロディーがグランカッサに乗って繰り返されプロコフィエフらしい前衛的な響きをつくっていました。グルズマンはこの難曲を軽々と弾きこなし、万来の拍手を浴びていました。何度かのカーテンコールの後、アンコールにはバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ1番の冒頭のアダージョを披露。響きの渦のようなプロコフィエフの興奮から一転、静謐な空間にストラディヴァリウスの惚れ惚れするような響きが満ちます。楽器の響きを活かして、鋭さはほどほど、バッハのメロディーを淡々と奏でるスタイル。堅実な演奏に好感を持ちました。なかなかいい感覚の持ち主ですね。

休憩の間に、ステージ上はこれからはじまるリヒャルト・シュトラウスに備えて席が増やされ、サントリーホールのステージが奏者席で埋め尽くされます。

後半最初の「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は圧巻の出来でした。シナイスキーの巧みなコントロールで、細かいメロディーが複雑に交錯するこの変化に富んだ交響詩が一巻の絵巻物のような構築感でまとまりました。個々のフレーズのそれぞれ明解な表情を強弱硬軟織り交ぜながら組み上げていく手腕は見事というほかありません。そしてここぞというところでのティンパニの炸裂するような一撃が加わり大オーケストラから風圧のような大音響が轟き観客を圧倒しました。プロコフィエフ目当てで来たのですが、リヒャルト・シュトラウスは完全にそれを上回る出来。最後の爆発の風圧をブラヴォーがかき消します。いやいや、今まで聴いたどのアルバムのティルよりも見事な演奏。シナイスキーのオーケストラコントロールの腕前の見事さは素晴しいものがあります。

そして、ハープやチェレスタのメンバーが加わり、最後の薔薇の騎士組曲。前曲の興奮冷めやらぬ中、シナイスキーは登場の拍手が止まぬ前から、まるでカルロス・クライバーのようにいきなり曲をはじめます。バラの騎士はカルロス・クライバーのはじめの序曲から陶酔の絶頂にいきなり放り込まれる素晴しいDVDが刷り込みですが、めくるめく感じはクライバー以上。オケの精度も完璧で大オーケストラの迫力と相俟って、前曲を超える絢爛豪華な絵巻物のような陶酔感。前半のプロコフィエフ同様、抑えるところを効果的に使って力任せではない深い陰影と、ロシア人らしいヴァナキュラーな迫力、そして曲がもつ華やかさと陶酔感が高い次元でまとまった素晴しい演奏でした。ワシリー・シナイスキー、類いまれなバトンテクニックで大オーケストラを掌握して、ホールをびりつかせる弩迫力とリヒャルト・シュトラウスの陶酔で観客を魅了していました。もちろん最後はブラヴォーの嵐。気さくにカーテンコールに応じ、主だった奏者をにこやかに紹介する様も人柄がでているようで微笑ましかったです。気さくそうに見えて、読響をこれだけの精度でコントロールするあたり、そうとう練習には厳しいのではないかと想像しています。今日の読響は私の聴いた中ではオケの精度は最高の出来でした。シナイスキー、またの来日の際には行かねばなりませんね。



さてさて、コンサートも終わり、最近お気に入りのカジュアルなイタリアンで反省会です。

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食べログ:プレーツ アーク森ビル店

ここはサントリーホールの真向かいのお店。カジュアルなお店で、コンサートがはけたあとでもすぐに入れて、料理もすぐにでてきて、そこそこいい味。そのうえセットメニューはワインとコーヒーまでついてかなりカジュアルなお値段なので、コンサート後にぴったりなんですね。

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前菜盛り合わせ。鴨のハムがワインのつまみにいいですね。

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パスタはミートソースをチョイス。胡椒が利いてこれも悪くありません。

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ピッツァはマリナーラ。

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そして別に頼んだホエー豚のロースト。これは豚の旨味が濃厚で美味かった。

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そして嫁さんが頼んだデザートのプリンアラモード。ノックアウト(量)です(笑)

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ひとしきりのんびりと食事を楽しんで、サントリーホール前に戻ると、すでに人は捌け、静かな時間になっていました。いいコンサートにのんびりと食事を楽しんで、いい週末でした。

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tag : サントリーホール プロコフィエフ リヒャルト・シュトラウス

シェーンブルン・アンサンブルのディヴェルティメント集(ハイドン)

ちょっと仕事やら飲みやらで間が空いてしまいました。

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HMV ONLINEicon

シェーンブルン・アンサンブル(Schönbrunn Ensemble)の演奏による、ハイドンのディヴェルティメント3曲(Hob.II.11、II.D8、II:1)、ミヒャエルハイドンのディヴェルティメントハ長調の4曲を収めたアルバム。収録は1995年2月、オランダのユトレヒトでのセッション録音。レーベルは蘭GLOBE。

