【新着】飯森範親/日本センチュリー響の交響曲集第2巻(ハイドン)

進行中の「ハイドンマラソン」プロジェクトの第2弾がリリースされました!

IimoriHaydn2.jpg
TOWER RECORDS / amazon / ローチケHMVicon

飯森範親(Norichika Iimori)指揮の日本センチュリー交響楽団(Japan Cetury Symphony Orcestra)の演奏による、ハイドンの交響曲14番、77番、101番「時計」の3曲を収めたSACD。収録は2015年9月25日、大阪のいずみホールでのライヴ。レーベルは日本のEXTON。

このアルバム、冒頭に記したように大阪をホームグラウンドとする日本センチュリー交響楽団とその首席指揮者の飯森範親が8年をかけてハイドンの交響曲全集を演奏しようとする「ハイドンマラソン」という企画の第2回のコンサートの模様をライブ収録したもの。もちろん、第1巻のアルバムも取り上げています。

2016/11/19 : ハイドン–交響曲 : 【新着】飯森範親/日本センチュリー響の交響曲集第1巻(ハイドン)

この企画についてと、飯森範親の略歴などについては前記事をご参照ください。

第1巻がリリースされた時には、ハイドン・マラソンという交響曲全曲演奏会を集録したにもかかわらず、帯には「交響曲集Vol.1」というだけで、レーベルとしては全集という踏ん切りはついていないと理解していました。とりあえず1巻以降の数巻の売り上げが、今後継続して録音がリリースされるかの鍵を握ることになろうかと思います。ハイドン啓蒙を旨とする当ブログがそれを応援しないわけには参りませんので、しばらくはリリースされるアルバムをレビューして行こうかと思っております。演奏の内容については、第1巻の内容やNHKで放映された映像を見ても十分全集に耐えるものと思っていますが、心配なのはSACDフルプライスでの1巻ずつの進行。第1巻よりも第2巻が値上がりしているのも気にかかるところ。膨大なハイドンの交響曲の全集をフルプライスで揃えるのはなかなか大変だということを考えると、リリース展開がどこまで先を見ているのかが少々気がかりではありますね。

さて、肝心の演奏について触れることにいたしましょう。

Hob.I:14 Symphony No.14 [A] (before 1764)
冒頭からいきなり落ち着いた演奏なので、調べてみると実際のコンサートプログラムでは冒頭ではなく後半に演奏されていたことがわかりました。アレグロ・モルト、アンダンテ、メヌエット、フィナーレという構成。1楽章は第1巻でちょっと力みが感じられたのとは異なり、適度な緊張感はあるものの、非常にリラックスしての演奏。もう少し躍動感を強調してくると踏んでいましたが、これはこれでいい演奏でしょう。録音は第1巻同様、透明感のある日本的なHi-fi録音。ヴァイオリンパートはシルキーな音色できっちりとしたボウイング。ハイドンの初期の交響曲のフレッシュな感じも出ています。
良かったのがアンダンテの丁寧なフレージング。この素朴なメロディーを丁寧に描くことでハイドンの音楽の深みをしっかりと表現できています。淡々と描かれる音楽にこそ、音楽そのものの美しさが宿ります。
そしてメヌエットでは、テンポを上げ、音楽の起伏をクッキリと出し始め徐々に音楽が快活さを取り戻します。全てのパートの奏者のエンジンがかかった感じ。中間部ですっとリラックスし、再びメヌエットで華やかに。
フィナーレも適度に落ち着いた演奏なのが実にいい感じ。上下に展開する音階が舞う中しっかりとした足取りで冷静な曲の運びが印象的でした。

Hob.I:77 Symphony No.77 [B flat] (1782?)
実際のコンサートではこの曲が冒頭に演奏されていたようです。前曲同様落ち着いた演奏ですが、冒頭に置かれたぶん奏者も挨拶代わりということで、クッキリとしたメリハリをつけて、音楽も心なしか明るい方向にシフトしている感じ。明るいトーンでまとめられたオケが躍動します。展開部での転調の面白さが聴きどころですが、あまりハッタリをかませることなく正攻法でオーソドオックスにまとめてきます。要所がキリリと引き締まっているので、音楽の構成も明快。
続くアンダンテは前曲同様、丁寧な演奏、丁寧な録音相まって実に聴きごたえ十分。ハイドンが仕込んだいたずらがそこここに仕掛けられており、それに対応しながらだんだん変化していく曲の面白さがしっかりと描かれます。
非常に変わった響きが特徴のメヌエット。ここでは日本センチュリー響のシルキーな弦の美しい響きが活きていますね。広いホールの自然な残響が美しい録音。
フィナーレはハイドンのコミカルなメロディーを冷静に綺麗にまとめた感じ。ライヴ録音ですが、演奏はセッション録音のような完成度と冷静さを保っています。演奏の完成度は非常に高いものがあります。

