デニス・ラッセル・デイヴィス/読響の惑星(みなとみらいホール)

7月25日(土)は横浜みなとみらいホールに読響を聴きにいってきました。

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読売日本交響楽団:第81回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

この日の演目はデニス・ラッセル・デイヴィス指揮の読売日本交響楽団によるブラームスの二重協奏曲にホルストの惑星。亡くなった父が惑星が好きだったということで、母親を久々に連れ出してコンサートに行こうという趣向。同じプログラムが前日の金曜に東京オペラシティでも設定されていたのですが、母親連れということで車で出動する必要から土曜日の横浜を選んだ次第。横浜のみなとみらいホールははじめてです。

東京は梅雨も明け、毎日灼熱の天気。水分を取らずに外出するのは危険な状態のなか、横浜に向けて車で出発。うちからだと第三京浜経由で1時間もかからずつくため、意外と便利です。

みなとみらい地区は私が横浜に通っていた大学時代には寂れた赤レンガ倉庫があるだけの空き地でしたが、今はランドマークタワー、クイーンズスクエア、パシフィコ横浜、インターコンチネンタルホテルにみなとみらいホールと横浜一のハイカラな街になってます。昔の印象が強いだけにちょっとおのぼりさん気分(笑)

幸い道が空いていたので、首都高のみなとみらいインターを降りたのがお昼ころ。この日の開演は14:00。つきあたりのパシフィコ横浜の広大な駐車場に車を入れ、どこかで昼食をとろうということになり、炎天下のデッキを歩いてクィーズスクエア方面に向かいます。やはり人が多く食事処は混雑していましたが、ちょっとうろついてクィーンズスクエアの3階のお店に入れました。入ったお店はこちら。

食べログ:さかえや 横浜みなとみらい本店

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無情にも家人は生ビールです(笑)

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私は無難に鶏つくし丼御膳。かなりのヴォリューム。

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母親は海鮮ちらし丼御膳。うに、イクラ、海老、穴子など豪華です。

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嫁さんは久々に親子丼が食いたいとのことでさかえや御膳。刺身がなかなかいい感じでした。

どれもそれなりに美味しくて、なにより炎天下の昼間に涼しいところでゆっくりランチをできたので満足。そうこうしているうちに開場時間の13:30となります。ホールはすぐ隣でしたのでホールに移ります。クイーンズスクエアから直結ですので便利ですね。

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この日の席は2階の右側。ホールはサントリーホールより小さめですが、品のいいつくり。オケを俯瞰できるいい席でした。

指揮のデニス・ラッセル・デイヴィスはハイドン好きな方ならご存じでしょう。写真をみるとマフィアのボスのような強面の方ですが、繰り出す音楽は堅苦しいほどに几帳面。デニス・ラッセル・デイヴィスのハイドンの交響曲全集は一曲一曲丁寧に振られ、解剖図譜を見るような趣があります。いちおう、デニス・ラッセル・デイヴィスの記事のリストをあげておきましょう。

2013/12/26 : コンサートレポート : デニス・ラッセル・デイヴィス/読響の第九(東京オペラシティ)
2011/01/25 : ハイドン–交響曲 : デニス・ラッセル・デイヴィスの火事
2010/12/12 : ハイドン–交響曲 : デニス=ラッセル・デイヴィス/ライプツィヒゲヴァントハウスの2009年ライヴ

母親連れのコンサートは実は一番上の2013年の年末の第九以来で、なんとデニス・ラッセル・デイヴィスつづき。母親にこの前も同じ指揮者で第九を聴いたんだとつたえても、「前の時もハゲた人だったかしら、、、」とまったく記憶にない様子(笑) 印象に残っているのは第九のスケルツォのティンパニのバチさばきの鮮やかだったとのことで、打楽器には格別の興味ありといった様子。この日も惑星があるので楽しみですね。

