ホーレンシュタイン/ウィーン・プロ・ムジカ交響楽団の時計(ハイドン)

久々にヒストリカルもの。未聴のCDとLPがほぼ同時に手に入りました。

Horenstein101.jpg
amazon

ヤッシャ・ホーレンシュタイン(Jascha Horenstein)指揮のウィーン・プロ・ムジカ交響楽団(Pro Musica Symphony, Vienna)の演奏で、ハイドンの交響曲101番などを収めたCD。収録は1957年とだけ記載されています。レーベルはVOX LEGENDS。他に南西ドイツ放送交響楽団とのベートーヴェンの「英雄」も収められています。

LPの方はこちら。

IMG_4785_2016011822503749b.jpg

CDと同じ演奏である「時計」と、同じくウィーン・プロ・ムジカ交響楽団による「ロンドン」を収めたLPです。ちょっとここで気づいたのが、ホーレンシュタインの「天地創造」のCDにウィーン交響楽団との「ロンドン」が収められていますが、そちらも同時期の演奏でかつレーベルもVOXということで、いろいろネットを検索してみたところ、ウィーン・プロ・ムジカ交響楽団とはウィーン交響楽団の別称ということがわかりました。ということで「ロンドン」もCD、LPともに揃ったことになります。

ホーレンシュタインの演奏は過去にライヴを取り上げています。略歴などの情報はそちらをご覧ください。

2013/01/28 : ハイドン–交響曲 : ホーレンシュタイン/フランス国立管弦楽団の軍隊ライヴ

もともと私はホーレンシュタインやシェルヘンなど、コンセプチュアルな演奏をする指揮者は好きな方です。特にホーレンシュタインの構えの大きな音楽はなかなか真似の出来るものではありません。上の軍隊のライヴも絶品でした。そして唯一未入手だった時計がCDとLPで手に入ったということで、これを取り上げない訳にはまいりませんね。

Hob.I:101 Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
この演奏、CDはゆったりと落ち着いた柔らかな音色。そしてLPはあまりコンディションの良いものではありませんでしたが、それでも切れ込むような鋭利な響きと立体感は感じられるもの。入手のしやすさを考慮して、以下はCDを中心にレビュー。落ち着き払ってゆったりとした序奏。このゆったりとした中に構築感を感じさせるところがホーレンシュタインの凄み。主題に入るとメロディが滑らかに、適度な力感を持って流麗に響きます。ピニンファリーナのデザインした車の曲線のような完璧な調和。CDではオケがかなり遠方に定位しながらも、徐々に迫力を帯びて盛り上がっていきますが、力感と流麗さのバランスが見事で聞き応え十分。成熟期のハイドンの素晴らしい筆致が実に鮮やかに浮かび上がります。アポロン的に完璧に響きが調和します。完璧なプロポーション。幾分古い録音から浮かび上がる白亜の神殿のような圧倒的な姿。
そして2楽章のチクタクアンダンテ。ゆったりと優雅典雅流麗に時が流れます。演奏スタイルとしては古いものですが、この時計の癒しに満ちたメロディーに古さは感じられません。完璧にリラックスした音楽が流れます。中盤からの盛り上がりも余裕たっぷりにおおらかなもの。何回かの転調で変奏を重ねるごとに音楽が燻され、味わい深くなっていきます。時代を超えた素晴らしい説得力。ホーレンシュタインは楽譜の余白から音楽の構造を精緻に読み取り、音にしていく類い稀な感覚の持ち主なんですね。
メヌエットは穏やかさをたもちながら、ちょっと荒れたよう表情を感じさせる絶妙な演出。メロディーが実にいきいきと踊り、リズムもこれしかないというハマり方。中間部のフルートのなんとデリケートなこと。ここまで優雅に歌うメヌエットはなかなかありません。見事。
そして時計の総決算のフィナーレ。すべてのメロディーをしっとりと響かせながら、徐々にスロットルを開いていき、落ち着きを保ちながらクライマックスにひたひたと近づいていきます。オケの厚みを増しながらスロットル全開! この余裕に満ちたクライマックスへもってくるコントロール力は素晴らしいものがあります。最後は再び白亜の神殿を思わせる完璧なプロポーションを印象付けます。

LPの方はオケのリアリティがあり、スクラッチノイズは少々多めなものの、タイトな響きの魅力も味わえます。

今から50年以上前に録音されたホーレンシュタインの時計。時計という曲にハイドンが仕込んだ優雅な気配を汲み取り、素晴らしい演奏でまとめられました。時代は流れ、演奏スタイルも楽器も変わりましたが、このホーレンシュタインの時計は、そうした時の流れを超えて、この曲の一つの理想的な演奏として変わらぬ価値を保ち続けるでしょう。時計の名演奏として多くの人に聴いていただくべき価値があると思います。CDはまだまだ手に入りますので、未聴の方は是非。評価はもちろん[+++++]とします。

さて、手元には湖国JHさんから色々アルバムが届いております。またまた隠れた名盤を紹介できますね。お楽しみに!

