【新着】飯森範親/日本センチュリー響の交響曲集第1巻(ハイドン)

ちょっとご無沙汰しておりました。相変わらず仕事でバタバタとしているのですが、今日帰宅すると、ちょっと楽しみにしていたアルバムがamazonから届いていました。

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TOWER RECORDS / amazon / ローチケHMVicon

飯森範親指揮の日本センチュリー交響楽団の演奏で、ハイドンの交響曲6番「朝」、17番、35番の3曲を収めたSACD。収録は2015年6月5日、大阪のいずみほホールでのライヴ。レーベルは日本のEXTON。

このアルバム、大阪をホームグラウンドとする日本センチュリー交響楽団とその首席指揮者の飯森範親が8年をかけてハイドンの交響曲全集を演奏しようとする「ハイドンマラソン」という企画の第1回のコンサートの模様をライブ収録したもの。飯森範親のハイドンは少し前にNHKで放映されていて、ちらっと見て、かなり本格的なものとの印象を受けているので、この録音の出来は気になっていた次第です。

飯森範親さんは、録音もかなりリリースされているのでご存知の方も多いでしょう。いちおう略歴をさらっておきましょう。

1963年鎌倉に生まれ、桐朋学園指揮科で学び卒業後はドイツに留学、1985年民音コンクール2位、1987年ブサンソン指揮者コンクール2位などの経歴があります。1989年からバイエルン国立歌劇場でウォルフガング・サヴァリッシュについて修行、1994年から東京交響楽団専属指揮者、モスクワ放送交響楽団特別客演指揮者、1995年から広島交響楽団正指揮者などを務め、2007年から山形交響楽団音楽監督となっています。この間世界の有名オケに客演を重ね、このアルバムのオケである日本センチュリー交響楽団の首席指揮者には2014年に就任しています。日本でも実力者の一人と言っていいでしょう。

私自身は録音も生もあまりちゃんと聴いたことがない人ですが、手元のアルバムでは水野由紀がチェロを弾くチェロ協奏曲集の伴奏を日本センチュリー交響楽団を振って担当したアルバムがあることに気づきました。が、アイドルものということで、オケに注目して聴いていませんでした。

今一度、アルバムの帯をよく見てみると、「ハイドン;交響曲集Vol.1」との表記。コンサートの企画自体は交響曲全集の演奏ですが、録音自体が全集を目指すという志はない模様です。あれば「交響曲集」ではなく「交響曲全集」となるわけですので。これには少々がっかり。

これまでハイドンの交響曲全集に挑んだ指揮者はいたものの、完成に至ったのはアンタル・ドラティ、アダム・フィッシャー、デニス・ラッセル・デイヴィスの3名のみ。古くはマックス・ゴバーマン、クリストファー・ホグウッド、ロイ・グッドマン、トーマス・ファイなどが、かなりの数の録音を残したものの、完成を見ずに断念しています。もし全集の録音を志すとしたら、そこに日本人にである飯森範親が急遽加わる形になります。ヨーロッパではジョバンニ・アントニーニが主兵、イル・ジャルディーノ・アルモニコと2032年の完成を目指した全集が第3巻までリリースされている中、我が日本でもついにハイドンの交響曲全集が企画されるのかとの期待もありましたので。まあ、このアルバムの出来が今後の録音リリースの判断材料にもなろうということで、襟を正してアルバムをかけてみます。朝はつい最近、佐渡裕の振るウィーンのトーンキュンストラー管の超名演盤がリリースされたばかり。こちらとの比較も気になるところです。

Hob.I:6 Symphony No.6 "Le matin" 「朝」 [D] (1761?)
佐渡盤も素晴らしい録音でしたが、こちらもDSD録音のSACDということで、ホールの空気感たっぷりの素晴らしい録音。会場ノイズは皆無で音楽に集中することができます。冒頭から精緻な演奏。オケの響きはライヴとは思えない精度。朝靄がはれていくようなハイドンの音楽が立体的に響きます。演奏はオーソドックスですがオケもリズミカルに反応して、素晴らしい展開。弦の響きの潤いは一流オケとは少々差がつくところですが、素晴らしいホールの響きに支えられて悪くありません。若干ホルンが重いところもなくはありませんが、木管や弦を中心に全体にキレよく非常にクリアな演奏。
つづくアダージョはソロの腕の見せ所。ヴァイオリンはコンサートマスターの松浦奈々でしょうか、しっとりとした弓さばきで艶やかかつ味わい深いソロ。チェロも軽々とした弓さばきでさざめくような静けさにしなやかにメロディーを描いていきます。
メヌエットは柔らかくたっぷりと響く低音につつまれて、キレよりも穏やかさを感じさせる演奏。相変わらずオケの精度はすばらしくわずかな乱れもありません。中間部のファゴットのソロはぐっとテンポを落としてコントラバスがファゴットを表情豊かに引き立てます。中間部と両端のコントラストが十分について再びオケに勢いが戻ります。
フィナーレはソロを効果的に配しながらオケとの掛け合いが聴きどころの曲。ソロの精度は十分でオケとの呼吸もぴったり。ハイドンの描いた複雑にからみあう音楽の面白さがクッキリと見事に描かれています。1曲目からクリアで端正、精緻な演奏でした。

