【番外】夏の東北温泉紀行(その7)

(つづき) その1

この旅3日目の朝、かみのやま温泉の宿を9:00過ぎに出発。この日は仙台泊なので、当初は山形県内で酒蔵見学をしたり、名物の板蕎麦か冷やしラーメンなどをいただき、宮城に移動するというプランでした。しかし、東北に来たにもかかわらず、東京にいるような連日の酷暑。ということで平地での観光よりも涼しいところに行こうということで、予定を変更して少しでも涼しい蔵王に登ってみようということになりました。

ここかみのやま温泉からはすぐに蔵王に登る道に入れます。旅館の前を通る国道458号を北上、県道51号に入ると蔵王高原坊平の看板が見えます。看板の指示通りに右折すると、登りの一本道に入り、なだらかな登り坂をどんどん高度をあげていきます。ほどなく蔵王温泉とエコーラインの分岐を超えて、エコーラインに入ります。そのまま登っていき、猿倉スキー場を過ぎたあたりからカーブの連続。坊平高原を過ぎると一気に眺めがよくなります。冬の厳しい気候で木々がなびいて生えています。これが冬になると樹氷がついてまた違った景色になるのでしょう。ほどなく、リフト乗り場がありましたので車を降りてみます。

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空は紺碧。もちろん日照りも凄いのですが、ここまでくると気温が下がって下界ほどの暑さを感じません。蔵王まで来た甲斐がありました。リフトに乗ってみようということで乗り場に近づいていくと、8月いっぱいリフトは無料ということです。しばらく前まで火山の状態から入山規制がかかっており、その解除後、観光客の客足が戻るよう無料期間を設けているとのことでした。これはラッキーと高齢者を含む4人でリフトに乗ろうとすると、係の方から「おばあちゃんは、ちょっと危ないから、、、この先車で上まで上がれるからそちらにした方が楽ですよ」とのアドバイス。よく見るとリフトは一人乗りということで、確かに危ないかもしれません。

ということで、再び駐車場に戻り、車で先に進むと、すぐに蔵王ハイラインという有料道路の入り口がありました。前も来ているはずですが、あまり記憶もなく、料金を払って登っていくと蔵王山頂レストハウスにつきます。広い駐車場に止めようとすると、脚の悪い母親のためにレストハウス脇のスペースに誘導してくれました。

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この日は快晴。駐車場の係の人が、「今日は御釜クッキリ見えますよ」と満面の笑顔で案内してくれた通り、御釜のみならず周りの景色も最高。そして爽やかな風。

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この日の午前中は母親の薬の効き具合がいまひとつで、脚の動きも悪かったので、レストハウスで車椅子を借りて、レストハウスからすぐのところにある御釜を望む展望台まで車椅子で連れて行きます。車椅子を使うのは初めてのことですが、母親も上り坂を座ったままやり過ごせてよかったようです。

やはり高原の風はいいですね。青い空と緑の御釜、そして遠くに望む東北の山々。しばらくのんびりして、蔵王を後にします。

このあとはもちろんエコーラインを宮城側に降りて行きます。しばらく走って赤い鳥居のある蔵王入り口まで降りて、青根温泉方面に向かい、今度は国道457号で川崎インター方面に向かいます。一般道ですが車がほとんど走っておらず、快適な一本道。スイスイ進んでだいぶ高度が落ちました。途中コンビニに寄りましたが、車のドアを開けたとたん、蔵王とは別世界の灼熱地獄(笑)、危険です(笑)

このあとお昼をそろそろ気にする時間ですが、ちょっとした企みがありました。これまで3泊の旅館のフルコースの夕食、朝食をこなしていますので、ちょっと食傷気味。そこで、この日の昼食はかなりの変化球。もともと山形で板蕎麦などをと考えていましたが、すでに宮城に入っておりますので、宮城のこのあたりの名物ということで選んだのがこちら。

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食べログ:主婦の店さいち

秋保温泉にある小さなスーパー「主婦の店さいち」。ビジネス誌やテレビでも超有名なお店です。温泉街の小さなスーパーなのにお客さんが押し寄せるお店。有名なのがおはぎとお惣菜。スーパーのスタッフお手製のおはぎがあまりに美味しいので有名になり、おはぎやおそうざいが売上の過半を占める店とのこと。私が仙台在住時の2000年頃もあったのでしょうが、その存在を知らず、秋保には何度も来ていたのに寄ったことがなかったので、この度はじめて寄ることになりました。このさいちですがウェブサイトはないようすでしたので、上のリンクは食べログです。

