Haydn Disk of the Month - January 2015

昨日30日は東京も雪が舞いました。午後には雨となり幸いそれほど積もらずにすみました。我が家の庭の白梅も今週はじめには花が開き始め、そろそろ春の到来。梅の季節ですが、憂鬱な花粉の季節でもあります。

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いろいろあって、なかなかレビュー数が伸びなかった今月ですが、素晴らしいアルバムには事欠きませんでした。今月レビューした中のベスト盤はこちら。



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2015/01/16 : ハイドン–室内楽曲 : ヴィルモシュ・ザバディ、ペーテル・バールショニのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集(ハイドン)

前記事でレビューしたズビグニェフ・ツークのホルン協奏曲と相当悩んだのですが、こちらを選びました。理由はやはりこの名曲のファースト・チョイスとなるような説得力から。ヴィルモシュ・ザバディ、ペーテル・バールショニの2人による孤高のデュエット。たった2本の弦楽器が奏でる音楽の気高さがグイグイ心に迫ってきます。2人ともシゲティのヴァイオリンのような引き締まった浸透力があり、音楽のエネルギーがダイレクトにつたわります。この素晴らしいアンサンブルを多くの人に聞いていただきたいですね。ハイドンは弦楽四重奏曲のみにあらず。



今月聴いたアルバムは皆素晴らしかったんですが、下にあげた3枚は格別。

2015/01/28 : ハイドン–協奏曲 : ズビグニェフ・ツークのホルン協奏曲(ハイドン)
2015/01/21 : ハイドン–室内楽曲 : ウィーンピアノ三重奏団のピアノ三重奏曲集旧盤(ハイドン)
2015/01/04 : ハイドン–協奏曲 : アラン・モリア/トゥールーズ室内管の管楽協奏曲集(ハイドン)

気づいてみると皆、湖国JHさんから貸していただいているものばかり。そう、借りているアルバムが溜まっていたので消化していたというところですが、いつもながら実に素晴らしいアルバムを送り込んでくださるので、こちらもレビューのし甲斐があろうというもの。ズビグニェフ・ツークの力強いホルンに、ウィーンピアノ三重奏団の至福のアンサンブル、そしてトゥールーズ室内管によるフランスの管楽器の名手たちの協奏曲の競演。いずれも一級の演奏ばかりで、我を忘れてレビューすることができました。

最近、室内楽がやけにしみるように。歳ですかねぇ(笑)



2015年1月のデータ(2015年1月31日)
登録曲数:1,336曲(前月比+3曲) 登録演奏数:8,229件(前々月比+78演奏)

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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ズビグニェフ・ツークのホルン協奏曲(ハイドン)

皆さま、前記事で書いたとおり、叔父が亡くなり、日曜、月曜と通夜と告別式に出席してきました。出棺の時や荼毘に付させる時のやるせない悲しみは言いようがありません。葬儀が終わると、なんとなくひと段落です。帰って手元の未聴盤のなかから取り上げた一枚は、なぜか心にグッと染みる演奏でした。

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ズビグニェフ・ツーク(Zbigniew Żuk)のホルン、ゲディミナス・ダリンケヴィチウス(Gediminas Delinkevičius)指揮のバルチック・ヴィルトゥオージ(Baltic Virtuosi)の演奏による、テレマンのホルン協奏曲、ハイドンのホルン協奏曲(Hob.VIId:3)、モーツァルトのホルン協奏曲2番、ロッシーニの前奏曲、主題と変奏(ヘルマン・ゲルナー編曲)の4曲を収めたアルバム。収録は1992年5月9日から11日にかけて、ポーランド中部のトルン(Toruń)でのセッション録音。レーベルは奏者のズビグニェフ・ツークの興したŻuk Records。

この実にマイナーなアルバム、お察しのとおり湖国JHさんから貸していただいているもの。年越しで随分預かったままなので、消化しなければなりませんが、ふと取り出して聴くと、実に素晴らしい音楽が流れ出してくるではありませんか。上手い演奏という感じではなく、染みる演奏。音楽が心に響く素晴らしいアルバムです。特にハイドンとモーツァルトは絶品。ほんとうにふとした巡り合わせですが、こちらの気持ちを察するように活き活きとした音楽が心を癒してくれます。

これだけ素晴らしい演奏を聴かせる奏者について、簡単にさらっておきましょう。

ホルンのズビグニェフ・ツークは1955年生まれで、父は作曲家のエドゥアルト・ツーク(Edward Żuk)。ポーランド中部の街ウッチ(Łódź)の音楽アカデミーを卒業し、ウッチのすぐ南のパビャニツェ (Pabianice)で1976年に開催された国際ホルンコンクールで2等を獲っています。1976年から1982年までウッチ・フィルハーモニー、ポーランド室内管、ワルシャワ室内歌劇場の主席ホルン奏者として活躍、1982年にはドイツ北部のブレーマーハーフェン(Bremerhaven)管弦楽団の主席ホルン奏者となりました。その後もバリー・タックウェルなどに師事し、以降ヨーロッパを中心に活動しています。

オケのバルチック・ヴィルトゥオージは、1991年、リトアニア中部にあるカウナス(Kauns)のカウナス室内管のリーダーだったゲディミナス・ダリンケヴィチウスがカウナスや、ポーランドのトルン(Toruń)、ラトビアのリガ、現ロシアのカリーニングラードであるプロイセンのケーニヒスベルク、リトアニアのビルニュスなどからメンバーを集めて結成されたオケ。ネットなどを調べてもオケの情報がないことから、このアルバムの録音前後に結成された一時的な団体と想像しています。

ヨーロッパの辺境たるポーランドやバルト三国あたりの腕利き奏者によるこのアルバム、以前からポーランド系の奏者のハイドンは良いという原則どおりの素晴らしい演奏です。

1曲目のテレマンからオケに生気が漲り、ホルンもころがるような見事な音階を聴かせます。特にライヴ感というかちょっとワイルドなホルンの音階の魅力をもっています。このズビグニェフ・ツーク、只者ではありませぬ。

Hob.VIId:3 / Concerto per il corno [D] (1762)
お目当てのハイドン。オケの音色はちょっとザラつき気味ですが、先に触れたように生気が漲り、活き活きとした伴奏が心地いいですね。ホルンは少し荒削りながら力強い音色。オケはアクセントが効いてピリリと引き締まっています。ハイドンの意図通りホルンの低い音の面白さをあえて音量を落として強調。からりと晴れ上がる青空のような痛快な伴奏に乗って、ホルンが気持ちよさそうにメロディーを置いていきます。ホルン好きにはたまらない恍惚感。カデンツァは流石と思わせる高音の伸びを聴かせ、ちょっとアルペンホルンのような深々とした響き、そして終盤低音のハーモニクスのような不思議な音色でこちらを驚かせます。
絶品なのがアダージョ。ダリンケヴィチウスのコントロールするオケは深い深い情感を湛えた実に豊かな音楽。過度な感情移入のベタつきはなく、むしろ清々しい情感。ホルンの音程が下がるたびにゾクゾクするような快感が走ります。なんと力強いホルン! 至福の音楽にうっとり。2楽章のカデンツァは静寂と戦慄が同居する素晴らしいホルンを堪能できます。神々しいとはこのこと。ハイドンの世界へトリップ。
フィナーレは落ち着いた入り。あえて正当な表現に戻し、ハイドンの純粋な音楽の面白さを際立たせます。すぐにホルンの音階のキレの良さにハッとさせられます。ホルンとオケのメロディーのやり取りのリズミカルな面白さやメロディーのキレに唸らされます。終楽章のカデンツァもキレの良さとホルンの響きの面白さに圧倒されます。参りました。

この後のモーツァルトも絶品の超名演。オケが踏み込んで素晴らしい気合い。これほど踏み込んだオケははじめて。ホルンも図太くしなやか。私見ですがデニス・ブレイン/カラヤン盤を凌ぐ名演と断じます。これは素晴らしい!