Hob.I:17 Symphony No.17 [F] (before 1766)
2曲目は推進力が魅力の曲。冒頭から楽天的なハイドンの音楽がリズミカルに進みます。注意して聴くとオケのパートがそれぞれカラフルな音色で代わる代わるメロディーを引き継いでいく様子が鮮明にわかり、実に面白い。上下に乱舞するメロディーの面白さ。時折挟まれる異なる響きのアイデアを存分に楽しめます。この曲ではホルンの重さも解消されました。
2楽章のアンダンテは程よいテンポと程よい抑揚で音楽が進みしっとりとした曲の魅力に集中できます。ここにきてヴァイオリンの音色も十分艶やかさを加えて、音楽も深みを帯びてきました。
フィナーレは堂々とした分厚い響きできかせるもの。特に低音弦の厚みが効いて迫力十分。この小交響曲の魅力を十分に活かした演奏でした。

Hob.I:35 Symphony No.35 [B flat] (1767)
すこし時代が下って、シュトルム・ウント・ドラング期の交響曲。この曲もオケの力感が素晴らしく、素晴らしい録音でオケが自宅にやってきたよう。演奏には力感が漲り、グイグイと攻めてきます。曲も全2曲よりも引き締まっていて、この時代のハイドンの充実した筆致が演奏の勢いに乗り移っています。テンポの変化こそ少ないものの、カラフルなオケの魅力は変わらず、力強いメロディーがほんのりと色づいて聴こえて響きを華やかにしています。
つづくアンダンテは1楽章のエネルギーを冷ますようにしっとりとした音楽。オケも緊張感が途切れず、充実した演奏。ゆったりとした流れの中で穏やかに変化を聴かせるコントロール。
メヌエットは迫力満点。まるで大オーケストラの演奏のように力が漲った演奏。中間部のソロで勢いを変化させるものの、両端部分は図太い響きの迫力で一貫して押してくるため、ちょっと一本調子な印象も感じなくはありません。
そしてフィナーレも正攻法の迫力で押してくる演奏。オケも見事に応えて、曲をまとめます。

飯森範親と日本センチュリー交響楽団のハイドンマラソンという交響曲全曲の演奏会の第1回のコンサートのもようを収めたライブ盤。事前の印象どおり、ライヴとは思えない精度の高い演奏で、ハイドンの交響曲の演奏としては素晴らしいものでした。演奏は日本人らしい正攻法で磨き上げた演奏でオケも精度の高い演奏で非常に高レベルな仕上がりです。若干気になるのは、演奏スタイルのせいか、録音のせいかは判然としないのですが、ハイドンの初期の交響曲の演奏としては、ちょっと力感重視に寄っているところ。特に35番の分厚いオケの響きは、まるでベートーヴェンの演奏のように聴こえるところもあります。ハイドンの初期の交響曲の面白さは次々と変化するアイデアにあふれた曲想の変化をどう表現するかにあります。どちらかというとこの演奏スタイルはハイドンであればザロモンセットなど後期のものに会うスタイルかもしれませんね。このアルバムに収められた3曲の中では真ん中の17番はこのコンビの一番いいところが出ていて深みを感じさせるいい演奏でした。ということで評価は17番が[+++++]、他2曲は[++++]としました。

このプロジェクト、オーケストラのウェブサイトをみると、コンサートの方はすで6回ほど行われていて、アルバムの方もリリースされていくものと思われます。続くリリースも期待して待ちたいと思います。

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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : 交響曲17番 交響曲35番 ライヴ録音 SACD

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飯森さんのハイドン、毎回、遠征して聴きに行っているハイドン狂いの友(笑)の話では、段々、演奏も向上しているそうなので、一度、聴きに行きたいなと思っているのですが、休みが合わなくめて実現しないままです。

CD全集を目論んでいると思っていたので、選集に終わりそうなのは残念ですが、国内盤フルプライスでは、流石に売れないでしょうから....