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もちろんお目当てはおはぎです。旅館食に飽きた同乗者におはぎという変化球で対応しようというコンセプト。平日の炎天下のお昼にもかかわらず、駐車場には車がいっぱい。おはぎが売り切れていないか若干そわそわしながらお店に入ると、床にはおはぎコーナーにつならる矢印が(笑) このお店顧客心理を知り尽くしてます(笑) 矢印に導かれるまま奥に入ると、ありました。ゴマにあんこ。それに6個入り、3個入り、2個入り。潤沢な品揃え! 脳内に安堵感と幸福感が満ちてきます(笑) 横にはこちらもお手製のゆべし、背後には夢のような品揃えのお惣菜の数々。そしてお酒売り場には宮城のお酒の数々。こんなに幸福感に満ちたスーパーははじめてです。そして野菜の値段など東京とは別世界。それほど広いお店ではありませんが、ここに皆さんが通われる気持ちがよくわかります。

一同の胃袋の容量と、車内でつまむ都合、この後のもう一球の変化球の予定を考慮して、王道のあんこおはぎ2個入り2パックとくるみゆべしを4通購入。酒もいろいろ見たかったんですが、このあと仙台に入りますので割愛。

さっそく車にもどり、次なる目的地に向かう途中に、おはぎのパックを厳かに開き、一同つまみます。

なんでしょう、この、素朴な味わい。賞味期限はもちろんその日限りということでまったくの素朴な手づくり。たっぷりのあんこにつつまれていますが、程よい甘さ、、、というより甘すぎもせず、かといって物足りなさもない完璧なバランス。車中がおはぎの発する癒しのオーラにつつまれます。これは旨い。単におはぎというなかれ。このおはぎでこのお店が全国に轟き、観光客の心、地元の人の心、ビジネス誌の記者の猜疑心に満ちた心をも鷲掴みにした理由がわかりました。あとからいただいたくるみゆべしも絶品。私も甘党ではありませんが、このおはぎは気にいりました。またこのあたりに寄った際にはいただきたいものです。

車外の暑さも吹き飛び、同乗者もおはぎに舌鼓を打っている間、運転手である私は次なる変化球のため、目的地に向かっておりました。秋保温泉からまた一山超えてやってきたのは、仙台の郊外、定義山というところ。仙台の真の名物は牛タンでも寿司でもなく、定義山の三角揚げです。

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定義とうふ店

おはぎの幸福感に満たされながらも、おはぎ1個ではさすがにお腹も中途半端な状態。定義山の駐車場に車を停め、目的地の定義とうふ店に近づいていくと、5年前に寄った記憶とちょっと異なります。記憶の中のお店は古びた小さなお店ですが、リニューアルしたのでしょう、立派な建物に変わっていました。そして店頭の粗末なテーブルと丸椅子で食べたような記憶でしたが、屋根付きのテーブルまで用意され、近代化されています。味は変わっていないか心配しながら店内に入り、4人分の名物三角揚げとホロどうふというおぼろどうふをいただきます。なんと三角揚げは120円でホロどうふ100円。

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三角揚げはその場で揚げていた揚げたて。テーブルには専用の七味と醤油が置かれ、たっぷりの七味と醤油をかけていただきます。もちろん気温はおそらく35度くらいの灼熱。しかし、熱々の三角揚げはサクサク香ばしく、実に旨い。そしてホロどうふも豆の味がじんわりと舌につたわる味わい深いもの。同行者もそれぞれ絶賛。おはぎと豆腐という変化球でこの旅4日目のお昼を終えました。

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定義とうふ店の壁には仙台の七夕と花火のポスターが貼ってありましたが、この日が七夕前夜の花火の日です。そう、たまたまではありましたが、仙台に泊まる日は花火の日だったんですね。

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あまりに強い日差しに、母親の体調を考えると、定義山への参拝はちょっと危険です。車で次に向かおうかと母親に問うと、せっかくなので定義如来に参拝するとの返事。朝の蔵王では薬がいまいち効いていませんでしたが、おはぎと三角揚げからパワーを得たのか、炎天下にもかかわらず足取りも軽く、スタスタ歩いていきます。それえはということで、参拝することにしました。

