【番外】秋の伊豆紀行

10月は母親姉妹の誕生月。今年で母親は80歳、叔母が76歳、2年前に亡くなった叔父が生きていれば78歳の誕生日を迎える月です。叔父が亡くなる前に母親方の祖母の故郷である出雲に大旅行に出かけた件は以前ブログに書きましたが、それ以来、なんとなく毎年毎年が貴重な時間ということで節目には叔母を伴って旅行に出かけるようになりました。この10月も母親も叔母も旅行に出かける元気は残っているということで、誕生祝いの旅行に出かけることにした次第。タダでさえハイドンのレビュー数が伸びない中ですが、しばし旅行記にお付き合いください。

旅行への出発前夜にパーヴォ・ヤルヴィ/N響のマーラーを聴きに行ってしまい、帰ってきた週中に武満、週末にオッコ・カムとハイドンどころか、コンサート3発、おまけに仕事もバタバタということで、後先考えずに予定を入れたため、なんだかハチャメチャになりながら、コンサートレポートをようやく書き上げ、最後に家族からの暗黙のプレッシャーで旅行記にようやくこぎつけた次第です。

今回は企画も直前。今年の夏休みは7月に叔母を伴って信越方面に2泊3日で出かけましたが、その時泊まった妙高高原の赤倉観光ホテルのグループから、赤倉や中伊豆のホテルのお得意様向けのお得なプランのDMが届きます。それらを眺めながら10月の母親姉妹の誕生祝いに泊まろうかと嫁さんと相談していたのですが、赤倉の方もこの夏で2度目、伊豆の方の宿も母親連れで2度ほど泊まったこともあり、どちらもいい宿なんですが、今回は今まで行ったことがない宿の方が良かろうということで、それほど遠くない伊豆で新たに宿を探して1泊旅行に出かけようということになりました。宿の予約は直前ゆえ土日はむずかしいということで、私が1日仕事を休んで、金曜泊との予定を組んだ次第です。



出発したのは10月7日、体育の日を含む3連休前の金曜日。前日はサントリーホールでパーヴォ・ヤルヴィのマーラーの大曲3番を聴いておおいに楽しみ、反省会でほろ酔い加減で帰宅。帰ってバタンキューと眠りについて、起きたら旅に出発です(笑)

いつもはかなり早い時間に出発するのですが、流石にそれはハードということで、出発したのは朝7時過ぎ。いつものように新宿に叔母を迎えに行きますが、世の中は平日の通勤時間帯。やはり新宿へこの時間に行くのは少し時間がかかります。いつもより少々時間がかかって叔母をピックアップして伊豆に向かおうとしますが、iPhoneのGoogleマップへ伊豆方面をセットすると、なんと新宿から東名ではなく中央高速に乗るようにガイドしてきます。調べてみると東名横浜インターの辺りが真っ赤に渋滞表示。中央高速の八王子から圏央道で東名厚木に抜けて行く方が速いということがわかり、急遽中央高速に乗ることにします。最近は車のカーナビよりもGoogleマップの方が渋滞を踏まえた到着時間が正確に予測されることがわかり、ここぞというときはGoogleマップを使うようにしています。

中央高速は調布辺りまでダラダラしていたものの、あとは渋滞なく、圏央道も快調、スイスイ進んで、東名でいつも立ち寄る御殿場手前の鮎沢パーキングエリアまでひとっ飛び。晴天ではありますが、残念ながら富士山は雲に隠れて顔を出しません。

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手前の海老名サービスエリアとこの先の足柄サービスエリアは広くて色々あるのですが、鮎沢はなんとなくいつも空いててのんびりできるので気に入ってます。何と言っても脚の悪い母親連れだと車からトイレの距離が近いのが一番なんですね。この時点で、もう11時近くになっています。この日の最初の行き先はこの少し先。

鮎沢を出ると、すぐに足柄、御殿場とすぎ、新東名への分岐になります。新東名側に入って間も無く、長泉沼津で新東名を下ります。市街地をくねくね走りながらインターからすぐのところにあるこの日の目的地につきます。

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クレマチスの丘 | Clematis no Oka

以前から目をつけていたところ。叔母が散策好きなので、公園のようなところが良かろうということと、そろそろ昼時なので、ランチスポットもあるということでここを選びました。もちろん10月はクレマチス(鉄線)のシーズンではありませんが、駐車場の脇にはこの季節でも花をつけているものがありました。

