ヴィシュニエフスキ/アメリカン・ホルン四重奏団+ワルシャワ・シンフォニアのホルン信号

ハイドンのホルンを特徴的に使った曲が続きます。先日その存在を知りamazonに注文していたアルバム。

AHQ31.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

ダリウシュ・ヴィシュニエフスキ(Dariusz Wišniewski)指揮のアメリカン・ホルン四重奏団(American Horn Quartet)とワルシャワ・シンフォニア(Sinfonia Varsovia)の演奏で、ハイドンの交響曲31番「ホルン信号」などを収めたアルバム。他にシューマンのホルン協奏曲、ヘンデルのホルン協奏曲(「王宮の花火の音楽」序曲の編曲)、テレマンの序曲ヘ長調(アルスター組曲)などが収められています。収録は2003年7月18日から20日、ポーランド、ワルシャワにあるポーランド放送のスタジオにおけるセッション録音。レーベルはおなじみNAXOS。

このアルバムを見つけた時は背筋に電気がビビッときました。何しろ、オケが以前戦慄の名演を聴かせた、ワルシャワ・シンフォニア、そして曲がホルン信号、そしてジャケットにはナチュラルホルンの写真。悪かろうはずのない鉄壁の組み合わせです。もちろん発見した直後に注文です。いつもはHMV ONLINEに何枚かまとめて注文するのですが、待ちきれず単独でamazonに注文した次第。

2011/01/16 : ハイドン–交響曲 : シュミット=ゲルテンバッハ/ワルシャワ・シンフォニアの悲しみ

指揮のダリウシュ・ヴィシュニエフスキはライナーノーツによれば、1968年、ポーランド南部のスロバキア国境に近いカトヴィツェ(Katowice)生まれの指揮者でコントラバス奏者。まったく未知の人です。故郷で音楽を学び、アメリカ、ノースカロライナ州グリーンズボロで開かれた音楽祭に参加し、入賞、その後イェール大学、ニューヨーク州立大学でコントラバスや室内楽を学びました。またヨーロッパに戻ってからは王立リエージュ音楽院で学び、スェーデン王立歌劇場やルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団でコントラバス奏者を務めました。近年はコントラバス奏者に加えて指揮もしているようです。

ホルン信号にはホルンが4本登場しますが、このアルバム、名手ぞろいのワルシャワ・シンフォニアとアメリカン・ホルン四重奏団による混成オーケストラで演奏したものでしょう。

ホルンを担当するアメリカン・ホルン四重奏団は1982年に設立された、欧米のオーケストラで活動する4人のアメリカ人ホルン奏者による四重奏団。メンバーと経歴は下記のとおり。

ケリー・ターナー(Kerry Turner)ケルンのギュルツェニヒ管弦楽団首席ホルン奏者
チャールズ・プットナム(Charles Putnam)ボンのベートーヴェン管弦楽団首席ホルン奏者
デヴィッド・ジョンソン(David Johnson)ウィンタートゥル音楽院/ルガーノ音楽院のホルン教師
ジェフリー・ウィンター(Geoffrey Winter)ボンのベートーヴェン管弦楽団首席ホルン奏者

何れもホルンの名手という事でしょう。無名ではありますが、名手ぞろいの予感ですので、期待を超える音楽がきこえるでしょうか。ジャケット写真にはナチュラルホルンが写っていますが、ライナーノーツに掲載されたアメリカン・ホルン四重奏団の写真では現代楽器を持って写っています。聴いてみると、現代楽器による演奏ですね。