全く存在を知らなかったズビグニェフ・ツークとゲディミナス・ダリンケヴィチウス率いるバルチック・ヴィルトゥオージですが、あまりに見事な演奏にノックアウトです。久々に鳥肌がたつような名演奏に出会いました。深々としたホルンの音色を万全に捉えた録音も見事。完璧なアルバムといっていいでしょう。これがツーク自身が興したレーベルからリリースされているということが問題です。大手レーベルはこの絶品の演奏をリリースせずに何をしているのでしょうか。やはり奏者のネームバリューがないと商売にはならないということでしょうか。ネット世代の現代でこそ、この素晴らしい音楽の価値を広く知らしめるべきですね。アルバムが手に入るうちにどうぞ! 評価は[+++++]しかありえません。

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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

叔父、静かに逝く

一昨日1月23日、私の母親の弟、つまり私の叔父が息を引き取りました。76歳でした。

叔父は近くに住んでいて、うちには時折り遊びにきていたのですが、最近では叔父を含む母親兄弟3人と私たち夫婦が揃って関西、四国、中国を6泊7日で車で旅行したことを当ブログにも書いております。

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2014/05/26 : 旅行・温泉巡り : 【番外】関西・四国・中国大紀行(その1)

実はこの旅行の少し前から、叔父は喉になにかがつかえているような感触があるといって、かかりつけの医者やら胃カメラやらを受けていたのですが、特段の異常はみつからず、一安心ということで旅行に出かけていたのでした。旅先でも調子の悪い時はあまり食事が喉を通らないようでしたので、皆心配して、旅から帰ってからもう一度詳しい検査を受けるようにとすすめていました。

旅から帰ってほどなくして、幾つかの病院で検査を受け、やはり喉の奥になにかあるということがわかり、わかった病名が頸部食道がん。しかもけっこう進行していることがわかりました。あわてて私も食道がんのことを随分しらべてみましたが、あまり良い情報はなく、けっこう難しい状況だということがわかり、叔父の家族や母親の兄弟やわれわれが揃って毎週病院に見舞いに行きながら治療方針などを一緒に考えてきました。幸い主治医はその道の第一人者ということで、その時点での最善の選択は手術ということになり、声帯も含む頸部のがんを摘出し、小腸で置き換えるというかなり大きな手術を受けることになります。

手術を受けたのが昨年7月23日のことでした。早朝から手術室に入り、終わったのが深夜。見守っていた家族や私たちもヘトヘトでしたが、深夜1時過ぎに主治医から受けた説明は厳しいものでした。「見える部分のがんはすべて取り切った」とは言ってくださったものの、がんはかなりの大きさであり、おそらく見えない部分にも取りきれながんが残されていたのではないかと思わざるを得ない状況でした。手術をしなければ1、2ヶ月の余命だったと知らされ、身近な人に降りかかった運命の大きさに言葉がでない状況でした。

ただ、76歳と高齢だったにもかかわらず、大手術後の叔父の回復は早く、リハビリを重ねて、喉の違和感は残るものの体調はかなり回復してきました。声を失ったため、叔父はノートやホワイトボードを使って意思表示となりましたが、われわれが驚くほど多くの字を毎日書き記して自身の言いたいこともしっかり言える状態でした。手術から1ヶ月を経過して今後の再発を少しでも防ぐため放射線治療などを選択するかどうかの判断をする必要があり、本人はすこしでもリスクを減らそうと治療には積極的でしたが、手術後の検査でリンパ節から多数の転移が見つかり、治療を断念せざるを得ないということになってしまいました。事実上の治療不能宣告です。体調が回復傾向だっただけに叔父の落胆も大きく、周りの私たちも再び運命の重さになすすべもない状況でした。

手術から3ヶ月経過し、これまでの治療目的の大学病院から離れる事となります。ホスピスなどを探したところ、どこもかなり逼迫しているようでしたが、幸い叔父の自宅からそう遠くないところに緩和ケア専門の病院が見つかり転院となりました。やはり緩和ケアを専門としているだけあって、医師も看護師も患者本人の意思を非常に大切に思って対応してくれる素晴らしいところでした。病院では酒は厳禁ですが、緩和ケア病院ではむしろ本人が好きだったのならまったくかまいませんとのこと。もちろん手術後は一切お酒を飲んでいなかった叔父も、差し入れで持ち込んだ赤ワインや濁り酒がとても旨いと毎日おちょこ一杯楽しんでいました。そうした環境に恵まれてか、体調が衰える気配はあまりなく、当初年を越すのは難しいとの見立てでしたが、皆でシャンパンでクリスマスを祝い、元旦も皆がそろってお祝いしました。

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叔父本人も年末は年末までは、まだいけると思っていたと思いますが、病魔は確実に忍び寄り、徐々に体はは細くなり、体力が落ちていきました。のどのあたりの違和感も徐々に強くなったようで、痛み止めを目的とした投薬も徐々に増えていきました。家族やわれわれにもそろそろかとの緊張感が漂い始めていきました。それまで毎週末に見舞いに行っていたんですが、今週に入り、週末を待てないかもしれないとの予感があり、21日水曜日は会社を休んで叔父のもとへ。その時はまだホワイトボードを使って会話ができたのですが、翌日には意識がおぼろげとなり、1月23日、娘と孫に囲まれ、ついに帰らぬ人となってしまいました。ちょうど手術から6ヶ月目になります。



おそらく手術をしていなければ、ここまでの時間的猶予はなかったでしょう。手術によって、家族との貴重な時間が得られたのかもしれません。叔父とはいえ、元気であればたまに会って飲むくらい。がんという病気だったからこそ、皆が集まり、皆が叔父を囲んでいろいろ考え、貴重な時間をすごすことができたのだと思います。

私は小さい頃は叔父にはいろいろ教わりました。車好きだった叔父は、私の子供の頃の憧れの名車、スカイライン2000GT、通称ハコスカを手に入れ、最初のドライブに私を連れ出し、東京から浜名湖までドライブに連れて行ってくれました。湘南の海での叔父の仕事仲間とのダイビングとバーベーキューも思い出深いですね。叔父の仲間が潜ると、サザエやアワビ、そしてツキンボでクロダイまで仕留めてきてしまいます。当時は私はいくら潜っても収穫ゼロ(笑)。なんとなく大人に差をつけられて意気消沈していました。その場でバーベキューですが、ツキたての魚は焼くより煮るほうがうまいんだよとの掛け声で煮たクロダイの旨さは今でも鮮明に覚えています。なんとなく美味い魚にありつけて、逆に大人になった気分でした。

私の父は鉄道系でしたので、真面目一本やり。叔父に連れて行ってもらう遊びは、私の家庭とは全く違うもので、子供ながらに非常に刺激をうけました。そういえば最初にパチンコに連れて行ってもらったのも叔父でした。当時は手打ちで、チンジャラけたたましい音をたてて鉄球がころがること自体が面白く、何度か連れていってもらいました。今更ながら子供の頃にいろいろ遊んでもらった思い出がよみがえります。



昨年5月の旅行は記事にも書きましたが、母親3兄弟の後にも先にも最後の旅行となってしまいました。今となっては本当に貴重な旅行でした。そして、叔父の入院以降は、毎週毎週、叔父の病状に一喜一憂。病気や薬についていろいろ調べてくれと言われて叔父に伝え、叔父はいろいろ考えて判断していました。意外と言っては失礼ですが、叔父自身、かなり深く考え病気に立ち向かっていました。叔父なりに人生哲学があったのでしょう、叔父の病気と対峙する姿勢からいろいろ教えられた気もします。

こちらも叔父と一緒にこの半年いろいろ考えながら過ごしてきましたが、本日通夜を終え、明日は告別式。叔父が荼毘に付されます。いよいよお別れですね(涙)