初めてのところゆえ、ネットの情報などを頼りに、まずはランチです。クレマチスの丘には高級イタリアンとカジュアルなイタリアンがあり、夜は宿の豪華懐石との予定なので、1ミクロンも迷うことなく、カジュアルな方に向かいます。

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ピッツェリア&トラットリア CIAO CIAO(チャオチャオ)

駐車場からすぐのところにお店がありました。幸い平日の12時前ということで先客が2組ほどいらっしゃるだけで、すぐに席につくことができました。

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カジュアルな方と言っても、厨房の奥にはピッツァを焼く石窯があり、店員さんもそれなりの格好をしていて何やら本格的な雰囲気も漂います。まずは飲み物を頼んで喉を潤しますが、もちろん私は唯一のドライバーかつツアーコンダクターということで、いつも通りノンアルコールビール。周りの皆は赤白とりどりのワイン(涙) ただし、それなりにドライブしてきたので、ノンアルコールビールでもそれなりに沁みます(笑) ということで、前菜にピッツァとパスタを適当に注文します。

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こちらは前菜のリストにあった生ハムサラダ。これで1人前ですが、前菜であるということを考えると恐ろしい盛り。4人で取り分けても多いくらい。若干この後の皿の盛りが気になります。野菜は新鮮で悪くありません!

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続いて出てきたのがお店のオススメのマルゲリータ・ピッツァ。こちらはほぼ予想通り。生地が薄いので、大きくてもそこそこの量。ちなみに石窯焼きらしく香ばしくて美味しい。ピッツァはイタリア人らしきピッツァ職人が焼いていましたので、このお店の看板でしょう。

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続いてパスタその1。箱根西麓野菜のプッタネスカ。パスタは多めではありましたが、4人で取り分けることを考えて、ピッツァ1枚、パスタ2皿と人数分より控えめに注文して正解! 以前の旅行で染み付いた「昼は軽めに」の鉄則を守っていて良かったです(笑)

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そしてパスタその2。もち豚のラグーソースのスパゲッティ。パスタはどちらもしっかりした旨味があり、こちらも満足。もちろん母親も叔母も食は細めなので、必然的に私に多めに回ってきます。お昼にしては食べ過ぎたかしらなどと思いながらノンビリしていると、嫁さん、母親はなんとデザートを注文! 「ご飯しっかり食べないのにお菓子はだめ!」と昔の母親的思考回路のスイッチが入りますが、そもそもこの旅は誕生日を祝う目的であったと我に帰って平静を装います(笑)

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母親が注文したのはアフォガード、もちろん嫁さんの入れ知恵、嫁さんはクレマチスのジェラート。私はエスプレッソ、叔母は水で薬を飲んでます(笑)。別腹とは言いますが、母親はアイスにコーヒーを注いで、アフォガードなるものの不可思議な作法に関心しきり。嫁さんはジェラートを口にするなり、「これバスクリン味」となんだかよく分からないことを口走ってます。叔母は二人の様子を見てケラケラ笑っておりまして、まあなんとなくホノボノとしたランチの時間でした。



レストランでノンビリして、お腹も満ちたので、腹ごなしに散策です。あまり勝手がわからないまま、レストランの裏手にあったクレマチスの丘のチケット売り場に行ってみます。

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チケット売り場の前にはハート型の葉の桂の木があります。最近植物が愛おしい年齢になってきました(笑)。桂の木も以前中禅寺湖畔の「かつら」というおそば屋さんの脇の巨木が印象的で覚えました。以来この形の葉、そしてちょっとささくれた樹皮を見ると見分けられるようになったんですね。

さて、駐車場の守衛さんに尋ねると中は広く、スロープ中心で車椅子も使えるようなので、車のトランクから車椅子を取り出し、母親は車椅子で散策することにしました。これでノンビリ散策できます。

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チケット売り場から抜けるとすぐ手入れの行き届いた芝生の庭園になります。またそこここに彫刻が置かれています。入場時にもらった地図によると、ここは2つのエリアに分かれている、クレマチスの丘の「クレマチスガーデン・エリア」でメインはヴァンジ彫刻庭園美術館という彫刻美術館だそう。