Hob.I:31 / Symphony No.31 "Hornsignal" 「ホルン信号」 [D] (1765)
粒立ちのよいオーケストラによる鮮明な響き。オケもホルンもオーソドックスな入りです。耳を峙てると、やはりあのワルシャワ・シンフォニアのキレのいいヴァイオリンの音階は健在。「悲しみ」の指揮を担当したゲルテンバッハが畳み掛けるような迫力あるコントロールで聴かせたのに対し、ヴィシュニエフスキのコントロールは典雅というのが相応しい、落ち着いたもの。ただメロディーラインをクッキリ聴かせる才があるようで、非常にクリアな響きになります。迫力あるヴァイオリンのキレではなく、爽やかなヴァイオリンのキレ。アメリカン・ホルン四重奏団によるホルンは流石四重奏団を名乗るだけあって素晴らしいアンサンブル。ホルンにしては異例のリズムの軽さとキレ。素晴らしいテクニック。自然な演奏から湧き出るように音楽が吹き出します。爽やかなそよかぜのようなアンサンブルです。1楽章からキレまくってます。見事。
アダージョは弦のソロとホルンのえも言われぬアンサンブル。ゆったりと、そして力がいい具合に抜けた癒しを感じる楽章。前楽章同様響きがかるく、リズムもキレがいいので音楽が重くなる事はありません。こうゆう地味な楽章がいいというのは本当にテクニックがないと出来ない演奏でしょう。
続くメヌエットは、今度は明らかにキレの良さを前面に出した演奏。素晴らしい躍動感。何でもない演奏ながら、これだけの躍動感を出せるというのは流石。
そして、ホルン信号の聴き所のフィナーレ。12分以上の変奏がつづく大曲です。ゆったりした弦楽器のアンサンブルから、木管楽器主体のアンサンブルに変わり、そしてメロディーをチェロ、フルートと次々にバトンタッチ。ポーランドのオケらしい伸びのある各楽器のソロが美しいですね。そしていよいよホルンのアンサンブル。かなり装飾音を多用して変化を付けます。やはりオケのテクニックが確かなのと、クッキリしていながら遊び心も持ち合わせた演奏。途中ユーモラスなコントラバスの変奏も登場して変化をつけます。最後はホルンの素晴らしい吹き上がりを聴かせて終了です。

アメリカン・ホルン四重奏団と名手ぞろいのワルシャワ・シンフォニアによるハイドンの名曲「ホルン信号」。私の好きな癖のない演奏からハイドンの音楽の魅力が沸き立つような秀演。とくにオケの優秀さは随所に聴かれ、管弦楽の魅力を十分に感じられる演奏。くっきりと涼やかなフレージングが印象的な演奏でした。本文中触れませんでしたが、録音も最近のものらしく、鮮度も自然さも十分。当ブログの読者のようなハイドンをこよなく愛する人には必聴のアルバムです。評価はもちろん[+++++]とします。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ホルン信号

