【番外】関西・四国・中国大紀行(その8)

(つづき) その1

旅に出て3泊目、出雲玉造温泉の星野リゾート界出雲の朝。朝起きると、外は晴天。

昨夜の雅楽を聴いた中庭にそって、目覚ましに大浴場に行ってみます。5時ごろ大浴場に行くとまだ灯りが灯っておりません。部屋にもどって確認すると大浴場は6時からということで早まりました。仕方なく部屋にもどってブログ執筆。iPhoneで撮った写真を旅行に持っていった古いMacbookに取り込んでちょっと手直しをしてブログに貼付けたりして時間をつぶし、やおら6時に再出陣。

流石一流旅館だけあって風呂には「撮影禁止」の張り紙。朝誰もいない温泉の様子をパチりと撮るのも温泉巡りの楽しみですが、撮影を禁じられてはどうしようもありません。宿のサイトの温泉のページのリンクを貼っておきましょう。

星野リゾート:界 出雲:温泉

なぜ、リンクを貼ったかというと、この大浴場がイケてるからです。写真を見ていただくと、内風呂の中央に白木でつくった出雲大社の本殿の社があり、そこからお湯がこんこんと注がれているという、まことに霊験新たかな造り。浸かっていると、大國主大神のオーラに包まれているような、えも言われぬ心地。これはナイスアイデア! もちろん露天風呂もあり、何度か露天と内風呂を往復して、昨夜の旨い酒の余韻を抜きます。こののんびりとした時間がいいんですね。

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部屋に戻って床の間をよく見ると、何やら原石らしきものが厳かに飾ってありました。これから勾玉を掘り出すのでしょうか。

ちょっとブログを書いて、荷造りなどをしているうちに朝食の時間。朝食は昨夜の夕食同様食堂にて。この日は予定が立て込んでいたため、無理言って朝食の時間を早めてもらったので、食堂にはまだ我々一行のみ。昨夜とは異なる若いスタッフが案内してくれ、席につきます。

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朝食にも丁寧なお品書きが添えられ、宿のやる気が満ちていました。中央の膳にはしらす干し、烏賊の塩辛、もろみ昆布などの小皿、温泉卵、野菜サラダにワラビやつくねなどの炊き合わせ、ご飯にみそ汁などが並びます。これだけでも十分なんですが、その他にも皿が運ばれます。

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その他に鯵の干物。この干物、旅館の朝食の域を超えてます。何たる身の厚みと旨味。そして固形燃料コンロには湯豆腐。

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そしてみそ汁の椀のふたをとると、昨夜ノックアウトされたシジミのみそ汁。ほんのりと白濁した汁にシジミの旨味が乗って、これも絶品。やはり新鮮なシジミの味は格別ですね。これでお腹も一杯。本日の活動のエネルギー充填完了です。

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ほぼ荷造りを終えていたので、朝食後ほどなくチェックアウト。出雲大社に向かうと宿のスタッフに告げると、出雲大社のマップやまわりの出雲蕎麦のお店、スタッフの方個人のオススメのお店などを丁寧に教えてくれます。この宿、なんとなくスタッフ全員に客人をもてなそうという心意気がありました。流石は星野リゾート、社員教育もなかなかでした。

スタッフに見送られ、いざ、出雲大社へ。



平日故、出雲でも渋滞があろうかと、高速に乗ります。昨日降りた松江玉造インターから山陰自動車道に乗り、出雲インターまで走ります。玉造から出雲まで近いと思っていたのですが、意外と距離があり30kmほど。晴天の宍道湖などを眺めながらのドライブ故快適でした。インターからは道路標識の案内に従い、北上してほどなく出雲大社の大鳥居が見えてきます。参道の脇を入り、先程宿のスタッフの人に教わった出雲大社の大駐車場に車を停めます。

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出雲大社ホームページ

大駐車場から神楽殿の前を通って銅鳥居の前までのんびり歩いてきます。鳥居を通して見る拝殿の姿は神々しく、ようやく出雲に来たと感慨深いものがあります。

私は出雲大社は投入堂同様3度目の訪問。投入堂同様、最初は学生時代、そして前回は2009年のこと。このときは本殿が工事の仮囲いに覆われ、平成の大遷宮がはじまっていました。知らずに訪問し、お目当ての本殿が囲いの中だったときの落胆は大きなものがありましたが、その時受け付けていた屋根の葺き替えのための寄進に少しばかり協力して、気をまぎらせました。普段はお賽銭を投げるばかりですが、出雲大社の屋根の葺き替えに寄進した気分は、のちほど「あの屋根、私の寄進で葺き替えたのだ」との勝手な解釈にもとづく至極都合のいい満足感につながり、まんざらでもありませんでした。嫁さんもはじめてみる囲いのないご本殿ということで、ちょっと感慨深いものがあります。