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定義如来西方寺

定義山は仙台人にとっては、三角揚げを食べに来るところ、カブトムシを捕りに来るところ、芋煮会をしに来るところといったところでしょうか。肝心なお寺は宝永3年(1706年)に開かれた浄土宗のお寺。もともと壇ノ浦の戦いで敗れた平家の家臣肥後守平貞能が阿弥陀如来を携え定義と名乗ってこの地に隠れたことから、この辺りを定義山と呼び、阿弥陀如来も定義如来と呼ばれるようになったということです。正面のお堂は本堂ではなく、貞能公御廟。

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夏の日中ゆえ境内は静かそのもの。ジリジリと照りつける太陽を避けながら参拝します。

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貞能公御廟も入口の山門にも、実に彫りの深い彫刻が施されれいますが、調べてみたところこれは仙台の彫師石井寅正という人の手になるものとのこと。暑いなか軒裏を見上げて皆感心しきり。

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掲示に「東日本大震災の犠牲者の御供養を無償で営んでおります」と書かれており、震災から4年以上が経過してもまだまだ心の傷は癒えるはずもないことを思い知らされます。夏の日差しのなか、なんとなく考えさせられることばです。

定義山に三角揚げを食べにくるのはもう何度目かわかりませんが、とうふを食べにくる度に西方寺にはお参りしています。ちょっと順番が逆な気がしないでもありませんが、お参りする気持ちの純粋さに変わりはありませんので、お許しいただきたいと思います。お賽銭を投げ、ろうそくと線香を供えてこの先の旅の無事を祈って西方寺を後にしました。



触れないほど熱くなった車に乗り込み出発します。時刻は14:00くらい。そろそろ仙台市内に向かってもいい時刻です。もと来た道をもどり、国道48号まで戻ります。実はもう一箇所訪問予定地がありましたが母親の体力もちょっと心配なので、寄るかどうか尋ねると大丈夫な様子。ということで、ほぼ運転手である私のニーズで立ち寄ったのがこちら。

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ニッカウィスキー宮城峡蒸留所

ニッカの仙台工場ですが、そもそも仕事で仙台に住んでいたころ、仙台市内の三越裏の細い路地裏にあった時浪屋というショットバーでシングルモルトに開眼して以降、シングルモルトはかなり集めて飲みました。以来このニッカ宮城峡蒸留所には何回か通ってウィスキーをいろいろ仕入れて楽しみました。私にとってはウィスキーの聖地。その後東京にもどってからも、サントリーの白州蒸留所、山崎蒸留所、キリンの御殿場蒸留所などいろいろ行ってますが、ここニッカの宮城は最も環境が整ってます。広大な敷地にウィスキーを寝かせておく多数の倉庫が立ち並び実に自然も豊か。久しぶりの訪問にちょっとときめきます。時間の都合と母親の体調も考慮して、見学ツアーには参加せず、売店のみの立ち寄りでしたが、楽しかった。

ドライバーゆえ試飲はできませんが、歴代のモルトの香りを楽しめるコーナーがあり、これが良かった。

もともとサントリーよりもニッカ好きゆえ、力強いニッカのモルトの香りは鼻から脳内に染み渡ります。この宮城醸造所のモルトの1980年代のモルトのブレンド、同じく90年代、2000年代の3種の香りを楽しみましたが、1980年代のモルトの強烈なのに花が咲いたような可憐な香りが図抜けて素晴らしかった。実はこのモルト買うことができるのですが、えらく小さな瓶で1万以上。夢のような素晴らしい香りにかなり揺れ動いたのですが、分不相応ということで、諦め、代わりにお土産にいただいたのがこちら。

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おそらく、ここでしか売っていない宮城峡の「フルーティ&リッチ」。先ほど香りを楽しんだ1980年代のモルトに際立ったフルーティな香りが乗っていたので選んだもの。これでも普通の瓶より小さめの500mlで結構なお値段ですが、長距離ドライブのご褒美と嫁さんに呪文を唱えてどさくさに紛れて購入。まだ開栓していませんが、開けるのが実に楽しみです。

さあ、これで悔いなく仙台市内に入れます。作並温泉のちょっと手前のニッカから出発し、国道48号を東行。青葉山を抜けるトンネルをくぐると、この旅最後の宿泊地、仙台です。

懐かしい~!

(まだ、つづく)

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なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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