【新着】ライプツィヒ弦楽四重奏団のOp.33(ハイドン)

今日は新着アルバムから。

LeipzigerSQ.jpg
HMV ONLINEicon / amazon

ライプツィヒ弦楽四重奏団(Leipziger Streichquartett)の演奏による、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.33のNo.3「鳥」、No.1、No.5の3曲を収めたアルバム。収録は2013年2月20日から21日にかけて、ドイツ北部ハノーファーの南西約50kmのところにあるマリエンミュンスター(Marienmünster)修道院のコンサートホールでのセッション録音。レーベルはドイツのmDG GOLD。

このアルバムはmDGによるライプツィヒ弦楽四重奏団のハイドンの弦楽四重奏曲集の第6巻として、つい最近リリースされたものですが、私としたことが第1巻から5巻までについても手元になく、はじめて手に入れたもの。今回第6巻のリリースにあわせて何枚か同時に注文したところです。6巻もリリースされているのに素通りしてきたのは特に理由があるわけでもなく、単なる巡り合わせが悪かったから。良く使うHMV ONLINEでは最近在庫がないもの入荷タイミングがバラバラなのでまとめ買い時に選びにくかったというところです。

ということでライプツィヒ弦楽四重奏団のハイドンははじめて聴く事になります。現在6巻までリリースされているということで、これは全集を目指しているのでしょうか。だとすると、これはマークしない訳にはまいりませんね。

ライプツィヒ弦楽四重奏団は1988年に設立されたクァルテット。名前から想像されるとおり、メンバーは元ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席奏者などからなっています。

第1ヴァイオリン:シュテファン・アルツベルガー(Stefan Arzberger)
第2ヴァイオリン:ティルマン・ビュニング(Tilman Büning)
ヴィオラ:イーヴォ・バウアー(Ivo Bauer)
チェロ:マティアス・モースドルフ(Matthias Moosdorf)

2008年に第1ヴァイオリンが現在のシュテファン・アルツベルガー(ライプツィヒ出身でライプツィヒ・ゲヴァントハウス管のアシスタント第1コンサートマスター)に変わっています。HMV ONLINEをみてみると、ハイドンの他、ベートーヴェン、モーツァルト、ブラームス、メンデルスゾーン、シェーンベルク、シューベルトなど独墺系の主要な作曲家の弦楽四重奏曲をmDGレーベルからかなりの数リリースしており、かなりの実力派とみなされる存在のようです。

楽器は現代楽器のようですが、弓はハイドンの時代に制作されたもののレプリカを使用しているとのことで、ハイドンに対するアプローチもよく考えているようです。

Hob.III:39 / String Quartet Op.33 No.3 "Vogelquartett" 「鳥」 [C] (1781)
弓のせいかどうかわかりませんが、非常に柔らかく染み入るような音色。楽器をゆったりと穏やかに鳴らして、ハイテンションとは逆。ローテンションと言うのでしょうか、非常に落ち着いた入り。各楽器ともかなり綿密にデュナーミクをコントロールしてしっとりと音楽を奏でていくので、こちらが耳を峙てて音楽を聴きにいく感じ。明るい晴朗な曲調のロシア四重奏曲ですが、春の薄曇りの音楽に変わっています。
ライプツィヒ弦楽四重奏団のこのスタンスは一貫していて、2楽章のスケルツォでは前半後半の低音弦によるメロディーをじっくり奏でる部分のしなやかさはなかなかなもの。いつもは音量を上げて聴きたくなるのですが、この演奏は音量を落として、しっとりと楽しみたくなります。
つづくアダージョも同様、意外とあっさりしていますが、フレーズの奥に広がる静寂感のようなものの存在を意識しながら聴きます。実に慈しみ深い音楽。弦楽器の木質系の響きが心地よいですね。
フィナーレは流石に素晴しい弓さばき。それでも力みはまったくなく、軽々とフレーズを刻んでいくので、ようやく明るさが見えてきます。アンサンブルは良い意味ですこし暴れがあり、それが豊かな響きの印象につながっています。いやいやこれは大人向けのじつに趣き深い演奏。

