オルフェウス室内管の交響曲81番、告別

土曜の歯の定期検診とイタリアンのあと立ち寄ったディスクユニオンで発見したアルバム。

OrpheusCO81.jpg

オルフェウス室内管弦楽団(Orpheus Chamber Orchestra)の演奏による、ハイドンの交響曲81番と45番「告別」の2曲を収めたアルバム。収録は1987年3月、ニューヨーク州立大学パーチェス校のパフォーミング・アーツ・センターでのセッション録音。レーベルは名門DG。

黄色いタイトルのきちんとデザインされたアルバム。黄金期のDGのプロダクションですが、現在は廃盤のもよう。手元にオルフェウス室内管のハイドンの交響曲のシリーズが何枚かありますが、いま取り出して確認したところこれで5枚目。これまでに3回取りあげていますが、いづれも2010年とだいぶ前のこと。

2010/10/27 : ハイドン–交響曲 : オルフェウス室内管弦楽団のマリア・テレジア、受難
2010/09/07 : ハイドン–交響曲 : オルフェウス室内管弦楽団の60番、91番
2010/06/27 : ハイドン–交響曲 : オルフェウス室内管の哲学者

これまでの記事を読んでいただければわかるとおり、オルフェウス弦楽四重奏団のハイドンの交響曲は、曲によってハマる曲もあれば、もう一歩踏み込みが欲しい曲もあり、素晴らしく気に入っている訳ではありません。しかし
、そのムラがあるからこそ、ちょっと聴いてみたくなるものです。指揮者なしの小編成オケのオルフェウス故、告別はなかなかいいのではないかとの期待もあります。譜面台をおいて立ち去る楽団員の写真があしらわれたなかなか品のいいジャケットも期待を煽ります。

前記事を確認すると、演奏者をちゃんと紹介していませんでした。

Home | Orpheus Chamber Orchestra

オルフェウス室内管弦楽団は1972年に設立された室内管弦楽団。指揮者なしでの演奏に特徴があります。本拠地はニューヨークで、カーネギーホールなどでコンサートを開いているよう。
ウェブサイトを確認すると、現在33名のメンバーによって構成され、活動もいまだ活発にしているようです。今シーズンは設立40周年とのことで、ウェブサイトもお祝いムードですね。

Hob.I:81 / Symphony No.81 [G] (before 1784)
パリセット直前の珍しい81番。現代楽器の小編成オケらしいキビキビとした入り。キビキビとした演奏がぴったりの快活な曲。しっかりアクセントをつけてメリハリも十分。アメリカのオケらしい機能美を感じさせるスタイリッシュな演奏。指揮者の個性ではなくロジカルというかよく考えられたデュナーミクが説得力がありますが、ちょっと遊びが欲しいと思わせるところもあります。音量を抑えてフレーズをつないでいく部分の華やぎはハイドンらしい魅力的な部分。
つづくアンダンテは、淡々と非常に整った音楽。情感をを抑えて音楽がオケの響きとして即物的に迫ってくる感じ。非常に冷静な奏者が完璧な演奏しようと張りつめているようです。もうすこしリラックスたほうが音楽に余裕がでるのではと思った瞬間、変奏に入るところで、期待通りすこし力が抜けて音楽の表情も豊かになります。こちらの考えていることが読まれているような不思議な感覚。弦のピチカートも加わり、ほのぼのとした音楽になります。
メヌエットは実にユーモラスな曲想。引き締まった響きで淡々とこなして行きますが、やはり演奏は規律重視。ピンと背筋が伸びた音楽。リズムのエッジがキリッと立って切れ味はなかなか。
そしてフィナーレは規律を保ったまま、テンポを上げますが、演奏スタイルは端正なままで進みます。テクニック的には上手い演奏なんですが、心に入り込んでくるというよりは、磨かれた響きを聴くべき演奏でしょうか。