このアルバム、いつものように湖国JHさんから貸していただいているもの。ハイドンのディヴェルティメント集は音楽の楽しみを知った人こそのんびりと聴いて楽しめるものです。ハイドンと言えば交響曲に弦楽四重奏曲、そしてオラトリオやミサ曲が有名ですが、若い頃に書いたディヴェルティメントなども、実にいい曲が多く、収集欲をそそられます。私同様ハイドンマニアでいらっしゃる湖国JHさんの貴重なコレクションということで、楽しみをわかるものが食指をそそられるアルバムと言う感じです。つまり、一般的にはマイナー盤という位置づけであると言いたい訳です(笑)

演奏者のシェーンブルン・アンサンブルは、ウィーンのシェーンブルン宮殿のイメージからオーストリアの団体だと思っていましたが、オランダの団体。彼らのウェブサイトは、Ensemble Schönbrunn Amsterdamとなっており、最近はアムステルダムという地名をつけているようです。

Ensemble Schönbrunn Amsterdam

設立は25年以上前で、フレスコバルディからドビュッシーという幅広い時代のあまり知られていない曲を演奏するというのが彼らのスタイルのようで、リリースされているCD14点を見ると、まさにマイナー曲ばかり。その中にハイドンが2点あり、そのうちの1枚がこのアルバムです。これだけマイナー好みな団体ということで、非常に気になり、残りの1枚のハイドンのフルート三重奏曲集も注文し、入手済みです。やはりマイナー盤には目がありません(笑)

今日取り上げるアルバムの曲をよく見てみると2曲目のHob.II:D8と言う曲、手元の所有盤リストやハイドンマニアの聖書、大宮真琴さんの「新版ハイドン」にも記載がありません。ライナーノーツを見てみると、この曲、バーゼル大学図書館に保管されている作者不詳の18世紀の楽譜がもとになっており、1958年、ヘルマン・シェルヘンによってフルートと弦楽合奏のためのディヴェルティメントとして出版されたもので、ハイドンの作と考えられてきましたが、現在では真作とはみなされていないものでしょう。曲を聞くとメロディーの美しさと展開はなかなかいいのですが、構成にハイドンらしい閃きが欠けているような気がしなくもありません。ということで今日はハイドンの作曲と明らかになっている2曲を取りあげることとします。

Hob.II:11 / Divertimento "Der Geburtstag" 「誕生日」(6 Qurtette fur Flote, Violine, Viola und Violincello Op.5 Nr.6) [C] (c.1763)
ハイドンのディヴェルティメントでは有名な曲。フルート、オーボエ、ヴァイオリン×2、チェロ、コントラバスと6声のディヴェルティメント。シェーンブルン・アンサンブルの演奏は古楽器としては自然な音色で、落ち着いた演奏。適度にキビキビ感もあり曲の面白さを素直に味わう事ができます。録音も自然で鮮明。コントラバスの低音がリアルに響きます。1楽章のプレストは軽快、2楽章はハイドンらしい穏やかなかにも陰りを感じる静かなアンダンテ。そしてまさにハイドンらしい展開の要のメヌエットとつづきます。このメヌエットで楽章間にクッキリとコントラストがついているのを印象づけ、ディヴェルティメントの面白さをうまく演出しています。フィナーレはハイドン存命時に流行った夫婦という有名な歌のメロディーをもとにした変奏曲。奏者はそれぞれ腕利き揃いらしく、一貫して穏やかな音楽ながらメロディーがクッキリ浮かび上がります。最初は落ち着いていたものの、変奏がヴァイオリンのソロになったあたりから奏者も少し表現に力が入り、変奏の面白さに耳を奪われるようになります。ハイドンの機知に富んだ音楽の面白さの極致。曲の流れに応じての盛り上げ方が非常に上手いですね。