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ちょっと間をあけてすみませんでした。しばらくでまたレビューに戻ります。音楽で心を癒すために。

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ジャンル : 日記

ウィーンピアノ三重奏団のピアノ三重奏曲集旧盤(ハイドン)

いつもながら、間があいちゃってますが、地道にマイナー盤道を歩んでおります。今日は先日最新盤が素晴らしかったウィーンピアノ三重奏団の旧盤を取り上げます。

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ウィーンピアノ三重奏団(Vienna Piano Trio)の演奏で、ハイドンのピアノ三重奏曲4曲(Hob.XV:25、XV:29、XV:18、XV:24)を収めたアルバム。収録は1997年4月11日から14日、イギリスのイングランドのウェールズとの境に近いモンマス(Monmous)近郊にあるNimbus Foundationのコンサートホールでのセッション録音。レーベルはNimbus Records。

冒頭に触れたとおり、ウィーンピアノ三重奏団のアルバムは先日、2008年に録音されたアルバムを取り上げています。

2014/11/24 : ハイドン–室内楽曲 : 絶品! ウィーンピアノ三重奏団のピアノ三重奏曲集(ハイドン)

その2008年録音のアルバムから遡ること11年前の、同じくハイドンのピアノトリオの録音が今日取り上げるアルバムです。奏者はチェロが入れ替わっていますが、ヴァイオリンとピアノは変わりありません。

ヴァイオリン:ヴォルフガンク・レディック(Wolfgang Redik)
チェロ:マルクス・トレフニー(Marcus Trefny)
ピアノ:シュテファン・メンデル(Stefan Mendl)

実はこのアルバムも湖国JHさんに貸していただいているもの。素晴らしい名演奏を残したウィーンピアノ三重奏団のオリジンを知るべくレビューに入ります。

Hob.XV:25 / Piano Trio (Nr.39/op.73-2) [G] (1795)
有名なジプシーロンド。聴き始めるまえに新盤も改めて聴き直してみましたが、新盤のほうが速いテンポでキレの良い演奏になります。それに対して今日取り上げる旧盤は、予想に反してテンポは少し遅めでじつにゆったりとした演奏。シュテファン・メンデルのピアノは磨かれて輝きに満ちていますが、旧盤の方がむしろしっとりとした落ち着きが感じられます。事前の予想では旧盤の方が溌剌としていて、さらに切れ込むようにタイトなのではと思っていましたが、完全に逆を突かれた格好です。まあ、新盤より溌剌とした演奏は難しいほどに、新盤の出来が良かったというのが正直なところ。聴きなれたメロディーをゆったりとした気風でまとめた旧盤の演奏は、新盤を上回るほどの完成度。ピアノをはじめとした奏者の達観を示すような入り。新盤ほどの踏み込みを控える代わりに実に落ち着いた音楽運びが印象的。
続くポコ・アダージョもしっとりとした音楽が流れます。非常にデリケートなピアノのタッチに合わせるようにヴァイオリンとヴィオラは寄り添います。録音のせいか各楽器の線は若干細めに感じますが、音楽の濃密さは新盤と変わらぬl濃さ。Nimbusらしい空気感を感じる録音。
そして有名なジプシーロンド。鮮烈さは新盤にはかないませんが、粒立ちの良さは流石。この楽章がこの曲のハイライトだというのが明確にわかるように強調します。これまでの演奏の集中から3段ギアチェンジして素晴らしい集中力。この楽章へビシッとフォーカスを合わせた設計でした。見事。

Hob.XV:29 / Piano Trio (Nr.45/op.75-3) [E flat] (1796)
この曲も新盤と共通。新盤も良かったんですが、この曲を聴いて、新盤にタイトさで劣るという視点ではなく、若々しい弾力というか奏者の反応の良さではこちらもなかなか良いことがわかってきます。比べてどうのこうのという視点ではなく、音楽のつくりと時代の違いを味わえと言われているような気分になります。途中から短調に転調するところの表情のつくりかたはやはり演出上手。やはりこのトリオはピアノがリード役。ピアノが描く音楽の深みをヴァイオリンとヴィオラで陰影をつけているような印象です。
独特の静寂感をもつ2楽章。静かにきらめく星のような美しい旋律を訥々と表現していきます。研ぎ澄まされた美しさだけではなく徐々にダイナミックな迫力も感じさせるように自然に推移していきます。静寂の美学から一転、鮮やかにフィナーレに移り、大胆さを印象付けます。このトリオの音楽のダイナミクスはこのころからのものとわかりました。

Hob.XV:18 / Piano Trio (Nr.32/op.70-1) [A] (before 1794)
後半2曲は新盤とは重ならない曲。新盤ほどの究極的洗練には至らぬまでも、ダイナミクスと穏やかなしっとり感を基本とした素晴らしい演奏。大胆にリズムを刻む1楽章に対し、再び静かにきらめく2楽章のアンダンテ。そして流麗な3楽章。ピアノが主導するダイナミクスが鮮明な表情を醸し出します。

Hob.XV:24 / Piano Trio (Nr.38/op.73-1) [D] (1795)
前曲の流麗さを引き継ぐような選曲。もはや名人芸に打たれる快感のようなものを感じながら軽やかな進行を楽しみます。メロディーに潜む気配のようなものまで実にうまく描いていくので、音楽がイキイキと弾みます。短調に沈むアンダンテを挟んで妙に幸福感を感じる3楽章。激しく展開する中間部を挟んで再び穏やかにまとめます。アルバムの最後にこの楽章をもってくる見識。ハイドンのピアノトリオを知り尽くしての判断でしょう。

ウィーンピアノ三重奏団によるハイドンのピアノ三重奏曲集。11年の歳月を経て、再び世に問うたアルバムも素晴らしかったのですが、こちらもそれに劣らず、早くも円熟の境地に到達していました。演奏の技術の問題を感じさせるようなところは一切なく、音楽も成熟している素晴らしい演奏。ハイドンのピアノトリオの至福の境地を楽しめる名演奏と言っていいでしょう。先に取り上げたヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集もそうですが、弦楽四重奏曲で有名なハイドンのより少ない声部の音楽は、声部が少ないだけより純粋な音楽が楽しめる名曲ぞろい。室内楽の魅力がよりピュアに味わえます。評価はもちろん[+++++]とします。

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tag : ピアノ三重奏曲

ヴィルモシュ・ザバディ、ペーテル・バールショニのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集(ハイドン)

またまた、マイナー盤です。ご容赦ください(笑)

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ヴィルモシュ・ザバディ(Vilmos Szabadi)のヴァイオリン、ペーテル・バールショニ(Péter Bársony)のヴィオラでハイドンのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ6曲(Hob.VI:1、VI:2、VI:3、VI:4、VI:5、VI:6)を収めたアルバム。収録は2004年12月20日から23日、ブダペストのフンガロトンスタジオでのセッション録音。レーベルはハンガリーのHUNGAROTON CLASSIC。

このアルバムも湖国JHさんに貸していただいているもの。ハイドンの曲の中でも知る人ぞ知る、ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲という激マイナーな曲のアルバムということで、当方の所有盤リストにないアルバムでもこうしたニッチなところを送り込まれては取り上げざるを得ません(笑)。

これまで、この6曲セットの二重奏曲は2度ほど他の奏者で取り上げています。

2012/08/12 : ハイドン–室内楽曲 : アントン・シュテック/クリスティアン・グーセズによるヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集
2012/06/05 : ハイドン–室内楽曲 : デーネシュ・コヴァーチュ/ゲーザ・ネーメトによるヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集

そのうちの1枚は今日取り上げるアルバム同様HUGAROTONからリリースされています。これだけマイナーな曲を複数リリースするというところにハイドンの地元でもあるハンガリーのレーベルの底力を感じるわけですね。