Hob.III:37 / String Quartet Op.33 No.1 [b] (1781)
ロシア四重奏曲唯一の短調から入る曲。前曲の印象はそのまま、非常に落ち着いた音楽。正確無比なアンサンブルではなく、適度にばらついた演奏が、じつに味わい深い印象につながっています。4人がそれぞれ意を凝らして響き合っているのがよくわかります。この響きがライプツィヒ・ゲヴァントハウスの伝統でしょうか。そういわれるとなんとなくそう思えて来ます。録音はアンサンブルがスピーカーの奥に定位する程よい距離感があり、残響成分が程よくのって聴きやすいもの。
この曲も2楽章がスケルツォ。なんとなく楽章間の対比はあまり意識せず、淡々と楽譜をこなしていく感じ。クアルテットの演奏というより、オケの弦楽パートの演奏のような姿勢なのでしょうか。そう思いはじめると、まさにオケの弦楽パートを淡々と弾いているようにも聴こえてきます。そのスタンスがじつにおだやかな音楽につながっているのでしょう。
アンダンテも同様。クァルテットとして踏み込んでくるという感じはせず、淡々と穏やかな音楽が流れます。これはこれで実に良い味わい。このへんをどう聴くかでこのクァルテットの演奏に対する評価が変わってくるポイントかもしれません。しなやかさを極めたアンダンテ。
そしてフィナーレは迫真の曲調を楽しんでいるような余裕たっぷりの演奏。やはり弓さばきは見事で軽さも十分。演奏によってはかなりタイトに攻め込むところですが、速いパッセージの練習をこなすがごとき余裕があります。感情移入しすぎず、曲を楽しんで演奏しているようなスタンスは変わらずです。

Hob.III:41 / String Quartet Op.33 No.5 [G] (1781)
このアルバム最後の曲。演奏の特徴は前2曲とかわりませんが、この曲は比較的速めのテンポ設定で流麗な印象が前2曲より強くなっています。テンポが変わると音楽の印象もだいぶ変わりますね。弾き急ぐような管もありますが、それが草書の魅力のようなものを感じさせるのも正直なところ。曲調の変化する部分もさらりとかわすあたりのセンスも見事。草書を書き慣れている人の筆さばきに感心しきり。
この曲では2楽章がラルゴ。構えず自然に切々とした短調のメロディーを重ねていきます。力が抜けているのはこのアルバムの演奏の特徴ですが、最後のこの曲ではかなり自在に、本能の趣くままに演奏しているような自在さがあります。続くスケルツォも同様。かなり自在な演奏なのに各奏者の呼吸がピタリと合っているところは流石です。
フィナーレは逆に、襟を正すかのようにキリリと締めてきました。この辺の呼吸も見事と言う他ありません。

ライプツィヒ弦楽四重奏団のハイドンの弦楽四重奏曲集の第6巻。もうすこし硬派の演奏だと想像していましたが、これは腕利きの奏者が構えずしなやかに音楽の演奏を楽しんでいるところを録ったようなアルバムでした。ロシア四重奏曲という曲調を考えるともう少し明るく張りのある演奏を狙うべきとの声も出そうですが、これはこれで燻し銀の演奏と看做す事もできます。クッキリタイトな演奏とはまったく逆に、自然なアンサンブルで音楽を紡いでいく演奏。なんとなくこのクァルテットのやりたいことが飲み込めた気になりました。この演奏、いろいろクァルテットを楽しんでいる上級者向けの演奏でしょう。この楽しみはこれでいいものです。私の評価は3曲とも[++++]としておきます。突き抜けた個性がある訳でも、驚愕のアンサンブルなわけでもありませんが、じっくり楽しむ価値のある演奏ということです。

このクァルテットの他のアルバムもじっくり聴かねばなりませんね。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : 弦楽四重奏曲Op.33