くだらん前置きが長くなりましたが、この日の読響、素晴らしい出来でした。1曲目のブラームス、私はかなり苦手な作曲家。しかもヴァイオリンとチェロのためのニ重協奏曲、手元に一枚のアルバムもありません。すなわち聴いたことがない曲。ハイドンばかりではなく、モーツァルトもベートーヴェンもバロック期も現代音楽もジャズもクィーンもパット・メセニーもちあきなおみも好きなんですが、ブラームス、シューマン、ショパンあたりは極端にコレクションが少ない分野。

ブラームスの独奏はヴァイオリンがダニエル・ゲーデ、チェロがグスタフ・リヴィニウスという組み合わせ。ダニエル・ゲーデは読響のコンサートマスターですのでおなじみの人。チェロのグスタフ・リヴィニウスはポーランドの人。1曲目のブラームスは、ハイドンでは固い演奏をするデニス・ラッセル・デイヴィスのコントロールがブラームスの晩年の曲を適度にしなやかに振って、ハイドンよりも好印象。特にチェロのリヴィニウスの豊穣な響きが印象に残りました。オケの規模もそれほど大きくないので、情感よりもバランスを重視したブラームス。意外にデイヴィスのいいところが出た感じです。

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休憩を挟んで、お目当ての惑星。ステージ上には大編成のオケの準備がされ、2組のティンパニ、2台のハープにチェレスタ、そしてパイプオルガン席にもライトが当たって期待が高まります。惑星は父がLP時代に買ってきたメータ/ロスフィルとバーンスタイン/NYPが刷り込み。そのあとカラヤンやボールト、レヴァイン盤などを手に入れいろいろ聴きましたが、父はメータがお気に入りだったので、私もメータ盤が一番印象に残っています。その印象をほんのりと思い出しながら臨んだコンサートでしたが、やはり生の迫力は異次元でした。

フルオーケストラがステージ上に揃い、デイヴィスが指揮台に昇ってタクトが振り下ろされると、もちろん聴きなれた火星のコルレーニョのざわめきから入りますが、すぐにオケがフルスロットルで、挨拶代わりというより、いきなりぶん殴られるような爆音。あえて遅めのテンポでオケの各パートの音色の豊かさと金管陣の号砲を際立たせます。そして艶やかなヴァイオリン、乱舞するパーカッション。惑星はともするとクラシックというより映画音楽的聴かれ方をする音楽だと思っていましたが、ホルストという作曲家の創意と想像力の限りを尽くした素晴らしい音楽だと再認識。デニス・ラッセル・デイヴィスはおそらく惑星を得意としているのでしょう。いつもの落ち着きはらったコントロールですが、確信犯的にオケを煽り、冷静にオケのスロットルをコントロールしながら要所でものすごいムチを入れホールを吹き飛ばします。2台のティンパニとグランカッサが大活躍。いきなり参りました。火星の爆風に吹き飛ばされた感じ。母親も音圧にのけぞってます。
そしてゆったりとした金星。オケを俯瞰しながら聴く金星は、なぜか宇宙の静かな雄大さを感じさせる響きが、オケの楽器の巧みな使い分けにあると知り、実に興味深い。深いチェロの音色、ハープやチェレスタの浮揚感、ヴァイオリンをあえてシルキーに鳴らし、オーボエがメロディーを象徴的に浮かび上がらせます。
水星ではオケの各楽器の音色のヴァリエーションの限りを尽くして軽やかなメロディを刻みます。意外にディヴィスの端正なコントロールがこうした曲でうまく働き、千変万化する響きの面白さを際立たせます。
お目当ての木星では、再びフルオーケストラが炸裂。メータがゴムまりのような弾力ある推進力で聴かせた前半を、デニス・ラッセル・デイヴィスは落ち着きはらってオケの機能美の展覧会のように冷静に鳴らしまくります。必然的に曲の面白さが際立ちます。母親はタンバリンのキレの良いさばきと2台のティンパニの見事なバチさばきにうっとり。後半の歌うところは今度はテンポを上げ、見通しの良さを際立たせます。叙情的にならないデイヴィスの良さでしょう。バーンスタインが鳴きまくったのとは好対照。非常に引き締まった表現。キューブリックが美しく青きドナウで宇宙を感じさせた以上に雄大な空間を感じさせるホルストの筆致に唸ります。
そして再び静かな土星。生で聴くとこの静かな曲がどうやって紡ぎ出されていくのかが手に取るようにわかって実に興味深い。有名曲ゆえメロディーや曲の進行が先に頭の中にあるので、それが実は巧みなオーケストレイションによって組み立てられているのをしげしげと聴き入ります。デイヴィスの指揮は各パートに明確に指示を出すので、なおさら面白い。
終盤の聴きどころ天王星では、もちろん打楽器群やパイプオルガンが大活躍。やはりフルオーケストラの迫力は素晴らしいものがあります。
この日一番感動したのが最後の海王星。LPでこの曲に馴染んだ世代ですので天王星の打楽器乱舞の後の消え入るような部分は、曲の美しさを感じてはいたものの、曲の最後がフェードアウトになるという、ちょっと肩すかし感の残る印象がありましたが、生は違いました。響が昇華され、空間に漂うようになったところで、さりげなくコーラスが入ります。これまであらん限りの音量とヴァリエーションでオーケストラを鳴らしてきましたが、最後に登場したコーラスは人の声の美しさの結晶のよう。静かに静かに歌い、最後は本当に消え入るまで声量を落とし静寂に包まれます。タクトを下ろしたデイヴィスがしばらく静止し、タクトを譜面台においてようやく拍手が降り注ぎました。ホルストの真意がようやくわかった気がします。LPでは最後のトラックはスクラッチノイズ入りの静寂でしたので生で聴く静寂によって、そして生の音色のリアリティによって最後の素晴らしいコーラスが味わえました。右側2階席ということでコーラスは見えずでしたが、それもなおさら神秘的でした。デイヴィスにもコーラスにもオケにも拍手とブラヴォーが降り注ぎ、お客さんも満足そう。いいコンサートでした。