Hob.I:101 Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
このシリーズ最初のザロモンセットの曲。予想通り冷静精緻な序奏から入りますが、ここにきてようやくライヴらしい勢いが出てきました。主題は覇気が漲り、躍動感もでてきました。時計の聴きどころは1楽章の緊密な構成感とする私にとっても、なかなかいい線いっている演奏です。いい意味でオケも荒々しさが出てきて、これまでの曲とは異なる次元の迫力を帯び、独特の高揚感に包まれます。
時計のアンダンテはリズムの刻みが丁寧なのが飯森流でしょう。変化に富んだアクセントのつけ方も曲の華やかさを増すなかなかいいアイデア。録音が鮮明なので音数も豊富に聴こえます。やはりここでもオケの迫力に圧倒されます。
メヌエットも前楽章のエネルギーを引き継ぐように、力感に富んだ入り。第1巻で少々感じが無理な力みはなく、曲の格に応じた力の入り方。これまでオーソドックスに来ましたが、メヌエットの中間部のテンポを上げたフルートの流れるような演奏は、ちょっとした変化球でハッとさせられます。これは面白いアイデア。ただメヌエット自体の演奏は若干一本調子な印象も持ちました。この辺がハイドンの難しいところでしょう。
フィナーレも正攻法による迫力の演奏。ここまでの演奏の総決算とばかりにオケに力が漲りますが、コントロールの冷静さは失われず最後までキリリとひきしまった演奏でした。実演では畳み掛けるような煽りを期待するところですが、録音を意識してか燃焼度よりは完成度を意識したコントロール。複雑に入り組むメロディーの面白さは少々後退して丁寧に響きを整えながらのフィニッシュでした。

飯森範親と日本センチュリー管による期待のハイドンの交響曲集の第2巻。第1巻に垣間見られた力みはなくなり、演奏もこなれて来た印象。第1巻よりも確実に良くなっています。非常に丁寧に演奏しているのが印象的で、指揮者の個性よりも曲の素の姿をきっちり描こうとしているような演奏で、そういった意味では日本的な演奏だと思います。アイデアのキレ、アーティスティックさよりも、質の高い細密画をあしらった図鑑のように、1曲1曲をきっちり紹介して行くスタイルを意図しているのではないかという印象。これまでのハイドンの全集とは異なるアプローチですね。また、鮮明な響きを再現する録音もそうした傾向を感じさせるのかもしれませんね。この巻では14番と77番は曲の魅力をしっかりと表現できていて気に入りました。評価は前2曲が[+++++]、時計は[++++]としました。

さて、第3巻のリリースの準備も進んでいることでしょう。さらなる進化を期待してリリースを待ちましょう。

最後に個人的な意見を少々。このアルバム、ジャケットの見た目は第1巻とほぼ同じ。今後何巻かリリースされると、同じデザインのジャケットが並ぶことになりそうですし、ダブり買いのリスクも高いです(笑) これまで色々出ているシリーズものでは基本デザインは揃っていても1巻1巻色々と工夫されていて、それがコレクション欲を刺激することもしばしば。このシリーズ、ジャケットにもう少し工夫が欲しいところです。現在進行中のアントニーニの交響曲全集などジャケットが実にアーティスティックで素晴らしいので購買意欲をくすぐるんですね〜。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

ハイドン・マラソン、評判もよいので気になっていますが、高いから買ってません(笑)

ただ、来月の公演を出張の帰りに聴いて来る予定です。

それで、アルバムも買おうか決めようかと。

Re: タイトルなし

小鳥遊さん、コメントありがとうございます。

実演を聴くチャンスありとは羨ましい!
実演を聴くと録音の印象も変わることが多いので、私も機会があれば一度聴いてみたいと思っています。
やはりフルプライスで104曲は厳しいですよね(^_^)
プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