Hob.II:1 / Cassatio [G] (c.1755)
前曲よりも遡ってハイドンが20代前半の作曲によるディヴェルティメント。前曲と同じ編成による6声のディヴェルティメント。変わらず落ち着いた入り。アレグロを軽快にこなして行きます。古楽器の音色を素直に活かした演奏ですが、集中して聴くとかなりメリハリをつけているので、メロディーラインがクッキリと浮かび上がっていることがわかります。シェーンブルン・アンサンブルの演奏、穏やかにはじまり、要所で盛り上がるというのがわかっているので、つづくアンダンテ・モデラートのはじまりの素っ気なさは逆に期待を煽ります。徐々に伸びやかさが増して来て、ゆったりとした雰囲気に呑まれるようになります。ヴァイオリンの音階が静かに響き渡り、他の楽器が溶け合うように迎える、穏やかな掛け合い。感情の高ぶりはなく、平常心で音楽を楽しむ粋なひと時。技巧ではなく響きの美しさというか、余韻の美しさに聴き入るような演奏。三昧の境地ですな。メヌエットはチェロの聴かせどころを挟んでささっと駆け抜けます。そしてフィナーレはこちらも変奏曲。実に聴き応えのある穏やかなメロディー。ハイドン弱冠20代にしてこの冴えに驚きます。楽器の音色の本質を捉えたメロディーの受け渡し。それぞれの楽器がどう響くと美しいのかを完全に掌握して曲を書いています。シェーンブルン・アンサンブルは完璧な演奏でハイドンの静かな狂気を描いていきます。この変奏の見事さは筆舌に尽くし難い。いやいや、このような小曲でこれほどの冴え。音楽の喜びがすべて詰まっているような充実感。参りました。

シェーンブルン・アンサンブルのディヴェルティメント集。はじめて聴く団体でしたが、マイナー曲を好んでレパートリーとしているだけあって、曲の真髄をとらえた音楽の深さは流石の実力ですね。ハイドンの小曲に描かれた音楽の素晴しさを残さず描ききっています。室内楽好きの方、必聴の素晴らしさです。心の中にじわりと幸福が満ちてくるような素敵なアルバムです。ハイドンの2曲の評価はもちろん[+++++]です。

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tag : ディヴェルティメント 誕生日 古楽器

【新着】フィリップ・ヘレヴェッヘ/シャンゼリゼ管の四季(ハイドン)

久々の新着アルバムです。

Herreweghe4S.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

フィリップ・ヘレヴェッヘ(Philippe Herreweghe)指揮のシャンゼリゼ管弦楽団(Orchestre des Champs-Elysées)、コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(Collegium Vocale Gent)の演奏で、ハイドン最後のオラトリオ「四季」を収めたアルバム。収録は2013年4月10日から13日、オーストリアのインスブルック公会堂でのセッション録音。レーベルはヘレヴェッヘの録音を専門にリリースするφ PHI。

古楽器演奏においては知らぬ人はいないヘレヴェッヘですが、手元のアルバムを調べてもヘレヴェッヘの指揮するハイドンの録音はありませんでした。唯一クイケンの指揮する天地創造で合唱指揮を担当してるアルバムがあるのみでした。手元にあるのはharmonia mundiに大量に録音したバッハのカンタータ集の録音が十数枚ほどとヨハネ、マタイ受難曲など。ヘレヴェッヘのバッハは透明感とほどよいしなやかさからハイドン以外では結構集めたほうです。

フィリップ・ヘレヴェッヘは1947年、ベルギーのヘント生まれの指揮者。少年時代はイエズス会の少年聖歌隊員だったそうで、実家が医者であったことから精神科医を目指してヘント大学医学部で心理学を学びましたが、ヘント音楽院でピアノ、チェンバロ、オルガンなどを学び、結局医学をあきらめ音楽家になることになりました。1970年代には指揮活動に従事し、コレギウム・ヴォカーレ・ヘントを創設。その演奏がアーノンクールらに注目され、レオンハルトなどと共同で進められていたバッハのカンタータ全集の一部を担当したということです。1977年にはルネサンスから現代音楽までをレパートリーとするシャペル・ロワイヤルを設立、他にもルネサンス音楽を専門に演奏するヨーロッパ声楽アンサンブル、ロマン派などを中心に演奏するシャンゼリゼ管弦楽団、現代音楽を専門とするアンサンブル・ミュジック・オブリークなどを主宰。現代楽器のオケでは王立フランダース・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任するなど活動は多彩です。

歌手は下記の通り。
ハンネ(ソプラノ):クリスティーナ・ランズハマー(Christina Landshamer)
ルーカス(テノール):マクシミリアン・シュッミット(Maximilian Schmitt)
シモン(バス):フローリアン・ベッシュ(Florian Boesch)