No title

Daisyさん こんばんわ。

いつだったか、確か曲目は、このCDには収録されていないトランペット協奏曲と交響曲でしたが、NHKで放映されていたので、日本センチュリー&飯森 範親さんのハイドンが、すごく気になっていました。それがCDとして発売されたので、早速私も注文してしまいました。
発売したばかりにもかかわらず、入荷まで10日ほどかかるそうです。

Daisyさんのレビューを見て、届くのが待ち遠しくなりました。
全曲演奏だけではなく、ぜひ、CD全集として完成させて欲しいものですね。

本当は、日本センチュリー&飯森 範親さんのライブに行きたいのですが、大阪が拠点なので、なかなか関東からは日程を合わせて聴きに行けないのが残念です。

Re: タイトルなし

小鳥遊さん、コメントありがとうございます。

今や東京ではウィーンフィルもベルリンフィルもドレスデンシュターツカペレも聴けますが、日本センチュリー交響楽団のいずみ定期は聴けないんですね。東京でなんでも聴けると思ったら間違いですね。このシリーズが軌道に乗ったら、東京オペラシティあたりで出張公演をしてくれないかと期待しておりますが、ハイドンの交響曲のみでどれだけ人が集まるでしょうか。やはりホームグラウンドでの連続開催じゃないと厳しいのでしょうかね。

確かに国内盤フルプライスでは厳しいでしょうから、数枚出して認知度が高まったら3〜4枚組でまとめて多少安めにリリースするなどしてくれるといいでしょうね。

Re: No title

Haydn2009さん、コメントありがとうございます。

このプロジェクト、ハイドンの交響曲全曲演奏ということでよほどのことがないと取り組めない一大プロジェクトですので、貴重な機会でもあり、是非一度聴いてみたいとは思ってはおりますが、東京から大阪のコンサートに出かけるのはなかなか大変です。名古屋くらいだったら日帰りも可能でしょうが、大阪となると泊まりになりますね。このシリーズの評判がよければそのうち東京出張公演があるだろうとのんびり構えております。こうした書き込みを増やして、是非東京公演を実現させましょう!(笑)

トーマス・ファイの新譜

Daisy 様、しばらくぶりでございます。
タイトルにあるトーマス・ファイ指揮の交響曲全集の新盤発売が、先ごろアナウンスされていました。
「交響曲第6番『朝』、第7番『昼』、第8番『晩』」と、「第35番、第46番、第51番」という2枚組です。新譜が出るとは思っていなかったので喜んでいたところ、先週、アリアCDというネットショップからのメルマガで、「CD2はファイの指揮ではない」との情報が!
もう一度、HMVのサイトを調べてみたら、確かに2枚目にはファイの名前がなく、「ベンジャミン・シュピルナー(コンサート・マスター)」さらに「2014年3月(Disc1)、2016年6月(Disc2)」とあります。本当の新盤は、ファイの指揮ではないとわかりました。ファイの回復を心から祈りつつも、今後の全集の行く末が不安に思える情報でした。

Re: トーマス・ファイの新譜

cherubinoさん、こちらこそご無沙汰しております。

ファイの新譜は嬉しい知らせですね。別コメントにも書きましたが、朝、昼、晩もおそらく録音は事故前だとは思いますが、ファイが編集に際して確認するというプロセスは取れなかったので、リリースが今頃になったんだろうと想像しています。色々なテイクから編集する作業にも創造性が必要ですので、この1枚目の出来は非常に気になるところ。そしてファイなしでの2枚目の出来も同様非常に気になるところですね。結果はともかくリリースされ次第レビューするつもりでおります。

No title

遅いコメントですが、今週「チケットぴあ「関西版」Web」のアンケート抽選賞品として当盤が到着しました。!
その経緯は、知り合い(クラブ同期)のお嬢様が山形交響楽団で1st.vn.を弾かれていて、今年も「さくらんぼコンサート」東京で演奏されることから、日程確認のため「飯森」で検索を始めたら「日本センチュリー交響楽団」のほうに行きついて、さらには何故か翌日締め切りの景品付きアンケートサイトにたどり着いたものです。
応募可能な商品には、同コンビによる「ブラームス交響曲全集」という値がさ物があったので、あえて1枚物の当盤を選択したところで当選はお約束?だったのでしょうかね・・・。
大枚をはたいた挙句お蔵入りする盤がある一方で、棚ぼた的に入手したものが愛聴盤となる、まさに人生の縮図と云えましょう・・・。

Re: No title

だまてらさん、こちらにもコメントありがとうございます。

ちなみに私には、アルバムを手にいれる術は、新譜を買う、中古をどうにかして手にいれるの2択しかありませんでした。応募してもらうという手は今まで考えだにしませんでしたので、これは目から鱗です(笑) 他には奏者と親密になってもらうなどという手や、奏者にメールしてもらう(暗にユッタ・エルンストの件のその後をイメージ!)などの手がありますかな(笑)

ハイドンマラソン、そろそろ第二弾が出てもいい頃ですね。期待して待ちましょう。
プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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