ファビオ・ルイージ/読響の熊、英雄の生涯(東京芸術劇場)

最近都響や東響のコンサートが多く、ちょっとご無沙汰していた読響ですが、気になるコンサートがありましたので行ってきました。

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読売日本交響楽団:読響サマーフェスティバル2017 ルイージ特別演奏会

テレビのコンサートの放送でしかご縁のなかったファビオ・ルイージが来日し、それもハイドンの熊もプログラムに含まれると知ってチケットを取ってあったもの。放送での印象はかなりアクティブな指揮ぶりで、音楽も少々くどい印象がありましたが、今をときめく一流どころの一人ということで、ハイドンを如何に料理するのか興味津々といったところ。このコンサートの直前には松本で毎年開催されるセイジオザワ松本フェスティバルでマーラーの9番を振っており、ネットなどの評判を見るとなかなか良かったようです。

ファビオ・ルイージは1959年イタリア、ジェノヴァの生まれ。地元のパガニーニ音楽院でピアノを学んだのちオーストリアのグラーツ国立音楽大学で指揮を学びます。指揮者として最初のキャリアはグラーツ歌劇場。1990年に自ら創設したグラーツ交響楽団を皮切りに、ウィーン・トーンキュンストラー管、スイス・ロマンド管、ライプツィヒ放送響、ウィーン交響楽団、ドレンデン・シュターツカペレなどの首席指揮者、音楽監督を歴任。その後も世界の著名なオケに客演し活躍しています。現在はチューリッヒ歌劇場、デンマーク放送響を率い、2018年からはフィレンツェ歌劇場の音楽監督も務める予定とのこと。今が旬の指揮者の一人でしょう。

ルイージは小澤征爾の招きで2014年に前身のサイトウキネンフェスティバルに来ており、2016年にも来日していますが、読響を振るのは今回のコンサートが初めてとのことです。

この日のプログラムは下記の通り。

R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
ハイドン:交響曲第82番「熊」
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

世紀末に生み出されてた管弦楽の極北の姿であるリヒャルト・シュトラウスの2曲に、古典期に交響曲というジャンルを創り上げたハイドンの曲が挟まれる構成。このプログラム構成の意図はメインディッシュたるシュトラウスに対しハイドンを粋な箸休めとする意図でしょうか。まあ、ハイドンが得意でなければこのような構成はとれないでしょうからよしとしましょう。

この日は早めに仕事を切り上げられたので、前回東京芸術劇場でインバルの大地の歌を聴いた時に発掘した芸術劇場の長いエスカレーターの下にあるベルギービールカフェで腹ごしらえしてコンサートに臨みます。

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食べログ:ベルギービール カフェ ベル・オーブ 東京芸術劇場

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頼んだのは海老とアボカドとフレッシュトマトのサンドイッチなどと、酸味の効いた甘口のレッドビール。ホール内のドリンクコーナーよりも落ち着けるので、早くホールに着いたときにはこちらがいいですね。



さて、この日の座席は2階席の右側。S席なのでステージがらさほど遠くなく、オケを軽く見下ろせるいい席。

最初の曲がハイドンではなくシュトラウスなので、ステージいっぱいに団員が並び、チューニングを終えるとファビオ・ルイージが颯爽と登壇。意外に小柄な人でした。ドン・ファンは最初からフルスロットルの曲ですが、ルイージがタクトを上げた途端、今まで読響から聴いたことのないような鮮明な響きが飛び出します。ルイージ、音色に関して非常に鋭敏な感覚を持っているようで、シュトラウスの楽譜に込められた音楽を、重厚なドイツ的響きではなく、超鮮明なハイレゾサウンドのような音にしてホールを満たします。テンポのキレの良さも重厚な響きになる余地をなくしているよう。全ての楽器に対してキューを出すように指揮台いっぱいに動き回って勢力的にタクトを振ります。指揮姿は全くは異なりますが、この指示の緻密さはマゼールを彷彿とさせます。重くなく鮮明、クリアな響きで、ドン・ファンを一気に聴かせ、読響も完璧にそれに応じた演奏。読響がルイージのマジックに完全に制圧された感じ。もちろん、観客は読響のきりりと引き締まったただならぬ熱演に拍手喝采。