みなとみらいホールを出ると外はもちろん灼熱。みなとみらいあたりを散策しても良かったんですが、母親が熱中症になっても大変。ということでおとなしく直帰です。

今更ながら惑星の真価を知ることとなったいいコンサートでした。終わってから母親がティンパニを叩く真似をしてにっこりしていたので満足だったのでしょう。母にとってもいい思い出になったことでしょう。

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ジャンル : 音楽

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私も行きました。

こんにちは。
私も、母親を連れて、車で行きました。
私は、ホール真下のクィーンズスクエア地下駐車場に停めました。
車で行くには、本当にありがたいホールですね。

デニス・ラッセル・ディヴィスは、まったく眼中になかったのですが、二期会「魔笛」のピットが想定外に素晴らしかったので、急に「気になる指揮者」に変わりました。
遅ればせながら、ハイドンの全集もポチってしまいました。
(ポチる前にブログを拝見していましたけど、直近の生演奏の印象に釣られて…。)
手放しで絶賛というわけではなく、「ずーっと、デニス・ラッセル・ディヴィスだけを聴いていたら、飽きるかも」という思いはありますが、「時々は聴いてみたい」指揮者です。

Re: 私も行きました。

稲毛海岸さん、ご無沙汰しています。
相変わらず精力的にコンサートに通われているようで、ブログの方もたまにお邪魔しています。いつもながら簡潔に印象をまとめられていて、大変参考になります。

わたしもクィーンズスクエアに停めればよかったんですが、長時間停める可能性があったので駐車料金に上限があるパシフィコにしたという次第です。クィーンズスクエアならエレベーターのみでいけますので確かに便利ですね。

指揮者は生で接すると確かに印象がちがいますね。デニス・ラッセル・デイヴィスもブラームスはしなやかでハイドンで感じられる硬さがなく非常に良かったですし、惑星もオケが嫌という程よく鳴っていて楽しめました。
プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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