【新着】アレクサンドル・タローのピアノ協奏曲(ハイドン)

今日は新着アルバム。ちょっと驚く演奏。

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アレクサンドル・タロー(Alexandre Tharaud)のピアノ、ベルナール・ラバディ(Bernard Labadie)指揮のレ・ヴィオロン・ドゥ・ロワ(Les Violons du Roy)の演奏で、モーツァルトのピアノ協奏曲9番「ジュノム」、コンサートロンド(K.386)、レチタティーヴォとアリア「どうしてあなたを忘れられよう」 (K.505)、ハイドンのピアノ協奏曲(Hob.XVIII:11)の4曲を収めたアルバム。収録は2013年8月11日から15日にかけて、カナダのケベック州、ケベックシティーの北東のセントローレンス川沿いの宿泊施設、ドメーヌ・フォゲット(Domaine Forget)でのセッション録音。レーベルはERATO。

アレクサンドル・タローは初めて聴く人。調べてみると、最近かなり活躍している人のようです。1968年生まれのフランス人ピアニスト。パリ国立高等音楽院で学び、1989年ARDミュンヘン国際音楽コンクールで第2位となって以来国際的なに活躍しています。harmonia mundi、ERATO、NAXOSなどにかなりの録音があり、人気のほどが窺えます。普段ハイドンばかり聴いていますので、世情に疎いので知らなかったということでしょう(笑)

さて、このアルバム、前半にモーツァルトが3曲置かれているので、ジュノムから聴いてみると、最新の鮮明な録音で捉えられたキレのいいオケに、キラキラと輝くピアノが魅力的な演奏。ただ、リズムが意外に重く、テンポを自在に揺らして表現意欲は感じるのですが、もうひとキレ欲しいというのが正直なところ。新鮮な響きを意図している割にはオーソドックスにまとめてきました。ジュノムは名演が多いので、新鮮さだけでは、我々の耳をうならせるには十分ではありません。続くコンサートロンドに入ると、オケもピアノも一皮剥けたように表現の幅が広がります。実にしなやかにモーツァルトの曲を転がしていきます。ジュノムを聴き始めたときにはこのアルバムをレビューに取り上げるのを躊躇しましたが、少し持ち直した感じ。ということで、歌曲を飛ばしてハイドンの協奏曲にを聴き始めますが、、、 これはどうしたことでしょう!

Hob.XVIII:11 / Concerto per il clavicembalo(l'fortepiano) [D] (1784)
冒頭から快速テンポで、しかも恐ろしいまでにオケがキレてます。素晴らしい推進力! このアルバムでなぜハイドンを冒頭にもって来なかったのかが疑問に感じるほどインパクトのある入り。モーツァルトとは別格の演奏です。オケのエネルギーに煽られるようにタローのピアノも生気がみなぎり、軽いタッチの音階も鬼気迫る感じ。速い部分とスロットルをもどす部分の対比をかなり明確につけていくのはモーツァルトと同様ですが、明らかにこちらの方がキレてます。しなやかに完成度高く構成する演奏とは全く異なり、推進力とキレの塊が噴出するような演奏。これまでこのタイプの演奏はいくつかありましたが、最も成功している例でしょう。カデンツァは現代風というよりは過去へのオマージュのような独特のもの。キレたオケが迎えに来て1楽章を終えます。
2楽章は固かったジュノムとは異なり、オケもピアノもしなやかで、そこここに閃きがちりばめられた秀演。ピアノの右手の輝きとさっぱりとキレの良いフレージングが実に心地よい音楽をつくっていきます。終盤ホールのせいかピアノの低音と低音弦がじつに豊かに鳴る音程があります。大波のように迫ってくる独特の響き。カデンツァを含めてこれまでに聴いたことのない独特の世界観。かなり個性的な演奏です。
期待のフィナーレは1楽章以上にオケもピアノもオケもキレて、ちょっとキレ過ぎなほど。なぜかどこかを叩く音が加わり、パーカッション的効果を生んでいます。キレたジャズの演奏を聴くような陶酔感。途中不協和音が混じるところでも山下洋輔が鍵盤を肘で叩くような音がします(笑) やりたい放題のキレっぷりですが、不思議と嫌味な感じはしません。驚いたのはカデンツァにトルコ行進曲のフレーズが登場、いやいや、これはすごい。最後はカミソリのようなキレを聴かせて終わります。

