Haydn Disk of the Month - May 2013
今月レビューしたアルバムからベスト盤を選ぶこの企画、今月5月は交響曲のメジャーな演奏を集中的に取りあげましたが、ベスト盤は最終的に次の2組としました。

2013/05/26 : ハイドン–交響曲 : 【追悼】ジャン=フランソワ・パイヤール/イギリス室内管の驚愕、軍隊
先月亡くなったジャン=フランソワ・パイヤール指揮のイギリス室内管による交響曲の録音。ハイドンの交響曲、それも驚愕と軍隊という名曲の完璧な演奏。オーソドックスな現代楽器による演奏の範疇ですが、いってみればオーソドックスな演奏の究極の姿でもあり、立体感、色彩感、安定感はこの演奏以上のものはないと思えるほどの完成度。ここまで彫りが深く、ここまで色彩感豊かで、ここまで自然な演奏はありません。あらためてパイヤールの音楽の深さを知った次第。現役盤ではありませんが、中古でも流通していますので、未聴の方は是非この完成度に打たれてください。

2013/05/12 : ハイドン–交響曲 : アダム・フィッシャー/ハイドン・フィルの97番、102番
そしてもう一枚は、ご存知アダム・フィッシャーのあまりご存知でもない交響曲の新録音。MD+GからリリースされているSACD3枚のうちの1枚ですが、この97番と102番、序曲「哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ」の3曲を収めたアルバム。このシリーズの3枚のなかでも、この1枚の完成度が際立って高いです。とくに97番は見事。この演奏を聴かずに97番を語るべきではないと思わせる、ものすごい集中力の結晶。アダム・フィッシャーの振るハイドンの交響曲の魅力が凝縮されています。SACDゆえ音のキレも見事。こちらもハイドンファンを自称する方で未聴であれば、是非お聴きいただきたい国宝級の名盤です。あらためてアダム・フィッシャーのハイドンの演奏にかける息吹に触れた気持ちになること請け合いです。
日頃当ブログでは、私の趣味もあってマイナー盤をとりあげることが多いですが、あらためて交響曲のアルバムを聴き返して、この2枚の素晴しさを再発見できました。
今月取りあげた中で[+++++]をつけたアルバムは、上記の他にこれだけあります。出尽くしたかにも思えるハイドンの交響曲演奏ですが、ムーティやスヴェトラーノフの振ったアルバムが新たにリリースされる等、まだまだ新盤がリリースされ続けており、これからも素晴しい演奏のリリースが期待できそうです。
2013/05/22 : ハイドン–交響曲 : 【新着】リッカルド・ムーティ/ウィーンフィルのマリア・テレジアライヴ!
2013/05/20 : ハイドン–交響曲 : 【新着】スヴェトラーノフ/ベルリンフィル「軍隊」ライヴ!
2013/05/18 : ハイドン–交響曲 : クラウディオ・アバドの98番、軍隊
2013/05/14 : ハイドン–交響曲 : ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン/オランダ放送室内フィルのホルン信号など
2013/05/09 : ハイドン–交響曲 : ブルーノ・ヴァイル/ターフェルムジークの86番
2013/05/04 : ハイドン–管弦楽曲 : エミール・クライン/ハンブルク・ソロイスツの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」
2013/05/03 : ハイドン–室内楽曲 : イジー・ホシェク、ドミニカ・ホシュコヴァーによるバリトン二重奏曲集
さて、6月は特にテーマをもうけずにいろいろ取りあげたいと思います。新旧盤の聴き比べや、クラヴィコード製作工房見学などのイベント企画も予定しております。そろそろ蒸し暑い季節。いい音楽を聴きながら、季節の変化を楽しみましょうか。
2013年5月のデータ(2013年5月31日)
登録曲数:1,313曲(前月比±0曲)登録演奏数:7,028件(前月比+72演奏)


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No title
ですか・・・
ノミネートに惜しくもはずれたところでは、デルジャヴィナのソナタ全集を私的
には推したいですねー!あと、番外編として「題名の無い音楽会」で佐渡さん
が解説と指揮をしていた「ラ・パッショーネ」が以外にも絶品でした!
さて、しばらく不調だった当家のSACDプレーヤーがしばらく入院の後、更に
グレード・アップして帰還しました。6月中は何かと(Daisyさんには拝察頂ける
と思います・・・)気ぜわしいですが、7月に入ったら当家でオフ会などいかがで
しょうか・・・
Re: No title
確かに法事では205回忌だったのでプチアニヴァーサリーだったのかもしれませんね。ハイドンのアニヴァーサリーでは、次は2032年の生誕300年ということになります。それまでブログを続けていたら、盛大に祝わねばなりませんね。
さて、デルジャヴィナのソナタ全集、かなり注目度が高いですね。個性的なピアニストであることは間違いなく、ハイドンを新たな視点でとらえた演奏故、聴き応えもあるというものです。
SACDプレーヤー、原器のような素晴しいものが、グレードアップされたということは、、、気になりますね(笑)
7月の件了解いたしました! またよろしくお願いいたします。