さて、時刻はまだ、9時を少し過ぎたばかり。この週は東京をはじめとして暑い日が続いていたようですが、出雲は日照りは厳しいものの、気温はまださして高くなく、のんびり参拝するにはうってつけの気候。

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まずは拝殿で参拝。あとからサイトでニ拝四拍手一拝の作法で拝礼するとの情報を発見。そうしてませんでした(涙)
見上げると霊験新たかな図太いしめ縄。これぞ出雲大社のイコンですね。吊るされた紙垂(しで)も独特な形。

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そして、拝殿を回り込んで本殿前の八脚門へ。本殿へは近づけませんので、ここが参拝のクライマックス。いつもより多めのお賽銭に、いつもより純粋な心持ちになって、家族同行一同の健康と今後の旅の安全を祈りました。まだまだ観光客の少ない時間帯。神様の関心も散逸しないで済みそうなので、どことなく清らかな気持ちになりやすかったのかもしれません。

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そして中に入れない荒垣のまわりを廻って、本殿の裏側方面に進みます。八脚門のすぐ右にある手水どころ。大きな石をくりぬいてそこに水が注がれているもの。

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そして本殿の真東にある釜社(かまのやしろ)。宇迦之魂神(うかのみたまのかみ)を祀ってあり、保食神(うけもちのかみ)ともよばれ、食物全般にわたっての主宰神とのこと。我が神様と気づき特に念入りにお参り。

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釜社を過ぎたあたりで、荒垣の奥にそびえる本殿を臨みます。現在の本殿は1744年(延享元年)に建てられたもので、高さは8丈(およそ24m)と大きなものですが、かつては32丈(およそ96m)であったと伝えられています。平成の大遷宮が終わったのがちょうど一年前、平成25年の5月のことということで、屋根は葺きたてで、まだ檜皮が新しく、カーブが滑らかです。この屋根、葺くのに寄進したのだと反芻(笑)

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そして荒垣を廻って本殿のちょうど真裏というか真北に来たところで、本殿の後ろ姿をパチリ。この出雲大社独特の大屋根のカーブと高々とそびえる千木が陽の光に輝いています。

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そして少し廻ったところにある木造の建物に出雲大社ゆかりの品々が展示されている「彰古館」。古い木造の建物がいい風情。

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入口にかなり目立つ像が立っているのを見て、別途入館料を払って入ってみる事にしました。この像、野見宿禰(のみのすくね)像と書いてあり、調べてみると土師氏の祖として「日本書紀」などに登場する人物だそうで、力士の始祖と伝えられている人。Wikipediaから少し引用しておきましょう。

天穂日命(あめのほひ)の14世の子孫であると伝えられる出雲国の勇士で、垂仁天皇の命により当麻蹴速(たいまのけはや)と相撲をとるために出雲国より召喚され、蹴速と互いに蹴り合った末にその腰を踏み折って勝ち、蹴速が持っていた大和国当麻の地(現奈良県葛城市當麻)を与えられるとともに、以後垂仁天皇に仕えたという。また、垂仁天皇の皇后、日葉酢媛命の葬儀の時、それまで行われていた殉死の風習に代わる埴輪の制を案出し、土師臣(はじのおみ)の姓を与えられ、そのために後裔氏族である土師氏は代々天皇の葬儀を司ることとなったという。

かなりの大柄な姿と、妙に個性的な顔が印象に残ったのはこのような人物だったからですね。

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この彰古館の1階には出雲大社に寄進された木彫りの大黒様の像などが多数展示があり、2階には出雲大社本殿まわりの木製の模型が展示されていました。この模型が非常に良く出来ていて興味深いものでした。実際に見る事が出来ない荒垣の中を俯瞰してみる事が出来るもの。視線を落として、実際に見てきた景色を思い出しながら内部の伽藍配置を確認したりと、しばしまわりを廻りながらウロウロしてしまいました。

ひとしき出雲大社の境内を巡って時刻は10時過ぎということで、1時間少し見て回ったことになります。さらに巨大なしめ縄がある神楽殿の前を通って、今回の旅のメインの目的地ということで、お土産屋さんですこしお土産などをを買って、出雲大社を後にします。

