カール・ミュンヒンガー/シュツットガルト室内管の告別、オックスフォード(ハイドン)

年末でいろいろバタついており、ちょっと間が空いてしまいました。今日はコレクションの意外な盲点だったアルバム。

Munchnger4592.jpg
amazon

カール・ミュンヒンガー(Karl Münchinger)指揮のシュツットガルト室内管弦楽団(Stuttgarter Kammerorchester)の演奏による、ハイドンの交響曲45番「告別」、92番「オックスフォード」の2曲を収めたアルバム。収録年や場所はこのアルバムには記載がありません。レーベルはINTERCORD。
カール・ミュンヒンガーはバロック音楽の巨匠という存在ですが、ハイドンの録音もそこそこあり、ウィーンフィルや、シュツットガルト室内管との交響曲や天地創造にミサ曲、フルニエとのチェロ協奏曲などがあります。これまで2度ほど取り上げておりますので、略歴などは小オルガンミサの記事をご参照ください。

2012/08/30 : ハイドン–協奏曲 : ピエール・フルニエ/カール・ミュンヒンガーのチェロ協奏曲2番
2011/08/03 : ハイドン–声楽曲 : カール・ミュンヒンガー/ウィーンフィルの小オルガンミサ

所有盤リストに登録するにも録音年がわからないアルバムは悩みの種。ネットでいろいろ調べてみると告別の方は1951年10月1日、スイス、ジュネーヴのヴィクトリアホールで録音したというLPの情報がでてきますが、今日取り上げるCDの録音はステレオで1951年録音というクォリティではなく、音の鮮度はかなりいいもの。他に今日のアルバムの2曲に48番「マリア・テレジア」、88番を加えた4曲を収めた2枚組のLPがINTERCORDからリリースされており、そのアルバムの表記に1980年とあることから、1980年頃の録音ではないかと想像していますが、あまり自信もありません。この辺のことがわかる方がいらっしゃいましたら是非情報をいただきたいところです。
ミュンヒンガーは1915年生まれで1988年で引退していますので、もし1980年頃の演奏だとすれば65歳の頃ということになります。
このアルバムを取り上げたのは、もちろん演奏が素晴らしいからに他なりません。落ち着いて堂々とした古き良き時代のハイドンの交響曲の演奏の代表例といっていいでしょう。

Hob.I:45 Symphony No.45 "Farewell" 「告別」 [f sharp] (1772)
ゆったりとした、しかし揺るぎない構築感を感じるテンポでの入り。先に触れたように録音はステレオで実体感もあり、残響も程よく乗った非常に聴きやすいもの。弦楽器の響きの美しさもなかなか。1楽章はインテンポで攻めてくる演奏も多いですが、ミュンヒンガーはじっくりとテンポを動かさず、確信に満ちた堂々とした演奏が当然と言わんばかりの安定感重視の入り。
弱音器をつけた弦楽器によるアダージョの入りも同様、一定のテンポでしっかりとした足取り。ただしこの楽章の要であるデリケートなニュアンスの表現は秀逸。よく聴くとフレーズごとに非常に表情豊かで、しっかりと起伏と変化をつけていきます。ホルンや木管の響きの美しさも手伝って、聴き応え十分。
メヌエットでもこのテンポしかないと感じるほどの安心感を感じる入り。弦楽器に音を重ねるホルンの響きの美しさが印象的。テンポがしっかりと安定することで、素晴らしい安定感をもたらすということがよくわかります。
そして、この曲の目玉のフィナーレ。やはりここで、少しギアチェンジして緊張感が高まります。ここではじめてインテンポになりますが、程よい範囲で曲想の変化をしっかり印象付けます。そして奏者が一人ずつ退場していく後半のアダージョも実に落ち着いた表現で淡々と曲想に沿ってメロディーを進めていきますが、淡々とした表情がかえって情感を深めていくよう。最後にヴァイオリンが残るあたりもヴァイオリンの音色が徐々に失われる描写が見事。ミュンヒンガーの演奏は古さを全く感じさせないオーソドックスな名演と言っていいでしょう。

Hob.I:92 Symphony No.92 "Oxford" 「オックスフォード」 [G] (1789)
2曲目はオックスフォード。こちらも告別同様、録音は悪くはありません。おそらく同時期の録音と想像できます。演奏スタイルは告別と同じくオーソドックスなもの。そしてしっかりと地に足のついたテンポで曲を描き、ハイドンの描く美しいメロディーから沸き立つ情感をあますところなく伝える名演奏。1楽章のキリリと引き締まった表情、2楽章の実にニュアンス豊かな表現、そしてメヌエットのおおらかさとハイドンの交響曲の普遍的な魅力を実によく踏まえた演奏。フィナーレの入りはやはり格別軽やかな表情が魅力的。以前聴いた朝比奈隆盤で、この楽章の入りのメロディーについて認識を新たにしたんですが、ミュンヒンガーもそれに劣らず、繊細な扱いをみせました。適度な推進力と落ち着いたテンポで進み、最後は落ち着き払って堂々たるフィニッシュを迎えます。このオックスフォードもハイドンの交響曲のオーソドックスな名演と言っていいでしょう。

昔はヴィヴァルディの四季の演奏で日本でもよく知られていたカール・ミュンヒンガーと、手兵、シュツットガルト室内管によるハイドンの名交響曲2曲の演奏。録音年代が今ひとつはっきりしませんが、この演奏は見事。ハイドンの交響曲の面白さをよくわかった演奏であり、この揺るぎない説得力は流石と言わざるを得ません。録音のコンディションも良く、お勧めのアルバムですが、残念ながら入手は難しいでしょう。評価は[+++++]とします。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : 告別 オックスフォード