さて、曲については デーネシュ・コヴァーチュ盤をごらんください。

ヴァイオリンのヴィルモシュ・ザバディはハンガリーでは有名なヴァイオリニストのよう。1959年生まれでブダペストのフランツ・リスト音楽アカデミーで学び、最年少で教職についています。卒業後はシャーンドル・ヴェーグやルッジェーロ・リッチに学び、1982年に開催されたハンガリー放送ヴァイオリンコンクールで優勝して以降、様々な賞を獲得しています。1988年にショルティに招かれロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールで開催されたバルトーク音楽祭でのヴァイオリン協奏曲2番の成功以降、世界的にヴァイオリニストとして活躍するようになります。1992年にはショルティの80歳を祝う演奏会にチャールズ皇太子から招かれ演奏するなど、まさにハンガリーを代表するヴァイオリニスト。
ヴィオラのペーテル・バールショニはフランツ・リスト・アカデミーの教授であり、ソリスト、室内楽奏者などとしても活躍しています。ケラー弦楽四重奏団のメンバーである他、2000年からはコンサート・ブダペストのメンバーです。またブダペスト祝祭管弦楽団の主席ヴィオラ奏者あるほか、大阪センチュリー管弦楽団の主席ヴィオラ奏者としても招かれています。

ハンガリーの腕利き奏者2人によるハイドンのタイトなヴァイオリンとヴィオラのためのソナタがどう響くでしょうか。このアルバムのレビューにあたってこの曲の手元の5組のアルバムを改めてちょい聴きしてみました。その中でのこのアルバムの演奏の位置付けは、誠実かつ鼻筋の通った正統的演奏。リアルに響くヴァイオリンとヴィオラがきっちりくっきりメロディーを重ねていきます。アントン・シュテックらによる古楽器の演奏はしなやかな古楽器の残響にあふれた共鳴の変化を聴くような演奏。そして同じHUNGAROTONのデーネシュ・コヴァーチュらの演奏は楽器の響きがそぎ落とされ、響きの髄を聴くような禁欲的な演奏。そして未レビューのフェデリコ・グリエルモらによる演奏は響きを生かした楽観的な演奏。そしてフランスのギヨーム・シュートルらによるライヴは演奏はなかなかいいのですが録音が荒くヴァイオリンの響きの美しさを楽しみきれない節がある演奏です。ということで、曲を理解するためには今日取り上げるヴィルモシュ・ザバディ盤が一番良いということになります。

Hob.VI:1 Sonata for Violin and Viola No.1 [F] (c.1769)
張りのあるヴァイオリンの音色。しなやかに寄り添うヴィオラ。律儀にすら感じる安定したテンポで淡々と音楽を奏でていきます。覇気のある1楽章に続いてゆったりとした2楽章のアダージョ・エ・ソステヌート。表情はあまり変えずにテンションを変えてきます。清々しいほどの気高さを感じます。3楽章はメヌエットでわずかにコミカルな表情を見せます。律儀ながら高音の伸び伸びとした音色の魅力を振りまきます。

Hob.VI:3 Sonata for Violin and Viola No.2 [A] (c.1769)
ヴァイオリンとヴィオラ2本の緊密なアンサンブルの魅力が徐々に炸裂。ヴァイオリンの輝かしい音色と、ちょっとくすんだヴィオラの丁々発止のやり取りの面白さがたまりません。快活美麗な1楽章からぐっと沈む2楽章への切り替えの鮮やかさ。聴き進むうちに精妙な境地に。そして3楽章でパッと光が射すような明るさに変化。たった2本の楽器のアンサンブルからこれだけの表情の変化を生むのは流石。

Hob.VI:3 Sonata for Violin and Viola No.3 [B flat] (c.1769)
妙に郷愁を感じるリズミカルなメロディー。ヴァイオリンのキレは徐々に冴えてきて自在な境地に至ります。ヴィオラの引き立て役に徹するところにもグッときます。最初の曲で感じた教科書的な律儀さは影を潜め、十分リラックスして弓裁きも冴えます。いつもながらハイドンの創意には脱帽。楽章ごとに曲にまったく異なる個性を与え、次々と美しいメロディーが繰り出される面白さを純粋に楽しめます。デュエットという最小限の楽器間のハーモニーで描く創意。

Hob.VI:4 Sonata for Violin and Viola No.4 [D] (c.1769)
曲が進むにつれてめくるめくようにメロディーが繰り出される快感に酔いしれます。ヴィルモシュ・ザバディはこの曲の面白さを知っているが故か、必要以上の表現は加えず、音符を音にすることの愉悦感のみで音楽を作っていきます。こちらにはハイドンの音楽の面白さが強烈に印象づけられます。確かな技術に裏付けられた豊かな音楽がここにあります。またしても見事な2楽章の沈み。そして3楽章のメヌエットでの穏やかな躍動感に引き戻されます。変奏が進んで音楽がだんだん広がる面白さ。

Hob.VI:5 Sonata for Violin and Viola No.5 [E flat] (c.1769)
前曲の変奏を受けてか、その面白さを引き継ぐような曲調で始まり、ヴァイオリンとヴィオラが緊密に絡み合います。クァルテットほど複雑ではないので、絡まりが耳で追える面白さがあります。これは演奏する方も面白そう。この曲のアダージョではヴァイオリンの張りのある息の長いメロディーが印象的。そしてメヌエットでは変則的なテンポの面白さを披露。音楽を感じる脳のあらゆる部分に刺激が走るような構成。脳ピキピキ。

Hob.VI:6 Sonata for Violin and Viola No.6 [C] (c.1769)
一気に聴き通してもう最後の曲。こちらが感じる名残惜しさを察してか、そよ風のようにサラリとかわされます(笑) ヴァイオリンの音階の面白さに追随するのに精一杯。こちらの想像力が追いつけません。アダージョはことさら深く響きます。そして最後のメヌエットではヴィオラが雄弁になり、その刺激かヴァイオリンもハツラツとメロディーを刻んで終わります。

ヴィルモシュ・ザバディとペーテル・バールショニによるヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集。このコンビで聴くと、この曲の素晴らしさ際立ちます。奏者としての個人的な表現力というより曲の面白さに純粋に共感したような愉悦感。キリリとひきしまって律儀なところもあり、実に奥行きの深い演奏です。先に紹介したように他の演奏もそれなりに魅力的ですが、ハイドンのこの名曲のファーストチョイスはこのアルバムを薦めます。ヴァイオリンとヴィオラというたった2本の楽器が作る美しいメロディーとアンサンブルの妙。やはりハイドンは天才です。(あたりまえですが、、、) もちろん評価は[+++++]ですね。

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tag : ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ

【番外】伊豆下田紀行

しばらく旅行に出かけていなかったんですが、久しぶりに日帰り旅行に出かけましたので、番外記事にしておきましょう。ちなみにダムには行っておりません(笑)

お正月は年末年始の帰省ラッシュに巻き込まれると渋滞の海に身を投じるようなことになりますので、都内でのんびりしておりました。一昨日はお正月明け、成人の日を含む3連休の初日ということで、前日夜母親に、「どっか温泉でも行く気があれば行くんだけどどうする?」と尋ねるとまんざらでもない様子。ということで朝6時出発とだけ伝えておきました。翌朝、母親の体調次第では出かけなくてもいいかと思い、朝様子をうかがうと旅支度の真っ最中。「何時に起きたの?」と尋ねると、指を4本立てて、ほくそ笑んでいるではありませんか! 戦闘意欲十分です(笑) ということで出発することに決定。

いつものように高速道路の渋滞情報を見ると、雪の心配のない南の方は渋滞もなし。ということで、前日検討していた伊豆箱根方面に向かうべく東名高速に乗ります。

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まずは伊豆方面ということで、厚木から小田原厚木道路に入ったあたりで白く雪化粧した富士山が大きくなり始め、車内一同「お〜!」