Hob.XXI:3 / "Die Jahreszeiten" 「四季」 (1799-1801)
第一部「春」
バッハのカンタータなどで親しんだ柔かな肌合いの古楽器の演奏。適度な覇気に落ち着いたテンポでじっくりと踏みしめていくような展開。メロディーの語り口の上手さは流石ヘレヴェッヘというところ。録音は癖のない自然なもの。残響も適度で非常にバランスの良いものです。冒頭からティンパニの自然な迫力を感じる理想的な録音と言っていいでしょう。
歌手は、バスのフローリアン・ベッシュはクッキリとエッジの利いた硬質の声。テノールのマクシミリアン・シュミットは柔らかい透明感に溢れた声。そしてソプラノのクリスティーナ・ランズハマーは高音の伸びが素晴しい可憐な声。そしてやはり合唱はヘレヴェッヘの演奏に共通した柔らかなハーモニーが特徴。天地創造のクリスティ盤と同様、自然な歌を楽しめる名盤の予感です。曲がすすむにつれて自然なハーモニーの美しさに徐々に引き込まれていきます。ハイドン最晩年の澄みきった心情を表すように淡々と演奏が進んでいきます。最後の三重唱と合唱による「おお、今やなんと素晴らしい!」では自然さを保ちながら、オケが渾身の響きで入り、リズミカルに美しいメロディーを奏で、清透なコーラスのやまびこのように重なっていく様は、清らかな迫力。この演奏の特徴が最も良く出たところでしょう。第一部から高い完成度にもかかわらず、それを感じさせない自然な演奏にうっとりです。

第二部「夏」
物憂い雰囲気ではじまる夏もヘレヴェッヘの自然な語り口は変わらず、淡々と音楽が流れ、徐々に起伏の面白さに引き込まれていきます。迫力で聴かせる演奏ではなく、音楽の流れと語り口の面白さでで聴かせる演奏。夏の前半のハイライト「朝焼けが訪れて」では、オケとコーラスがここぞとばかりに盛り上がりますが、それまでのしなやかさがあっての盛り上がりが映えるというもの。力まかせなところはなくてもかなりの起伏です。そしてルーカスのカヴァティーナ「自然は、重圧に喘いでいる」ではマクシミリアン・シュッミットが染み渡るような柔らかい声でじっくりメロディーを聴かせます。そしてハンネのアリア「何という爽やかな感じでしょう」ではクリスティーナ・ランズハマーのどこまでも延びていく高音の魅力にうっとり。ちょっと好みです。ざっくりと生成りの肌合いのオケに乗って気持ち良さそうに歌うランズハマーの美声に酔います。終盤はティンパニによる雷鳴が近づいてくるところの静寂感から嵐に変わるところの演出の見事さで、再びガッチリとつかみます。最後の「黒い雲は切れ」では癒しに戻ります。

第三部「秋」
CDを換えて2枚目。ヘレヴェッヘの指揮は緩む事なく淡々と進み、ハイドンの書いた音楽のとおり進みます。やはり、3曲目の「ごらんなさい、あそこのしばみの茂みの方へ」でオケが大波が来たように盛り上がります。軽快な曲の多い秋ですが、ここに来てオケの演奏精度の高さは流石というべきところ。終盤の狩のホルンによるファンファーレが高揚感ばかりでなく渋い表情も併せ持ち、このあたりのコーラスも見事。いつ聴いても盛り上がる最後の「万歳、万歳、ぶどう酒だ」もコーラスの圧倒的存在感。オケよりもコーラスが主導権をとっているよう。舞曲が宴席の興奮を伝え、まるでオペラのような展開に。オケとコーラスと鳴りものが渾然一体になって陶酔します。

第四部「冬」
モノクロームの冬の暗い風景のような序奏から入りますが、徐々に色彩が戻ってくるようにオケの表情がはっきりとしてきます。このあたりの微妙な表情の変化のコントロールは実に緻密。半ばでハンネと合唱による不思議なメロディーが出現。いつもこの曲の響きに惹き付けられます。「くるくる回れ」という糸車の歌。終曲の前のシモンのアリア「これを見るが良い、惑わされた人間よ」から、終曲三重唱と合唱「それから、大いなる朝が」は派手さはない展開なんですが、この大オラトリオの最後にふさわしい、神々しい雰囲気が漂います。最後に明るい響きが鳴り響くところは、フィガロの最後のすべてを許すメロディーが鳴る場面を彷彿とさせる癒しに満ちた聴き所。最後のコーラスによるフーガ締めくくります。

フィリップ・ヘレヴェッヘが満を持して録音した、ハイドン最後のオラトリオ「四季」。期待に違わぬ素晴しい出来です。私の好きなウィリアム・クリスティの「天地創造」と同様、古楽器ながら実に素朴にハイドンの名旋律をじっくりと奏でていき、歌の素晴らしさ、コーラスの素晴らしさに溢れた演奏。歌手、コーラス、オケそれぞれ万全。そして自然でじっくりと盛り上がりを楽しめる録音の良さもポイントです。久しぶりの大型プロダクションということで聴く方も力が入りました。手元のアルバムは輸入盤に丁寧な日本語訳をつけたマーキュリーのリリース。いつもながら丁寧な仕事に感服です。評価はもちろん[+++++]です。久々に四季の素晴らしさに打たれました!

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なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
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