アレア・アンサンブルの弦楽四重奏曲Op.77、42

今日は古楽器による弦楽四重奏。またまた湖国JHさんにお借りしているアルバムです。

AleaEnsemble.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

アレア・アンサンブル(Alea Ensemble)の演奏による、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.77のNo.1、No.2、Op.42の3曲を収めたアルバム。収録はハイドンのアニヴァーサリーイヤーである2009年5月26日から28日にかけて、イタリアミラノの東にあるクレマ(Crema)という街のピエトロ・パスクイーニ・スタジオでのセッション録音。レーベルは懐かしい伊stradivarius。

stradivariusは昔クララ・ハスキルのライヴをいろいろ買い集めました。ライヴ中心のレーベルで今はもうないのかと思っていたら、どっこい生き残ってました。あんまり懐かしくてハスキルのモーツァルトのアルバムを取り出して聴いてみたところ、夢見るような素晴しさ。こちらは別の機会に取りあげることにして、本題に戻りましょう。

アレア・アンサンブルは2002年に結成された弦楽四重奏団。古典派、ロマン派の室内楽曲を古楽器で演奏すること、同時期のあまり知られていない曲を再発見することをなどを趣旨としているよう。メンバーはイタリアで有名な古楽器オケである、エウロパ・ガランテ、アカデミア・ビザンチナのメンバーということです。

AleaEnsemble

第1ヴァイオリン:フィオレンツァ・デ・ドナティス(Fiorenza de Donatis)
第2ヴァイオリン:アンドレア・ロニョーニ(Andrea Rognoni)
ヴィオラ:ステファノ・マルコッキ(Stefano Marcocchi)
チェロ:マルコ・フレッツァート(Marco Frezzato)

イタリアの古楽器奏者によるハイドン、それも晩年の傑作の仕上がりは如何なものでしょう。

Hob.III:81 / String Quartet Op.77 No.1 [G] (1799)
適度に鮮烈、適度に弾み、適度にオーソドックスな入り。イタリアのクァルテットということでもう少し癖があるかと思っていましたが、ほんのりと明るさの乗ったオーソドックスな古楽器の演奏。デュナーミクの変化もきっちりつけて、かなり正統派の演奏。録音は適度な残響をともなうかなり鮮明なもの。演奏と録音から感じる印象はアウリン四重奏団に近いものがありますが、アウリンが精妙な響きの精度を聴かせどころとしているのに対し、こちらのアレア・アンサンブルはイタリアのクァルテットらしいほのかな明るさと、しなやかさがポイントのよう。アンサンブルの精度は高く、技術的なレベルは非常に高いものをもっているようです。
アダージョではその精度の高さが素晴しい高みに達しています。録音のせいかチェロの存在感が際立ちます。ヴァイオリンは音量はさほどではありませんが、クッキリと鮮明にメロディーを刻み、隈取りをクッキリとつけていきます。良く聴くと大きな流れのなかの起伏をしっかりつけていくので、大河のような大きな流れがうまく表現できていますね。
かなり正統派の演奏だとわかり、メヌエットも一貫して純度の高い表現が心地よいですね。演奏の安定感も抜群。テンポもじっくりとメリハリをつけているので、音楽的な深みも十分感じさせます。ここまで来て、もう少し踏み込みが欲しいとおもった中間部で、ぐっとテンポを落として、一段ダイナミックにギアチェンジ。こちらの期待を見抜いているような変化。
フィナーレは、力を抜いて軽く流すような演奏。各奏者のキレの良い音階が交互に現れますが、十分リラックスしているので、音楽がサラサラと流れて、非常に軽快な印象。精度の高い正統派のアンサンブルで、曲の構造も踏まえたこなれた演奏。最後はかなり踏み込んだ表現も加えてフィニッシュ。若手ではありますが、演奏には円熟味も加わって、1曲目から素晴しい完成度です。