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小田原厚木道路をしばらく進んで小田原サービスエリアで一休み。嫁さんが光輝く富士山をバックに私と母親の写真を撮りましたが、露出が完全に富士山に引っ張られて、手前の2人は完全にアンダー(笑) 手前に露出を合わせた写真も撮ったんですが、今度は完全に空が白く飛んでしまいます。まあ、iPhoneのカメラではこれが限界でしょう。ちょうどいいので暗い方の写真をセレクト(笑)

小田原厚木道路から熱海方面に入り、いつものようにいくつかのETC非対応の有料道路を経て、伊東まで進み、どこか温泉か観光スポットにでも行くという案もありましたが、ネットで下田爪木崎の水仙が7割ほどの開花状況だということを知り、この好天かつ、今しか見られない水仙を見ようと、寄り道はあきらめ、下田まで一気に行こうということになりました。快晴の空、真っ青な海、遠くに伊豆諸島を望む絶好のドライブ日和です。

河津をすぎて下田も近づき、海を見下ろす絶景道路が続きましたが、途中で「尾ヶ崎ウィング」という駐車スペースがあり、景色もいいのでちょっと休むことに。

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車を停めてみると、まさに絶景。崖の上から蒼々とした大海原が見えます。この写真ではわかりにくいですが、遠くに大島、利島が写ってます。さらに右には、鵜渡根島、新島、式根島、神津島が一望できます。

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こちらは、これから進む下田、爪木崎方面。赤い花はアロエの花。南伊豆に入るとあちこちにニョキニョキ咲いてました。

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(私)「あの平べったいのが新島、そのよこのさらに平べったいのが式根島、その横が神津島」
(母)「なんだか遠くてよく見えないわね〜」
(私)「も、もしかして、それ、老眼鏡じゃない?」
(母)「車の中で新聞読んでたからね〜(苦笑)」
(私)「ここまで来て新聞読むことないんじゃないの?」
(母)「だって王さんの履歴書、面白いんだもの、、、」

親子間でもかなり価値観が異なるということです(笑)

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この尾ヶ崎ウィング、前にも車を停めたことがありました。この景色だけでも南伊豆まで来た甲斐があるというものです。

さて、一休みして、出発するとすぐに白浜となり、もう下田となります。途中で決定した企画どおり、下田市街には入らず、下田湾手前の柿崎の交差点を左折して、一路爪木崎を目指します。このあたりは、ちょっと手前の外浦に父親の勤め先の保養所があったため、子供の頃何度も来ており土地勘もあります。柿崎からぐんぐん道を登っていくと、道路わきに水仙まつりのノボリが林立! 徐々に期待が高まってきました。

爪木崎に到着すると、案内の人に駐車場に誘導され、幸いまだ時間が早かったので岬の水仙自生地のすぐわきの駐車場に車が停められました。それでもすでにかなりの数の車が停まっています。車のドアを開けると、潮の香りに混じって、すでに水仙の香りが満ちていました。駐車場のまわりには水仙の切り花や干物などのお土産屋さんの出店などで、水仙まつりの雰囲気満点!

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下田市観光協会 水仙まつり

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もう、岬の水仙自生地は満開に近く、ところ狭しと水仙が咲き乱れています。岬の斜面の方はほぼ満開。平らな部分は遅咲きのようでまだ蕾ですが、水仙は散り始めると花が痛んできますので、おそらく今が最も見頃なんでしょう。

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駐車場から岬にむかって歩いていくと、水仙の花の香りが潮風にのってなんとも言えない良い香り。水仙を見に来られた皆さんもうっとり。水仙を眺めていると、見知らぬ老紳士が声をかけてきます。なんでもここは日本の水仙の3大自生地の一つということで、他よりもここが一番広くて綺麗だと教えてくれました。ちなみに水仙の3大自生地とは調べてみると爪木崎の他に、淡路島の灘黒岩水仙郷、福井の越前海岸だそうです。また、昔大島三原山が噴火した時は遠くに見える大島に溶岩の赤い光がここから見えたと懐かしげに教えてくれました。三原山が噴火したのは私の学生時代の1986年のこと。私も三浦半島から三原山の溶岩が赤く光るのを見た覚えがあり、妙に懐かしい気分になりました。

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自生地を過ぎたところが海岸になっています。今日は好天なのに加え風もなく海も穏やか。伊豆半島も下田まで来ると海の水はとても綺麗。

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そして空は抜けるような蒼。このあたりから階段を登ると爪木崎灯台があります。母親に「登れるか?」と聞くと、問題なさそうな笑顔。ということで石段をゆっくり登って、灯台まで行ってみることに。

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階段を登りきってからすぐのところに灯台がありました。ここには過去何度か来ていますが、過去の記憶も曖昧。青空に白い灯台が映えますね。灯台のまわりから太平洋と先ほど通ってきた伊豆東海岸の荒々しい岩肌が見通せます。

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日向は風がないので穏やか。これで風が強かったらかなり寒いのでしょうが、この日は本当にいい天気でした。爪木崎の先にある岩の先に伊豆大島がうっすらと見えます。

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のんびりと景色を楽しんで、登ってきた階段を降ります。降りる方が大変ですが、母親も足取りはまだ大丈夫そうです。

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1時間ほどかけて、水仙や景色を楽しみました。最後にお土産を売っている露天で、苗やら野菜やらをお土産にいただきました。

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駐車場の脇にはアロエも見ろといわんばかりに赤い花が咲いています。白と黄色の水仙にアクセントのように赤いアロエの花が咲き、なんとなく華やかな気分ですね。水仙を目的に東京から3時間以上かけて来た甲斐がありました。本日の第1ミッション終了です。

朝が早かったのと岬を歩き回ったので、お腹もいい具合に減ってきましたので、ランチスポットをいつものように食べログで探します。下田まで来たので海鮮料理の美味しそうな店ということで探したのがこちら。

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食べログ:元祖磯料理 辻

爪木崎から下田港を挟んで反対側の下田海中水族館側の海岸線沿いのお店。食べログでもかなり高い評価なので、期待もふくらみます。

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お店の前は下田港。相変わらず波は穏やか。陽の光が眩しいですね。時刻は11:30くらい。お店に入ると先客が一組だけでしたが、我々がお店に入ってすぐ、何組かのお客さんが来てすぐに満席。食べログをよく見ると休日は混み合うため予約をすすめる書き込みがありました。実にいいタイミングでお店に入ったことになります。

メニューをみて注文したのは、お刺身御膳にカサゴの唐揚げ御膳。奥でこだわり親父風の板さんが腕をふるっているのがチラチラ見えます。

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ほどなく注文の品が運ばれてきます。こちらがお刺身御膳のお刺身盛り合わせ。サザエ、エビ、マグロ、金目鯛、イカなど新鮮なお魚が並びます。

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こちらがカサゴの唐揚げ。しっかり揚げてあるのであるので、頭からガブリといけます。私はもちろんカサゴ。身よりカラッと揚がった頭やヒレの香ばしさがいいですね。

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カサゴの唐揚げにも刺身がちょっとつきます。これに塩辛や漬物、もずくなどがつきます。流石に海沿いの名店。カサゴもお刺身も新鮮で実に美味かったです。



おなかも満ちたところで、何度も来ている下田で、まだ未体験のスポットへ。

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下田ロープウェイ

伊豆急下田駅のすぐ脇から、寝姿山に登る、寝姿山ロープウェイ。以前はロープウェイなどあまり乗らなかったんですが、最近母親同伴の旅では、手軽に高地の自然が楽しめることから乗るようにしてます。これまで箱根、伊豆の国、赤倉、越後湯沢など各地のロープウェイに乗って楽しんでいます。