Hob.I:45 / Symphony No.45 "Farewell" 「告別」 [f sharp] (1772)
おなじみの告別。前曲と同様、小編成オケのタイトな響きは変わりませんが、曲の構えの大きさに対して、演奏の構えがちょっと小さいように聴こえます。不思議にオケの響きがちょっと揺れているように聴こえるのはテープのコンディション由来の問題でしょうか。均整を保ちながら畳み掛けてくる不思議な演奏。ここに来て指揮者がいないということの欠点が少し目立つようになってきました。やはり大きな視点での音楽の設計が欠けているのだとわかります。キビキビタイトな演奏であっても、楽章ごとのニュアンスの変化や、個性的なコントロールが聴かれず、ちょっと単調さをはらんでしまっています。アンダンテも同様、ディテールは磨かれている印象にも関わらず、音楽としてのまとまりがいまひとつ。遅めテンポでじっくり聴き込みたいのですが、すこし音楽の緊張感が薄らいでいるのがわかります。
メヌエットに入ると一層ゆったりした遅さが気になるようになります。ショーケースに美しくライティングされてディスプレイされた音楽のよう。本来は活き活きと音楽が弾むべきでしょう。
フィナーレはご存知のように2部構成。前半はオルフェウスの魅力的な弦楽器群がザクザクと刻み、オケのテクニックを堪能できます。後半は奏者が一人ずつ退場していく有名な部分。これまでの遅い楽章の平板に近い印象よりはすこしクッキリ感が残り、また、楽器が減っていくに連れて、一人一人の奏者の上手さが引き立つように変わります。この楽章の自然さ、淡々と楽器が減っていく様子はなかなか深い音楽。最後に近いフレーズの、奏者が寂しげに音楽を弾き込んでいるようすは実に趣き深いもの。いつ聴いても最後の奏者の音色が静寂の中に消えていくところはいいですね。このへんが名曲の名曲たる所以でしょう。

久しぶりに出会ったオルフェウス室内管弦楽団の交響曲は、ちょっと期待が大きすぎたのか、イメージした演奏とはちょっと異なるニュアンスのものでした。1曲目の81番は小編成オケの良さを素直に生かした演奏ですが、2曲目の告別は、この見事な交響曲のデリケートなニュアンスを描ききれていないもどかしさを感じます。ディテールの出来はいいのに、大きな音楽の流れが造れていない印象が残ります。これが音楽の複雑かつ難しい部分でしょう。評価は81番が[++++]、告別が[+++]とします。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : 交響曲81番 告別

コメントの投稿

非公開コメント

オルフェウスのハイドンは、何枚か聴いたけど、全然好きになれません(笑)

指揮者なしなら、酷評する方も多いけど、プラハ室内管が断絶好い。

オルフェウス室内管は、アンサンブルはきっちりしているのに、何だか音楽に芯がなく拡散している気がしてしまいます。

その割に開放感もない。

何だかミュンヒンガーの出来の悪い時みたい。

まあ好みの問題なんですが...

別件ですいません。

(記事と無縁のコメントです、削除してくださって結構です)
ハイドン所有盤リスト、Opera & Vocal 2、の
「テレジアミサ」リリング盤の«Review» リンクが無いようです。
リリングの「7つの言葉」を買ったので、検索してる途中で気づきました。

Re: 別件ですいません。

maro_chroniconさん、おはようございます。
ご指摘ありがとうございます。このようなご指摘、助かります。一応チェックしてやっているつもりですが、毎日眠い目を擦り擦り更新しているので、リンク漏れなどあろうかと思います。ご指摘の部分は早速修正させていただきました。感謝感謝です。今後もありましたら、よろしくお願い致します。

Re: タイトルなし

小鳥遊さん、おはようございます。
>アンサンブルはきっちりしているのに、何だか音楽に芯がなく拡散している気がしてしまいます。
そのコメント、わかります。今回取りあげたオルフェウスは、私も期待はずれでした。ただ、ピタリとハマる演奏もあり、哲学者などは名演だと思います。以前の記事でロッシーニの序曲集のことを書きましたが、小鳥遊さんのご意見、ロッシーニの序曲集を聴いた時の私の心境に近いものがあると思います。

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

なぜかハイドン(Franz Joseph Haydn)が特に気に入り膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。東京在住のごく普通のサラリーマンです。