2曲目はお目当のハイドンの交響曲82番「熊」。一旦団員が下がっている間にステージが小編成オケ用に配置換えされます。中央奥に据えられたティンパニは4台から2台に減らされ、指揮者に近い方に一段移動。オケの規模は4分の1くらいでしょうか。再びルイージが登壇してタクトを振り下ろすと、今度はしなやかで透明感溢れる響きで満たされます。このハイドンは良かった。クッキリとした筋の通った構成で、所々に多彩なアクセントやルバートが散りばめられ、爽快感と規律、イタリア人らしいスタイリッシュさもある見事な演奏。指揮ぶりはあいかわらす非常に細かく指揮台いっぱいに動き回りますが、音楽に力みはなく、流石にシュトラウスの大編成の曲の間に挟んだ甲斐のあるもの。1楽章の規律ある構成感、2楽章のメロディーをさらりとユーモラスにこなす余裕、そしてメヌエットでオケを伸びやかに響かせてフィナーレは適度に緊密なまとまりを聴かせるなど、ハイドンの面白さを見事に演出。ドン・ファンの大音響とは異なる音楽の面白さを印象付けました。

休憩を挟んで、後半は大曲「英雄の生涯」。少し前にミューザ川崎でマリス・ヤンソンスの振るバイエルン放送響で素晴らしいアルプス交響曲を聴いたばかりでしたが、この日のルイージの英雄の生涯もそれに劣らず素晴らしいものでした。いきなり圧巻だったのは最初の一音。かっちりとエッジの効いた低音弦の伸びやかな響き。ルイージのタクトの一振りで読響から聴いたことのないような引き締まった響きがまたまた引き出され、いきなりルイージのコントロール力を見せつけられます。ヤンソンスの演奏はいつもしなやかさを保ちますが、ルイージはドン・ファン同様、超鮮明ハイレゾサウンドとかっちりとした構成の見通しの良さを武器に、ハイドンとは比較にならない複雑怪奇奇妙奇天烈なシュトラウスの音楽を見事にコントロール。読響もこれまで聴いたどのコンサートの時よりも精緻。このコントロール力はすごいものですね。この日は聴き慣れた版ではなく静かに終わる初稿による演奏。最後の一音が消え入ると、もちろん場内から嵐のような拍手が降り注ぎました。横で聴いていた嫁さんも、「リヒャルト・シュトラウスってやはり変態だったのね」と激賞(笑)。ルイージの統率と読響の力演に拍手は鳴り止まず、ルイージも団員を讃えていました。

いやいや、事前の想定とは異なるルイージの魅力を見せつけられた感じ。リヒャルト・シュトラウスは言うに及ばず、ハイドンも見事にこなすところは流石なところ。現代物を振った時のカンブルランも素晴らしいのですが、ちょっと格が違う感じでした。またの共演の機会があれば、聴いてみたいですね。前回インバルの大地の歌を3階席で聴いた時はそれほど悪いとは思わなかった東京芸術劇場の音響ですが、今回よりオケに近い2階席の前位の方では、オケの残響にちょっと癖を感じ、響きも硬い感じ。席によって結構印象が変わることがわかりました。今度は芸劇ではなく、新装サントリーホールで聴いてみたいところです。