ここ、下田のロープウェイは、伊豆急グループの下田ロープウェイという会社が運営してい全長540m、高低差156mのロープウェイ。下田駅の横を通り過ぎるとすぐにロープェイ乗り場が目につきましたので、係りの人の案内で乗り場前に車を停め、車を降りると発車時刻ももうすぐとのこと。券を買って乗り込むと、すぐに発車。3分ほどで頂上駅につきます。

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これまで乗ったロープウェイと比べるとかなり小規模ですが、登った甲斐がありました。下田駅のすぐわきにある寝姿山ですが、眺望は抜群。まずは登ってきた下田駅側を見下ろすとこんな感じ。眼下に下田市内を流れる稲生沢川(いのうざわがわ)と下田市街が見下ろせます。

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ロープウェイの駅を降りて反対側に出ると、まさに下田湾を一望。この日途中の尾ヶ崎ウィングや爪木崎で眺めてきた伊豆諸島が、下田湾越しに望めます。いやいや天気がいいので景色もいいです。ロープウェイの頂上駅のまわりは寝姿山自然公園となっていて、散策ができるようになっています。またまたの階段の出現に、母親に「登ってみるか?」と問うと、「このぐらい登れるわよ」と涼しい顔。まだまだ戦闘意欲有りでした。ということですこし散策してみることに。

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絶景もいいのですが、この公園内、花も綺麗でした。そこここに水仙が植えられ、規模は爪木崎にはかないませんが、花は可憐で見応えがあります。香りもいいですね。

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そして、水仙に増して良い香りを放っていたのが蝋梅。こちらもまさに見頃。独特のいい香りが辺りに漂います。抜けるような青空に蝋梅が映えます。

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登った途中にある展望デッキには碇型のオブジェが。それぞれの矢印に記されているのは、富士山、台北、東京スカイツリーにニューヨーク。矢印の記載の壮大なこと(笑)、スカイツリーはともかく天気のいい日でもニューヨークは見えません(笑) 眺望を楽しむには絶好の天気でしたのでのんびりさせてもらいました。

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自然公園の一番上には縁結びの愛染明王堂なるお堂がありますが、今更縁結びでもありませんので、あたりをうろうろして帰ろうとすると、母親が拝んでいくということで、お賽銭を投げて拝んで帰りました(笑) ここ寝姿山自然公園は絶景もともかく花や植物もよく手入れされて冬でもなかなかの見応え。流石にロープウェイは登り甲斐がありました。下田に行った際には是非この景色を楽しんでみてください。

ロープウェイを降りたところで時間は14時頃。そろそろ帰りのことを考える時間ですが、まだ重要なミッションを果たしておりません。そう、温泉です。伊豆の下田まで来て温泉に一つも入らないというのは伊豆に失礼。このあたりで未踏の温泉ということで、下田の伊豆急の一つ手前の蓮台寺温泉に未踏のお風呂があったのを思い出して、行ってみることに。

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伊豆下田河内温泉 千人風呂 金谷旅館

そう、千人風呂で有名な蓮台寺温泉金谷旅館です。蓮台寺温泉は以前にも来て近くの旅館のお風呂に入ったことがありますが、この金谷旅館ははじめて。宿のホームページを確認したところ、千人風呂は改修され総檜造りとなっているとのことで、わざわざきた甲斐があります。

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歴史を感じる造りの引き戸を開けて、いざ千人風呂へ。

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すると玄関の右の水槽になにやら巨大な魚が泳いでいるではありませんか。よくみると巨大な金魚。普通の金魚の形ですが、大きさは尾ひれの先まで30センチはあろうかという巨大さ。水槽せましと悠然と泳ぎ回っています。ときおり目が合い不思議な気持ちになります。色は白。元から白いのかわかりませんが、なにか神々しいオーラを放ってます。

お風呂は千人風呂というだけあってかなり広い浴槽。たしかに湯船も浴室も総檜づくり。湯が滔々と注がれていますが、その湯口から離れるに従って温度が下がっていきます。湯口のそばでも42、3度と熱くはありませんので、皆さんゆったりとお湯を楽しんでいました。また、傍に37、8度のぬるい浴槽もあり、そこでは本を読みふける人もあり、これはなかなかいい。露天もありますので、結構楽しめます。ゆったりお湯を楽しんでドライブ疲れも抜けました。

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お湯からあがって駐車場で嫁さんを待っていると、横に大根が干してありました。たくあん作りでしょうか。

ほどなく嫁さんも上がってきて、あとは帰るのみです。カーナビに自宅をセットすると、帰りは伊豆東海岸ではなく、河津七滝から修善寺を抜けるコースが近そうです。海岸沿いの景色は行きに楽しみましたので、蓮台寺から天城峠を目指して出発です。

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途中天城峠を越えた浄蓮の滝の休憩所に立ち寄り、以前ここを訪れた時にいただいた、わさびジェラートをいただきます。

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中辛を頼んだところ、脇に一番辛いやつをちょっとつけてくれるのも以前と同じ。下田からここまでのドライブ疲れが辛いジェラートで吹き飛びました(笑) これなかなかいいです。

そして、再び出発。修善寺から伊豆縦貫道に乗ります。三島あたりでちょうど夕暮れ時。

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車窓から見る富士山も夕日に輝いて、こちらも神々しい雄大さ。このあたりから見る富士山はでかいですね。

さて、小田原で買い物の予定がありましたので、途中で降り、国道1号、箱根新道経由で、小田原まで戻ります。立ち寄ったのは伊豆や箱根の帰りのお土産の定番、風祭駅横の鈴廣かまぼこの里。ここで干物、さつま揚げ、塩辛、好物のイナゴ(笑)やらを買い求めて、最後のドライブに。朝来た小田原厚木道路経由で東名高速に乗り、渋滞もほとんどなく無事帰着できました。

本年最初の温泉旅行も無事終了。やはり天気がいいと景色もいいですね。爪木崎の水仙も今月いっぱい楽しめるようですので、お近くの方は是非。潮風にのった水仙の香りはなかなか得難いものです。

さて、レビューに戻らなくては、、、(笑)

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ノルベルト・デュヒテルのオルガン協奏曲集(ハイドン)

協奏曲のアルバムが続きます。

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ノルベルト・デュヒテル(Norbert Düchtel)のオルガン、ミュンヘン・ラルパ・フェスターテ・バロックオーケストラ(L'arpa Festante Barockorchester München)の演奏で、ハイドンのオルガン協奏曲5曲(Hob.XVIII:5、XVIII:2、XVIII:10、XVIII:7、XVIII:8)を収めたアルバム。収録は2002年5月21日から23日、ドイツ中部、ニュルンベルクの近郊にあるマリア・リムバッハ(Maria Limbach)にあるワルファールツ教会(Wallfahrtskirche)でのセッション録音。レーベルは独ARS MUSICI。

このアルバム、実は同じ演奏者のオルガン協奏曲のVol.2を湖国JHさんから貸していただいているのですが、正体不明のオルガン協奏曲が含まれており、ちょっとその曲を調べ切れていないことから、たまたま手元の未聴盤ボックスにあった、Vol.1の方を取り上げた次第。Vol.2の方にはHob.deestというヘ長調(元の記述はイ長調としましたが誤りでしたので修正いたしました)の曲が含まれ、このアルバム以外にはこの曲の情報はなく、いろいろ調べているのですがいまひとつよくわかりません。どなたか情報をお持ちでしたら是非教えてください。

さて、気をとりなおして演奏者の情報を調べておきましょう。

ノルベルト・デュヒテルは1949年生まれのオルガン奏者。ドイルのヴュルツブルクの州立音楽院で教会音楽、作曲とオルガンを学び、その後ミュンヘン音楽大学に進みます。ドイツ国内の様々な高名なオルガニストに師事しオルガンの腕を磨き1979年からはミュンヘンのカトリック教会でオルガン演奏と即興演奏の講師を務めたほか、レーゲンスブルク、デトモルトなどでも教えています。南ドイツでは有名な存在ということです。
オケのミュンヘン・ラルパ・フェスターテ・バロックオーケストラは1983年に設立された古楽器オーケストラ。聴くのは初めてですが国際的に活躍しているとのこと。