ヴァンジ彫刻庭園美術館

イタリアの現代具象彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジの、世界で唯一の個人美術館とのこと。誠に不勉強ながら、ジュリアーノ・ヴァンジという方は知見になく、まるで未知の演奏者によるハイドンを聴くときと同様の誠に新鮮な気分で散策しました。

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といってもまずは庭園の植物に目が行きます。これはルドベキアの一種でしょうか。紫蘇のような葉に黄色の花が映えます。

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芝の上をノンビリ散策して記念にパチリ。芝の上はゆったり散策するのにいいですね。

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そしてこちらはチケット売り場の裏に絡まる蔓花茄子の花。白と薄紫の花の淡いコントラストがなかなかいい雰囲気なんですね。

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丘をなだらかに降りて行くと、そこここに彫刻が配置されています。ジュリアーノ・ヴァンジの彫刻は堅苦しいものではなく、ユーモラスなもの。庭園に溶け込む彫刻。ジュリアーノ・ヴァンジは1931年にイタリアフィレンツェ近郊で生まれた彫刻家。

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そしてこちらは空に溶け込む彫刻。空は青空、風も爽やかで散策日和ですね。

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程なく美術館らしき建物があります。壁面には土着的かつポップな壁画が。これはこの美術館で行われている企画展「生きとし生けるもの」展に合わせて泥で書かれたものとのこと。浅井裕介さんといいう人の作。

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壁画の横から美術館の建物に入ると、建物はなかなか本格的。調べてみると柴原利紀建築計画事務所の設計とのこと。空間構成も光のコントロールもなかなかのものです。私はこの階段を使って下の階に降りて行きますが、車椅子の母親はエレベーターで降ります。階段で降りつくところとエレベーターで降りつくところが違うので若干迷います(笑)

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館内は意外に広く、企画展示の作品群がかなりの量展示されていて見応えがあります。これは三沢厚彦さんによる木彫の動物たち。実物大に近い動物がポップにデフォルメされてかなりの存在感。楠を使った彫刻とのこと。他にも多くの作家の作品が広々とした空間に配置されて、ゆったり楽しむことができます。東京の美術館ではこうはいきませんネ。下調べなしで来ましたので、意外にゆったりと彫刻などを楽しめました。

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展示を抜けると、建物の反対側の庭に出ることができます。

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こちらにも彫刻が配置され、晴天に映えています。こちら側も広々としていて、散策には絶好。季節によっては色々な種類のクレマチスが咲いているのでしょうが、今は秋なので、咲いているのはわずか。代わりに秋の花が色々咲いています。

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こちらは白のクレオメでしょうか。

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こちらは紫の花。サルビアの仲間でしょうか。帰ってから色々調べて花の名前を調べてもわからないものもあります。

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散策中(笑)

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広い庭を奥まで歩いて行くと先には円形の池があり、蓮の花が咲いていました。好天の中池に景色が映り込み、蓮が水面から浮かび上がる絵のような姿。

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池から折り返して帰る途中、これはブラシの木ですね。鮮烈な赤の色が景色の中で一際目立ちます。どうしてこのような花になったのか不思議な形です。彫刻も庭も適度に楽しめる構成になっていて、ゆったり楽しむことができました。

再び美術館の中を通って、のんびり入り口に向かって戻ります。チケット売り場まで戻ると向かいにはIZU PHOTO MUSEUMという建物がありますが、適度な散歩を楽しんだので素通りしました。が、後から調べて見ると、内装設計は世界的に有名な写真家、杉本博司さんでした。これは見ておけば良かったですね。

IZU PHOTO MUSEUM

ということで、クレマチスの丘の散策をひとしきり楽しみました。ここは少し離れたところにビュッフェ・エリアというエリアもあるのですが、年寄り中心の旅行ですので、適度感が重要。時刻も14:30ということで、そろそろ宿に向かおうということになりました。

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クレマチスの丘をでて坂を車で降って行くと、眼下に三島市街を見下ろせます。今日これから向かうのは伊東。伊豆縦貫道に入り、大仁中央インターまで南下して降り、ここから宇佐美大仁道路で東伊豆に出ます。途中峠あたりの大仁まごころ市場というところで一休みして、お土産の野菜などを買い込み、今度は山を下って宇佐美まで出ました。

目的地の伊東はもうすぐです。(つづく)

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なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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