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : 時計 LP

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

最新記事
カテゴリ
タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

古楽器ラメンタチオーネアレルヤ交響曲3番交響曲79番チェロ協奏曲1番オックスフォード驚愕交響曲88番交響曲19番交響曲58番交響曲27番アンダンテと変奏曲XVII:6ショスタコーヴィチベートーヴェン紀尾井ホールラヴェルストラヴィンスキードビュッシーピアノ三重奏曲ミューザ川崎LP協奏交響曲オーボエ協奏曲日の出ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:49ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:20ピアノソナタXVI:29ピアノソナタXVI:38サントリーホールスタバト・マーテルピアノソナタXVI:39ピアノソナタXVI:48ピアノソナタXVI:46ピアノソナタXVI:37ブルックナーマーラー十字架上のキリストの最後の七つの言葉ヒストリカル交響曲90番告別交響曲97番交響曲99番交響曲18番奇跡ひばり弦楽四重奏曲Op.64フルート三重奏曲悲しみ交響曲102番モーツァルト交響曲86番ヴァイオリン協奏曲哲学者小オルガンミサミサブレヴィスニコライミサ交響曲95番交響曲93番弦楽四重奏曲Op.20交響曲78番時計軍隊ピアノソナタXVI:23王妃ピアノソナタXVI:52ライヴ録音SACD武満徹チェロ協奏曲交響曲80番交響曲全集交響曲81番交響曲21番マリア・テレジアクラヴィコード豚の去勢にゃ8人がかり騎士オルランド無人島Blu-ray東京オペラシティ交響曲9番交響曲12番交響曲11番交響曲10番ロンドン太鼓連打交響曲15番交響曲4番交響曲2番交響曲1番交響曲37番弦楽四重奏曲Op.54ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:2ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:3ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:5天地創造ディヴェルティメントリヒャルト・シュトラウス東京芸術劇場交響曲98番ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:35ピアノソナタXVI:7ロッシーニドニぜッティライヒャピアノソナタXVI:34弦楽三重奏曲皇帝ピアノ協奏曲XVIII:3シェーンベルク東京文化会館フルート協奏曲ホルン協奏曲弦楽四重奏曲Op.2弦楽四重奏曲Op.17弦楽四重奏曲Op.9剃刀弦楽四重奏曲Op.77弦楽四重奏曲Op.103ピアノソナタXVI:26ピアノソナタXVI:31ファンタジアXVII:4バードタリスアレグリパレストリーナモンテヴェルディすみだトリフォニーホールピアノ協奏曲XVIII:11ピアノソナタXVI:6美人奏者四季迂闊者交響曲70番アコーディオンピアノ協奏曲XVIII:7ピアノ協奏曲XVIII:4バリトン三重奏曲スコットランド歌曲ガスマンヴェルナーシューベルト交響曲67番ピアノソナタXVI:24交響曲35番交響曲51番交響曲46番DVD交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:28ピアノソナタXVI:21アリエッタと12の変奏XVII:3帝国ラ・ロクスラーヌ弦楽四重奏曲Op.76ハイドンのセレナードピアノソナタXVI:51ラルゴ五度ピアノソナタXVI:44ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.1弦楽四重奏曲Op.33弦楽四重奏曲Op.74騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス交響曲42番時の移ろいベルリンフィルホルン信号弦楽四重奏曲Op.55交響曲87番トランペット協奏曲ピアノソナタXVI:10リュートピアノ五重奏曲ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6チェチーリアミサ東京国際フォーラムラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン雌鶏交響曲39番冗談英語カンツォネッタ集ナクソスのアリアンナピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタバッハ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2ロンドン・トリオオフェトリウムモテットドイツ国歌カノン弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールパッヘルベルアダージョXVII:9受難パリセット交響曲84番ブーレーズベルク主題と6つの変奏弦楽四重奏曲Op.71オペラアリアピアノソナタXVI:41スクエアピアノ交響曲68番交響曲57番リラ・オルガニザータ協奏曲リーム交響曲89番交響曲50番CD-R偽作トビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師オルガン協奏曲交響曲38番火事リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲34番交響曲77番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日校長先生音楽時計曲ピアノ小品ピアノソナタXVI:47bisピアノソナタXVI:11カートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲91番交響曲66番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響第九オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7オペラ序曲天地創造ミサジャズネルソンミサ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルン哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェライヴ府中の森芸術劇場裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャ交響曲56番マリアテレジア2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ新橋演舞場交響曲5番テ・デウムサルヴェ・レジーナカッサシオン室内楽曲ピアノソナタXVI:45ベトナム料理国立新美術館高音質CD交響曲28番交響曲13番交響曲108番交響曲107番交響曲62番変わらぬまことジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲スカルラッティカンタータ声楽曲戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲54番交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲65番交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽狩りピアノソナタ

ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
06 | 2018/07 | 08
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

音楽家、音大生、音楽愛好家のブログランキング。
音楽ブログランキング

このブログの成分解析。キーワードによるブログランキング。
blogram投票ボタン

大家さんFC2のクラシックブログランキング。


おすすめ(音楽)
当ブログが発掘した超名演盤
ViventeR.jpg
衝撃の爆演(記事1 記事2

PetersenQ.jpg
Op.1の超名演(記事

Destrube.jpg
美音の饗宴(記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック


クラシックの独自企画・復刻盤は要注目


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実
HMVジャパン
HMV & BOOKS ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV & BOOKS ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

おすすめ(音楽以外)





アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
165位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
11位
アクセスランキングを見る>>
twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