最新記事
カテゴリ
タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

時計ロンドン太鼓連打交響曲102番交響曲99番軍隊交響曲95番交響曲93番交響曲98番交響曲97番驚愕奇跡ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:49ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:35ピアノソナタXVI:37フルート三重奏曲古楽器LPオーボエ協奏曲ロッシーニドニぜッティライヒャピアノソナタXVI:34ピアノソナタXVI:48ディヴェルティメント弦楽三重奏曲皇帝ひばりピアノ協奏曲XVIII:3ピアノソナタXVI:20ストラヴィンスキーシェーンベルクミューザ川崎東京芸術劇場マーラーチェロ協奏曲東京文化会館ホルン協奏曲フルート協奏曲弦楽四重奏曲Op.20弦楽四重奏曲Op.2弦楽四重奏曲Op.17弦楽四重奏曲Op.9剃刀弦楽四重奏曲Op.77弦楽四重奏曲Op.103ピアノソナタXVI:46ファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:26ピアノソナタXVI:318人のへぼ仕立屋に違いないタリスモンテヴェルディパレストリーナアレグリ東京オペラシティバード天地創造すみだトリフォニーホールライヴ録音ピアノ協奏曲XVIII:11ピアノソナタXVI:6アンダンテと変奏曲XVII:6ヒストリカル交響曲1番告別美人奏者ピアノソナタXVI:39四季交響曲70番交響曲12番迂闊者アコーディオンピアノ協奏曲XVIII:7ピアノ協奏曲XVIII:4バリトン三重奏曲SACDスコットランド歌曲ガスマンヴェルナーシューベルトベートーヴェンモーツァルトピアノソナタXVI:38哲学者交響曲67番交響曲80番ラメンタチオーネピアノソナタXVI:24交響曲35番交響曲51番交響曲46番ヴァイオリン協奏曲協奏交響曲DVDピアノソナタXVI:52交響曲47番十字架上のキリストの最後の七つの言葉テレジアミサピアノソナタXVI:23ピアノソナタXVI:21ピアノソナタXVI:28アリエッタと12の変奏XVII:3ピアノソナタXVI:40サントリーホール帝国ラ・ロクスラーヌハイドンのセレナード弦楽四重奏曲Op.76ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:51ラルゴ五度ピアノ三重奏曲日の出弦楽四重奏曲Op.64ピアノソナタXVI:44ラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.33弦楽四重奏曲Op.1リヒャルト・シュトラウス騎士弦楽四重奏曲Op.74交響曲17番ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:27シベリウス武満徹時の移ろい交響曲42番交響曲4番無人島ベルリンフィルホルン信号交響曲19番弦楽四重奏曲Op.55弦楽四重奏曲Op.54王妃交響曲86番交響曲87番トランペット協奏曲ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:29ピアノソナタXVI:10リュートピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6ピアノ五重奏曲チェチーリアミサ東京国際フォーラムラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン雌鶏交響曲39番冗談ナクソスのアリアンナ英語カンツォネッタ集アレルヤピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタバッハ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2交響曲81番交響曲79番交響曲78番ロンドン・トリオブルックナー交響曲88番オックスフォードドイツ国歌カノンモテットオフェトリウムスタバト・マーテルピアノソナタXVI:42弦楽四重奏曲Op.50よみうり大手町ホールクラヴィコードパッヘルベルアダージョXVII:9受難パリセット交響曲84番ブーレーズベルク交響曲全集主題と6つの変奏弦楽四重奏曲Op.71オペラアリアピアノソナタXVI:41スクエアピアノショスタコーヴィチ交響曲68番交響曲57番リラ・オルガニザータ協奏曲悲しみリーム交響曲50番交響曲89番偽作CD-Rトビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師ヴァイオリンとヴィオラのためのソナタオルガン協奏曲交響曲38番火事リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲18番交響曲34番交響曲77番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日交響曲90番校長先生ピアノ小品音楽時計曲ピアノソナタXVI:47bisピアノソナタXVI:11カートリッジ雅楽プロコフィエフヘンデルサン=サーンス交響曲36番リストピアノソナタXVI:14オーディオバリトン二重奏曲交響曲75番交響曲66番交響曲91番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響第九オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭ピアノソナタXVI:12変奏曲XVII:7ピアノソナタXVI:22オペラ序曲天地創造ミサジャズネルソンミサ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノピアノソナタXVI:2ヴェーベルン哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェライヴ府中の森芸術劇場裏切られた誠実マリア・テレジアバリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャ交響曲56番マリアテレジア交響曲27番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番小オルガンミサ大オルガンミサ新橋演舞場交響曲5番交響曲10番テ・デウムサルヴェ・レジーナカッサシオン室内楽曲ピアノソナタXVI:45ベトナム料理国立新美術館高音質CDドビュッシー交響曲28番交響曲13番交響曲107番交響曲62番交響曲108番変わらぬまことジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲交響曲9番交響曲2番交響曲3番スカルラッティカンタータ声楽曲戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲54番交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中交響曲58番ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲65番ニコライミサ交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽Blu-ray狩りピアノソナタ

ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography at H. R. A.
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものは末尾に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

2017年7月のデータ(2017年7月31日)
登録曲数:1,361曲 登録演奏数:10,291
月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

音楽家、音大生、音楽愛好家のブログランキング。
音楽ブログランキング

このブログの成分解析。キーワードによるブログランキング。
blogram投票ボタン

大家さんFC2のクラシックブログランキング。


おすすめ(音楽)
ハイドンの超厳選名演盤。
AdamFischer97.jpg
沸き上がる興奮(Blog記事

Gloukhova2.jpg
ピアノソナタ新風(Blog記事

RialAria.jpg
恋人のための...(Blog記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック。


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実。
HMVジャパン
HMV ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

クラシックの独自企画・復刻盤は要注目。


おすすめ(音楽以外)




アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
110位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
8位
アクセスランキングを見る>>
twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