【番外】夏の東北温泉紀行(その4)

(つづき) その1

会津若松東山温泉の向瀧での一夜。銘酒「美酒佳肴」を随分いただいたので、すっと眠ることができました。朝は昨日2度入った高温のきつねの湯ではなく、大浴場のさるの湯に行ってみます。広さはきつねの湯よりだいぶゆとりもありますし、洗い場もちゃんとシャワーなどがある近代的(笑)なもの。しかし、お湯は万人向けで41、2度というところでしょう。まあ、朝湯にはいいですが、きつねの湯の高温が恋しくなってしまうのは私だけでしょうか。

朝湯から上がり、朝食が運ばれてくるまでの間、ちょっと外に出てみます。

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玄関を出ると、宿の脇を流れる湯川に陽が差し、キラキラと輝いています。この辺りは盆踊りの飾り付けがされ、古びた温泉街ながら、妙に華やかさもある不思議な気配が漂っていました。

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向瀧の建物にも提灯が飾られ、お祭り気分。5年前も夏に来たのですが、写真を確認したところ提灯は飾られていませんでした。

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調べてみると今年は8月13日から16日まで、東山温泉の盆踊りがありますが、なんと「鶴ヶ城天守閣再建50周年記念東山盆踊り」とアニヴァーサリーではありませんか。それで飾り付けも豪華なのでしょうか。

会津観光ナビ:8/13(木)~16(日)東山温泉盆踊り

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湯川の橋を渡ると提灯が並んでいて、なんとなく懐かしい風情。盆踊りの日には露天が出たりして、温泉街に華やぎがもどってくるのでしょう。なんとなく脳内で盆踊りの賑わいを想像して妙に懐かしい気分にふたたび襲われます。

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古びた温泉街は各地にいろいろありますが、なんとなくこの景色がふたたび向瀧に泊まろうと思い立った原点。陽も昇りこの日も暑くなってきましたが、夏の田舎の温泉の風情は妙に心を爽やかにするものですね。

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さて、のんびり宿の周りを散歩しているうちに朝食の時間が近くなってきましたので、部屋に戻ります。部屋食なので、番頭さんが頃合いをみて布団を上げにきてくれますが、向瀧のいいのは布団をあげるのも接客だといわんばかりに、番頭さんがいろいろ話しながらきれいに布団を片付けてくれるところ。昨夜の料理のことや、この日の天気のことなど、いろいろ気遣ってくれます。程なく中居さんが朝食の用意をしてくれます。

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朝食は実に質素。質素というより我々の好みにぴたり。火を灯すものが2つ。一つは鉄鍋に入れられたなめこの味噌汁。たかが味噌汁ですが、自分で椀によそう一手間がなんとなく嬉しい(笑)

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もう一つは猪苗代湖の鱒の蒸し物。こちらは那須の宿で中禅寺湖の鱒をいただいたのと同様、地元の鱒料理がメインになっているわけです。味付けといいヴォリュームといい、我々の世代にピタリと合った朝食でした。これは満足。

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朝食が終わると、荷造りをしてチェックアウト。実は前の晩猪苗代ビールを全種類4本頼んだんですが、結局2本しか飲めなかったのと、鯉の甘煮も4人分は多いということで、2人分を4人で食べて2人分はお土産にしてもらいました。ビールはともかく鯉の甘煮をお土産にするのはこの酷暑の中どうかとおもいましたが、見事に真空パックにしてくれて常温でも持ち帰り可ということで、なんとなく嬉しいサービス。もちろん帰ってからビールも鯉の甘煮も美味しくいただきました。

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証拠写真1:猪苗代ビール。地ビールらしいコクのある旨味!

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証拠写真2:鯉の甘煮。これは家でレンジでチンして旅館そのままの味。日本酒が進みます。

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ちなみにチェックアウト時に妙に目があった「赤べこ」もお土産で連れて帰りました。会津柳津の工芸品ですが、なんとなく表情が可愛い(笑) 一番小さいやつがコミカルなプロポーションで気に入りました。自宅が会津に(笑)

チェックアウト時には宿の皆さんが笑顔で見送っていただきました。ツルツル床とちょっと段差の大きい階段に最後まで母親が難儀して迷惑をかけてしまいましたが、逆に番頭さんや中居さんが申し訳なさそうにしていて、こちらもちょっと恐縮。皆さんこの宿で働くことに愛着があるようで、どなたも心から客人をもてなそうとする気持ちがにじみ出ていて、こちらも心より楽しませてもらいました。

名残惜しい気持ちもありながら、またこの宿に泊まろうという気持ちになる楽しい一泊でした。宿の皆さん、本当に有難うございました。



さて、この週は東北のいく先々ともに灼熱の天気。9時を過ぎて日差しも強くなってきました。この日は昨日寄り損ねた鶴ヶ城や飯盛山など会津若松の名所を巡る予定でしたが、炎天下の街歩きは特に高齢者にはデンジャラス。これまでの旅程で叔母には湯ノ湖の散策や茶臼岳プチ登山などが好評だったことを踏まえて、旅程を変え、猪苗代湖経由で五色沼方面にいこうということになりました。

東山温泉から会津若松市内を抜け、すぐに猪苗代湖に出られると思いきや、一山超える必要がありました。国道49号越後街道に出て東行するとしばらくで猪苗代湖が見えてきます。やはり湖の大きさに車内の一同「大きい!」と感嘆の声。自然は偉大ですね。しばらく湖沿いを進むと駐車スペースがありましたので車を停めてしばし休憩。