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tag : リヒャルト・シュトラウス 東京芸術劇場

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なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
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モーツァルト天地創造交響曲61番交響曲5番ピアノソナタXVI:46ストラヴィンスキーシューベルトチャイコフスキーピアノソナタXVI:52ピアノソナタXVI:20チェロ協奏曲ライヴピアノ協奏曲XVIII:11弦楽四重奏曲Op.2序曲バッハ軍隊ヴィヴァルディベートーヴェンオペラ序曲アリア集パイジェッロ弦楽四重奏曲Op.76皇帝ヒストリカル日の出ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6すみだトリフォニーホールピアノソナタXVI:34ピアノソナタXVI:49ブーレーズラヴェルサントリーホール弦楽四重奏曲Op.74弦楽四重奏曲Op.71無人島騎士オルランドアルミーダチマローザ変わらぬまこと哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ英語カンツォネッタ集ピアノ協奏曲XVIII:4ピアノ協奏曲XVIII:1ピアノ協奏曲XVIII:3弦楽四重奏曲Op.20交響曲79番アレルヤ古楽器ラメンタチオーネ交響曲3番驚愕チェロ協奏曲1番交響曲88番オックスフォード交響曲19番交響曲58番交響曲27番アンダンテと変奏曲XVII:6紀尾井ホールショスタコーヴィチドビュッシーピアノ三重奏曲ミューザ川崎オーボエ協奏曲協奏交響曲LPヴァイオリンとヴィオラのためのソナタピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:38ピアノソナタXVI:29スタバト・マーテルピアノソナタXVI:48ピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:39ブルックナーマーラー十字架上のキリストの最後の七つの言葉告別交響曲90番交響曲97番奇跡交響曲99番交響曲18番ひばり弦楽四重奏曲Op.64フルート三重奏曲悲しみ交響曲102番交響曲86番ヴァイオリン協奏曲哲学者ミサブレヴィスニコライミサ小オルガンミサ交響曲95番交響曲93番交響曲78番時計ピアノソナタXVI:23王妃SACD武満徹ライヴ録音交響曲80番交響曲全集交響曲81番マリア・テレジア交響曲21番クラヴィコード豚の去勢にゃ8人がかりBlu-ray東京オペラシティ交響曲9番交響曲12番交響曲11番交響曲10番太鼓連打ロンドン交響曲2番交響曲4番交響曲15番交響曲1番交響曲37番弦楽四重奏曲Op.54ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:2ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:5ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:3ディヴェルティメントリヒャルト・シュトラウス東京芸術劇場交響曲98番ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:35ロッシーニライヒャドニぜッティ弦楽三重奏曲シェーンベルク東京文化会館フルート協奏曲ホルン協奏曲弦楽四重奏曲Op.17弦楽四重奏曲Op.9剃刀弦楽四重奏曲Op.103弦楽四重奏曲Op.77ピアノソナタXVI:31ファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:26タリスアレグリモンテヴェルディバードパレストリーナピアノソナタXVI:6美人奏者四季交響曲70番迂闊者ピアノ協奏曲XVIII:7アコーディオンバリトン三重奏曲スコットランド歌曲ガスマンヴェルナー交響曲67番ピアノソナタXVI:24交響曲46番交響曲35番交響曲51番DVD交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:21ピアノソナタXVI:28アリエッタと12の変奏XVII:3ラ・ロクスラーヌ帝国ハイドンのセレナードピアノソナタXVI:51ラルゴ五度ピアノソナタXVI:44ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.33弦楽四重奏曲Op.1騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス時の移ろい交響曲42番ベルリンフィルホルン信号弦楽四重奏曲Op.55交響曲87番トランペット協奏曲ピアノソナタXVI:10リュートピアノ五重奏曲チェチーリアミサラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン東京国際フォーラム雌鶏交響曲39番冗談ナクソスのアリアンナピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2ロンドン・トリオドイツ国歌モテットカノンオフェトリウム弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールパッヘルベルアダージョXVII:9受難パリセット交響曲84番ベルク主題と6つの変奏オペラアリアピアノソナタXVI:41スクエアピアノ交響曲57番交響曲68番リラ・オルガニザータ協奏曲リーム交響曲89番交響曲50番偽作CD-Rトビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師オルガン協奏曲火事交響曲38番リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲34番交響曲77番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日校長先生ピアノソナタXVI:11ピアノ小品ピアノソナタXVI:47bis音楽時計曲カートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲91番交響曲66番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47第九読売日響オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7天地創造ミサジャズネルソンミサ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルン府中の森芸術劇場裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャ交響曲56番マリアテレジア2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ新橋演舞場テ・デウムサルヴェ・レジーナカッサシオン室内楽曲ピアノソナタXVI:45ベトナム料理国立新美術館高音質CD交響曲28番交響曲13番交響曲62番交響曲107番交響曲108番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲スカルラッティカンタータ声楽曲戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲54番交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲65番交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽狩りピアノソナタ

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