Hob.III:82 / String Quartet Op.77 No.2 [F] (1799)
前曲と第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが交代しています。演奏の安定感はかなりもの故、次のNo.2も実に落ち着いた、精度の高い演奏。古楽器の研ぎすまされた響きのなかに、適度なダイナミクスと表情の美しさが込められた名演奏。細部の精度がきっちりしているのに、音楽の大きな流れもしっかりと骨格を感じさせるのは素晴しいですね。非常に良く練られた演奏。
続くメヌエットもキレの良い音楽が続きます。曲の流れがしっかりつかまれていて、構成感がしっかりしていることについては、一貫して素晴しいところ。
この曲の白眉、アダージョは淡々と演奏することで孤高の高みに達しています。ヴァイオリンのロニョーニも音量は控えめながら実に表情豊か。自然な歌心が演奏から溢れ出てきます。弱音のコントロールも秀逸でこのアダージョは絶品ですね。
フィナーレも実にしなやか。前曲の演奏よりも流麗さでは上回っているよう。第1ヴァイオリンの交代の影響でしょうか。ドナティスがクッキリとした印象だったのに対し、こちらのロニョーニの演奏は柔らかく柔軟な印象。どちらも腕利きのヴァイオリニストのようですが、まとまりはロニョーニの方に軍配が上がりますでしょうか。

Hob.III:43 / String Quartet Op.42 [d] (1785)
最後はめずらしいOp.42。短調の名曲です。第1ヴァイオリンは1曲目と同様、ドナティスに戻ります。ふたたびクッキリとした張りを感じるフレージング。凛とした険しさを上手く表現して、緊張感のある演奏です。確かにこの曲ではドナティスの方が合っていると思わせるものがあります。
続くアダージョとメヌエットも大きな曲の起伏をしっかりつけていきますので聴き応え十分。最後のフィナーレはでは期待通りきっちりテンポを上げ、各楽器がこのアルバム一のキレを聴かせます。古楽器の枠を超える実にしっかりとした構成感。灰汁の強さを全く感じさせずにこれだけのキレ味を感じさせるのは流石です。

今までまったく存在を知らなかったアレア・アンサンブル。古楽器によるハイドンの弦楽四重奏曲の演奏としてはかなりイケてます。とくに構成感の表現が秀逸。古楽器の精妙な音色で、陰影をしっかりつけた素晴しい立体感を感じさせる演奏。今日取りあげたアルバムは3曲とも抜群の出来です。評価は全曲[+++++]とします。ハイドンのさらなるアルバムのリリースに期待したいですね。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : 弦楽四重奏曲Op.77 弦楽四重奏曲Op.42 古楽器