最新記事
カテゴリ
タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

交響曲93番交響曲98番交響曲97番交響曲95番驚愕奇跡ピアノソナタXVI:49ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:35ピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:36フルート三重奏曲LP古楽器オーボエ協奏曲ロッシーニドニぜッティライヒャピアノソナタXVI:34ピアノソナタXVI:48ディヴェルティメント弦楽三重奏曲皇帝ひばりピアノソナタXVI:20ピアノ協奏曲XVIII:3シェーンベルクミューザ川崎ストラヴィンスキーマーラー東京芸術劇場チェロ協奏曲東京文化会館交響曲102番軍隊ロンドン時計フルート協奏曲ホルン協奏曲弦楽四重奏曲Op.20弦楽四重奏曲Op.2弦楽四重奏曲Op.17弦楽四重奏曲Op.9剃刀弦楽四重奏曲Op.77弦楽四重奏曲Op.103ピアノソナタXVI:46ピアノソナタXVI:328人のへぼ仕立屋に違いないファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:26ピアノソナタXVI:31バードタリスアレグリパレストリーナ東京オペラシティモンテヴェルディ天地創造すみだトリフォニーホールライヴ録音ピアノ協奏曲XVIII:11アンダンテと変奏曲XVII:6ピアノソナタXVI:6ヒストリカル告別交響曲1番美人奏者ピアノソナタXVI:39四季迂闊者交響曲12番交響曲70番太鼓連打ピアノ協奏曲XVIII:7ピアノ協奏曲XVIII:4アコーディオンバリトン三重奏曲SACDスコットランド歌曲ヴェルナーガスマンベートーヴェンシューベルトモーツァルトピアノソナタXVI:38ラメンタチオーネ交響曲80番交響曲67番哲学者ピアノソナタXVI:24交響曲46番交響曲35番交響曲51番ヴァイオリン協奏曲協奏交響曲DVDピアノソナタXVI:52交響曲47番十字架上のキリストの最後の七つの言葉テレジアミサピアノソナタXVI:28ピアノソナタXVI:23ピアノソナタXVI:21ピアノソナタXVI:40アリエッタと12の変奏XVII:3サントリーホールラ・ロクスラーヌ帝国弦楽四重奏曲Op.76ハイドンのセレナードピアノソナタXVI:51ピアノソナタXVI:50ラルゴ五度ピアノ三重奏曲日の出弦楽四重奏曲Op.64ピアノソナタXVI:44ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.1弦楽四重奏曲Op.33リヒャルト・シュトラウス騎士弦楽四重奏曲Op.74交響曲17番ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:27シベリウス武満徹時の移ろい交響曲42番無人島交響曲4番ベルリンフィルホルン信号交響曲19番弦楽四重奏曲Op.55弦楽四重奏曲Op.54交響曲87番交響曲86番王妃トランペット協奏曲ピアノソナタXVI:29ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:10リュートピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6ピアノ五重奏曲チェチーリアミサ東京国際フォーラムラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン雌鶏交響曲39番冗談英語カンツォネッタ集ナクソスのアリアンナアレルヤピアノ協奏曲XVIII:9ピアノ協奏曲XVIII:5ヴァイオリンソナタバッハ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2交響曲81番交響曲78番交響曲79番交響曲99番ロンドン・トリオブルックナー交響曲88番オックスフォードオフェトリウムモテットドイツ国歌カノンスタバト・マーテルピアノソナタXVI:42弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールクラヴィコードパッヘルベルアダージョXVII:9受難パリセット交響曲84番ベルクブーレーズ交響曲全集主題と6つの変奏弦楽四重奏曲Op.71オペラアリアスクエアピアノピアノソナタXVI:41ショスタコーヴィチ交響曲68番交響曲57番リラ・オルガニザータ協奏曲悲しみリーム交響曲89番交響曲50番CD-R偽作トビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタオルガン協奏曲火事交響曲38番リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲34番交響曲18番交響曲77番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日交響曲90番校長先生音楽時計曲ピアノソナタXVI:11ピアノ小品ピアノソナタXVI:47bisカートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストピアノソナタXVI:14オーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲66番交響曲91番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響第九オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7オペラ序曲天地創造ミサジャズネルソンミサ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノピアノソナタXVI:2ヴェーベルン哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェライヴ府中の森芸術劇場マリア・テレジア裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャ交響曲56番マリアテレジア交響曲27番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ小オルガンミサ新橋演舞場交響曲5番交響曲10番サルヴェ・レジーナテ・デウムカッサシオン室内楽曲ピアノソナタXVI:45ベトナム料理国立新美術館高音質CDドビュッシー交響曲28番交響曲13番交響曲107番交響曲62番交響曲108番変わらぬまことジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲交響曲9番交響曲2番交響曲3番スカルラッティ声楽曲カンタータ戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲54番交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中交響曲58番ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲65番ニコライミサ交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽Blu-ray狩りピアノソナタ

ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

音楽家、音大生、音楽愛好家のブログランキング。
音楽ブログランキング

このブログの成分解析。キーワードによるブログランキング。
blogram投票ボタン

大家さんFC2のクラシックブログランキング。


おすすめ(音楽)
ハイドンの超厳選名演盤。
AdamFischer97.jpg
沸き上がる興奮(Blog記事

Gloukhova2.jpg
ピアノソナタ新風(Blog記事

RialAria.jpg
恋人のための...(Blog記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック。


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実。
HMVジャパン
HMV ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

クラシックの独自企画・復刻盤は要注目。


おすすめ(音楽以外)




アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
197位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
12位
アクセスランキングを見る>>
twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