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

最新記事
カテゴリ
タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

モーツァルトチェロ協奏曲1番東京オペラシティ交響曲86番十字架上のキリストの最後の七つの言葉交響曲10番交響曲9番交響曲11番交響曲12番ヒストリカル太鼓連打ロンドン交響曲2番古楽器交響曲15番交響曲4番交響曲37番交響曲18番交響曲1番ひばり弦楽四重奏曲Op.54SACDピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:20ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:46ピアノソナタXVI:2LPライヴ録音ピアノソナタXVI:48ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:5ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:3天地創造ディヴェルティメントリヒャルト・シュトラウス東京芸術劇場交響曲102番軍隊交響曲99番時計奇跡交響曲95番交響曲98番交響曲97番交響曲93番驚愕ピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:49ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:35フルート三重奏曲ロッシーニオーボエ協奏曲ドニぜッティライヒャピアノソナタXVI:34弦楽三重奏曲皇帝ピアノ協奏曲XVIII:3ミューザ川崎ストラヴィンスキーシェーンベルクマーラーチェロ協奏曲東京文化会館フルート協奏曲ホルン協奏曲弦楽四重奏曲Op.20弦楽四重奏曲Op.2弦楽四重奏曲Op.9弦楽四重奏曲Op.17剃刀弦楽四重奏曲Op.103弦楽四重奏曲Op.77ピアノソナタXVI:318人のへぼ仕立屋に違いないファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:26パレストリーナモンテヴェルディアレグリバードタリスすみだトリフォニーホールピアノ協奏曲XVIII:11アンダンテと変奏曲XVII:6ピアノソナタXVI:6告別美人奏者ピアノソナタXVI:39四季交響曲70番迂闊者アコーディオンピアノ協奏曲XVIII:4ピアノ協奏曲XVIII:7バリトン三重奏曲スコットランド歌曲ヴェルナーガスマンベートーヴェンシューベルトピアノソナタXVI:38交響曲80番ラメンタチオーネ交響曲67番哲学者ピアノソナタXVI:24交響曲51番交響曲46番交響曲35番ヴァイオリン協奏曲協奏交響曲DVDピアノソナタXVI:52交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:28ピアノソナタXVI:21ピアノソナタXVI:23アリエッタと12の変奏XVII:3ピアノソナタXVI:40サントリーホールラ・ロクスラーヌ帝国ハイドンのセレナード弦楽四重奏曲Op.76ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:51五度ラルゴピアノ三重奏曲日の出弦楽四重奏曲Op.64ピアノソナタXVI:44ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.1弦楽四重奏曲Op.33弦楽四重奏曲Op.74騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス武満徹時の移ろい交響曲42番無人島ベルリンフィルホルン信号交響曲19番弦楽四重奏曲Op.55王妃交響曲87番トランペット協奏曲ピアノソナタXVI:29リュートピアノソナタXVI:10ピアノ五重奏曲ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6チェチーリアミサ東京国際フォーラムラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン雌鶏交響曲39番冗談英語カンツォネッタ集ナクソスのアリアンナアレルヤピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタバッハ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2交響曲78番交響曲79番交響曲81番ロンドン・トリオブルックナー交響曲88番オックスフォードモテットオフェトリウムドイツ国歌カノンスタバト・マーテル弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールクラヴィコードパッヘルベルアダージョXVII:9受難パリセット交響曲84番ブーレーズベルク交響曲全集主題と6つの変奏弦楽四重奏曲Op.71オペラアリアスクエアピアノピアノソナタXVI:41ショスタコーヴィチ交響曲68番交響曲57番リラ・オルガニザータ協奏曲悲しみリーム交響曲89番交響曲50番偽作CD-Rトビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタオルガン協奏曲火事交響曲38番リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲34番交響曲77番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日交響曲90番校長先生ピアノ小品音楽時計曲ピアノソナタXVI:11ピアノソナタXVI:47bisカートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲66番交響曲91番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響第九オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:22変奏曲XVII:7オペラ序曲天地創造ミサジャズネルソンミサ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルン哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェライヴ府中の森芸術劇場裏切られた誠実マリア・テレジアバリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャマリアテレジア交響曲56番交響曲27番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ小オルガンミサ新橋演舞場交響曲5番サルヴェ・レジーナテ・デウムカッサシオン室内楽曲ピアノソナタXVI:45ベトナム料理国立新美術館高音質CDドビュッシー交響曲28番交響曲13番交響曲108番変わらぬまこと交響曲62番交響曲107番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲交響曲3番スカルラッティカンタータ声楽曲戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲54番交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中交響曲58番ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲65番ニコライミサ交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽Blu-ray狩りピアノソナタ

ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

音楽家、音大生、音楽愛好家のブログランキング。
音楽ブログランキング

このブログの成分解析。キーワードによるブログランキング。
blogram投票ボタン

大家さんFC2のクラシックブログランキング。


おすすめ(音楽)
ハイドンの超厳選名演盤。
AdamFischer97.jpg
沸き上がる興奮(Blog記事

Gloukhova2.jpg
ピアノソナタ新風(Blog記事

RialAria.jpg
恋人のための...(Blog記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック。


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実。
HMVジャパン
HMV ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

クラシックの独自企画・復刻盤は要注目。


おすすめ(音楽以外)




アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
163位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
11位
アクセスランキングを見る>>
twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