コメントの投稿

非公開コメント

国内盤LPでは、オックスフォードとV字が1980年1月録音となってます。

告別と48番は、国内盤が目下行方不明で確認出来ず。

片手落ちな情報ですみません。

Re: タイトルなし

小鳥遊さん、情報ありがとうございます。
早速所有盤リストの記載に反映させていただきました!
プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

最新記事
カテゴリ
タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

アンダンテと変奏曲XVII:6ショスタコーヴィチベートーヴェン紀尾井ホールドビュッシーラヴェルストラヴィンスキーピアノ三重奏曲ミューザ川崎協奏交響曲LPオーボエ協奏曲日の出ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:49ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:20ピアノソナタXVI:29ピアノソナタXVI:38サントリーホールスタバト・マーテルピアノソナタXVI:46ピアノソナタXVI:48ピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:39ブルックナーマーラーヒストリカル十字架上のキリストの最後の七つの言葉告別交響曲90番交響曲97番奇跡アレルヤ交響曲99番交響曲18番弦楽四重奏曲Op.64ひばりフルート三重奏曲悲しみ交響曲102番ラメンタチオーネモーツァルト交響曲86番ヴァイオリン協奏曲哲学者驚愕小オルガンミサニコライミサミサブレヴィス交響曲95番交響曲93番弦楽四重奏曲Op.20交響曲78番時計軍隊ピアノソナタXVI:23王妃ピアノソナタXVI:52ライヴ録音SACD武満徹チェロ協奏曲交響曲19番古楽器交響曲全集交響曲81番交響曲80番マリア・テレジア交響曲21番豚の去勢にゃ8人がかりクラヴィコード騎士オルランド無人島Blu-rayチェロ協奏曲1番東京オペラシティ交響曲10番交響曲9番交響曲12番交響曲11番ロンドン太鼓連打交響曲4番交響曲2番交響曲15番交響曲1番交響曲37番弦楽四重奏曲Op.54ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:2ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:5ピアノソナタXVI:3ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:4天地創造ディヴェルティメントリヒャルト・シュトラウス東京芸術劇場交響曲98番ピアノソナタXVI:35ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:36ライヒャドニぜッティロッシーニピアノソナタXVI:34弦楽三重奏曲皇帝ピアノ協奏曲XVIII:3シェーンベルク東京文化会館フルート協奏曲ホルン協奏曲弦楽四重奏曲Op.2弦楽四重奏曲Op.17弦楽四重奏曲Op.9剃刀弦楽四重奏曲Op.77弦楽四重奏曲Op.103ピアノソナタXVI:31ピアノソナタXVI:26ファンタジアXVII:4タリスモンテヴェルディパレストリーナバードアレグリすみだトリフォニーホールピアノ協奏曲XVIII:11ピアノソナタXVI:6美人奏者四季交響曲70番迂闊者ピアノ協奏曲XVIII:7アコーディオンピアノ協奏曲XVIII:4バリトン三重奏曲スコットランド歌曲ガスマンヴェルナーシューベルト交響曲67番ピアノソナタXVI:24交響曲46番交響曲35番交響曲51番DVD交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:28ピアノソナタXVI:21アリエッタと12の変奏XVII:3帝国ラ・ロクスラーヌハイドンのセレナード弦楽四重奏曲Op.76ピアノソナタXVI:51ラルゴ五度ピアノソナタXVI:44ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.1弦楽四重奏曲Op.33弦楽四重奏曲Op.74騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス交響曲42番時の移ろいベルリンフィルホルン信号弦楽四重奏曲Op.55交響曲87番トランペット協奏曲リュートピアノソナタXVI:10ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6ピアノ五重奏曲チェチーリアミサラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン東京国際フォーラム雌鶏交響曲39番冗談ナクソスのアリアンナ英語カンツォネッタ集ピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタバッハ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2交響曲79番ロンドン・トリオ交響曲88番オックスフォードモテットドイツ国歌オフェトリウムカノン弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールパッヘルベルアダージョXVII:9受難交響曲84番パリセットブーレーズベルク主題と6つの変奏弦楽四重奏曲Op.71オペラアリアピアノソナタXVI:41スクエアピアノ交響曲57番交響曲68番リラ・オルガニザータ協奏曲リーム交響曲50番交響曲89番CD-R偽作トビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師オルガン協奏曲火事交響曲38番リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲34番交響曲77番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日校長先生ピアノソナタXVI:47bisピアノソナタXVI:11音楽時計曲ピアノ小品カートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲66番交響曲91番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47第九読売日響オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7オペラ序曲天地創造ミサジャズネルソンミサ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルン哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェライヴ府中の森芸術劇場裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャマリアテレジア交響曲56番交響曲27番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ新橋演舞場交響曲5番テ・デウムサルヴェ・レジーナカッサシオン室内楽曲ピアノソナタXVI:45ベトナム料理国立新美術館高音質CD交響曲28番交響曲13番交響曲107番変わらぬまこと交響曲108番交響曲62番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲交響曲3番スカルラッティ声楽曲カンタータ戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲54番交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中交響曲58番ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲65番交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽狩りピアノソナタ

ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
05 | 2018/06 | 07
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

音楽家、音大生、音楽愛好家のブログランキング。
音楽ブログランキング

このブログの成分解析。キーワードによるブログランキング。
blogram投票ボタン

大家さんFC2のクラシックブログランキング。


おすすめ(音楽)
当ブログが発掘した超名演盤
ViventeR.jpg
衝撃の爆演(記事1 記事2

PetersenQ.jpg
Op.1の超名演(記事

Destrube.jpg
美音の饗宴(記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック


クラシックの独自企画・復刻盤は要注目


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実
HMVジャパン
HMV & BOOKS ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV & BOOKS ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

おすすめ(音楽以外)





アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
159位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
12位
アクセスランキングを見る>>
twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