バッハ・コレギウム・ジャパンの「水上の音楽」など(調布音楽祭)

先週日曜の6月26日はお隣、調布で開催されていた調布音楽祭のコンサートに出かけました。

調布音楽祭 2016

この音楽祭、twitterなどで存在は知っていたものの、あまり興味を持っていたわけではありませんでしたが、前記事で書いたトン・コープマンのオルガンリサイタルの入場時に配られたチラシで見て、奏者と選曲を見てようやく興味を持つに至り、慌ててチケットを取った次第。いやいや、コンサートでもらうチラシはそれなりに効果があると実感した次第(笑)

調布音楽祭のエグゼクティブ・プロデューサーは、今や世界のバッハ演奏をリードするバッハ・コレギウム・ジャパン率いる鈴木雅明さんの息子の鈴木優人さんということで、バッハ・コレギウム・ジャパンとそのメンバーが音楽祭の軸として活躍しているというわけ。この日のプログラムは鈴木雅明指揮のバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏で、バッハの管弦楽組曲3番、ヘンデルの「水上の音楽」という名曲の組み合わせ。

そもそもバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏するバッハのアルバムはマタイ、ヨハネ、ロ短調などを収めた10枚組のセットやカンタータ集が手元に何枚かあり、西欧の文化とは異なる視点で組み立てられたバッハの演奏の素晴らしさは知ってはいました。ただ、日頃ハイドン漬けの日々を送る筆者にとって、バッハはあまりにも奥が深い巨人ということで、ちょっと敷居が高い印象を持っていました。これまで実演に触れることができる機会が何度かあったものの、その度にチケットを取るまでに至りませんでしたが、今回は私の住む狛江のすぐ隣りの調布でのコンサートということと、日程も合ったという運も重なったわけです。

調布音楽祭については、上でリンクしたサイトを参照いただきたいのですが、2013年に始まり、今年は4年目ということで、ある程度定着してきている音楽祭だということがわかります。この日のコンサートはその調布音楽祭のフィナーレを飾るコンサートということで、音楽祭の重要なプログラムという位置づけでしょう。

せっかくの機会でしたので、鈴木雅明、鈴木優人両氏の略歴をWikipediaなどからさらってみると、鈴木雅明さんは藝大出身でオランダのスウェーリンク音楽院で、なんとトン・コープマンにチェンバロを師事しているんですね。今回コープマンのコンサートで配られたチラシを見てこのコンサートに気付いたのには訳があったんですね(笑)。1990年にバッハ・コレギウム・ジャパンを設立、以後の活躍はみなさんご存知の通りです。鈴木優人さんは同じく藝大出身でオランダ、ハーグ王立音楽院、アムステルダム音楽院を卒業。2002年からバッハ・コレギウム・ジャパンでチェンバロ、オルガンの演奏を担当しています。2012年には英グラモフォン・アワード(英語版)総合大賞を受賞するなど日本のみならずヨーロッパでも実力が認められています。調布音楽祭のエグゼクティブ・プロデューサーも納得です。

さて、コンサート会場は調布駅前の調布市グリーンホール。ここには歌舞伎や矢野顕子のコンサート(笑)で来たことがありますが、クラシックのコンサートで来るのははじめて。調べてみると1977年に完成したホールで、もうすぐ40年という古いホール。自宅から車ですぐということで、非常に便利ですね。

IMG_6003.jpg

ちょうど開場直後にホールに着きました。この日の席は2階席の右側。直前に取った席にしてはまあまあのところ。ホールも1300席ということで小規模オケにはちょうどいい大きさ。

IMG_6001.jpg

開演までの時間、2階のロビーでのんびりしていました。

開演時間になり、奏者が入場するのかと思いきや、鈴木雅明さんがマイクをもって登壇。この日の演奏曲目を丁寧に解説。バッハとヘンデルが同じ年に生まれたことや、その後バッハがドイツ国内にとどまったのに対し、ヘンデルはイタリア、イギリスに渡って活動したこと、両者とも大食漢だったこと、そして生涯一度も会うことがなかったが、同じ医者に目の手術をされたことなど、エピソードを交えてわかりやすい解説でした。

1曲目のバッハの管弦楽組曲は、さすがに演奏しなれている様子。ホールはクラシック音楽の演奏には少々響きが足りない感じでしたが、2階席でも鮮明に聴こえてそこそこ楽しめました。これまでのアルバムで聴いていたバッハ・コレギウム・ジャパンは淡々とした演奏から情感が滲み出すような静的な印象を持っていたんですが、流石にライヴだけあって、予想以上にダイナミック。大きなうねりと繊細な部分、演奏の難しい古楽器のトランペット3本が時折音が外れますが、なかなかの迫力。若松夏美さんをはじめとする弦楽器陣は流石に安定して素晴らしい演奏。なかでも目立って旨かったのがオーボエでした。

休憩を挟んで、今度はヘンデル。ヘンデルも一通り昔は聴いて、アルバムも手元にいろいろあるのですが、ハイドンに比べると、祝祭的、悪く言うとドンチャン系音楽的な印象があり、最近はあまりアルバムに手を伸ばすこともありません。もともと3つの組曲として知られていましたが、最近の研究により22曲の一かたまりの組曲として作曲されたとの説が有力とのことで、この日もそれに沿った演奏でした。ヘンデルの方は、先ほどの編成にナチュラルホルンなどが加わり、特に金管楽器が大活躍。トランペットとホルンが交互にメロディーを吹いたり、フラウト・トラヴェルソやリコーダー、タンバリンやトライアングルが効果的に使われるなど、アルバムだとよほど注意深く聴いていないと印象に残らないところが、コンサートだと実によくわかります。演奏はヘンデルの曲の祝祭的で分かりやすい構造をくっきりと描き、古楽器による独特の高揚感を感じさせる秀演。派手な部分の印象が強い曲でしたが、繊細な印象もありヘンデルを少々見直しました。音楽の起伏の深みのようなものは、先ほどのバッハの完成度にはおよばない印象もありましたが、これは曲自体やバッハは奏者もバッハは十八番であるということだと思います。もちろん迫力は十分で、全22曲の大曲を見事に構築。お客さんも楽しんでいたよう。チェンバロの鈴木優人さんも終始いきいきとしたリズムを刻んで音楽を引き締めていました。

最後はエグゼクティブ・プロデュサーの鈴木優人さんが音楽祭を総括。そして水上の音楽の最も有名なファンファーレの部分を最後にもう一度演奏して幕となりました。

調布音楽祭は来年も同時期に開催されるとのことで、地元の貴重なイベントとして、また聴きに来てみたいと思います。また、パンフレットに挟まれたチラシには秋にバッハ・コレギウム・ジャパンのロ短調ミサのコンサートの案内が。チラシが連鎖しそうです。先日聴いた、ラ・プティット・バンドのマタイ、このバッハ・コレギウム・ジャパンと、コンサートではハイドンから浮気状態が続きそうです(笑) 

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なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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