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

最新記事
カテゴリ
タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

ベートーヴェン紀尾井ホールショスタコーヴィチストラヴィンスキードビュッシーラヴェルピアノ三重奏曲ミューザ川崎オーボエ協奏曲LP協奏交響曲日の出ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:49ピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:29ピアノソナタXVI:20ピアノソナタXVI:38サントリーホールスタバト・マーテルピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:48ピアノソナタXVI:46ピアノソナタXVI:39マーラーブルックナーヒストリカル十字架上のキリストの最後の七つの言葉告別交響曲90番交響曲97番交響曲99番交響曲18番奇跡アレルヤひばり弦楽四重奏曲Op.64フルート三重奏曲悲しみ交響曲102番ラメンタチオーネ交響曲86番モーツァルトヴァイオリン協奏曲驚愕哲学者ニコライミサミサブレヴィス小オルガンミサ交響曲95番交響曲93番弦楽四重奏曲Op.20交響曲78番時計軍隊ピアノソナタXVI:23王妃ピアノソナタXVI:52アンダンテと変奏曲XVII:6武満徹ライヴ録音SACDチェロ協奏曲交響曲19番交響曲81番古楽器交響曲80番交響曲全集交響曲21番マリア・テレジアクラヴィコード豚の去勢にゃ8人がかり無人島騎士オルランドBlu-rayチェロ協奏曲1番東京オペラシティ交響曲9番交響曲11番交響曲10番交響曲12番太鼓連打ロンドン交響曲15番交響曲2番交響曲4番交響曲1番交響曲37番弦楽四重奏曲Op.54ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:2ピアノソナタXVI:5ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:3天地創造ディヴェルティメントリヒャルト・シュトラウス東京芸術劇場交響曲98番ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:35ドニぜッティライヒャロッシーニピアノソナタXVI:34弦楽三重奏曲皇帝ピアノ協奏曲XVIII:3シェーンベルク東京文化会館ホルン協奏曲フルート協奏曲弦楽四重奏曲Op.2弦楽四重奏曲Op.17弦楽四重奏曲Op.9剃刀弦楽四重奏曲Op.103弦楽四重奏曲Op.77ファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:26ピアノソナタXVI:31パレストリーナタリスモンテヴェルディアレグリバードすみだトリフォニーホールピアノ協奏曲XVIII:11ピアノソナタXVI:6美人奏者四季交響曲70番迂闊者ピアノ協奏曲XVIII:4アコーディオンピアノ協奏曲XVIII:7バリトン三重奏曲スコットランド歌曲ヴェルナーガスマンシューベルト交響曲67番ピアノソナタXVI:24交響曲46番交響曲35番交響曲51番DVD交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:28ピアノソナタXVI:21アリエッタと12の変奏XVII:3ラ・ロクスラーヌ帝国ハイドンのセレナード弦楽四重奏曲Op.76ピアノソナタXVI:51ラルゴ五度ピアノソナタXVI:44ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.33弦楽四重奏曲Op.1弦楽四重奏曲Op.74騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス時の移ろい交響曲42番ベルリンフィルホルン信号弦楽四重奏曲Op.55交響曲87番トランペット協奏曲リュートピアノソナタXVI:10ピアノ五重奏曲ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6チェチーリアミサラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン東京国際フォーラム雌鶏交響曲39番冗談英語カンツォネッタ集ナクソスのアリアンナピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタバッハ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2交響曲79番ロンドン・トリオ交響曲88番オックスフォードオフェトリウムドイツ国歌カノンモテット弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールパッヘルベルアダージョXVII:9受難パリセット交響曲84番ベルクブーレーズ主題と6つの変奏弦楽四重奏曲Op.71オペラアリアピアノソナタXVI:41スクエアピアノ交響曲57番交響曲68番リラ・オルガニザータ協奏曲リーム交響曲89番交響曲50番CD-R偽作トビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師オルガン協奏曲交響曲38番火事リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲77番交響曲34番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日校長先生音楽時計曲ピアノソナタXVI:11ピアノ小品ピアノソナタXVI:47bisカートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲66番交響曲91番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響第九オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7オペラ序曲天地創造ミサジャズネルソンミサ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルン哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェライヴ府中の森芸術劇場裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャマリアテレジア交響曲56番交響曲27番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ新橋演舞場交響曲5番テ・デウムサルヴェ・レジーナカッサシオン室内楽曲ピアノソナタXVI:45ベトナム料理国立新美術館高音質CD交響曲28番交響曲13番交響曲107番変わらぬまこと交響曲108番交響曲62番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲交響曲3番スカルラッティ声楽曲カンタータ戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲54番交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中交響曲58番ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲65番交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽狩りピアノソナタ

ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
05 | 2018/06 | 07
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

音楽家、音大生、音楽愛好家のブログランキング。
音楽ブログランキング

このブログの成分解析。キーワードによるブログランキング。
blogram投票ボタン

大家さんFC2のクラシックブログランキング。


おすすめ(音楽)
当ブログが発掘した超名演盤
ViventeR.jpg
衝撃の爆演(記事1 記事2

PetersenQ.jpg
Op.1の超名演(記事

Destrube.jpg
美音の饗宴(記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック


クラシックの独自企画・復刻盤は要注目


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実
HMVジャパン
HMV & BOOKS ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV & BOOKS ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

おすすめ(音楽以外)





アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
99位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
11位
アクセスランキングを見る>>
twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