いやいや、これは驚きの演奏。最初に置かれたジュノム。おそらくこれは前座としてあえて置かれたのでしょう。ハイドンの協奏曲のこのキレっぷりに比べると、失敗としか言えないオーソドックスさ。このアルバムの構成はこれはこれで見事。このアルバムを買った人をどう驚かせようか苦心の跡が見えます(笑) ハイドンの曲は構成が緻密なだけに、中途半端に表現意欲を加えると、わざとらしくてイマイチなことが多いのですが、ここまで吹っ切れていると逆に新鮮です。私は気に入りました。このアレクサンドル・タローという人のアルバム、皆こうなのでしょうか、気になります(笑) 評価はもちろん[+++++]を進呈です。

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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ピアノ協奏曲XVIII:11

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太郎。

タローはスカルラッティを一枚持っていて、いつでも聞けるように、机の近くに置いてあるお気に入りです。流麗というタイプではなく、スカルラッティらしさを感じさせる決め手の一音一音をピシッと強めに際立たせてくれます。奇矯な演奏とは思ってませんでした。でもハイドン、やってくれてるようですね。彼はハスキルのスカルラッティが好きでよく聞いていた、なんて記事を読んだ記憶があります。

Re: 太郎。

戎棋夷説さん、こんばんは。
タローの演奏を聴いて、これはスカルラッティもいけるのではないかと思い、リリースされたアルバムにスカルラッテイがあるではありませんか。スドビンの時もなんとなく思いましたが、このキレ方はスカルラッティと相性がいいと思います。これは手に入れなくてはいけませんね。ハイドンの未聴版の山に囲まれていて、なかなかスカルラッティまで手が出せていませんが、興味はあります。

スドビンもタローも、スカルラッティ素晴らしいですよ。

ハイドンが素晴らしい人は、大体スカルラッティも外れません。

逆は必ずしも上手くいかないんですけどね。

それだけハイドンは難しいみたいです。

Re: タイトルなし

小鳥遊司さん、こんばんは。

>ハイドンが素晴らしい人は、大体スカルラッティも外れません。
この法則を体感できるほどスカルラッティを聴いていないんですが、そうだろうと思うところはあります。ハイドンの表現に優れた人はスカルラッティの演奏においてもツボを押さえているということでしょう。モーツァルトもそうですが、単に音数が多いとか技巧を要求するとかではないところに音楽の本質があるということですね。
ハイドン以外の広がりも必要ですね〜(笑)

小鳥遊司さま、

> ハイドンが素晴らしい人は、大体スカルラッティも外れません

この法則を知ってるのは私だけかと思ってました、、、。
(リヒテルのスカルラッティとか、聴きたかったなあ)

> 逆は必ずしも上手くいかないんですけどね。

逆もまあ、いけるかな、と私はみておりました。

Re: 小鳥遊司さま、

戎棋夷説さん、小鳥遊司さん、お世話になります。
「ハイドンが素晴らしい人はスカルラッティも素晴らしい」という説、以前から戎棋夷説さんが唱えておられましたが、小鳥遊司さんも同様の見解、これで普遍的な法則としてハイドンファンの皆様には定着することでしょう。
ちなみに、逆については普遍法則となるかどうか、、、
当方、ハイドンはともかく、なにぶんにもスカルラッティに関して、聴いたことがある演奏数があまりにも少なく、この法則の検証には役不足です(笑)
他の読者諸氏のご意見があれば宜しくお願いいたします。
プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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Joseph Haydn Discography at H. R. A.
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2016年9月のデータ(2016年9月30日)
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