実はこの後の予定が、今回の旅の一番の目的地だったんです。

今回の旅行は、母方の祖母の故郷である出雲に母親3兄弟で行くと言う企画。実は祖母が元気だった24年前の1990年に祖母、母親、叔父、叔母の4人で出雲の故郷に訪問しているんですね。母親3兄弟と出雲の関わりは終戦後の一時、疎開で1年ほど滞在したのみ。母親が小学校3年のころとのことで、実に今から70年近く前のこと。前回訪問時もおぼろげな記憶をたよりに、実に久しぶりの再会だったとのことでしたが、今回の訪問は、その時からまた20年以上の年月が流れています。

普段の付き合いは年賀状程度だったということで、母親自身も、これで最後なのかなという思いもあるかと思います。そして母親兄弟3人で旅行するのもその時以来。うちは父の三回忌を終えたばかり、叔母の家はご主人をなくして今年七回忌ということ、叔父は海外を頻繁に行き来していたので、ようやく3人で自由に旅行できるようにはなりましたが、一番年上の母親ももう77歳。3人そろって旅行できるのも、年齢を考えるともしかしたらこれが本当に最後かもしれませんね。

ということで、出雲の親戚とやりとりのある叔母が連絡して、親戚の家を訪問する予定を組んであったというわけです。出雲市にある親戚の家に11:00に訪問する約束をしていたので、出雲大社をそれに間に合うように出発。住所をカーナビにセットして、出雲市役所の近くで親戚に電話連絡。そしてほどなく家が見つかりました。

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裏に車をおかせてもらって、お宅を訪問。親戚や母親が疎開寺に同級生だった友人までそのお宅に集まっていていただき、感激の対面です。

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驚いたのは母親の記憶の鮮明さ。昔のことは良く覚えているとはいいますが、いまから70年前の小学3年の頃のことを実に良く覚えていました。叔父、叔母はそれより2歳ずつ年下のため、記憶は曖昧。久しぶりの友人や当時お世話になった親戚の方との再開は母親にとっても深く心に刻まれる思い出になったことでしょう。

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近くの出雲蕎麦の名店のお蕎麦や、手作りの料理などをご馳走になりながら、むかし話に花が咲いた楽しいお昼でした。

もう一つ驚いたのは出雲のお茶の作法。このあとお邪魔するお宅も含めて、出されるお茶のおいしいこと。温めのお湯でほんの少しいれたお茶を、お茶を換え、器を換え、何度もいただきます。また、抹茶も供され、現代化してしまった日頃のビジネス環境や東京の暮らしとは比べ物にならない豊かさ。やはり文化というか、生活の心の豊かさは東京とは比べられないと思った次第。旅は心の刺激になりますね。

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そして、疎開当時お世話になった方の墓参。お元気であれば話に花が咲いた事でしょうが、70年もの年月は長過ぎますね。墓に参る当時を知る母親3兄弟の心情を思うと、妙にしんみりします。汗ばむほどの日照りのなか、なんとなく澄みきった心境になりながら、お墓を巡ります。

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そして、もう一軒連絡してあった親戚の家へ。こちらのお宅は疎開当時とば別の場所に移転したところ。近くを流れる斐伊川護岸工事のため移転したので、残念ながら当時とは土地がだいぶ変わってしまっていましたが、母親は当時のこのあたりのようすも鮮明に覚えているようでした。こちらでは24年前に訪問したときの写真をさがしておいていただき、当時の写真に皆感慨一入。写真に写っていた祖母の姿が妙になつかしく、近くに住んでいてよく世話になった祖母のことを懐かしく思い出しました。こちらでも実に美味しいお茶が供された次第。

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そして、祖母の兄弟の墓に墓参。

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最後に立ち寄ったお宅でも歓待。亡くなった祖母の弟の娘さんとの再会。時間があればいつまででも話していたいところだったでしょうが、出雲でこれほどの歓待を受けるとは予想しておらず、今夜の宿に向かわねばなりません。

今回の旅のメインイベントの出雲の親戚訪問。遥か昔の思い出が少しづつよみがえり、親戚や旧友との実に久しぶりの再会を果たす事ができました。特に母親が同級生と話す時の目の輝きは当時に戻ったよう。もう一度、来る機会があるといいですね。こちらもご親戚の方も皆さんかなりの年齢。人はいろいろなことを心に刻んで歳を重ねていくものです。たぐり寄せられる想い出、もうたぐり寄せられない想い出。どれも貴重なものばかり。歳を重ねることの意味を噛み締めたひと時でした。

お世話になった親戚、ご友人の皆様、本当にありがとうございました。

旅はつづきます。

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Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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