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あとから地図でみると、ここは猪苗代湖の北西端にある長浜湖水浴場の横の駐車場。駐車場はもちろん灼熱でしたが、湖を渡る風はやはり爽やか。なんとなく優雅な気分になります。湖水だけに波はほとんどなく穏やか。

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反対側をみると、観光地の定番、白鳥型の船が停泊しています。若かりし頃はこのような船はなんとなく観光地の雰囲気を壊すものとして受け入れがたい印象を持っていましたが、最近は逆に観光地らしい風情と妙にしっくりきます。こちらの器が大きくなったのでしょうか(笑) 単に歳をとっただけのような、、、(笑)

ちょっと休憩して出発。しばらく湖沿いを進むと左に逸れ、水田の中の道になります。右側に野口英世記念館などが出現、寄ってみる手もありましたが、脳内にはすでに五色沼パラダイスのイメージが充満していますので、先を急ぐことににしました。湖のほとりを走っているころから会津磐梯山の威容が視野に入っていました。嫁さんがやはりここらで会津磐梯山(民謡)をかけるでしょうとの一声に、車内も一気に盛り上がります。レンタカーなのでiPhoneをつないでApple Musicで会津磐梯山を検索してかけると、予想どおり大いに盛り上がりました。車内も眺望も会津磐梯山。合いの手の歌詞も最高。

「小原庄助さん 何で身上潰した 朝寝朝酒朝湯が大好きで それで身上潰した ハァモットモダーモットモダ」


この歌詞好きです。他人事とは思えません(笑)

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裏磐梯方面を指す看板で国道49号に別れを告げ、今度は国道115号を北上します。車窓に見える会津磐梯山が徐々に大きくなってきました。車内から嫁さんがパチリ。磐梯山の麓を巻くように走っていくとどんどん山の中に入り、ほどなく五色沼の入り口に到着。ホテル五色荘の方に入って車を止めます。駐車場から人ごみについて売店の方に上がっていくと、いきなり眺望が開けました!

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ここは五色沼の東端の毘沙門沼というところ。後ろの山は先ほど通ってきた磐梯山。磐梯山を裏側から眺めているということで、確かに裏磐梯です。沼の色の緑が深い。これは期待できます。しかもよく見ると湖面には手漕ぎボートを漕いで遊ぶ人たちがいるではありませんか。

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見晴らしの良いベンチから下をみると、すぐ下がボート乗り場。あんまりその気はありませんでしたが、ボートの上はさも涼しそうなので、母親に「ボート乗ってみるか?」と尋ねると、まんざらでもない様子。ボート乗り場に降りて行って確かめるとすぐに乗れそうです。ただし、ボートは3人乗りでこちらは4人旅。どうしようかと思っていると叔母は岸で待っているということで、母親と嫁さんを乗せてボートに乗ることにしました。

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久々のボート漕ぎですが、問題ありませんでした。普段週一回のスポーツクラブでのスイミングで鍛えていますので体力も問題なし。しかもボートは幼少時に父親と多摩川のボートに乗って鍛えられています。われながら見事なオールさばきで他のボートを尻目にスイスイ進みます。

澄んだ湖面に青空、そして磐梯山を眺めながらのボート漕ぎ。楽園ですね。場所によって水の色が変わり、水の中にはニジマスらしき魚影も見えます。

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毘沙門湖のまわりをグイグイ漕ぎながら進んでいると嫁さんが、私の影から母親が顔をリズミカルに出すので、「チューチュートレイン!」と言いながら笑い転げています。

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ボート乗り場からかなり奥に進むと水草がまるでモネの絵のように詩的に湖面に浮かびます。おそらくモネの見た景色もこのようなものだったのでしょう。波もなく穏やかな湖面で30分だけでしたが、久々にボート遊びを楽しみました。母親もまさかボートに乗るとは思ってもみなかったとつぶやいてましたので、良い思い出になったことでしょう。景色もそうですが、あのさわやかな風と静けさ、青空の感触は私にとっても貴重なひとときでした。ボートを返して岸に上がって叔母と合流。遠くからみていてもうちのボートの操船技術が他のボートとは段違いだったとニッコリ。みていて面白かったとのことで、こちらも一安心でした。

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このあと、こんどは散歩好きの叔母といっしょに湖岸を少し歩いてみました。ここ毘沙門沼だけでなく、五色沼を横断する五色沼自然探勝路が整備され、1時間少しのハイキングを楽しむことができます。ちょっと歩くと光の加減か湖の色が変わり、エメラルドグリーンに。

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いくつかの小さな湖がつながるような部分では錦鯉がしきりこちらに集まってきます。観光客から餌をもらえるのでしょうか。五色沼にはかなりの鯉がおり、お腹にハートマークのついた鯉もいて見ると幸せになるということでした。

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15分くらい歩いたところで上り坂になるので、引き返すことに。湯ノ湖もそうでしたが、美しい景色をみながらの散策は楽しいものです。それにひなたは暑いですが、木立の中を湖を吹き抜ける風を感じながら歩くのは快適。旅館食の消化にもいいですね。30分くらいの散策でしたが、五色沼の自然を堪能できました。

湖沿いに元来た道をもどって、母親の待つ屋根付きのベンチに戻ると、母親がワナワナしていて、ちょっとびっくり。どうも薬が切れたようで、手元に携帯などもなく、家族も散策に出かけてしまって不安だったようです。慌てて車に薬を取りに走り、飲ませてしばらくのんびりして落ち着きました。時刻はそろそろお昼。お腹が空いてきました。

この辺りで、軽めのお昼ということは、、、 そう、喜多方ラーメンです(笑) 一同脳内にラーメンが充満。桃源郷のような五色沼に別れを告げ、一路喜多方を目指します。

(つづく)

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なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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