一聴して堅実かつ、端正な印象。オルガンもオケも実に味わい深い音楽を奏でます。

Hob.XVIII:5 / Concerto per il clavicembalo(l'fortepiano) [C] (before 1763)
教会らしく豊かな残響を伴いますが録音は鮮明で非常に聴きやすい響き。オケの序奏はゆっくり目ですが、キリリと引き締まった端正なもの。オケを存分に鳴らしていますが、テンポは揺らさず一貫して律儀な演奏。デュヒテルのオルガンも教科書的端正さを持った演奏。オルガンの音色はハイドンの協奏曲にふさわしいコミカルな陶酔感にあふれたもの。このアルバムに含まれるオルガン協奏曲はどれもメロディーラインの面白い小曲ゆえ、この端正な演奏によってそれぞれのメロディーの面白さが自然に浮かび上がるという寸法です。まさに必要十分な演奏と言えるでしょう。こう書くと手堅い演奏に思われるかもしれませんが、さにあらず。オルガンとオケの色彩感は素晴らしく、音楽を演奏する喜びが噴き出してくるよう。レビューのために何度か聴くうちにすっかりこの演奏の魅力にハマりました。千変万化する美しいオルガンの音色が律儀なオケに乗って楽しめます。ゆったりしたという感じではなく、落ち着いた心境による穏やかなキビキビ感という印象。1楽章の快活さ、2楽章のアンダンテの穏やかなリズムの魅力で聴かせ、そしてフィナーレも落ち着いて引き締めてきます。まさにこの曲の見本のような演奏。

Hob.XVIII:2 / Concerto per il clavicembalo(l'organo) [D] (before 1767)
オルガンのトランス状態のような陶酔感が聴きどころの曲。前曲同様落ち着き払った安定した演奏。なぜか前曲よりオケの響きが少し薄くなり、オルガンが強くなります。そのせいか1楽章の延々と続くオルガンの高音の音階を聴いているうちに、予想通り陶酔感につつまれてきます。淡々と弾かれることでかえって陶酔感が強まるよう。12分近くと長い2楽章のアダージョ・モルトは夢の国のよう。ここではゆったりと音楽が流れ、オルガンが自在にメロディーを揺らしながら音を乗せていきます。しばらく続くオルガンのメロディーがぐっと音程を下げるあたりの面白さはこの曲ならでは。堅実な演奏ゆえ中だるみすることなくこの曲の面白さをしっかり伝えます。フィナーレはしっかりと落ち着いた足取り。オルガンもオケも水も漏らさぬ堅実さでで進みます。オルガンの陶酔感は変わらず、オケがくっきりとメリハリをつけてサポートします。展開部で転調を重ねて上昇するあたりはこの曲のもう一つの聴かせどころ。淡々と進めることで、やはり曲の面白さが強調されます。いやいやこれは素晴らしい。

残りの3曲も安定した演奏ゆえ、曲の聴きどころなどを簡単に触れるだけにしておきましょう。

Hob.XVIII:10 / Concerto per il clavicembalo(l'organo) [C] (before 1771,1760?)
オルガンの音色を変え、壮麗な響きで始まります。基本的に前2曲と変わらぬ落ち着いた演奏ですが、前曲に比べ、少々オルガンのタッチが重い感じ。音色を変えることによってタッチが変わるということなのでしょうか。聴き進めるうちにデュヒテルのオルガンの魅力に引き込まれます。聴きどころは2楽章のアダージョのメロディーラインの面白さ。あいかわらず淡々とした語り口で曲の魅力に迫ります。

Hob.XVIII:7 / Concerto per il clavicembalo(l'organo) [F] (before 1766,1760?)
快活な1楽章とフィナーレに挟まれた、陰りのある短いアダージョの表情の深さが聴きどころ。両端楽章の穏やかな明るさを引き立てるようにしっかりと陰りを表現。楽章間の表情の変化で聴かせる曲。

Hob.XVIII:8 / Concerto per il clavicembalo(l'organo) [C] (before 1766)
最後の曲。伴奏にオルガンが最初から寄り添い、不思議が音を重ねていきます。オルガンが再び堂々と響きわたります。オルガンの音色の変化もこのアルバムの聴きどころの一つ。ライナーノーツには曲ごとのオルガンの設定などにも触れられていますが、こちらが詳しくないのでよくわかりません(苦笑) ただしオルガンの音色の変化は鮮明な録音も相まって十分楽しめます。この曲も2楽章の曲想の面白さがポイントでしょうか。少々コミカルな表情を見せ、最後にウィットを効かせるよう。

ドイツのオルガニスト、ノルベルト・デュヒテルによるハイドンのオルガン協奏曲5曲を収めたアルバム。奏者の落ち着いた心情から立ち上る穏やかな音楽に癒されるような演奏。テンポは少し遅めで、畳み掛けるようなところはなく、スリリングでもないのに音楽にはメリハリがあり、そして抑えた表情がかえってメロディーの面白さを引き立てるよう。実に味わい深い演奏です。ハイドンのオルガン協奏曲には独特の音色感というか高揚感がありますが、抑えた表現でもその高揚感は十分つたわるいぶし銀の演奏です。評価は3曲目は重さを少し割り引いて[++++]、残りは[+++++]とします。

手に入るうちにどうぞ!

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tag : オルガン協奏曲

アラン・モリア/トゥールーズ室内管の管楽協奏曲集(ハイドン)

皆様、明けましておめでとうございます。

いつも通りの正月、御節にお酒にとのんびり過ごしております。東京は幸いいい天気に恵まれておりますが、日本海側などは豪雪に見舞われているとのこと。雪かきに忙しい正月の方もあるかもしれませんね。

さてさて、正月にのんびりとばかりはしていられませんので、そろそろレビューに入りたいと思います。今年最初の取り上げるのはこちら。

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アラン・モリア(Alain Moglia)指揮のトゥールーズ室内管弦楽団(Orchestre de Chambre National de Toulouse)の演奏でハイドンのトランペット協奏曲、ホルン協奏曲1番(Hob.VIId:3)、伝ハイドン作のホルン協奏曲(Hob.VIId:4)、ミヒャエル・ハイドン作のホルンとトロンボーンのための協奏曲の4曲を収めたアルバム。トランペットソロはティエリー・カンス(Thierry Caens)、ホルンソロはアンドレ・カザレ(André Cazalet)、トロンボーンソロはミシェル・ベッケ(Michel Becquet)。収録は1994年9月19日から21日、フランス南部のトゥールーズのカルメル会礼拝堂(Chapelle des Carmélites)でのセッション録音。レーベルは仏disques PIERRE VERANY。

正月早々どマイナーなアルバムですが、これがまた素晴らしい演奏。これだからやめられません。もちろん、このアルバムはホルンものをこよなく愛する湖国JHさんから貸していただいているもの。昨年から貸していただいておりまして年を越してしまいました。まことに申し訳ありません。

さて、奏者についてさらっておきましょう。このアルバム、解説はハイドンと曲についてのごく簡単なもののみで、奏者の情報などは名前のみでしたので、ネットでちょっと調べてみました。
指揮のアラン・モリアは1943年生まれで、パリ国立高等音楽院を卒業し、すぐにコロンヌ管弦楽団のコンサートマスターに就任します。その後もパリオペラ座管弦楽団、フランス室内管弦楽団などの奏者として活躍しますが、中でも気になるのが、ブーレーズ率いるアンサンブル・アンテルコンテンポランのメンバーだったこと。アンサンブル・アンテルコンテンポランは2013年のラ・フォル・ジュルネに来日した際にそのコンサートを生で聴きましたがカミソリのような切れ味の精緻な演奏に鳥肌がたったものです。

