シューリヒトの「ロンドン」(DISQUES REFRAIN)

今日は至宝、シューリヒトのロンドンを取り上げます。

SchurichitDR.jpg

手元にはシューリヒトのロンドンは3組のアルバムがあります。

・Schuricht, Suttgart Radio Symphony Orchestra (10 September 1952) [7'23/6'45/4'52/5'06] DISQUES REFRAIN DR 920027
・Schuricht, Orchestre National de L'ORTF (September 1955/Live) [11'02/11'27/8'04/7'14] MEMORIES REVERTENCE MR 2020/21
・Schuricht, Orchestre National de France (September 1955) [8'04/7'14/4'50/4'49] VIRTUOSO 94012

1番目はシュトゥットガルト放送交響楽団との1952年の録音ですが、2番目の3番目はおそらく同じオケではないかとおもわれるものの、ジャケットに表記されたタイミングがあまりに異なります。この3種の出来を集中的に聴いて違いを探ろうと言う企画。今日はこの中から、今日は1番目のDISQUES REFRAIN盤を取り上げます。一番最初に入手したので一番聴き込んだアルバム。

シューリヒトのハイドンは以前に一度、軽く取り上げています。

ハイドン音盤倉庫:枯淡、シューリヒトのハイドン

シューリヒトは1880年、ドイツのダンツィヒ生まれの指揮者。アンセルメの要請で、1944年、スイスロマンド管弦楽団に客演した際、スイスに亡命。その後、ウィーンフィル、ベルリンフィルなど世界的なオケに客演し、名声を博すに至ります。シューリヒトは高齢になってからその世界的名声を手に入れることとなった人。晩年はリウマチに悩まされたとのことで、亡くなったのは1967年です。

このアルバムのシューリヒトのロンドン、出来映えはどうでしょうか。

1楽章は岩のようにゴロついたオケが奏でる序奏から入ります。音はモノラルながら鮮明なもの。シューリヒトらしく整理された響きで序奏のメリハリを表現。ティンパニがアクセントを強めに表現。主題に入るところは微風のような弦の入り。テーマの表現は意外と溜をたっぷりとってメリハリを十分つけます。灰汁の強いアクセントをつけながら、侘び寂びも感じる枯淡の表現と言ったら良いでしょうか。非常にクッキリしたメリハリをつけているにも関わらず枯れているのがシューリヒト流。1楽章の最後はゆったりとしたテンポに移りますが、テンションは高いまま。不思議なテンションでが、味わい深さは絶品。
2楽章は中庸なテンポで進めます。メリハリは抑え気味ながら素朴な遅さで進めます。途中の展開部で突如テンポを上げる部分がありますが、さらっとした変化で意外性はなし。このへんの独特の表情付けがシューリヒトならではという雰囲気を醸し出しているんでしょう。ときおりレガートを利かせたり、テンポに変化をつけたりと、ワルター等にも見られる変化をつけますが、この変化の付け方がファンを引き込むポイントかも知れません。非常に落ち着いたアンダンテですね。
3楽章のメヌエット。最も変化の少ない楽章です。最初から一定のテンポであまり大きく表情づけをすることなく淡々と進めます。
フィナーレは出だしのフレーズの枯れた表情が印象的。次々と重なる楽器が枯れた表情のなか厚みを増していきます。古い演奏らしく、ヴァイオリンのキレにはそうとう気を使っていることが窺われます。ヴァイオリンの音階のキレは抜群。途中のザクザク進む部分のアクセントとオケの巻き込み方は流石というレベル。終盤のメロディーラインは慌てるそぶりも見せず、落ち着き払ったフィナーレ。流石シューリヒトと言うべきでしょう。

この演奏の評価は[++++]。実は好きな演奏だっただけにもう一超えといきたかったんですが、最近触れる様々な演奏の素晴らしさとの関係もあり、控え目にしました。1番のポイントは生気というかキレの部分。これがシューリヒトのスタイルと言われればその通りなんですが、あともう一キレする余地もありそうですね。曲がロンドンだけに、その感はなおさらです。
もちろんシューリヒトの良さを知る音楽ファンの方にはおすすめできる良い演奏です。シューリヒトの演奏と言えば滋味溢れる演奏というのが衆目の一致するところ。このアルバムには他にハイドンの交響曲86番、95番が含まれており、昔はシューリヒトのハイドンの代表的なアルバムとの位置づけでした。

明日は上のリストの2番目、3番目の演奏を取り上げ、演奏と録音の違いを詳らかにしたいと思います。
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ロンドン ヒストリカル

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Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

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