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

最新記事
カテゴリ
タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

モーツァルトチェロ協奏曲1番東京オペラシティ交響曲86番十字架上のキリストの最後の七つの言葉交響曲10番交響曲9番交響曲11番交響曲12番ヒストリカル太鼓連打ロンドン交響曲2番古楽器交響曲15番交響曲4番交響曲37番交響曲18番交響曲1番ひばり弦楽四重奏曲Op.54SACDピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:20ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:46ピアノソナタXVI:2LPライヴ録音ピアノソナタXVI:48ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:5ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:3天地創造ディヴェルティメントリヒャルト・シュトラウス東京芸術劇場交響曲102番軍隊交響曲99番時計奇跡交響曲95番交響曲98番交響曲97番交響曲93番驚愕ピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:49ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:35フルート三重奏曲ロッシーニオーボエ協奏曲ドニぜッティライヒャピアノソナタXVI:34弦楽三重奏曲皇帝ピアノ協奏曲XVIII:3ミューザ川崎ストラヴィンスキーシェーンベルクマーラーチェロ協奏曲東京文化会館フルート協奏曲ホルン協奏曲弦楽四重奏曲Op.20弦楽四重奏曲Op.2弦楽四重奏曲Op.9弦楽四重奏曲Op.17剃刀弦楽四重奏曲Op.103弦楽四重奏曲Op.77ピアノソナタXVI:318人のへぼ仕立屋に違いないファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:26パレストリーナモンテヴェルディアレグリバードタリスすみだトリフォニーホールピアノ協奏曲XVIII:11アンダンテと変奏曲XVII:6ピアノソナタXVI:6告別美人奏者ピアノソナタXVI:39四季交響曲70番迂闊者アコーディオンピアノ協奏曲XVIII:4ピアノ協奏曲XVIII:7バリトン三重奏曲スコットランド歌曲ヴェルナーガスマンベートーヴェンシューベルトピアノソナタXVI:38交響曲80番ラメンタチオーネ交響曲67番哲学者ピアノソナタXVI:24交響曲51番交響曲46番交響曲35番ヴァイオリン協奏曲協奏交響曲DVDピアノソナタXVI:52交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:28ピアノソナタXVI:21ピアノソナタXVI:23アリエッタと12の変奏XVII:3ピアノソナタXVI:40サントリーホールラ・ロクスラーヌ帝国ハイドンのセレナード弦楽四重奏曲Op.76ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:51五度ラルゴピアノ三重奏曲日の出弦楽四重奏曲Op.64ピアノソナタXVI:44ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.1弦楽四重奏曲Op.33弦楽四重奏曲Op.74騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス武満徹時の移ろい交響曲42番無人島ベルリンフィルホルン信号交響曲19番弦楽四重奏曲Op.55王妃交響曲87番トランペット協奏曲ピアノソナタXVI:29リュートピアノソナタXVI:10ピアノ五重奏曲ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6チェチーリアミサ東京国際フォーラムラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン雌鶏交響曲39番冗談英語カンツォネッタ集ナクソスのアリアンナアレルヤピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタバッハ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2交響曲78番交響曲79番交響曲81番ロンドン・トリオブルックナー交響曲88番オックスフォードモテットオフェトリウムドイツ国歌カノンスタバト・マーテル弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールクラヴィコードパッヘルベルアダージョXVII:9受難パリセット交響曲84番ブーレーズベルク交響曲全集主題と6つの変奏弦楽四重奏曲Op.71オペラアリアスクエアピアノピアノソナタXVI:41ショスタコーヴィチ交響曲68番交響曲57番リラ・オルガニザータ協奏曲悲しみリーム交響曲89番交響曲50番偽作CD-Rトビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタオルガン協奏曲火事交響曲38番リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲34番交響曲77番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日交響曲90番校長先生ピアノ小品音楽時計曲ピアノソナタXVI:11ピアノソナタXVI:47bisカートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲66番交響曲91番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響第九オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7オペラ序曲天地創造ミサジャズネルソンミサ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルン哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェライヴ府中の森芸術劇場裏切られた誠実マリア・テレジアバリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャマリアテレジア交響曲56番交響曲27番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ小オルガンミサ新橋演舞場交響曲5番サルヴェ・レジーナテ・デウムカッサシオン室内楽曲ピアノソナタXVI:45ベトナム料理国立新美術館高音質CDドビュッシー交響曲28番交響曲13番交響曲108番変わらぬまこと交響曲62番交響曲107番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲交響曲3番スカルラッティカンタータ声楽曲戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲54番交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中交響曲58番ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲65番ニコライミサ交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽Blu-ray狩りピアノソナタ

ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

音楽家、音大生、音楽愛好家のブログランキング。
音楽ブログランキング

このブログの成分解析。キーワードによるブログランキング。
blogram投票ボタン

大家さんFC2のクラシックブログランキング。


おすすめ(音楽)
ハイドンの超厳選名演盤。
AdamFischer97.jpg
沸き上がる興奮(Blog記事

Gloukhova2.jpg
ピアノソナタ新風(Blog記事

RialAria.jpg
恋人のための...(Blog記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック。


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実。
HMVジャパン
HMV ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

クラシックの独自企画・復刻盤は要注目。


おすすめ(音楽以外)




アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
129位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
10位
アクセスランキングを見る>>
twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