2013/05/05 : コンサートレポート : 【番外】ラ・フォル・ジュルネで衝撃のブーレーズライヴ

現代音楽の中でも特に演奏の難しいブーレーズの作品を完璧に演奏するアンサンブル・アンテルコンテンポランのメンバーであったということでもモグリアの手腕は素晴らしいものだったと想像できます。1977年から1991年まではバレンボイムに招かれパリ国立管弦楽団のコンサートマスターを務め、その後1992年から2002年まで、今日取り上げるアルバムのオケであるトゥールーズ室内管の音楽監督を務めました。教育者としてはパリ国立高等音楽院の弦楽器科主任教授を務め多くの弦楽器奏者を育てたそうです。こうした経歴のモグリアのコントロールするオケということで、弦の扱いの上手さが期待できるわけです。

トランペットのティエリー・カンスは1958年、フランスのディジョン生まれのトランペット奏者。彼のサイトがありましたので紹介しておきましょう。

Accueil | Thierry Caens

なんと、そこに日本語の経歴がありますのでリンクしておきましょう。

ティエリー・カンス トランペット奏者

モーリス・アンドレに師事したフランスのトランペット奏者ということですが、経歴で気になったのは映画「シラノ・ド・ベルジュラック」の音楽を担当したとのこと。昔BSの深夜枠でやっていてあまりに面白かったので通しで見ちゃった記憶があります。なんとなくご縁がある奏者ということでしょう。また、このアルバムでソロを担当しているホルンのアンドレ・カザレとトロンボーンのミッシェル・ベッケと3人でトリオを組んで演奏活動をしていたということで、このアルバム自体、気心の知れたメンバーでの演奏ということでしょう。
ホルンのアンドレ・カザレは1955年生まれのフランスのホルン奏者。カザレもアンサンブル・アンテルコンテンポランのメンバーだったということで、テクニックは折り紙つきでしょう。その後パリ管の首席ホルン奏者となっています。1985年からはパリ音楽院でホルンの教授とのこと。
ということで、このアルバムのソロはフランスの管楽器の一線級の奏者ということがわかりました。

Hob.VIIe:1 / Concerto per il clarino [E flat] (1796)
とろけるようなオケ。非常に滑らかなティエリー・カンスのトランペット。録音も自然で言うことなしです。オーソドックスなタイプの演奏ですが、オケもトランペットもフランス人奏者だからか、どこか華のある演奏です。無骨さはなく響きが隅々までコントロールされた演奏。特に高音の抜けるような華やかさはフランスのオケの管楽器に共通したものでしょう。オケの方もアラン・モリアによる流石のコントロール。自然ながらかなりアクセントをつけてメリハリのある伴奏。1楽章のカデンツァではまさにカンスの華麗なトランペットが炸裂。アドルフ・ハーセスほどの突き抜けた高音や、モーリス・アンドレほどの輝かしさほどではありませんが、非常に流麗、磨き抜かれたコントロールで華やかさを醸し出しています。
2楽章のアンダンテは伸び伸びとしたカンスのトランペットに聴き惚れます。ゆったりとした伴奏に乗って孤高のトランペットという感じ。そしてフィナーレはオケの伴奏が躍動感と精緻さが同居した素晴らしいもの。流石に隅々までコントロールが行き届いています。ブーレーズに比べれば音数は一桁以上違いそうですからコントロールは容易なのでしょう、盤石の安定感。なにげにクレッシェンドの冴えなども聴かせてオケのキレの良さを印象づけます。これはなかなかの名演。

Hob.VIId:3 / Concerto per il corno [D] (1762)
序奏から爽快感炸裂。モーツァルト以上に音階が転がり、実に軽快。ホルンのアンドレ・カザレも軽々とメロディーを吹いていきます。ホルンという楽器がまるで簡単にメロディーを描けると誤解しかねないほどの軽快さ。ドイツ系のホルン奏者とは音楽の造りが異なります。こちらも非常に華やか。先ほどのトランペット協奏曲では軽快ながら程よくダイナミックだったんですが、この曲ではあえてダイナミクスを抑えて、速めのテンポで軽快感を強調しているよう。オケとホルンの軽やかさの相乗効果で程よい陶酔感。時折鳴らされる低音も軽々とした印象が悪くありません。
聴きどころの2楽章は、軽やかさを残しながらも、オケがぐっと抑えてホルンを引き立てます。ホルンは磨き抜かれた金属のはなつ光沢感を帯びた、極めて滑らかな音色。まったく不安定なところは見せず、伸び伸びと美しいメロディーを奏でていきます。オケはあえて表情を抑えているので、ホルンの艶やかな音色が引き立ちます。まさに至福の境地。アンドレ・カザレ、絶品です。カデンツァのホルンの伸びやかなことといったら例えようもありません。
フィナーレでようやくカザレのテクニックの冴えを確認。これまでも安定した演奏だったんですが、フィナーレの速いパッセージを事もなげに吹き抜いていくホルンにあらためて驚きます。やはりフランスの金管陣の優秀さは並ではありませんね。隅々までコントロールが行き渡ったホルンは見事。モグリアの伴奏も完全一体でサポート。

Hob.VIId:4 / Concerto per il corno [D] (1781) by Michael Haydn?
ミヒャエル・ハイドンの作とも言われるホルン協奏曲2番。曲想は前曲と比較すると単純になりますが、ホルンソロがあまりに見事なので、グイグイ引き寄せられてしまいます。リズミカルな伴奏に乗ったこのホルンは見事。オケの方もなにげに生気に富んだ見事な演奏ですが、それに合わせてホルンはものすごい立体感。ホルンという楽器がこれほどメリハリをつけられる楽器だったと再認識。カデンツァはあまりに見事な吹きぶりが圧巻。これは聴いていただかなければわかりませんね。
聴き進むと前曲のハイドンのホルン協奏曲よりホルンがキレているのがわかります。ちょっとホルンの神様が降りてきています。自在にホルンを操り、シンプルなメロディーを類い稀な音楽に昇華させています。
フィナーレではホルンの名演に応えて、オケも異様な立体感。先日聴いたアレグリーニのホルン三重奏曲のホルンも良かったんですが、このカザレの演奏もそれに劣らず素晴らしいもの。ちょっと鳥肌ものの超絶技巧。まったくほころびを見せず、活き活きとメロディーを置いていきます。最後のカデンツァも圧巻。いやいやスバラシイ!

このあとのミヒャエル・ハイドン作のホルンとトロンボーンのための協奏曲ですが、ヤスパー・デ・ワール盤でも触れたとおり、なかなか面白い曲。ホルンとトロンボーンのえも言われぬ掛け合いが実に興味深い曲。

2014/05/02 : ハイドン–協奏曲 : ヤスパー・デ・ワール/コンセルトヘボウ室内管のホルン協奏曲(ハイドン)

ここではトロンボーン奏者のミシェル・ベッケの見事なトロンボーンが味わえます。2楽章構成ですが、2楽章は躍動感あふれる旋律の中でホルンとトロンボーンの音色の微妙な違いに耳が釘付けになります。こちらもおすすめ。

このアルバム、調べたところなかなか入手は容易ではなさそう。私もこの素晴らしさを聴いて、ぜひ手元に置いておきたいものですが、中古を丹念に探すほかなさそうです。オケでもフランスの金管は優秀と言われていますが、このアルバムを聴くとまさにそのとおり。このような名演盤は是非入手可能な状態にしておいてほしいものです。音楽好きな方には絶対のオススメ盤です。もちろん評価は全曲[+++++]といたします。

なかなかレビュー頻度を上げられておりませんが、今年もお付き合いのほどをよろしくお願いいたします。いつもながらですが、ツッコミ、叱咤、激励などいつでも受付中でございます。本年のよろしくお願いいたします。

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プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
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